F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:メキシコGP

メキシコでのF1の歴史は古く、初開催の1963年(ノンチャンピオンシップを含めると前年62年)から一貫してメキシコシティにあるエルマノス・ロドリゲス(開業当時はマグダレーナ・ミシウカ)で行われていますが、途中に2回の非開催期間があるため、今シーズンはまだ23回目とさほど多くありません。今回はメキシコGP第二期、開催10回目で、現役母国ドライバーであるペレスの生まれる3年前にあたる1987年第14戦に行われたメキシコGPを振り返ります。1987年レースは全16戦中4戦目、メキシコGPの振り返りは今回5回目になるのですが、ことにメキシコGPにおいては段々在庫ネタが品薄になってきました(笑)仕方無い、だって1990年代後半から2010年代前半がスカーンとありませんものね。

1987年は日本において「F1本格元年」フジテレビによるF1中継放映や日本初のフル参戦ドライバーである中嶋悟誕生の年です。またシーズンが進行すると、ホンダエンジンを搭載するウィリアムズが勝ちに勝ちまくり、2年連続となるチャンピオンコンストラクターのエンジンサプライヤーとして名を轟かせています。
シーズン13戦までの戦績は、3勝ながら第4戦モナコGPから第12戦ポルトガルGPまで9戦連続の表彰台に登壇するウィリアムズのピケが有効67ポイントでトップ(前戦第13戦スペインGPは4位も、下位ポイントのためノーカウント)。2位はピケのチームメイトであり、初戴冠のチャンスを残すマンセルが5勝を挙げて52ポイント。3位はロータス・ホンダ期待のセナが2勝51ポイントでチャンピオン争いに望みを繋いでいます。ほか、前年86年のチャンピオンでマクラーレンのプロストは3勝の46ポイント、セナのチームメイトとしてロータスから参戦する日本の中嶋は6ポイントでメキシコ入りしています。

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予選はここまで14戦で12回目となるウィリアムズ、マンセルが8回目となるポールポジションを獲得し、自らの手で初戴冠をより近付けていきます。2番手はフェラーリの若手ベルガーがピケを0.037秒という僅差で上回る。ポールのマンセルと3番手ピケの差はわずか0.080秒。そのピケと4番手となったベネトンのブーツェンとの差は0.308秒も開いており、如何にウィリアムズがライバルを圧倒していたかということがわかります。気圧の低いメキシコ、ホンダターボのパワフルさ。中嶋は予選通過26台中、真ん中より少し下まあ16番手となっています(まあは息子の口癖か)

《予選結果》
P.P.N・マンセル(ウィリアムズ・ホンダ)
 2 G・ベルガー(フェラーリ)
 3 N・ピケ  (ウィリアムズ・ホンダ)
 ※タイヤはグッドイヤーのワンメイク

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スタートはポールのマンセルがモタつき、2番手ベルガーに先行を許してしまいます。またマンセルの後ろピケはスタートが冴え渡るも、4番スタートのブーツェンに抜かれて結局3位のまま。以降プロスト、マンセル、セナのオーダー。
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1周目に4位浮上のプロストがピケに仕掛ける。
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インをついたプロストがピケを押し出し、
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プロストはストップ、0周リタイヤ。
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ピケはコースマーシャルに押してもらって最後尾の戦列復帰。これがチャンピオン経験者同士のバトルというのが何とも情けない。

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2周目のストレートエンドの中嶋
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うわっ!!
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目の前で何かにぶつかりフロントタイヤがもげる。
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ぶつかったのはアロウズのワーウィックでした。ワーウィックはリヤウィングを完全に失い、そのままピットへ。ただ驚くことに、この後マシンを直して再びトラックインしてきます。今のF1には無い力強さ。
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決して笑い事では無いのですが、どこか速そうにも見える。

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最強ウィリアムズが消えれば、この上無きチャンス!3周目にブーツェンがベルガーに襲い掛かります。
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しかしチャンスはベルガーにとっても言えること。切り替えしでトップを取り戻す。
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上位を快走していたブーツェンは16周目に電気系のトラブルによりリタイヤ。
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これで戦いが楽になったベルガーでしたが、
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21周目にエンジンが根を上げる。高地メキシコはいつもとは異なる状況下。
次々と襲う悲劇で、次なるトップは誰かというと、、
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何と忘れた頃のマンセル登場!そういやポールシッターでしたね(笑)お帰りなさい!

