F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:優勝

昨シーズンは全滅だった南北アメリカ大陸系GPが今年は開催可能の見通しですね。これで結果的に中止になったのは東アジア勢(日本、中国、シンガポール)と唯一のオセアニア(オーストラリア)ということになりました。ヨーロッパからみたら遠いけど、来シーズンは必ずや開催できると信じたいですね。今週末はリバティ・メディアからすればお膝元、来シーズンからは二開催となるアメリカGPです。日本からすると地獄の、いや早起きで「健康的な」GP観戦の季節到来となります。
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昨シーズンは異例ながらイタリアによるシーズン一国二開催ならぬ「一国三開催」が生まれましたが、三開催はアメリカが発祥です。近年は一開催や行われないシーズンを繰り返しながら、テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(通称 COTA)直訳は「アメリカのサーキット」その名の通りアメリカGPとしてだいぶ定着しました。
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ヘルマン・ティルケ監修により2012年に完成。その年からF1アメリカGP復活開催しました。世界に点在する著名サーキットの名物セクションをパ◯り、いやオマージュして組み合わせられたこともあってか、ティルケサーキットの中では比較的高評価を得ていますよね。ただ、最近は早くもトラック各所にハンプ(隆起)がみられていることが問題となりました。miyabikun恥ずかしながら最近知ったのですが、F1マシンがフルアタックすると、ダウンフォースや横Gにより、舗装にわだちができたり、よれたりするんですね。我々も普段幹線国道を走ると、ダンプカーが付けたであろうわだちをみかけますが、軽量なF1マシンでもその現象が起きるのを知りませんでした。軽量かつ高速のF1マシンも、荷重的には2tトラックと似たようなもんで。
反時計回り(左回り)で構成され、広めの幅員とターマック化されたランオフエリアは近代サーキットならでは。追い抜きし易い、したい気持ちにさせてくれる鋭角コーナーもいくつかあります。COTAでの歴代優勝者の予選順位をみてみましょう。

《COTAの歴代優勝者の予選順位》
 12 ハミルトン   予選2番手→優勝
 13 ベッテル ★  予選P.P.→優勝
 14 ハミルトン ★ 予選2番手→優勝
 15 ハミルトン ★ 予選2番手→優勝 濡
 16 ハミルトン   予選P.P.→優勝
 17 ハミルトン ★ 予選P.P.→優勝
 18 ライコネン   予選3番手→優勝
 19 ボッタス    予選P.P.→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません
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 予選P.P.   →優勝:4回 50.0%
 予選2番手  →優勝:3回 37.5%
 予選3番手  →優勝:1回 12.5%

アメリカGPは歴史が古く、COTAも定着しつつあるとはいえ、まだ開催8回ですからシンプルかつ寂しい感じになっています。最多は言うまでもなくポールトゥウィンで、その数は開催の半数にあたる4回50%。2番目は2番手で3回、そして3番目が予選3番手からが1回となります。まだ最近の話ですから、記憶にある方も多いと思いますが、2018年のフェラーリ第二期のライコネン「今のところのラストウィン」は3番手ではなかったような、、そうなんです、スターティンググリッドはフロントロウの2番手発進なんです。何でこんなことになったかというと、当時のチームメイトであるベッテルが金曜フリー走行の黄旗無視のペナルティにより、予選2番手から3位分降格して5番グリッドになったんです。だから実質ライコネンは2番手からの優勝となり、つまりは「COTAは今までフロントロウスタート以外から優勝者がない」という結論に至ります。バカスカ抜けそうな印象のサーキットでも、優勝となるとある程度「定説」というか、トップは比較的変化の少ない結果が多いということ。と、COTA編はこれで終わりっちゃ終わりなんですが、さすがに寂し過ぎます。最近過ぎて振り返るまでもないかもしれませんが、今回も下位スタートからの優勝をみておきましょう。下位という程でもないけど、一応「最下位からの優勝」にあたる2018年のアメリカGPです。

〈(一応)下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 18 ライコネン 予選3番手→優勝

このレースで5回目のチャンピオン獲得に手が届くハミルトンですが、今ではちょっと考えられないフェラーリの好走(一説にはグレーな部分もありましたが)は予選の段階から始まっていました。IMG_2418
決勝タイヤを決めるQ2はライコネンがウルトラソフトタイヤを装着しトップタイム。IMG_2420
Q3はベッテルがウルトラソフトを履いてハミルトンに食らい付きますが、0.061秒差で惜敗。先程も書いた通りベッテルは金曜フリー走行で黄旗を無視したペナルティ降格が決まっていたため、スタートは5番手に降格。ハミルトンに0.070秒敗れたライコネンがベッテルに代わって2番手発進となります。IMG_2421

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決勝のスタートはアウト側のハミルトンがイン側のライコネンに思い切り幅寄せ。上りながらタイトに左に折れるターン1で不利なラインを強いられますが、この日のライコネンは屈しませんでした。IMG_2423
直進するライコネンがターン1をトップで通過し、ハミルトンの先制攻撃をかわします。レッドブルのリカルドのストップによりバーチャルセーフティカーが発動。2位のハミルトンはそのタイミングでソフトタイヤに交換するも、
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ライコネンはステイアウト。フレッシュタイヤのハミルトンは猛追を続け、ピットロス分を早々に解消してライコネンの背後を攻め立てます。IMG_2426
それにも使い切ったウルトラソフトで耐える。11周でタイヤ交換したハミルトンに対して、ライコネンは21周目まで引っ張り、ソフトタイヤに履き替えています。IMG_2427
2位になればチャンピオンが決まる。ハミルトンはラップレコードを塗り替える走りでプッシュしますが、
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トップのライコネンとの間にレッドブルのフェルスタッペンが居座っています。これでは得意なアメリカでチャンピオン獲得はできません。IMG_2429
チャンピオンの行方など関係無い(ただし、チャンピオン争いをしているのは相方のベッテル)ライコネンはスタートダッシュと1スティントでのタイヤを労る走りが功を奏し、5年振りの優勝を獲得。これが現時点でのライコネンのラストウィンレースとなっています。ポールトゥウィンでない勝ち方ってのもライコネンらしいですね。

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先日の鈴鹿編と同様に今シーズン限りで勇退するライコネン持ち上げ回になりました。優勝は難しいだろうけど、残り少ないレースでワンチャン上位入賞を決めて、気持ちよく送り出してあげたいですね。

