F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

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昨年より70年の節目としてドライバーズチャンピオンのあれこれをまとめてきました。その続きとして今回は有終の美かおこぼれか「チャンピオン決定の瞬間」をクローズアップします。

《チャンピオンを決定したレースの結果》
 50 J・ファリーナ            第7戦 予選3位 決勝優勝
 51 J・M・ファンジオ ① 第8戦 予選2位 決勝優勝
 52 A・アスカリ ①          第6戦 予選PP 決勝優勝
 53 A・アスカリ ②          第7戦 予選PP 決勝8位
 54 J・M・ファンジオ ② 第7戦 予選2位 決勝優勝
 55 J・M・ファンジオ ③ 第6戦 予選2位 決勝2位
 56 J・M・ファンジオ ④ 第8戦 予選PP 決勝2位
 57 J・M・ファンジオ ⑤ 第6戦 予選PP 決勝優勝
 58 M・ホーソーン          第11戦 予選PP 決勝2位
 59 J・ブラバム ①          第9戦 予選2位 決勝4位
 60 J・ブラバム ②          第9戦 予選決勝とも不出走
 61 P・ヒル                      第7戦 予選4位 決勝優勝
 62 G・ヒル ①                第9戦 予選2位 決勝優勝
 63 J・クラーク ①          第7戦 予選3位 決勝優勝
 64 J・サーティース       第10戦 予選4位 決勝2位
 65 J・クラーク ②          第7戦 予選PP 決勝優勝
 66 J・ブラバム ③          第7戦 予選6位 決勝R
 67 D・ハルム                 第11戦 予選6位 決勝3位
 68 G・ヒル ②                第12戦 予選3位 決勝優勝
 69 J・スチュワート ①  第8戦 予選3位 決勝優勝
 70 J・リント                 第12戦 予選決勝とも不出走
 71 J・スチュワート ②   第8戦 予選2位 決勝R
 72 E・フィッティパルディ①第10戦 予選6位 決勝優勝
 73 J・スチュワート ③ 第13戦 予選6位 決勝4位
 74 E・フィッティパルディ②第15戦 予選8位 決勝4位
 75 N・ラウダ ①           第13戦 予選PP 決勝3位
 76 J・ハント                第16戦 予選2位 決勝3位
 77 N・ラウダ ②           第15戦 予選7位 決勝4位
 78 M・アンドレッティ 第14戦 予選PP 決勝6位
 79 J・シェクター         第13戦 予選3位 決勝優勝
 80 A・ジョーンズ        第13戦 予選2位 決勝優勝
 81 N・ピケ ①               第15戦 予選4位 決勝5位
 82 K・ロズベルグ         第16戦 予選6位 決勝5位
 83 N・ピケ ②               第15戦 予選2位 決勝3位
 84 N・ラウダ ③           第16戦 予選11位 決勝2位
 85 A・プロスト ①        第14戦 予選6位 決勝4位
 86 A・プロスト ②     第16戦 予選4位 決勝優勝
 87 N・ピケ ③               第15戦 予選5位 決勝15位
 88 A・セナ ①               第15戦 予選PP 決勝優勝
 89 A・プロスト ③        第15戦 予選2位 決勝R
 90 A・セナ ②               第15戦 予選PP 決勝R
 91 A・セナ ③                第15戦 予選2位 決勝2位
 92 N・マンセル             第11戦 予選2位 決勝2位
 93 A・プロスト ④        第14戦 予選2位 決勝2位
 94 M・シューマッハ ① 第16戦 予選2位 決勝R
 95 M・シューマッハ ② 第15戦 予選3位 決勝優勝
 96 D・ヒル                    第16戦 予選2位 決勝優勝
 97 J・ヴィルヌーブ       第17戦 予選PP 決勝3位
 98 M・ハッキネン ①    第16戦 予選2位 決勝優勝
 99 M・ハッキネン ②    第16戦 予選2位 決勝優勝
 00 M・シューマッハ ③ 第16戦 予選PP 決勝優勝
 01 M・シューマッハ ④ 第13戦 予選PP 決勝優勝
 02 M・シューマッハ ⑤ 第11戦 予選2位 決勝優勝
 03 M・シューマッハ ⑥ 第16戦 予選14位 決勝8位
 04 M・シューマッハ ⑦ 第14戦 予選2位 決勝2位
 05 F・アロンソ ①         第17戦 予選PP 決勝3位
 06 F・アロンソ ②         第18戦 予選4位 決勝2位
 07 K・ライコネン          第17戦 予選3位 決勝優勝
 08 L・ハミルトン ①     第18戦 予選4位 決勝5位
 09 J・バトン                 第16戦 予選14位 決勝5位
 10 S・ベッテル ①         第19戦 予選PP 決勝優勝
 11 S・ベッテル ②          第15戦 予選PP 決勝3位
 12 S・ベッテル ③         第20戦 予選4位 決勝6位
 13 S・ベッテル ④         第16戦 予選PP 決勝優勝
 14 L・ハミルトン ②      第19戦 予選2位 決勝優勝
 15 L・ハミルトン ③      第16戦 予選2位 決勝優勝
 16 N・ロズベルグ          第21戦 予選2位 決勝2位
 17 L・ハミルトン ④      第18戦 予選3位 決勝9位
 18 L・ハミルトン ⑤      第19戦 予選3位 決勝4位
 19 L・ハミルトン ⑥      第19戦 予選5位 決勝2位

まずチャンピオンを決めたレースの予選を整理します。
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   P.P.:17人(24.3%)
   2位:22人(31.4%)
   3位:9人  (12.9%)
   4位:7人  (10.0%)
   5位:2人  (2.9%)
   6位:6人  (8.6%)
   7位:1人   (1.4%)
   8位:1人   (1.4%)
  11位:1人   (1.4%)
  14位:2人  (2.9%)
 未出走:2人  (2.9%)
  合計:延べ70人(100%)