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2位となったセナにブラバムのデ・チェザリスが追い抜きをかける。
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あらららら、、
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セナは全く触れていません。デ・チェザリスの自爆、落ち着きのない子です(笑)

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26周目にリヤウィングを直して復帰したワーウィックですが、マシンバランスが狂ったのか、コーナーエンドで膨らみ
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タイヤバリアに思い切りクラッシュ!
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ワーウィックの救護とタイヤバリア修復のため、レースが一時中断、スタンディングスタートを行い「タイム合算による2ヒート制」で争われることとなります(現代の赤旗中断、再スタートと異なります)現代はレーススチュワードとして辛辣な裁定を下すことで有名なワーウィック、このレースもある意味目立っています。

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再スタートで前を奪ったのは、1周目に最後尾に落ちたはずのピケ。ここまでジリジリと順位を上げ、上位まで戻ってきていました。
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ピケはアウトサイドからマンセルを抜きトップへ。ただし勝敗はタイム合算で決められるため、ヒート1で大差を築いたマンセルには43秒もの貯金があります。無理はせず。

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3位のセナはスピンからエンジンストップ。先程のピケのようにはいかず。
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代わって3位に浮上したのは元ピケの相方、将来はマンセルの相方にもなるブラバムのパトレーゼでした。

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見かけのトップはピケ。
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でも実際の優勝者はマンセル。ややこしや。。
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いずれにしても、ウィリアムズ。強し。

《決勝結果》
 1 N・マンセル (ウィリアムズ・ホンダ)
 2 N・ピケ   (ウィリアムズ・ホンダ)
 3 R・パトレーゼ(ブラバム・BMW)

マンセルは14戦で6勝、9ポイント得て61ポイント。ピケは3勝ながら6ポイントを得て73ポイントとしてあと2戦。残るは鈴鹿初開催となる第15戦日本GPと最終戦オーストラリアGP。ウィリアムズによるチーム内チャンピオン争奪戦は佳境を迎えます。

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日本でのメキシコGP予選の放映は朝の5時、決勝も5時。いよいよ日本との最大時差GPがやってきました。今後控えるブラジルのサンパウロGPも大型時差にはなりますが、今回以上の差にはなりません。ここを乗り切れば容易いもの(笑)
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《メキシコシティGPの基本情報》
 エルマノス・ロドリゲスサーキット
  全長   :4.304km×71周=計305.584km
  開催回数 :22回目
  コーナー数:17箇所
  高低差       :2.8m
  DRS区間数:3箇所
  母国GP      :ペレス

《メキシコシティGPの個人的印象》
 ・ペレス様々!歓声の大きさが半端じゃない!
 ・起伏はないが実は世界一の高標高サーキット
 ・空気が薄く、パワーもダウンフォースも減
 ・目がいく直線よりテクニカルな区間が重要

世界一高標高クローズドサーキットのメキシコシティGPです。昔々はターボ車に有利とかマシンの差が顕著に表れるGPとして有名でしたが、今は全車ターボ車ですし、パワーユニットメーカーも4社に揃えられていますから、あとはどの程度マイレージを重ねてくたびれているか、またエアロダイナミクスが低気圧でも効率的に機能してくれるかによります。今回も間違い無く多いであろう覆面マスクのペレス祭り。これまで圧倒的な強さで勝利してきたレッドブルに寄せられる期待は大きいはずです。

《過去5回のポールポジション》
 2021年 ボッタス(メルセデス)
    1分15秒875
 2019年 ルクレール(フェラーリ)
    1分15秒024
 2018年 リカルド (レッドブル)
    1分14秒759
 2017年 ベッテル (フェラーリ)
    1分16秒488
 2016年 ハミルトン(メルセデス)
    1分18秒704

《ポールポジションレコードタイム》
 2018年 リカルド(レッドブル)
    1分14秒759(一周4.304km)

《現役ポールポジション獲得者と回数》
(★はその年のチャンピオン)
 1回 ハミルトン(2016)
   ベッテル   (2017)
   リカルド (2018)
   ルクレール(2019)
   ボッタス (2021)

昨年はメルセデス時代のボッタスがポールポジションを獲得して、現役は仲良く5人が1回ずつで並んでいます。この中で2回目に一番近いのはフェラーリのルクレールになるかと思いますが、F1屈指のロングストレートを有するココとなれば、新チャンピオンチームもおそらく台頭してくるはず。ペレスが獲得するなんてことがあれば、暴動みたいなのが起きたりして。。

