F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:ロズベルグ

IMG_8025
現在のエンジンレギュレーションが取り入れられてから早8年目のシーズンに入ろうとしています。ご存知の通り、数々のライバル達の一歩も二歩も前を走るメルセデスが近年7年を完膚無きまでに支配する時代が続いています。物事には必ず始まりがあり、終わりがあるわけですが、この2021年シーズンにおいてもまだその勢いを緩める様子が容易に想像できません。今回はその最強時代のきっかけになったと言っても過言ではない、前エンジンレギュレーション時代のマシンである2013年型メルセデスF1 W04をフォーカスしてみます。

IMG_8011
《設計》
 パディ・ロウ
 ボブ・ベル
 アンディ・コーウェル
 アルド・コスタ
 ジェフ・ウィリス

メルセデスはこの年から長く重要なポジションに座っていたノルベルト・ハウグに代わり、ウィリアムズからトト・ヴォルフを招き入れ、技術陣も2011年にヒスパニアからウィリス、前年2012年にフェラーリからコスタを集めるなど翌シーズンに迎える「大型レギュレーション変更」に対抗すべく段階的な技術強化を行いました。
IMG_8021

IMG_8009
《外見》
前作W03と比べると、全体的にシャープさよりもふくよかになったような印象を受けます。メルセデスは2010年の復帰時から歴代で最高速重視のマシンで仕立て上げられてきました。そうなると弱点となるのはダウンフォースが不足するという点です。
IMG_8028
フロントウィングはW03の時にもみられた翼端部に取り付くフィンだけではなく、ノーズ下のステーに向かうフィンも踏襲しています。フロントウィングは元々「マシンのフロントタイヤへダウンフォースを与える」ことを目的として装着されています。ところが近年はF1マシンがオープンホイールであるが故の悩み「フロントタイヤへの空力的影響をいかに減らすか」もこのフロントウィングに課された重要な役割となっています。このメルセデスによらず、このあたりの時代から特に複雑怪奇なフィンや機構を取り入れるようになりました。フロントの足回りは油圧でライドハイトを制御するシステムを取り入れ、前後だけでなく左右を含めた4輪への姿勢を整え、バランスよくダウンフォースを伝達、グリップ向上に努めました。
IMG_8017
リヤに目をやると、前作W03よりもリヤエンドを下に向けるようなディテールとなりました。この時代のライバルもこぞって導入したコアンダエキゾーストを使って、課題となっていたリヤへのダウンフォース増加を期待しています。
目に見えないところの工夫としては、フェラーリ系やルノー系が先に導入した「キャビティリゾネーター」をメルセデス系も遅れ馳せながらこのシーズンから導入してきました。空洞共振器とも呼ばれるこれは「空洞の部屋に振動を与えてエネルギーを増幅する」デバイスで、エキゾーストマニホールドに装着するものです。エネルギーの増幅は形や装着、エンジンの回転数により異なるものの、ブレーキング時のエネルギーロスを補完することを目的としました。
IMG_8016
カラーリングは今と変わらずのライトシルバーを基本に、ブラックのアクセントが使われています。昨シーズンは急遽ブラック一色に染められましたが、メルセデスといえばこのシルバーがしっくりときます。スポンサーは今も引き続くペトロナスと一時期日本にも参入があったカナダの携帯電話メーカーであるブラックベリーがメインです。

IMG_8010
《シャシー》
 全長:5,094mm
 全幅:1,800mm
 全高:   950mm
 最低車体重量: - kg
 燃料タンク容量: - ℓ
 ブレーキキャリパー:ブレンボ
 ブレーキディスク・パッド:ブレンボ
 サスペンション:フロント プッシュロッド
          リヤ    プルロッド
 ホイール:アドバンティ
 タイヤ:ピレリ

《エンジン》
 メルセデス・ベンツ FO108F
  V型8気筒・バンク角90度
 排気量:2,400cc
 エンジン最高回転数:18,000rpm(制限)
 最大馬力: - 馬力(非公開)
 スパークプラグ: - 
 燃料・潤滑油:ペトロナス

IMG_8015
《ドライバー》
 No.9   ニコ・ロズベルグ (全戦)
 No.10 ルイス・ハミルトン(全戦)

