F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:8戦

先日は2020年シーズン後半の予選についてまとめました。今回は決勝編です。予選編よりちょっぴりボリュームがありますが、引き続きお付き合い下さい。

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《優勝者》
 第10戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 第11戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第12戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第13戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第14戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第15戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第16戦 ペレス     (レーシングポイント・M)
 最終戦 フェルスタッペン(レッドブル・H)

前半9戦はメルセデス7勝、レッドブルとアルファタウリのホンダ系が1勝ずつとかなり偏った内容で進行していました。後半8戦は第10戦ロシアGPのボッタスにはじまり、第15戦バーレーンGPまでメルセデスが制していたものの、ハミルトンが欠場を強いられた第16戦サクヒールGPでトップのミスの隙をうまくモノにしたペレスが初優勝。最終戦はポールポジションからそのまま逃げ切ったフェルスタッペンがシーズン 2勝目を挙げたことにより、メルセデス6勝、レーシングポイント1勝、レッドブル1勝となりました。レーシングポイントはご存知の通りメルセデス製のパワーユニット搭載車ですので、後半8戦もメルセデスとホンダの2メーカーのみの勝利ということになります。最近速さをみせるルノー系ならまだしも、今シーズンのフェラーリ系は優勝はおろか表彰台登壇が精一杯な状況でしたよね。ホンダがメルセデス系全勝を阻んでくれたことに感謝です。

《決勝平均順位》
決勝の平均順位です。いつものように「リタイヤは20位」とみなしています。予選と同様に何人かの代走を伴いましたのでスポット参戦者の順位も掲載、欠場したドライバーは「出走したレース数」で平均順位を割り出しました。またウィリアムズとメルセデスのステアリングを握ったラッセルは「ラッセル自身の順位成績」で集計しました。
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あはは、やっぱりこうなったか(笑)ハミルトンがグラフに破線で入れた入賞ラインや表彰台ラインなんぞ全く無用の文句無し1位台。何だかいるのかいないのかよくわからないくらいだぞ。でもこれぞチャンピオン、キングという戦績ですね。以下をかなり引き離してしまっています。今シーズンの、いや近年のパワーバランスを大袈裟に示すと、きっとこんな感じになりそうですね。決して他のドライバーがだらしなかったり、遅いのではない。そのくらいキングは別格。あまり誉めたくない(笑)
2位はボッタスでもフェルスタッペンでもなく、黄色はラストのリカルドですよ!なぜかというと、ボッタスは欠席は無くとも、第11戦アイフェルGPでリタイヤをかまし、ヌルヌルの第14戦トルコGPではレース数と同じ14位完走に終わったから。フェルスタッペンの方はイモラで行われた第13戦ロマーニャGPとまだ記憶に新しい第16戦サクヒールGPでの「非接触クラッシュ」で2つ落としたためにこのような評価になりました。するするっと二強を上回ったリカルドの後半戦はなかなか力強い走りをしましたよね。予選からサードロウ付近にちらほら顔を覗かせ、ボッタスとフェルスタッペンが落とした3位表彰台をもぎ取りました。そんなルノーの底上げに貢献したリカルドも来シーズンは「オレンジの矢」マクラーレンに移籍します。今シーズンまでのパワーバランスはマクラーレンの方が少ーし上でしょうか。表彰台で一芸みせるオレンジのリカルドが度々お目にかかれることと思います。
熾烈な入賞圏内クラスのドライバーの中で前半戦と比較すると、ノリスくんが少し振るわなかったでしょうか。前半9戦平均6.89位だったのに対し、後半8戦は10.38位と入賞圏内の危うい位置にまで下がりました。第1戦オーストリアGPで初表彰台を経験してから、何とか入賞圏内に留まりますが、後半戦に入るとリタイヤ1回、入賞圏外完走が2回となっています。雰囲気的には先輩サインツの好走が印象的でした。そのサインツが来年お世話になる「紅い名門」はルクレールが8.63位と堅調さ(とはいっても、本来いるべき位置かは考えたらダメダメ)をみせるも、4回チャンピオンは安定の11位入賞圏外と、サインツ立場からは不安でしかない成績。