《過去5回の優勝者》
 2021年 フェルスタッペン(レッドブル)
 2019年 ハミルトン   (メルセデス)
 2018年 フェルスタッペン(レッドブル)
 2017年 フェルスタッペン(レッドブル)
 2016年 ハミルトン   (メルセデス)

《現役歴代優勝者 回数》
 3回 フェルスタッペン(2017,18,21★)
 2回 ハミルトン   (2016,19★)

優勝者はこれまで何故かメキシコ大得意なフェルスタッペンが最多となる3勝を挙げています。こうなっちゃうとね、ペレス氏のペレス祭りはゲンナリしてしまう。シーズン最多勝も素晴らしいことではあるが、もう獲るものは獲ったんだし、ここはチームメイトに花道を歩かせてみてはいかがだろうか。

《過去5回のファステストラップ獲得者》
 2021年 ボッタス (メルセデス)
 2019年 ルクレール(フェラーリ)
 2018年 ボッタス (メルセデス)
 2017年 ベッテル (フェラーリ)
 2016年 リカルド (レッドブル)

《現役ファステストラップ獲得者 回数》
 2回 ボッタス (2018,21)
 1回 リカルド (2016)
   ベッテル (2017)
   ルクレール(2019)

昨年は優勝こそ逃しましたが、ポールポジションとファステストラップはボッタスが獲りました。ちなみにボッタスのファステストラップは現時点でココが最終となっています。アルファロメオてももちろん頑張ってはいるのですが、いかんせんメルセデス時代の時のようにはマシンが手取り足取り速さをみせてくれるわけではありません。ただ現役である以上、今後全く獲れないと決まったわけでもありません。下からはすごい勢いアストンマーティンが追い上げていますから、狙っていきたいですね。

《使用されるタイヤコンパウンド》
 赤:ソフト  (C4)
 黄:ミディアム(C3)
 白:ハード  (C2)

今回のフリー走行もアメリカGPに続いて来シーズン向けタイヤテストが行われました。今シーズンはまだ3レース行なわれますが、少しずつ来シーズンに向けた動きも始まっています。

《メキシコGPの個人的予選予想》
 〜Q1~
   20.ラティフィ   (ウィリアムズ)
   19.アルボン    (ウィリアムズ)
   18.周冠宇     (アルファロメオ)
   17.マグヌッセン  (ハース)
   16.シューマッハ  (ハース)
 〜Q2〜
   15.リカルド    (マクラーレン)
   14.角田裕毅    (アルファタウリ)
   13.ストロール   (アストンマーティン)
   12.オコン     (アルピーヌ)
   11.ボッタス    (アルファロメオ)
 〜Q3〜
   10.ガスリー    (アルファタウリ)
  9.ベッテル    (アストンマーティン)
  8.ノリス     (マクラーレン)
  7.アロンソ    (アルピーヌ)
  6.ラッセル    (メルセデス)
  5.ハミルトン   (メルセデス)
  4.ペレス     (レッドブル)
  3.フェルスタッペン(レッドブル)
  2.サインツ    (フェラーリ)
 P.P.ルクレール   (フェラーリ)

ロングストレートはあるものの、セクター半ばや後半はクネクネ中低速が続きます。パワーで一歩勝るRBPT(ホンダ)もクネクネでフェラーリに分があるか。いつもながらレッドブル勢は決勝で如何様にもなるためチャンピオンの貫禄で焦らず。上位8人くらいは日本GPから大きく違えていません。
中団は最近上り調子のアストンマーティンを上げています。ベッテルはQ3進出、ストロールもQ2の13番手としましたが、前回アメリカGPの借金を精算しなければなりません。角田くんはひとまずQ1突破の14番手と置き、決勝スタートでのジャンプアップに期待したいですね!
シューマッハよ、マグヌッセンには負けるなよ。後がないぞ。


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アメリカと同様に日本からみれば「早朝開催」のメキシコです。舞台は変わらずエルマノス・ロドリゲスで行われますが、GP名は今回から「メキシコシティGP」に変わります。特異な標高と日本との時間帯は相変わらずです。歴代優勝者の予選順位をみていきましょう。

