F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:2013年

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現在のエンジンレギュレーションが取り入れられてから早8年目のシーズンに入ろうとしています。ご存知の通り、数々のライバル達の一歩も二歩も前を走るメルセデスが近年7年を完膚無きまでに支配する時代が続いています。物事には必ず始まりがあり、終わりがあるわけですが、この2021年シーズンにおいてもまだその勢いを緩める様子が容易に想像できません。今回はその最強時代のきっかけになったと言っても過言ではない、前エンジンレギュレーション時代のマシンである2013年型メルセデスF1 W04をフォーカスしてみます。

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《設計》
 パディ・ロウ
 ボブ・ベル
 アンディ・コーウェル
 アルド・コスタ
 ジェフ・ウィリス

メルセデスはこの年から長く重要なポジションに座っていたノルベルト・ハウグに代わり、ウィリアムズからトト・ヴォルフを招き入れ、技術陣も2011年にヒスパニアからウィリス、前年2012年にフェラーリからコスタを集めるなど翌シーズンに迎える「大型レギュレーション変更」に対抗すべく段階的な技術強化を行いました。
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《外見》
前作W03と比べると、全体的にシャープさよりもふくよかになったような印象を受けます。メルセデスは2010年の復帰時から歴代で最高速重視のマシンで仕立て上げられてきました。そうなると弱点となるのはダウンフォースが不足するという点です。
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フロントウィングはW03の時にもみられた翼端部に取り付くフィンだけではなく、ノーズ下のステーに向かうフィンも踏襲しています。フロントウィングは元々「マシンのフロントタイヤへダウンフォースを与える」ことを目的として装着されています。ところが近年はF1マシンがオープンホイールであるが故の悩み「フロントタイヤへの空力的影響をいかに減らすか」もこのフロントウィングに課された重要な役割となっています。このメルセデスによらず、このあたりの時代から特に複雑怪奇なフィンや機構を取り入れるようになりました。フロントの足回りは油圧でライドハイトを制御するシステムを取り入れ、前後だけでなく左右を含めた4輪への姿勢を整え、バランスよくダウンフォースを伝達、グリップ向上に努めました。
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リヤに目をやると、前作W03よりもリヤエンドを下に向けるようなディテールとなりました。この時代のライバルもこぞって導入したコアンダエキゾーストを使って、課題となっていたリヤへのダウンフォース増加を期待しています。
目に見えないところの工夫としては、フェラーリ系やルノー系が先に導入した「キャビティリゾネーター」をメルセデス系も遅れ馳せながらこのシーズンから導入してきました。空洞共振器とも呼ばれるこれは「空洞の部屋に振動を与えてエネルギーを増幅する」デバイスで、エキゾーストマニホールドに装着するものです。エネルギーの増幅は形や装着、エンジンの回転数により異なるものの、ブレーキング時のエネルギーロスを補完することを目的としました。
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カラーリングは今と変わらずのライトシルバーを基本に、ブラックのアクセントが使われています。昨シーズンは急遽ブラック一色に染められましたが、メルセデスといえばこのシルバーがしっくりときます。スポンサーは今も引き続くペトロナスと一時期日本にも参入があったカナダの携帯電話メーカーであるブラックベリーがメインです。

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《シャシー》
 全長:5,094mm
 全幅:1,800mm
 全高:   950mm
 最低車体重量: - kg
 燃料タンク容量: - ℓ
 ブレーキキャリパー:ブレンボ
 ブレーキディスク・パッド:ブレンボ
 サスペンション:フロント プッシュロッド
          リヤ    プルロッド
 ホイール:アドバンティ
 タイヤ:ピレリ

《エンジン》
 メルセデス・ベンツ FO108F
  V型8気筒・バンク角90度
 排気量:2,400cc
 エンジン最高回転数:18,000rpm(制限)
 最大馬力: - 馬力(非公開)
 スパークプラグ: - 
 燃料・潤滑油:ペトロナス