前年に二度目の引退(完全引退)となったF1レジェンド、M・シューマッハ。ロズベルグがエースとして堂々の昇格を果たす中、そのシューマッハの後任として、マクラーレンの秘蔵っ子と呼ばれたチャンピオン経験者ハミルトンを招き入れた初年となりました。ハミルトンの移籍は前年途中から非常勤会長に就任したラウダの声掛けも大きく影響したと言われていますね。ハミルトンは当時どちらかといえばマクラーレンからみれば「格下」と目されたまだ日の浅いメルセデスへの移籍となり、軽く騒動になりましたよね。同世代で幼き頃にチームメイトでもありライバルとしてしのぎを削った2人が並び、3年にも渡ってF1を席巻する「無敵艦隊」レッドブル打破に向かいます。

IMG_8026
《戦績》
 360ポイント コンストラクター2位
 (1位3回、2位1回、3位5回、4位6回ほか)
 ポールポジション8回

若返りを図って挑む開幕前オーストラリアGP予選はチームの先輩ロズベルグがフェラーリ2人の後塵に拝する6番手で終えるも、新加入のハミルトンはレッドブルに続く3番手、ポールのベッテルの0.7秒落ちのところに迫ることに成功。決勝は6位まで順位を落としますが、さすがチャンピオン経験者という走りをみせました。第2戦マレーシアGPはハミルトンが4番手スタートから見事3位表彰台を獲得し、シーズン表彰台に登壇。第3戦中国GPは予選でハミルトンが鉄壁のレッドブル2台を上回ることに成功、移籍初のポールポジションから3位フィニッシュを果たし、先輩ロズベルグを凌駕していきます。この結果に黙っちゃいられないロズベルグは第4戦バーレーンGPから第5戦スペインGP、第6戦モナコGPで3戦連続のポールポジションから、モナコGPではポールトゥウィンを挙げてハミルトン優位を阻みます。またチームとしても第4戦、第5戦はハミルトンと共にフロントロウスタートを得るなど、徐々に「予選から逃げ切る」レッドブル包囲網を攻略するかのような位置に並ぶことに成功しています。第10戦ハンガリーGPまでのシーズン前半はロズベルグが3ポールの2勝、ハミルトンが4ポール1勝となり、実に力強い結果を積み重ねました。
IMG_8029
ところがサマーブレイク明けのシーズン後半戦はハミルトンに第11戦ベルギーGPで5回目のポールポジションを獲得するも、ベッテルやフェラーリのアロンソに先行を許し3位。以降はロズベルグは2位1回、3位1回。ハミルトンは3位1回となるなど両者表彰台は獲得できても「その中央」に立つことが出来ず失速。フェラーリを僅差で上回るコンストラクターズ2位に浮上しますが、レッドブルに大差をつけられる形でチャンピオンを逃しました。ドライバーズランキングはハミルトンが189ポイントの4位、ロズベルグは終盤2戦欠場したロータスのライコネンを間に挟んだ171ポイントの6位に終わります。IMG_8020
4連覇をかけたレッドブルを捕まえるところまでいった要因の一つに「ドライバー体制の入れ替え」が功を奏したところが挙げられます。レジェンドとはいえ40代前半となったシューマッハから、チャンピオン獲得からしばらく遠ざかったものの20代後半のハミルトンはマクラーレンで様々な苦難と戦い、鍛錬されたこと。ロズベルグとしても気心知れた同世代とのタッグで互いに切磋琢磨できたことと思います。またチームの首脳陣や技術者も強化され、ハミルトンが好みとしていたブレーキへの的確な改良もマシンへの適応性の面で有利に働きました。しかしこのマシンでも歴代のお決まりのように「リヤタイヤに厳しい特性」は改善できぬままシーズン終盤に早々と開発を終了。翌2014年シーズンの「大幅レギュレーション変更」にシフトしていくこととなりました。

IMG_8022
現パワーユニットでのレギュレーション下において、メルセデス以外からのドライバーズチャンピオンおよびコンストラクターズチャンピオンは輩出していません。一見「このパワーユニットになってからメルセデスが化けた」とみられがちですが、実は前年にあたるこのW04の時代からもドライバーをはじめチーム首脳陣強化、ドライバーの得意とするセッティングに近付けるなど、結果的に完膚なきまでのレッドブル4連覇の裏で着々とチャンピオン奪取を狙っていたことがうかがえます。ライバル達はこのシーズンでメルセデスがその後大化けし、脅威となることを薄々勘づいていたのかもしれません。