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コンストラクター単位の平均順位です。トップを走るメルセデスはさておき、レッドブルが3位以下を引き離す単独2位と思いがちですが、miyabikun評価法ではリタイヤ数が効いてしまうこともあり、レッドブルが想像より低めに出てきます。こうしてみるとレーシングポイントまでの6チームが団子状態ですね。その上位7チームで入賞圏内を奪い合い、下位3チームの付け入る隙を与えません。下位の中では遅くともリタイヤが少ないアルファロメオが頭一つ出た形となり、ビリは平均16.31位の同率でウィリアムズとハースが並びました。前半はウィリアムズが16.22位、ハースが16.28位でしたので、前半より平均値は落としつつ、僅差でウィリアムズがピリから脱出しました。

《決勝走行周回数》
予選には無い、決勝ならではの評価の一つ「走行周回数」です。もちろんこの蓄積にはドライバー由来ではなく、チームやマシン、ライバルやサーキットによるものなど様々な要因を含んでいるわけですが、規定の周回数、長い距離を走破することもF1を戦うためには必要不可欠です。後半8戦の一人あたりのトータルは499周となります。周回数とレギュラードライバーには周回走破率を多い順に記載して並べてみました。
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1位はメルセデスでなくルノーのリカルドで消化率99.8%、1周足らずの498周となりました。リカルドはアルガルヴェ国際サーキットで初開催となった第12戦ポルトガルGPで9位入賞ながらラップダウンしているため全周回数走破となりませんでした。それでも8戦全て入賞圏内でフィニッシュし、この後出てくるドライバーズポイントランキング上位浮上に成功しています。周回数2位もメルセデスではなく、何とあのベッテルちゃんが4周足らずの495周となっています。遅いマシンで投げやりにみえたのですが、実は本人出来る限り頑張っていたのが伝わってきますね。腐ってもチャンピオン、ちゃんとしたマシンを今一度与えて、まだまだ速さがあるというところを知らしめてほしいですね。3位はクビアトとライコネンの中堅と超ベテランの2人が入ってきました。ライコネンに明日はありますが、残念ながらクビアトに明日は無くなってしまいました。
フェルスタッペンって、成績やインパクトのある走りをするので存在感は抜群にあるのですが、この周回数に関していうといつも下位にいる気がします。歳やキャリアを重ね、かなり賢く強みのある走りができるまで成長して今があるものの、何かに巻き込まれたり何かが根をあげたりとマシンがついてきていないというか、まだまだチャンピオンの貫禄や運は持ち合わせていないというか、、。彼に安定感や信頼性を与えたら、かなりのバケモノが誕生するんだろうな、という期待を年々楽しみにしています。
これ、あまり言いたくないのですが、今回ハミルトンは第16戦の欠場のため総周回数のくくりで順位を落としたわけですが、それを無しとして参戦7戦分で計算すると、周回数は412周になります。ハミルトンも412周しています。ということは出たレースの消化率は紛れも無く100%。でもでも、miyabikunは意地悪なので、断固499周で計算しています(笑)休んでも出ても、やっぱりキングはキング。

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続いてコンストラクター単位の周回数です。相変わらずアルファロメオは走りますね。あとちょっと速ければ、中団はさらなる混戦模様を演出してくれるのですが。もったいないですね。3位のアルファタウリは前半9戦と比べて安定した上位入賞を確保するようになりました。フェラーリも同様にダメダメな中で「ドライバーの」努力と忍耐で距離を伸ばせました。逆にレーシングポイントがいい時と悪い時の差が大きく、レッドブルに続く3位を逃す形となりました。この借りはアストンマーチンとなって晴らすか?!

