F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:優勝率

F1はレギュレーション変更やマシンの出来、ドライバーの相性やフォーメーションなどを確立して「絶対的な強さ」を継続的に示すチームが定期的に現れます。F1を歴史的にみていくと、その多くはシーズン2連勝までならばいくつも存在しています。ただ近年2000年以降の20年だけを切り取ると、それを大きく上回る「3年どころか4年近く最強」チーム、マシン、ドライバーが現れるようになりましたよね。2014年の「1.6ℓV6ターボ+ERS」時代に入ると、ご存知メルセデスが5年間連続でF1界を完全支配。2018年の最終戦アブダビGPまでちょうど100戦君臨し続けて、ハミルトンの5回チャンピオンを成立させました。この快進撃や独走はいつまで続くのでしょうか。今回は度々現れる近年3チームの他を寄せ付けぬ「最強」とその「終焉」をクローズアップし、メルセデスが2019年以降どうなるのかを占ってみたいと思います。
(年末に書き始め、少しでも端的に、ダラダラ長文にならないよう正月休み中に何回か書き直しましたが、結局あまりまとまらず無駄に長いままとなってしまいました。予めお詫びします)

シーズン4連勝、5連勝クラスのチームは皆さんもご存知の通り、2000年台前半のフェラーリ、2010年代前半のレッドブル、そして2010年代後半はメルセデスが最強の名をほしいままにしてきました。そのチーム所属の2人のドライバーのランキングをグラフにするとこんな感じとなります。
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レッドブルの初年2009年はチャンピオンチームではありませんが、シーズン後半で好成績を残しチャンピオン争いに名乗りを上げていたため、他チームと同様の帳尻合わせで抽出しました。フェラーリはM・シューマッハがドライバーズチャンピオンを獲得するエースに君臨し、バリチェロは完全なサポート側として5年間の85戦で最強時代を誇りました。レッドブルはフェラーリから少し間隔が空いた後、ベッテルを中心にナンバー2は自身も納得のウェバーが5年間94戦を担いました。そしてメルセデスはハミルトンが先に加入していたN・ロズベルグを加入初年から上回る位置を確立、一度だけロズベルグがハミルトンを上回るとそのまま引退を迎え、抜けたロズベルグの後任として現在はボッタスのコンビネーションで5年間100戦を保持し、2019年シーズンも支えていきます。
グラフだけでみると、初めから「この人がエース」と決め切ったものではないにしても自然とエースが確立されて、相方はそのすぐ下の順位を這うような構図で成り立っています。フェラーリやメルセデスは度々セカンドがエースを脅かしたり凌駕するレースも見受けられ、それが「暗黙」のフォーメーションを促す形で「作られた順位」を強いられているものもありましたが、レッドブルは唯一それにも及ばずエースとセカンドの間に「ライバル」を挟む内容も多く、ランキングでも近接したことすらありませんでした。同じマシンに乗りつつ、はなから実力差が大きく出てしまったケースです。またハミルトンに食らいついたロズベルグに対して、若くF1ドライブもそう長くない後任ボッタスは優勝やポールポジションも少なく、ハミルトンとの間にライバルに割って入られてしまっている現実が「叩かれてしまう」原因にもなっていますよね。

ここから、それら3チーム5年間の概要をザックリ振り返りつつ予選決勝順位をみていきます。

《フェラーリ時代》2000年〜2004年
2000年 F1-2000
    シューマッハ PP 52.9% 勝率52.9% 表彰台70.6%
    バリチェロ     PP 5.9%   勝率5.9%   表彰台52.9%
フェラーリ常勝初年となる2000年は前年までのマクラーレン×ハッキネン猛追の余韻が残るシーズン。序盤はシューマッハもバリチェロも予選でポールポジションが獲れずに決勝で凌駕するスタートとなりました。シューマッハが続ける中、チャンピオン争いを第11戦ドイツGPでバリチェロが自身初勝利を挙げてようやく「フェラーリドライバーとして」示しがつきました。全17戦のこの年、マクラーレンの7ポール7勝22表彰台に対して、フェラーリは10ポール10勝21表彰台で撃破。21年振りのダブルチャンピオンを獲得したことで「最強神話」の幕開けとなりました。

2001年 F2001
    シューマッハ PP 64.7% 勝率52.9% 表彰台82.4%
    バリチェロ     PP   0.0% 勝率0.0%   表彰台58.8%
2001年はハッキネンが信頼性不足とモチベーション低下による成績不振に伴い、フェラーリのライバルはクルサードに注がれることになります。シューマッハはリタイヤ以外はほぼ表彰台獲得という「無双状態」に突入。全16戦中11戦目、歴代最速のシーズン消化率68.8%でシューマッハがチャンピオンを決めてしまいました。強いにも程がある。やり過ぎ(笑)

2002年 F2002(F2001)
    シューマッハ PP 41.2% 勝率64.7% 表彰台100%
    バリチェロ     PP 17.6% 勝率23.5% 表彰台58.8%
2002年はマクラーレンに代わってR・シューマッハ、モントーヤのウィリアムズが台頭、表彰台の常連に顔を出しますが、フェラーリ打破には遠く及ばず。M・シューマッハは全17戦の全てで表彰台登壇、11勝を挙げてライバルは全く歯が立ちませんでした。影に隠れがちバリチェロは3ポール4優勝でした。年によってはチャンピオンにもなれそうな好成績ではあります。

2003年 F2003-GA(F2002)
    シューマッハ PP 31.3% 勝率37.5% 表彰台50.0%
    バリチェロ     PP 18.8% 勝率12.5% 表彰台50.0%
2003年になると勝ちグセのついていたフェラーリは序盤戦にもたつき、クルサード、フィジケラ、R・シューマッハといった経験豊かなドライバーに混ざってライコネン、モントーヤ、アロンソなど若手、タイヤではミシュランも健闘する混戦を迎えます。この年はこの時代で盛り上がった数少ないチャンスだったと思います。最終戦日本GPを8位入賞でライコネンを振り切ったシューマッハはファンジオの最多チャンピオン数5回を上回ることに成功し「前人未到」の世界に足を踏み入れています。

