カナダを終えて、一度カナタへ逃避行していたmiyabikunです。この間何をしていたか、実は「沢山のつぶつぶの作成」を進めていました。つぶつぶとは?!この後イヤというほどお見せしますので乞うご期待!(笑)
先日のカナダGPを終え、チャンピオン防衛にひた走るレッドブルのフェルスタッペンがF1参戦150戦を迎えました。あまりに勢い付いて勝ちに勝ちまくられると、今シーズンも夏休み前に終焉を迎えそうでいささか恐怖を覚えてしまいますが、一応キリ番の150戦。現代のF1を支えるフェルスタッペンの戦績を歴代のチャンピオンと並べて「どの位置付けにいるのか」を比較検証したいと思います。長くなりますが、一生懸命につぶつぶしましたのでお付き合い下さい。
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先日のカナダGPを終え、チャンピオン防衛にひた走るレッドブルのフェルスタッペンがF1参戦150戦を迎えました。あまりに勢い付いて勝ちに勝ちまくられると、今シーズンも夏休み前に終焉を迎えそうでいささか恐怖を覚えてしまいますが、一応キリ番の150戦。現代のF1を支えるフェルスタッペンの戦績を歴代のチャンピオンと並べて「どの位置付けにいるのか」を比較検証したいと思います。長くなりますが、一生懸命につぶつぶしましたのでお付き合い下さい。
《フェルスタッペンと近代チャンピオンの戦績比較》
まずは今回の主役であるフェルスタッペンの予選決勝の主な戦績を示します。以下の歴代チャンピオンとの均衡を図るため、一応「全戦戦績」と「150戦戦績」を載せています。先日のカナダGPでキリ番150戦参戦を達成しましたので、数値は当然イコールになります。
〈各記録の算出基準〉
記録は2022年第9戦カナダGPまで
予選除外や失格、決勝リタイヤは「27位扱い」
※は「ペナルティ昇降格前」を採用したため、
公式記録とは若干異なります
●は2022年現役ドライバー
M・フェルスタッペン 決勝出走150戦継続中 ●
150戦達成:2022年第9戦カナダGP
予選 決勝
全戦平均順位: 5.44位 8.45位
150戦平均順位: 5.44位 8.45位
全P.P.回数: 15回
150戦P.P.回数: 15回
全戦優勝回数: 26勝
150戦優勝回数: 26勝
全戦表彰台回数: 67回
150戦表彰台回数: 67回
予選、決勝の各平均順位はいつもの「miyabikun算出法(強烈版)」として、予選での結果除外、失格最後尾、ならびに決勝リタイヤは「27位扱い」とし、決勝の失格やスタートできずは数からも除外しているため、公式記録との差やイメージしている数字よりは低めに出てくる点に注意して下さい。ただ過去のチャンピオン達とも同様の評価をしているため、イコールの比較がしやすいかと思います。
こちらがフェルスタッペンの全150戦の予選、決勝の順位となります。予選はポールポジション、決勝は3位までの表彰台登壇の領域を薄い赤で強調しています。
フェルスタッペンの特徴として「初ポールよりも初優勝が早かった」こと、また「ポールポジションからの逃げ切りよりは決勝で抜く」戦い方であることが多いです。結果的に予選のポール回数より優勝数が上回ります。5勝目くらいまでは意識して数えていた記憶だったのですが、昨年と今年で勝ちに勝ちまくり、あっという間に26勝を挙げていたんですね。チャンピオンも一度獲得したし、歴代でも単独の9位に入りますから、レジェンド級のドライバーにまで成長しました。またこれまでに獲得したポールポジションは15回で歴代22位タイ(ちなみに今シーズンの最大のライバルであるルクレールと同じ回数)
このあと先輩チャンピオンとの比較に入るわけですが、フェルスタッペンの戦績はトロ・ロッソ時代はともかく、レッドブルに移籍してからは予選、決勝とも徐々に上位を安定して獲るに至っています。
〈2010年代との比較〉
次はつい先日までのチャンピオン、2010年代のチャンピオンと同列比較してみます。対象は現役バリバリのハミルトンとベッテル、そして「チャンピオン獲り逃げ」を敢行したN・ロズベルグの3人になります。10年でたった3人というのは何とも寂しい。このグループはロズベルグの戦績も立派ではありますが、ハミルトン、ベッテルが高水準をマークする現役ドライバーですので、比較対象になりそうです。
L・ハミルトン 決勝出走296戦継続中 ●
150戦達成:2015年第3戦中国GP
予選 決勝
全戦平均順位: 3.63位 5.24位
150戦平均順位: 4.15位 7.09位
全P.P.回数: 104回※↑
150戦P.P.回数: 40回↑
全戦優勝回数: 103勝↑
150戦優勝回数: 35勝↑
全戦表彰台回数: 184回↑
150戦表彰台回数: 73回↑
N・ロズベルグ 決勝出走206戦
150戦達成:2014年第3戦バーレーンGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.83位 9.22位
150戦平均順位: 8.72位 11.20位
全P.P.回数: 30回↑
150戦P.P.回数: 5回↓
全戦優勝回数: 23勝↓
150戦優勝回数: 4勝↓
全戦表彰台回数: 57回↓
150戦表彰台回数: 14回↓
S・ベッテル 決勝出走285戦継続中 ●
150戦達成:2015年第11戦ベルギーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 5.99位 7.73位
150戦平均順位: 5.33位 7.35位
全P.P.回数: 57回↑
150戦P.P.回数: 45回↑
全戦優勝回数: 53勝↑
150戦優勝回数: 41勝↑
全戦表彰台回数: 122回↑
150戦表彰台回数: 73回↑
冒頭のフェルスタッペンの記録に対し、そのドライバーがまだ上にいるものに「↑」逆にフェルスタッペンに上回られたものについて「↓」を付けています。またハミルトンのポールポジションに「※」を付けていますが、今回データ比較するにあたり「パワーユニット交換などによるグリッド降格」また「ライバルのそれによりグリッド昇格」を考慮しない数字、つまり「予選セッションで獲得した順位」を重んじたため、公式の数字と差が生まれています。
