F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:最終優勝

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今回の過去のレースは2001年第16戦にインディアナポリスで行われたアメリカGPです。決勝レース日は9/30だったわけですが、この年の9/11に世界を震撼させた「同時多発テロ」が起きた直後で、アメリカはおろか全世界的にもお祭り騒ぎがし難い状況下にありました。
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特にアメリカでは大人数を集めるイベントは自粛する中、F1は予定通り敢行。チームやドライバーからも犯人の思惑に乗らず、むしろ国を奮い立たせる発言や行動が採られました。
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ジョーダンから参戦していたアレジはこのレースで決勝出走200戦目を達成。マシンにはそれを祝う「200」の数字と星条旗が掲げられています。

2001年はこのアメリカGPを含め残り2戦。第13戦ハンガリーGPの段階でフェラーリのM・シューマッハが2年連続4回目のチャンピオンを獲得。次なる目標はドライバーズランキング2位以下の確定に絞られていきます。
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予選はM・シューマッハがポールを獲得し、2番手にはマクラーレンのハッキネンが続きますが、そのハッキネンが翌日曜の決勝レース前のトラックインでピットの信号無視を冒し、最速タイムの除外、決勝スタートは急遽4番グリットに降格するという珍事が起きています。そのため、3番手につけたウィリアムズのR・シューマッハ、4番手のモントーヤが1グリッド繰り上がっています。

《予選結果》
 1 M・シューマッハ
 (フェラーリ ブリヂストン)
 4 M・ハッキネン
 (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)
 2 R・シューマッハ
 (ウィリアムズ・BMW ミシュラン)
 3 J・P・モントーヤ
 (ウィリアムズ・BMW ミシュラン)
 ※試験的に以前のものから表記を変えています

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スタートは3番グリッドのモントーヤがよく、ターン1の進入でアウトからM・シューマッハを捕らえにいきます。
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しかし4回チャンピオンは動じず、トップをしっかり守り抜く。
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さらに活きがよかったのは5番スタートのバリチェロでした。2周目に入ったところでモントーヤのスリップストリームに入り、
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ターン1のアウトからパス。早くもフェラーリのワンツー体制が成立します。
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チャンピオンが獲れたらあとはどうでもいいM・シューマッハはバリチェロのランキング2位獲得を優先し、5周目に道を譲る。「世界最強の動く壁」の完成。

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27周目にトップのバリチェロが1回目のピットに入ると、またもやM・シューマッハとモントーヤのバトルが始まります。貫禄たっぷりのモントーヤはこれでもF1でまだ1年目。日はめちゃ浅いけどキャリアと威勢がいいスタイル、この2人の絡みは面白かったですよね。
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バンクってモンはなあ、
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こうやって走るんだよ。
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兄さんよう!
モントーヤはこのインディアナポリスでインディ500の覇者です。バンク使いはM・シューマッハよりベテランか。

こんな話をしていると、もう1人のシューマッハはタイヤの接続不良で順位を落としてからペースがどうもイマイチ。
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36周目にテールを滑らせてジ・エンド。兄さんを超えられる日は果たして来るのかどうか。
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そして威勢のよかったモントーヤは本人より先に38周目にマシンの方が息絶えてしまい、これにてウィリアムズ過激団も閉幕。

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こうなれば前年2000年に三連覇を逃し、このシーズンは完全に脇役だったハッキネンが静かに台頭してきます。ハッキネンは46周目まで引っ張る1回ピット戦略を選び、これを済ませばチェッカーフラッグまでノンストップで行くつもり。
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M・シューマッハはインフィールドセクションを終えて、これからバンクセクションに入ります。
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ハッキネン間に合うか?!
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M・シューマッハが来たー!さあどっち?!
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ハッキネンが前でオーバーカット成功。

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あとは50周目に2回ピットを行うバリチェロがどのタイミングで戻れるか。
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心強い相方ね、実はさっきオーバーカットを食らって抜かれてしまったから、君に護衛はいないのよ。
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2回ストップより、1回ストップが勝ち。ハッキネンが正真正銘のトップに立ちます。

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トップを獲られたこと、バリチェロよりマシンが先に憂いたか、リヤから白煙がチラホラ。こうなっては攻めることはできないと、先程とは逆に攻守交代でM・シューマッハに道を譲り、
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バリチェロのターゲットはハッキネンから4位走行のクルサードに変わる。色々お膳立てしても、エースはエースと、セカンドはセカンドとか。
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残り2周にバリチェロのエンジンも白旗。トップから2周遅れとなる15位完走扱いでフィニッシュとなりました。
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「どうしていつもこうなるんだ。。うーっ」