《ファステストラップ獲得者》
 第10戦 ボッタス    (メルセデス・M) 51/53周
 第11戦 フェルスタッペン(メルセデス・M) 60/60周
 第12戦 ハミルトン   (メルセデス・M) 63/66周
 第13戦 ハミルトン   (メルセデス・M) 63/63周
 第14戦 ノリス     (マクラーレン・R)58/58周
 第15戦 フェルスタッペン(レッドブル・H) 48/57周
 第16戦 ラッセル    (メルセデス・M) 80/87周
 最終戦 リカルド    (ルノー・R)   55/55周

入賞した場合に1ポイントのボーナスが付与されることとなったファステストラップです。ハミルトンとフェルスタッペンが2回。ボッタス、ノリス、ラッセル、リカルドの4人が1回ずつの獲得となっています。
この中で印象に残っているのは第16戦サクヒールGPで獲得したラッセルです。レースの詳細は今回割愛(過去の決勝観戦記をご覧下さい)しますが、ファステストラップを記録した80周目はどうにか順位を一つでも戻そうとしたソフトタイヤでのラップです。いつも通りにやれていれば、ファステストラップポイントよりも大きなポイントを得られたのにね。誰もがうらやむメルセデスのシートを得られたのはチームのおかげ、ただそのチャンスを踏みにじる形となったのもまたチームのおかげ(せい)でしたね。チャンスはそう簡単には舞い込んでこない。チャンスをモノにできるかできないかは己の努力「だけ」とも限らない。

《決勝チーム内対決》
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決勝のチーム内バトルの結果です。代走は連名で表示、集計し、細分はしていません。ごめんなさい。後半は8戦なので4勝4勝がイーブン、また決勝は「共にリタイヤは引き分け」があり得ますが、今回はうまいこと勝敗が分かれました。
差が大きい順でみていくと、7勝1勝のレーシングポイント1チーム。6勝2勝がフェラーリ、レッドブル、ルノー、ハースの4チーム。5勝3勝はメルセデス、マクラーレン、アルファロメオ、ウィリアムズの4チームで、アルファタウリのみが4勝ずつのイーブンでした。チーム内のパワーバランスを考えるとそれぞれの勝敗が何処となく想像できますよね。細かくみていくと、レーシングポイントは最終戦アブダビGPでペレスのリタイヤが唯一の黒星となり、ストロールに勝ちを与えました。メルセデスはハミルトン&ラッセルが5勝でボッタスが3勝という内訳ですが、ボッタスの3勝は「ハミルトンから2勝、代理ラッセルから1勝」から成り立っています。ラッセルに勝った第16戦サクヒールGPはメルセデスにとって悪夢といえる「しっちゃかめっちゃか回」でした。もし手堅いレース運びができていたら、ボッタスはもう一つ勝ち星を失っていた可能性もあります。そのくらい、ボッタスは今シーズン勝負に弱かった。。

《ポイントランキング》
F1はコレを獲るためにある。ポイントランキングです。まずはドライバーズのトップ3。
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前半戦を終わった時点の順位のまま、交わること無くシーズンが終了しました。2020年もハミルトンの年。さすがに倍半分とまではいきませんが、ハミルトンが前半で獲得した205ポイントに対し、ボッタスとフェルスタッペンの2人が最終戦終了時点でようやく近付き上回った感じです。ハミルトン強過ぎですねーつまらないですねー、さっさと次のグループにいっちゃいましょう。
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次はランキング4位から12位まで一気にみていきます。特に4位ペレスから9位ノリスまでのバトルが濃厚でしたね。後半戦で確実に上位を獲ってきたリカルドを捉えて上回ったのはサクヒールGPで初優勝を飾ったペレスでした。シートが喪失することになって特に強みを増し、マクラーレンやリカルドを一人で立ち向かっていった姿は立派でした。頑張ったらまた日が当たるかもしれない、それを信じてシーズン後半戦に挑んでいたのが走りからひしひしと伝わりました。IMG_7772
こちらは残念ながら下位に相当するグループです。ベッテルがいます。今シーズンでシートを追われることになったドライバー達に紛れている。信じられません。チームメイトのルクレールからは大きく離れ、傍からみて闘争心が感じられず、既に悟りを開いたかのような落ち着きしか見えませんでした。ランキング争いをしたクビアトとの差は「チャンピオン経験者である」という点でしょうか。その過去のブランド力を活かし、来シーズンも何とかF1をドライブできます。新天地でもう一花咲かせられるかがベッテルに課された任務です。長く続けるライコネンや来シーズンからは再びアロンソも復帰してきますので、ベテランの意地を見せてほしいものですね。