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未練がましく日本GPのことばかり考えていたため、トルコGPに頭を切り替えるのがギリギリのタイミングとなってしまいました。今週末は昨年のリベンジを果たしてほしいイスタンブールパークでのトルコGPです。人気あるサーキットだし、こうなるんだったら初めからカレンダーに組み込んでくれりゃあいいのに(笑)
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ちょうどヨーロッパとアジアの分かれ目にあるトルコGPの歴史はまだ浅く、初開催は2005年でした。ヘルマン・ティルケの監修により、丘陵地の起伏を活かした起伏あるレイアウトです。前半は右左の切り返し、セカンドセクターは高速の左複合コーナー「ターン8」で正確なライン採りを要求され、後半はストレートと鋭角なコーナーで構成されています。IMG_6989
どこも似通った、、なんて評されるティルケサーキットの中では評判も高く、今でこそ増えてきましたが、当時としてはまだ少数派であった左回り(反時計回り)のサーキットであることも特徴的です。まだ8回しか行われていないイスタンブールパーク覇者の予選順位はどうだったのでしょうか。

《イスタンブールパークの歴代優勝者の予選順位》
 05 ライコネン   予選P.P.→優勝
 06 マッサ     予選P.P.→優勝
 07 マッサ     予選P.P.→優勝
 08 マッサ     予選P.P.→優勝
 09 バトン     予選2番手→優勝

 10 ハミルトン   予選2番手→優勝 濡

 11 ベッテル ★  予選P.P.→優勝

 20 ハミルトン ★ 予選6番手→優勝 濡


 ★はその年のチャンピオン

 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません
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 予選P.P.   →優勝:5回 62.5%
 予選2番手  →優勝:2回 25.0%
 予選6番手  →優勝:1回 12.5%

8回の開催のうち、5回がポールポジションから、2回が予選2番手からのスタートで優勝とほとんどがフロントロウスタートからの優勝となっています。もちろんターン12への飛び込みを活用したパッシングは今までもみられたものの、優勝となると実は予選順位でかなり絞られてきた傾向があります。もっと言うと、このイスタンブールパークはスタート直後に下りながらの左コーナーが控えており、メインストレートの走行ラインはアウト側、つまり奇数側の近くを走行します。よって、偶数側2番手スタートは不利なグリッドであることも特徴的です。ココで勝ちを狙うなら、2番手よりもポールポジションがほしいサーキットの一つですね。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 20 ハミルトン ★ 予選6番手→優勝 濡
急遽9年振りの開催となった昨年のトルコGPは再舗装が施されてまだ間も無い状態であり、さらには土曜予選前に雨が降り、油混じりの最悪なコンディションで予選を迎えました。
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ポールポジションは大穴フォース・インディア(現 アストンマーティン)のストロールが初ポールを獲得し、2番手にフェルスタッペン、3番手はストロールの相方ペレスが続いています。7回チャンピオンに王手のかかるハミルトンはルノー(現 アルピーヌ)のリカルドにも先行を許す6番手で予選を終えます。
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決勝スタートも最悪な路面状況が続き、偶数列スタートのフェルスタッペン、アルボンのレッドブル勢が失敗。さらにはオコン、リカルドのルノー2台による接触もあって、ハミルトンはその混乱をうまく避け、一気に3位まで浮上します。ところがハミルトンもその直後にコースオフを喫してせっかくの好スタートが帳消しの形となりました。IMG_7106
フェルスタッペンはペレスをかわす際にスピン。さらにはアルボンのスピンもあってハミルトンが徐々に順位を上げ、トップのストロールがタイヤを酷使ことによりピットに入ったことで2位浮上。IMG_7121
余談を許さない路面状況下、37周目にペレスをパス。インターミディエイトを履きつづけ1回のピットストップで5人抜きとなるレースを制し、併せて7回目のチャンピオン獲得も決めました。
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イスタンブールパークはレイアウトの難易度の高さもあって、歴代ティルケサーキットの中では比較的好評なサーキット。しかし、優勝争いとなると、昨年20年の予選6番手以外からはフロントロウスタートからの優勝に限られてしまいます、ちゃんちゃん。
と、これで終わっちゃうのも何だか物足りないですね。そこで今回はイスタンブールパークといえばマッサ、ということで本編から趣旨が離れてしまいますが、マッサの華麗なる三連覇はどんなレースだったか。マッサの戦績の特徴も含めて簡単にまとめてみました。

〈マッサのトルコGP優勝への道〉
① 06 マッサ 予選P.P.→優勝
17/9/12にトルコGPを振り返り1回目で取り扱いました。
第14戦で行われたトルコGPはチャンピオン争いはルノーのアロンソVSフェラーリのM・シューマッハの「新旧チャンピオン対決」の真っ最中でした。IMG_2256
フェラーリに移籍したばかりのマッサはシューマッハを差し置いて自身初のポールポジションを獲得。予選後に「優勝したいけど、ダブルチャンピオン獲得のために頭を使う」とコメント。若さが勝つかチームプレーを優先するかに注目が集まります。FullSizeRender
不利と思われた2番グリッドのシューマッハは決勝スタートで3番手のアロンソをどうにか抑えてフェラーリのワンツー体制で築きます。しかしトロ・ロッソのリウッツィのストップによりセーフティカーが発動された際のピットで、フェラーリはマッサ、シューマッハの順でダブルピットインを敢行。IMG_2260
3位走行のアロンソにタイミングを合わせられ、シューマッハは3位に交代。これではチームプレーをする機会がなく、マッサがそのままトップチェッカーをうけ、F1初優勝をポールトゥウィンの形で挙げました。
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② 07 マッサ 予選P.P.→優勝
こちらはつい先日の21/5/16に「過去のレース」でやったばかりですね。

M・シューマッハに代わってフェラーリのチームメイトとなったライコネン、またこの年マクラーレンからデビューしたハミルトンやルノーから移籍したアロンソらがチャンピオン獲得に向けしのぎを削る中、シーズンで2勝を挙げているマッサも2年連続となるポールポジションを獲得。チャンピオン争いに踏み止まる姿勢を残しています。
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スタートで偶数側スタートとなったマクラーレン2台はもたつき、3番手のライコネンが2位に浮上、フェラーリがまたもやワンツー体制となります。
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しばらく四強の争いが続いたものの、終盤の42周目にハミルトンのタイヤがバースト。IMG_9616
トップのマッサはそんなこともつゆ知らず。ピットイン以外はずっとトップを走ったマッサが自身5勝目、2年連続のポールトゥウィンを果たしました。

