F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:2012年

今回の過去のレースはアゼルバイジャンを振り返るにはまだ日が浅過ぎる、ということでヨーロッパGPの一つ先輩、まだ今まで振り返ってこなかったヴァレンシア市街地で行われた2012年第8戦ヨーロッパGPにしました。最近よくこのブログで口にする「一国二開催」の現時点最終のGPです。2012年は近年稀にみる混戦で面白かったので、取り扱うこと7回目になります。それでも前回は一昨年のアメリカGP前でしたのでmiyabikun1年半我慢しましたよー。さすがに8年前となればまだ今でも現役をしているドライバーが沢山活躍しています。
シーズン7戦まで終えて、2年連続のチャンピオンを獲ったレッドブルのベッテルは2回の表彰台こそあるものの、優勝は第4戦バーレーンGPの1回に止まり、平凡な序盤戦で3連覇獲得の雲行きが怪しくなっていました。ただしライバル達も突出した者がいるわけではなく、開幕戦のバトンをはじめ、マレーシアはアロンソ、中国で初優勝のロズベルグ、スペインで初優勝のマルドナド、モナコで2勝目を挙げたウェバー、そしてカナダのハミルトンと皆1勝で並び横一線でヨーロッパGPを迎えました。このレースで誰が2勝目を挙げるのか、はたまた新たな優勝者が加わりさらなる混戦に向かうのか、様々な期待を背負っています。
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ヴァレンシア市街地はまるで温暖なリゾードのような貨物港を改良して設置されたサーキットです。幅員は広めですが、パッシングポイントは限られているため、歴代でも平凡なレース内容に終わることが多くありました。しかしヴァレンシア最終年の12年決勝は実に大荒れ。出来事全てを書けないくらい盛り沢山であったため、あまりジロジロ見ていないで予選はサラリと終えておきましょう。

予選はQ1はスペインGPでの初優勝の勢いそのままにウィリアムズのマルドナドが1位通過。Q2では初優勝が待たれるロータスの若手グロージャンが1位で通過し、予選も混戦の装いで進行していきます。スタート位置が決まるQ3はようやく真打ち登場とベッテルがハミルトンを0.3秒引き離すポールポジションを獲得。シーズン2勝目に向けた準備は万端です。マルドナドやグロージャンも好位置につけ、上位はロータス2人を除くと各チーム1人ずつがシングルグリッドに並ぶという結果となりました。ザウバーの小林可夢偉はその中に混ざる7番手を獲得、期待の地元アロンソはQ2突破ならず11番手止まり、マルシャに移籍したグロックは体調不良により予選に参加できませんでした。

《予選結果》
 1 S・ベッテル (レッドブル・R)
 2 L・ハミルトン(マクラーレン・M)
 3 P・マルドナド(ウィリアムズ・R)
   ※タイヤはピレリのワンメイク

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ポールスタートのベッテルは順調な加速をみせ、早くもお得意な逃げ逃げ戦法を採りつつあります。また5番手スタートとなったロータスのライコネンの蹴り出しは良かったのですが、位置取りが悪く7番手スタートの小林に先行されています。小林は5位浮上でなかなかの滑り出し。
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しかし両者は15周目に1回目のピットインが重なり、6秒近くかかりもたついた小林はライコネンに先行を許してしまいます。せっかく1周目に前に出たのに、もったいない。

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このレースは中団に埋もれる形となった地元アロンソは1周目で3人抜きに成功、毎周着実に順位を上げて1回目のピットインで暫定3位に浮上してきました。何せ国代表を背負っていますからね、力が入ります。
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本線に戻ればライコネンと小林の前となる9位に復帰、触れる事なくオーバーカットに成功しています。

トップをひた走るベッテルは2位に1周で1秒近くギャップを築き、17周目の1回目のピットを終えてもトップで本線復帰しています。完全なる逃げ状態。いいんですよ、例え面白くなくともそれはポールスタートの特権ですからね。徐々にタイヤ交換を終えて順位がシャッフルされると、まだ交換していないドライバーの遅いラップにつかえることとなります。IMG_3370
12番手スタートだったメルセデスのシューマッハはタイヤがズルズルする中「電車ごっこの運転手」になってしまっています。後ろから速い車が集まり、まるで走行会みたいだ。抜き辛いヴァレンシア市街地で相手が巧みなライン採りをされてはひとたまりもありません。
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20周目にシューマッハとウェバーが離れて、ようやくレース再開!みんな鬱憤を晴らすかの如く、気持ちの良い加速をみせていきます。
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まずライコネンがウィリアムズのセナをかわす。その隙をねらって小林も狭いインから
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うわ、小林と接触してセナがスピン!裁定はセナがラインを閉めたという事でセナにドライブスルーペナルティとなりますが、正直前を走るのはセナだっには違いないし。うーん小林もちょっと無理があったかな。好調な滑り出しから一転して、要らぬピットインを強いられて順位を落としています。