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予選は2番手、グリッドは4番手、決勝で1位といつもは先行逃げ切りパターンの目立ったハッキネンがこのシーズン2勝目、通算20勝目を挙げました。

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《決勝結果》
 1 M・ハッキネン
 (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)
 2 M・シューマッハ
 (フェラーリ ブリヂストン)
 3 D・クルサード
 (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)

前年までの3年間はずっとチャンピオン争いを演じ、勝つことが当たり前になっていたハッキネン。この年は珍しくポールポジションも届かず、表彰台登壇も厳しくなってきて精神的にも疲れたり傷付いたこともあったでしょう。前戦イタリアGPで休養宣言したことにより、心の中は軽く、穏やかになれたのかもしれません。この優勝がハッキネンにとってのF1での最終優勝であり、次戦日本GP終了以降、休養から再びF1の舞台に戻ることはありませんでした。「休養」としたのは我々ファンの気持ちを思ってのハッキネンなりの優しい表現だったのかもしれませんね。

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ハッキネンの笑顔がいつもより輝き、嬉しそうにみえます。
今シーズンはベッテルが引退を決め、近い将来はハミルトン、そして現在ノリにノッているフェルスタッペンもいつかはこの時が訪れます。先日逝去したアントニオ猪木の病床での「最後の言葉」にもありましたが、ファンとしては「まだまだやれるよ、走ってほしい」という気持ちとともに、ドライバーを考えて「もう辞めていいんだよ。ありがとう、お疲れ様」という感謝の気持ちで優しく送り出すことも必要なのかもしれません。

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お、これはこの前「名車を振り返る」で出てきたばかりのウィリアムズじゃん!ということは、今回は1979年のどこか、、残念!これは81年のウィリアムズです。マシンをよく見てください。チャンピオンナンバー1が記されているでしょう。前年80年にウィリアムズ初のチャンピオンを獲得したジョーンズ車です。ウィリアムズがチャンピオンチームとして臨んだ81年第7戦にハラマサーキットで行われたスペインGPです。スペインGPの振り返りは8回目となりますが、81年シーズンは初登場です。miyabikunはまだ1歳になったばかり。さらにこのレースは6/21決勝でしたので、アロンソ様がお生まれる1ヶ月前にあたります。ちょうど「ママのハラマ」で安定期から臨月に入る頃かな。
先日の「ウィリアムズFW07」から2年しか経っていませんので、バリバリのグラウンドエフェクト時代です。ただ画像からも分かるように、グラウンドエフェクトカーの危険性を持たれた時期に入り、車体の最低地上高60mmとし、側部に設けられた「スライディングスカート」は禁止されました(ブラバムはそのレギュレーションをかいくぐるべく、走行中に車高を下げることができる「ハイドロニューマチックサスペンション」をBT49Cに搭載して対応)

ここまでの6戦はチャンピオンのジョーンズが開幕戦アメリカ西GPを制して幸先がよかったものの、第2戦ブラジルGPと第5戦ベルギーGPでチームメイトのロイテマンが2勝を挙げ負け越し。さらには第3戦アルゼンチンGPと第4戦サンマリノGPはブラバムのピケが勝利を挙げ、前戦第5戦モナコGPではフェラーリのヴィルヌーブが勝利しており、ジョーンズの連覇が怪しくなり始めていました。

予選は何故だか毎年スペインGPを得意とするフランスチーム、リジェのラフィがウィリアムズ2台から逃げ切るポールポジションを獲得。4番手はマクラーレンのワトソン、ヴィルヌーブは7番手、ピケは9番手とやや低調に終わります。

《予選結果》
 1 J・ラフィ  (リジェ・Ma・MI)
 2 A・ジョーンズ(ウィリアムズ・FC・MI)
 3 C・ロイテマン(ウィリアムズ・FC・MI)
 ※Maはマトラ、FCはフォードコスワース、
  MIはミシュラン

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スタート直前にポールのラフィがクラッチの接続ミスであれよあれよと順位を落とす。
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あっという間にチャンピオンマシンのウィリアムズに先頭を明け渡してしまいます。アウト側からトラックに半分マシンを落としながらジャンプアップしてきます。アツき男、ヴィルヌーブです。7番手から一気に3位に浮上してきます。グラウンドエフェクトカーでよくもまああんな不安定なところを。。
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ラフィはどこじゃい?!もう、スペインの予選ばかり強いんだから。