③ 08 マッサ 予選P.P.→優勝
この年からトルコGPは8月末開催から初夏の5月(6月)開催に移動となりました。ここまで前年チャンピオンのライコネンが2勝、開幕戦を制したハミルトンが1勝、そしてマッサは第3戦で1勝を挙げ、この第5戦を迎えています。
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予選でマッサはマクラーレンに加入したコバライネンを振り切り、3年連続となるポールポジションを獲得。決勝に向けて自信たっぷりの表情をみせています。IMG_2265
決勝スタートもマッサは見事に成功。一方で同じ戦略では勝ち目がないと考えたマクラーレンはハミルトンに対して2ピットストップを敢行。レース中にマッサをパスするシーンもみられました。
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ハイペースで飛ばしてライコネンを上回ることに成功したハミルトンでしたが、イスタンブールパークはいわば「マッサの庭」マッサ攻略には至らず、3年連続のポールトゥウィンとなりました。
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このような形でマッサ劇場が転載されたわけですが、マッサのF1生涯成績をみると、面白いことに気付きます。

〈マッサの全優勝GPの概要〉
  1勝目 06 トルコ   予選P.P.→優勝 (左)
  2勝目 06 ブラジル  予選P.P.→優勝 (左)
  3勝目 07 バーレーン 予選P.P.→優勝 (右)
  4勝目 07 スペイン  予選P.P.→優勝 (右)
  5勝目 07 トルコ   予選P.P.→優勝 (左)
  6勝目 08 バーレーン 予選2番手→優勝(右)
  7勝目 08 トルコ   予選P.P.→優勝 (左)
  8勝目 08 フランス  予選2番手→優勝(右)
  9勝目 08 ヨーロッパ 予選P.P.→優勝 (右)
10勝目 08 ベルギー  予選2番手→優勝(右)
11勝目 08 ブラジル  予選P.P.→優勝 (左)

 予選P.P.    →優勝:  8回   72.7%
 予選2番手   →優勝:  3回   27.2%
 フロントロウ→優勝:11回 100%


 右回り(時計回り)優勝 :6回 54.5%
 左回り(反時計回り)優勝:5回 45.5%


 トルコGPの優勝率     :3/7回   42.9%
 全優勝のうちトルコGPの割合:3/11回 27.3%

ノンチャンピオンながらF1で11勝を挙げたマッサは全てポールポジションか2番手スタート、つまりフロントロウスタートからの優勝のみとなっています。3番手以下からは優勝が無いんです。またサーキットには右回り(時計回り)と左回り(反時計回り)があるわけですが、右回りサーキットが多い中、その割合もほぼ半々という結果でした。他のドライバーがどうなのかは今回調べていませんが、マッサはイスタンブールパークのような左回りサーキットを得意としていたんです。確かに地元ブラジルのホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)も「元祖左回りサーキット」なんて呼ばれますが、慣れでもあったのでしょうか。南半球出身だから、北半球の方より逆回転が得意とか?!(笑)ちょうどキャリア絶頂のフェラーリ期にトルコGPが始まり、得意としていた左回りのイスタンブールパークがどハマりしていたんでしょうね。当時から何となく思っていましたが、改めて調べて面白い統計だなと思いました。

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最終的には何の検証がしたかったのか、よくわからない内容になってしまいましたが、これがイスタンブールパークで行われたマッサGP、いやトルコGPの優勝可能な予選順位でした。

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来週はいよいよ日本GPですね!ウソウソ、間違って鈴鹿に向かわないで下さいね、向かうならイスタンブールですからね!(笑)ホンダのラストイヤーだぞ、何であの世界大会が開催できるのに、こっちの世界大会は開催できないんだー。屋外にたかだか10万人集まるくらいなのにー。ワクチンも打ったし、マスクもするし、大声出さないのにー。。といっても、肝心のドライバーやチーム関係者の入出国がダメなんですよね。。プラスに考えれば、日本はそれだけ厳しくやっているから、比較的に人口密度の高い国でありながら感染者や死亡者を抑えられているわけですし、ワクチンも浸透してようやく最近は減少傾向となってきたといえます。また集客したら、世界大会直後のような「爆発」が起きてしまいそうですし。
でもmiyabikunは諦めません!開催されないのならば「開催された気分」だけでも味わえればいい。鈴鹿ネタをこの隙に投入しましょう。鈴鹿サーキットで行われたF1優勝者の予選順位をみていきます。

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鈴鹿サーキットは本田技研工業によって1962年に開設された国内初の本格舗装サーキットです。世界的にも珍しい「立体交差」が設けられ、起伏に富む地形に高速複合S字、シケインと様々な要素のコーナーがあり、ファンのみならずドライバーや関係者からも好評を得ていますね。
87年からF1日本GPの開催が始まりますが、多少の改修はあるものの、サーキット特性が変わるようなものはなく、いずれも軽微なものです。
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パッシングポイントは主にメインストレートから第1コーナーへの飛び込みと、終盤のシケインである日立オートモーティブシステムシケイン改め「日立Astemoシケイン」への飛び込みが王道。稀に逆バンクやヘヤピン、130Rでパッシングを成功させた者もいますが、それは少数派であり一般的には困難です。元々は二輪向けの幅員という狭さに加え、ランオフエリアのグリーンおよびグラベルで構成される「オールドサーキット」ですから、特に現代のF1マシンにとっては追い抜きの困難なサーキットの一つに数えられています。この後に出てくる「歴代優勝者の予選順位」からもその傾向は顕著に表れています。

《鈴鹿の歴代優勝者の予選順位》
 87 ベルガー      予選P.P.→優勝
 88 セナ ★         予選P.P.→優勝 濡
 89 ナニーニ      予選6番手→優勝
 90 ピケ(父)     予選6番手→優勝
 91 ベルガー      予選P.P.→優勝
 92 パトレーゼ     予選2番手→優勝
 93 セナ        予選2番手→優勝 濡
 94 D・ヒル       予選2番手→優勝 濡
 95 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝 濡
 96 D・ヒル ★      予選2番手→優勝
 97 M・シューマッハ    予選2番手→優勝
 98 ハッキネン ★    予選2番手→優勝
 99 ハッキネン ★    予選2番手→優勝
 00 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝 濡
 01 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 02 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 03 バリチェロ     予選P.P.→優勝
 04 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 05 ライコネン     予選17番手→優勝
 06 アロンソ ★       予選5番手→優勝
 07 
 08
 09 ベッテル      予選P.P.→優勝
 10 ベッテル ★       予選P.P.→優勝
 11 バトン       予選2番手→優勝
 12 ベッテル ★       予選P.P.→優勝
 13 ベッテル ★       予選2番手→優勝
 14 ハミルトン ★      予選2番手→優勝 濡
 15 ハミルトン ★      予選2番手→優勝
 16 N・ロズベルグ ★  予選P.P.→優勝
 17 ハミルトン ★      予選P.P.→優勝
 18 ハミルトン ★      予選P.P.→優勝
 19 ボッタス      予選3番手→優勝
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 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