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《ドライバー》
 No.9   ニコ・ロズベルグ (全戦)
 No.10 ルイス・ハミルトン(全戦)

前年に二度目の引退(完全引退)となったF1レジェンド、M・シューマッハ。ロズベルグがエースとして堂々の昇格を果たす中、そのシューマッハの後任として、マクラーレンの秘蔵っ子と呼ばれたチャンピオン経験者ハミルトンを招き入れた初年となりました。ハミルトンの移籍は前年途中から非常勤会長に就任したラウダの声掛けも大きく影響したと言われていますね。ハミルトンは当時どちらかといえばマクラーレンからみれば「格下」と目されたまだ日の浅いメルセデスへの移籍となり、軽く騒動になりましたよね。同世代で幼き頃にチームメイトでもありライバルとしてしのぎを削った2人が並び、3年にも渡ってF1を席巻する「無敵艦隊」レッドブル打破に向かいます。

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《戦績》
 360ポイント コンストラクター2位
 (1位3回、2位1回、3位5回、4位6回ほか)
 ポールポジション8回

若返りを図って挑む開幕前オーストラリアGP予選はチームの先輩ロズベルグがフェラーリ2人の後塵に拝する6番手で終えるも、新加入のハミルトンはレッドブルに続く3番手、ポールのベッテルの0.7秒落ちのところに迫ることに成功。決勝は6位まで順位を落としますが、さすがチャンピオン経験者という走りをみせました。第2戦マレーシアGPはハミルトンが4番手スタートから見事3位表彰台を獲得し、シーズン表彰台に登壇。第3戦中国GPは予選でハミルトンが鉄壁のレッドブル2台を上回ることに成功、移籍初のポールポジションから3位フィニッシュを果たし、先輩ロズベルグを凌駕していきます。この結果に黙っちゃいられないロズベルグは第4戦バーレーンGPから第5戦スペインGP、第6戦モナコGPで3戦連続のポールポジションから、モナコGPではポールトゥウィンを挙げてハミルトン優位を阻みます。またチームとしても第4戦、第5戦はハミルトンと共にフロントロウスタートを得るなど、徐々に「予選から逃げ切る」レッドブル包囲網を攻略するかのような位置に並ぶことに成功しています。第10戦ハンガリーGPまでのシーズン前半はロズベルグが3ポールの2勝、ハミルトンが4ポール1勝となり、実に力強い結果を積み重ねました。
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ところがサマーブレイク明けのシーズン後半戦はハミルトンに第11戦ベルギーGPで5回目のポールポジションを獲得するも、ベッテルやフェラーリのアロンソに先行を許し3位。以降はロズベルグは2位1回、3位1回。ハミルトンは3位1回となるなど両者表彰台は獲得できても「その中央」に立つことが出来ず失速。フェラーリを僅差で上回るコンストラクターズ2位に浮上しますが、レッドブルに大差をつけられる形でチャンピオンを逃しました。ドライバーズランキングはハミルトンが189ポイントの4位、ロズベルグは終盤2戦欠場したロータスのライコネンを間に挟んだ171ポイントの6位に終わります。IMG_8020
4連覇をかけたレッドブルを捕まえるところまでいった要因の一つに「ドライバー体制の入れ替え」が功を奏したところが挙げられます。レジェンドとはいえ40代前半となったシューマッハから、チャンピオン獲得からしばらく遠ざかったものの20代後半のハミルトンはマクラーレンで様々な苦難と戦い、鍛錬されたこと。ロズベルグとしても気心知れた同世代とのタッグで互いに切磋琢磨できたことと思います。またチームの首脳陣や技術者も強化され、ハミルトンが好みとしていたブレーキへの的確な改良もマシンへの適応性の面で有利に働きました。しかしこのマシンでも歴代のお決まりのように「リヤタイヤに厳しい特性」は改善できぬままシーズン終盤に早々と開発を終了。翌2014年シーズンの「大幅レギュレーション変更」にシフトしていくこととなりました。