2004年 F2004
    シューマッハ PP 44.4% 勝率72.2% 表彰台83.3%
    バリチェロ     PP 22.2% 勝率11.1% 表彰台77.8%
2004年も上位チーム、ドライバーに大きな変更がないため混戦が期待できましたが、前年ほどのタイヤ差はなく、2002年の再来を思わせる復調から5年連続のダブルチャンピオンを獲得します。このシーズンをもってバリチェロはフェラーリを離れ、後任に母国の後輩マッサへと引き継がれました。

この時代の予選は現在のようなノックアウト方式ではなく、2002年までは時間内は何回でもアタックでき、2003年から2005年はワンアタック(トラック上は自分以外誰もいない)式の時代を跨いでいるため、得意不得意が分かれるところだと思います。ハミルトンのように「たった1周」で速いラップを一撃で出せれば申し分はありませんが、ライコネンのように探り探り修正や間合いを見計らうタイプは苦手だったでしょう。
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全時代で一貫して4列目(8位)付近には入れてきています。割合は見ての通り赤丸、シューマッハが上位を占め、2000年から2001年にかけて「7戦連続ポールポジション」なんてこともやっています。これはセナの8回連続に次ぐ2位タイ記録でした。そんなポールポジションが途切れている期間があります。2002年はウィリアムズの2人によるもので、2003年はウィリアムズに加えてライコネンとアロンソにちょこちょこやられました。まあチャンピオン争いにおいてはこちらの決勝さえ押さえておけばよいのですが。
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2002年と2004年は赤四角とオレンジ四角が1位にひしめき合って完全にフタをしてしまっています。やっぱり2000年や2003年くらい上下に点滅してくれないと、F1は盛り上がらんのです。先程の予選と同様に、この時代の入賞も6位までの時代と8位までの時代をまたいでいます。よって他2チームと入賞については同列比較できないため取り扱いません。25位に並ぶリタイヤ以外は大抵入賞しているのはさすがですね。入賞外完走は5年間でたったの3つ。
そんなフェラーリ時代も2005年、果敢に挑み続けたライバルチームの本格的な台頭、ライバルタイヤ勢の競争力向上、そしてエンジン基数制限の厳格化などが相まって、終焉を迎える形となりました。

《レッドブル時代》2009年〜2013年
レッドブルは2010年から無敵の4年間を築きました。2009年は「風と共に去った」ブラウンGPの神回なのですが、レッドブルの序章とも読めるため、2009年も含めました(どうしても5年ひとくくりにしたかった?)

2009年 RB5
    ウェバー PP   5.9% 勝率11.8%  表彰台47.1%
    ベッテル PP 23.5% 勝率23.5% 表彰台47.1%
2009年は序盤に稼いだブラウンGPの隙を盗んでレッドブル昇格初年のベッテルが健闘しました。今やレッドブルとトロ・ロッソには大きな格差がありますが、当時はコンストラクターズランキング上はトロ・ロッソよりも下に位置しました。またブラウンGPと同様にこのRB5はKERS(現 ERS MGU-K)は搭載しませんでした。加速はいいけど少し重いし壊れるし、当時はまだ発展途上でしたね。第3戦初ポールが初優勝となり、そこから一気に6勝を挙げています。

2010年 RB6
    ベッテル PP 52.6% 勝率26.3% 表彰台52.6%
    ウェバー PP 26.3% 勝率21.1%  表彰台52.6%
準備期間を終えた2010年に入るとチームは開幕当初から一気に勢いを増し、ベッテル、ウェバー合わせて全19戦で15ポールに8回のフロントロウを獲得するなど予選からガシガシ攻めていきます。レッドブルワールドの始まり始まり。この頃まではウェバーもよかったんです、ガチャンコする少なくとも第7戦トルコGPあたりまでは。折り返しの第10戦イギリスGPで優勝したウェバーは「ナンバー2にしては上出来だろう?!」あー自ら言っちゃった、、はい、結果的にあなたはナンバー2止まりでした。

2011年 RB7
    ベッテル PP 78.9% 勝率57.9% 表彰台89.5%
    ウェバー PP 15.8% 勝率5.3%   表彰台52.6%
2011年はレッドブルワールドのクライマックスといえます。エキゾーストブローイングを強みに予選は第16戦韓国GPを除く18戦でポールポジションを獲得。決勝はベッテル11勝、ウェバー1勝の12勝をマークしてシーズンを完全掌握します。レッドブル以外に優勝できたのはマクラーレンのハミルトンとバトン、フェラーリのアロンソの3人のみでした。

2012年 RB8
    ベッテル PP 30.0% 勝率25.0% 表彰台50.0%
    ウェバー PP 5.0%   勝率10.0% 表彰台20.0%
2012年は前年から一転、開幕戦から7戦連続で異なる優勝者を生み出し、最終戦までに8人が分け合ったシーズンとなりました。レッドブルは強みのエキゾーストブローイングを取り上げられ優位性が減ったこと、またピレリタイヤのいわゆる「ガケ」に悩まされて荒れたレースを演出したことも混戦を生みました。

2013年 RB9
    ベッテル PP 47.4% 勝率68.4% 表彰台84.2%
    ウェバー PP 10.5% 勝率0.0%   表彰台42.1%
2013年は再びレッドブルが大爆発。ベッテルが第11戦ベルギーGPから9戦連続優勝を含む13勝をマークします。この9連続は歴代最多連続記録です。一方で肝心なウェバーは0マークとなり、このシーズンを最後にF1を離れ、2014年の後任として同郷リカルドをトロ・ロッソから昇格させています。