メキシコGPはF1創成期にあたる60年代に8回、世界的に認知と人気の高まった80年代に7回、そして2015年から現代まで5回の計20回開催されています。行われたり行われなかったり極端なメキシコGPも近い将来また開催されなくなるのではないかという噂もちらほら耳にしますが、現在はペレスの活躍もあり、GPウィークは大盛り上がりですね。
まずメキシコGPの歴史を簡単におさらいしておくと、初開催は1963年とかなり昔になります。サーキット自体は前年の62年に完成し、読み方にいささか自信はありませんが当時は「マグダレーナ・ミシウカ」という名のサーキットとして、F1のノンタイトル戦が行われています。そのレースで奇しくも地元の若手ドライバーであるリカルド・ロドリゲスが事故死したことがきっかけで、サーキット名を「リカルド・ロドリゲス」に改称、70年シーズンまで使用されました。メキシコGPが無くなった71年に今度はリカルドの兄ペドロもドイツのスポーツカーレースで事故死したため、その兄弟の功績を讃え「エルマノス・ロドリゲス」(ロドリゲス兄弟)とさらに改称して現在に至ります。
このサーキットの特徴といえば、他に類をみない2,285mという高い標高下にあること。マラソンで「高地トレーニング」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、F1マシンも「息を吸って力を生み出す機械」ですから、マシンの心臓、つまりエンジン(パワーユニット)にとって負荷のかかるサーキットです。また空気が薄いということは、空気抵抗も小さくなりますから、普段のサーキットのようなドラッグ、ダウンフォースを得にくくなります。DRSの効果も通常より小さくなります。
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サーキットは2回ほど改良を経て現在に至ります(水色→赤→黒の順)多くはコントロールラインから最も遠いセクター2の改良であり、ピストルのような、手羽先のような形の基本レイアウトは変わりません。こじんまりとした敷地の中、長いストレートに目が行きがちですが、それよりも中盤以降のコーナーをいかに速く走れるかがポイントです。また名物コーナーとして終盤にあったバンク付き小半径の180°右コーナー「ペダルターダ」は無くなり、こちらも特徴的なスタジアムの観客席の中を通過するセクションに変更となりました。今は「ナイジェル・マンセル」という名が付けられています。第二期メキシコGPの最終覇者であり、その年のチャンピオンですね。
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《エルマノス・ロドリゲスの歴代優勝者の予選順位》
 63 クラーク ★        予選P.P.→優勝
 64 ガーニー       予選2番手→優勝
 65 ギンサー       予選3番手→優勝
 66 サーティース     予選P.P.→優勝
 67 クラーク          予選P.P.→優勝
 68 G・ヒル ★      予選3番手→優勝
 69 ハルム        予選4番手→優勝
 70 イクス        予選3番手→優勝

 86 ベルガー       予選4番手→優勝
 87 マンセル       予選P.P.→優勝
 88 プロスト       予選2番手→優勝
 89 セナ         予選P.P.→優勝
 90 プロスト       予選13番手→優勝
 91 パトレーゼ      予選P.P.→優勝
 92 マンセル ★       予選P.P.→優勝

 15 N・ロズベルグ    予選P.P.→優勝
 16 ハミルトン        予選P.P.→優勝
 17 M・フェルスタッペン 予選P.P.→優勝
 18 M・フェルスタッペン 予選2番手→優勝
 19 ハミルトン ★      予選4番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

3つの時期がはっきり分かれた戦績一覧です。当然ながら空白期間も長いため、それらの期をまたいでドライブした者はいませんし、マシンレギュレーションも全く異なります。ひとまず全20回全ての順位をまとめてみます。
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 予選P.P.   →優勝:10回 50.0%
 予選2番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選3番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選4番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選13番手→優勝:  1回    5.0%

優勝は5つの予選順位から生まれ、ポールトゥウィンを筆頭に順位が下がるとその優勝回数も減っています。ポール、2番手、3番手、4番手までは妥当に続くのは他とも変わりなくいつも通りですが、飛んで予選13番手からの優勝も一度だけありました。90年のフェラーリ時代のプロストによるものです。せっかく3つのグループに分かれているし、マシンもドライバーも異なりますから、細分化したらもう少し時代ごとの特徴がみられるかもしれません。

〈第一期 1963〜70年〉
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 予選P.P.   →優勝:3回 37.5%
 予選2番手  →優勝:1回 12.5%
 予選3番手  →優勝:3回 37.5%
 予選4番手  →優勝:1回 12.5%