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2周目のジョーンズは2位のロイテマンを引き離し始めて独走状態。ロイテマンはターボ搭載のヴィルヌーブに並ばれ、その後3位に後退します。
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チャンピオンは俺なんだ。早く2勝目を挙げたい。逃げるジョーンズ。
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2位のヴィルヌーブはジョーンズから大きく離されつつも、一人果敢にウィリアムズの間に割って入り、ロイテマンを引き離す。

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焦りがあったか、ジョーンズは14周目にコースオフ
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押せ!早く押せ!
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何とかレースには復帰しますが、ヴィルヌーブやロイテマンは遠く彼方に逃げてしまいました。

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ウィリアムズのもう一台、ロイテマンはギヤに不調をきたし、ポールから脱落したラフィが2位まで挽回。
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ヴィルヌーブを射程圏内に捉えたラフィIMG_4733
インからいくか?!
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ヴィルヌーブは巧みにブロック。譲らない。
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あれよあれよという間にヴィルヌーブを先頭にラフィ、ワトソン、ロイテマン、そして5位にロータスのデ・アンジェリスまでが数珠繋ぎになり、そのままフィニッシュ。
2位ラフィはヴィルヌーブから0.2秒遅れ、3位ワトソンは0.6秒、4位ロイテマンは1.0秒、5位のデ・アンジェリスは1.2秒という僅差。レースに復帰したジョーンズは結局7位入賞圏外に終わっています。

《決勝結果》
 1 G・ヴィルヌーブ(フェラーリ・F・MI)
 2 J・ラフィ   (リジェ・Ma・MI)
 3 J・ワトソン  (マクラーレン・FC・MI)

ラフィに後ろから何度も突かれつつも、トレインの先頭のまま何とか逃げ切って二連勝を果たしたヴィルヌーブ。79年はシェクターのチャンピオン獲得に貢献したけど、今年は自分が是が非でもフェラーリでチャンピオンを獲るんだ!その夢は儚く散り、翌年命を落としたため、この勝利がヴィルヌーブ自身のキャリア最後の勝利となりました。
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マッサじゃないよ、ヴィルヌーブだよ。

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今シーズン初となるレース前の「過去のレース」です。近年はエンジンの排気量を小さくし、ターボと電気エネルギーを使ったハイブリッドのF1が定着しています。今まではここまで小さく、また複雑なパワーユニットを使ってきませんでしたが、この状態に至るまで様々なレギュレーション変更と技術のせめぎ合いがありました。今回はパワーとしてはイケイケどんどんの時代、1985年第3戦サンマリノGPをみていきます。1985年のレースは3戦目、サンマリノGPのレースは4回目です。サンマリノGPとはいえ、イタリア国内でフェラーリのファクトリーから近いため、サーキットには赤い旗が各所でたなびいています。
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ルノーワークスが初めてターボチャージャーを導入してから、F1界では瞬く間に流行り、各チームが追従していきました。エンジンの排気量を大きくせず、大出力を生み出せることが特徴のターボは一見いいことづくめのパーツのようですが、もちろんデメリットもあります。このレースはそんなデメリットが露呈したわかりやすい例だと思います。この時代は現代と同じく、レース中の再給油は禁止です。さらに前年84年に規定された「ターボエンジン搭載車の燃料は最大で220ℓまで」とされていました。ターボエンジンはNAエンジンよりも高出力を得られますが、その分燃料の使用量も多くなります。再給油無しで悪燃費、最大搭載量にも制限があるため、むやみにフル稼働させるとレースを完走できないということに繋がってしまいます。
このシーズンは第3戦までにマクラーレンを駆るプロストが開幕戦ブラジルGPを制し、第2戦はロータスの若手セナが優勝を挙げて1勝ずつとなっています。しかし、両者ともリタイヤが一つずつあり、2戦連続で2位を獲得するフェラーリのアルボレートにとってもいい流れで地元レースを迎えています。

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ポールポジションは第2戦ポルトガルGPでポールトゥウィンを果たして波に乗るセナが獲得。2番手はウィリアムズ・ホンダのロズベルグ、3番手にはセナの相方であるデ・アンジェリスがつけました。フェラーリの期待を背負うアルボレートは4番手、前年は0.5ポイントに泣いたプロストは6番手となっています。