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レースを見守る彼、どことなくルクレールに似ていますが、今は亡きアニキのビアンキです。この時はフォース・インディアに短期留学中の頃。先輩達は若手に対していい見本にならなければなりませんね。

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レース折り返し間近の27周目にケータハムのコバライネンにトロ・ロッソのベルニュが近付きます。近付きすぎて
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あたかも横につけて文句でも言いに行くかのような接触。優勝経験者コバライネンもナメられたもんだな。両者のタイヤバースト、パーツ飛散によりセーフティカーが発動されます。
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少し早いけど当然ながらその間に2回目のタイヤ交換も終えようという。ハミルトンはジャッキを落とすのが早く、フロントタイヤがひん曲がったまま。
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直す間に同時ピットインのアロンソが横を抜けていく。
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アロンソは4.2秒ストップ、ハミルトンは14.1秒かかり、またもやオーバーカット?成功。暫定3位に。
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トップのベッテルはタイミングが悪く、ライバルより1周遅れてピットに。これは大失敗かな?!
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おお、まだセーフティカーが待ってくれていた。一人ぶっ飛んだ速さでギャップを築いていたことが功を奏しましたね。残念ながらこれでそのアドバンテージは帳消しになるけど。

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34周目にセーフティカー退去、再スタートへ。アロンソはこの時を待っていた。グロージャンを抜いて2位へ。
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後方ではもう一人のフェラーリ、マッサの右側に黒いノーズが入り込む。
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小林が強引に攻め立てた結果、今回は小林が次戦イギリスGPの5番手降格という重いペナルティが下りました。スタートで好位置につけ相方ペレスより前を走っていただけに残念な結末。

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さらに幸運を続けたベッテルにとうとう悲劇が。オルタネーターのトラブルによりスローダウンし、何と11番手スタートのアロンソがトップに立ちます。
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先生お決まりのがっかりポーズ。
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ベッテルはカメラにグローブを投げつけ八つ当たり。ちなみに順位を落としたグロージャンもこの直後にベッテルと同様のオルタネーターによりリタイヤしています。二人ともルノーエンジンユーザーです。

毎年おとなし目なヴァレンシアも今年これでは終わりません。2回目のピットでサゲサゲな気分にさせられたハミルトンは早くもタイヤがズルズルし始めました。後ろから静かにライコネンが忍び寄る。IMG_3406
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忍び寄ること12周、ハミルトンのタイヤが完全に滑り出したことを確認してようやくパス。やっぱり復帰後のライコネンはどこか慎重派というか度胸が無いというか、カドが丸く、鈍い。ハミルトンの背後にはマルドナドの存在もチラついています。何か起きそうな予感(笑)
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アウトから並んで
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コース外から
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ハミルトンを弾き飛ばす!チャンピオン経験者?!そんなモン関係ないね、オレだって優勝経験者だ。
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悔しいことばかりのハミルトンはステアリングを投げ捨てる。最近のドライバーではあまり見なくなった懐かしい光景です。金星を得たマルドナドはレース結果に20秒追加のご褒美がつき、12位入賞圏外へ。
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ウィングを無くしたマルドナドをシューマッハとウェバーがセットでパス。今日のこの年長者二人は何かとコンビで動いています。シューマッハは復帰から3年かかり初の3位表彰台を獲得!

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《決勝結果》
 1 F・アロンソ  (フェラーリ・F)
 2 K・ライコネン (ロータス・R)
 3 M・シューマッハ(メルセデス・M)

あらら、アロンソはこんなところでマシンを止めてしまいました。おまけにマーシャルもマシンに触れているのでペナルティの対象となります。アロンソはマシンにトラブルがあり、あの場で停めたと会見で話していますが、真相や如何に(笑)後方スタートの市街地サーキットでセーフティカーも絡んだジャンプアップ、過去のある出来事を思い出しますが、今回は幸運が重なったとはいえ「魔法」は無し。地道に順位を上げ、隙を狙い賢く戦った誇らしい結果です。シーズン2勝目一番乗りとなりました。
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それにしてもこのメンツは豪華。世代交代が始まっているというのに、その前の代のレジェンドが並べばそれはそれで画になります。ヴァレンシア市街地でのレース、一国二開催の最後を母国優勝という形で飾ったメモリアルレースでした。

