F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:1983年

グラフは少し見飽きましたね。目を休めましょう。12月中旬まで及んだ2020年シーズンが終わって早3週間経ちます。そろそろレースを観たくなりませんか?!まだいいって?!(笑)昨年の「過去のレース」は中止や延期になったGPにも合わせて「なんちゃってGP」をこのブログ内で強引に突き進めてきたわけですが、実はその時に載せようかどうかすごく迷って、結局諦めてストックしていたレースがいくつかありました。その中の一つであるジャカレパグアで行われた1983年ブラジルGPを取り扱おうと思います。近年はシーズン終盤に盛り込まれるブラジルGPをどこに差し込むか悩みつつ、隙間を縫って9月中旬に1982年ブラジルGPをねじ込みました。それもピンとこない時期ではありましたが、よりによってこの時期のブラジルGPってのも違和感がありますよね。でもこの年のブラジルGPはあながち遠からずです。なぜならこのレースは開幕戦にあたる3/13に行われたということで、約2ヶ月程度先の話だからです。それにしても1月中旬は早過ぎか(笑)
今から38年も前となる1983年シーズンのレースは今回初採用となります。一見地味にも感じる方は多いかもしれませんが、これがなかなか面白いシーズンとなっています。それを助長させた一つの要因がこれです。
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フェラーリ126C2B
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ウィリアムズFW08C
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ルノーRE30Cと現代も参戦する各チームでマシン自体のディテールも実に多彩です。でもこれ、シャシー名からも分かるように枝番が付けられた前年1982年型の改良車ばかりなのです。どうしてこんな事態に陥ったのかというと、かの有名なグラウンドエフェクトカー廃止(フラットボトム規定)がシーズン開幕3ヶ月前の12月に急遽決まり、予め開発をしていた各チームの各マシンは対応に間に合わず強引にレギュレーションに合わせ込む必要があったからです。近年もマシンレギュレーション変更が数年前から決められ、発表されている通り、これら大幅変更はある程度早い段階から告知しないと、いくら莫大な資金と腕利きが集まるF1カテゴリーであっても対応し切れません。ほとんどのチームがやっつけの改良型で開幕戦を迎える中で、間に合わせてきたチームとマシンがあります。
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以前「名車シリーズ」でも振り返ったブラバムBT52です。空力の鬼才と呼ばれたゴードン・マーレーはライバルと同条件下において、予定していたBT51導入や改良を諦め、レギュレーションに適合する新車をしっかり開幕戦に合わせ込んできました。この辺ができるかできないかでシーズンの戦い方が変わってきます。さすが老舗のブラバム。

前段にだいぶ時間を費やしてしまいましたが、予選は前年にたった1勝でチャンピオンを獲得したN・ロズベルグの父、K・ロズベルグが連覇を目指して好発進のポールポジションを獲得。見た目もチャンピオンの風格を感じさせますが、こう見えてこの当時34歳です。今でいうハミルトンとベッテルの間くらいにあたります。もっというと、これは今から38年前ということで、後にチャンピオンを獲得する息子ニコはまだ生まれていません。2番手はターボを武器に「予選番長」と化するルノーの若手プロスト、3番手に「前年の悪夢」の払拭に挑むフェラーリのタンベイ、4番手は新車に乗るピケが獲得しています。

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《予選結果》
 1 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
 2 A・プロスト (ルノー・R・MI)
 3 P・タンベイ (フェラーリ・F・GY)
 ※GYはグッドイヤー、MIはミシュラン
  Foはフォード

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スタートでポールポジションのロズベルグは早くも逃げ体制。3番手タンベイは出遅れ、4番手ピケに先行されています。
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途中給油を念頭に軽いマシンで追うピケはプロストをかわして早い段階で2位に浮上してきました。

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ブラバム同様に途中給油の軽タンクで逃げるロズベルグはタイヤを傷め、7周目にピケが隙をついてトップに立ちます。
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軽タンク走行は経験豊かなブラバムが一枚上手か。