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現パワーユニットでのレギュレーション下において、メルセデス以外からのドライバーズチャンピオンおよびコンストラクターズチャンピオンは輩出していません。一見「このパワーユニットになってからメルセデスが化けた」とみられがちですが、実は前年にあたるこのW04の時代からもドライバーをはじめチーム首脳陣強化、ドライバーの得意とするセッティングに近付けるなど、結果的に完膚なきまでのレッドブル4連覇の裏で着々とチャンピオン奪取を狙っていたことがうかがえます。ライバル達はこのシーズンでメルセデスがその後大化けし、脅威となることを薄々勘づいていたのかもしれません。

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今週末は当初の予定の7ヶ月遅れとなるバーレーンGPです。まさかこの時期に行われると思わず、過去のGPやってしまっていましたね。他のバーレーンGPを振り返るのも何なので、今回はバーレーンっぽい?インドGPを初めて振り返ります。インドがバーレーンっぽいって、黄色っぽい感じ?!よくわからないこじつけですね(笑)2013年第16戦に行われ、これが今のところ最終開催となっているインドGPです。インドGPは2011年にヘルマン・ティルケ監修により新設されたブッダ国際サーキットで3回行われています。結果的には3回中3回、当時レッドブルに在籍したベッテルによるものとなり、ハミルトンやライコネン、アロンソといった他の強豪ドライバーの誰一人とも勝利を手にできなかったGPとなっています。その中でもこの年は「レッドブル&ベッテルの強さ」を改めて感じられるレースとして今回選定しました。
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いつも闘争心剥き出しのアロンソですが、チャンピオン確定前のランキング2位につけるも振る手や表情もどこか穏やかに感じます。それもそのはず。2010年から続く「ベッテル政権」がまたもやチャンピオン王手状態。前戦第15戦日本GP終了時点でベッテルは9勝を挙げ、ポイントは297。2位のアロンソは第3戦中国GPと地元の第5戦スペインGPの2勝で207ポイントと、残り4戦で90ポイントの差があります。ベッテルはアロンソが4戦いかなる順位であってもあと10ポイント、このインドGPで5位になれば4年連続4回目チャンピオンが決まります。アロンソの首の皮は一枚も残されていません。

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予選はベッテルがシーズン7回目となるポールポジションを獲得。2番手にロズベルグ、3番手ハミルトンの伸び盛りメルセデスを挟み、4番手にウェバー兄がしっかりと居座る。当のアロンソは相方マッサやロータスのライコネンからも遅れた8番手に終わります。ベッテルとアロンソが逆ならまだ一筋の明るい光が見えるのですが、よりによって一番望まないパターンにはまってしまいました。

《予選結果》
 1 S・ベッテル (レッドブル・R)
 2 N・ロズベルグ(メルセデス・M)
 3 L・ハミルトン(メルセデス・M)
 ※タイヤはピレリのワンメイク

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スタート3番手のハミルトンはベッテルに食ってかかろうと中央突破を試みますが、ベッテルは冷静にラインを塞ぎ、お得意の逃げ逃げッテルを確立していきます。
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予選がダメなら決勝で奮起するしかないアロンソは前方で揉み合うライコネンとウェバーの割を食って、左フロントウィング翼端部を吹き飛ばされてしまいます。IMG_7215
勢いを削がれたアロンソはさらにマクラーレンのバトンからもタイヤに右フックを貰い、完全に戦意喪失。いくら望みが薄くなったとはいえ、そんなにイジメなくても。。IMG_7219
当然ピットインを強いられて、19位まで突き落とされる。