先程のフェルスタッペンと先輩チャンピオン3人を同縮尺のグラフをドライバー別の色付けをしてプロットしました。あちゃー見辛い。。一つのグラフに150戦×4人=600の点が打ってあります(笑)一応今回の主役であるフェルスタッペンは目立つ黒で最上段にプロットをしたつもりですが、一つずつ目で追うのは大変だと思いますので、感覚的に捕まえて下さい。
このグループの特徴として「早熟のハミルトン、ベッテルと遅咲きのロズベルグ」と戦績が二極化しています。ハミルトンはご存知の通りデビューイヤーにトップチームであるマクラーレンで初ポールや初優勝を経験し、チャンピオン争いまで絡む超大型新人。ベッテルはBMWザウバーへのレンタルスポット参戦に始まり、中堅チームであるトロ・ロッソで初ポール、初優勝にこぎつけていますが、レッドブルに昇格してから5年間は勝ちに勝ちまくり、瞬く間にトップドライバーの地位を射止めています。一方ロズベルグも「ヒルやヴィルヌーブに続くF1二世ドライバー」としてウィリアムズから注目のデビューをするも、才能は評価されつつもなかなか優勝はおろか表彰台すらなかなか登壇できないという戦績が続きました。キャリア中盤でようやくメルセデスワークスが新レギュレーションにうまくハマり、ポールポジションや優勝を挙げるようになり、2016年にようやくチームメイトのハミルトン打破に成功となかなか苦労したチャンピオンでもあります。
今回はフェルスタッペン基準で「150戦到達時点」でデータおよびグラフを切ってしまっているわけですが、ハミルトンの150戦到達はメルセデスで初チャンピオンを獲得した翌2015年第3戦。ベッテルは既にチャンピオンに4回輝いた2年後にあたる2015年第11戦。そしてロズベルグはメルセデスでようやくポールポジションや優勝を挙げることができるようになった2014年第3戦で150戦に到達したため、ロズベルグのグラフは中団から下位にプロットされる結果となりました。フェルスタッペンと比較すると超早熟のハミルトンとは少し異なり、また遅咲きのロズベルグとも異なっているため、三者の中ではベッテルに一番近いのかなという印象です。ベッテルは紫、フェルスタッペンを黒でプロットしているため、判別にはやや困難ですが似ています。それにしても、ベッテルの戦績もすごいですね。今では想像もつきません。
〈2000年代との比較〉
続いて先程よりももう一世代前にあたるチャンピオン衆です。このあたりのドライバーは存命ながらもう現役からは退き、、失敬、アロンソ様がいらっしゃいました(笑)この対象は新しい順にバトン、ライコネン、アロンソの3人になります。miyabikunドンピシャの世代。貴重な現役アロンソとの比較は注目です。
J・バトン 決勝出走305戦
150戦達成:2008年第16戦日本GP
予選 決勝
全戦平均順位: 9.93位 11.36位
150戦平均順位: 10.01位 13.03位
全P.P.回数: 8回↓
150戦P.P.回数: 3回↓
全戦優勝回数: 15勝↓
150戦優勝回数: 1勝↓
全戦表彰台回数: 50回↓
150戦表彰台回数: 15回↓
K・ライコネン 決勝出走349戦
150戦達成:2009年第12戦ベルギーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 7.72位 10.05位
150戦平均順位: 6.23位 10.59位
全P.P.回数: 19回※↑
150戦P.P.回数: 17回↑
全戦優勝回数: 21勝↓
150戦優勝回数: 18勝↓
全戦表彰台回数: 103回↑
150戦表彰台回数: 61回↓
F・アロンソ 決勝出走342戦継続中 ●
150戦達成:2010年第12戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 8.61位 9.91位
150戦平均順位: 7.51位 8.91位
全P.P.回数: 23回※↑
150戦P.P.回数: 19回↑
全戦優勝回数: 32勝↑
150戦優勝回数: 23勝↓
全戦表彰台回数: 98回↑
150戦表彰台回数: 58回↓
こちらもまた見辛い。プロット数は先程と同じ1グラフあたり600。予選、決勝とも23〜26位がスカンと抜けているのは「参戦ドライバーが22〜24人時代が続いたため、それ以下の順位が付かない」ことによります。
見辛いながらも、先程と同様に上下にバラツキはみられます。茶色のバトンと水色のアロンソです。バトンはロズベルグ以上の遅咲きドライバーであり、150戦到達はチャンピオン獲得の1年前にあたる2008年第16戦日本GPとなります。ホンダユーザーとして人気を博しますが、戦績は低迷し、このあたりの時期でみれば、チャンピオン獲得は絶望視されていました。しかし2009年にホンダから化けたブラウンGPが予想に反して新レギュレーションをうまくかいくぐり運気が好転し、シーズン前半で貯金できた結果チャンピオン獲得に至りました。また現役復帰し、勝負強く(ズル)賢いイメージの強いアロンソも、マクラーレン(第一期)を離脱してルノー(第二期)、フェラーリ期はハミルトンやベッテルの台頭で苦戦を強いられた時期を経験しています。このグラフには載ってきませんが、150戦以降のマクラーレン第二期の戦績を加えると、その苦労はさらに重なっていきます。アロンソと同期で昨シーズン限りで引退した「今現在のF1最多出走記録」を持つライコネンの150戦は2009年第12戦ベルギーGPで達成と一度F1から離れる前の戦績であることもあり、2人に比べると上位が続いています。
フェルスタッペンとの比較という観点でいけば、ピンクでプロットしたライコネンと近いものになっています。ライコネンも復帰後の戦績を加えたらちょっと違う結果になります。いつかはフェルスタッペンにも訪れることにはなるのでしょうが、今の時点ではまだあまり考えてあげたくはないことですね(笑)
〈1990年代後半との比較〉
この20年以上前の世代から「フェルスタッペンの親世代」に入ってきます。このグループも3人。ハッキネン、J・ヴィルヌーブ、M・シューマッハです。あれ、一人足りない。誰だ?!そうなんです。96年の「初代F1二世チャンピオン」D・ヒルがいません。理由はmiyabikunが嫌いだから、ではなく「決勝参戦数が114戦」であり150戦に未達であるため除外しました。ごめんなさい、でも大丈夫!あなたの苦労はちゃんと観てきて知っていますからね!