ぱっと見でもわかってしまうくらい、ポールポジションと2番手スタートの多さが目につきますね。鈴鹿はやっぱりそういう結果になっちゃうのか。いつもと同様にまとめてみます。
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 予選P.P.   →優勝:15回 48.4%
 予選2番手  →優勝:11回 35.5%
 予選3番手  →優勝:  1回   3.2%
 予選5番手  →優勝:  1回   3.2%
 予選6番手  →優勝:  2回   6.5%
 予選17番手→優勝:  1回   3.2%

一昨年2019年までに31回行われ、ポールトゥウィンは半数近い15回。2番手が11回でフロントロウからの優勝は26回で83.9%になります。ホンダの聖地、高難易度で人気の高い鈴鹿サーキットも、優勝するにはポールポジションやフロントロウスタートが最低条件になりそうですね。以降もセカンドロウからは最近19年のボッタスが1回キリ。あれはフロントロウに並んだベッテル、ルクレールがスタートに失敗して第1コーナーを制したボッタスが結局そのままの逃げ切りでした。4番スタートからの優勝は無く、サードロウの5番手が1回、6番手が2回と続きつつもだいぶ間が開いて17番手が1回という内訳です。17番手からの優勝といえば、みんな知ってるアレですね。

いつもの通り下位スタートのレースおさらいをする前に、今回は「無くても盛り上がろう日本GP」ということで、いつもとはちょっと異なる視点を盛り込んでみました。日本GPといえば、シーズン終盤に設定されていることもあって「ドライバーズチャンピオン決定の舞台」となることが多々ありました。今は開催の増加や中東エリアで締めくくるスケジュールとなりましたのでほぼ無くなりましたが、鈴鹿で行われた31回中、11回もチャンピオンが決定しています(ちなみに富士での日本GPを含めると76年のハントを1回加えた12回になります)さらに今回の絡めた「自身が優勝してチャンピオンに輝いたケース」は4回ありました。そんなドライバーとして最も輝いた瞬間である4ケースごく簡単に振り返ろうと思います。

〈鈴鹿で優勝を挙げてチャンピオン決定した年〉
① 88 セナ ★ 予選P.P.→優勝 濡

こちらは昨年20/10/7の「過去のレースを振り返る」で取り扱いました。
16戦15勝の快挙を成し遂げたマクラーレン・ホンダ第一期の栄光の瞬間でした。今とは逆のイン側でポールスタートのセナはスタートを失敗して、プロストに先行を許しますが、降り出した雨を味方にペースを上げ、28周目のメインストレートでパス。初のチャンピオンを獲得しました。
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② 96 D・ヒル ★ 予選2番手→優勝

ウィリアムズの「F1二世ドライバー対決」で迎えた最終戦でした。ポールポジションのJ・ヴィルヌーブがスタートに失敗し、6位に後退。一方で2番手のD・ヒルがトップに立ちます。ヴィルヌーブも諦めまいとファステストラップでヒルを追いますが、37周目の第2コーナー手前で右リヤタイヤが外れてリタイヤ。その瞬間にF1史上初となる「F1親子チャンピオン」が誕生しています。IMG_2123

③ 98 ハッキネン ★ 予選2番手→優勝

こちらは「過去のレース」で18/10/3に振り返っています。
長らく期待はされつつも初優勝までに時間を要したマクラーレンのハッキネンがこの年で一気に開花、F1昇格前からのライバル関係にあったフェラーリのM・シューマッハと対等に戦える位置にまで上り詰めました。ポールポジションのシューマッハはスターティンググリッドでストールし、再スタートは最後尾に回るという番狂わせが起きます。シューマッハは諦めることなく実質ポールポジションから逃げ切りを図るハッキネンを追いますが、32周目のメインストレートでデブリを拾った影響か右リヤタイヤがバーストし、ハッキネンは誰一人も前を譲ることなく、初チャンピオンを獲得しました。IMG_2124

④ 99 ハッキネン ★ 予選2番手→優勝

こちらもだいぶ前となる15/9/23に「過去のレース」第2回で取り扱いました。
ディフェンディングチャンピオンの期待がかかるハッキネンの相手はM・シューマッハでなく、そのチームメイトであるアーバインでした。予選は前戦マレーシアGPで怪我から復活したシューマッハで、最強のチームメイトを携えたアーバインはハッキネンからも遅れをとった5番手で決勝に臨んでいます。シューマッハがスタートに失敗(もしかしたら意図的に?!)したことでハッキネンがトップに躍り出て、そのまま優勝を飾り、2年連続のチャンピオン獲得となりました。IMG_2125

セナもハッキネンもチャンピオン獲得前から容姿を含め人気があり、さらに日本GPを制したことで日本では絶大な支持を得たドライバーでした。やっぱり目の前でカッコよく決めてくれたら、そりゃあ一段とカッコよくみえますよね。セナの88年は残念ながらリアルタイムではありませんでしたが、ハッキネンについては当時のmiyabikunもやられましたね。鈴鹿まで行って観た甲斐がありました。
ここまででもなかなかのボリュームにはなりましたが、今回は「日本GP」ですからもう少し盛ります。続いてようやく本題に戻り「下位スタートから優勝を挙げたケース」をみていきます。上記からも、鈴鹿は下位スタートからの優勝がさほど多いわけではありませんが、レアケースとなる代表3つだけみてみることにします。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
① 89 ナニーニ  予選6番手→優勝

このシーズンもプロストVSセナのマクラーレン 2人によるチャンピオン争いで迎えています。ポールポジションはセナ、2番手は相方のピケと前年88年と同じ構図でフロントロウが形成されました。
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しかしスタートでまたもやセナがモタつき、アウト側のプロストに先行を許す形でレースが進行。プロストは序盤から速めのペースでセナを突き離しにかかり、セナになかなか付け入る隙を与えませんでした。
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セナも諦めることはなくプロストを追い、47周目の130Rでようやくプロストのテールを捕まえて、パッシングポイントであるシケインに向かいます。IMG_2116
アウト側のプロストに対してセナはイン側をつきますが、プロストのターンインが早く、両者は接触。
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「とんでもない事だ」の瞬間ですね(笑)
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ポイントで余裕のあるプロストがレースを諦めたのに対し、セナはコースマーシャルにマシンを押す指示を出し、シケインをショートカットしてレース復帰。
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フロントセクションの交換のためピットに入り、順位を落としながらも猛追を続け、51周目にベネトンのナニーニをパス。セナがレースを制しました。
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ところがプロストからの抗議が入り「シケインのショートカット」さらに「マーシャルによる押しがけ復帰」により優勝の権利を剥奪。繰り上がりでナニーニ初優勝(かつ唯一優勝)を達成しました。
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② 90 ピケ(父) 予選6番手→優勝

