前代未聞のシーズンが開幕し、何とか6戦までを終えました。おそらく今シーズンはあと3戦か4戦を加えた全17〜18戦で行われるであろう噂はあるものの、未だに最終戦までの正式な発表がありません。時期的にはそろそろシーズンのまとめを一回入れてもよさそうな頃ではありますが、シーズンがいつ閉幕するのかわからないため、どのタイミングで行おうか決めかねたまま今日に至ります。そこで今回は志向を変え「昨シーズンと今シーズンの予選タイムからみるマシン向上」に焦点を合わせて、いくつかのデータをまとめてみました。

《2019年と2020年4戦のポールタイム比較》
 オーストリアGP
  2019年 6/30 1分03秒003 C4 フェラーリ・F
  2020年 7/5  1分02秒939 C4 メルセデス・M
           -0秒064
 ハンガリーGP
  2019年 8/4  1分14秒572 C4 レッドブル・H
  2020年 7/19 1分13秒447 C4 メルセデス・M
           -1秒125
 イギリスGP
  2019年 7/14 1分25秒093 C3 メルセデス・M
  2020年 8/2  1分24秒303 C3 メルセデス・M
           -0秒790
 スペインGP
  2019年 5/12 1分15秒406 C3 メルセデス・M
  2020年 8/16 1分15秒584 C3 メルセデス・M
            0秒178

まずはポールタイムの差をみていきます。今シーズンは大幅なマシンレギュレーション変更、さらにはドライバー交代もありませんでしたので、荒天でもない限りは素直にタイム向上してくるのが一般的かと思います(そうでないとF1が進化していないことになる)
昨年と今年で獲得チームに違いはありつつも、4GP中3つが大なり小なりタイムを向上させてきました。最大はハンガロリンクで1秒125の短縮となりました。昨年のハンガリーはフェルスタッペンによる僅差の初ポールでしたね。今シーズンその僅差を埋めるべく、メルセデスがバチっとキマるとこんなタイム差を平気で叩き出してしまう。ちなみに現パワーユニット元年の2014年もメルセデスのロズベルグが獲得しており、その時のタイムは1分22秒715でした。ということは6年で9秒268の短縮ということになります。さらに言うと今シーズンのビリ、20番手のライコネンですら1分16秒614で上回っています。進化とは恐ろしや。。
上のデータはタイム以外にも予選日と獲得時のタイヤコンパウンドを記載しています。タイヤは同じコンパウンドなのでそう気にしなくていいのですが、唯一昨シーズンのタイムから遅れてしまったカタロニアは他のGPよりも開催日が大きくズレていることがわかります。いくら温暖でカラりと晴れるカタロニアとはいえ、北半球の5月と8月ではだいぶ気候条件が違うはずです。今シーズンの予選開始前は気温30℃、路面温度49℃。一方昨年は気温20℃、路面温度29℃でした。本来であれば今シーズンもタイムを削れるところが、この暑さの違いで結果に相違を生んだ可能性も無くはない?!すみません、根拠なき推測です(笑)

《4戦のチーム別ポールタイムとの比率》IMG_5002
一部例外はあるもののポールタイムを100%とした場合の各チーム最速ドライバーによる比率になります。左から2019年のコンストラクターズランキング順に並び、青がオーストリア、赤がハンガリー、グレーがイギリス、黄色がスペインを示します。当然ながらグラフが短い方が速く、長いものはそれだけポールタイムから離れていることになります。
チーム単位でみると、ランキング上位のグラフが低く、右に進むにつれて長くなるわけですが、アルファロメオとハースについて、予選タイムは悪く無かったためグラフはやや短めです。フェラーリワークスをはじめ比較的フェラーリパワーユニットは予選の競争力があったことがわかります。中でもハースはアルファロメオと比べても各レース101.5%〜102.0%で安定しており、ランキング4位のマクラーレンと比較しても遜色無い遅れで走れていました。本当はハースも速い(かった)んですよね。両ドライバーともベテランですし、ちゃんと走れればそれなりに格好がついていました。
サーキット単位でみると、色々でっこみ引っ込みがある中でグレーの帯、イギリスのタイム差がさほど表れなかったのは意外でした。全長が短いわけでもないし、単に高速だけってわけでもない、カタロニア同様にマシンの総合力を問われます。他の年を比較していないけど、マシン差が出にくいということ?!
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続いて同じGPの2020年版はこうなります。4戦全てがメルセデスによるポールポジションなので、他は単純にイコール「メルセデスとの差」となるわけです。実にわかりやすいですね(笑)
2019年と比べると、階段状だったタイム差がざっくりと2グループの塊のようにみえますね。フェラーリがランキング2位を思わせない不調さと反してマクラーレンやレーシングポイントの好調さが相まった結果がグラフに表れたためです。もちろん悪いことではありません。ただメルセデスがあらゆるサーキットにおいて、それをモノともしない速さを兼ね備えていることも明らかです。
本来は2019年ランキングと同様の「右肩上がり」になるのが一般的ですが、今シーズンはウィリアムズも健闘し、フェラーリを含めたフェラーリパワーユニットが劇不調ですね。ビリは概ねアルファロメオに代わっています。一時期は「フェラーリのサテライト」なんて言われた時もあったのに、今や聞かん坊ハースにすら遅れをとる始末。三百戦練磨の脱力ライコネンをもってしてもこの状況ですから、いかにパワーユニットの不調が多大な影響を及ぼすか、まざまざと感じます。
2020年シーズンは赤のグラフ、ハンガリーGPで大きな差を生み出したこともわかります。ハンガリーGPといえば、ちょこまかしたコーナーに対してきれいな走行ラインを描きつつ、いかに細かなトラクションがかけられるかを求められます。意外にもメルセデス勢がライバルに反してタイム差が小さく出ているのが面白いです。