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近年中団争いにもがくルノーワークス。エンジンサプライヤーとしては素晴らしい功績はあるものの、ワークスとなると「青い時代」を除けば歴代でパッとしませんし、歴史的に消えたり湧いたりを繰り返しています。現ルノーワークスの前身は「ロータス」というF1で名の通る冠を付けた「黒いルノー」でした。黒いといっても「中身が真っ黒い」という意味ではありませんよ(笑)2012年型のE20が今回の主役です。

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《設計》
 ジェームス・アリソン
 ディア・ダ・ビア

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《外見》
ルノーワークスは2010年末にグループ・ロータス(エスプリやエリーゼといった市販車を扱う部門)に株式を買収されたことで2011年シーズンを「ロータス・ルノー」という名で参戦しました。ところが小林可夢偉もドライブしたケータハムの前身も「チーム・ロータス」を名乗ったため「どっちがあのロータス?!」となりましたよね。結論としてはどちらのロータスもあのロータスの直系ワークスではないというのが答えで、クラークやヒル、アンドレッティやハッキネン、中嶋悟もドライブしたあのロータスは1994年で歴史的にピリオドを打ち、今回取り扱うロータスは「ルノーワークスの継承」となります。
冒頭から話が逸れましたが、この初代「新生ロータス」はカラーリングこそ前作ルノーR31と似ているものの、内容はガラリと変えた「挑戦と新技術投入」がうかがえるマシンでした。引き続きジェームス・アリソンの作品となったE20はまずR31がチャレンジして失敗に終えた「サイドポンツーン前方(側方)排気システム」を一新し、センターに排出する方法に切り替える決断をしました。高温、高圧の排気を側面に持ってくるアイデアは興味深いものでしたが、マシンが燃えてしまっては元も子もありません(笑)
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このE20は技術的に攻めの姿勢を密かにしていました。一つ目が「フロントの車高調節システム」(リアクティブ・ライドハイト・システム)です。一見ダメそうな技術っぽいですよね。リアクティブとは「反応的な」という意味です。では何に反応するかというと、ブレーキング時に前方が下がることに反応してプッシュロッドの車輪側(アップライト接続部)が伸びるというもの。そうすればブレーキング時も車高を一定に保てるため、挙動も安定します。以前にウィリアムズで一世風靡した車高調節システム「アクティブサスペンション」との違いは能動的「予め地点や作動量を定めて作動する」か受動的「あくまで外部からの負荷に反応して作動する」かの違いで、後者であるE20の技術はFIAに確認のもと開発されていました。しかし開幕前にFIAから「可変空力装置」という判断が下されお蔵入りとなっています。
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その他にはこの時代に盛んに開発された「ダブルDRS」がありました。ロータスはコクピット後方上部のエアインテークの左右にさらに開口を設けて二系統の空気を取り込みました。一つはリヤウィング下部にまたがるビームウィングへ排出、もう一つはリヤウィングのステーを介してウィングから排出してマシン後方の流速増加を行う「予定」でいました。しかし、シーズン後半で本戦採用のタイミングが合わず、惜しくも日の目を見ることはありませんでした。ライバルのようにもう少し開発が早ければ、功を奏していたことでしょう。
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このシーズンのマシンといえばTボーンクラッシュ(前車の腹部、サイドポンツーン付近に「T字」で衝突すること)の安全対策として「ノーズコーン高さは路面から550mm以下(ただしモノコック前部は高さ625mm)」というレギュレーションになったため、実に滑稽な、むしろブサイクな前面形状となりましたね。ところが黒いタキシードをまとう英国紳士E20は段差こそあるものの、カラーリングも相まってか平滑に上品に仕上げてきました。実績を問われるのはもちろんのこと、F1も「見た目」は非常に重要ですね。

カラーリングは前作から引き継ぐ伝統の「黒地に金文字」です。miyabikunは現役のジョン・プレイヤー・スペシャル(JPS)のカラーリングを見た事はありませんが、オトナになるとあのシブさが少しずつ分かる気がします。E20は残念ながらJPSではなく、GENIIというベンチャー投資会社になります。フロント、リヤのウィングレットの真っ赤もアクセントとしてカッコいいですね。黒や金だと、きっとボヤけて見えます。赤だから、締まる!ルノーといえば、トタル!