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トップでぐんぐん引き離すベッテルは2周目までに4秒引き離して早くもピットへ。スタートダッシュで中古のソフトタイヤを使い切り、この先はミディアムで挽回する戦略を採ります。
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ひとまず17位でトラック復帰。それからは毎周回一人ずつパスするハイペースで13周目にはトロ・ロッソのリカルドをパス。
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残るは未だにピットインしていない逆戦略の相方ウェバーとマクラーレンのペレスを残すのみとなりました。現代のハミルトンにも匹敵する挽回力ですね。IMG_7224
60周レースの1/3にあたる21周目でペレスもさっくりと。これで暫定2位、実質1位。

28周目にミディアムからソフトに履き替え、わずか4周後の32周目に再びミディアムに戻したウェバーに不穏な無線が飛びます。
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「トラブルが出たためマシンを止めろ」第13戦シンガポールGPでも同じような無線が入ってリタイヤを強いられました。予選ポールからの逃げ切りアリ、逆ストラテジーを採ってもバカスカ抜けるベッテルと実に対照的なレースそしてシーズンを送っています。IMG_7229

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ベッテルは敵無し。ウェバーが離脱となると、注目は2位争いですね。6番手スタートで7周目からミディアムを履き続けるロータスのライコネンは51周目に完全にタイヤを使い果たし、メルセデスのロズベルグに詰め寄られています。
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続くはチームメイトのグロージャン。まだキャリアは若いけど、ベテランエースを打ち砕ける絶好のチャンス到来!これにてライコネンは表彰台から陥落。IMG_7232
ライコネンの「黒っ恥」はまだまだ止まりません。メルセデス1年目のハミルトン、そのハミルトンとスイッチしたペレスが直列繋ぎに。
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2台同時にパッシングして、ペレスの勝ち。周りから何と言われようと、名門マクラーレンには違いはありません。

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優勝者そっちのけでしたね。傷めたアロンソは11位完走が精一杯。文句無しのベッテル4連覇が決定しました。

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《決勝結果》
 1 S・ベッテル  (レッドブル・R)
 2 N・ロズベルグ (メルセデス・M)
 3 R・グロージャン(ロータス・R)

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ドーナツターンでインドのファンにご挨拶。最近はトラック内でドーナツターンを行うドライバーが多いですが、ベッテルがきっかけな気がします。本当はダメなんだよね(笑)
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今は抜け殻のようになってしまったベッテルですが、一昔前は本当に速く、またその勝ち方も今のメルセデス&ハミルトンとは一味違うものでした。「M・シューマッハ超え最有力」と目されていた頃が懐かしいですね。
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決勝レースを大型ビジョンで見守るピレリのスタッフ。どこか気が気ではない様子です。このレースはピレリにまつわる出来事が盛り沢山でした。今回は7年前にあたる2013年第8戦に行われたイギリスGPです。実際も二連戦ならば、先日のオーストリアGPと同様に振り返り二連戦!

2013年シーズン振り返りは第3弾となります。この年はレッドブル&ベッテルの4連覇がかかっていました。ドイツの偉大な先輩、M・シューマッハの後任に相応しいかどうか、F1全体で見守られています。逆にレッドブル創成期から支えたベテランのウェバーはこの年限りでF1を離れる発表をしています。ポッと出の若いガキにたくさん振り回され、かつ成績の比較対象にされ、さすがに心底疲れてしまいましたよね。
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このイギリスGPを迎える前にFIA法廷である審判が下されました。GPの前に行われたタイヤテストでメルセデスが旧型マシンではなく「現行マシン」が使用されたためです。タイヤは今と同じピレリのワンメイク時代。現行マシンで行えば、タイヤのデータ取りで当然有利に働きます。
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結果、メルセデスは後日行われる若手テストに参加できないという比較的軽微な罰で済みました。こういう類は大抵ロス・ブラウンが関わっているイメージです。巧いというか賢いというか、この方どこかコスいんだよなぁ。記者に紛れて密かにサインツがいる?!(笑)

