今回の「過去のレース」はアルガルヴェ、ではなくエストリルで1988年第13戦に行われたポルトガルGPです。ポルトガルGPは古くから何回も行われていますが、アルガルヴェ国際でのGP開催は初ですから、こればかりは仕方が無いですね。同じポルトガル国内だし、平面的にはどことなく似たレイアウトっぽいし、ということに免じてお許し下さい(笑)
88年はつい先日の第15戦日本GPに続く2回目の登場となります。シーズン概要はその時にある程度書いてしまいましたが、開幕から11戦連続のマクラーレン・ホンダによる優勝。そんな中、前戦第12戦イタリアGPもセナがトップを周回しつつ、周回遅れとなったウィリアムズの代走シュレッサーをかわす際に接触して、地元のフェラーリにワンツーフィニッシュを明け渡す形で終えて、12連勝が途絶えています。初チャンピオン獲得に意気込むセナはこのポルトガルを制してラストスパートといきたいところ。

予選はセナでなく先輩プロストの方。このシーズンのライバルは我が相方のみ。セナとしては決勝逃げ切りだけは避けたいです。3番手はノンターボながら空力マシンで対抗する水色マーチのカペリが座ります。唯一の日本人ドライバーであるロータス・ホンダの中嶋悟は相方ピケから1.5秒落ちとなる12番手となりました。決勝は粘りの走りで入賞したい。

《予選結果》
 1 A・プロスト(マクラーレン・H)
 2 A・セナ  (マクラーレン・H)
 3 I・カペリ (マーチ・J)
 ※タイヤはグッドイヤーのワンメイク
  Jはジャッド

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決勝レースのスタート!イン側のポールスタートのプロストは早速アウト側のセナを牽制し、行く手を塞いでいく。しかし中団以降でフロアを見せながら浮き上がるマシンがあります。
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黄旗がパラパラ振られ、スタートやり直し!
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2回目のスタートでもプロストはアウト側にセナを追いやる。
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バチバチですねー。セナがアウト側から無理矢理ねじ伏せる形で前を獲ります。今回の後方はひとまず混乱無し。
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imageチャンピオンを獲りたいのはプロストも同じ。あくまで冷静に隙をうかがっています。
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メインストレートでセナのスリップにつき、イン側からアタック。
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imageセナはピット側のウォールに迫る形でプロストに盾突く。危ない!
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イン側で堪えたプロストの粘り勝ち。スタート順に程なく戻ります。

セナはプロストとのバトルで全てを使い切ったか、3位走行のカペリ、
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image4位を走るフェラーリのベルガーに捉えられて、ズルズルと後退し、早い段階でプロストの背中が遠退いていきます。

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前戦イタリアGPでマクラーレンから金星を得たベルガーはボタン操作のミスがあり単独スピンを喫しています。
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グラベルに捕まったらなかなか出れないのが昔のF1。何ともみっともないリタイヤへ。

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何はともあれレースは序盤に勝負アリ。ガツガツせず、かつモタつかずでプロストが第7戦フランスGP以来となる5勝目、マクラーレンは13戦12勝でポルトガルGPは閉幕しました。2位のカペリは9秒差で立派な表彰台を獲得、セナはギリギリの6位入賞に止まっています。中嶋はレース序盤に敢えなくリタイヤ。

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《決勝結果》
 1 A・プロスト (マクラーレン・H)
 2 I・カペリ  (マーチ・J)
 3 T・ブーツェン(ベネトン・Fo)
 ※Foはフォード

レース後のインタビューではプロストの辛辣な表情がうかがえます。image
コンビを組み始めた頃はお互いに敬意があった。でもチャンピオン争いをしているとはいえ、露骨な幅寄せにより、徐々にセナとの間に歪みが生まれ始めています。チャンピオンを獲るには文字通りの「必死」に、本来はこれくらいの血の気が無いと得られないもの。

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