これも16/10/5に「過去のレース」でやりましたね。詳しくはそちらをご覧下さい。
88年から3年連続でフロントロウはセナとプロストで占めています。ただ異なるのは、プロストはマクラーレンでなくフェラーリに移籍したため、異チームでの「セナ・プロ対決」となりました。
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またまたイン側ポールのセナがスタートでプロストに先行されて第1コーナーに進入する形となります。
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が、この年のセナは第1コーナーから攻めの姿勢をみせて引くことなく接触。
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こちらも有名なシーンですね。レースとしては最悪なパターンで両者レースを終えました。
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殴り合わないところが、逆に物々しい。
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その次の周にセナの相方ベルガーが第2コーナー手前でスピン。さらにはプロストの相方マンセルまでもが26周目のピットアウトでドライブシャフトを折損し、トップに立つ者が呪われたかのように次々とリタイヤに追い込まれていきます。
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四強の3人が消えれば、残る一人、ベネトンを駆る大器晩成型のピケが台頭。労せずトップに立ち、チームメイトのモレノを引き連れる形を確立。
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さらには35周目からラルースの日本代表、鈴木亜久里が3位で続いていきます。
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結局その順位のままフィニッシュを迎え、ピケは6番スタートからの優勝。鈴木は予選10番手から日本人初のF1表彰台を獲得しています。

③ 05 ライコネン 予選17番手→優勝

こちらはライコネンファンでなくとも、日本のF1ファンであれば知らない方はいないくらい有名なレースだと思います。こちらは「過去のレース」の記念すべき第1回目、15/8/9に振り返っています。この記事は実のところ、このブログを始める前、今から10年近く前に別のブログで書いた内容の転記したものなのですが、今見返すと臨場感が無いというか、書き方が酷く面白さがなかなか伝わってきませんね。今度改めて書き直そうかな。
雨に泣かされることの多い日本GPですが、この年は土曜予選中に雨が強くなり、時間を経過する毎に路面状況が悪化する事態が起きました。
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前戦の成績の「逆の順」で行われる「予選1アタック方式」で13番目に出走したトヨタのR・シューマッハが軽タンクで予選に挑み、ちょい濡状態で暫定ポールを獲得。
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その後既にルノーでチャンピオンを獲得していたアロンソが出走する頃には雨足が強くなり16番手、チャンピオンを争ったマクラーレンのライコネンは17番手に沈み、トヨタは地元で初ポールポジションを確定させました。
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いわば「リバースグリッド状態」でスタートした決勝は晴れ、今までの鈴鹿でのF1で類をみないオーバーテイクショーが始まっていきます。
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後方スタートとなったフェラーリのM・シューマッハやアロンソ、ライコネンは1周目からバカスカ前方のマシンをさばき、レース序盤にして入賞圏内までリカバリー。
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19周目には前年までの絶対王者に君臨したM・シューマッハを新チャンピオンのアロンソが130Rでパスし、
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30周目にはライコネンが第1コーナーでM・シューマッハをかわし、どことなく「世代交代」を予感させるシーンにも感じました。
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ライコネンは残り2周でトップを走るルノーのフィジケラまでを捉え、IMG_2153
残り1周のメインストレートでアウト側に並び、逆転に成功。
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初チャンピオン獲得は逃したものの、抜き辛いと言われる鈴鹿で何と17番スタートから奇跡的な優勝を果たしました。

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新興サーキットでの開催が増える近年、鈴鹿のトラックは昔ながらのグラベル設置やマシンの幅員そぐわない狭さで感動的なレースというよりかは「如何にして接触しないように抜くか」という視点の方が強くなりました。それはそれで本来あるべきの「リスクを伴うパッシング」で観るものをアツくさせます。今後の鈴鹿でのF1も05年の時にみられた大逆転劇はそうあるものではないと思いますが、来る来シーズン以降のマシンレギュレーション変更により、再び感動的なオーバーテイクが我々の前でみられることを祈りたいと思います。そもそも、来シーズンこそは日本GPが無事に開催される世の中になるといいですね。

最後に、F1で残りわずかの出走になるライコネンですが、最近はテールエンダーでボケボケし出したおっちゃんとしか印象にない若いF1ファンもいるかと思います。まだキレキレだった頃のライコネンを知るのならば、チャンピオンを獲得した07年よりかは05年シーズンを観た方がキレキレ具合がよく伝わると思います。機会があれば是非ご覧下さい。IMG_2157

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今週末はロシアのソチでF1が行われます。ここまでは概ね昨年立てられたF1カレンダーに則した形で進行していましたが、ヨーロッパを離れたここから先、アジアやアメリカ大陸系のGPに変更や未だ開催不透明な状態が続いています。
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ロシアGPはまだ歴史も浅く、記憶にも新しい2014年から開催されています。宇宙開発に長けた大国のロシアのF1史はまだ10年にも満たないというのが意外というか、お国柄が表れています。昔はF1どころではなかったでしょうからね。ロシアと聞くと日本からも近い位置に感じますが、ソチはコッチ側のロシアでなく、ほぼヨーロッパや中東に近いソッチ側のロシアのため日本から遠く、時差もたっぷりあります。
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2014年2月に行われたソチオリンピックの会場を使い、ヘルマン・ティルケがレイアウトをデザインしてサーキット化させました。miyabikunは開業時に呼ばれた「ソチ・オリンピックパーク」の名で定着してしまっていますが、今は「ソチ・オートドローム」という名が正式なサーキット名になります。まだたったの7回の開催ですし、周囲は他のスポーツ施設や遊園地などがある公園内のため、サーキットレイアウトも変わらず続いています。工具のモンキーレンチのようなシルエットで平坦かつスムーズな路面が特徴的なサーキットです。コントロールラインからほぼ直線扱いのターン1を経て、直角右コーナーとなるターン2までは非常に長いストレートとなっているため、スタート直後での順位の入れ替えとターン2の渋滞が有名です。トラック全体的に両側ウォールで囲まれており、一般的なランオフエリアは少なめの「半市街地」サーキットです。

《ソチの歴代優勝者の予選順位》
 14 ハミルトン ★     予選P.P.→優勝
 15 ハミルトン ★     予選2番手→優勝
 16 N・ロズベルグ ★ 予選P.P.→優勝
 17 ボッタス     予選3番手→優勝
 18 ハミルトン ★     予選2番手→優勝
 19 ハミルトン ★     予選2番手→優勝
 20 ボッタス     予選3番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