にほんブログ村 車ブログ F1へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

グラフは少し見飽きましたね。目を休めましょう。12月中旬まで及んだ2020年シーズンが終わって早3週間経ちます。そろそろレースを観たくなりませんか?!まだいいって?!(笑)昨年の「過去のレース」は中止や延期になったGPにも合わせて「なんちゃってGP」をこのブログ内で強引に突き進めてきたわけですが、実はその時に載せようかどうかすごく迷って、結局諦めてストックしていたレースがいくつかありました。その中の一つであるジャカレパグアで行われた1983年ブラジルGPを取り扱おうと思います。近年はシーズン終盤に盛り込まれるブラジルGPをどこに差し込むか悩みつつ、隙間を縫って9月中旬に1982年ブラジルGPをねじ込みました。それもピンとこない時期ではありましたが、よりによってこの時期のブラジルGPってのも違和感がありますよね。でもこの年のブラジルGPはあながち遠からずです。なぜならこのレースは開幕戦にあたる3/13に行われたということで、約2ヶ月程度先の話だからです。それにしても1月中旬は早過ぎか(笑)
今から38年も前となる1983年シーズンのレースは今回初採用となります。一見地味にも感じる方は多いかもしれませんが、これがなかなか面白いシーズンとなっています。それを助長させた一つの要因がこれです。
IMG_5554
フェラーリ126C2B
IMG_5555
ウィリアムズFW08C
IMG_5556
ルノーRE30Cと現代も参戦する各チームでマシン自体のディテールも実に多彩です。でもこれ、シャシー名からも分かるように枝番が付けられた前年1982年型の改良車ばかりなのです。どうしてこんな事態に陥ったのかというと、かの有名なグラウンドエフェクトカー廃止(フラットボトム規定)がシーズン開幕3ヶ月前の12月に急遽決まり、予め開発をしていた各チームの各マシンは対応に間に合わず強引にレギュレーションに合わせ込む必要があったからです。近年もマシンレギュレーション変更が数年前から決められ、発表されている通り、これら大幅変更はある程度早い段階から告知しないと、いくら莫大な資金と腕利きが集まるF1カテゴリーであっても対応し切れません。ほとんどのチームがやっつけの改良型で開幕戦を迎える中で、間に合わせてきたチームとマシンがあります。
IMG_5557
以前「名車シリーズ」でも振り返ったブラバムBT52です。空力の鬼才と呼ばれたゴードン・マーレーはライバルと同条件下において、予定していたBT51導入や改良を諦め、レギュレーションに適合する新車をしっかり開幕戦に合わせ込んできました。この辺ができるかできないかでシーズンの戦い方が変わってきます。さすが老舗のブラバム。

前段にだいぶ時間を費やしてしまいましたが、予選は前年にたった1勝でチャンピオンを獲得したN・ロズベルグの父、K・ロズベルグが連覇を目指して好発進のポールポジションを獲得。見た目もチャンピオンの風格を感じさせますが、こう見えてこの当時34歳です。今でいうハミルトンとベッテルの間くらいにあたります。もっというと、これは今から38年前ということで、後にチャンピオンを獲得する息子ニコはまだ生まれていません。2番手はターボを武器に「予選番長」と化するルノーの若手プロスト、3番手に「前年の悪夢」の払拭に挑むフェラーリのタンベイ、4番手は新車に乗るピケが獲得しています。

FullSizeRender
《予選結果》
 1 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
 2 A・プロスト (ルノー・R・MI)
 3 P・タンベイ (フェラーリ・F・GY)
 ※GYはグッドイヤー、MIはミシュラン
  Foはフォード

IMG_5560
スタートでポールポジションのロズベルグは早くも逃げ体制。3番手タンベイは出遅れ、4番手ピケに先行されています。
IMG_5561
途中給油を念頭に軽いマシンで追うピケはプロストをかわして早い段階で2位に浮上してきました。

IMG_5563
ブラバム同様に途中給油の軽タンクで逃げるロズベルグはタイヤを傷め、7周目にピケが隙をついてトップに立ちます。
IMG_5564
軽タンク走行は経験豊かなブラバムが一枚上手か。

IMG_5566
傷むタイヤで27周を耐えたチャンピオンのロズベルグがピットインして予定通りの給油作業に入ります。給油ホースの角度に注目下さい。ドライバーの真後ろに真上から垂直にノズルを挿す形でどうも給油し辛そう、なんて見ていると恐れていたことが、、IMG_5567
発火!
IMG_5569
消火器が向けられ、ロズベルグは堪らずマシンから飛び降りる。レース中の途中給油って、当時の技術からするとかなり高度かつ危険行為です。IMG_5570
レースを諦めたかと思いきや、火は消し止められ「ピットクルーの手を借り」て9位で復帰していきます。たった1勝でもチャンピオンはチャンピオン。簡単にレースを諦めるわけにはいきません。
IMG_5571
軽タンク戦法を得意とするトップのピケの給油作業。こちらの給油は真上からではなく、ノズルが挿し易い横向きです。給油も配慮した設計がなされているBT52はやはり優秀。