チャンピオン獲得に向けて気合い十分な予選への取り組みです。内訳をみていくと、意外にもポールポジションスタートより2位が最多で3割強にあたる22人いました。この数字だけでは当時のチャンピオン争いの状況やその時の心情は定かではありませんが、そのシーズン、そのレースにおいてもチャンピオン獲得に有利な立場にあって、フロントロウを獲得できたことが想像できます。時代によって異なるもののフロントロウ(現在は予選1位と2位)に位置したのは39人で55.7%を占めます。現在でいうセカンドロウ、3位4位は16人。サードロウが8人と徐々に数は減り、それより後方はむしろレアケースの順位と人数になります。
7位だったのは77年にチャンピオンを獲得したフェラーリ所属のラウダです。前年76年のドイツGPで瀕死の火傷を負ったラウダは、懸命なリハビリと復帰への執念で77年シーズンは南アフリカ、因縁のドイツ、オランダで3勝を挙げて完全復活をみせます。第15戦のワトキンスグレンでのアメリカ東GPで前年チャンピオンのハントのポールトゥウィンを横目に、7位スタートからも4位入賞を果たしてしっかりとポイントをゲット。ランキング2位に浮上したウルフのシェクターを大きく引き離したままチャンピオンを獲得しました。エンツォ・フェラーリとの確執もあり、翌年はブラバムに移籍を決めていたラウダはメカニックの不当解雇に激怒し、このレースを最後に参戦をボイコットしています。
予選11位からチャンピオンを決めたのもラウダの3回目でした。航空会社経営を経て再び(三度)F1の舞台に姿を現したラウダはマクラーレンの若手プロストとの一騎打ちとなりました。チャンピオンを決めた最終戦ポルトガルGPまでにラウダ5勝、プロストは6勝を挙げています。このポルトガルGPでプロストはブラバムのピケに続く予選2位を獲得し、ラウダは11位に沈んだため「プロストの初戴冠」が予想されました。ところが決勝で一つ順位を上げて優勝したプロストに対して、ラウダはプロストに次ぐ2位に浮上。結果的にF1史上最小の0.5ポイントの差でラウダが上回っての獲得となりました。シーズン最多の7勝を挙げたプロストの敗因と誤算は「第6戦モナコGPの雨によるハーフポイントレース」と「シーズン後半でも止むことがなかったリタイヤ」でした。モナコGPの切り上げはトップを走るプロスト自らの志願です。またこの年のマクラーレンは「優勝かリタイヤか」という極端な戦績でした。後半戦でプロストがリタイヤしたレースでラウダは優勝や2位を続け、確実にポイントを獲得しています。大事なのは予選順位や優勝の数だけではない、年間の安定した上位フィニッシュとポイント獲得である、プロストは「ただ勝ちゃいいわけでもない」ということを目の前で教わったはずです。
予選14位は03年のM・シューマッハと09年のバトンで、いずれも「多くのポイントを積み重ね、自身の順位よりもランキング2位が届かなければチャンピオン」というシチュエーションです。予選が何位だろうと関係ありません。楽勝でした。ほか「予選不出走」が2人いますが、これについては以下で書きたいと思います。

続いて決勝順位の内訳です。
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  優勝:28人(40.0%)
   2位:12人 (17.1%)
   3位:  7人(10.0%)
   4位:  6人(8.6%)
   5位:  4人(5.7%)
   6位:  2人(2.9%)
   8位:  2人(2.9%)
   9位:  1人(1.4%)
  15位:  1人(1.4%)
 未出走:  2人(2.9%)
リタイヤ:  5人(7.1%)
  合計:延べ70人(100%)

円グラフの色分けは予選と一部揃っていませんのでご注意を。28人の「優勝で決定」が最多となりました。やっぱり優勝して自らの手でチャンピオンを掴み取るのが一番カッコいいですね。予選同様に上位フィニッシュが多く、表彰台圏内3位までは47人と67.1%を占めます。リタイヤが5人いますが、ランキング2位が届かない領域となったために決定しています。ファンとしてはちょっと見応えのない幕切れです。この手で有名なのは89年、90年の鈴鹿を舞台とした日本GPでしたね。いずれも対象はプロストとセナ、いわゆる「セナプロ」と呼ばれたやつです。89年はマクラーレン同士挑んだ決勝46周目のカシオトライアングルでの接触によるセナの失格でプロストに軍配。プロストがフェラーリに移籍した90年は1周目のスタート直後の第1コーナーでセナがインを譲らず接触して両者リタイヤの末にセナがチャンピオンを獲得しています。日本のみならず全世界が見守るチャンピオン決定をあのような形でダメ押しするのは決して喜ばしいことではありませんね。
決勝15位でチャンピオンを決めたのは87年のピケで、こちらも鈴鹿での出来事でした。チャンピオン争いは残り2戦の時点でウィリアムズのピケとマンセル絞られ、マンセルは後がない状態で鈴鹿入りしました。しかし金曜のフリー走行でS字コーナーでクラッシュしドクターストップがかかったため、予選走行を前にピケの3回目チャンピオンが決定してしまうという結末を迎えました。それではピケも予選、決勝とも力が入りませんよね。予選は5位、決勝は入賞圏外15位となりました。
決勝不出走も予選と同様の2人となっています。予選に出ていなければ決勝もいませんよね。後ほど。

《ポールトゥウィンでチャンピオン決定》
 52 A・アスカリ ①           第6戦 予選PP 決勝優勝
 57 J・M・ファンジオ ⑤ 第6戦 予選PP 決勝優勝
 65 J・クラーク ②           第7戦 予選PP 決勝優勝
 88 A・セナ ①                 第15戦 予選PP 決勝優勝
 00 M・シューマッハ ③   第16戦 予選PP 決勝優勝
 01 M・シューマッハ ④   第13戦 予選PP 決勝優勝
 10 S・ベッテル ①           第19戦 予選PP 決勝優勝
 13 S・ベッテル ④           第16戦 予選PP 決勝優勝