こちらが第一期メキシコGPの8年間の優勝者の予選順位になります。時代はちょうどJ・ブラバムやクラーク、G・ヒルといった強豪がひしめき合い、マシンは葉巻型のシンプルなフォルムから少しずつ「ダウンフォース」という思想が生まれ、ウィングが前後に取り付けられた頃です。その中でも65年に3番手から優勝を挙げたギンサーは「F1でのホンダ初優勝」でもあります。
母数が少ないのでグラフにしても面白みがありませんが、ポールポジションと3番手が3回の同数で、2番手と4番手が1回ずつとなっています。この時代のメキシコGPは横一列二台の配置による決勝スタートが採用されてはいたものの、現在のような「縦に綺麗に二列」の配置ではなく、千鳥配置を採っていました。

〈第二期 1986〜92年〉
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 予選P.P.   →優勝:4回 57.1%
 予選2番手  →優勝:1回 14.3%
 予選4番手  →優勝:1回 14.3%
 予選13番手→優勝:1回 14.3%

ターボによるパワフルF1から、大排気量のNAかつハイテクF1に移行する時代の7年間の戦績です。円グラフの色分けは統一にしていますので、予選3番手をなすグレーに変わって、異端児である濃い青の予選13番手が加わっています。
プロストの13番手はレアケースということで除外しても、ポールポジションからの優勝に優位性が表れています。

〈第三期 2015〜19年〉
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 予選P.P.   →優勝:3回 60.0%
 予選2番手  →優勝:1回 20.0%
 予選4番手  →優勝:1回 20.0%

最後は最近のメルセデス天下、いや現代のパワーユニットで行われる5回の戦績になります。チャンピオンこそ5回全てでメルセデスが獲りましたが、17年と18年の2回はレッドブルのフェルスタッペンが獲っているんですよね。あと1回フェルスタッペンが獲れれば、地元のペレスを差し置いて「メキシコマイスター」になりますし、勝率もメルセデスと五分五分に並びます。
割合はやっぱりポールトゥウィンが最多。さらにはこの時代もなぜだか3番手からの優勝がありません。この5年間の「3番手スタート」がどうだったかを見返すと、15年のベッテルはリタイヤ、16年のフェルスタッペンはタイムペナルティを食らって4位フィニッシュ、17年のハミルトンは9位フィニッシュ、18年もハミルトンで4位フィニッシュ、最終19年のベッテルが何とか一つ順位を上げた2位表彰台と、若干呪われている感がありますね。


時代ごとに分けても明確な理由や根拠はありませんでしたが、エルマノス・ロドリゲスにおいても「ポールスタートが絶対有利」であることと「3番手は呪われがち」ということだけはわかりました(笑)
最後はいつものように下位スタートからの優勝例を簡単に振り返っておきましょう。振り返るのは一択しかありません。90年のレースです。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 90 プロスト 予選13番手→優勝

このレースも2年前にあたる19/10/25に「過去のレースを振り返る」で扱っていますので、細かくはそちらをご覧下さい。
シーズン前半の第6戦に設定されたメキシコGPは雨季に入り、ただでさえバンピーな路面がいつも以上に難しい状況で迎えました。予選はマクラーレン・ホンダのベルガーがポールポジションを獲得。2番手はウィリアムズのパトレーゼ、3番手はマクラーレンのセナが続き、フェラーリ勢はマンセルが4番手、プロストは13番手に沈んでいます。IMG_2617
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決勝のスタートは2番手のパトレーゼの蹴り出しがよく、ポールのベルガーをパス。マクラーレン2台が追う形に変わります。
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2周目にベルガーに代わって2位に浮上したセナがパトレーゼをかわし、後続を少しずつ引き離しにかかりました。ところがタイヤチョイスに失敗したパトレーゼは後方から束になって猛追するフェラーリにやられ、少しずつフェラーリの順位が浮上し始めます。
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最大で18秒のリードを築いたセナもタイヤフィーリングに不安感を持ち、タイヤ交換を要求しますが、チームからはステイアウトを指示。
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いよいよセナにフェラーリ2台が襲いかかります。IMG_2623
フェラーリ2台にかわされたセナはレース残り6周でタイヤバーストし、ピットに戻るもセナはレースに戻らず。
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予選で失敗しつつも、決勝では正しいタイヤチョイスをし、決勝は無理なく順位を上げたプロストが頭脳勝ちしています。