《シャシー》
 全長:5,038mm
 全幅:1,800mm
 全高:   950mm
 最低車体重量:640kg(ドライバー含む)
 燃料タンク容量: - ℓ
 ブレーキキャリパー:AP
 ブレーキディスク・パッド:AP
 サスペンション:フロント プッシュロッド
                                  リヤ    プルロッド
 ホイール:OZ
 タイヤ:ピレリ

シャシー名は前作ルノーR31からE20になりました。31から20に減っちゃった?!それもどうしてLotusなのにE?!それはファクトリーを構えるイギリスのエンストンからきています。ここで20番目に生み出されたマシンだからだそうです。余談ですがロータスの市販車、エリーゼ、エスプリ、エランにエリート。全てではありませんが、なぜか頭文字「E」がやたらと多E。面白Eですね。

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《エンジン》
 ルノーRS27-2012
 V型8気筒・バンク角90度
 排気量:2,400cc(推定)
 最高回転数:18,000rpm(制限)
 最大馬力: - 馬力(非公開)
 燃料・潤滑油:トタル

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《ドライバー》
 No.9   キミ・ライコネン(全戦)
 No.10 ロマン・グロージャン(第13戦を除く全戦)
    ジェローム・ダンブロシオ(第13戦)

フェラーリを離れてラリーに転身したライコネンがまさかの3年振りにF1復帰。今までマクラーレンやフェラーリのイメージが強かっだけにロータス(ルノー)に乗るライコネンは想像していませんでした。そもそもF1昇格前はフォーミュラ・ルノーでならしたんですよね。この話になると毎回タラレバで思ってしまうのが「クビカの怪我」の件。クビカが怪我して2011年シーズンをフルで戦えていたら、もしかしたらライコネン復帰の隙間は無かったかもしれないと想像してしまいます。そのライコネンの相方には2009年のルノー時代にサードドライバーから昇格し、スポット参戦していた若手のグロージャンがこちらも3年振りの復帰となっています。2010年もそのままルノーだと思っていたら、横からクビカが逃げ場を探して飛び込んで奪われちゃったんだよな。ってなんだ?どちらもクビカ絡みかい!(笑)そんなグロージャンも第12戦ベルギーGPでスタート直後に思い切り散らかしてしまい、罰金&1戦出場停止を食らったため、翌第13戦イタリアGPはサードドライバーのダンブロシオが代走しています。

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《戦績》
 303ポイント コンストラクター4位
 (1位1回、2位4回、3位5回、4位1回ほか)
 ポールポジション0回

開幕前からライコネンの復帰とシーズン前合同テストの好位置につけたロータスの期待度は高くありました。開幕戦オーストラリアGPの予選はライコネンではなく何とグロージャンの方がポールから0.2秒落ちの3番手を獲得しました。結果的にグロージャンがスタート直後にリタイヤ、ライコネンは7位入賞で終えています。
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その後、予選はグロージャンに分があり第11戦ハンガリーGPで2番手を獲得し、決勝はライコネンがしっかり表彰台登壇を連ねていきます。ただライコネンは第4戦バーレーンGP、第8戦のヴァレンシア市街地によるヨーロッパGP、ハンガリーGPで2位止まり。グロージャンも第7戦カナダGPで2位(ちなみに現時点まで含めての最高位)で、ダブル表彰台は獲得してもなかなか表彰台の最上段に到達できないレースが続きました。第16戦韓国GPでこの時代のトレンドとなっていた「コアンダ・エキゾースト」(サイドポンツーン後方のエンジンカバーを切り欠き、マシンに沿わせる形で排気するシステム)を導入。終盤の第18戦アブダビGPで以前にも振り返ったことのあるライコネンの「放っておいてくれ優勝」を迎えてシーズン優勝者8人目、チーム初優勝を獲得。結果的にはライコネンがドライバーズランキング3位、グロージャンが8位、コンストラクターズ4位とトップには及ばずもまあまあ上出来の初年でシーズンを終えました。

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秘めたる技術のお蔵入りは残念でしたが、マシンカラー同様「ダークホース的存在」でシーズンを盛り上げてくれた一台でした。

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真ん中にド派手な色使いの展望台。そして、周りには何もないド田舎。2007年を最後にカレンダーから外れていたアメリカGPは、5年振りに新設のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(以下COTA)で復活を遂げました。2012年のアメリカGPです。
この年は近年稀にみる激闘がみられた年でしたね。ラリーから3年振りにライコネンがF1に復帰し、M・シューマッハを含めたチャンピオン経験者6人肩を並べることになりました。さらには今では想像もつかない開幕から7戦連続8人の勝者を生み出して、レッドブル&ベッテルの3連覇に待ったをかけています。この年は最終戦の一つ前となる第19戦に設定されたアメリカGPまでに、ベッテルがランキングトップの255ポイント。そして245で2位のアロンソまでがチャンピオン争いの対象となり、3位につける復活ライコネンは前戦アブダビGPで久々優勝を挙げるも、チャンピオン争いから脱落しています(アブダビGPは以前に振り返りましたね)