予選は2006年からノックアウト式を採用していますから、グラフ表記でバックを3段階に塗り分けています。レッドブルには唯一25位台にプロットがあります。これは予選記録抹消されたもので、決勝には出走しています。1つ目は先日振り返った2012年第18戦アブダビGPはベッテルが予選アタック後の燃料残量不足によるもので決勝は3位表彰台。2つ目は2013年第3戦中国GPのウェバーで同じくアタック後の燃料残量不足で決勝はピットスタートからリタイヤに終わっています。
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2010年と2012年はウェバーによるQ1落ちがみられますが、全般的にQ3まで進出するハイアベレージできています。中でも2010年最終戦アブダビGPから翌2011年第15戦日本GPまでの16回連続ポールポジション獲得は歴代5位の記録でした。それを上回るのがこの後のチームに出てきます。
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決勝は10位までが入賞圏内になった時代でありウェバーは概ねその圏内を、ベッテルはもう一段上の表彰台圏内を堅持できています。やはり圧巻は先程も書いた2013年の9戦連続優勝が際立っています。まさか翌2014年は未勝利に終わるとは、この時点では誰も予想していなかったのではないでしょうか。特にベッテルは「ポールポジションを獲得して、決勝スタートから後方のペースをみながら逃げ切る」勝ち方を会得しており、過去のF1にはなかった「DRS」の特性を存分に活かした走りが印象的です。タラレバですが、これが無かったらベッテルの戦績は変わっていたかもしれませんね。
レッドブルは完全に2014年からの新エンジン規定に乗り遅れました。今までマシンに新デバイスを積極的に導入すれば排除され、立て直そうにもこの大幅な変更についていけないまま、主導権を明け渡す形で時代が終わりました。

《メルセデス時代》2014年〜
さあ現代の最強最速を誇るメルセデスのお出ましです。3チームのうち、5年間のドライバーは3人で構成されています。つい最近のチームですので記憶にある方は多くいらっしゃると思います。

2014年 F1 W05 Hybrid
    ハミルトン PP 36.8% 勝率57.9% 表彰台84.2%
    ロズベルグ PP 57.9% 勝率26.3% 表彰台78.9%
1.6ℓV6ターボの初年に復帰参戦5年目で一気に開花。他の追従を許さない予選とトラブルが少なく安定した優勝や表彰台を連ねてチームメイト同士のチャンピオン争いを作り上げることに成功しました。

2015年 F1 W06 Hybrid
    ハミルトン PP 57.9% 勝率52.6% 表彰台89.5%
    ロズベルグ PP 36.8% 勝率31.6% 表彰台78.9%
次はロズベルグの番かな、なんて思っているとこのシーズンはハミルトンが強みを増し、予選から猛威を奮い、3戦残しの第16戦アメリカGPでチャンピオンを決めてしまいましたね。ロズベルグはちょっと情けなかったなぁ。2014年第9戦イギリスGPから続くメルセデスの連続ポールポジションもこの年の第12戦イタリアGPまでに、先程のレッドブルを上回る23回を獲得しています。まるでポール=メルセデス状態でした。

2016年 F1 W07 Hybrid
    ハミルトン PP 57.1% 勝率47.6% 表彰台81.0%
    ロズベルグ PP 38.1% 勝率42.9% 表彰台76.2%
今度こそロズベルグがいくだろうと前年終盤3連勝からさらに開幕した後に4連勝と、いい流れでチャンピオン争いを優位に展開。最終戦まで引っ張ったものの、ハミルトンとのガチンコ争いの末に初チャンピオン獲得、直後の「勝ち逃げ」このタイミングでチャンピオンシートはウィリアムズの若手ボッタスがゲットと相成りました。

2017年 F1 W08 EQ Power+
    ハミルトン PP 55.0% 勝率45.0% 表彰台65.0%
    ボッタス    PP 20.0% 勝率15.0% 表彰台65.0%
マシンの幅がワイドになり、勢力図に影響が出る可能性もあったこのシーズン序盤はフェラーリのベッテルに先行していきました。ただ夏休み明けの後半戦からそのベッテルが乱調。ハミルトンが堅実にポイントを積み重ねて逆転し、2戦残しの第18戦メキシコGPで3回目、自身4回目のチャンピオンを獲得。ボッタスのメルセデスでの初シーズンは4ポール3勝でした。

2018年 F1 W09 EQ Power+
    ハミルトン PP 52.4% 勝率52.4% 表彰台81.0%
    ボッタス    PP 9.5%    勝率0.0%   表彰台38.1%
ハミルトン、ベッテルの共に「5回チャンピオン決定戦」は前年同様にシーズン序盤ベッテルに先行、フェラーリがいよいよ「最速」の称号を得たかのように思えました。しかし後半戦からベッテルがまたもや乱調。ハミルトンが堅実にポイントを積み重ねて逆転し、2戦残しの第19戦メキシコGPでメルセデスでの4回目チャンピオンへ。何だか前年のデジャヴのような展開でしたね。ボッタスのメルセデス2年目は2ポール0勝とハミルトンと比較するとだいぶ見劣りする「痛手を背負った」シーズンでした。

マシンレギュレーションをいち早く攻略、順応したメルセデスはあたかもライバルの1〜2年先を進んでいるかのような無敵艦隊です。マクラーレンを見限り、メルセデスに鞍替えしたハミルトンにとってもこの上ない環境を得られました。鬼に金棒を体現しているかのようです。メルセデスの優れているのはパワーやドライバーもさることながら「マシンの信頼性」と「堅実な戦略」にあると思います。ライバルのマシンが追いついたかと思えば、王者の貫禄で簡単には動じず、むしろ焦りや判断ミスも誘えるあたりが優れています。ただ弱点が全く無いかと言えばそんなこともなく、同士討ちやタイヤへの労りについてリスクは持っていました。
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予選についてみていくと、一様に予選上位を獲得する中でもハミロズ時代とハミボタ時代で若干の毛色の差がみられます。ロズベルグもハミルトンをも上回る走りを度々みせてくれました。しかし近年のボッタスとハミルトンの差は歴然としています。まだボッタスは歴が浅いから仕方がない、とも言えますが、ハミルトンも円熟さを増し、かつフェラーリがひたひたと近付いてくるとなると、メルセデスとて生半可な走りではポールやフロントロウ独占も危うくなりつつあります。
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決勝編も予選と同様に近年になればなるほど連続優勝はおろか、揃って表彰台獲得も減っています。メルセデスが独壇場だった時代は徐々に崩壊し始めているかもしれません。一見ボッタスのせいにみえなくもないが、そう片付けるのは可哀想なので止めておきましょう(笑)