IMG_5573
当時のルノーは決勝になるとグズグズしてしまっています。ピケに抜かれ、パトレーゼにも抜かれ、予選9番手のマクラーレンのラウダにまで抜かれる始末。速さだけではレースに勝てない。
IMG_5574
さらには一度燃えた後に復活を果たしたカーナンバー1のロズベルグにまで抜かれてしまいます。ロズベルグは一度9位まで落ちたのに、再び表彰台圏内まで戻ってきました。すごい追い上げだ。
IMG_5575
そのロズベルグはラウダもかわして2位浮上。軽タンク逃げ逃げ途中給油の効果てきめんですね。ただトップのピケまでは距離があるか。
IMG_5576
IMG_5577
予選4番手。でも新車を用意して戦略大当たりのピケが余裕の優勝。前年もトップチェッカーを受けながらマシン違反で失格となったため、これが母国初優勝となりました。IMG_5578
2位は猛追のロズベルグ、賢いラウダがいつものしれっと3位となり表彰式を迎えますが、この年もこのままでは終わりませんでした。
IMG_5580
最終結果はこちら。

《決勝結果》
  1 N・ピケ   (ブラバム・B・MI)
失格 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
  3 N・ラウダ  (マクラーレン・Fo・MI)
 ※BはBMW

思い出して下さい。先程のロズベルグのピットアウトは自力ではなくピットクルーの手を借り押しがけで復帰しています。あの行為が違反の対象となり、前年に引き続き2年連続のブラジルGP失格の裁定が下りました。チャンピオンのロズベルグはちょっと恥ずかしい。通常であれば4位フィニッシュしたウィリアムズのラフィが3位昇格といきたいところでしたが、結局それは行われず、F1で異例の「2位の存在しないレース」に終わっています。
一方で82年は幻の優勝、83年にようやく母国初優勝を飾ったピケは86年も優勝したことが讃えられ、88年にジャカレパグアは「ネルソン・ピケ」という名に改称されることとなりました。存命現役のドライバーがサーキットに名付けられるのは異例です。しかし残念ながら90年からブラジルGPは改修を受けたインテルラゴス(ホセ・カルロス・パーチェ)に移されF1で使用されなくなり、2016年に開催されたリオ五輪のメイン会場に選定されたことにより、今では跡形も無く解体されています。また1973年から開催されてきたブラジルGPの名称も今シーズンから「サンパウロGP」に改称されて消滅することが決定しました。

にほんブログ村 車ブログ F1へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

ウィリアムズはフェラーリやマクラーレンと共に長きにわたりF1を支えてきたプライベートチームです。また日本との関わりも深く、様々な日本企業ともタッグを組んできました。近年はレッドブルグループと運命を共にする第四期ホンダですが、今回は第二期の名車。といってもマクラーレンではありません、もっと先輩1985年のウィリアムズFW10が今回の主役です。

image
《設計》
 パトリック・ヘッド

《外見》
第二期ホンダとのタッグはこれよりも2年前の1983年に端を発します。S・ヨハンソン一人で戦うスピリットに供給していたホンダは最終戦南アフリカGPからウィリアムズにスイッチ。翌84年シーズンは名門ウィリアムズに2台体制でフル参戦を果たし、ダラス市街地での第9戦アメリカGPではK・ロズベルグによる第二期初優勝を飾っています。フル参戦2年目のFW10にも継続して同じRA164Eを搭載してスタートすることとなりました。
image
外見をみていくと、まずノーズコーンが前作FW09に比べて低く、紺のカラーリングも相まってシャープに仕上げられました。コクピット後方のエンジンカバー付近にみられた凸上部も無くなり、カヌーを上下にひっくり返したかののような美しくスマートなフォルムとなっています。同じエンジンが載っているのにこんな違いがあるのは、実は前作FW09はフォード・コスワースを搭載する予定で設計されていた名残があり、このFW10からようやく完全にホンダエンジン搭載に合わせた仕様に変更したためです。パワーに定評のあるホンダはさらに信頼性を向上させるため、ターボチャージャーの位置を変更し、サイドポンツーン内の整流化にも成功しています。やはりエンジン(パワーユニット)の形や大きさはマシンコンセプトを決定したりシャシーを作り込む上で重要なファクターになるわけです。
image
目に見えていない点の大きな違いとしては、このマシンからウィリアムズもサスペンションの一部を除いて「カーボンファイバー製」で構成されるようになったこと。カーボンといえばアルミフレームに比べて丈夫で軽いことが特徴です。マクラーレンをはじめライバルはより前からカーボン素材をふんだんに使ったマシンを手掛けていましたが、ウィリアムズはこのFW10からの導入となりました。
サスペンションも一新され、フロントはプルロッドからプッシュロッドに変更。またリヤはライバルよりも早くトップロッカーアーム、ロワウィッシュボーンからなるサスペンションを導入しました。のちにプルロッドへの変更が施されてしまいますが、初登場からかなり「攻めの姿勢」でライバルに勝負を挑んでいきます。