予選はそのメルセデスがフロントロウを獲得。近年やりたい放題のベッテルの前を「グレーの壁」として立ちはだかります。この時代あたりからじわりじわりと頭角を示し始めていました。セカンドロウのレッドブルの後ろ、5番手タイムだったフォース・インディアのディ・レスタはマシンの最低重量違反を犯して最後尾(1位分繰り上がって21番手)に下がっています。

《予選結果》
 1 L・ハミルトン(メルセデス・M)
 2 N・ロズベルグ(メルセデス・M)
 3 S・ベッテル (レッドブル・R)
 ※タイヤはピレリのワンメイク

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ハミルトンは実にスムーズな加速をするも、 2番手ロズベルグが右に左にあたふたしている間にベッテルに先行を許してしまいます。父はチャンピオンになれたけど、このお坊っちゃまは速さはあれどこんな事ではチャンピオンに程遠いな。

母国でポールトゥウィンを狙うハミルトンは 2位のベッテルに2秒近い差を付けた後、何やら8周目のストレートでマシンをバタつかせ
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左リヤタイヤがバーストしています。ミディアムタイヤとはいえ、まだ始まったばかりで早くないか?!誰とも接触していないけど、何か踏んだのでしょうか。戦えるわけもなくピットでタイヤ交換しなければなりません。
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あーあ、ビロビロ。バーストしたタイヤって見てはいけないもののようなエグさがありますよね。
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それをピレリがいそいそと遺体回収、隠滅隠滅。
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2周後となる10周目に11位スタートから4位浮上のマッサがコースアウト。手前には黒いパーツがあるけどこれってもしや、、
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あ、またミディアムの左リヤだ。こちらもまだ浅い周でのバースト。これ何か怪しいぞ。

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14周目になかなかペースの上がらないロータスのグロージャンに対して、チームメイトのライコネンを先行させるよう指示が飛びます。
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素直に応じてライコネンが前に立つ瞬間、前方を走るトロ・ロッソのベルニュから破片が飛び散る。
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また左リヤ、それもベルニュはミディアムタイヤでなくハードタイヤでもこうなる。危うくロータス2台とも巻き添えを食らうところでした。完全に怪しい!マシンのせいでなくタイヤそのもののの構造上の欠陥であると誰もが疑います。
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ベルニュのばら撒いたデブリを回収するためにセーフティカーが発動し、トップを走るベッテルにも無線で「縁石の乗り方」について注意喚起されました。

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セーフティカーが退去し、35周目を終え2回目のハードタイヤに切り替えてもトップを守るベッテルですが、レース終盤の41周目にタイヤでなくギヤボックスのトラブルによってスローダウン。
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コントロールライン付近にゆるゆるとマシンを止め、2度目のセーフティカー発動となります。

代わってトップに立ったスタートイマイチのロズベルグは念のため42周目にハードタイヤに三度交換
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その様子をしかと見守るロス・ブラウン。ロズベルグは大丈夫でしょう、ハミルトンは災難でしたが、お宅はしっかりテストしたはずだから(笑)
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2位に上がったウェバーも相方の分を取り返すべくフレッシュタイヤへ。今日だけ「エース」ドライバー。ピットに入らずステイして2位に浮上したライコネンは無線で心配そう。
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タイヤの扱いが優しいライコネンとはいえ、今回は懸念がありますからね。チームの回答は「分からないが、もうこのままいくしかない」

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レースが再開すると、予選9番手で忘れかけていたフェラーリのアロンソがマクラーレンのペレスを狙っています。
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背後につくと
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また左リヤタイヤがバースト。今日は「左リヤ祭り」慣れっこになってきました。ペレスはそのままピットに戻ってリ・タイヤ。

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一度順位を捨てて、安心タイヤで猛追するウェバーはやる気満々!
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古タイヤのライコネンを47周目に簡単にかわして2位へ。その後49周目にアロンソ、50周目には序盤でコケたハミルトンにまでかわされて、5位に陥落。
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「だから言ったべ、あの時タイヤ交換だったんだ」