《3チームを同列比較》
時代の異なる3チームを同列比較してみました。順位をいっぺんにプロットしてもつぶつぶ過ぎて訳が分からなそうなので、各シーズンのポールポジション獲得率、優勝率、表彰台率を算出して「シーズンの支配率」を評価します。
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それぞれのデータの中にも傾向と特徴がみられます。まずフェラーリとレッドブルの2チームは「3年目と5年目にピークがある」点です。細かにみればレギュレーション変更などを伴って成績やライバルとの兼ね合いが変化したわけですが、なかなかムラがありました。また5年間の最終5年目は比較的好調をみせつつも、その年を最後にライバルに主導権が渡る傾向も同じです。一方でメルセデスは5年間の初年でいきなり他を圧倒し、以降徐々にライバルが追いついたり成績が平準化してフェードアウトしていきそうな流れが見受けられます。ポールポジションと優勝についてはハミルトンとロズベルグがやり合った2016年がサミットとなっています。
あれだけ優勝が多かったレッドブルもフェラーリやメルセデスに比べると支配率は低かったんですね。またシューマッハ率いるフェラーリ時代も近年のレッドブルやメルセデスに比べるとポールポジションは少な目であったと読み取れます。いずれにせよ、メルセデスは今まで各ジャンルで高水準で進行していたこと。さらにはそれら優位性は徐々に薄れつつあり、近い将来ライバルが食う可能性も匂わせるような集計結果となりました。

メルセデスは今シーズンの開幕戦でこのパワーユニット、勢力図先頭で臨む6年目101戦目を迎えることとなります。過去のライバルたちもレギュレーション変更や他チームの若手の台頭のあおりを受けて最強時代の終焉を迎えています。マシンにレギュレーション変更が入る初年、それがきっかけとなりそろそろ勢力交代を迎えてくれたらF1は盛り上がるのにな、なんてmiyabikunは密かに期待してしまいます。
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それとも「やっぱりメルセデス、100戦超えてもダイジョーブ!」か?2019年の勢力図や如何に。

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F1が始まり68年の歴史の中で多くのドライバーだけでなくチーム(コンストラクター)を生み、熱戦を繰り広げてきました。このブログでも「名門」という言葉を度々使っていますが、名門チームって、一体何をもって言うんでしょうね。参戦数?優勝回数やチャンピオン獲得回数?搭載エンジンによらない2017年シーズンまでの各チームの成績を並べてみました。
※インディアナポリスGPも以前はF1として扱われていましたが、参戦ドライバーやチームが独特なため、数にはカウントしますがランキングからは除外しています。また、◯印とグラフの赤数字は現役を示します。

《決勝走行数》
  1  949戦 フェラーリ ◯
  2  821戦 マクラーレン ◯
  3  702戦 ウィリアムズ ◯
  4  491戦 ロータス
    (2010年代の2つのロータスは除く)
  5  430戦 ティレル
  6  394戦 ブラバム
  7  389戦 ザウバー ◯
    (BMWザウバーを含めると441戦)
  8  341戦 ルノー ◯
  9  340戦 ミナルディ
10  326戦 リジェ
決勝走行数で並べると想像の通りフェラーリが開催初年の1950年からほとんど参戦しているわけで、あと2年ちょっとで1,000戦の大台に到達します。度々「撤退してやる」と脅しをかけるフェラーリではありますが、フェラーリが参戦しなくなった時、F1の終焉でしょう。続くは元は個人事業者、ドライバーで今では自社で車の販売を始めるマクラーレン、そして創始者来ずとも今でもれっきとした個人チームであるウィリアムズが名を連ねます。名ばかりザウバーもBMW名貸し時代を含めずとも歴代10傑に入る老舗です。トヨタってホンダよりF1では地味。でも純粋なコンストラクターとしてはホンダより走行回数は多かったりします。ちなみに10位の今はなきリジェは326戦参戦、先日クローズアップしたバリチェロは個人で322戦参戦ですから、バリチェロはすごいですね。こうしてみると、10傑で現役が5チームあります。今でも頑張っているチームは多いですね。
《優勝回数》
  1  229勝 フェラーリ ◯
  2  182勝 マクラーレン ◯
  3  114勝 ウィリアムズ ◯
  4    79勝 ロータス(同上)
  5    76勝 メルセデス ◯
  6    55勝 レッドブル ◯
  7    35勝 ブラバム
        35勝 ルノー ◯
  9    27勝 ベネトン
10    23勝 ティレル
やっぱり名門は優勝がモノをいう?!上位4チームは変わらずです。分母が大きければ当然優勝も多いですし、勝つから、勝てるから今でもチームが存続していけるわけです。近年サムい内容が続く2位3位も散々勝ってきて、今があります。近年の常勝チームであるメルセデスの内訳はハミルトン41勝、ロズベルグ23勝、ファンジオ8勝、ボッタス3勝、モス1勝でトータル76勝、ハミルトン率53.9%に達します。5人が束になっても晩年のメルセデスで全く勝てなかったM・シューマッハ91勝にはまだ遠く及びません。一方でレッドブルはベッテル38勝、ウェバー9勝、リカルド5勝、M・フェルスタッペン3勝で55勝、ベッテル率69.1%とこちらはベッテル色強し。

《優勝率》
  1 47.1% ブラウンGP
  2 45.2% メルセデス ◯
  3 32.1% ヴァンウォール
  4 24.1% フェラーリ ◯
  5 22.5% レッドブル ◯
  6 22.2% マクラーレン ◯
  7 16.2% ウィリアムズ ◯
  8 16.1% ロータス(同上)
  9 14.8% マトラ
10 12.9% マセラティ
分母が大きければ勝てるチャンスや時期もあったはず。それならば新参や短命のためにも勝率でみたらどうなるか。先日まで何回も話題に出してきた「奇跡のブラウンGP」が過去最高の勝率となります。メルセデスやフェラーリよりよっぽど確率は高い。こちらは2009年の全17戦でバトンが6勝、バリチェロが2勝のトータル8勝となります。もっといえばバトンは前半7戦で6勝した逃げ切りチャンピオンです。ライバルが追いつく前の前半で勝負を決めてしまいましたね。名門というか、賢い。いいんですよ、F1はポイントランキングでチャンピオンを決めます。シーズンの盛り上がりだとか内容なんぞ、関係ない!(笑)
F1には多く関係を持つメルセデスも単独チームとしてはまだ10シーズン、たったの168戦です。紅だオレンジだ白だがウカウカしているうちに追い抜いてしまいました。紫もまだまだ伸び盛り。ちなみにエンジン別にした場合は、フェラーリ、フォード、ルノーに続く現在162勝です。
《チャンピオン回数》
  1  15回 フェラーリ ◯
  2    9回 ウィリアムズ ◯
  3    8回 マクラーレン ◯
  4    7回 ロータス(同上)
  5    4回 レッドブル ◯
        4回 メルセデス ◯
  7    2回 クーパー
        2回 ブラバム
        2回 ルノー ◯