《予選結果》
 1 A・セナ      (ロータス・R・GY)
 2 K・ロズベルグ   (ウィリアムズ・H・GY)
 3 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
 ※GYはグッドイヤー

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2番手ロズベルグはスタートで失敗。ロータスのイケメンコンビがワンツー体制を築いていきます。
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ただ10周目に2位走行のアンジェリスはターボ不調によりペースを保ち続けることができず、アルボレート、プロストに先行を許す形となります。

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23周目に入ると、地元期待のこれまた2位走行のアルボレートが電気系トラブルにより緊急ピットインし、そのままリタイヤ。ティフォシが一瞬凍りつく。
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アルボレートが脱落しても、チームメイトのヨハンソンが予選15番手からアンジェリス、プロストを捕まえて2位に浮上。ティフォシ目が再び輝き始めます。
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セナとヨハンソンの一騎打ち。逃げ逃げポールトゥウィンを思わせたセナですが、思わぬ刺客に追われる形となっています。
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セナが残り4周でガス欠を懸念してペースダウン。ヨハンソンがいよいよトップへ!このレースはこれでは済みませんでした。下位スタートからハイペースで追ったヨハンソンもガス欠が予想されてペースを落とさざるを得ない。
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最後の最後で予めペースダウン走行をしていたプロストが逆転。F1とは要は決勝で「勝ちゃあいい」
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3位のアロウズのブーツェンはフィニッシュ直前でガス欠。手押しでチェッカーを受けました。
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そんなプロストもウィニングランでとうとうガス欠。パルクフェルメまでマシンを戻すことができていません。ガス欠&低燃費走行が思わぬドラマをいくつも生み出しています。

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《決勝結果》
 1 A・プロスト    (マクラーレン・TP・GY)
 2 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
 3 T・ブーツェン   (アロウズ・B・GY)

 ※TPはタグポルシェ、BはBMW

賢いプロストが最後の最後で真っ先にチェッカーフラッグをうけて表彰式となりましたが、最後にオチがありました。何とプロストのマシンはレース後の車検で最低重量を2kg下回っていたことが判明。軽ければ当然燃費にも関係していますし、レギュレーション違反ということで失格。2位表彰台のアンジェリスが繰り上げ優勝、さらに4位で終えたルノーのタンベイが3位繰り上げで幕が下りました。将来の期待も高かったアンジェリスはこのシーズン限りでロータスと決別、名門ブラバムに移籍を果たしますが、このレースから一年後の86年5月のポールリカール合同テストでのクラッシュが起因してこの世を去ったため、これが最終優勝ということになります。

《最終結果》
失格 A・プロスト    (マクラーレン・TP・GY)
   1 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
   2 T・ブーツェン   (アロウズ・B・GY)
   3 P・タンベイ    (ルノー・R・GY)

低燃費走行は再給油禁止である今日にも相通ずるものがあります。確かに出力の面ではこの当時の方が高く、ドライビングもマニュアルでありあたかも「F1という生き物と対話しながら操る」といった印象が色濃く出ていました。驚くのはこの当時と同じレーストータルで300km超を約半分の110kgの燃料使用量でこなし、さらにはラップタイムはだいぶ速いこと。それもこれも技術の進化であり、緻密な戦略の賜物といえます。

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第2戦ブラジルGPの2位表彰台以降低迷し、蓄のう症のため3戦欠場から明けたベネトンのベルガーは第9戦ドイツGPを前は会見を行っています。
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「自分が今後何をしたいのか2〜3戦以内にハッキリする。僕としては来年ベネトンでは走らない」
数少なくなった80年代のF1を知るベテランの37歳。周りにはイキのいい若手、ベルガーの代役を務めたヴルツも第8戦イギリスGPでいきなり3位表彰台を獲得。さらに欠場中には父親を航空機事故で亡くし、トップドライバーとしての去就をじっくり考えるタイミングが訪れたのかもしれません。今回はホッケンハイムリンクでの1997年ドイツGPです。

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予選は話題性抜群のベルガーがベネトンとして約2年振りとなるポールポジションを獲得。続いたのは0.02秒差のヤングイタリアン、ジョーダンのフィジケラでした。この時代のこの僅差はなかなか稀。この97年は一貫して速さをみせる2年目は決してハイパワーとは言えないプジョーエンジンを駆り、しかもしっかりとシューマッハやハッキネンらを抑えての2番手は将来の有望株とみえました。