image
カラーリングも特徴的ですね。この年から3年で11億円近いスポンサーマネーで日本を代表するカメラメーカー「キヤノン」が加わり、ウィリアムズの後押しをすることとなります。miyabikunも今年一眼レフカメラをキヤノンに切り替えて今シーズンの日本GPに乗り込む予定でしたが、残念ながらそれは実らず。もう一年練習に充てます(笑)上部は黄色、下部の白を分断するかのように、ノーズコーンから後方に向かって真っ直ぐ斜めにタスキがかる紺の帯は前衛的でカッコいいです。

image
《シャシー》
 全長: - mm
 全幅: - mm
 全高: - mm
 最低車体重量:540kg
 燃料タンク容量:199ℓ
 ブレーキキャリパー:AP
 ブレーキディスク・パッド:SEP
             (カーボン・インダストリー)
 サスペンション:フロント プッシュロッド
          リヤ    プルロッド(のちに採用)
 ホイール:フォンドメタル
 タイヤ:グッドイヤー

image
《エンジン》
 ホンダRA164E,RA165E
  V型6気筒・バンク角80度
  IHI製ツインターボ
 排気量:1,496cc(RA164E)
     1,498cc(RA165E)
 エンジン最高回転数: - rpm(非公開)
 最大馬力:669馬力以上(RA164E推定)
      881馬力以上(RA165E推定)
 スパークプラグ:NGK
 燃料・潤滑油:モービル

シーズン当初は前年に使用したRA164Eを搭載して挑むも、高回転時の異常燃焼(ノッキング)により、ピストンやシリンダーが変形を起こしてエンジンを壊すトラブルが続きます。ホンダはバイク発祥のメーカーということもあって、今までは「ショートストローク」により高回転を実現してきました。そこで第5戦カナダGPからピストンのボア(ピストンの内径)を8mm小径化させ、替わりにストローク(行程)を8mm長くさせたいわゆる「ロングストローク」化改良を行ったRA165Eを導入して対応することとしました。

image
《ドライバー》
 No.5 ナイジェル・マンセル(全戦)
 No.6 ケケ・ロズベルグ  (全戦)

80年台前半のウィリアムズといえば、82年シーズンにわずか1勝でチャンピオンとなったロズベルグが代表格ですね。チームメイトにはラフィに代わってロータスでならしたマンセルを起用。荒ぶるドライビングでインパクト抜群の「髭男爵」の2人がラウダとプロストを擁するマクラーレン崩しにかかります。

《戦績》
 71ポイント コンストラクター3位
 (1位4回、2位3回、3位1回、4位2回ほか)
 ポールポジション3回

1985年シーズンは全16戦で争われ、そのうちの1/4にあたる4勝を挙げるなど、前年の1勝からホンダはフル参戦2年目にしてなかなか飛躍しました。2人の内訳は先輩ロズベルグが2回の優勝と2位2回、3位1回の合計5回の表彰台。マンセルも優勝2回、2位1回の合計3回の表彰台を獲得するも、それ以上に連続リタイヤも多いという「白黒はっきりした」戦績となりました。

革新的なリヤサスペンションをもって臨んだ開幕戦ブラジルGPはロズベルグが2番手、マンセル5番手で予選を終え、決勝は両者リタイヤという幸先がよくない形となりました。
その後しばらく表彰台に手が届かない入賞止まりのマンセルに対して、ロズベルグは第3戦サンマリノGPまで3戦連続のリタイヤが続いて、チャンピオンのマクラーレンはおろかフェラーリやロータスにも遅れをとる暗雲が立ち込めます。
その状況を抜け出すべくホンダは先述の第5戦カナダGPより新スペックエンジンRA165Eを導入。一度トラブルにより周回遅れ手前の後方までロズベルグはかなり速いラップを重ねて猛追し、それをみたロータスのセナがホンダエンジンに憧れを抱いたというのは有名な話です。
image
6/23に行われた第6戦デトロイト市街地でのアメリカ東GPにおいて市街地レースを得意とするロズベルグがシーズン初優勝を挙げ、その4日後に息子のニコが誕生と、ようやくチームにもいい流れが舞い込みます。相方マンセルもシーズン後半戦に調子が上向きとなり、第13戦ベルギーGPで2位、そして続く第14戦の地元イギリスのブランズハッチでのヨーロッパGPでは当時最遅となる72戦目にして初優勝を挙げました。このレースから革新的なロッカーアームのリヤサスペンションをプルロッドに切り替えたことによりギヤボックスの小型化が図られ、エンジンカバーも低く改良されました。第15戦の南アフリカGPでマンセルが連勝、ロズベルグ2位のダブル表彰台を獲得。残念ながらコンストラクターズランキングはマクラーレン、フェラーリに及ばない3位で終わりましたが、チームにとっては前年の6位からの浮上のシーズンとなりました。