今シーズンも終盤に入り、ドライバーズ、コンストラクターズの両チャンピオン争いが激化してきました。地元の英雄ペレスも今シーズンからは「勝てるマシン」で凱旋を迎えます。仮にペレスが予選、決勝とも好調でも、優勝は譲る形になるのかな。ペレスも地元で勝ちたいだろうな。

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まだスペインには行きません!引き続きメキシコの話題です。これを読んだら急いで大西洋を渡ってスペインに向かいましょうね。
今回は1986年の第15戦に行われたメキシコGPを振り返ります。1970年から16年振りにメキシコGPが復活しました。86年シーズンは先日のハンガリーGPに続く2回目となります。今年の目標としてきた80年代の振り返りも徐々に増えてきましたね。この調子で最新のレースに併せ、少しずつ過去も遡れたらいいなと思っています。全16戦のうちの第15戦ともなると、チャンピオン争いも佳境を迎えます。マンセルが5勝、ピケが4勝を挙げ、合わせてウィリアムズ9勝。前年85年のチャンピオンであるマクラーレンのプロストが3勝、そしてロータスのセナが2勝で迎えています。シーズン前半はプロストが防衛に向けて着実に上位フィニッシュを重ねるものの、後半に入るとマンセルやピケが連勝を含む3勝を挙げて巻き返しを図っています。
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予選はセナ、ピケ、マンセルに続いて、トールマンを買収して誕生したベネトンの若手ベルガーが4番手を獲得。四天王の一角を崩すことに成功しています。一方チャンピオンのプロストはブラバムのパトレーゼを挟んだ6番手に沈みました。IMG_4658

《予選結果》
 1 A・セナ  (ロータス・R・GY)
 2 N・ピケ  (ウィリアムズ・H・GY)
 3 N・マンセル(ウィリアムズ・H・GY)
 ※GYはグッドイヤー

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画像中段左、イン側スタート3番手のマンセルに注目下さい。IMG_4660
皆が一斉にスタートする中、ほとんど動いていませんね。1速ギヤに入れ損なって、スタート大失敗!まだチャンピオン争いの最中ですから、これは手痛い出遅れです。マンセルは大事な時にこういうポカがままありました。
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ポールから逃げを図るセナをピケが捉え、その後ろではプロストがベルガーをかわして順位が入れ替わります。

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3位に浮上したプロストをはじめ
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トップのピケ
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2位セナとタイヤ交換を行いにピットに向かいます。これら上位を走行するのは皆グッドイヤータイヤを履くドライバーです。そんな中、ピレリタイヤを履き予選で健闘したベルガーは
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ピットイン無し。このレースはタイヤ交換無しで挑む所存です。トップに浮上します。

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猛追するセナは2度目のピットインでまたベルガーが遠退いていく。ベルガーはステイアウト。逃げろベルガー!
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スタートでチョンボしたマンセルはどうにか4位に甘んじるピケの背後まで盛り返してきました。スタートでしくじらなければ、きっとピケの前も夢ではなかったろうに、もったいない。この日のウィリアムズはちょっぴり不甲斐無い。

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ベルガーは本当にタイヤ交換無しで走り切り、2位プロストに25秒もの差をつけて記念すべき初優勝!

《決勝結果》
 1 G・ベルガー(ベネトン・B・PI)
 2 A・プロスト(マクラーレン・TP・GY)
 3 A・セナ  (ロータス・R・GY)
 ※BはBMW、TPはタグポルシェ、PIはピレリ

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まずはプロストにかけかけ
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続いてセナにかけかけ。嬉しそう。今ではあり得ませんが、マシンの左側はハード、右側にソフトタイヤを履きタイヤ無交換戦略を成功させたベルガー。ピレリタイヤが右回り(時計回り)のメキシコのダスティな路面にマッチしていました。ピレリタイヤ様々です。IMG_4677
F1参戦3年目、35戦目の27歳。自身としてもチームとしても初優勝を挙げ、今後期待のドライバーの堂々仲間入りです。