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《決勝結果》
 1 N・ロズベルグ(メルセデス・M)
 2 M・ウェバー (レッドブル・R)
 3 F・アロンソ (フェラーリ・F)

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先日のイギリスGPはタイヤに翻弄されたレースとなりました。7年前のイギリスGPも実にタイヤに翻弄されたレースだったんです。先日振り返った「1987年イギリスGP」とこちらのどちらを先にやろうか悩んで時系列で並べてみたわけですが、こんな事ならこちらを先にやった方がおさまりがよかった気がしました。とはいえ、この前のレース前ではさすがに予想できなかったので仕方が無い結果ですが。ピレリにとってはまた課題が残る一戦となりました。
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スタートダサダサのロズベルグは棚ぼたの3勝目、2013年シーズン2勝目を挙げてヒーローに。勝ち癖をつけていきたいところ。ウェバーは伸び伸びと「定位置」の2位を獲得しています。
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表彰台下では嬉しそうに見守る夫人。それにしても何でロズベルグはこの、、、いや、さすがに毎回イジるのは失礼だ、止めておこう(笑)

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前回2013年の第2戦マレーシアGPを振り返ったばかりですが、今回は同じ年の1戦前となる開幕戦オーストラリアGPを振り返ります。頭をリセットしてご覧下さい。
レッドブルとベッテルが4連覇をかけて挑む2013年はテストからレッドブルVSフェラーリに期待が寄せられました。テストではなかなか見ることができない「本来のポテンシャル」が開幕戦で明らかになります。

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予選はご覧の通り土砂降りの雨。カメラを通してのカメラでもしっかりとその雨粒が確認できます。開始時間を遅らせてひとまずQ1は行われました。
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早速フェラーリのマッサがスピンを喫し、フロントをやっつけてしまいました。アルバートパークはランオフエリアが充分に確保されているところとウォールが間近にある区間と様々です。トラックをはみ出せば水しぶきならぬ泥しぶきが激しい。各車スピンやコースアウトが頻発しています。
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そしてザウバーのグティエレスがマッサと同じ区間で同じようなクラッシュをしたところで、これじゃ予選にならないと予選中止。Q2以降は決勝日曜日の午前中に延期されることなりました。
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翌日午前のQ2はちょい濡れ。Q3にベッテルはスーパーソフトタイヤを装着。2013年の幸先良いスタート位置を確保しました。マクラーレンからこの年メルセデスに移籍したハミルトンはウェバーを挟んだ3番手、そろそろマジでチャンピオンを獲りたいフェラーリのアロンソはその後ろ5番手となり、レッドブル、メルセデス、フェラーリ、ロータスが4列目までを占めています。
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そうそう、この時代のピレリのタイヤはガケが怖い。気を付けましょうね。

《予選結果》
   1 S・ベッテル   (レッドブル・R)
   2 M・ウェバー  (レッドブル・R)
   3 L・ハミルトン(メルセデス・M)
   ※タイヤはピレリのワンメイク


スタートを前にザウバーのヒュルケンベルグはトラブルによりこんな状態。出走できません。ザ・開幕戦といった感じですね。昔はよくある光景でしたが、近年は本当にトラブルは減りました。
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またフロントロウのウェバーにも不穏な無線やり取りが
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初っ端レースからKERS無しとは。せっかく前が開けているというのに、母国レースでどこまでツイていないんだ!
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あーやっぱり蹴り出しが良くない。アウトからハミルトンとアロンソ、インからマッサに食われてしまいます。

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タイヤの保ちが不安視されていることもあり、多くは3ピットストップを選択しています。そんな中、ミディアムタイヤスタートで2ストップを図るフォース・インディアのスーティルの1回目とベッテルの2回目が21周目に重なります。ベッテルはピット1回分のギャップを設けなければならないのに
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順位は変わらず。スーティルがガッチリとベッテルの行く手に立ちはだかっています。そうなると、合流で早めに2回目を終えた「本来の相手」にチャンスを与えることにもなります。
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アロンソはベッテルに並び、
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まだタイヤが馴染まないスーティルを簡単にあしらい前へ出ます。ベッテルが懸念していた「タイヤ」で明暗が分かれています。