決勝の優勝だけでなく、予選もポールポジションを獲得してしまう「完全無欠」状態が延べ70人の中に8例ありますので抜粋しました。面々をみればまあ納得のドライバーとシーズンですね。珍しいことに2010年代を代表する最強王者ハミルトンがいません。ポールトゥウィンのイメージが強いですよね。6回チャンピオンのハミルトンが自ら優勝でチャンピオンを決めたのは14年と15年の2回に止まります。ハミルトンは近年こそ独走状態でチャンピオンを決めることが多くなりましたが、チャンピオン獲得序盤は最終戦までもつれるシーズンもありました。ハミルトンはチャンピオンが近付くと肩の力を抜いちゃう傾向がありましたよね。それは序盤から安定したポイント獲得があるからこそなせる業です。88年のセナは鈴鹿のスタートでエンジンストールして、ズルズル後退しました。でもポールからスタートし、小雨の中ペースダウンしたプロストを抜き返して優勝。過程はどうであれ、データ上は結果的にポールトゥウィンということになります。

《チャンピオン決定の特異なケース》
 60 J・ブラバム ②         第9戦 予選決勝とも不出走
 70 J・リント                第12戦 予選決勝とも不出走

最後に特異なチャンピオン決定シーンとして先程の「不出走」の例を挙げます。
ケース1は60年のJ・ブラバムです。60年シーズンは全10戦のうち、J・ブラバムは不出走の第3戦インディアナポリスGPを除き、第4戦オランダGPから第8戦ポルトガルGPまで5連勝を挙げてシーズンを席巻していました。しかし、モンツァでの第9戦イタリアGPは過去の「観客を巻き込む多数死亡事故」によって封印されたオーバル区間の復活のため、イギリス国籍のコンストラクター(クーパー、ロータス、BRM)が参戦をボイコットしたため、クーパー所属のJ・ブラバムも出走しなかった経緯があります。ただ、チャンピオンを争っていたB・マクラーレンもクーパーで共に出走せずポイント追加が無かったため、J・ブラバムがチャンピオンを決めています。
それからちょうど10年後、70年のリントも出走せずにチャンピオンを獲得しています。この話はもう有名ですね。出走しなかったのではなく、正しくは「できなかった」んですよね。第3戦モナコGPに自身2勝目、シーズン初勝利を挙げると、第5戦オランダGPから第8戦ドイツGPまで4連勝して第10戦イタリアGPの予選を迎えます。リントはパラボリカでバランスを崩してウォールにクラッシュし死亡しました。リントの死後、カナダ、アメリカ、最終メキシコと3レースが行われ、フェラーリのイクスが2勝を挙げるも、第12戦アメリカGPの4位フィニッシュが響き、リントに5ポイント届きませんでした。当時、亡くなったドライバーをチャンピオンにすべきか議論されたようですが、そのままリントの獲得ポイントを尊重して、チャンピオンとすることに決まりました。こんな悲しいケースがあってはならないことですが、不幸中の幸いというべきか、F1における「伝説」の一つですね。

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F1は70年の歴史が積み上がって今があります。F1に対して各々の考えや思い入れがあると思います。なかなか風当たりの悪い部分も抱えつつも世相に合った形にレギュレーション変更され、これから先も「最高峰」の品格や感動を変わらず提供してくれることを切に願っています。

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ハミルトン6回目のチャンピオン決定からブラジルGPを挟んでの「チャンピオン企画」続きです。今回は「チャンピオンのシーズン勝利数」にまつわるデータをまとめてみました。

《チャンピオンの勝利数と決定レース数》
 50 J・ファリーナ            3勝   7戦目 / 全7戦
 51 J・M・ファンジオ ① 3勝   8戦目 / 全8戦
 52 A・アスカリ ①           6勝   6戦目 / 全8戦
 53 A・アスカリ ②           5勝   7戦目 / 全9戦
 54 J・M・ファンジオ ② 6勝   7戦目 / 全9戦
 55 J・M・ファンジオ ③ 4勝   6戦目 / 全7戦
 56 J・M・ファンジオ ④ 3勝   8戦目 / 全8戦
 57 J・M・ファンジオ ⑤ 4勝   6戦目 / 全8戦
 58 M・ホーソーン           1勝 11戦目 / 全11戦
 59 J・ブラバム ①           2勝   9戦目 / 全9戦
 60 J・ブラバム ②           5勝   9戦目 / 全10戦
 61 P・ヒル                      2勝   7戦目 / 全8戦
 62 G・ヒル ①                 4勝   9戦目 / 全9戦
 63 J・クラーク ①           7勝   7戦目 / 全10戦
 64 J・サーティース         2勝 10戦目 / 全10戦
 65 J・クラーク ②           6勝   7戦目 / 全10戦
 66 J・ブラバム ③           4勝   7戦目 / 全9戦
 67 D・ハルム                  2勝 11戦目 / 全11戦
 68 G・ヒル ②                 3勝 12戦目 / 全12戦
 69 J・スチュワート ①    6勝   8戦目 / 全11戦
 70 J・リント                   5勝 12戦目 / 全13戦 ※
 71 J・スチュワート ②    6勝   8戦目 / 全11戦
 72 E・フィッティパルディ① 5勝10戦目/全12戦
 73 J・スチュワート ③    5勝 13戦目 / 全15戦
 74 E・フィッティパルディ② 3勝15戦目/全15戦
 75 N・ラウダ ①              5勝 13戦目 / 全14戦
 76 J・ハント                   6勝 16戦目 / 全16戦
 77 N・ラウダ ②              3勝 15戦目 / 全17戦
 78 M・アンドレッティ    6勝 14戦目 / 全16戦
 79 J・シェクター            3勝 13戦目 / 全15戦
 80 A・ジョーンズ            5勝 13戦目 / 全14戦
 81 N・ピケ ①                  3勝 15戦目 / 全15戦
 82 K・ロズベルグ            1勝 16戦目 / 全16戦
 83 N・ピケ ②                  3勝 15戦目 / 全15戦
 84 N・ラウダ ③              5勝 16戦目 / 全16戦
 85 A・プロスト ①           5勝 14戦目 / 全16戦
 86 A・プロスト ②           4勝 16戦目 / 全16戦
 87 N・ピケ ③                  3勝 15戦目 / 全16戦
 88 A・セナ ①                  8勝 15戦目 / 全16戦
 89 A・プロスト ③           4勝 15戦目 / 全16戦
 90 A・セナ ②                  6勝 15戦目 / 全16戦
 91 A・セナ ③                  7勝 15戦目 / 全16戦
 92 N・マンセル               9勝 11戦目 / 全16戦
 93 A・プロスト ④           7勝 14戦目 / 全16戦
 94 M・シューマッハ ①   8勝 16戦目 / 全16戦
 95 M・シューマッハ ②   9勝 15戦目 / 全17戦
 96 D・ヒル                      8勝 16戦目 / 全16戦
 97 J・ヴィルヌーブ         7勝 17戦目 / 全17戦
 98 M・ハッキネン ①      8勝 16戦目 / 全16戦
 99 M・ハッキネン ②      5勝 16戦目 / 全16戦
 00 M・シューマッハ ③   9勝 16戦目 / 全17戦
 01 M・シューマッハ ④   9勝 13戦目 / 全17戦
 02 M・シューマッハ ⑤ 11勝 11戦目 / 全17戦
 03 M・シューマッハ ⑥   6勝 16戦目 / 全16戦
 04 M・シューマッハ ⑦ 13勝 14戦目 / 全18戦
 05 F・アロンソ ①           7勝 17戦目 / 全19戦
 06 F・アロンソ ②           7勝 18戦目 / 全18戦
 07 K・ライコネン            6勝 17戦目 / 全17戦
 08 L・ハミルトン ①        5勝 18戦目 / 全18戦
 09 J・バトン                    6勝 16戦目 / 全17戦
 10 S・ベッテル ①           5勝 19戦目 / 全19戦
 11 S・ベッテル ②          11勝 15戦目 / 全19戦
 12 S・ベッテル ③           5勝 20戦目 / 全20戦
 13 S・ベッテル ④         13勝 16戦目 / 全19戦
 14 L・ハミルトン ②      11勝 19戦目 / 全19戦
 15 L・ハミルトン ③      10勝 16戦目 / 全19戦
 16 N・ロズベルグ            9勝 21戦目 / 全21戦
 17 L・ハミルトン ④        9勝 18戦目 / 全20戦
 18 L・ハミルトン ⑤      11勝 19戦目 / 全21戦
 19 L・ハミルトン ⑥      10勝 19戦目 / 全21戦
 ※70年のリントは第10戦までの参戦