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最後はコンストラクターズランキンググラフです。ポイントを獲得した9チームを一気に並べてみました。差が大き過ぎて、何も見えてきません(笑)というわけで、後半8戦を盛り上げてくれた3位から7位の5チームをクローズアップ!
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特にアツかったのはドライバーズと同様にマクラーレン、レーシングポイント、ルノーの3チームでした。前半戦は頭一つ抜け出してそのまま逃げ切りかなと思われたマクラーレンでしたが、ドライバー2人は確実にポイントを積み重ねるも派手さはありませんでした。一方でペレスの初優勝を後ろ盾に終盤でランキング争いを制すると思われたレーシングポイントはノーポイントが響き、結果的にはマクラーレンに逆転される形となりました。マクラーレンの強みは「2人でポイント獲得できた」ことに尽きます。レーシングポイントもルノーもエースが牽引してもセカンドドライバーの成績が実に低調でした。F1はドライバーの活躍が目立ちがちですが、チームプレイを競う面もあるため、両ドライバーが機能しないとこの争いができません。それにしても、フェラーリのラスト3戦はグラフにするとよりエグいですね(笑)


ポイントランキングについてはシーズンの合算でみたため、後半8戦のピックアップになっていませんね(笑)まあ細かいことはいいにして、ひとまず予選、決勝とも各ジャンルを前半9戦と同じ基準でまとめてみました。ヤバいな、残り数日で2020年の総括する時間があるのだろうか、、。焦ってきました。
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2020年も残り十数日となりました。例年であればシーズンが無事に閉幕を迎え、12月にゆったりとやってきた「まとめ」ですが、今年は本当に忙しいタイミングとなってきました。もうこの時期だし、シーズンを一気にまとめてしまおうか、とも考えましたが、前半戦も区切ってしまったし、あとで見返すときのために分けてやった方がいいだろうと判断して「シーズン後半戦」の予選編をまとめてみておこうと思いました。月並みな内容ではありますが、頑張ってまとめましたのでお付き合い頂ければ幸いです。

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《ポールポジション獲得者》
 第10戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第11戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 第12戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第13戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 第14戦 ストロール   (レーシングポイント・M)
 第15戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第16戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 最終戦 フェルスタッペン(レッドブル・H)

まずは前半戦9戦でも行ったポールシッター後半戦8戦分です。前半は思い出すまでもなくメルセデスの無双状態で9戦中ハミルトンが7回、ボッタス2回とほぼ「戦闘力に見合った」ような感じで進行していました。通常であれば前半戦と後半戦の間に夏休みが入って、そこで勢力図の入れ替わりがあったり無かったりするわけですが、今シーズンはその夏休みもなく前半戦の流れを汲んだまま第13戦エミリア・ロマーニャGPまで続きました。今シーズンはこんな状態でチャンピオンも早々にみえているメルセデスが全予選を制してしまうのかなと諦めた矢先、久々トルコでまさかのレーシングポイント、それもペレスでなくストロールが初ポールを大差でかっさらってしまうのには驚きましたよね。第14戦トルコGPについては、以下もちょこちょこ話題となる大荒れGPの一つでした。荒れレースであっても、それを絶好のチャンスとしてもぎ取ったのは大きかったです。またまだ記憶に新しい最終戦アブダビGPでは2番手チームのフェルスタッペンが僅差でメルセデスを撃破し、遅ればせながらのポールポジションを獲得しました。年間のシーズン振り返りはまた別の機会でみていく予定としていますが、結局2020年はドライバー4人、3チーム、パワーユニットはメルセデスとホンダの2メーカーに止まり、フェラーリやルノー系からポールポジションはありませんでした。