7回しか行われていないため、戦績も短くて見易いですね(笑)ヨーロッパ以外の開催地の多くは比較的近代から始まったサーキットが続くため、書き上げて並べてもこんな感じになってしまいます。特にまとめなくても薄ら結果がわかってしまいそうですが、一応他のサーキットに準じてグラフ化してみます。
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 予選P.P.   →優勝:2回 28.6%
 予選2番手  →優勝:3回 42.9%
 予選3番手  →優勝:2回 28.6%

ポールトゥウィンが7回中2回、フロントロウウィンが7回中5回、3番手からの優勝が2回で、4位以下からの優勝はありません。ポールポジションスタートよりも2番手からの優勝の方が多いのが特徴的であり、いずれにせよ予選順位が絶対大事ですね。先程書いたようにセクター1序盤に長めのストレートとセクター2終盤からセクター3序盤に緩やかなカーブからの直角コーナーがパッシングポイントではあるものの、レースが落ち着いてしまうとあまり効果的でなくなってしまいます。タイヤにも非常に優しいですし、他のコーナーは現代のF1マシンにおいて最適なパッシングが行えないコーナーばかりですので、面白いか面白くないかと聞かれれば、miyabikun個人的には面白く、、(笑)


ソチはサッと終わってしまいましたので、本来であればソチに続いて開催予定されつつも2年連続中止の判断がされたアチもやってしまいましょう。シンガポールGPの開催地であるマリーナ・ベイ市街地サーキットの優勝者とその予選順位です。
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シンガポールGPという名のレースはF1で開催されるようになるもっと前、1960年代にF1以外のカテゴリーで使用され、数回行われたことがあります。F1としては今から13年前の2008年より、街の一般道を閉鎖した市街地サーキットとして開催されています。日中は暑く、またヨーロッパとの時差も考慮され、F1史上初となる投光機を使った「ナイトレース」発祥の地となっています。
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レイアウトを見てもわかるように、市街地の一般道をほぼ使って結ばれていますので、アメリカのフェニックス市街地やデトロイト市街地のようなカクカクで無機質なコーナーから成り立っています。異なるのはやはりナイトレースであることから煌びやかな夜景やライトアップされたトラックが華やかさを演出している点でしょうか。夜とはいえ赤道に近いこともあって高温多湿。さらには平均速度も低いため決勝レースとなると長丁場でドライバーにとって肉体的な負荷も他のGPと異なります。先程のロシアのソチと同様に、こちらはガチの市街地サーキットであるため、ウォールに囲まれ一瞬のミスや無理なパッシングでクラッシュを伴います。赤旗やセーフティカーが発動すれば、その分さらにレースが長引くわけで、、

《マリーナ・ベイ市街地の歴代優勝者の予選順位》
 08 アロンソ     予選15番手→優勝
 09 ハミルトン    予選P.P.→優勝
 10 アロンソ     予選P.P.→優勝
 11 ベッテル ★      予選P.P.→優勝
 12 ベッテル ★      予選3番手→優勝
 13 ベッテル ★      予選P.P.→優勝
 14 ハミルトン ★     予選P.P.→優勝
 15 ベッテル     予選P.P.→優勝
 16 N・ロズベルグ ★ 予選P.P.→優勝
 17 ハミルトン ★     予選5番手→優勝 濡
 18 ハミルトン ★     予選P.P.→優勝
 19 ベッテル     予選3番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

こちらがマリーナ・ベイ市街地での全12回の優勝者とその予選順位となります。赤道直下の熱帯地方でありながら、今は無きお隣マレーシアはかなり雨に降られましたが、シンガポールは雨のレースが少なく、記憶にある限りは2017年の1回キリだったかなと思います。こちらも一見順位整理の必要もなさそうですが、予選順位をまとめてみましょう。
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 予選P.P.   →優勝:8回 66.7%
 予選3番手  →優勝:2回 16.7%
 予選5番手  →優勝:1回   8.3%
 予選15番手→優勝:1回   8.3%

全12回の開催も予選順位単位にまとめると、4種類に分類されます。ポールトゥウィンが最多の8回は想定内の結果も、他は3番手、5番手、15番手からの優勝と奇数列ばかり。2番手や4番手からは勝てていません。ちょっと面白い結果ですね。ココに限りませんが、奇数列はいわゆるレコードラインに近い位置にあるため、偶数グリッドはタイヤラバーが路面に乗っていない状態が多いです。さらにココは常設サーキットでなく一般道ですから、普段から路面が出来上がっているわけでないというのが、偶数列不利、スタートで奇数列を捕まえられないという状況を作り上げているのでしょう。残念ながら今シーズンは開催されませんが、偶数側から優勝を挙げるものがいるのかが今後の見どころですね。奇数側ではあるものの、一つとんでもない位置である15番手からの優勝があります。シンガポールGP開催初年の2008年のアロンソです。以前「過去のレース」シリーズで5年前に振り返ったこともある、かの有名な「いわく付き」レースです。記憶にある方も多くいらっしゃると思いますが、知らない若いF1ファンもいるかと思いますので、一応サラッと触れておきます。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 08 アロンソ 予選15番手→優勝

以前このブログの16/9/15に「過去のレースを振り返る」で取り扱っています。このレースは単なる決勝の追い上げによるものだけでは無く「下位に沈んだ予選から」話は始まっています。前年07年に泥沼の出来事があり、たった一年でマクラーレンを離れたアロンソはこのシーズンから古巣ルノーに出戻り、再びチャンピオン獲得を目指します。
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フリー走行で好位置につけ、マシンの勢力図によらないこのサーキットで上位スタートを目指したアロンソですが、肝心の予選でマシンの不調が見つかり、15番手Q2敗退を喫してしまいます。
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決勝レースは2ピットストップを選んだアロンソはその中でも早めの12周目にハードタイヤを履きトラック復帰。そのすぐ後、チームメイトであるピケ(子)がターン17でクラッシュし、セーフティカーが発動されます。
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当然2回ピット戦略の各車はこのタイミングを使って給油とタイヤ交換に向かうわけですが、これが思いの外アロンソに有利に働き、ステイアウトしたアロンソはこの時点で5位に浮上します。
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(ちなみにトップのロズベルグとクビカはピットレーン閉鎖時にピットインしたためペナルティ対象、2位のトゥルーリと3位フィジケラは1回ピット戦略です)
アロンソより上位4台がペナルティおよびピットを済ませると、当然ながらアロンソの前がクリアとなり、あと1回ピットインを控えつつも暫定トップに立ちます。
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2回目のピットを終えてもトップで復帰し、結果的に抜き辛いと言われたマリーナ・ベイ市街地において14人抜きとなる大逆転勝利をおさめることとなりました。
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ただこのレースには裏があって、のちにシートを喪失したピケが「レース中のクラッシュはチームからの指示によるもの」と告白。チームもこの事実を認めたことで、アロンソの優勝はそのまま覆ることはありませんでしたが、フラビオ・ブリアトーレとパット・シモンズをF1界から永久追放するという、いわゆる「クラッシュゲート」と呼ばれる事件にまで発展しました。
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大金が動き、いくら政治色の強いF1とはいえ、レースを意図的に操作してはいけません。このレースのアロンソ自身に罪はありませんが、マリーナ・ベイ市街地で15番手スタートからの優勝は異例であり、通常ではあり得ません。やはり上位スタートが必須のGPの一つです。

