F1チームの中には同じチームで同じマシンに乗っていても「平等に勝利やチャンピオン獲得の可能性を与えるところ」と「優劣をはっきりさせてるところ」に分かれます。人間はみな平等、スポーツは「腕や技術(時には運)」により結果が競われるものでなければなりませんが、チームとしてシーズンの勝利を得るためには、時には後者の考えを取り入れる、つまりチームオーダー発令が許されているのが現状です。近年のレースでもそれが発令されるのか否かハラハラしながらレースを見守ることもありますが、このレースもどうなるか最後の最後まで目が離せませんでした。今回は2002年にニュルブルクリンクで行われた第9戦ヨーロッパGPを振り返ります。このシーズンはこの先の第12戦にホッケンハイムリンクでドイツGPを控えていたため「ドイツでの二開催の一開催目」という位置付けになります。
このシーズンは全17戦が予定されていましたので、このレース数的には「シーズン後半戦初戦」ということになります。シーズン5回目のチャンピオンを狙うフェラーリのM・シューマッハがここまでに四連勝を含めた計6勝を挙げ、ポイントランキングトップの70。残りの2勝のうち第2戦マレーシアGPで優勝したウィリアムズのR・シューマッハが27ポイントでランキング2位。マクラーレンのクルサードは第8戦モナコGPで優勝を挙げ4位26ポイントと続いており、未勝利ながら27ポイントでウィリアムズのモントーヤも僅差で追従しています。
古くからドイツGP、またヨーロッパGPの舞台として採用されてきたニュルブルクリンク(GPコース)はこのレースから一部レイアウト変更が加えられました。
下り坂のメインストレートの先にあるターン1のカストロールSを鋭角化し、サーキット内側にグルリと回り込みアリーナ(メルセデスアリーナ)を通過するインフィールドエリアが加えられたため、一周距離が伸びただけでなく、ターン1攻略の難易度が高くなりました。ドライバーの一人、モントーヤからは
「スローコーナーは危険。玉突き事故が起きる」のような意見が出ています。モントーヤらしからぬ弱気発言。
とは言いつつも予選はモントーヤがポールポジション、相方のR・シューマッハが2番手となり、ウィリアムズがフロントロウを独占。M・シューマッハの独壇場をどうにか止めたいところ。そのフェラーリは3番手、4番手の2列目、マクラーレンが3列目、ルノーが4列目とチーム毎にくっきり分かれています。
また、ジョーダン・ホンダからフル参戦を果たした佐藤琢磨はチームメイトのフィジケラを上回る14番手を獲得しています。
《予選結果》
1 J・P・モントーヤ(ウィリアムズ・B・MI)
2 R・シューマッハ(ウィリアムズ・B・MI)
3 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
※BはBMW、MIはミシュラン、BSはブリヂストン
スタートは2番スタートのR・シューマッハの蹴り出しがよく、モントーヤに代わってトップ、と思いきや
モントーヤが恐れていたターン1で軽く接触。
その後ろでは黄色いジョーダンの2台、佐藤とフィジケラも接触し、両者傷を負ったまま早々にピットに向かっています。
「おーい、フロントタイヤ無いぞ。冗談は止めて」
先頭争いに戻ると、同士討ちしたモントーヤがまずバリチェロの餌食となり、ウィリアムズの壁が脆くも崩れ始めました。
バリチェロはすぐさまトップのR・シューマッハを捕らえる。
ウィリアムズの壁崩壊。。早い。。R・シューマッハにとっても母国GPだし、BMWエンジンを積むチームとしてもココが母国。第12戦ドイツGPまで我慢か。
「母国言われたら、俺もなんだけどね」4位に後退していたM・シューマッハもモントーヤを捕らえて3位浮上。残るは弟と「子分」だからどうにでもなるかな。
3周目にR・シューマッハをパスして、早くもフェラーリがワンツー体制となります。
逃げていたバリチェロにみるみる近付くM・シューマッハ
ほら、いつ指示を出すの?!早かれ遅かれ出すんでしょう。とシナリオを先読みした途端に
M・シューマッハはテールを滑らせてランオフエリアに吸い込まれる。
「ん?!まだ早いか、様子をみよう」
一応ピットに戻ってルーティンの給油とチェックを行って全く問題無し。トラックインしてもR・シューマッハのやや前で復帰できて2位のまま全く問題無し。
多めの燃料搭載量で1回ピットを企てていた4位モントーヤはマクラーレン2台に突かれっ放し。
メルセデスエンジンを搭載するマクラーレンからしてもドイツは半母国。ベテランの腕で猛獣をねじ伏せるか?!