このグループは何と言ってもM・シューマッハの記録がずば抜けています。
M・ハッキネン 決勝出走160戦
150戦達成:2001年第6戦オーストリアGP
予選 決勝
全戦平均順位: 7.09位 12.58位
150戦平均順位: 7.24位 12.72位
全P.P.回数: 26回↑
150戦P.P.回数: 26回↑
全戦優勝回数: 20勝↓
150戦優勝回数: 18勝↓
全戦表彰台回数: 51回↓
150戦表彰台回数: 48回↓
J・ヴィルヌーブ 決勝出走162戦
150戦達成:2005年最終戦中国GP
予選 決勝
全戦平均順位: 9.03位 13.70位
150戦平均順位: 8.80位 13.55位
全P.P.回数: 12回↓
150戦P.P.回数: 12回↓
全戦優勝回数: 11勝↓
150戦優勝回数: 11勝↓
全戦表彰台回数: 23回↓
150戦表彰台回数: 23回↓
M・シューマッハ 決勝出走304戦
150戦達成:2001年第9戦ヨーロッパGP
予選 決勝
全戦平均順位: 4.79位 8.53位
150戦平均順位: 3.16位 8.65位
全P.P.回数: 68回↑
150戦P.P.回数: 38回↑
全戦優勝回数: 91勝↑
150戦優勝回数: 49勝↑
全戦表彰台回数: 155回↑
150戦表彰台回数: 91回↑
シューマッハっていうとどうしても赤、ハッキネンは毎回グレーを選んでしまうmiyabikun。赤のつぶつぶは目立ちますね。赤と黒は目に入るけど、グレーよりも黄色がわりかし目立ちます。ヴィルヌーブです。
ヴィルヌーブといえば、先日の「カナダ人ドライバー」でも書きましたが、ハミルトンに負けず劣らずの鮮烈デビューと2年目での戴冠が思い出されます。グラフからも読み取れるように、赤のシューマッハや黒のフェルスタッペンよりも早い段階で予選、決勝とも好成績を残しています。ただウィリアムズからルノーエンジンが撤退した後、急速に迷走する羽目になったのもヴィルヌーブです。シューマッハやフェルスタッペンが右肩上がりに成長し始めた頃にヴィルヌーブの成績は急降下、150戦を迎えた頃には中団から下位に止まり、旬が過ぎてしまいました。
グラフに選んだ色が悪かったか、ハッキネンが埋もれてしまってどこにいるのかよくわかりません。そんな中少し目立つのはデビューから2シーズン過ごしたロータス期の予選でしょうか。ロータスといえばベテランのファンからすれば超名門チーム。ただ晩年のロータスは全くの別モノにみえるくらいの戦績を彷徨っていました。ハッキネンがドライブしていた1991年頃のF1は「予選に出るための予選」予備予選まで行われるほど賑わっており、予選を得意としたハッキネンの若き時代は20番手中盤から予選落ちまで経験しています。同期のシューマッハと比べると、雲泥の差がありました。90年代終盤にようやく競争力の高いマシンに乗り、そんなシューマッハと対等に走れた頃はさぞかし嬉しかったでしょう。そんなハッキネンが150戦を迎えたのは、既に2回目のチャンピオンを獲得した少し後の2001年第6戦であり、そのシーズン終了とともにF1休養(のち引退)となったため、さほど落ちぶれた戦績で終えていません。フェルスタッペンはチャンピオン獲得まで7シーズンを要しています。ハッキネンはチャンピオンまで8シーズンかかって戴冠していますから、150戦までというタイミングでみれば、フェルスタッペンはシューマッハよりもハッキネンに近い成長具合にみえます。
〈1980年代後半〜90年代前半との比較〉
最後は日本のF1人気を牽引した主役達「四天王」と呼ばれるいつものマンセル、セナ、プロスト、ピケの四方です。フェルスタッペンからみれば父親、それよりも上の世代になります。この先のラウダあたりまでのデータは準備していたのですが、40年以上も前となると同じF1とて入賞やポイント付与、マシン規格、サーキットもだいぶ異なり、miyabikun自身もピンと来ないので、このグループまでとしました。
このグループではフェルスタッペン「速さのセナ寄りか、強さのプロスト寄りか」に注目です。またピケが将来の「義父」となり、戦績を上回ることができるのか(笑)
N・マンセル 決勝出走184戦
150戦達成:1991年第3戦サンマリノGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.46位 14.64位
150戦平均順位: 7.40位 16.02位
全P.P.回数: 32回↑
150戦P.P.回数: 15回→
全戦優勝回数: 31勝↑
150戦優勝回数: 16勝↓
全戦表彰台回数: 59回↑
150戦表彰台回数: 37回↑
A・セナ 決勝出走158戦
150戦達成:1993年第11戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 3.18位 10.70位
150戦平均順位: 3.22位 10.33位
全P.P.回数: 63回※↑
150戦P.P.回数: 59回↑
全戦優勝回数: 41勝↑
150戦優勝回数: 39勝↑
全戦表彰台回数: 80回↑
150戦表彰台回数: 78回↑
A・プロスト 決勝出走199戦
150戦達成:1989年第14戦スペインGP
予選 決勝
全戦平均順位: 4.11位 9.72位
150戦平均順位: 4.37位 9.71位
全P.P.回数: 33回↑
150戦P.P.回数: 20回↑
全戦優勝回数: 51勝↑
150戦優勝回数: 39勝↑
全戦表彰台回数: 106回↑
150戦表彰台回数: 80回↑
N・ピケ(父) 決勝出走202戦
150戦達成:1988年第10戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.67位 13.00位
150戦平均順位: 5.54位 13.27位
全P.P.回数: 24回↑
150戦P.P.回数: 24回↑
全戦優勝回数: 23勝↓
150戦優勝回数: 20勝↓
全戦表彰台回数: 60回↓
150戦表彰台回数: 52回↓