前回と同様にF1の歴代ドライバーズチャンピオンのシーズン勝利数、チャンピオン決定までに要したレース数の一覧になります。勝利数についてはチャンピオン決定までの勝利数ではなく、あくまで「シーズン全戦の勝利数」としています。シーズンによってはこれらチャンピオンと同数の勝利を挙げた者、さらにはチャンピオンよりも多く勝ちつつもチャンピオンを逃した者もいますので、必ずしも「チャンピオン=シーズン最多勝」とはなりません。
1970年の最多勝を獲得したリントは第10戦イタリアGPの予選アタック中に最終コーナー「パラボリカ」でクラッシュにより死亡。第12戦アメリカGP終了時点でようやくチャンピオンが確定したため、自身がチャンピオンになったことを知りません。

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これからこの70年分のチャンピオンを以下の項目で細分化していきます。

《シーズン最多勝利数ベスト15》
 1 13勝 / 全18戦 M・シューマッハ(04)
    13勝 / 全19戦 S・ベッテル        (13)
 3 11勝 / 全17戦 M・シューマッハ(02)
    11勝 / 全19戦 S・ベッテル        (11)
    11勝 / 全19戦 L・ハミルトン     (14)
    11勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (18)
 7 10勝 / 全19戦 L・ハミルトン     (15)
    10勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (16)●
    10勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (19)※
  10   9勝 / 全16戦 N・マンセル       (92)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(95)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(00)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(01)
         9勝 / 全21戦 N・ロズベルグ    (16)
         9勝 / 全20戦 L・ハミルトン    (17)
 ●の16年チャンピオンはN・ロズベルグの9勝
 ※は第20戦ブラジルGP終了時点

まずは「チャンピオンのシーズン最多勝ランキング」です。ちょっと切れが悪いですが9勝を挙げた上位15人を抽出しています。ご存知の通り年間のレース数が年々増加傾向にあり、今シーズン2019年は年間最少の50年や54年といったシーズンの3倍にあたる全21戦になりました。
ドライバーをみていくと、近代のシューマッハ、ハミルトン、ベッテルが複数のノミネートをしてきます。やはりこの手のランキングは近年が有利です。最多は04年のシューマッハ、13年のベッテルによる13勝タイです。数だけでいうとこれよりも年間レース数の少ない年がいくつかありますね。ベッテルはシューマッハ引退後に台頭したドイツ出身ドライバーということもあり「次世代のM・シューマッハ」なんてもてはやされたともありました。ところがどっこい、近年は勝利数も減り、接触によるクラッシュや取りこぼしが続き「ハミルトンはいつシューマッハを超えられるか」という話題に完全に切り替わっています。ノリに乗ってちゃんとやればまだまだ速いのに、非常にもったいない流れになっていますね。
上位15年分にノミネートされた最多はハミルトンの6年、次いでシューマッハの5年です。ハミルトンは16年にチャンピオンこそチームメイトのN・ロズベルグに奪われてしまいましたが、年間勝利数は最多の10勝を挙げました。またこちらのデータは今シーズン第20戦ブラジルGP終了時であるため、最終戦アブダビGPで優勝するようなことがあれば年間11勝となり、自身最多の14年と18年のタイ記録になります。今シーズンは、、もういいでしょう、ハミルトン(笑)

《シーズン勝率》
先程書いたように、歴代のシーズンでは年間レース数にバラツキがあり、一概に勝利数だけで「シーズン支配率」は判断できません。そこで勝利数をレース数で割った「勝率」で判定してみます。今までもデータ系のネタではちょこちょこ登場してきましたね。グラフは先日の「年数、年齢編」で登場した5人のみイメージカラーを引き継ぎ表現しました。またその下に勝率上位と下位の5つをピックアップします。
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 1 75.0% A・アスカリ            6勝 / 全8戦  (52)
 2 72.2% M・シューマッハ  13勝 / 全18戦(04)
 3 70.0% J・クラーク            7勝 / 全10戦(63)
 4 68.4% S・ベッテル         13勝 / 全19戦(13)
 5 66.7% J・M・ファンジオ  6勝 / 全9戦  (54)
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  66 18.8% N・ピケ                  3勝 / 全16戦(87)
  67 18.2% D・ハルム              2勝 / 全11戦 (67)
  68 17.6% N・ラウダ              3勝 / 全17戦 (77)
  69   9.1% M・ホーソーン      1勝 / 全11戦  (58)
  70   6.3% K・ロズベルグ       1勝 / 全16戦 (82)