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イタリアのモータースポーツの聖地と言われるモンツァサーキットはF1制定初年の1950年から開催され、その数は70回。80年に一度だけエンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)にイタリアGPを譲っただけで他は全て開催されたF1最多開催サーキットです。昨年、今年のコロナ禍においてもココだけはしっかりと押さえてくるという、F1には無くてはならないサーキットとなっていますね。
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サーキットレイアウトは実にシンプル。ストレートと中高速コーナー、そしていくつかのシケインがポイントとして織り込まれたまるて靴下のような「くの字」を描いています。歴史が長い分、変更や改良が幾多にも及びますが、基本的なレイアウトは変わりません。シケインは何らかの事故の度に設けられてきました。シケインの数だけ、悲劇やドラマがあります。先日のザントフォールトサーキットはF1で久々のバンクコーナーがあることが話題となりました。F1におけるバンクといえば何といってもココ。
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1955,56,60,61年の4シーズンにおいて大バンクで構成された「オーバル」が採用されました。結局61年にポールポジションからスタートしたフェラーリのトリップスがクラークを抜く際に接触、観客を多数巻き込む死亡事故が発生したため、以降は使用されなくなりましたが、今でも遺構は残されています。IMG_6934
速度域はF1随一。昔からぺったんこウィングを搭載したレスダウンフォースで、とにかくパワーで走り抜ける。今でこそDRSなる便利なデバイスがあり、パッシングの助けとなっていますが、コーナーでの乱気流に耐えながら、ストレートに出た際にスリップストリームを使って追い抜くというF1「基本中の基本」が見られます。

《モンツァの歴代優勝者の予選順位》
 50 ファリーナ ★        予選3番手→優勝
 51 アスカリ        予選3番手→優勝
 52 アスカリ ★         予選P.P.→優勝
 53 ファンジオ       予選2番手→優勝
 54 ファンジオ ★        予選P.P.→優勝
 55 ファンジオ ★        予選2番手→優勝
 56 モス          予選6番手→優勝 濡
 57 モス          予選2番手→優勝
 58 ブルックス       予選5番手→優勝
 59 モス          予選P.P.→優勝
 60 P・ヒル         予選P.P.→優勝
 61 P・ヒル ★       予選4番手→優勝
 62 G・ヒル ★       予選2番手→優勝 濡
 63 クラーク ★         予選3番手→優勝
 64 サーティース ★       予選P.P.→優勝
 65 スチュワート      予選3番手→優勝
 66 スカルフィオッティ   予選2番手→優勝
 67 サーティース      予選9番手→優勝
 68 ハルム         予選7番手→優勝
 69 スチュワート ★       予選3番手→優勝
 70 レガッツォーニ     予選3番手→優勝
 71 ゲシン         予選11番手→優勝
 72 E・フィッティパルディ ★予選6番手→優勝
 73 ピーターソン      予選P.P.→優勝
 74 ピーターソン      予選7番手→優勝
 75 レガッツォーニ     予選2番手→優勝
 76 ピーターソン      予選8番手→優勝 濡
 77 M・アンドレッティ    予選4番手→優勝
 78 ラウダ         予選4番手→優勝
 79 シェクター ★        予選3番手→優勝
 80 
 81 プロスト        予選3番手→優勝 濡
 82 アルヌー        予選6番手→優勝
 83 ピケ(父)★      予選4番手→優勝
 84 ラウダ ★          予選4番手→優勝
 85 プロスト ★         予選5番手→優勝
 86 ピケ(父)       予選6番手→優勝
 87 ピケ(父)★      予選P.P.→優勝
 88 ベルガー        予選3番手→優勝
 89 プロスト ★         予選4番手→優勝
 90 セナ ★           予選P.P.→優勝
 91 マンセル        予選2番手→優勝
 92 セナ          予選2番手→優勝
 93 D・ヒル         予選2番手→優勝
 94 D・ヒル         予選3番手→優勝
 95 ハーバート       予選8番手→優勝
 96 M・シューマッハ     予選3番手→優勝
 97 クルサード       予選6番手→優勝
 98 M・シューマッハ     予選P.P.→優勝
 99 フレンツェン      予選2番手→優勝
 00 M・シューマッハ ★     予選P.P.→優勝
 01 モントーヤ       予選P.P.→優勝
 02 バリチェロ       予選4番手→優勝
 03 M・シューマッハ ★   予選P.P.→優勝
 04 バリチェロ       予選P.P.→優勝 濡
 05 モントーヤ       予選2番手→優勝
 06 M・シューマッハ     予選2番手→優勝
 07 アロンソ        予選P.P.→優勝
 08 ベッテル        予選P.P.→優勝 濡
 09 バリチェロ       予選5番手→優勝
 10 アロンソ        予選P.P.→優勝
 11 ベッテル ★         予選P.P.→優勝
 12 ハミルトン       予選P.P.→優勝
 13 ベッテル ★         予選P.P.→優勝
 14 ハミルトン       予選P.P.→優勝
 15 ハミルトン ★        予選P.P.→優勝
 16 N・ロズベルグ ★    予選2番手→優勝
 17 ハミルトン ★        予選P.P.→優勝
 18 ハミルトン ★        予選3番手→優勝
 19 ルクレール       予選P.P.→優勝
 20 ガスリー        予選10番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

今回もずらーっと並びましたね。後にも先にもこれだけ数多い戦績のサーキットはありません。沢山あって見辛いので、先に優勝者の予選順位を集計してしまいましょう。
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 予選P.P.   →優勝:24回 34.3%
 予選2番手  →優勝:13回 18.6%
 予選3番手  →優勝:12回 17.1%
 予選4番手  →優勝:  7回 10.0%
 予選5番手  →優勝:  2回   2.9%
 予選6番手  →優勝:  5回   7.1%
 予選7番手  →優勝:  2回   2.9%
 予選8番手  →優勝:  2回   2.9%
 予選9番手  →優勝:  1回   1.4%
 予選10番手→優勝:  1回   1.4%
 予選11番手→優勝:  1回   1.9%