こちらはドライバーズチャンピオンでなく、コンストラクターズチャンピオンです。コンストラクターズは1958年から始まっているので、創世記に活躍したアルファロメオやメルセデスがノーカウントになっています。頭一つどころか2倍近くチャンピオンを獲得してきたフェラーリは近年だけでみるとレッドブルやメルセデスの一つ分ずつくらい多く取れていてもよかった?!メルセデスは逆に第1期から数えられればもう一つ多くなったはずです。個人競技でもあるし、チームで多くのスタッフやスポンサーで支え合って成せる団体競技でもあります。一つのマシン(2台)に努力や技術、戦略を投入して世界一になるのもいいものですよね。

色んな角度から歴代の「チーム オブ チーム」をみてみました。いずれの上位10傑に選ばれるチームは紛れもない名門であり、多くのバトルや感動を生んでくれました。名門とはいえ、勝てない時期や不況、不作もありますし、長く、強く最高峰のカテゴリーで戦い続けるというだけでも大変です。ワークス(自動車メーカー)でない個人事業者ならなおさらだと思います。どちらも創始者当人は姿を見せなくなりましたが、ウィリアムズやザウバーなど、よく頑張っていますよね。
以降でこれら名門チームの中での「キング オブ ドライバーは誰か?!」みたいなものを何回かに分けてみていきたいと考えています。今回はそのさわりでした。

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先日F1ドライバーとして最後のブラジルGPを派手なクラッシュで終えたF・マッサ。マッサは残念ながらチャンピオンを獲得できませんでしたが、地元GP最多タイの2勝を挙げています。少し前に1991年ブラジルGPでA・セナの苦節地元優勝を取り上げました。セナをもってしても地元優勝は苦労がありました。客観的に「地元では他にはない力がみなぎる」と思いがちですが、果たして歴代で地元優勝はどの位あったのか、今回はそこに焦点を当ててみていきます。
まずGP別で整理してみます。F1の開催地は「一国一開催」のルールから例外のケースもあります。サンマリノGPを名乗るイモラは実はイタリア国内だったり、ヨーロッパGPと称したニュルブルクリンクはドイツ、ヴァレンシア市街地はスペインとダブります。そこは「サーキットの所在国」としてみて、優勝ドライバーの出身国と比較していきます。

★はチャンピオン獲得者、◎は現役

《GP別地元優勝者と回数》
アメリカGP(ロングビーチ)※
    1勝 M・アンドレッティ★
           1勝/20回   5.0%   1勝/12勝   8.3%
アルゼンチンGP(ブエノスアイレス)
    4勝 J・M・ファンジオ★
           4勝/6回   66.7%   4勝/24勝 16.7%
イギリスGP(シルバーストンほか)
    5勝 J・クラーク★
           5勝/8回   62.5%   5勝/25勝 20.0%
    5勝 N・マンセル★
           5勝/12回 41.7%   5勝/31勝 16.1%
    4勝 L・ハミルトン★◎
           4勝/10回 40.0%   4勝/52勝   7.7%
    2勝 S・モス
           2勝/8回   25.0%   2勝/16勝 12.5%
    2勝 J・スチュワート★
           2勝/9回   22.2%   2勝/27勝   7.4%
    2勝 D・クルサード
           2勝/15回 13.3%   2勝/13勝 15.4%
    1勝 P・コリンズ
           1勝/7回   14.3%  1勝/3勝    33.3%
    1勝 J・ハント★
           1勝/6回   16.7%  1勝/10勝 10.0%
    1勝 J・ワトソン
           1勝/11回   9.1%   1勝/5勝   20.0%
    1勝 D・ヒル★
           1勝/8回   12.5%   1勝/22勝   4.5%
    1勝 J・ハーバート
           1勝/10回 10.0%   1勝/3勝   33.3%
イタリアGP(モンツァ、イモラ)
    2勝 A・アスカリ★
           2勝/5回   40.0%   2勝/13勝 15.0%
    1勝 G・ファリーナ★
           1勝/5回   20.0%   1勝/5勝   20.0%
    1勝 L・スカルフィオッティ
           1勝/3回   33.3%   1勝/1勝 100.0%
    1勝 E・デ・アンジェリス
           1勝/7回   14.7%   1勝/2勝   50.0%
    1勝 R・パトレーゼ
           1勝/17回   5.9%   1勝/6勝   17.0%
オーストリアGP(エステルライヒリンク)
    1勝 N・ラウダ★
           1勝/12回   8.3%   1勝/25勝   4.0%
カナダGP(ジル・ヴィルヌーブ)
    1勝 G・ヴィルヌーブ
           1勝/5回   20.0%   1勝/6勝   16.7%
スペインGP(カタロニア、ヴァレンシア)
    3勝 F・アロンソ★◎
           3勝/20回 15.0%   3勝/32勝   9.4%
ドイツGP(ホッケンハイム、ニュル)
    9勝 M・シューマッハ★
           9勝/28回 32.1%   9勝/91勝   9.9%
    2勝 R・シューマッハ
           2勝/20回 10.0%   2勝/6勝   33.3%
    1勝 S・ベッテル★◎
           1勝/8回   12.5%   1勝/42勝   2.4%
    1勝 N・ロズベルグ◎
           1勝/10回 10.0%   1勝/23勝   4.3%
ブラジルGP(インテルラゴス、リオ)
    2勝 E・フィッティパルディ★
           2勝/8回   25.0%   2勝/14勝 14.3%
    2勝 N・ピケ★
           2勝/13回 15.4%   2勝/23勝   8.7%
    2勝 A・セナ★
           2勝/11回 18.2%   2勝/41勝   4.9%
    2勝 F・マッサ◎
           2勝/13回 15.4%   2勝/11勝 18.2%
    1勝 C・パーチェ
           1勝/5回   20.0%   1勝/1勝 100.0%
フランスGP(マニ・クールほか)
    6勝 A・プロスト★
           6勝/13回 46.2%   6勝/51勝 11.8%
    1勝 J・P・ジャブイユ
           1勝/5回   20.0%   1勝/2勝   50.0%
    1勝 R・アルヌー
           1勝/11回   9.1%   1勝/7勝   14.3%
南アフリカGP(キャラミ)
    1勝 J・シェクター★
           1勝/8回   12.5%   1勝/10勝 10.0%