勝率最上位は勝ちに勝ちまくったシューマッハではなく、miyabikunも目にしていない52年のアスカリによる75.0%となりました。ファリーナやファンジオなど絶対的ベテランがいる中で8戦6勝、まさにシーズンを完全掌握した自身初戴冠、そして親チームのアルファロメオの撤退のチャンスを弟分フェラーリがモノにし、フェラーリとしても初戴冠となりました。そして50年の時を経て、シューマッハが再びフェラーリに最強時代をもたらしました。00年から04年までの5年間、中でも最終年04年は全18戦で13勝を挙げて勝率72.2%を記録し、7回目の戴冠を締めくくりました。
一方で勝率下位をみてみると、82年の全16戦のうちわずか1勝でチャンピオンを獲得したパパベルグことK・ロズベルグの6.3%が最も低い結果となりました。今ではとても想像できない数値ですよね。K・ロズベルグが弱いチャンピオンということではなく、この年は実に多くの優勝者を生み、最多勝はルノーの若手プロストが挙げた2勝でした。しかしK・ロズベルグは地味ながら着実に表彰台を獲得し、優勝は第14戦のスイスGPまで待つこととなりました。F1でいち早くターボエンジンを搭載し、速いが信頼性に乏しいルノーがもたつく間にポイントを積み重ねた「底力」がK・ロズベルグにチャンピオンもたらしたわけです。K・ロズベルグと同様にシーズン1勝でチャンピオンをなし得たのが今から60年前となる58年のホーソーンです。この年の最多勝はクーパーで4勝を挙げた「無冠の帝王」モスでした。4勝のモスがいるにも関わらず、チャンピオンが第6戦フランスGPで1勝のみのホーソーンというのも不思議ですよね。こちらも82年に似ており、最多のモスは優勝以外、2位1回で他5戦でリタイヤとなりました。しかしホーソーンは2位5回、3位1回と表彰台登壇でポイントを積み重ねていたわけです。こちらも現代のポイント制ではなかなか通用する戦術ではありませんが「優勝はできなくてもリタイヤせず表彰台(入賞)を積み重ねる大切さ」を教えてくれるいい見本となりますね。
勝率の平均値は40.7%となっています。今シーズンは全21戦で行われますので、それに倣うとシーズン8.5勝は必要であるという計算になります。

《シーズン消化率》
今回の最後はチャンピオン決定時点の「シーズン消化率」になります。シーズン中のどの時点でチャンピオンを決定させたか。消化率が高ければいわゆる「消化試合がなく、シーズンをフルに使って戦った」ということになりますし、消化率が低ければ、チャンピオン決定が早く「消化試合が多い」ということを示します。平均値はグラフに波線でも入れた90.8%でした。
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我々観戦者が最終戦までハラハラドキドキできる「シーズン消化率100%」は70年中4割ちょっとの29年でした。それを多いとみるか少ないとみるかは皆さんのお考えや「F1に期待すること」によるかと思います。近年では16年のハミロズのチーム内対決、12年はベッテルVSアロンソ、08年はハミルトンとまさかのマッサ、07年は三つ巴などが記憶に新しいと思います。消化率100%は沢山あるので割愛し、早々に決めて消化試合が多かった「消化率の低い順」5選を抽出しました。

 1 64.7% M・シューマッハ 11戦目 / 全17戦(02)
 2 68.8% N・マンセル         11戦目 / 全16戦(92)
 3 70.0% J・クラーク            7戦目 / 全10戦(63)
    70.0% J・クラーク            7戦目 / 全10戦(65)
 5 72.7% J・スチュワート     8戦目 / 全11戦(69)
    72.7% J・スチュワート     8戦目 / 全11戦(71)

消化率最下位、つまりシーズン最短でチャンピオンが決まってしまったのはまだ記憶にも新しい02年のシューマッハ&フェラーリ最強時代のど真ん中です。全17戦において第11戦フランスGPで決めてしまいました。前にも書きましたが、フランスGPの決勝は夏休み前の7/21が決勝であったことを考えると、シーズン後半戦は何を楽しみにしていいか悩んでしまいますよね(笑)ちなみに最終戦日本GPは10/13でした。まだシーズンは 3ヶ月残っています。これを考えたら、秋までは続く近年のメルセデス天下が可愛らしくみえてしまいます。
ウィリアムズのマンセルによる2位の92年も同じく第11戦ハンガリーGPでの決定でした。こちらの決勝は夏休み明け初戦の8/16でした。miyabikunは当時小学生だっため、細かな記憶は定かではありませんが、02年よりはマシだった、かな?!とはいえ、マンセルの開幕5連勝を見せつけられた時点で、この年はマクラーレンではなく、間違いなくマンセルが来るだろうなというのは幼いながらも察しは付きました。

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ひとえにドライバーズチャンオンとはいっても、70年にもなれば実に様々なシーズンとチャンピオンへの道があります。まだバックデータが控えていますので、この続きはまた次回に。

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F1制定70回目の2019年シーズンはハミルトンが3年連続6回目のチャンピオンを獲得しました。今まで色んな角度からデータ整理してF1にまつわる「あらゆる数字」を取り上げてきましたが、実は全時代を通した「チャンピオン」について取り扱ってきていませんでした。そこてハミルトンが「歴代最多」の偉業に並ぶ前、70回という節目のこの機会でチャンピオンの数字を様々な角度からみてみたいと思い、取り上げることにしました。今回はチャンピオンの「年数、年齢」に的を絞っていくつかの項目でまとめてみました。