image
1980年にジョーンズとフォードエンジンでダブルチャンピオンを獲得。81年はドライバーズチャンピオンは逃したもののコンストラクターズチャンピオンを防衛。混戦の82年はロズベルグによるドライバーチャンピオンを獲得したことで一躍トップチームに仲間入りしたプライベーターのウィリアムズ。一時期はブラバムやフェラーリ、マクラーレンといった古豪にいなされつつも、新たにホンダエンジンとキヤノンというジャパンパワーを得て再びトップの座への返り咲きを図るといった時代もありました。近年のウィリアムズは往年の輝きは無く、チーム名こそ残ったものの残念ながら「ウィリアムズ家」はF1から身を引く形を採ることになりました。どこで判断を間違えたか、あの時か、それともこれかと色々憶測してしまうこともいくつかありますが、今シーズンはようやくテールエンダーから脱しつつあります。若手のドライバーも健闘していますから、長年のF1を支えてきたフランク・ウィリアムズ氏が存命の間に恩返ししてもらえたらいいなと願うばかりです。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

IMG_4382
決勝レースを大型ビジョンで見守るピレリのスタッフ。どこか気が気ではない様子です。このレースはピレリにまつわる出来事が盛り沢山でした。今回は7年前にあたる2013年第8戦に行われたイギリスGPです。実際も二連戦ならば、先日のオーストリアGPと同様に振り返り二連戦!

2013年シーズン振り返りは第3弾となります。この年はレッドブル&ベッテルの4連覇がかかっていました。ドイツの偉大な先輩、M・シューマッハの後任に相応しいかどうか、F1全体で見守られています。逆にレッドブル創成期から支えたベテランのウェバーはこの年限りでF1を離れる発表をしています。ポッと出の若いガキにたくさん振り回され、かつ成績の比較対象にされ、さすがに心底疲れてしまいましたよね。
IMG_4378
このイギリスGPを迎える前にFIA法廷である審判が下されました。GPの前に行われたタイヤテストでメルセデスが旧型マシンではなく「現行マシン」が使用されたためです。タイヤは今と同じピレリのワンメイク時代。現行マシンで行えば、タイヤのデータ取りで当然有利に働きます。
FullSizeRender
結果、メルセデスは後日行われる若手テストに参加できないという比較的軽微な罰で済みました。こういう類は大抵ロス・ブラウンが関わっているイメージです。巧いというか賢いというか、この方どこかコスいんだよなぁ。記者に紛れて密かにサインツがいる?!(笑)

予選はそのメルセデスがフロントロウを獲得。近年やりたい放題のベッテルの前を「グレーの壁」として立ちはだかります。この時代あたりからじわりじわりと頭角を示し始めていました。セカンドロウのレッドブルの後ろ、5番手タイムだったフォース・インディアのディ・レスタはマシンの最低重量違反を犯して最後尾(1位分繰り上がって21番手)に下がっています。

《予選結果》
 1 L・ハミルトン(メルセデス・M)
 2 N・ロズベルグ(メルセデス・M)
 3 S・ベッテル (レッドブル・R)
 ※タイヤはピレリのワンメイク

IMG_4381
ハミルトンは実にスムーズな加速をするも、 2番手ロズベルグが右に左にあたふたしている間にベッテルに先行を許してしまいます。父はチャンピオンになれたけど、このお坊っちゃまは速さはあれどこんな事ではチャンピオンに程遠いな。