※アメリカはインディ500の一部であるインディアナポリスGPもありますが、スポット参戦が多いため、それは除外しています。

今までに954レース行われたうち、94レースで母国優勝がありました。僅か9.9%に過ぎません。フルタイムドライバーの少ないインディアナポリスGP優勝者11人を除くと上に挙げた83レースの34人、11GPに減ってしまいます。多いと感じるか少ないと感じるか、個人的には想像より少ない結果に思います。
当然ながら開催回数が多く、参戦ドライバーも多いイギリスが最多の11人輩出しています。続いてイタリアの5人。意外なのはブラジルも5人と多めです。ブラジルは定期的にチャンピオンも輩出していて粒揃いです。


《母国優勝回数ベスト5》
1 9勝 M・シューマッハ (ドイツ)
2 6勝 A・プロスト         (フランス)
3 5勝 J・クラーク          (イギリス)
         N・マンセル          (イギリス)
5 4勝 J・M・ファンジオ(イギリス)
         L・ハミルトン       (イギリス)

母国優勝回数上位はいつも上位にランクインする面々です。今回も頭一つ出るM・シューマッハのドイツはホッケンハイムとニュルブルクリンクの二開催の年もあり数を増やせます。その2つを別けてもM・シューマッハのトップには変わりありませんが。


《優勝回数の母国優勝割合ベスト5》
1 100% L・スカルフィオッティ(イタリア)
              C・パーチェ              (ブラジル)
3 50.0% E・デ・アンジェリス(イタリア)
              J・P・ジャブイユ     (フランス)
5 33.3% P・コリンズ              (イギリス)
              J・ハーバート           (イギリス)
              R・シューマッハ       (ドイツ)

《母国参戦数からみた優勝率ベスト5》
1 66.7% J・M・ファンジオ(アルゼンチン)
2 62.5% J・クラーク    (イギリス)
3 46.2% A・プロスト   (フランス)
4 41.7% N・マンセル   (イギリス)
5 40.0% A・アスカリ   (イタリア)
              L・ハミルトン(イギリス)

「母国優勝割合」は優勝回数に対しての母国優勝率、「参戦数の母国優勝率」はそのGPに参戦したうちの優勝率です。
前者のスカルフィオッティとパーチェは「唯一の優勝が母国」という幸せ者です。比較的優勝自体が少ない方が、ここにランクインしやすくなり、そしてM・シューマッハだらけの結果が薄まります。ちなみにブラジルGPの行われたインテルラゴスはその功績を遺した「C・パーチェ」の名前に変更されています。
後者の方が高くなるのかと思っていましたが、そうでもなかった。現役のハミルトンもしっかりイギリスGPの最多勝に向かって現在進行形です。


《優勝経験者が母国GPで勝てていない国》
    オーストラリア(D・リカルドほか)
    オランダ(C・G・ド・ボーフォール)
    スイス
    スウェーデン(R・ピーターソン)
    ベルギー(J・イクス、T・ブーツェン)
    メキシコ(P・ロドリゲス)

《優勝経験者で母国GPが無い国》
    コロンビア、ニュージーランド、
    フィンランド、ベネズエラ、ポーランド

最後の2つはオマケです。一つ目は「参戦中に母国GPはあったけど勝てていない」ものです。今あるGPで母国ドライバーがあるものはとしてはオーストラリアのリカルドとメキシコのペレスになります。リカルドはあり得そうですよね!ペレスは優勝まであと少し、母国初優勝に期待したいです。
前にも「母国のある人無い人」で書いたことがありますが、いくら勝とうがチャンピオンになろうが、地元で開催されなければ母国優勝も残念ながらあり得ません。現役ではフィンランド出身のライコネンとボッタスがそう。真夏のフィンランドならレースをやれなくもなさそうですよね。ラリーの印象が強いです。

勝てても母国では勝てない人、勝てても母国GPが無い人、GPがあっても母国ドライバーがいない国、様々です。集計してまとめてみると、母国だからといって一際勝ちやすいわけでもないし、いつもにない力ややる気がみなぎるわけでもなさそう。むしろ、プレッシャーや良からぬトラブルが起きて結果を出せないケースの方が多いのかもしれません。

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前回は「過去の偉人満載」なマイスターを扱ってきました。また今回もマイスターのネタで連投します、すみません。いつもいつも過去の栄光を振り返ってばかりの当ブログ、しかし今回は「将来を見据えたマイスター」にちゃんと焦点を当てます。このネタ、彼には今しかないんです!!(笑)

前回も少し触れた、今後のマイスター更新や誕生の話題。今シーズン残り2戦、そして来年以降に誕生しそうな、誕生してほしい現在2勝している面々を並べてみます。

《A1リンク》オーストリアGP
    N・ロズベルグ
《アルバートパーク》オーストラリアGP
    K・ライコネン
    L・ハミルトン
    N・ロズベルグ
《インテルラゴス》ブラジルGP
    F・マッサ
    S・ベッテル
    N・ロズベルグ
《カタロニア》スペインGP
    K・ライコネン
    F・アロンソ
《シルバーストン》イギリスGP
    F・アロンソ
《スパ・フランコルシャン》ベルギーGP
    L・ハミルトン
《セパン》マレーシアGP
    K・ライコネン
《ソチ・オリンピックパーク》ロシアGP
    L・ハミルトン
《バーレーン国際》バーレーンGP
    S・ベッテル
    L・ハミルトン
《マリーナベイ市街地》シンガポールGP
    F・アロンソ
    L・ハミルトン
《モンツァ》イタリアGP
    F・アロンソ
《モンテカルロ》モナコGP
    F・アロンソ
《ヤス・マリーナ》アブダビGP
    L・ハミルトン
《上海国際》中国GP
    F・アロンソ
    N・ロズベルグ
《鈴鹿》日本GP
    L・ハミルトン