《ドライバーズチャンピオン獲得の年数と年齢》
 50 J・ファリーナ             1年目 43歳
 51 J・M・ファンジオ ①  2年目 40歳(最年少)
 52 A・アスカリ ①            3年目 34歳(最年少)
 53 A・アスカリ ②            4年目 35歳
 54 J・M・ファンジオ ②  4年目 43歳
 55 J・M・ファンジオ ③  5年目 44歳
 56 J・M・ファンジオ ④  6年目 45歳
 57 J・M・ファンジオ ⑤  7年目 46歳
 58 M・ホーソーン            7年目 29歳(最年少)
 59 J・ブラバム ①            5年目 33歳
 60 J・ブラバム ②            6年目 34歳
 61 P・ヒル                       4年目 34歳
 62 G・ヒル ①                  5年目 33歳
 63 J・クラーク ①            4年目 27歳(最年少)
 64 J・サーティース          5年目 30歳
 65 J・クラーク ②            6年目 29歳
 66 J・ブラバム ③          12年目 40歳
 67 D・ハルム                   3年目 31歳
 68 G・ヒル ②                11年目 39歳
 69 J・スチュワート ①    5年目 30歳
 70 J・リント                   7年目 28歳
 71 J・スチュワート ②    7年目 32歳
 72 E・フィッティパルディ①3年目25歳(最年少)
 73 J・スチュワート ③    9年目 34歳
 74 E・フィッティパルディ②5年目27歳
 75 N・ラウダ ①              5年目 26歳
 76 J・ハント                   4年目 29歳
 77 N・ラウダ ②              7年目 28歳
 78 M・アンドレッティ  10年目 38歳
 79 J・シェクター            8年目 29歳
 80 A・ジョーンズ            6年目 33歳
 81 N・ピケ ①                  4年目 29歳
 82 K・ロズベルグ            5年目 33歳
 83 N・ピケ ②                  6年目 31歳
 84 N・ラウダ ③            12年目 35歳
 85 A・プロスト ①           6年目 30歳
 86 A・プロスト ②           7年目 31歳
 87 N・ピケ ③                10年目 35歳
 88 A・セナ ①                  5年目 28歳
 89 A・プロスト ③         10年目 34歳
 90 A・セナ ②                  7年目 30歳
 91 A・セナ ③                  8年目 31歳
 92 N・マンセル             13年目 39歳
 93 A・プロスト ④         13年目 38歳
 94 M・シューマッハ ①   4年目 25歳
 95 M・シューマッハ ②   5年目 26歳
 96 D・ヒル                      5年目 36歳
 97 J・ヴィルヌーブ         2年目 26歳
 98 M・ハッキネン ①      8年目 30歳
 99 M・ハッキネン ②      9年目 31歳
 00 M・シューマッハ ③ 10年目 31歳
 01 M・シューマッハ ④ 11年目 32歳
 02 M・シューマッハ ⑤ 12年目 33歳
 03 M・シューマッハ ⑥ 13年目 34歳
 04 M・シューマッハ ⑦ 14年目 35歳
 05 F・アロンソ ①           4年目 24歳(最年少)
 06 F・アロンソ ②           5年目 25歳
 07 K・ライコネン            7年目 28歳
 08 L・ハミルトン ①        2年目 23歳(最年少)
 09 J・バトン                  10年目 29歳
 10 S・ベッテル ①           4年目 23歳(最年少)
 11 S・ベッテル ②           5年目 24歳
 12 S・ベッテル ③           6年目 25歳
 13 S・ベッテル ④           7年目 26歳
 14 L・ハミルトン ②        8年目 29歳
 15 L・ハミルトン ③        9年目 30歳
 16 N・ロズベルグ           11年目 31歳
 17 L・ハミルトン ④       11年目 32歳
 18 L・ハミルトン ⑤       12年目 33歳
 19 L・ハミルトン ⑥       13年目 34歳

F1ドライバーズチャンピオン獲得者のキャリア年数、年齢、獲得回数の全てです。F1の70年歴史で初年1950年のファリーナにはじまり、先日6回目の獲得となったハミルトンまで、33人のチャンピオンを生み出しました。名前を並べれば、当時のF1を支配していたドライバーが自ずとみえてきます。ぱっと見、50年代に名を連ねるファンジオ、2000年代のシューマッハ、2010年代のベッテルとハミルトンに目がいってしまいます。それ以外の年も2年連続獲得や隔年獲得はみられるものの、それぞれ研鑽し、しのぎを削る時代もみられます。ひとえにチャンピオンといっても様々なキャリアや特徴をもっています。以下で今回は「キャリア、年齢」に照準を絞り、集積と整理しましたので掘り下げていきます。

まずは誰もが気になり、比較対象として最もポピュラーな「チャンピオン獲得回数」です。F1ドライバーになるにも大変。優勝するのはもっと大変だし、それら世界の強者のいる中で頂点に立つこと自体が偉業だっていうのに、それを何回もやってしまうんだからとんでもない人達です。33人のチャンピオン経験者を獲得回数でまとめると、こんなグラフになります。
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内訳は7回が1人、6回も1人、5回も1人で4回が2人。以下3回が5人、2回は6人、1回が残る17人で33人、合計70回となります。グラフの色からして、ああ、あの人ねって勘付くでしょう。全員取り上げたいのは山々なのですが、とてもスペースと知識もないため、上位5名を取り出してみました。

《チャンピオン獲得回数上位5人》
  1   7回 M・シューマッハ  (94,95,00,01,02,03,04)
  2   6回 L・ハミルトン       (08,14,15,17,18,19)◯
  3   5回 J・M・ファンジオ(51,54,55,56,57)
  4   4回 A・プロスト          (85,86,89,93)
       4回 S・ベッテル          (10,11,12,13)◯
  ◯は2019年現役で更新可能なもの(以下同様)
  (カッコ内)は西暦年