お決まりのヘルマン・ティルケによるデザインで初開催のCOTAは世界各国の名物コーナーを模していますが、正直未知数です。ただ明らかにわかっていることはコントロールライン付近の走行ラインはグリップに富み、偶数側のラインは先に控える険しい上り鋭角ターン1を考慮してもグリップが無く、不利だということ。予選はベッテルがCOTAの初ポールをもぎ取り、コンストラクターズチャンピオンに王手のレッドブルの邪魔をするかのようにマクラーレンのハミルトンが割って入っています。ベッテルより先に3回チャンピオンを獲れるかアロンソの予選はロータスやフォース・インディアにも先行されてなんと9番手。4番手のグロージャンがギヤボックス交換ペナルティによって9番手に降格するため、その結果一つ順位を上げた偶数側8番手となります。なお日本GPで表彰台登壇済みの小林可夢偉は相方ペレスと並ぶ16番手でした。

《予選結果》
   1 S・ベッテル    (レッドブル・R)
   2 L・ハミルトン(マクラーレン・M)
   3 M・ウェバー   (レッドブル・R)
   ※タイヤはピレリのワンメイク

偶数側、それもベッテルとも大きく離れたフェラーリ陣営は頭を使いました。事もあろうに、決勝を前に6番手繰り上がりの相方マッサのギヤボックスを開けて、交換も何もせずまた戻す。するとどうなるか
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交換はせずも開封したためグロージャンと同じ5位分降格ペナルティが発生します。するとするとどうなるか
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じゃじゃーん、アロンソ1up!奇数側7番手をゲットなりー!F1とはスポーツでもあり「一定規則の中でチャンピオンを争う競技」です。レギュレーションの拡大解釈で間違いはありません。ただ、マッサは自力でアロンソより速く走ったのに、もはや「モノ扱い」

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ならばみせてもらいましょう、犠牲を無下にしない立派な結果を。
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おお!
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なるほど。7番手スタートからターン1出口までに4位まで浮上。さすがアロンソ様だ。そして偶数側のグズグズなスタートを見ていると、前評判通りの結果ですね。

ベッテルが気にしていればいいのは「アロンソより前にゴールする」こと。2位のウェバーに対しても得意の「1秒以上差のDRS圏外クルージング」で早くもイージーレースを作り始めました。
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そんなことどうでもいいけど、偶数スタートで3位に順位を下げたハミルトンはただレースで勝てればいい。邪魔なウェバーを攻め立てています。ウェバーはハミルトンに抜かれると、オルタネーターの不調によりわずか18周で朽ち果てています。これでアロンソが3位に浮上しました。期待しても役には立たない、仕方ない、上出来なナンバー2だから。
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ギヤボックス交換ペナルティが無ければ4番手だったロータスのグロージャンは元気がいいです。
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黒と銀の出戻りチャンピオン2人をインから一気抜き!
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その勢いでヒュルケンベルグもいっておく?!
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勢い余って、誰にも触れずの単独スピン。何やってんだ?!6年経った今でもやってることがそう変わらないという。。

アロンソもスタートダッシュで一気にタイヤを使ったかコースアウトするようになり、22周目に2位ハミルトンと合わせてミディアムからハードタイヤへチェンジ。
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ただそのハードタイヤは仕上がりが良くなく、新品のはずが初めからハードを履き続けているマクラーレンのバトンに追い抜かれる。これはアロンソに限らずハミルトンもベッテルも同様でした。
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前回インディアナポリスでの2007年アメリカGPを制したのはハミルトンでした。チャンピオン争いには関係ないけど、COTAの初優勝が欲しい。第2スティントでファステストラップを積み重ねながらベッテルとのギャップを詰めにいきます。
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各サーキットでの適応力が高く先手必勝を得意とするレッドブル、対してパワーと伝統のマクラーレンがKERS放出のDRS開放で20km/hの速度差で最接近!
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ベッテルもハミルトンに負けじとファステストラップを記録して逃げる!そして42周目
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ハミルトンがベッテルをインから食って逆転!今のベッテルの敵はハミルトンでなくアロンソです、無駄な抵抗せず。今回はそれでいい。

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《決勝結果》
   1 L・ハミルトン(マクラーレン・M)
   2 S・ベッテル   (レッドブル・R)
   3 F・アロンソ   (フェラーリ・F)