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実は他にも2ピットストップを企むダークホースがいます。黒いロータスと黒いライコネンはミディアムタイヤを優しく扱ってラップを重ねていきます。
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メルセデスのハミルトンも2ピットストップ戦略ではありましたが、こちらはタイヤがキツい。アロンソに捕まって戦略変更を強いられました。メルセデスは昔も今もタイヤには悩むチームですね。
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ウチはタイヤには優しいから。うん、大丈夫!
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ピットアウトを見届けて、最終スティントに入ります。

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43周目にライコネンが同じ戦略のスーティルの尻尾を掴みました。
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7番手スタートのライコネンがトップに。レッドブルVSフェラーリの構図に対して、巧みなタイヤ戦略で開幕戦を制しています。

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《決勝結果》
   1 K・ライコネン(ロータス・R)
   2 F・アロンソ   (フェラーリ・F)
   3 S・ベッテル   (レッドブル・R)

その後フェラーリに移籍し、表彰台には乗るも長らく優勝に至らなかったライコネン。この20勝目が最後かな、なんて忘れかけていた昨年のアメリカGPで久々の優勝を飾り、今シーズンは古巣ザウバー(現 アルファロメオ)に復帰することとなりました。さすがに優勝は遠退くことでしょうが、表彰台獲得とチームや後世にアツい走りを伝えていけることを願っています。
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開幕戦は本当にフタを開けてみないと何が起こるかわかりません。期待や予想を簡単に覆して、驚きの結果を生み出すこともあります。それが開幕戦の醍醐味ですね。それは昔も今も同じ。

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このオフシーズンは過去のレースを振り返らないで過ごしました。そろそろ開幕戦に向けて勘を取り戻しておきたいところです。今回は振り返るシリーズ初の2013年を取り扱います。第2戦マレーシアGPを選びました。マレーシアGP自体が今や過去のものになってしまったことがまだ慣れませんね。
2013年はピレリタイヤの意図的な性能劣化を取り入れていたこともあり、タイヤの扱いに翻弄されるチームやドライバーが相次ぎました。涙を呑んだものも多くいましたよね。開幕戦オーストラリアGPはそんな中ダークホース的なロータスのライコネンが優勝を飾り、チャンピオンチームのレッドブルは出遅れています。
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マレーシア国旗を前にしてレッドブルのウェバーが不敵な笑みを浮かべています。何かいいことでもあったのでしょうか。この笑みの真相はこれからわかります。

予選はQ3でマレーシア特有の雨に見舞われてペースダウン。Q1やQ2で低調だったレッドブルのベッテルがポールをさらい、フェラーリやメルセデス勢の前に立ちはだかることに成功しています。ちなみにチームメイトのウェバーはそのフェラーリ、メルセデスを介した予選5番手でした。

《予選結果》
   1 S・ベッテル(レッドブル・R)
   2 F・マッサ   (フェラーリ・F)
   3 F・アロンソ(フェラーリ・F)
   ※タイヤはピレリのワンメイク

決勝前もひと雨来て路面は濡れています。スタートはインターミディエイトが選択されています。
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 3番手スタートのアロンソは真っ先にポールのベッテルの背後につけ、右1コーナーをアウトからさしにいきます。
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切り返しの左2コーナーで接近し過ぎてフロントウィングを傷めてしまいます。ピットはアロンソを迎え入れる準備万端ですが、アロンソは頑なに走行を続けて2周目に入るストレートエンドで崩壊。
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「ほらみろ、だから交換準備できていたのに」

