2016年の第14戦終了時点でF1は今まで104人の優勝者と32人のチャンピオンを生み出しました。勝ち方は当然様々で、ぶっちぎりの逃げ切り優勝もあれば後方からの逆転優勝、トップのリタイヤによるもらい優勝など、多岐にわたります。
先日まとめた「全優勝者と予選順位」のデータを使って優勝までのドライバー毎の傾向がみれるのではないか?と思い、ある試算をしてまとめてみました。どう試算したかというと、予選順位から優勝した順位、例えば「予選3番手から優勝した場合=2」として予選順位から何位アップしたかを割り出して、各ドライバーの優勝回数で割れば「1優勝あたり何位アップしたか」が単純に数字で表れます。
スポーツを単純に数字でのみ評価するなんてナンセンス!と思われてしまいそうですが、誰も調べたことないであろうナンセンスを敢えてやってみました(笑)

試算するにあたって、優勝回数1回といったサンプル数(優勝回数)が少ないドライバーの場合、傾向に偏りが出てしまうため、全104人のうち対象は5勝以上したことのある50人としました。その試算した「アップ率」で2グループに分けてランキングしました。


データは2016年の第14戦終了時点
(  )は逆順位
★はチャンピオン、○は現役ドライバー

《優勝回数 > 予選順位アップ数》
  1位(50位)F・マッサ ○
     優勝:11 アップ数:3     アップ率:0.273
  2位(49位)S・ベッテル ★○
     優勝:41 アップ数:15   アップ率:0.366

  4位(47位)J・ハント ★
     優勝:10 アップ数:4     アップ率:0.400

  6位(45位)N・ロズベルグ ○
     優勝:21 アップ数:10   アップ率:0.476
  7位(44位)A・セナ ★
     優勝:41 アップ数:22   アップ率:0.537
  8位(43位)J・ヴィルヌーブ ★
     優勝:11 アップ数:7     アップ率:0.636
  9位(42位)L・ハミルトン ★○
     優勝:50 アップ数:33   アップ率:0.660
10位(41位)M・ウェバー
     優勝:9   アップ数:6     アップ率:0.667

12位(39位)M・ハッキネン ★
     優勝:20 アップ数:16   アップ率:0.800

14位(37位)D・ヒル ★
     優勝:22 アップ数:20   アップ率:0.909

絞り込んだ優勝5回以上の50人のうち「優勝回数が順位アップ数より多いタイプ」に分類されるのは14人でした。その中の現役や近年のドライバー10人をピックアップしたランキングになります。
これらドライバーの特徴は
   ・ポールポジションが優勝より多い
   ・ポールトゥウィンが多い
などの結果により、予選順位から優勝まで大幅な順位アップしていない(アップ率が低い)グループです。いわゆる決勝「逃げ切り型」です。ポールトゥウィンした場合のアップ率は0.000となります。ちなみに、ポールトゥウィン回数上位は1位がM・シューマッハの40回、2位はセナ29回、3位はハミルトンとベッテルが並んで28回ずつとなっています。
今シーズンまで現役のマッサがアップ率最小の栄えある歴代1位です。2位にはレッドブルでチャンピオン4連覇のベッテル、今シーズンのチャンピオン争いの渦中にいるハミルトンやN・ロズベルグ、ミスターポールポジションのセナなどがランクインしています。一昔前のハッキネンやJ・ヴィルヌーブもこのグループに該当します。ファンとしては清々しい勝ち方。アンチから見たら途中で観戦を止めてしまうかもしれないつまらない勝ち方かもしれません。


《優勝回数 < 予選順位アップ数》
30位(21位)A・プロスト ★
     優勝:51 アップ数:93   アップ率:1.824
31位(20位)F・アロンソ ★○
     優勝:32 アップ数:67   アップ率:2.094

33位(17位)G・ヴィルヌーブ
     優勝:6   アップ数:13   アップ率:2.167

35位(16位)N・ラウダ ★
     優勝:25 アップ数:55   アップ率:2.200

39位(12位)R・バリチェロ
     優勝:11 アップ数:28   アップ率:2.545
40位(11位)N・ピケ ★
     優勝:23 アップ数:67   アップ率:2.913
41位(10位)D・クルサード
     優勝:13 アップ数:38   アップ率:2.923

43位(8位)  K・ライコネン ★○
     優勝:20 アップ数:62   アップ率:3.100

49位(2位)  K・ロズベルグ ★
     優勝:5   アップ数:24   アップ率:4.800
50位(1位)  J・ワトソン
     優勝:5   アップ数:53   アップ率:10.60

逆に優勝5回以上の50人のうち「優勝回数より順位アップ数が多いタイプ」に分類されるのは36人でした。その中の現役や近年のドライバー代表の10人です。
これらドライバーの特徴は
   ・ポールポジションより優勝が多い
   ・下位スタートからの優勝が多い
ため、予選順位から優勝まで多く順位アップした(アップ率が高い)グループで、決勝「追い上げ型」といえます。
順位は(  )内で見た方がわかりやすいです。最大アップ率1位は先日「下位スタートからの優勝者」で1位となったワトソンが「ポールポジションって、何?」と言わんばかりのぶっちぎりです。2位にはK・ロズベルグ、現役で最多アップ率となるライコネンが8位、17位にロズベルグと同様に父親のG・ヴィルヌーブ、現役で2位のアロンソが歴代20位となっています。土曜はガッカリ、日曜は手に汗握る観戦になったかもしれません。
ロズベルグ、ヴィルヌーブの息子達は逃げ切り型、父親達は後方追い上げ型に分類できます。時代なのかドライビングスタイルなのか、はたまたマシンの特性かたまたまか、面白い対比です。G・ヴィルヌーブが「無冠の熱血ファイター」として今だに人気を博している理由の一つでしょう。


ざっと結果を眺めると、はじめのグループ「逃げ切り型」に現役ドライバーが4人、後のグループ「追い上げ型」に現役ドライバーが2人となっています。逃げ切り型に比較的近年のドライバーが多く入っていることからも、最近はポールポジションや上位スタートから優勝するケースが多いことが感覚的にわかります。それが「予選順位で優勝が決まる」「スタート勝負」「レース中のパッシングが減った」「マシン差でシーズンの独走が目立つ」などを印象付け、結果「F1がつまらなくなった」となってしまっているのかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか?乱暴に整理したデータの割には意外と各ドライバーの印象通りの結果にまとまっていると思いませんか?単に勝利数を多い順に並べるのではなく、予選からのジャンプアップを絡めてみても面白いなと思いました。数字だけで評価し、均してしまっていますので個々のドラマチックな勝利や特異なケースは踏まえられませんが、歴代ドライバーのざっくりとした「得意な勝ち方」を見るにはよかったかなと思っています。
あれ、あの人は?!ファンの方、ご安心ください。上記に挙げていない人気ドライバーもオマケで載せますので参考まで。

《オマケ》
16位(35位)  N・マンセル ★
     優勝:31 アップ数:34   アップ率:1.097
18位(33位)  M・シューマッハ ★
     優勝:91 アップ数:104 アップ率:1.143
29位(22位)  J・バトン ★○
     優勝:15 アップ数:25   アップ率:1.667

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