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傷むタイヤで27周を耐えたチャンピオンのロズベルグがピットインして予定通りの給油作業に入ります。給油ホースの角度に注目下さい。ドライバーの真後ろに真上から垂直にノズルを挿す形でどうも給油し辛そう、なんて見ていると恐れていたことが、、IMG_5567
発火!
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消火器が向けられ、ロズベルグは堪らずマシンから飛び降りる。レース中の途中給油って、当時の技術からするとかなり高度かつ危険行為です。IMG_5570
レースを諦めたかと思いきや、火は消し止められ「ピットクルーの手を借り」て9位で復帰していきます。たった1勝でもチャンピオンはチャンピオン。簡単にレースを諦めるわけにはいきません。
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軽タンク戦法を得意とするトップのピケの給油作業。こちらの給油は真上からではなく、ノズルが挿し易い横向きです。給油も配慮した設計がなされているBT52はやはり優秀。

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当時のルノーは決勝になるとグズグズしてしまっています。ピケに抜かれ、パトレーゼにも抜かれ、予選9番手のマクラーレンのラウダにまで抜かれる始末。速さだけではレースに勝てない。
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さらには一度燃えた後に復活を果たしたカーナンバー1のロズベルグにまで抜かれてしまいます。ロズベルグは一度9位まで落ちたのに、再び表彰台圏内まで戻ってきました。すごい追い上げだ。
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そのロズベルグはラウダもかわして2位浮上。軽タンク逃げ逃げ途中給油の効果てきめんですね。ただトップのピケまでは距離があるか。
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予選4番手。でも新車を用意して戦略大当たりのピケが余裕の優勝。前年もトップチェッカーを受けながらマシン違反で失格となったため、これが母国初優勝となりました。IMG_5578
2位は猛追のロズベルグ、賢いラウダがいつものしれっと3位となり表彰式を迎えますが、この年もこのままでは終わりませんでした。
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最終結果はこちら。

《決勝結果》
  1 N・ピケ   (ブラバム・B・MI)
失格 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
  3 N・ラウダ  (マクラーレン・Fo・MI)
 ※BはBMW

思い出して下さい。先程のロズベルグのピットアウトは自力ではなくピットクルーの手を借り押しがけで復帰しています。あの行為が違反の対象となり、前年に引き続き2年連続のブラジルGP失格の裁定が下りました。チャンピオンのロズベルグはちょっと恥ずかしい。通常であれば4位フィニッシュしたウィリアムズのラフィが3位昇格といきたいところでしたが、結局それは行われず、F1で異例の「2位の存在しないレース」に終わっています。
一方で82年は幻の優勝、83年にようやく母国初優勝を飾ったピケは86年も優勝したことが讃えられ、88年にジャカレパグアは「ネルソン・ピケ」という名に改称されることとなりました。存命現役のドライバーがサーキットに名付けられるのは異例です。しかし残念ながら90年からブラジルGPは改修を受けたインテルラゴス(ホセ・カルロス・パーチェ)に移されF1で使用されなくなり、2016年に開催されたリオ五輪のメイン会場に選定されたことにより、今では跡形も無く解体されています。また1973年から開催されてきたブラジルGPの名称も今シーズンから「サンパウロGP」に改称されて消滅することが決定しました。

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前回はグラウンド・エフェクトカーの先駆けマシン。今回はグラウンド・エフェクトカーが1982年シーズンをもって禁止され「フラットボトム規定」の初年度のマシン、ブラバムBT52,BT52Bになります。マシンレギュレーションの変革となるタイミングで空力の鬼才と呼ばれたゴードン・マーレーの選んだ策とは如何に?!

《設計》
ゴードン・マーレー

《外見》
実はブラバムは1983年に導入を予定していたBT51という名のグラウンド・エフェクトカーを引き続き開発中でした。しかし相次ぐ事故やグラウンド・エフェクトカーの弱点である「挙動を乱した際に不安定になる」ことを危惧して1982年のシーズンオフである12月に使用が禁止され、フラットボトム(マシン底面を平らにする)とすることが規定されたため、シーズンオフに急遽再設計したのがBT52でした。そのためBT51は本戦において欠番です。
採用2年目となるBMWエンジンは小型で強力。そのスケール感を活かし、前年までの「車体そのものを一枚の羽」としていた思想を止め、空気抵抗を極力小さくする方法を採りました。真上から見ると後退翼のフロントウィングをはじめ、まるで矢印の様な形状をしています。後方に下がり、かつ後退したサイドポンツーンは見た目が左右対称でも内部の役割を分け、右側がラジエター、左がインタークーラーとして冷却効果を二分しています。ウィングレットを装着して前年より確実に巨大化したフロントウィング、リヤウィングでターボのパワーを路面に押し付けます。
このマシンの秀逸な点は「ピットへの配慮」がなされていることでした。ピット時の給油のし易さを考えてコクピット後方側面に給油口を設け、燃料タンクは小さくすることで車体のスリム化とマシンの前後重量バランスに貢献しています。ライバルのルノーと比較すると給油のし易さは歴然としていました。