実はバーレーン国際ではマッサが、ハンガロリンクではバトンが2勝を獲得していますが、今シーズンが終わり、現役引退のため来シーズンの獲得ができません。今シーズンで更新が期待できるのはマッサを含めたブラジルGPのインテルラゴスと最終戦アブダビGPのハミルトンのみになります。マッサがブラジルで勝ったら天国のセナも喜ぶことでしょう。
彼ら以外に現役ではリカルドやフェルスタッペンが優勝経験者ですが、3勝にはあと2つ必要なのでもう少し辛抱が要ります。

    F・アロンソ     6箇所(マクラーレン)
    K・ライコネン 3箇所(フェラーリ)
    L・ハミルトン  6箇所(メルセデス)
    N・ロズベルグ 4箇所(メルセデス)
    S・ベッテル     2箇所(フェラーリ)

やっぱりこうして並べると、ほとんどが優勝常連のチャンピオンクラスのドライバーばかりになってしまいますよね。現役最多タイ6箇所のチャンスを持っているアロンソは発展途上の名門マクラーレンから久々優勝しなければなりません。最年長ライコネンと現役最多のマイスター数を持つベッテルのフェラーリコンビはマシンがイマイチ、戦略もイマイチ。やっぱりメルセデスの2人が着実に3勝目をあげてマイスター数を増やすのでしょうか?!

今シーズンが終わる前から来シーズンの話は早過ぎますが、ちなみに開幕戦となるであろうオーストラリアGPのアルバートパークはハミルトンが勝ってもロズベルグが勝っても新たなマイスターが誕生します。チャンピオン争いが最たる目標のF1。でもチャンピオンでなくてもサーキットの名手、得意サーキットがライバルよりも一つでも多くある、という見方をしても面白いのではないでしょうか。

最後は前回も載せた、現役ドライバーでさらなるマイスター数が増えそうなものも抜粋しておきます(前回のコピペです)

《COTA》
    4勝 L・ハミルトン  出走5    勝率80.0%
《ジル・ヴィルヌーブ》
    5勝 L・ハミルトン  出走9    勝率55.6%
《シルバーストン》
    4勝 L・ハミルトン  出走10  勝率40.0%
《スパ・フランコルシャン》
    4勝 K・ライコネン  出走12  勝率33.3%
《セパン国際》 
    4勝 S・ベッテル     出走9    勝率44.4%
    3勝 F・アロンソ     出走15  勝率20.0%
《バーレーン国際》 
    3勝 F・アロンソ     出走11  勝率27.3%
《ハンガロリンク》
    4勝 L・ハミルトン  出走10 勝率40.0%
《ホッケンハイムリンク》
    3勝 F・アロンソ     出走10 勝率30.0%
《マリーナベイ市街地》
    4勝 S・ベッテル     出走9   勝率44.4%
《モンツァ》
    3勝 S・ベッテル     出走10 勝率30.0%
    3勝 L・ハミルトン  出走10  勝率30.0%
《モンテカルロ》 
    3勝 N・ロズベルグ 出走11  勝率27.3%
《ヤス・マリーナ》
    3勝 S・ベッテル     出走7   勝率42.9%
《上海国際》
    3勝 L・ハミルトン  出走10 勝率30.0%
《鈴鹿》
    4勝 S・ベッテル     出走8   勝率50.0%


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F1用語の一つに「モナコ・マイスター」という言葉があります。その他、ドライバーズサーキットと言われている鈴鹿やスパなんかも派生であったりしますよね。

マイスター(Meister)とは英語でいうマスター、イタリア語のマエストロと同意語。「巨匠、名人、親方、修士」などにあたる意味のドイツ語です。モナコ・マイスターの称号も諸説ありますが、伝統あるモンテカルロ市街地で3勝以上するとそう呼ばれるようになっているようです。
モナコ以外のサーキットでもそれぞれのマイスターはあるんじゃないかと、今回は今まで数回使った「コツコツ集めた優勝者のデータベース」から、モナコを含む全サーキットの「マイスター」を調べてみました。各サーキットで3勝以上したドライバーは過去67年間、先日の第19戦メキシコGPまでの953レースでみると、75人もいました。そこで4勝以上の32人と代表的な3勝以上のいくつか抜粋したものをあげてみます。