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前回はイギリスなのに「アメリカのサーキットのポールポジションタイム」を取り扱いました。今回はスペインなのに「メキシコのサーキット」を取り扱うことにします。理由は2つ。カタロニアサーキットは当初予定された5月初旬に行ってしまったため。そしてメキシコGPも今シーズンの開催を取り止めており、差し込むタイミングが無くなったためです。
梅雨が明け、昨日あたりから全国的に高温注意報発令が相次ぐほど暑い夏本番を迎えました。せっかくの夏休み、お盆休みの時期なのに今年は「Go To」いや「Stay Home」どっち?!とにかく例年とは様子が違いますもんね。朦朧としそうな暑さだけど、しっかり水分を摂りつつスペインGPまでしばしの暇つぶしになればと思います。
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《エルマノス・ロドリゲスの基本情報》
    全長   :5.000km(1963〜70)
       4.421km(1986〜92)
       4.304km(2015〜)
 コーナー数:17箇所(2015〜)
   開催回数  :20回

F1メキシコGPの舞台はエルマノス・ロドリゲスサーキットです。当初1962年は「マグダレーナ・ミシウカ」という名で開業したものの、地元のリカルド・ロドリゲス(弟)が事故死したことで改称。その後、F1でも活躍したペドロ・ロドリゲス(兄)も71年に事故死し、その兄弟の活躍を讃えて「エルマノス(兄弟)・ロドリゲス」と名付けられて現在に至ります。
サーキットそのものは高低差2.8mと平坦そのものですが、ご存知の通りF1のみならず世界に点在するクローズドサーキットにおいて最高標高にあたる2,285mに所在するサーキットのため、気圧が低くエンジン出力が低下してしまいます。ゆえに「エンジンに対してとても厳しい環境下にある」ことで有名です。

開催は3つの時期に分かれ、かつサーキットのレイアウトもその都度変更されてきました。image
 ・1963〜70年 5.000km 青色(オリジナル)
 ・1986〜92年 4.421km 赤色(ヘヤピン短縮)
 ・2015〜現在  4.304km 黒色(インフィールド)

サーキット全長は4km台前半と比較的短めです。オリジナルレイアウトは5kmちょうどということで「本当に?!」と疑いたくもなりますが、実測できないためmiyabikun数字を信じることにします(笑)まずサーキット中間のヘヤピンを短縮、続いて近年ヘルマン・ティルケの監修により野球場の外周を回る最終セクターを改良する形で徐々に全長が短くなっています。このサーキットの名物であったバンクの付いた180°ターンの「ペラルターダ」は数々の事故が起き、改良を前にティルケ自身もどうにか残したい意向もあったようですが、ランオフエリアを設けることが出来ない理由で廃止されました。野球場のスタンドを貫通しているため、あの独特な観客席が誕生したわけです。

《エルマノス・ロドリゲスの予選P.P.タイム変遷》
 63 5.000km 1分58秒880 クラーク
 64 5.000km 1分57秒240 クラーク
 65 5.000km 1分56秒170 クラーク
 66 5.000km 1分53秒180 サーティース
 67 5.000km 1分47秒560 クラーク
 68 5.000km 1分45秒220 シフェール
 69 5.000km 1分42秒900 Jブラバム
 70 5.000km 1分41秒860 レガッツォーニ

 86 4.421km 1分16秒990 セナ
 87 4.421km 1分18秒383 マンセル
 88 4.421km 1分17秒468 セナ
 89 4.421km 1分17秒876 セナ
 90 4.421km 1分17秒227 ベルガー
 91 4.421km 1分16秒696 パトレーゼ
 92 4.421km 1分16秒346 マンセル

 15 4.304km 1分19秒480 Nロズベルグ
 16 4.304km 1分18秒704 ハミルトン
 17 4.304km 1分16秒488 ベッテル
 18 4.304km 1分14秒759 リカルド
 19 4.304km 1分15秒024 ルクレール