全15戦で前半8戦はBT52、第9戦イギリスGPからはフロントサスペンションに改良を施したBT52Bを導入しました。サスペンション根元のコブの有無以上にカラーリングが反転しているのでわかりやすいですね!こちらが前期型のBT52。紺色が目立ちます。
こちらが後期型BT52Bです。白が主役に。意図は定かでありませんが、前期型のノーズのカラーリングはBMWお決まりの豚の鼻の穴「キドニーグリル」を連想しませんか?後年のBMWザウバーにも描かれたコレ。 ひょっとして、お約束?!
スポンサーは長年F1と関わりを持つイタリアの食品メーカーのパルマラット。さらには韓国のスポーツ用品ブランドであるフィラがメインとなっています。

《エンジン》
BMW M12/13
直列4気筒・バンク角 - 度
キューネ・コップ&カウス製シングルターボ
排気量:1,499cc(推定)
最高回転数:11,000rpm(推定)
最大馬力:649馬力(決勝仕様の推定)
燃料・潤滑油:カストロール
《シャシー》
全長: - mm
全幅: - mm
全高: - mm
最低車体重量:540kg
燃料タンク容量:100ℓ
タイヤ:ミシュラン

《ドライバー》
No.5 ネルソン・ピケ(全戦)
No.6 リカルド・パトレーゼ(全戦)

《戦績》
72ポイント コンストラクター3位
(1位4回、2位3回、3位3回ほか)
ポールポジション2回
※戦績はBT52、BT52B含む

ドライバーは1978年から加入して1981年にはブラバムで逆転チャンピオンを獲得しているベテランのピケと、長くドライブするもなかなか開花せず前年にようやく初優勝を得たパトレーゼによる組合せ2年目です。
各チーム大幅なレギュレーション変更で不安のある中、開幕戦ブラジルGPを制したのはブラバムを駆る地元のピケでした。このマシンの特徴的なところは「極力軽タンクで走行し、レース中に給油を巧みに行って前に出る」戦い方です。このBT52はそれを目論み、少しでも軽量でかつマシン重量配分を考え、給油し易さも設計に組み込みました。シーズン通してポールポジションは少なく、ピケ1回、パトレーゼ1回のたった2回に過ぎません。方や ライバルであるルノーのプロストは3回、アルヌーとタンベイのコンビのフェラーリは2人で8回にもなり差がつきました。決して一番速いわけではないブラバムは、考えに考えたマシンの設計思想や戦略、新レギュレーション対応とピケならではの走りにマッチしたといえます。一方でパトレーゼは第4戦サンマリノGPにフェラーリを捉え、トップに躍り出た矢先にクラッシュし、優勝のチャンスを棒に振るなどもあり1勝止まり。万年2番手の鉄人パトレーゼとの大きな違いとなりました。
BT52Bを導入し、結果的にピケは3勝で迎えた最終戦南アフリカGP開始前にランキング2位。ランキングトップの最多勝4勝のプロストはペースダウンからのターボの不調でリタイヤによって最終戦で大逆転、ピケ2度目のチャンピオンを獲得する形となりました。
残念ながらコンストラクターズランキングはフェラーリ、ルノーに続くブラバム3位。三者の優勝回数は4回ずつで全てターボ搭載車で並びますが、もう少し安定した表彰台が築ければ、フラットボトム規定初年度を最優秀マシンで終われていたのかもしれません。長く参戦した名門ブラバムの4回のドライバーズチャンピオンはこのマシンが最後となっています。
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