《予選結果》
   1 G・ベルガー    (ベネトン・R・GY)
   2 G・フィジケラ (ジョーダン・P・GY)
   3 M・ハッキネン (マクラーレン・M・GY)
   ※GYはグッドイヤー、Pはプジョー

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フィジケラは決勝も好スタートをみせるもベルガーが堅実なスタートを決めて1位を譲りません。4番手スタートのM・シューマッハが3番手ハッキネンから奪っています。
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親の不幸と自身の去就で苦悩する中、2ピットストップを予定するベルガーは計画通りマージンを築き、若者達に屈さぬ姿勢。これぞ二百戦錬磨。ピットクルーの表情も明るいです。
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1回目のピットを終えてフィジケラ、シューマッハ、ハッキネンの後ろとなる4位復帰。いいんですこれで。彼らは1ピットストップ、そもそもの戦略が違う。

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トラック上で若手のハッキネンを料理。3位に浮上すると、前の2人フィジケラ、シューマッハが最初で最期のピットに向かいます。
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前が開けたら何をすべきか、ベルガー自身も控えるあと1ピットストップ分を自ら稼がなくてはなりません。飛ばす!
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クルーが用意をし始めた33周目時点で19.6秒のギャップと、それでも正直際どいタイミングです。

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ベルガー入る。フィジケラも初優勝がかかっています。飛ばす!
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ベルガー出発。フィジケラはコントロールライン通過。どちらが前?!初優勝か病み上がりのベテランか?!
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フィジケラが前でした。初優勝が見えてきます。ただしココは高速ホッケンハイムリンクです。森の中で後ろに張り付いて
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抜けばいい。当時のナンバー1を誇ったルノーV10を搭載していれば怖いものはありません。

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あはは、ボクでは到底敵わない。貫禄負けかなと2位でも立派なフィジケラは中盤にJ・マグヌッセンがリタイヤした際のデブリを拾ってタイヤバーストからのコースオフ、そしてスピンにより2回目の表彰台はお預けです。今日のベルガーは何かが違う。運気を全て走りに注入できているかのよう。

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《決勝結果》
   1 G・ベルガー        (ベネトン・R・GY)
   2 M・シューマッハ (フェラーリ・F・GY)
   3 M・ハッキネン    (マクラーレン・M・GY)

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見よ、若者達!いよっ、先輩。さすがっす!
予選、決勝そしてファステストラップも全てベルガーのものです。決勝後のコメントでベルガーは「今日は誰かに優勝の後押しをしてもらったかのようだ。誰かはわかってるよ」と亡き父に力を借り、見事親孝行を成し遂げました。

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先日振り返った名門ベネトンはデビューイヤーの1986年第15戦メキシコGPでこのベルガーの手によって初優勝を遂げました。ベルガー自身の初優勝でもあります。そして97年はそのベルガーが持ち帰ったこの優勝がベネトンとしての最終優勝であり、ベルガー自身の最終優勝となっています。ベネトンの輝かしい時代はベルガーに始まりベルガーに終わる。
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ベルガーはその後、会見での宣言通りベネトンから離れ、後任は代理として活躍したヴルツと伸び盛りフィジケラを起用。ベルガーは結局どこのチームに移籍することもなく、210戦におよぶF1ドライバー人生に幕を降ろしています。

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先日の1996年からは8年後、何年経てど同じようにゴージャスにF1を迎えてくれる2004年のモナコGPです。この8年でみると、ドライバーの方は様変わりする中で当時と変わらないのはM・シューマッハにクルサード、パニス、バリチェロと浪人を味わったヴィルヌーブの5人になってしまいました。M・シューマッハとクルサードの2人に至ってはチームも同じという「F1界のお局様」