今までオールドサーキットや大幅なレイアウト変更を伴ったサーキットは分けて集計しました。しかし今回はざっとみる限りレイアウトがその順位に依存していないようですので、全70回を束ねてみました。今まで見てきたサーキットに比べて、70回にも及ぶ開催回数の割にポールトゥウィンの回数が少ないように感じますよね。70回行われてたったの24回、割合は3割強といったところ。2番手以下の優勝も程よくあるし、モンツァってポールポジションがさほど重要ではない??いつもの円グラフで今回は「フロントロウ」の表記を敢えて消したわけですが、実はカラクリというか、このグラフやまとめ方ではみえない部分があります。以下で別のグラフを使って掘り下げていきます。

〈時代別ポール、フロントロウからの優勝率〉
先程幾多のレイアウト変更による差は無さそうと書きました。もちろん全てのレースを観ていけばその限りではないのでしょうが、モンツァにおいてポイントはそこよりも「スタートの配置」と「マシンとライバルとの関係性」の方が強いと考えました。そこで時代別のポールトゥウィン、フロントロウウィンをグラフ化してみましたので、そちらをご覧下さい。
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まずはポールトゥウィンから1950年から10年刻みで棒グラフにしてみました。2020年代にあたる昨シーズンと非開催の1980年は除外しています。ひとえにポールトゥウィンといっても、時代別でバラつきがあることがわかります。
50年代の10年は4回のポールトゥウィンがあったため、ポールトゥウィン率は40%。以降徐々にポールトゥウィンが減り、70年代の10年は73年にロータスをドライブしたピーターソンの1回しかありませんでした。80年代も9年間で1回、87年にウィリアムズ・ホンダをドライブしたピケのみで、他は2列目や3列目にあたる3番手から6番手の勝者が多くなっています。90年代は90年のセナと98年M・シューマッハの2回。しかし2000年代に入ると流れが一気に変わり、10年で6回、そして2010年代には8回と急激にポールトゥウィンの割合が高くなっています。50年代と近代の20年が高く、60年から90年代は低くなる。これって何を連想しますか?!
感覚論かもしれませんが、miyabikunは勢力図の偏り、つまりマシンやドライバーの力関係に大きく関わっているように感じます。モンツァといえば、パワーに長けたマシンが制する印象があります。それはあながち間違いではなく、ターボとNAが混在していた80年代はターボ禁止となった89年を除いて全てがターボ車による優勝となっています。また上記戦績をみてみると、毎回記している★マーク(チャンピオン獲得者)が50年代や80年代、2010年代に固まっています。スタート位置云々というよりかは、シーズンを制するマシンはモンツァでは予選から速さをみせ、仮にポールポジションでなくても決勝で追い上げて勝てるという風潮があるように感じられます。また近年20年はM・シューマッハをはじめベッテルやハミルトンなど勝者(チャンピオン)にも偏りがあり、その傾向が強く表れています。モンツァによらず近年のマシンは工夫された空力処理に加え、ワイド化されたマシンとなったため、追い抜きが困難になったと言われています。ただモンツァは抜き辛い、予選重視と言われるのは近年特に顕著なだけで、時代別にみていけばポールポジションからでなくても勝てた時代もあったわけです。IMG_1654
続いてフロントロウスタートからの優勝回数を年代別にグラフ化しました。ポールトゥウィンと似たような形状ではありますが、50年代や60年代、90年代の優勝者の割合が極端に伸びました。
先程の円グラフから排除した理由をここで説明します。近年はフロントロウといえば「予選1番手と2番手」からなる一列目のことですが、歴史の長いF1、モンツァでのイタリアGPとなると、この一列目に違いが出てきます。何と昔は予選3番手や4番手もフロントロウだった時代があるんです。年によってまちまちのため、全てを文字におこすと細かくなっちゃうのでそれは止めますが、ざっくり書くと50年代が3番手や4番手までがフロントロウに並び、60年代は2番手の年もあれば3番手もフロントロウに並んでいました。また70年代はフロントロウは2番手まででも、続くセカンドロウが千鳥形状(互い違い)に並んでいたこともあります。
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こんな感じです。今のように縦に二列にも並んでいませんね。よって2台ではなかったフロントロウの50年代や60年代が増えた形となりました。ポールポジションの次に優勝への近道となるフロントロウも時代によって異なるとなれば、一概に「フロントロウ」というくくり方ができなかったわけです。
ポールトゥウィンもフロントロウからもあまり数が伸びなかった年代があります。70年代と80年代です。この時代の特徴としては、複数回チャンピオンや多数の優勝を挙げたドライバーはいるものの50年代や近代と比較すると「参戦台数も多く、勝者やチャンピオンに偏りがなかった激戦の時代」だったことです。マシンもバラエティに富み、スピードやパワーが格段に向上したのと同時に、マシントラブルも多く、トップ快走中のリタイヤや接触も多発。さらにはそのようなトラブルが一度起これば、トップに浮上することがざらにありました。70年代初頭はスチュワート、中盤から後半はラウダといった絶対的ドライバーはいたものの、多くのドライバーで勝ちを分け合った時代でもあります。ポールポジションやフロントロウスタートであっても、パワーがモノをいうモンツァでは気の抜けないレース展開が待ち受けていたのです。過去のレースなどをほじくり出す際にこの時代のレースをビデオで観返したりしますが、観ていてハラハラするし、ひょんなドライバーやマシンが勝利を挙げるのは面白いです。この時代は日本でのF1放送もなく、その前にmiyabikunすら生まれていないので何とも言えませんが、あと10年か20年早く生まれてF1を観られていれば、エキサイティングなレースが観れたんだろうなと感じます。
近年はレース数は増えても、モンツァのようなオールドサーキットはだいぶ数が減りました。50年代から使用されているのはイギリスGPのシルバーストンやベルギーGPのスパくらいに減りました。今まではこのような年代別の内訳は見ずにまとめてしまっていましたが、このようなまとめ方をするとまた優勝者の特徴が表れたのかもしれないと、今更ながら思いました。この先やれそうなサーキットはというと、、無いな。気付くのが遅かったというわけで。それとも、オールドサーキットはもう一度やり直しますか?!(笑)ウソです。

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今回も下位スタートから優勝の代表例を準備していたのですが、長くなったのでナシにします。近年では昨年のアルファタウリのガスリーによる10番手スタートからの優勝が印象的ですね。近年はなかなかポールポジションやフロントロウ以外の勝者が生まれにくいモンツァとなり、今シーズンの勝者も概ね「どちらかの2人」に焦点が集まるようになりました。もちろんその2人以外からの優勝もmiyabikunは大歓迎ですよ。

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