27周目のターン1でクルサードが並びかける。ブレーキング勝負!
触れぬままイン側でテールを滑らせるモントーヤ
アウト側のクルサードにヒットしてクルサードの右フロントサスペンションはひん曲がり、両者ココでリタイヤ。モントーヤは危惧していたターン1で2度目の接触となります。
DC「はいはい、やってくれましたよ。と」
JM「は、何が『はいはい』だ。意味わかんねー」
アウトから攻めるのは危険だけど、君のためにスペースを空けたとニヤけながら語るクルサード
ぶつけにいったのではなく、マシンが既にスライドしていて、不可抗力だったと語るモントーヤ。不敵な笑い。
一番得したのは5位を走行していたマクラーレンのライコネンでした。前方の2人が消えたお陰で労せず3位に浮上。
再び徐々に背後に忍び寄るM・シューマッハ。
モニター前でこちらも笑みをこぼすロス・ブラウン。例の「指示」は下るのか。
勝ったのは、どっち?!
《決勝結果》
1 R・バリチェロ (フェラーリ・F・BS)
2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
3 K・ライコネン (マクラーレン・M・MI)
バリチェロでした。フェラーリ移籍3年目、F1で2勝目を挙げました。初優勝は2000年にホッケンハイムリンクで行われたドイツGPと、何かと相方の母国「ドイツ」に縁のある方です。それにしても、3年在籍してもようやく「2勝目」って、どれだけ我慢させられたことか。バリチェロの後ろでは「今回くらいはまあ、いっか」的な表情のエース。そして3位ライコネンはF1で2回目の表彰台登壇なんですが、相変わらずの素っ気なさ。貰い表彰台とはいえ、若いんだしもっと喜びなよ(笑)
この週末金曜日は日韓共同開催のサッカーワールドカップのベスト4を決める試合があり、イングランドとブラジルの対戦で見事ブラジルが勝利を飾っています。F1にサッカー、ブラジル国内では沸きに沸いた一日になったことでしょう。
PS「ワシはブラジル関係無いけど、、まあ、いいか」
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このシーズンは全17戦が予定されていましたので、このレース数的には「シーズン後半戦初戦」ということになります。シーズン5回目のチャンピオンを狙うフェラーリのM・シューマッハがここまでに四連勝を含めた計6勝を挙げ、ポイントランキングトップの70。残りの2勝のうち第2戦マレーシアGPで優勝したウィリアムズのR・シューマッハが27ポイントでランキング2位。マクラーレンのクルサードは第8戦モナコGPで優勝を挙げ4位26ポイントと続いており、未勝利ながら27ポイントでウィリアムズのモントーヤも僅差で追従しています。
古くからドイツGP、またヨーロッパGPの舞台として採用されてきたニュルブルクリンク(GPコース)はこのレースから一部レイアウト変更が加えられました。
下り坂のメインストレートの先にあるターン1のカストロールSを鋭角化し、サーキット内側にグルリと回り込みアリーナ(メルセデスアリーナ)を通過するインフィールドエリアが加えられたため、一周距離が伸びただけでなく、ターン1攻略の難易度が高くなりました。ドライバーの一人、モントーヤからは
「スローコーナーは危険。玉突き事故が起きる」のような意見が出ています。モントーヤらしからぬ弱気発言。
とは言いつつも予選はモントーヤがポールポジション、相方のR・シューマッハが2番手となり、ウィリアムズがフロントロウを独占。M・シューマッハの独壇場をどうにか止めたいところ。そのフェラーリは3番手、4番手の2列目、マクラーレンが3列目、ルノーが4列目とチーム毎にくっきり分かれています。
また、ジョーダン・ホンダからフル参戦を果たした佐藤琢磨はチームメイトのフィジケラを上回る14番手を獲得しています。
《予選結果》
1 J・P・モントーヤ(ウィリアムズ・B・MI)
2 R・シューマッハ(ウィリアムズ・B・MI)
