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こちらはフリー走行から思惑通りにクラッシュして右フロントを潰してくれたレッドブルの新チャンピオンのベッテルです。最終セクションの縁石を踏み違えると制御不能となって、いわゆる「チャンピオンズ・ウォール」の餌食になります。2010年に最年少チャンピオンを獲得したベッテルは翌年晴れてチャンピオンの仲間入り?!今回はその2011年カナダGPです。

幾多のクラッシュにセーフティカー発動、一方で初優勝も生むジル・ヴィルヌーブサーキットは難関GPの一つ。ロングストレートのためのパワーも欲しいし、前半は遊びも少ない右コーナーが続くストップアンドゴーレイアウトです。それ故、燃費も厳しくセッティングや走り方に神経も使います。メルセデスエンジンを積むパワーのマクラーレンはスポンサーロゴがバッチリわかるくらいウィングを立てていますね。
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ウォールの洗礼を浴びたレッドブルはマクラーレンとは異なるウィング角で挑みます。これ、実はこのレースのキーポイントです。予選は好調ベッテルがポールポジションを獲得し、カナダ大得意のハミルトンの前にはフェラーリ2人が割って入っています。
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《予選結果》
   1 S・ベッテル(レッドブル・R)
   2 F・アロンソ(フェラーリ・F)
   3 F・マッサ   (フェラーリ・F)
   ※タイヤはピレリのワンメイク

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決勝は雨がパラつきウェットタイヤ限定のセーフティカースタートとなります。こうなるとカナダお決まりスタート直後の1,2コーナーの渋滞ごちゃごちゃショートカットは回避できます。
5周目からセーフティカーが外れてローリングスタート。トップ3台は危なげなく1コーナーに進入していきますが、4番手ウェバーと5番手ハミルトンが1コーナー進入で接触しています。ウェバーは向きが反転して大損。
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M・シューマッハとバトンに先行されて2つ順位を下げるに留めた小損のハミルトンは9周目に入る前のコントロールラインで狭いアウト側にわざわざ切り込んでいく。
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ウォールに自ら挟み撃ちしてハミルトン負傷。
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バトンから無線で一言
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このハミルトンはスタートでも詰めが甘いし、この件も浅はかでした。どこかイラついているというか、いつものキレが空回りしています。バトンはそのハミルトンのセーフティカーを利用してピットインを敢行、13位まで転落覚悟でいち早くインターミディエイトを採用しています。
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ただしピットで速度超過しておりピットスルーペナルティ食らう。
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RD「く〜っ!お前も何やってんだ!」
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バトンはウェットタイヤ勢を凌ぐハイペースをこなして挽回を図ります。それに準じたアロンソも9周遅れの18周終了時にインターミディエイトへシフト。
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その直後堪えきれなかった雨が!全然見えなくなっています。バトンの追い上げはここまで。準じたアロンソと共にセーフティカーの発動に合わせてわずか2周でウェットタイヤに戻す。とてもとても忙しい。
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オイシいのはベッテル。これが初めてのピットインで新ウェットを選択。方やバトンはペナルティ含めると既に3回やってますからね、レッドブルって今も昔もピットイン巧者ですよね。
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ただセーフティカーペースでウェットタイヤ装着にもかかわらず、トップのベッテルから泣きの無線が入ります。赤旗中断。
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これじゃあ、市販車でもとても無理。。

〜〜2時間中断の末、何と16時前にレース再開〜〜

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「今からレースやるってよ、あはは、、」
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「はいもちろんやります、スタンバイ!」

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26周目再スタートはピットに一度も入っていないザウバーの小林可夢偉が2位につけています。さっきの水たまりが嘘のよう、路面も徐々に乾きつつあり、36周目にバトンは4回目のピットで再びインターミディエイトを履いて復帰も
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なかなかイキイキ過ぎてアロンソ成敗。
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自分も左フロントタイヤ負傷。セーフティカーがまたまた入ってベッテルはまたこの隙で合わせこむ。負傷のバトンは今回5回目21位復帰の最下位。ピットの回数だけはここまで最多1位。
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51周にミスからシューマッハにまでかわされたウェバーが一か八かのドライタイヤをいよいよ装着していきます。
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また、これまで2位を堅持してきた小林可夢偉にずっとやり合っていたマッサがミスを誘うべく攻め立ていきます。
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「違うよマッサ、濡れた路面はこう攻めるんだよ」
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抜きあぐむマッサもろとも銀の弾丸が2台もろとも出しぬき、4位から一気に2位へ。さすがシューマッハ、場数が違う。逆に小林可夢偉は2位から4位へ。

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ウェットとドライのクロスオーバーで飛躍してきたバトンもウェバーのペースをみて52周目からドライタイヤでトライ。これで本日6回目也。

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ウェバー、シューマッハとストレートでかわしてきたバトンは67周目にベッテルの1.5秒、68周目は1秒とジリジリ詰め寄ります。69周目にファステストラップも記録してギャップ1秒を切ってきました。ファイナルラップ!
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前チャンピオンに煽られてヘトヘトなベッテルはとうとうコースアウト。その隙を見逃さない!
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《決勝結果》
   1 J・バトン    (マクラーレン・M)
   2 S・ベッテル(レッドブル・R)
   3 M・ウェバー(レッドブル・R)

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このレースを厚めのダウンフォースで臨み、ペナルティや天候の変化など6回のピットインと2時間の中断を経てぐちゃぐちゃなカナダを制しました。もはやレースというよりかはマシンとドライバーの耐久性、忍耐力テストのようでした。このレース時間見て下さい、4時間4分39秒です。現在の2時間規定の2倍を要しています。これ以降はココまで時間をかけたレースは行われていません。2時間以内に終えるものとしています。今回は色んなイベントがあり過ぎて絞り込むのが大変でした。用意した105枚の画像から何とか頑張って38枚に厳選しました。本当はまだまだみどころや出来事がたくさんありました。画像ペタペタしまくり回をお許し下さい。

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バトンはブラウン時代を除くと独走やポールトゥウィンで派手に逃げ切るよりも荒れたレースを賢く地味に確実に獲るところに強みがありました。22台出走中、相方ハミルトンがリタイヤしたことで21位走行も経験し、ファイナルラップ中盤で優勝してしまったこのレース、個人的にはバトンのベストレースだと思っています。
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「大丈夫か?!頭痛いのか?風邪でもひいたか?