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カウボーイハット、よく似合いますね。初開催のCOTAはハミルトンが制しました。アロンソも3位を堅実に守り260ポイント、ベッテルとのポイント差は13として何とか最終戦ブラジルGPまで持ち越しています(最終戦も以前に振り返っています)

レース後のハミルトンの回答が印象的です。
「アツくなっていたベッテルとあなたの違いは?」
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「勝ちたい気持ちがベッテルに勝った」
ハミルトンやベッテルのレースはポールトゥウィンが多めということもあり、面白みも少なく今まであまり振り返ってきませんでした。でもこの10年近くの期間ずっと最強最速を築いてきてきたのは間違いなくハミルトンです。近年は若い頃のおごりや尖りも薄れて、むしろ賢さと冷静さを兼ね備えた「非の打ち所がない」完成形になりつつあります。

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今回アブダビGPで振り返るのは、ちょうど5年前にあたる2012年です。レースやマシンでやっている「振り返るシリーズ」は大体5年以上前から選んでいるので、ギリギリです。2012年は過去に中国GP、スペインGP、日本GPとこのアブダビGPの後に控える最終戦ブラジルGPを振り返っているので、なかなか常連になってきました。
この時点でチャンピオンはまだ決定しておらず、ランキングトップはレッドブルのベッテルが240、2位にフェラーリのアロンソが227で続き、3位ロータスのライコネンは173と、チャンピオン争いは残り3戦のこの時点で3人に絞られています。

予選は肝心なベッテルが3番手と振るわず、アロンソに至ってはポールのハミルトンの0.95秒落ちの7番手となっています。さらにベッテルは予選後に自力でピットインすることができず、規定のガソリン量が残っていないため違反となり予選失格で最後尾まで降格することになりました。ポイントで有利な立場ではありますが、この時代は優勝に25ポイント付与されますから、仮にアロンソが2連勝、ベッテルが2位2回となった場合、1ポイント差でギリギリひっくり返すこともできます。ベッテル、くだらないトラブルで大ピンチ!

《予選結果》
     1 L・ハミルトン (マクラーレン・M)
     2 M・ウェバー   (レッドブル・R)
失格 S・ベッテル    (レッドブル・R)※
     3 P・マルドナド(ウィリアムズ・R)
        ※ガソリン残量違反で予選取り消し

ベッテルはピットレーンスタートを選択しています。最後尾でもピットレーンスタートでも、この順位なら変わらないか。
スタートはフロントロウの「ナンバー2」がもたもたよろよろ、、4番手に繰り上がったライコネンが一気に2位にジャンプアップして、チームメイトの「壁」はターゲットのアロンソにもハードブレーキングからかわされて、脆く崩れ去りました。ベッテル、こうなれば、1人で頑張るしかない。また、後続もターン1でウィリアムズのセナがフォース・インディアのヒュルケンベルグと交錯して、早くも戦線離脱。今回は「パッシングの仕方」が鬼門となっています。

ベッテルが追う!あれ?右フロント、、
ウィングの翼端板がありません。序盤から波乱です。ピットは取りあえず用意するも、やっぱ止め。

9周目にHRTのカーティケヤンにメルセデスのロズベルグがパッシングに失敗し、マシンを浮かせてカーティケヤンを飛び越える。ウィッキーさんに英会話講座をしてもらっているみたいだ(笑)2人とも体は無事。ロズベルグ、パッシング下手くそ。チャンピオンはしばらくお預けだな(結局4年も待つことに)

その事故によるセーフティカー先導中に珍事がありました。黄色いくちばしベッテルの前を金のくちばしのトロ・ロッソ、リカルドとウェービングの歩調が合わず
フロントウィング左側を「DRS区間開始」を示す看板にぶつけてしまいます。これで完全に壊してしまいました。いよいよピットで交換作業を決意。せっかく追い上げを開始していたのに、再度最後尾に戻るハメに。スタートで4位に上がったアロンソとの距離がまた離れ、チャンピオン争いをやっていく上でかなりのピンチです。
17位走行のロータスのグロージャンをコースからはみ出して抜こうとするベッテル、これはダメだろ。焦っています。