2004年のモナコGPは第6戦に設定され、M・シューマッハは4回ポールの5連勝という、どうしようもない、どうしようもできない流れを形成。相方バリチェロが2位3回、B・A・Rのバトンが2位1回が3位2回、マクラーレンのモントーヤは2位1回で3位1回、ルノーのアロンソが3位1回を獲得するも、このまま1人やりたい放題でいいのかという状況です。これらと比べれば去年や今年はまだ争えていてだいぶマシですね。
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もちろん大得意な「新モナコマイスター」ですから勢いそのままにこのレースも制しちゃうのかな、と思いきや
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2000年代の予選屋さんといえばトゥルーリですね。様々なチームやマシンを渡り歩いて、この年は青いルノーで若きアロンソのお兄ちゃんやってます。もう紅の時代は終わりだ、とテク二カル低速モナコでシューマッハの前に立ちはだかる。
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続いて日の丸ハイポトニックな佐藤琢磨はセクター1でそのトゥルーリを上回ってきます。モナコ在住で浸透圧もいつも以上に充分なご様子。
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うートンネル明けのヌーベルシケインでタイヤロックとバランスを崩して敢え無く4番手止まり。結果8番手の7番手スタート。でも決勝も絶対に諦めないしー。
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そんなことより、ウチはどうなった?しーん。。

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《予選結果》
   1 J・トゥルーリ     (ルノー・R・MI)
   2 R・シューマッハ(ウィリアムズ・B・MI)※
   3 J・バトン           (BAR・H・MI)
   4 F・アロンソ       (ルノー・R・MI)
      ※エンジン交換ペナルティでスタートは12番手
      ※※MIはミシュランタイヤ、BはBMWエンジン

予選は初ポール「ヤった・トゥルーリ」
見事にミシュランタイヤ勢がセカンドロウまでに並び、ブリヂストンタイヤ勢はM・シューマッハの5番手が最上位となっています。当時はミシュランとブリヂストンの割合が6:4ですが、徐々にミシュラン勢の結果が上回る気配を見せ始めています。R・シューマッハのペナルティ降格のためスタート上位は2002年ルノー時代の同僚3人が占める形に。
トゥルーリの予選は心配していません。問題はスタートしてからの方。決勝はどうしてもスタートダッシュで蹴つまずくかダラダラもたもた大渋滞の先頭になりがち「ヤらない・トゥルーリ」
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スタートは7番手スタートとなった佐藤琢磨がキレキレの蹴り出しをみせて、サン・デボーテまでに一気に4番手までジャンプアップしてみせます。M・シューマッハなんてモナコ在住のボクには関係ないしー。
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ただわずか2周でホンダエンジンがオーバーヒートして白煙が上がります。佐藤琢磨の浸透圧よりエンジンの冷却率が低かったと思われ。
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うん。仕事は済んだ、お家に帰ろう!

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モナコは景色に見とれている余裕はありません。若くまだまだ青いアロンソはレース後半の41周目にガードレールにご挨拶。そのお片付けで2回目のセーフティカーが発動されています。先頭はピットを引っ張るM・シューマッハにバトンと続く。
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セーフティカースピードのM・シューマッハは45周目のトンネル明けは入る前と違った様相に変わっています。中でどんなトリックが?!
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周回遅れのモントーヤがブレーキテスト中のM・シューマッハに追突してガードレールに向けて弾かれたためです。
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うーん、モナコでやっちまった。これで開幕からの6連勝は絶たれてしまいました。ちなみに力業?!をみせたウィリアムズのモントーヤは周回遅れではあるもののちゃっかり4位でフィニッシュしています。

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お、残り3周でもまだトップを守り切れてるぞ!後ろから先にルノーとおさらばしたバトンが背後1秒以内まで追い詰めてきています。ヤルノ、今回は最後までヤレるの?いつものようにヤられるの?!
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嬉しいY!(ただし、ヤルノのイニシャルはJ)

《決勝結果》
   1 J・トゥルーリ  (ルノー・R・MI)
   2 J・バトン         (BAR・H・MI)
   3 R・バリチェロ (フェラーリ・F・BS)
      ※BSはブリヂストン

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ヤルノ、ヤられませんでした。初優勝はいつになるのか、と待たれた1人は勝てば3勝に値すると言われるモナコを制しました。やっとのことで今回こそ「ヤれた・トゥルーリ」です。最近このブリアトーレばかり見ている気がしますね(笑)
前回、今回とモナコで初優勝の2人を取り扱いました。トゥルーリのケースはポールトゥウィン、パニスについては14番手からの優勝はかなりレアケースでした。あとこの2人の共通点は「無限ホンダ、ホンダ、トヨタ3社の日本製エンジンをドライブしている」ことと「モナコGP優勝が最初で最後のF1優勝」であることです。F1で勝つのも大変なのにモナコで優勝できたら、まだいい方なのかな。記録は1勝、でも価値と気分は3勝分!
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