路面は乾き、続々とドライタイヤに交換が始まります。このマレーシアGPではピットレーンでもアクシデントが続きました。この年からメルセデスに移籍したハミルトンは5周目に
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慣れたマクラーレンのピットへ。同じ銀のメルセデスではあるけどもちろんタイヤ交換対応はできません。当然スルー。慣れは怖い。7周目にはピットアウトするトロ・ロッソのベルニュとピットインするケータハムのピックがコンタクト。くだらないミス。
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またマクラーレンのバトンは右フロントタイヤが何だか外れそう。。
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装着ミスです。こちらもくだらない。その他、フォース・インディアもホイールガンのトラブルでリタイヤを強いられるなどバタついています。

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本戦に話を戻すと、タイヤ交換を終えたベッテルは粘って暫定トップに立つウェバーが前にいることが気に入らない様子。無線で文句を言い出します。その後19周目にウェバー2回目、22周目にベッテルが3回目にタイヤ交換を行いますが、必ずベッテルの前にウェバーが走行するシーンが繰り返されます。
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そしてベッテルが42周目に4回目、翌43周目にウェバーが4回目のタイヤ交換を終えてトラックに戻ると、またウェバーがベッテルの前に現れ、ベッテルがとうとうキレる。
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いつでもパッシングをかける位置に並びかけます。
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チームはベッテルを落ち着かせ、戦略指示を飛ばしますが、ベッテルの耳に届いていても脳や手足まで伝達できず。ベッテルは前しか見ていません。チーム内バトル勃発です。
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実はレッドブル2台だけではなく、後方3位4位を走行するメルセデス2台も接近してバトルの様相を呈していました。
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4位のロズベルグはタイヤマネージメントを図るハミルトンのペースが遅いため苛立ちますが、チームは上手くなだめてバトルを止めさせています。
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問題はレッドブル達の方です。ベッテルの猛追は続きます。チャンピオンが開幕戦は3位に甘んじ、 2戦目はポールを獲ったにもかかわらずことごとくウェバーに阻まれて我慢なりません。
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45周目にチームからの指示も虚しく順位が入れ替わりました。当然ながらウェバーはベッテルからもチームからも裏切られた感を覚えて不満を伝えます。
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ウェバーはフィニッシュライン通過後にベッテルの前を斜行して怒りを露わに。

《決勝結果》
   1 S・ベッテル   (レッドブル・R)
   2 M・ウェバー  (レッドブル・R)
   3 L・ハミルトン(メルセデス・M)

表彰式前の控え室では気まずい雰囲気に。
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「私はメカニックだから口出しはせんが、今回はいつもの表彰式の『コレ』は無しだぞ、セブ」
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「あーあ、あのガキ、いやがった」
ただウェバーはおじさん(オトナ)です。あくまで言葉少なく、冷静に諭します。
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「今回はマルチ21だろ、セブ」
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「うーん、私はメカニックだからなぁ、、、」

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魂が抜けたベッテルを中心に、不敵な笑みを浮かべるウェバー、そしてウチもゴタゴタしたけどそこまでには至らなかった方による表彰式を迎え、その直後に早速話し合いが行われました。会見でベッテルは自分の取った行動に謝罪しています。
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これまで最強チームに成り上がったレッドブル、ベッテルとウェバーの間では度々バトルが行われ、その多くはベッテル優位な戦略をチームは採ってきました。ベッテル自身も「マルチ12」を懇願したこともありました。
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しかし今回はいつもとは逆、シーズンも始まったばかりでウェバーが勝つ権利も間違いなくありました。ベッテルは今シーズンから若手の有望株ルクレールとタッグを組みます。ルクレールはもちろん勝ちに来るはずです。チーム戦略には一抹の不安があるフェラーリではありますが、これから6年の歳月が経ちました。昨年までの聞き分けのいいおじさんと訳の違う状況でベッテルもチームも久々の戴冠に繋がるかが今シーズンの見どころの一つになりそうです。
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