母国でポールトゥウィンを狙うハミルトンは 2位のベッテルに2秒近い差を付けた後、何やら8周目のストレートでマシンをバタつかせ
IMG_4384
左リヤタイヤがバーストしています。ミディアムタイヤとはいえ、まだ始まったばかりで早くないか?!誰とも接触していないけど、何か踏んだのでしょうか。戦えるわけもなくピットでタイヤ交換しなければなりません。
IMG_4387
あーあ、ビロビロ。バーストしたタイヤって見てはいけないもののようなエグさがありますよね。
IMG_4388
それをピレリがいそいそと遺体回収、隠滅隠滅。
IMG_4389
2周後となる10周目に11位スタートから4位浮上のマッサがコースアウト。手前には黒いパーツがあるけどこれってもしや、、
IMG_4390
あ、またミディアムの左リヤだ。こちらもまだ浅い周でのバースト。これ何か怪しいぞ。

IMG_4391
14周目になかなかペースの上がらないロータスのグロージャンに対して、チームメイトのライコネンを先行させるよう指示が飛びます。
IMG_4393
素直に応じてライコネンが前に立つ瞬間、前方を走るトロ・ロッソのベルニュから破片が飛び散る。
IMG_4394
また左リヤ、それもベルニュはミディアムタイヤでなくハードタイヤでもこうなる。危うくロータス2台とも巻き添えを食らうところでした。完全に怪しい!マシンのせいでなくタイヤそのもののの構造上の欠陥であると誰もが疑います。
IMG_4397
ベルニュのばら撒いたデブリを回収するためにセーフティカーが発動し、トップを走るベッテルにも無線で「縁石の乗り方」について注意喚起されました。

FullSizeRender
セーフティカーが退去し、35周目を終え2回目のハードタイヤに切り替えてもトップを守るベッテルですが、レース終盤の41周目にタイヤでなくギヤボックスのトラブルによってスローダウン。
IMG_4410
コントロールライン付近にゆるゆるとマシンを止め、2度目のセーフティカー発動となります。

代わってトップに立ったスタートイマイチのロズベルグは念のため42周目にハードタイヤに三度交換
IMG_4412
その様子をしかと見守るロス・ブラウン。ロズベルグは大丈夫でしょう、ハミルトンは災難でしたが、お宅はしっかりテストしたはずだから(笑)
IMG_4413
2位に上がったウェバーも相方の分を取り返すべくフレッシュタイヤへ。今日だけ「エース」ドライバー。ピットに入らずステイして2位に浮上したライコネンは無線で心配そう。
IMG_4416
タイヤの扱いが優しいライコネンとはいえ、今回は懸念がありますからね。チームの回答は「分からないが、もうこのままいくしかない」

IMG_4417
レースが再開すると、予選9番手で忘れかけていたフェラーリのアロンソがマクラーレンのペレスを狙っています。
IMG_4418
背後につくと
IMG_4419
また左リヤタイヤがバースト。今日は「左リヤ祭り」慣れっこになってきました。ペレスはそのままピットに戻ってリ・タイヤ。

IMG_4420
一度順位を捨てて、安心タイヤで猛追するウェバーはやる気満々!
IMG_4423
古タイヤのライコネンを47周目に簡単にかわして2位へ。その後49周目にアロンソ、50周目には序盤でコケたハミルトンにまでかわされて、5位に陥落。
IMG_4424
IMG_4425
「だから言ったべ、あの時タイヤ交換だったんだ」

IMG_4432
《決勝結果》
 1 N・ロズベルグ(メルセデス・M)
 2 M・ウェバー (レッドブル・R)
 3 F・アロンソ (フェラーリ・F)

FullSizeRender
先日のイギリスGPはタイヤに翻弄されたレースとなりました。7年前のイギリスGPも実にタイヤに翻弄されたレースだったんです。先日振り返った「1987年イギリスGP」とこちらのどちらを先にやろうか悩んで時系列で並べてみたわけですが、こんな事ならこちらを先にやった方がおさまりがよかった気がしました。とはいえ、この前のレース前ではさすがに予想できなかったので仕方が無い結果ですが。ピレリにとってはまた課題が残る一戦となりました。
IMG_4435
スタートダサダサのロズベルグは棚ぼたの3勝目、2013年シーズン2勝目を挙げてヒーローに。勝ち癖をつけていきたいところ。ウェバーは伸び伸びと「定位置」の2位を獲得しています。
IMG_4434
表彰台下では嬉しそうに見守る夫人。それにしても何でロズベルグはこの、、、いや、さすがに毎回イジるのは失礼だ、止めておこう(笑)