今回のグラフは4人+フェルスタッペン。ということは5人×150戦ですから、750もツブがある。判読できないだろ(笑)仕事でこんなグラフを作ったら怒られること間違い無しなので、良い子はマネしないように。
80年代から90年代前半ともなると、デビュー間も無い予選はパラパラ散らばっていますね。ただ決勝戦績をみると、意外とそうでもない。何故か、決勝グラフの最下段「R」をご覧下さい。ココに溜まっているのです。リタイヤを示します。今でこそ完走率が上がり、接触や故障でもない限りはリタイヤしなくなりましたが、当時はターボが壊れるだのエンジンブロー、ガス欠、さらにプライドとプライドのぶつかり合いなど日常茶飯事。まさに「生きるか死ぬかの争い」が色濃く残る時代でした。腕があってもマシンが止まる。せっかくワンツーフィニッシュが確約されていても、容赦無くぶつけに行っておとしめる。今では想像もできない油臭さや汗臭さがありました。
そんな他のライバルが付け入る隙の無い時代ながらも、四者は相見え、レースを重ねる毎に成長して上位を確立していきました。ピケがまず1988年第10戦で150戦を迎え、チャンピオンを既に3回獲得して衰退を始め、続くプロストが1989年第14戦、1991年第3戦でマンセルが、そしてセナは亡くなる少し前の1993年第11戦に到達しています。4人の中でもマンセルは超遅咲きのチャンピオン獲得となりましたので、このグラフからピークを確認することができませんが、何よりもセナが158戦でマシンを降りていますから、この先の戦績がとても気になります。あくまでmiyabikun個人的な想像、タラレバな話にはなりますが、もしセナが1994年第3戦で命を落とすこと無く続けられたとしても、もしかしたら次なる若手の台頭(シューマッハやヒルなど)に追いやられてしまった可能性もあります。セナがドライブしたウィリアムズFW16は本当に扱い辛かったマシンだったと思います。
ピークが表し切れていない、さらにはフェルスタッペンと比較するにはマシンの信頼性や安全性、時代が異なり過ぎるため単純な比較は難しいですが、150戦までという節目でみれば、ピケを除く3人とも見劣りしない成長具合と戦績にみえます。
《150戦到達時と以降のポール、優勝、表彰台回数》
上記で挙げたポールポジション回数、優勝回数、表彰台回数をそれぞれひとまとめのグラフにしました。ダラダラ書かずに初めからこう表現した方が見易いのにね(笑)色は上グラフで用いたドライバーカラーで統一し、軸に近い「濃い色」は参戦150戦までの回数、「薄い色」は150戦以降に積み上げた回数を示し、当然ながらフェルスタッペンには150戦以降はまだありません。まずはポールポジション回数から。
この手のグラフを描くと、今まではシューマッハ一人がとんでもない位置を走ってしまい、他が見応え無いものになりがちでした。しかし近代はキングがいる。単独の超高層ビルが一棟そびえ立ちます。時代は変わりましたね。フェルスタッペンとの比較の際は、各チャンピオンの「濃い色」をみて下さい。
150戦という節目でみても、名だたるチャンピオンと比較すればフェルスタッペンもまだまだ可愛くみえます。150戦で15回となると、ヴィルヌーブを上回りマンセルとピッタリ同じ、ライコネンには2つ足らずという数。フェルスタッペンより上をみると、近代ではベッテルが45回、ハミルトンは40回。もう少し遡るとシューマッハの38回がいます。予選王セナは150戦で59回。残りの8戦で4回(公式の数と異なります)ですから、如何に予選を得意としていたかがわかりますね。
こちらは同じ尺度の優勝回数グラフです。ハミルトンとシューマッハは置いておくとして(笑)ベッテルってこうしてグラフにすると、かなり好成績なドライバーであることを再認識させられますね。150戦で41回、現在進行形ながら残る135戦で12回という落差もすごいですが。今は苦戦しながらも、戦績はプロストクラスなんですよね。フェルスタッペンの26勝は記録的にアロンソを上回るペースで来ているということ。150戦以降は0勝というドライバーもみられますが、さすがにこの先1勝もできないなんてことにはならないでしょうから、アロンソ超えは期待していいのかな。
「150戦でこーんなに勝ってしまったよ、先輩!」
「うるせー!放っとけー」
150戦から200戦前後でキャリアを終えるドライバーが多いため、ほとんどが後半で失速しているタイプが多い中、ロズベルグとバトンは150戦を超えてから別人のように切り替わり、優勝を重ねているのも面白いですね。長く続けていていいことがあった稀有なパターンです。
このコーナーの最後は表彰台回数になります。グラフの波形は当然優勝回数と似たものになります。チャンピオンを獲得するためには、優勝回数はもちろんのこと、仮に優勝は逃しても表彰台圏内には入る。これもかなり重要です。グラフの高いドライバーは大抵が複数回チャンピオンを獲得しているか、キャリア全般で競争力のあるマシンやチームに所属してきたドライバーです。フェルスタッペンの67回というのは、近年のライコネン、アロンソを上回り、ベッテルやハミルトンにも肉薄する位置にいます。参戦数や優勝回数などと同様に、この手の記録はオールドドライバーに比べて近年記録更新のチャンスは大きくなります。フェルスタッペンも着実にその流れに乗り、強さを兼ね備えたドライバーになりつつあります。ハミルトンの184回という記録も、現時点では途方もない記録にみえつつ、フェルスタッペンの若さを考えたら決して届かない数でもありません。あまりド派手に決められると、他の若手の目を積む可能性があるものの、この先「未踏の数字」に足を踏み入れることになるのかもしれません。
久々の「グラフ祭り」でフェルスタッペンと近代ドライバーの戦績比較をしてきました。昨年、今年とF1は確実に世代交代が進み、フェルスタッペンやルクレール、さらにはラッセルやノリスといった若手が台頭してくることでしょう。150戦という節目を迎えたフェルスタッペン(実はサインツも)はこれからのF1をどう牽引していくのか、これからの活躍と食らい付くライバルたちの動向に期待したいと思います。
ヤベ、そろそろイギリスに頭を切り替えなきゃ!