3つの開催期間は大きな空白期間を伴うため、ドライバーやマシンレギュレーションも様変わりしています。62年のノンタイトル戦を除外し、翌年63以降のタイトル戦から比較することとしました。空白期間含めそのまま素直にグラフで表現すると、こんな見栄えになります。IMG_4633
第1期と第2期で15年間、第2期と現在の第3期で22年間の空白期間があるため全く繋がりませんね。このグラフからわかることとしては「段階的に全長が短くなれど、第2期と第3期でラップタイムに差があまりない」というところでしょうか。第1期についてmiyabikunはリアルタイムで観た時代ではないため、恥ずかしながら細かな出来事やマシンの違いを語れません。よって「大きなタイム差がみられない」第2期と第3期を抜き出して、拡大表示してみたいと思います。IMG_4631
第2期は「パワフルドッカンなターボ時代から完全NAエンジン縛りの時代」にあたり、第3期は現パワーユニットである「ハイブリッドターボ時代」となります。高地サーキットで空気が薄いならば、タービンで過給した方が有利なのでは、と思いきや、オールNAエンジン化された89年以降もタイム的な比較となるとほぼ差がありません。むしろ89年を境にガチガチのハイテクマシン化された92年まで順調にタイムを減少させ、第2期初年の86年を凌駕しています。エルマノス・ロドリゲスは長い直線に目が行きがちですが、実は直線が長くても低気圧かつダウンフォースも低下するため、直線速度向上より「後半のコーナー区間」で稼いだ方がゲインが大きくなります。よって、最適なコーナリングが可能となった第2期晩年の方がこのサーキットにおいては有利と出ます。
ドライバーもマシンも全く繋がらない第3期はいつもながら初年(今回は2015年)から時間経過と共に急激にラップタイムが減少。最速は昨年ではなく一昨年に当時レッドブルだったリカルドが記録した1分14秒759となっています。ちなみにこれが「現時点での」リカルドの最終ポールポジションです。今シーズンはメキシコGP自体中止されましたのでルノーでの更新は無くなりましたが、来シーズンはマクラーレン・メルセデスで挑む(予定)です。またチャンスが到来することとなるでしょうか。この第3期において17年レギュレーションである「タイヤのワイド化」を経てタイム大幅短縮されたことからも、後半セクションのグリップ向上がカギとなっていることが想像できますね。
IMG_5246

《エルマノス・ロドリゲスの予選P.P.平均速度変遷》
 63 5.000km 151.5km/h 100%    クラーク
 64 5.000km 153.5km/h 101.3% クラーク
 65 5.000km 154.9km/h 102.2% クラーク
 66 5.000km 159.0km/h 105.0% サーティース
 67 5.000km 167.3km/h 110.4% クラーク
 68 5.000km 171.1km/h 112.9% シフェール
 69 5.000km 174.9km/h 115.4% Jブラバム
 70 5.000km 176.7km/h 116.6% レガッツォーニ

 86 4.421km 206.7km/h 136.4% セナ
 87 4.421km 203.0km/h 134.0% マンセル
 88 4.421km 205.4km/h 135.6% セナ
 89 4.421km 204.4km/h 134.9% セナ
 90 4.421km 206.1km/h 136.0% ベルガー
 91 4.421km 207.5km/h 137.0% パトレーゼ
 92 4.421km 208.5km/h 137.6% マンセル

 15 4.304km 194.9km/h 128.6% Nロズベルグ
 16 4.304km 196.9km/h 130.0% ハミルトン
 17 4.304km 202.6km/h 133.7% ベッテル
 18 4.304km 207.3km/h 136.8% リカルド
 19 4.304km 206.5km/h 136.3% ルクレール

全長に差がある場合の比較は「平均速度」を割り出して比較してあげるしかありません。一応通期の平均速度グラフはこんな感じになります。IMG_4632
第1期も8年間で平均151.5km/hから176.7km/hへと25.2km/hの急激な上昇があるものの、200km/hオーバーとなった第2期、第3期には遠く及びません。IMG_4630
平均速度だけみたら、第3期よりも第2期の方が高い水準となっています。最も高いのはマンセルが記録した92年の208.5km/h、次いで前年91年のパトレーゼによる207.5km/hとどちらもウィリアムズ(・ルノー)のNAエンジンのハイテク機です。そしてようやく3番目に18年のレッドブル(・ルノー)のリカルドが記録した207.3km/hという順になりました。タイムは92年よりも18年の方が1.587秒も速いわけですから、やはり「速度が高いだけでは1ラップが速いとは言えない」ということがわかります。
今までエルマノス・ロドリゲスといえば「エンジンに厳しく、低い気圧でなかなか高速度に達しない」というイメージが強くありました。今でも気圧が低いことには変わりありませんが、16年決勝において当時ウィリアムズ(・メルセデス)のボッタスが372.5km/hという「F1決勝レース最高速度」が記録されています(予選最高速度はバクー市街地での16年ボッタスによる378.0km/h)ただ、決勝レース中のファステストラップはレッドブルのリカルドが獲っており、当のボッタスは予選8番手、決勝も8番手と振るいませんでした。F1は物理的な速度だけではない「1ラップした時の速さ」と「チェッカーフラッグが振られた瞬間の順位」がモノをいいます。
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