3 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
※BはBMW、MIはミシュラン、BSはブリヂストン
スタートは2番スタートのR・シューマッハの蹴り出しがよく、モントーヤに代わってトップ、と思いきや
モントーヤが恐れていたターン1で軽く接触。
その後ろでは黄色いジョーダンの2台、佐藤とフィジケラも接触し、両者傷を負ったまま早々にピットに向かっています。
「おーい、フロントタイヤ無いぞ。冗談は止めて」
先頭争いに戻ると、同士討ちしたモントーヤがまずバリチェロの餌食となり、ウィリアムズの壁が脆くも崩れ始めました。
バリチェロはすぐさまトップのR・シューマッハを捕らえる。
ウィリアムズの壁崩壊。。早い。。R・シューマッハにとっても母国GPだし、BMWエンジンを積むチームとしてもココが母国。第12戦ドイツGPまで我慢か。
「母国言われたら、俺もなんだけどね」4位に後退していたM・シューマッハもモントーヤを捕らえて3位浮上。残るは弟と「子分」だからどうにでもなるかな。
3周目にR・シューマッハをパスして、早くもフェラーリがワンツー体制となります。
逃げていたバリチェロにみるみる近付くM・シューマッハ
ほら、いつ指示を出すの?!早かれ遅かれ出すんでしょう。とシナリオを先読みした途端に
M・シューマッハはテールを滑らせてランオフエリアに吸い込まれる。
「ん?!まだ早いか、様子をみよう」
一応ピットに戻ってルーティンの給油とチェックを行って全く問題無し。トラックインしてもR・シューマッハのやや前で復帰できて2位のまま全く問題無し。
多めの燃料搭載量で1回ピットを企てていた4位モントーヤはマクラーレン2台に突かれっ放し。
メルセデスエンジンを搭載するマクラーレンからしてもドイツは半母国。ベテランの腕で猛獣をねじ伏せるか?!
27周目のターン1でクルサードが並びかける。ブレーキング勝負!
触れぬままイン側でテールを滑らせるモントーヤ
アウト側のクルサードにヒットしてクルサードの右フロントサスペンションはひん曲がり、両者ココでリタイヤ。モントーヤは危惧していたターン1で2度目の接触となります。
DC「はいはい、やってくれましたよ。と」
JM「は、何が『はいはい』だ。意味わかんねー」
アウトから攻めるのは危険だけど、君のためにスペースを空けたとニヤけながら語るクルサード
ぶつけにいったのではなく、マシンが既にスライドしていて、不可抗力だったと語るモントーヤ。不敵な笑い。
一番得したのは5位を走行していたマクラーレンのライコネンでした。前方の2人が消えたお陰で労せず3位に浮上。
再び徐々に背後に忍び寄るM・シューマッハ。
モニター前でこちらも笑みをこぼすロス・ブラウン。例の「指示」は下るのか。
勝ったのは、どっち?!
《決勝結果》
1 R・バリチェロ (フェラーリ・F・BS)
2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
3 K・ライコネン (マクラーレン・M・MI)
バリチェロでした。フェラーリ移籍3年目、F1で2勝目を挙げました。初優勝は2000年にホッケンハイムリンクで行われたドイツGPと、何かと相方の母国「ドイツ」に縁のある方です。それにしても、3年在籍してもようやく「2勝目」って、どれだけ我慢させられたことか。バリチェロの後ろでは「今回くらいはまあ、いっか」的な表情のエース。そして3位ライコネンはF1で2回目の表彰台登壇なんですが、相変わらずの素っ気なさ。貰い表彰台とはいえ、若いんだしもっと喜びなよ(笑)
この週末金曜日は日韓共同開催のサッカーワールドカップのベスト4を決める試合があり、イングランドとブラジルの対戦で見事ブラジルが勝利を飾っています。F1にサッカー、ブラジル国内では沸きに沸いた一日になったことでしょう。
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