まずは今回の主役であるフェルスタッペンの予選決勝の主な戦績を示します。以下の歴代チャンピオンとの均衡を図るため、一応「全戦戦績」と「150戦戦績」を載せています。先日のカナダGPでキリ番150戦参戦を達成しましたので、数値は当然イコールになります。
〈各記録の算出基準〉
記録は2022年第9戦カナダGPまで
予選除外や失格、決勝リタイヤは「27位扱い」
※は「ペナルティ昇降格前」を採用したため、
公式記録とは若干異なります
●は2022年現役ドライバー
M・フェルスタッペン 決勝出走150戦継続中 ●
150戦達成:2022年第9戦カナダGP
予選 決勝
全戦平均順位: 5.44位 8.45位
150戦平均順位: 5.44位 8.45位
全P.P.回数: 15回
150戦P.P.回数: 15回
全戦優勝回数: 26勝
150戦優勝回数: 26勝
全戦表彰台回数: 67回
150戦表彰台回数: 67回
予選、決勝の各平均順位はいつもの「miyabikun算出法(強烈版)」として、予選での結果除外、失格最後尾、ならびに決勝リタイヤは「27位扱い」とし、決勝の失格やスタートできずは数からも除外しているため、公式記録との差やイメージしている数字よりは低めに出てくる点に注意して下さい。ただ過去のチャンピオン達とも同様の評価をしているため、イコールの比較がしやすいかと思います。
こちらがフェルスタッペンの全150戦の予選、決勝の順位となります。予選はポールポジション、決勝は3位までの表彰台登壇の領域を薄い赤で強調しています。
フェルスタッペンの特徴として「初ポールよりも初優勝が早かった」こと、また「ポールポジションからの逃げ切りよりは決勝で抜く」戦い方であることが多いです。結果的に予選のポール回数より優勝数が上回ります。5勝目くらいまでは意識して数えていた記憶だったのですが、昨年と今年で勝ちに勝ちまくり、あっという間に26勝を挙げていたんですね。チャンピオンも一度獲得したし、歴代でも単独の9位に入りますから、レジェンド級のドライバーにまで成長しました。またこれまでに獲得したポールポジションは15回で歴代22位タイ(ちなみに今シーズンの最大のライバルであるルクレールと同じ回数)
このあと先輩チャンピオンとの比較に入るわけですが、フェルスタッペンの戦績はトロ・ロッソ時代はともかく、レッドブルに移籍してからは予選、決勝とも徐々に上位を安定して獲るに至っています。
〈2010年代との比較〉
次はつい先日までのチャンピオン、2010年代のチャンピオンと同列比較してみます。対象は現役バリバリのハミルトンとベッテル、そして「チャンピオン獲り逃げ」を敢行したN・ロズベルグの3人になります。10年でたった3人というのは何とも寂しい。このグループはロズベルグの戦績も立派ではありますが、ハミルトン、ベッテルが高水準をマークする現役ドライバーですので、比較対象になりそうです。
L・ハミルトン 決勝出走296戦継続中 ●
150戦達成:2015年第3戦中国GP
予選 決勝
全戦平均順位: 3.63位 5.24位
150戦平均順位: 4.15位 7.09位
全P.P.回数: 104回※↑
150戦P.P.回数: 40回↑
全戦優勝回数: 103勝↑
150戦優勝回数: 35勝↑
全戦表彰台回数: 184回↑
150戦表彰台回数: 73回↑
N・ロズベルグ 決勝出走206戦
150戦達成:2014年第3戦バーレーンGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.83位 9.22位
150戦平均順位: 8.72位 11.20位
全P.P.回数: 30回↑
150戦P.P.回数: 5回↓
全戦優勝回数: 23勝↓
150戦優勝回数: 4勝↓
全戦表彰台回数: 57回↓
150戦表彰台回数: 14回↓
S・ベッテル 決勝出走285戦継続中 ●
150戦達成:2015年第11戦ベルギーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 5.99位 7.73位
150戦平均順位: 5.33位 7.35位
全P.P.回数: 57回↑
150戦P.P.回数: 45回↑
全戦優勝回数: 53勝↑
150戦優勝回数: 41勝↑
全戦表彰台回数: 122回↑
150戦表彰台回数: 73回↑
冒頭のフェルスタッペンの記録に対し、そのドライバーがまだ上にいるものに「↑」逆にフェルスタッペンに上回られたものについて「↓」を付けています。またハミルトンのポールポジションに「※」を付けていますが、今回データ比較するにあたり「パワーユニット交換などによるグリッド降格」また「ライバルのそれによりグリッド昇格」を考慮しない数字、つまり「予選セッションで獲得した順位」を重んじたため、公式の数字と差が生まれています。
先程のフェルスタッペンと先輩チャンピオン3人を同縮尺のグラフをドライバー別の色付けをしてプロットしました。あちゃー見辛い。。一つのグラフに150戦×4人=600の点が打ってあります(笑)一応今回の主役であるフェルスタッペンは目立つ黒で最上段にプロットをしたつもりですが、一つずつ目で追うのは大変だと思いますので、感覚的に捕まえて下さい。