《チーム別予選タイム前年比》
先程はポールタイムから各チーム最速タイムの差を割合にしてみてきました。こちらでは「各チームがこの一年でどれだけ向上したか」をみていきたいと思います。タイム差では各サーキットによって差があり、統一感がありませんのでこちらも割合で評価します。
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グラフ中段に基点となる昨年2019年のタイムを0%で置きます。プラス側(グラフ上方)に伸びる帯が「昨年より今年の方が向上している」と読みます。逆にマイナス側(グラフ下方)に伸びているものは「昨年より今年の方が遅くなった」となります。幸いにも全サーキットの一周全長は同じ、かつドライ環境でタイヤコンパウンドも同じなので、単純にタイムだけで比較できます。
4GP全てでタイム向上(短縮)がみられたのは中段に位置するマクラーレン、ルノー、アルファタウリ、レーシングポイントの4チームと最下位に座っていたウィリアムズでした。中でもレーシングポイントの伸び率は大きく、サーキットによってはマクラーレンやルノーといった名門をも食い、レッドブル(フェルスタッペン)にもかなり接近する位置にまで成長しました。ハンガリーの3.54%は強烈です。またウィリアムズも評価に値しますね。ラッセルが期待以上の走りでQ1突破を立て続けに行いました。Q3進出や決勝の入賞まであと少しですから、引き続き研さんして賢いドライビングに励んでもらいたいと思います。メルセデスは文句無しのトップに君臨しつつも、スペインGPを除けば昨年よりも向上してきています。ということは、メルセデスユーザーが堅調であるということは見た目だけでなくデータとしてもしっかり割り出されてきますね。
さあ一方で悪い方、退化した方たちをみていきましょう。言うまでもありませんが、先程名前の出なかったチームが該当します。ハースは4GP全てで退化、フェラーリとアルファロメオは3GPで退化、ということでフェラーリユーザーは昨年の自分達よりそれだけ劣ってしまっています。技術のF1、ライバル達は確実な改善改良がみられるのに、これは恥ずかしいこと。ワガママや偉そうなこと言っていられませんね。アルファロメオは少し例外ではあるものの、フェラーリとハースはハンガリーでプラス側に向いていますが、オーストリア、イギリス、スペインなどパワーがあるに越したことがないGPにて下げ幅が大きい、要はパワーが足りていないということ。シーズオフにエンジンを改良しているわけですから、仮にパワーアップは難しくても、シャシーも改良しているはずですから、せめて現状維持のイコールくらいにいてもいい。コレはナニか「今年が悪いのではなく、昨年が良過ぎた」ということ?ナニかはmiyabikunわかりません(笑)
皆さんも注目されているであろうレッドブルも実は昨年からタイム的には向上が小さいチームです。タイムのほとんどはフェルスタッペンからの抽出ですし、セカンドドライバーは遠く離れた位置にいることが多いため、ほぼほぼ「フェルスタッペン」のデータと言っても過言ではありません。フェルスタッペンだからこの位置にいられているだけで、並ドライバーだったらもしかしたら全てのグラフがマイナス側に向いているのかもしれません。

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新型コロナウイルスCOVID-19によって前例のない形でシーズンが進行しています。あたかもマシンやチーム自体も冒されてしまったのかと思うような偏りのあるレース運びになっていますね。これからは秋に向かい、高速連戦や懐かしのサーキット、急遽開催のサーキットが続きます。どのような展開が待っていることでしょうか。

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