長らくファンジオが持っていた5回獲得に80年代から90年にかけてプロストが4回まで近付くも、4回目を獲得して引退。そのファンジオの「壁」に初めて到達し、突破したのはまだ記憶に新しいM・シューマッハでした。7回獲得のうちの後半5連続はまさに神がかりであり「F1=シューマッハ」の図式をほしいままにしたのと同時に「他はどうした?!またシューマッハ?!つまらない」なんて現象すらみられたものです。この70年の歴史において様々なドライバー、世代が相見える中で2人の現役ドライバーがトップオブトップに君臨していることは誇らしいことです。シューマッハと同郷ドイツからシューマッハと入れ替わる形で若いうちに台頭したベッテルがあっさりと4連覇。さらにはF1デビュー前、デビュー直後からトップドライバー顔負けの待遇とマシンを得てハミルトンは一時期そのベッテルに打ち負かされつつも、絶妙なタイミングと最適なマシンを得ることに成功。あっという間に憧れのセナ、同世代のベッテルを上回り、前人のみならず後人未到と思われた「シューマッハ超え」が可能な位置までいよいよ到達してきました。
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フル参戦、スポット参戦によらず、デビュー年を1年目とし、一時引退は含まず連続した形の「キャリアグラフ」を作成してみました。現役2人は今後も継続されますから実線、引退している3人は破線としてドライバー毎の勝手なイメージカラーで線を引いています。このスーパーな5人をもってしても、多少の成績の浮き沈みはみられます。デビュー直後は当然ながらもシューマッハの8年目、9年目は同世代のハッキネンと怪我による欠場を経験しています(7年目にあたる97年も1位ないし2位にランクインする権利がありましたが「ある不祥事」によりポイント剥奪されています)ただ以前他のドライバーでも度々このグラフをご覧になっているかと思いますが、この5人は悪くてもランキング5位以内に留まっている点がすごい。絶不調でも5位でシーズンを終えるということ。近年の2人でみたら、ベッテルが5位に沈んだのは8年目2014年の「メルセデスとリカルドに打ちのめされた」年と13年目「ルクレールと自分に打ちのめされた」今年です。ハミルトンは「ベッテル台頭マクラーレン空回り」の3年目2010年と「またベッテルが強いしマクラーレンはそろそろ飽きてきたかも」な5年目2011年でした。現在勢い止まない13年目のハミルトンに興味深い点がみられます。あと1つ獲ればシューマッハの7回と並ぶわけですが、実はそのシューマッハも13年目に6回目のチャンピオンを獲得しているのです。ということは、もしハミルトンが来シーズン14年目で7回目になったりすると、キャリアグラフはそのままシューマッハをトレースする形になるわけ。面白い偶然ですね。シューマッハは15年目2005年に年数が浅い若手のアロンソのみならず、ライコネンにまで打ち負かされ、わずか1勝のランキング3位に陥落して8回チャンピオンの道が立たれてしまいました。ハミルトンはハミルトンの方で15年目2021年シーズンは「レギュレーション大改革」が予定されています。ここでシャッフルをされて陥落するのか、またうまいこと引きのいいマシンを得られるのかは定かではありませんが、もしかしたら「超えられぬ7回の壁」なるものが存在するのかもしれません。
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年数でなく年齢の観点でも同様のグラフを作成しています。基本的には似た波形を示しますが、異なる点としてはベッテル、ハミルトン以外の3人には「空白(休養)期間がある」点です。それ以上に「デビュー時年齢」が大きく異なります。近年の現役2人は当時最年少を争う若年でキャリアスタートさせていますが、90年代シューマッハは22歳デビュー、80年代プロストは25歳デビューとこれでも充分若いのですが、近年に比べると遅くなります。1人だけとんでもない位置からスタートしていますね。50年代のファンジオです。F1デビューは38歳で1950年シーズン終了時に39歳でした。今でいうライコネンあたりがデビューイヤーというわけで乗っけから既におっちゃんです(笑)ようやく2回目を獲得する4年目の43歳は「もう充分でしょう」のシューマッハ2度目の引退の頃と重なります。そこから46歳まで4連覇してしまうのだから、年齢でみると正直言って他と比較対象になりません。miyabikunも当然ながら現役を知らず、書物と映像に頼るしかないのですが、予選をも上回る決勝ラップの追い上げやトラブルに巻き込まれない見事なステアリングさばきが卓越していたと言われています。
先程の「ハミルトン、13年目、6回目」と同様に来シーズンの7回目は「シューマッハ、35歳、7回目」と重なります。系譜は異なれどまさしく同じ境遇を突き進んでいます。

ここまで複数獲得上位だけを見つめるのは普通過ぎてつまらない。数にはよらない様々なキャリアを持つチャンピオンも多くいますので、他の年数、年齢の視点で整理しています。
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これらは全33人、70回の全チャンピオンの年数と年齢からチャンピオン獲得タイミングをグラフにしたものです。年数は5年目が12人と最も多く、次いで7年目の10人、4年目と6年目に8人ずつとなっています。1年目に獲得したのはただ1人、また16年目以降もチャンピオン経験者として参戦はしていましたが、19年目まで獲得には至らなかったものです。年齢はチャンピオン獲得者最年少デビューとなる20歳から最年長引退年の47歳までを対象とし、最多は29歳と31歳の7人、30歳と33歳、34歳が6人ずつでした。それら統計から上位(下位)5人を引き抜き、名前を挙げてみてみます。

《チャンピオン初獲得までに要した年数》
  1   1年目 G・ファリーナ             (50)
  2   2年目 J・M・ファンジオ       (51)
       2年目 J・ヴィルヌーブ           (97)
       2年目 L・ハミルトン              (08)
  5   3年目 A・アスカリ                 (52)
       3年目 D・ハルム                    (67)
       3年目 E・フィッティパルディ(72)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
28   8年目 M・ハッキネン             (98)
  8年目 J・シェクター              (79)
30 10年目 J・バトン                     (09)
  10年目 M・アンドレッティ      (78)
32 11年目 N・ロズベルグ              (16)
33 13年目 N・マンセル                 (92)
   平均5.36年