《予選最速タイムと各チームの差》
今回も後半戦8戦のポールポジションを基点としたチーム最速予選タイムをグラフ化しました。
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トルコGPがどえらいことになっていますね。当時もお話ししましたが、トルコGPが行われたイスタンブールパークサーキットは久し振りの開催で初めて走るドライバーが多かった、以上に開催に先立ち行われたトラックの再舗装、さらに雨によって浮き上がった油と幾多の大波乱要素が合わさって行われました。そこで意外にも最強メルセデスが低迷し(決勝レースは優勝)そんな中レーシングポイントとレッドブルが健闘しました。ライバルからしたらポールポジション(優勝)を獲得できる今シーズン最大のチャンスでした。
グラフをぼんやり見てみると、大なり小なりあるものの各チーム似たような波形となっています。特異なのはトルコGPで圧倒的な適応力でポールポジションを獲得したレーシングポイント。あとサーキット様々な特性がある中でトップとのタイム差が上下せず、0.2〜0.5秒の範囲内におさめてきているのも面白いです。メルセデスですら苦戦したトルコにおいても、一人平然とそのタイム差を貫いています。メルセデスがせっかくペースダウンしたんだから、チャンスだったんですけどね(笑)律儀にトップのレーシングポイントとのギャップを保ちました。
これまでに様々な番狂わせを生んだ問題児のトルコGPを仮に外したグラフを作ってみました。
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イモラでのエミリア・ロマーニャGPとバーレーンGPが意外にも違和感無く繋がっているようにみえます。トルコGPに諸問題が無く、フルアタックできていた場合はどんな予選ギャップになったのか、想像すると面白いかもしれません。開催前は「ターン8」だの「ティルケの最高傑作」だの沢山言っていたものの、実際のところそれら持ち味を活かし切れない予選と決勝に終わってしまいました。来シーズンのF1カレンダーにはトルコGPは入っていませんが、もし入ったら、そしてドライ環境ならどうなるのかみてみたいですね。

1分切りのラップとなったバーレーン国際サーキットのアウタートラックと他のサーキットのタイム差と横並びにするのはおかしい!ということで、前半戦でも作図した「タイム差でなく割合」に換算してグラフを描くとこうなります。
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こうすることでギュッと圧縮されたライバルとの位置関係が間引きとなり、他サーキットと同じ指標で比較できます。同一サーキット、異レイアウトのバーレーン2連戦はそのままタイム差が比例するのかと思いきや、まあまあ近しいものの単純に比例しているわけではありませんでした。中でも面白いなと思ったのは、元気の無かったフェラーリ系3チームがバーレーンGP(GPトラック)よりもサクヒールGP(アウタートラック)でライバル(特にメルセデスやウィリアムズ)と比べて向上がみられます。バーレーン国際サーキットはストレートと鋭角コーナーからなる典型的なストップアンドゴーで、鋭角コーナーへの的確な進入角、コーナー直後での立ち上がりのスムーズな加速が要求されるサーキットです(予選編なので燃費は度外視)同じサーキットでもそれらが少ないレイアウトの方が彼らにとってはよかったのかもしれません。

《予選平均順位》
ドライバーの後半8戦の平均予選順位となります。後半戦はストロールの代走をしたヒュルケンベルグ、グロージャンの代走をしたフィッティパルディ 、ハミルトンの代走ラッセルのさらに代走となったエイトケンも載せたため、総勢23人になりました。それらスポットドライバーは斜線2色で区別してあります。
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三強はハミルトンを先頭に横一列、2番手台に並んでいます。あれだけ数多くフロントロウに鎮座し、2人よりも頭一つ出たハミルトンもトルコGPの6番手によって平均値を下げてしまいました。同様にボッタスはそのトルコで9番手に沈み、3番手を守り抜いたフェルスタッペンに結果として食われる形となっています。
レッドブルのもう一角でアルボンはフェルスタッペンからかなり離されましたね。後半戦8戦の平均順位は上から四番目ではありますが、平気順位としてはフェルスタッペンから4位離されています。アルボンとフェルスタッペンとの間には大抵マクラーレン2人やルノーのリカルド、レーシングポイントのペレスに止まらず、アルファタウリのガスリーやフェラーリのルクレールなどがライバルになりがちでした。レッドブルは優勝はできても、コンストラクターランキングのトップに近付けない理由の一つでもあります。そしてこのレッドブル勢の上をいくチームメイト格差になっているのがフェラーリです。ルクレールが8.13位に対して、ベッテルは13位ちょうど。差にして4.87位にもなります。同じマシンに乗り、方や才能アリとはいえF1参戦数年数勝のドライバー、方や歴代3位4回のチャンピオンを経験するドライバーがこの差ですから、単にマシンがよくない、合っていないでは説明つきません。ベッテルは来シーズンどうにか運よく中堅チームの移籍先があるのが救いですが、並のチャンピオンでこれをしでかしたら「終焉」の一言で片付けられる内容です。母国メルセデスのエンジンを積んだ新生アストンマーチンでの再起を願うばかりです。
中団で平均10.29位に位置するストロールあたりまでがQ3進出を戦ったクラス。15.25位のジョビナッツィあたりがQ1突破クラスになります。Q1突破も板についてきたウィリアムズのラッセルは13.75位にいるものの、第16戦サクヒールGPの「大抜擢」による2番手を含んでいるため、ウィリアムズ単体となると順位は15.43位まで落ち込んでしまいます。それでもジョビナッツィとライコネンのアルファロメオに割って入る形になり、Q1突破クラスと言っていい走りでした。