このグループの特徴として「早熟のハミルトン、ベッテルと遅咲きのロズベルグ」と戦績が二極化しています。ハミルトンはご存知の通りデビューイヤーにトップチームであるマクラーレンで初ポールや初優勝を経験し、チャンピオン争いまで絡む超大型新人。ベッテルはBMWザウバーへのレンタルスポット参戦に始まり、中堅チームであるトロ・ロッソで初ポール、初優勝にこぎつけていますが、レッドブルに昇格してから5年間は勝ちに勝ちまくり、瞬く間にトップドライバーの地位を射止めています。一方ロズベルグも「ヒルやヴィルヌーブに続くF1二世ドライバー」としてウィリアムズから注目のデビューをするも、才能は評価されつつもなかなか優勝はおろか表彰台すらなかなか登壇できないという戦績が続きました。キャリア中盤でようやくメルセデスワークスが新レギュレーションにうまくハマり、ポールポジションや優勝を挙げるようになり、2016年にようやくチームメイトのハミルトン打破に成功となかなか苦労したチャンピオンでもあります。
今回はフェルスタッペン基準で「150戦到達時点」でデータおよびグラフを切ってしまっているわけですが、ハミルトンの150戦到達はメルセデスで初チャンピオンを獲得した翌2015年第3戦。ベッテルは既にチャンピオンに4回輝いた2年後にあたる2015年第11戦。そしてロズベルグはメルセデスでようやくポールポジションや優勝を挙げることができるようになった2014年第3戦で150戦に到達したため、ロズベルグのグラフは中団から下位にプロットされる結果となりました。フェルスタッペンと比較すると超早熟のハミルトンとは少し異なり、また遅咲きのロズベルグとも異なっているため、三者の中ではベッテルに一番近いのかなという印象です。ベッテルは紫、フェルスタッペンを黒でプロットしているため、判別にはやや困難ですが似ています。それにしても、ベッテルの戦績もすごいですね。今では想像もつきません。
〈2000年代との比較〉
続いて先程よりももう一世代前にあたるチャンピオン衆です。このあたりのドライバーは存命ながらもう現役からは退き、、失敬、アロンソ様がいらっしゃいました(笑)この対象は新しい順にバトン、ライコネン、アロンソの3人になります。miyabikunドンピシャの世代。貴重な現役アロンソとの比較は注目です。
J・バトン 決勝出走305戦
150戦達成:2008年第16戦日本GP
予選 決勝
全戦平均順位: 9.93位 11.36位
150戦平均順位: 10.01位 13.03位
全P.P.回数: 8回↓
150戦P.P.回数: 3回↓
全戦優勝回数: 15勝↓
150戦優勝回数: 1勝↓
全戦表彰台回数: 50回↓
150戦表彰台回数: 15回↓
K・ライコネン 決勝出走349戦
150戦達成:2009年第12戦ベルギーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 7.72位 10.05位
150戦平均順位: 6.23位 10.59位
全P.P.回数: 19回※↑
150戦P.P.回数: 17回↑
全戦優勝回数: 21勝↓
150戦優勝回数: 18勝↓
全戦表彰台回数: 103回↑
150戦表彰台回数: 61回↓
F・アロンソ 決勝出走342戦継続中 ●
150戦達成:2010年第12戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 8.61位 9.91位
150戦平均順位: 7.51位 8.91位
全P.P.回数: 23回※↑
150戦P.P.回数: 19回↑
全戦優勝回数: 32勝↑
150戦優勝回数: 23勝↓
全戦表彰台回数: 98回↑
150戦表彰台回数: 58回↓
こちらもまた見辛い。プロット数は先程と同じ1グラフあたり600。予選、決勝とも23〜26位がスカンと抜けているのは「参戦ドライバーが22〜24人時代が続いたため、それ以下の順位が付かない」ことによります。
見辛いながらも、先程と同様に上下にバラツキはみられます。茶色のバトンと水色のアロンソです。バトンはロズベルグ以上の遅咲きドライバーであり、150戦到達はチャンピオン獲得の1年前にあたる2008年第16戦日本GPとなります。ホンダユーザーとして人気を博しますが、戦績は低迷し、このあたりの時期でみれば、チャンピオン獲得は絶望視されていました。しかし2009年にホンダから化けたブラウンGPが予想に反して新レギュレーションをうまくかいくぐり運気が好転し、シーズン前半で貯金できた結果チャンピオン獲得に至りました。また現役復帰し、勝負強く(ズル)賢いイメージの強いアロンソも、マクラーレン(第一期)を離脱してルノー(第二期)、フェラーリ期はハミルトンやベッテルの台頭で苦戦を強いられた時期を経験しています。このグラフには載ってきませんが、150戦以降のマクラーレン第二期の戦績を加えると、その苦労はさらに重なっていきます。アロンソと同期で昨シーズン限りで引退した「今現在のF1最多出走記録」を持つライコネンの150戦は2009年第12戦ベルギーGPで達成と一度F1から離れる前の戦績であることもあり、2人に比べると上位が続いています。
フェルスタッペンとの比較という観点でいけば、ピンクでプロットしたライコネンと近いものになっています。ライコネンも復帰後の戦績を加えたらちょっと違う結果になります。いつかはフェルスタッペンにも訪れることにはなるのでしょうが、今の時点ではまだあまり考えてあげたくはないことですね(笑)
〈1990年代後半との比較〉
この20年以上前の世代から「フェルスタッペンの親世代」に入ってきます。このグループも3人。ハッキネン、J・ヴィルヌーブ、M・シューマッハです。あれ、一人足りない。誰だ?!そうなんです。96年の「初代F1二世チャンピオン」D・ヒルがいません。理由はmiyabikunが嫌いだから、ではなく「決勝参戦数が114戦」であり150戦に未達であるため除外しました。ごめんなさい、でも大丈夫!あなたの苦労はちゃんと観てきて知っていますからね!