にほんブログ村 車ブログ F1へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

今回の過去のレースは1985年にポール・リカールで行われた第7戦フランスGPです。85年は先日の第15戦南アフリカGPに続く2回目となります。今でこそ名物の「ミストラルストレート」中腹で左に折れるシケインが設けられていますが、この年まではまだそれが無く、2.5kmに及ぶF1屈指の超ロングストレートが存在しました。
このシーズンこれまでの6戦は前年僅差でチャンピオンを獲得したマクラーレンのラウダがリタイヤ続きの絶不調。代わってリードしたのはチームメイトのプロストで開幕戦ブラジルGPと第4戦モナコGPを制して唯一の2勝を挙げています。前年84年は際どく競り負けてしまいましたよね。リベンジに注力しています。また、若手の期待、ロータスのセナは第2戦ポルトガルGPで初優勝を果たし、そのチームメイトのであるデ・アンジェリスは第3戦サンマリノGPで1勝、フェラーリのエースのアルボレートが第5戦カナダGPで1勝となかなかの混戦模様。

IMG_3643
近年のフランスGPを滅法得意としていたルノーの予選は低迷し、ホンダエンジンを搭載したウィリアムズで8番手となったマンセルはクラッシュによる体調不良を訴えて決勝を欠場することになりました。それならばもう一人が頑張るしかない。
IMG_3645
ポールポジションはカーナンバー6のロズベルグ。一応チャンピオン経験者です。フロントロウには伸び盛りのセナ。ベテランに混ざって一人前の面持ち。レースには関係ありませんが、黄色いドリンクが懐かしい。レース後のインタビューとかでピッチャーに入ったこんなドリンクをみんな飲んでいましたよね。ドリンクの入っている容器はペットボトルでしょうか。こんな時代からあったんでしたっけ?!
IMG_3646

《予選結果》
 1 K・ロズベルグ (ウィリアムズ・H・GY)
 2 A・セナ    (ロータス・R・GY)
 3 M・アルボレート(フェラーリ・F・GY)
 ※GYはグッドイヤー

IMG_3648
決勝レーススタート!シーニュ先からミストラルストレートエンドをみると、今ある「縞々」はありません。絶対こっちの方がいいと思うんだけどー。
IMG_3649
南仏のポール・リカールは今までは地元のルノーをはじめ、ターボエンジン勢が有利とされてきました。気温も路面温度も高めで、追い討ちをかけるべく存在する長大なストレートによりマシンへの過酷さが増します。まずは地元リジェのラフィは2周足らずでターボが火を吹く。
IMG_3650
5周目のアルボレートはミストラルストレートエンドでジ・エンド。こちらもターボ起因。

IMG_3651
気持ちよく逃げるロズベルグの後ろ、2位争いをしているのは黒いセナと白いピケ。ブラジリアン対決です。セナはギヤに不調が出てペースダウンし始めました。ブラバムお得意の「軽タンク猛追作戦」でセナをかわしていきます。ピケの持ち味は決勝での巻き返し。
IMG_3652
その勢いでじりじりとトップのロズベルグを狙います。グッドイヤーを履くロズベルグよりも、ピレリを履くブラバムは暑さに強い。
IMG_3656
シーニュでテールトゥノーズにつけ、インから綺麗なライン採りでさばいて、ピケが前に。

IMG_3657
IMG_3658
ロズベルグはセナが緊急ピットインを行う間に順位を上げたマクラーレンにあおられ始めました。マクラーレンもウィリアムズと同じグッドイヤーを履いています。危うし!
IMG_3659
レースちょうど半分の26周目。遅れを取り戻したいセナですが、シーニュの進入でバランスを崩す。
IMG_3660
こちらもエンジン?!リヤエンドが光って見える。
IMG_3661
遠心力のなすがまま、
IMG_3663
キャッチフェンスに捕まって、若き勢いは土煙に散る。

IMG_3664
終盤にピケのピレリも限界か、リヤを滑らせドリフトしています。でも何とか持ち堪え、シーズン初勝利へ。

IMG_3667

《決勝結果》
 1 N・ピケ   (ブラバム・B・PI)
 2 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・H・GY)
 3 A・プロスト (マクラーレン・TP・GY)
 ※BはBMW、TPはタグポルシェ、PIはピレリ

予選はそこそこに、決勝でとにかく勝てばいい。逃げ切りレースでない昔の猛者はこのようにしてシーズンを制してきました。ピケらしいレース運びでした。
IMG_3668
近年も「誰か」していて物議になったこの頭を指差す仕草。今回のピケは違います。ピレリのおかげ。

翌年86年のフランスGPは同じくポール・リカールで行われますが、GP前の合同テストでブラバムに移籍したデ・アンジェリスがクラッシュ時に火に巻かれて死亡したことにより、急遽3.813kmのショートレイアウトに変更されています。


にほんブログ村 車ブログ F1へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