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続いてコンストラクター単位でみていきます。サクヒールGPなメルセデスから出走したラッセルの成績は「メルセデス」の方に入っています。ドライバー2人が2番手台、スポットのラッセルも2番手でしたので、平均は2.44位となります。ラッセルがメルセデスの予選成績を下げるような結果にはなりませんでした。2番手チームのレッドブルはフェルスタッペン個人が2.50番手だったのに対し、アルボンが6.50番手だったため、間をとる4.50番手と評価されてしまいました。
熾烈な中団争いは後半戦に速さをみせたルノーのリカルドの活躍もあって、前半で先行されたレーシングポイントとマクラーレンを上回る8.06番手に浮上し、逆に後半戦が2人揃っておとなしめであったマクラーレンが9.19番手まで落としています。チャンピオン争いにはだいぶ遠いこれら3チームですが、ライバルとしのぎを削る白熱さはトップより楽しめました。近年のF1、特に今シーズン組み込まれた各サーキットは追い抜きに手を焼くサーキットが多かったため、この予選順位がポイントランキングにも波及してきます。本来はチャンピオン争いでこのような至近戦が繰り広げられると、なおいいですね。
フェラーリはルクレールの健闘も虚しく、アルファタウリに僅差で負けた10.56番手。そしてシーズン後半戦のビリチームはハースとウィリアムズが仲良く17.44番手で並びました。ハースもウィリアムズもスポット参戦者が混じっていたわけですが、ラッセルの代走を担ったエイトケンは18番手でしたので、ビリではありませんでした。頑張りましたね!

《予選チーム内対決》
予選編の最後は予選順位でチーム内の白黒を判定する「チーム内バトル」です。いつものことながら、予選はリタイヤが無く順位がカッキリ決まるため引き分けはありません。ただ後半は第10戦から最終第17戦を対象としており8戦分で戦わせますので、勝敗の引き分けはあります。IMG_7738メルセデスはハミルトン&ラッセルが4勝、ボッタスは単体で4勝のためイーブンです。レッドブルはフェルスタッペン8勝でアルボンは完敗。シーズン通しは以降改めてやる予定ですが、先に言ってしまうとシーズン全17戦でフェルスタッペンに一度も勝てませんでした。まあまあ、F1は予選成績が全てではありませんし、決勝レースで追い抜ければぶっちゃけた話何位でもいいんです。レースはアグレッシブな走りをみせてくれるし、元気があってよかったのですが、チームからは烙印を押された形になりましたね。ほか、偏りの大きい7勝1敗だったのがルノーのリカルドVSオコン。ウィリアムズのラッセル&エイトケンVSラティフィですね。フォローしておくと、ラッセルの1敗はエイトケンによるもので、シーズンを通してみればラッセルはラティフィ「には」負けていません。6勝2敗組のフェラーリは先述の通りとして、アルファタウリの方も少なからず去就に影響のある勝敗となりました。尻に火がつき始めた終盤でクビアトも健闘しましたが、時既に遅し。個人的に期待していたドライバーの一人だけに、シート喪失は残念です。まだ若いし復帰の経験もある苦労人ではありますが、次はさすがに厳しいだろうな。

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2020年も残り少なく、年内に終えられるかどうか怪しくなってきましたが、何とか年内のことは年内に、という心構えで次も頑張ります。

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