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レーシングスーツ着て浮き輪にビーチボールとラケット?!クルサードをはじめ色んな人に囲まれていじられているハッキネンはこのレースをもってF1活動を休止します。2001年最終戦の日本GPです。
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この時代に熾烈なバトルを繰り広げた長年のライバルもどこか寂しそう。このシーズンは第13戦ベルギーGPでチャンピオンを決めており、以降もハッキネンが離れて無敵になると思えば気は楽ですが、スポーツは対等なライバル関係があるからこそ盛り上がります。それは観ている我々も競うプレイヤーも同じですね。特にこの2人はライバルであっても非常に良好な関係を保ってきました。
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F1ラストランはハッキネンだけではありません。1989年のスポット参戦から数えて13年、200戦超えのアレジもステアリングを置き、若手にシートを譲る決断を発表しました。チャンピオンは2年連続4回目のM・シューマッハに決まり、消化レースにはなったけど、日本で人気の高かった2人のベテランの「卒業式」のようで、ある意味印象に強く残っています。

予選はチャンピオン防衛のM・シューマッハがウィリアムズのモントーヤを大きく引き離し、唯一の1分32秒台に乗せて圧倒的な速さをみせます。マクラーレンに代わってウィリアムズ2人が2,3番手を獲得し、ハッキネンはバリチェロに続く5番手、ジョーダンのアレジは急成長中の若いザウバーに挟まれた11番手からのスタートとなりました。

《予選結果》
   1 M・シューマッハ (フェラーリ・F・BS)
   2 J・P・モントーヤ(ウィリアムズ・B・MI)
   3 R・シューマッハ  (ウィリアムズ・B・MI)
   ※BSはブリヂストン、MIはミシュラン、
  BはBMW

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M・シューマッハはアウト側のスタート位置からすっとインを閉めてウィリアムズの鼻先を押さえていきます。あとは、突き離していくのみ。鈴鹿の戦い方を心得ています。近年の3年に渡りハッキネンとのフロントロウを演じてきましたが、今日は隣にいない。余裕しゃくしゃく。
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トップはさておき、2位以下の争いは熾烈でした。3位に浮上し2周目のバックストレッチでモントーヤの尻尾を捕まえたバリチェロ。
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ウチはチャンピオンチームなんだ、最後は2位がほしい。シケインをインから飛び込んで、ワンツー体制を築く。
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と思ったのも束の間、第1コーナーで新人らしくないF1新人モントーヤが取り返す。アツい南米対決!

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こちらも1年生です。12番手スタートから9位に浮上してきたザウバーのライコネンが6周目のダンロップ出口で突如挙動を乱しています。走行中に左サスペンションアームを折損。
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危ない!後ろは黄色のジョーダン。
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いやいや全く冗談では済まない、速度もそこそこのもらい事故です。
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リヤセクションはバラバラですが、ライコネンは何とか無事で自力で脱出。前にいるジョーダンは?!
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ラストアレジ。こちらも無事ですが後ろを見てこれは間違いなくお叱りが、、怖いぞー。
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JA「怖かったろ、大丈夫か?未来ある若者よ」
KR「ん?」
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JA「礼は要らないよ。取っておけ。じゃあな若者」
アレジのF1最後の最後はリタイヤでした。どこか満足げな表情にも見え、去り際が清々しい。ここはクミコの国ですもんね。

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上向き調子で上位フィニッシュを目指すR・シューマッハがシケインをショートカットしています。 130Rでスピードに乗ってからブレーキングを頑張っちゃったりすると、シケインをオーバーランすることもしばしば。
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ただし速度抑制が目的のシケインですから、ショートカットには当然ペナルティが下ります。
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29周目に触れてはならぬ10秒のピットストップペナルティを受けると、レース序盤に熾烈な3位争いを繰り広げた「王の家来」2回目のピットと重なります。
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バリチェロは出遅れちゃったもんだから出口で「王の弟」と交錯。弟、イケイケで白線またぎ。
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ガレージでいいか悪いかの議論中。やっちゃったことを国際映像でバッチリ捉えられてしまったらクロ以外にごまかし様も無いんだけどね。
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バリチェロが32周目のシケインをインからさす。
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弟はまたもやショートカット。だからそれはダメだってさっき怒られたばかりじゃん!そこ、トラックではないからね?!気持ちはわかるが、学習能力が無い。
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ただ成敗される位置が変わっただけ(笑)

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ハッキネンは最終盤47周目に3位を走行しています。2回のチャンピオンをこの鈴鹿で獲得して、思い出もあるでしょう。ところが48周目に入るコントロールラインで4位を走るクルサードを待っています。
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まだ先の長い相方に3位表彰台を献上。そうです、ハッキネンにはもう重圧や競争心は無く、今後は自由な世界に解き放たれていくのです。
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「今日は許すわ。お疲れ様、あなた」
この仁王立ちを見られるのも、このレースが最後となりました。

《決勝結果》
   1 M・シューマッハ (フェラーリ・F・BS)
   2 J・P・モントーヤ(ウィリアムズ・B・MI)
   3 D・クルサード  (マクラーレン・M・BS)

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トップに触れる機会がほとんどありませんでした。F1ステップアップ前からのライバル関係で、この鈴鹿では常に1列目から戦ってきた一人が勝ち、一人がF1を離れていきます。シーズン終盤に設定されていたことも助けとなって、この日本の舞台で手に汗握るクリーンなバトルを度々みせてくれたことに感謝します。この当時の発表ではハッキネンはあくまで「休養」として、マクラーレンのシートをライコネンに明け渡したわけですが、miyabikunはもうこの時点でハッキネンはもう戻ることなくそのまま「F1引退」となる想像と覚悟はしていました。
この先、F1界はM・シューマッハの独壇場になるわけですが、この2001年はモントーヤをはじめアロンソやライコネンなどの「新人当たり年」でもありました。F1に大きな「穴」は開きつつ、将来は決して暗いものではありません。
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出会いがあれば別れもあり。F1はこうして世代交代が行われ、今までもこれから先も続いていきます。長きに渡りF1を支えてきた2人、ありがとう!
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そして、お疲れ様でした。
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