このグループは何と言ってもM・シューマッハの記録がずば抜けています。
M・ハッキネン 決勝出走160戦
150戦達成:2001年第6戦オーストリアGP
予選 決勝
全戦平均順位: 7.09位 12.58位
150戦平均順位: 7.24位 12.72位
全P.P.回数: 26回↑
150戦P.P.回数: 26回↑
全戦優勝回数: 20勝↓
150戦優勝回数: 18勝↓
全戦表彰台回数: 51回↓
150戦表彰台回数: 48回↓
J・ヴィルヌーブ 決勝出走162戦
150戦達成:2005年最終戦中国GP
予選 決勝
全戦平均順位: 9.03位 13.70位
150戦平均順位: 8.80位 13.55位
全P.P.回数: 12回↓
150戦P.P.回数: 12回↓
全戦優勝回数: 11勝↓
150戦優勝回数: 11勝↓
全戦表彰台回数: 23回↓
150戦表彰台回数: 23回↓
M・シューマッハ 決勝出走304戦
150戦達成:2001年第9戦ヨーロッパGP
予選 決勝
全戦平均順位: 4.79位 8.53位
150戦平均順位: 3.16位 8.65位
全P.P.回数: 68回↑
150戦P.P.回数: 38回↑
全戦優勝回数: 91勝↑
150戦優勝回数: 49勝↑
全戦表彰台回数: 155回↑
150戦表彰台回数: 91回↑
シューマッハっていうとどうしても赤、ハッキネンは毎回グレーを選んでしまうmiyabikun。赤のつぶつぶは目立ちますね。赤と黒は目に入るけど、グレーよりも黄色がわりかし目立ちます。ヴィルヌーブです。
ヴィルヌーブといえば、先日の「カナダ人ドライバー」でも書きましたが、ハミルトンに負けず劣らずの鮮烈デビューと2年目での戴冠が思い出されます。グラフからも読み取れるように、赤のシューマッハや黒のフェルスタッペンよりも早い段階で予選、決勝とも好成績を残しています。ただウィリアムズからルノーエンジンが撤退した後、急速に迷走する羽目になったのもヴィルヌーブです。シューマッハやフェルスタッペンが右肩上がりに成長し始めた頃にヴィルヌーブの成績は急降下、150戦を迎えた頃には中団から下位に止まり、旬が過ぎてしまいました。
グラフに選んだ色が悪かったか、ハッキネンが埋もれてしまってどこにいるのかよくわかりません。そんな中少し目立つのはデビューから2シーズン過ごしたロータス期の予選でしょうか。ロータスといえばベテランのファンからすれば超名門チーム。ただ晩年のロータスは全くの別モノにみえるくらいの戦績を彷徨っていました。ハッキネンがドライブしていた1991年頃のF1は「予選に出るための予選」予備予選まで行われるほど賑わっており、予選を得意としたハッキネンの若き時代は20番手中盤から予選落ちまで経験しています。同期のシューマッハと比べると、雲泥の差がありました。90年代終盤にようやく競争力の高いマシンに乗り、そんなシューマッハと対等に走れた頃はさぞかし嬉しかったでしょう。そんなハッキネンが150戦を迎えたのは、既に2回目のチャンピオンを獲得した少し後の2001年第6戦であり、そのシーズン終了とともにF1休養(のち引退)となったため、さほど落ちぶれた戦績で終えていません。フェルスタッペンはチャンピオン獲得まで7シーズンを要しています。ハッキネンはチャンピオンまで8シーズンかかって戴冠していますから、150戦までというタイミングでみれば、フェルスタッペンはシューマッハよりもハッキネンに近い成長具合にみえます。
〈1980年代後半〜90年代前半との比較〉
最後は日本のF1人気を牽引した主役達「四天王」と呼ばれるいつものマンセル、セナ、プロスト、ピケの四方です。フェルスタッペンからみれば父親、それよりも上の世代になります。この先のラウダあたりまでのデータは準備していたのですが、40年以上も前となると同じF1とて入賞やポイント付与、マシン規格、サーキットもだいぶ異なり、miyabikun自身もピンと来ないので、このグループまでとしました。
このグループではフェルスタッペン「速さのセナ寄りか、強さのプロスト寄りか」に注目です。またピケが将来の「義父」となり、戦績を上回ることができるのか(笑)
N・マンセル 決勝出走184戦
150戦達成:1991年第3戦サンマリノGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.46位 14.64位
150戦平均順位: 7.40位 16.02位
全P.P.回数: 32回↑
150戦P.P.回数: 15回→
全戦優勝回数: 31勝↑
150戦優勝回数: 16勝↓
全戦表彰台回数: 59回↑
150戦表彰台回数: 37回↑
A・セナ 決勝出走158戦
150戦達成:1993年第11戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 3.18位 10.70位
150戦平均順位: 3.22位 10.33位
全P.P.回数: 63回※↑
150戦P.P.回数: 59回↑
全戦優勝回数: 41勝↑
150戦優勝回数: 39勝↑
全戦表彰台回数: 80回↑
150戦表彰台回数: 78回↑
A・プロスト 決勝出走199戦
150戦達成:1989年第14戦スペインGP
予選 決勝
全戦平均順位: 4.11位 9.72位
150戦平均順位: 4.37位 9.71位
全P.P.回数: 33回↑
150戦P.P.回数: 20回↑
全戦優勝回数: 51勝↑
150戦優勝回数: 39勝↑
全戦表彰台回数: 106回↑
150戦表彰台回数: 80回↑
N・ピケ(父) 決勝出走202戦
150戦達成:1988年第10戦ハンガリーGP
予選 決勝
全戦平均順位: 6.67位 13.00位
150戦平均順位: 5.54位 13.27位
全P.P.回数: 24回↑
150戦P.P.回数: 24回↑
全戦優勝回数: 23勝↓
150戦優勝回数: 20勝↓
全戦表彰台回数: 60回↓
150戦表彰台回数: 52回↓
今回のグラフは4人+フェルスタッペン。ということは5人×150戦ですから、750もツブがある。判読できないだろ(笑)仕事でこんなグラフを作ったら怒られること間違い無しなので、良い子はマネしないように。