20周目にポールからいつものように逃げを図るハミルトンの出力が落ちリタイヤ。これでトップがライコネンに変わりました。スタートダッシュの甲斐がありましたね。アロンソもマルドナドをかわして2位に順位を上げています。次にマルドナドに迫るのはスタートでしでかしてしまったウェバーはアウトから
あらら、違う。抜きにかかったはずがスピンでさらに7位まで順位を落とす。今日はウェバーの日ではないらしい。では続くマルドナドへのチャレンジャーとなったマクラーレンのバトンはインから
正解!さすがチャンピオン経験者。順位を取り戻したいウェバーはマッサをどうさばくか?またアウトから??
だから違うって!コース外から前に出るとマッサがとばっちり。その間に8位まで順位を上げていたベッテルにまでかわされてしまいます。マッサとしてはアロンソとベッテルの間に居座りたいところだし、もはやアロンソを抑え込めないいいところなしのウェバーはこれが狙いだったか?!(笑)ウェバーとベッテルが前後になるとうまい具合にウェバーをピットインさせて、ベッテルを前に。これで3位まで浮上。

38周目に入り、グロージャン、ディ・レスタ、ペレスそして遅ればせながらまたまたウェバーの4人で5位争いを始めました。まずディ・レスタがグロージャンにアクションを起こし、グロージャンの背後に隙を伺うペレスがピタリと張り付いています。
うわ、ペレスがアウトから
やっぱりコース外にはじき出されて、強引なコース復帰すると
あららら、、
後ろで傍観していたつもりのイマイチなウェバーを巻き添えに、明後日の方向に追いやりペレスか引っ掻き回してしまいました。名門マクラーレンへの移籍も決まっている調子に乗るペレスには手痛いストップアンドゴーペナルティが下ります。

終盤に入ると、後方の雑踏を知らないアロンソがファステストラップでライコネンを捕まえにいきます。チームからライコネンにアロンソとのギャップについて情報が飛びました。それに対して
「ちょっと一人に放っておいてくれ。自分のしていることはわかってる」
ライコネンの性格を象徴するような有名な返しです。ラスト3周で3位のバトンをかわしたベッテルは何とかアロンソの背後までリカバリー。ピットレーンスタートから接触にアクシデントとベッテルにとってはなかなかな試練を最小限に止めています。

《決勝結果》
   1 K・ライコネン(ロータス・R)
   2 F・アロンソ    (フェラーリ・F)
   3 S・ベッテル    (レッドブル・ R)

2007年にチャンピオンを獲得し、2009年で一度F1を離れたライコネンは2009年のベルギーGP以来となる3年2ヶ月振りの優勝となりました。ただし、優勝したもののポイントランキングの上位の2人もポイントを獲得しているため、ライコネンはこの時点でチャンピオン争いから脱落するという現象が起きています。また、この3戦後となる翌2013年開幕戦オーストラリアGPでも優勝したライコネンはそれを最後に優勝からは4年以上遠ざかっています。来シーズンもフェラーリドライバーが決定していますので、そろそろ訪れるであろう「有終の美」の準備と覚悟で頑張ってほしいですね。

このシーン、何度見ても笑えます(笑)好きです。
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歴史あるプライベーターも今や完全なるテールエンダーと化したザウバー。前にも振り返ったように、以前は大型スポンサーとしてペトロナスを味方につけたり、将来が期待される新人を多く輩出してきたチームでした。創設者であるペーター・ザウバーも身を引き、跡を引き継いだF1初の女性チーム代表モニシャ・カルテンボーンも第7戦カナダGPを最後に退任して「ザウバー」の名残はチーム名称とシャシー名くらいになってしまいましたね。今回はまだギリギリ「ザウバニズム」を感じ取れた2012年「C31」をみていきたいと思います。
《設計》
(ジェームス・キー)
   マット・モリス
   ウィレム・トーレ