初戴冠までに要した年数の最上位と最下位です。毎度ながらこの手では必ず起きる「ファリーナ1位」は仕方のない現象です。ファリーナやファンジオ、アスカリはF1制定前から世界のトップドライバーに君臨しており、1年目や2年目とするのは反則ちゃ反則。でも「F1くくり」とすればこうなるのは仕方ありません。それらを除かせて頂いた場合、上位となるのは2年目のJ・ヴィルヌーブとハミルトンの2人が強烈インパクトでした。前にも書いたことがありますが、ヴィルヌーブは今でこそ「色んな意味で散らかって」しまっていますが、デビューレースとなる1996年開幕戦オーストラリアGPは予選でいきなりのポールポジションを獲得し、決勝は2位表彰台でした。ハミルトンのデビューは予選4番手、決勝3位表彰台でしたから、そのすごさはわかると思います。今「単なる老害」で片付けるにはちょっと可哀想(笑)
一方、初戴冠まで時間がたっぷりかかった上位は13年目のやんちゃ坊主マンセル、まだ記憶に新しい11年目のお坊ちゃまN・ロズベルグです。今回は割愛しますが、マンセルはそれまでもチャンスもあったし惜しいシーズンがありました。しかしウィリアムズの「秘密兵器」を手にするまで実に前途多難なキャリアを歩んでいます。ロズベルグもいいマシンを手にしてようやく、バトンも2009年の10年目にいいマシンを手にして序盤のうちに逃げ切り、ハッキネンは不遇や怪我から再起し8年目1998年にいいマシンでようやく、と戴冠に達したのは腕もさることながら「抜群に冴えたマシン」に助けられた点も少なからずあります。
余談ですが、現役の非チャンピオンの中で最も獲得に近いと評されているM・フェルスタッペンは22歳なったばかりの5年目です。早熟とはいえ、歴代チャンピオンと比べると若干の遅れています。しかし全く焦ることはない。最年少更新が「最終到達点」ではないし、何事もなければあと10年以上はF1ドライブできるはず。

《チャンピオン初獲得時の年齢》
  1
   23歳 S・ベッテル                 (10)
  2   23歳 L・ハミルトン              (08)
  3   24歳 F・アロンソ                 (05)
  4   25歳 E・フィッティパルディ(72)
  5   25歳 M・シューマッハ         (94)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
29   36歳 D・ヒル                        (96)
30   38歳 M・アンドレッティ     (78)
31   39歳 N・マンセル                (92)
32   40歳 J・M・ファンジオ       (51)
33   43歳 J・ファリーナ              (50)
       平均30.48歳

1972年のE・フィッティパルディがブラジル人初、25歳という若さで獲得して以来、長らく更新はありませんでしたが、2005年にシューマッハを引きずり下ろしたアロンソを皮切りに若年記録が度々更新されました。近年はチャンピオン以外のジャンルにおいてもこの記録更新がバシバシ行われていますよね。現レッドブルのM・フェルスタッペンの登場によりひとまず「歯止め」は設けられましたが、優秀な若手もコンスタントに入ってきていますので、更新される可能性は大いにあります。ちなみに現時点での最年少は23歳134日のベッテルであり、2020年シーズン中盤で決められればフェルスタッペンとルクレールにチャンスがあります。ほか可能性があるのはラッセル、ストロール、ノリスの3人となります。
最年長初戴冠でみると、あれ、またファリーナが1位だ。初代チャンピオンが最高齢チャンピオンと、まさに要所を掴んでいます。最高齢は今後更新される可能性を秘めていますが、初代はどうやっても上回ることができない記録です。初を獲るってすごく大変なことだし不安も多いけど、獲ってしまえば永久に名を残しておける絶好な位置ですね。まるでオセロの「角」みたい。そんな軽いモンじゃないって?!

《チャンピオンを最後に獲得した年齢》
  1   46歳 J・M・ファンジオ       (57)5回目
  2   43歳 J・ファリーナ              (50)1回目
  3   40歳 J・ブラバム                  (66)3回目
  4   39歳 N・マンセル                 (92)1回目
  5   39歳 G・ヒル                        (96)2回目
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
29   28歳 K・ライコネン              (07)1回目 ◯
30   27歳 E・フィッティパルディ(74)2回目
31   26歳 S・ベッテル                  (13)4回目 ◯
32   26歳 J・ヴィルヌーブ            (97)1回目
33   25歳 F・アロンソ                  (06)2回目
       平均32.90歳

こちらはチャンピオン最終獲得の年齢を「高齢」の方から並べました。先程触れたファンジオの5回目46歳が堂々の1位です。こうやってみると、初戴冠28歳から12年の歳月を経て40歳を迎えたライコネンまだまだ若くみえますね。miyabikunも実はまだF1イケるかなぁ、クビカの後任に使ってもらおうかな(笑)
驚くのは最年少ベッテルが26歳までに4回を獲得して、現時点の最終獲得となっている点。26歳なんて、まだまだこれからじゃん!26歳以降にチャンピオンを獲得したドライバーの方がむしろ多いくらい。今が32歳でしょう、そうだなぁ30歳と31歳の年はチャンスだったんじゃないかなぁ。よく思い出してくれ、色々やったよね、もったいないこと。来年33歳が正念場になりそうだよ、頑張ってね!

《複数回チャンピオンに要した空白期間》
  1   6年間 N・ラウダ           (78〜83)※
  2   5年間 J・ブラバム        (61〜65)
       5年間 G・ヒル              (63〜67)
       5年間 L・ハミルトン    (09〜13)
  5   4年間 M・シューマッハ(96〜99)
  ※F1を一時引退した期間を含む

最後は「ブランクのあるチャンピオン獲得期間」について整理しました。引退し復活した者はキャリア年でなく年齢から割り出しています。こちらも上位5人まで。最長ブランクは78年から一度航空会社経営に特化するために引退し、また呼び声かかりマクラーレンから復活して84年のチャンピオンとなったラウダの6年です。チームやマシンはガラリと変わっても、名うてのドライバーがステアリングを握れば獲れるものなんですね。当時成長真っ盛りの若手チームメイトのプロストを0.5ポイント抑えて12年目となる35歳で3回目を獲得しています。J・ブラバムはクーパーの一員で2回、その後5年の時を経て自らのチームで1回獲りました。近年は絶対的地位を確保し続けるハミルトンも2009年から13年までは優勝は必ず獲りつつもマシン適応とチャンスを伺う時期は経験して「弱点の少ないドライバー」となって帰ってきています。キャリアを積むということは、酸いも甘いも知っているということ。先程触れた「チャンピオン経験者」にも冷静さと頭を使ってチャンスをうかがってほしいものですね。

長くなりましたが、今回は歴代チャンピオンを「年数、年齢」の観点からみてきました。今後他の目線からこれらチャンピオンを解く予定ですので、準備が整い次第アップします。


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