80年代から90年代前半ともなると、デビュー間も無い予選はパラパラ散らばっていますね。ただ決勝戦績をみると、意外とそうでもない。何故か、決勝グラフの最下段「R」をご覧下さい。ココに溜まっているのです。リタイヤを示します。今でこそ完走率が上がり、接触や故障でもない限りはリタイヤしなくなりましたが、当時はターボが壊れるだのエンジンブロー、ガス欠、さらにプライドとプライドのぶつかり合いなど日常茶飯事。まさに「生きるか死ぬかの争い」が色濃く残る時代でした。腕があってもマシンが止まる。せっかくワンツーフィニッシュが確約されていても、容赦無くぶつけに行っておとしめる。今では想像もできない油臭さや汗臭さがありました。
そんな他のライバルが付け入る隙の無い時代ながらも、四者は相見え、レースを重ねる毎に成長して上位を確立していきました。ピケがまず1988年第10戦で150戦を迎え、チャンピオンを既に3回獲得して衰退を始め、続くプロストが1989年第14戦、1991年第3戦でマンセルが、そしてセナは亡くなる少し前の1993年第11戦に到達しています。4人の中でもマンセルは超遅咲きのチャンピオン獲得となりましたので、このグラフからピークを確認することができませんが、何よりもセナが158戦でマシンを降りていますから、この先の戦績がとても気になります。あくまでmiyabikun個人的な想像、タラレバな話にはなりますが、もしセナが1994年第3戦で命を落とすこと無く続けられたとしても、もしかしたら次なる若手の台頭(シューマッハやヒルなど)に追いやられてしまった可能性もあります。セナがドライブしたウィリアムズFW16は本当に扱い辛かったマシンだったと思います。
ピークが表し切れていない、さらにはフェルスタッペンと比較するにはマシンの信頼性や安全性、時代が異なり過ぎるため単純な比較は難しいですが、150戦までという節目でみれば、ピケを除く3人とも見劣りしない成長具合と戦績にみえます。
《150戦到達時と以降のポール、優勝、表彰台回数》
上記で挙げたポールポジション回数、優勝回数、表彰台回数をそれぞれひとまとめのグラフにしました。ダラダラ書かずに初めからこう表現した方が見易いのにね(笑)色は上グラフで用いたドライバーカラーで統一し、軸に近い「濃い色」は参戦150戦までの回数、「薄い色」は150戦以降に積み上げた回数を示し、当然ながらフェルスタッペンには150戦以降はまだありません。まずはポールポジション回数から。
この手のグラフを描くと、今まではシューマッハ一人がとんでもない位置を走ってしまい、他が見応え無いものになりがちでした。しかし近代はキングがいる。単独の超高層ビルが一棟そびえ立ちます。時代は変わりましたね。フェルスタッペンとの比較の際は、各チャンピオンの「濃い色」をみて下さい。
150戦という節目でみても、名だたるチャンピオンと比較すればフェルスタッペンもまだまだ可愛くみえます。150戦で15回となると、ヴィルヌーブを上回りマンセルとピッタリ同じ、ライコネンには2つ足らずという数。フェルスタッペンより上をみると、近代ではベッテルが45回、ハミルトンは40回。もう少し遡るとシューマッハの38回がいます。予選王セナは150戦で59回。残りの8戦で4回(公式の数と異なります)ですから、如何に予選を得意としていたかがわかりますね。
こちらは同じ尺度の優勝回数グラフです。ハミルトンとシューマッハは置いておくとして(笑)ベッテルってこうしてグラフにすると、かなり好成績なドライバーであることを再認識させられますね。150戦で41回、現在進行形ながら残る135戦で12回という落差もすごいですが。今は苦戦しながらも、戦績はプロストクラスなんですよね。フェルスタッペンの26勝は記録的にアロンソを上回るペースで来ているということ。150戦以降は0勝というドライバーもみられますが、さすがにこの先1勝もできないなんてことにはならないでしょうから、アロンソ超えは期待していいのかな。
「150戦でこーんなに勝ってしまったよ、先輩!」
「うるせー!放っとけー」
150戦から200戦前後でキャリアを終えるドライバーが多いため、ほとんどが後半で失速しているタイプが多い中、ロズベルグとバトンは150戦を超えてから別人のように切り替わり、優勝を重ねているのも面白いですね。長く続けていていいことがあった稀有なパターンです。
このコーナーの最後は表彰台回数になります。グラフの波形は当然優勝回数と似たものになります。チャンピオンを獲得するためには、優勝回数はもちろんのこと、仮に優勝は逃しても表彰台圏内には入る。これもかなり重要です。グラフの高いドライバーは大抵が複数回チャンピオンを獲得しているか、キャリア全般で競争力のあるマシンやチームに所属してきたドライバーです。フェルスタッペンの67回というのは、近年のライコネン、アロンソを上回り、ベッテルやハミルトンにも肉薄する位置にいます。参戦数や優勝回数などと同様に、この手の記録はオールドドライバーに比べて近年記録更新のチャンスは大きくなります。フェルスタッペンも着実にその流れに乗り、強さを兼ね備えたドライバーになりつつあります。ハミルトンの184回という記録も、現時点では途方もない記録にみえつつ、フェルスタッペンの若さを考えたら決して届かない数でもありません。あまりド派手に決められると、他の若手の目を積む可能性があるものの、この先「未踏の数字」に足を踏み入れることになるのかもしれません。
久々の「グラフ祭り」でフェルスタッペンと近代ドライバーの戦績比較をしてきました。昨年、今年とF1は確実に世代交代が進み、フェルスタッペンやルクレール、さらにはラッセルやノリスといった若手が台頭してくることでしょう。150戦という節目を迎えたフェルスタッペン(実はサインツも)はこれからのF1をどう牽引していくのか、これからの活躍と食らい付くライバルたちの動向に期待したいと思います。
ヤベ、そろそろイギリスに頭を切り替えなきゃ!
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