《外見》
今はトロ・ロッソでテクニカルディレクターを担うジェームス・キーが2011年のオフシーズンに手がけるも、開幕を前にチームから離脱しているため、このシーズンはマット・モリスがテクニカル部門の指揮を執りました。
この前のマクラーレンMP4-27と同じ2012年ですので、ノーズはマクラーレン以外の各マシンと同じく残念な形をしています。レギュレーションで「こういう形状にしなさい」とあるわけではありませんが、安全を考慮した「ノーズ先端の高さは車体底部から550mm、モノコック前段の高さは625mm」というレギュレーションの中、少しでも合理的なデザインを採るとこぞってこうなってしまうという、ファンのみならずデザイナーやドライバーなど誰もが認める「醜い時代のマシン」でした。当時のザウバーはご覧のような白と黒(濃紺?)のカラーリングに「段差部に白地のナンバー」もあってか、その段差がまた大きく、目立って感じました。
近年はハースが「第2フェラーリ」の地位を担っています。この頃のザウバーは今よりもフェラーリとの距離も近く、エンジンをはじめギヤボックスも供給を受け、リヤサスペンションもフェラーリに合わせる形を取っていました。フェラーリF2012でリヤをプルロッドに変更すると、ザウバーもそれに合わせて前作C30のプッシュロッドからプルロッドに変更を施しています。
見易く図解されたものがあるので、それら画像をお借りして簡単に説明します。図の黄色いバーがロッドで、左側がプッシュロッド、右側がプルロッドになります。昔のF1マシンはロッド自体を細くできる逆ハの字をなすプルロッド(路面からの衝撃に対し、ロッドを「引張」で機能させる)の採用していました。しかしハイノーズが主流になると搭載位置の関係から自由度豊かなハの字のプッシュロッド(路面からの衝撃に対し、ロッドを「圧縮」で機能させる)とするマシンが増えます。ただそれの副産物としてロッドが太くなり若干の高重心と空力的支障をきたしてしまいました。そこでリヤを再び空力処理に有利なプルロッドに変更する傾向にあります。
先日のマクラーレンMP4-27と同様に早い時期から「コアンダ・エキゾースト」を導入、シーズン序盤から好成績のスタートに結びつけました。また、これらリヤエンドの改良によって、前作C30の弱点であったタイヤへの問題を軽減、入力が優しくロングランにも貢献し、この頃に「タイヤを保たせる術」を会得したペレスは今日の走りにも活きてきます。
ザウバーF1といえば、歴代青系か黒系のカラーリングを繰り返しています。この時代は黒と白のツートンカラーにメキシコ企業のスポンサーが増え始めています。ご存知の通りペレスがもたらした資金が多く反映されています。パトロンがいるとやはりシート獲得に有利に働きますね。

《エンジン》
フェラーリTipo056
V型8気筒・バンク角90度
排気量:2,398cc(推定)
最高回転数:18,000rpm(制限)
最大馬力: - 馬力(非公開)
《シャシー》
全長:5,195mm
全幅:1,800mm
全高:1,000mm
最低車体重量:640kg(ドライバー含む)
燃料タンク容量: - ℓ
ブレーキキャリパー:ブレンボ
ブレーキディスク・パッド:ブレンボ
ホイール:O・Z
サスペンション:フロント プッシュロッド
                                 リヤ    プルロッド
タイヤ:ピレリ

《ドライバー》
No.14 小林可夢偉          (全戦)
No.15 セルジオ・ペレス(全戦)

《戦績》
126ポイント コンストラクター6位
(2位2回、3位2回、4位1回、5位1回ほか)
ポールポジション0回

小林可夢偉とペレスによるコンビ2年目です。表彰台登壇は4回で、その内訳は小林が第15戦日本GPでの3位1回、ペレスの第2戦マレーシアGPと第13戦イタリアGPでの2位と第7戦カナダGPでの3位となっています。コンストラクターズランキングは2001年のN・ハイドフェルドとK・ライコネンのコンビによるC20での4位がザウバーの歴代最高位でした。ただ表彰台はハイドフェルドの3位1回に止まるため、この2012年の方が内容としてもインパクトも優れていたように感じます。
開幕戦オーストラリアGPは予選で小林が13番手、ペレスが17番手(ギヤボックス交換ペナルティにより22番手スタート)に沈むも、決勝ではチーム内接触がありつつ両者入賞を獲得。第2戦マレーシアGPでペレスは予選10番手からチーム最高位となる2位表彰台、第3戦中国GPでは小林がチーム初のファステストラップを獲得するなど、トップチームに引けをとらない走りを披露してくれます。その後ペレスは先述の通りカナダ、イタリアと登壇する活躍をみせ、日本GPを前にフェラーリとの関係を断ち、マクラーレンからオファーを受けて移籍にこぎつけました。結果で一歩劣る小林は、去年振り返ったようにその地元予選4番手(マクラーレンのバトンのギヤボックス交換ペナルティにより3番手スタート)からヘヤピンでの連続パッシングとバトンの猛追を振り切って3位表彰台を獲得、悔しさを走りでカバーしています。
シーズン終盤は小林が2回入賞を果たすもトップチームへの移籍が決まったペレスが全くポイントを稼げず「腑抜け」になってしまいました。さらにチームは2013年に小林と契約更新するためには「ペレスからもたらされた資金を調達することが条件」とされ断念、F1浪人を強いられたのは記憶に新しい出来事だと思います。
F1を離れた小林は今も現役で世界の舞台で戦う日本のトップドライバーの1人です。アジア人でみても上位にくる活躍をもってしても、F1のシートにおさまることができず、片や当時のチームメイトの2人は現在もF1に籍を置けているというのが実情です。いかに現代のF1はドライバーの腕もさることながら「お金とタイミング」が重要であるかを知らしめてくれています。

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