データは2016年第19戦メキシコGPまで
◯は母国GP、★はチャンピオン、◎は現役

《アルバートパーク》            21回開催 ◎
    4勝 M・シューマッハ ★     出走14 28.6%
    3勝 J・バトン ★◎              出走17 17.6%
《イスタンブールパーク》       7回開催
    3勝 F・マッサ ◎                 出走7   42.9%
《イモラ》                             27回開催
    7勝 M・シューマッハ ★     出走15 46.7%
《インディアナポリス》        19回開催
    5勝 M・シューマッハ ★     出走7   71.4%
《インテルラゴス》               34回開催 ◎
    4勝 M・シューマッハ ★     出走18 22.2%
《カタロニア》                     26回開催 ◎
    6勝 M・シューマッハ ★     出走19 31.6%
《COTA》                               5回開催◎
    4勝 L・ハミルトン ★◎      出走5   80.0%
《ザントフォールト》          30回開催
    4勝 J・クラーク ★             出走7   57.1%
《ジル・ヴィルヌーブ》        37回開催 ◎
    7勝 M・シューマッハ ★     出走18 38.9%
    5勝 L・ハミルトン ★◎      出走9   55.6%
《シルバーストン》               49回開催 ◎
    5勝 A・プロスト ★            出走9   55.6%
    4勝 L・ハミルトン ◯★◎  出走10 40.0%
    3勝 M・シューマッハ ★     出走17 17.6%
《スパ・フランコルシャン》49回開催 ◎
    6勝 M・シューマッハ ★     出走16 37.5%
    5勝 A・セナ ★                   出走9   55.6%
    4勝 J・クラーク ★             出走8   50.0%
    4勝 K・ライコネン ★◎     出走12 33.3%
《セパン国際》                     18回開催 ◎
    4勝 S・ベッテル ★◎         出走9   44.4%
    3勝 M・シューマッハ ★     出走11 27.3%
    3勝 F・アロンソ ★◎         出走15 20.0%
《ニュルブルクリンク》       40回開催
    5勝 M・シューマッハ ◯★ 出走12 41.7%
《バーレーン国際》              12回開催 ◎
    3勝 F・アロンソ ★◎         出走11 27.3%
《ハンガロリンク》              31回開催 ◎
    4勝 L・ハミルトン ★◎      出走10 40.0%
    4勝 M・シューマッハ ★     出走17 23.5%
《ブエノスアイレス》           20回開催
    4勝 J・M・ファンジオ ◯★出走6   66.7%
《ブッダ国際》                       3回開催
    3勝 S・ベッテル ★◎         出走3   100%
《ポールリカール》              14回開催
    4勝 A・プロスト ◯★         出走9   44.4%
《ホッケンハイムリンク》   35回開催 ◎
    4勝 M・シューマッハ ◯★ 出走16 25.0%
    3勝 F・アロンソ ★◎         出走10 30.0%
《マニ・クール》                  18回開催
    8勝 M・シューマッハ ★     出走15 53.3%
《マリーナベイ市街地》         9回開催 ◎
    4勝 S・ベッテル ★◎         出走9   44.4%
《モンツァ》                        66回開催 ◎
    5勝 M・シューマッハ ★     出走17 29.4%
    3勝 S・ベッテル ★◎         出走10 30.0%
    3勝 L・ハミルトン ★◎      出走10 30.0%
《モンテカルロ》                 63回開催 ◎
    6勝 A・セナ ★                    出走10 60.0%
    5勝 G・ヒル ★                    出走18 27.8%
    5勝 M・シューマッハ ★     出走18 27.8%
    4勝 A・プロスト ★             出走13 30.8%
    3勝 N・ロズベルグ ◎         出走11 27.3%
《ヤス・マリーナ》               7回開催 ◎
    3勝 S・ベッテル ★◎         出走7   42.9%
《リオ・デ・ジャネイロ》   10回開催
    5勝 A・プロスト ★            出走9   55.6%
《韓国国際》                          4回開催
    3勝 S・ベッテル ★◎         出走4   75.0%
《上海国際》                        13回開催 ◎
    3勝 L・ハミルトン ★◎      出走10 30.0%
《鈴鹿》                               28回開催 ◎
    6勝 M・シューマッハ ★     出走19 31.6%
    4勝 S・ベッテル ★◎         出走8   50.0%

M・シューマッハ、多いですね。こうなるのは想定内ですが、逆に勝ったこと無い所が無いんじゃない?!と思ってしまいますよね。揚げ足をとると実はあるんです。デビュー間もなくなくなったエルマノス・ロドリゲスをはじめ、引退間際に開催されたヴァレンシア市街地など、3勝どころか1勝もできなかったサーキットが11箇所ありました。シューマッハとはいえ、サイボーグではなく人間でした。
チャンピオン獲得者をいつものように★マークを付けています。ほとんどが★マークです。★無しでマイスターのサーキットがあるのは「ターン8」といえばF・マッサ、そして2016年チャンピオンに一番近い男N・ロズベルグのモナコです。マッサの記録は今シーズンをもって増えることはありませんが、◎印の付くロズベルグはまだマイスターが増える可能性を秘めています。勝利数だけでみれば一人前ですもんね!

《3勝以上マイスター数ベスト5》
1 16箇所 M・シューマッハ (91勝)
2   8箇所 A・プロスト         (51勝)
3   7箇所 S・ベッテル         (42勝)
4   6箇所 L・ハミルトン      (51勝)
     6箇所 A・セナ                (41勝)

《マイスター輩出数ベスト4》
1 8人 モンツァ                         (イタリア)
2 6人 モンテカルロ                  (モナコ)
   6人 スパ・フランコルシャン(ベルギー)
4 5人 シルバーストン               (イギリス)

当然ながらノミネートされる多くは優勝回数の多さに比例するように多くなります。ハミルトンやプロスト、ベッテルやセナが多いです。また、古くから長く開催されているサーキットでもマイスター輩出者は増えます。モンツァが3勝以上の最多8人輩出。スパがレイアウトは異なれど6人、あまりレイアウトが変わらないモナコで6人。シルバーストンが5人になります。
母国のGPに◯印を付けてみました。母国でマイスターとなれているのは、ホッケンハイムとニュルブルクリンクの2箇所を制したM・シューマッハ。シルバーストンでクラーク、マンセル、ハミルトン。ブエノスアイレスのファンジオとポールリカールのプロストくらいです。地元は慣れていたりファンが多いので底力を発揮するかと思いきや、意外と少ない印象に感じます。

《優勝率ベスト5》
1 100.0% S・ベッテル   (ブッダ国際)
2   80.0% L・ハミルトン(COTA)
3   75.0% J・クラーク (シルバーストン)
                S・ベッテル   (韓国国際)
5   71.4% M・シューマッハ(インディ)

各ドライバーの%は優勝率です。今は無きインドGPが行われたブッダ国際は3回中3勝がベッテルで優勝率100%。表彰台の頂点に自分以外は立ったことがないという、一番気持ち良いやつです。次点は先日行われた現役のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ5回中4勝のハミルトンが圧倒的な得意さです。まだまだ伸ばせそうな予感がします。
最近はレース数や新興サーキットは増えつつも優勝者の偏りがあり過ぎてなかなかこの手の記録は生まれにくい傾向にあります。メルセデスをドライブする2人は記録を伸ばすでしょうし、ロズベルグと同郷のベッテルや勝利自体から遠退いているスパが得意なライコネン、バーレーンやセパンで台頭してきたアロンソに記録更新は厳しそうです。ドライバーの得意不得意が見え辛く「あくまでマシン依存」になりつつあるのが近代F1で問題視されていることです。2017年規格のレギュレーションが「様々なサーキットで様々なマシンやドライバーが勝てる」ものであるかが、F1人気のカギを握っています。
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