F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:ピケ

グラフは少し見飽きましたね。目を休めましょう。12月中旬まで及んだ2020年シーズンが終わって早3週間経ちます。そろそろレースを観たくなりませんか?!まだいいって?!(笑)昨年の「過去のレース」は中止や延期になったGPにも合わせて「なんちゃってGP」をこのブログ内で強引に突き進めてきたわけですが、実はその時に載せようかどうかすごく迷って、結局諦めてストックしていたレースがいくつかありました。その中の一つであるジャカレパグアで行われた1983年ブラジルGPを取り扱おうと思います。近年はシーズン終盤に盛り込まれるブラジルGPをどこに差し込むか悩みつつ、隙間を縫って9月中旬に1982年ブラジルGPをねじ込みました。それもピンとこない時期ではありましたが、よりによってこの時期のブラジルGPってのも違和感がありますよね。でもこの年のブラジルGPはあながち遠からずです。なぜならこのレースは開幕戦にあたる3/13に行われたということで、約2ヶ月程度先の話だからです。それにしても1月中旬は早過ぎか(笑)
今から38年も前となる1983年シーズンのレースは今回初採用となります。一見地味にも感じる方は多いかもしれませんが、これがなかなか面白いシーズンとなっています。それを助長させた一つの要因がこれです。
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フェラーリ126C2B
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ウィリアムズFW08C
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ルノーRE30Cと現代も参戦する各チームでマシン自体のディテールも実に多彩です。でもこれ、シャシー名からも分かるように枝番が付けられた前年1982年型の改良車ばかりなのです。どうしてこんな事態に陥ったのかというと、かの有名なグラウンドエフェクトカー廃止(フラットボトム規定)がシーズン開幕3ヶ月前の12月に急遽決まり、予め開発をしていた各チームの各マシンは対応に間に合わず強引にレギュレーションに合わせ込む必要があったからです。近年もマシンレギュレーション変更が数年前から決められ、発表されている通り、これら大幅変更はある程度早い段階から告知しないと、いくら莫大な資金と腕利きが集まるF1カテゴリーであっても対応し切れません。ほとんどのチームがやっつけの改良型で開幕戦を迎える中で、間に合わせてきたチームとマシンがあります。
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以前「名車シリーズ」でも振り返ったブラバムBT52です。空力の鬼才と呼ばれたゴードン・マーレーはライバルと同条件下において、予定していたBT51導入や改良を諦め、レギュレーションに適合する新車をしっかり開幕戦に合わせ込んできました。この辺ができるかできないかでシーズンの戦い方が変わってきます。さすが老舗のブラバム。

前段にだいぶ時間を費やしてしまいましたが、予選は前年にたった1勝でチャンピオンを獲得したN・ロズベルグの父、K・ロズベルグが連覇を目指して好発進のポールポジションを獲得。見た目もチャンピオンの風格を感じさせますが、こう見えてこの当時34歳です。今でいうハミルトンとベッテルの間くらいにあたります。もっというと、これは今から38年前ということで、後にチャンピオンを獲得する息子ニコはまだ生まれていません。2番手はターボを武器に「予選番長」と化するルノーの若手プロスト、3番手に「前年の悪夢」の払拭に挑むフェラーリのタンベイ、4番手は新車に乗るピケが獲得しています。

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《予選結果》
 1 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
 2 A・プロスト (ルノー・R・MI)
 3 P・タンベイ (フェラーリ・F・GY)
 ※GYはグッドイヤー、MIはミシュラン
  Foはフォード

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スタートでポールポジションのロズベルグは早くも逃げ体制。3番手タンベイは出遅れ、4番手ピケに先行されています。
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途中給油を念頭に軽いマシンで追うピケはプロストをかわして早い段階で2位に浮上してきました。

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ブラバム同様に途中給油の軽タンクで逃げるロズベルグはタイヤを傷め、7周目にピケが隙をついてトップに立ちます。
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軽タンク走行は経験豊かなブラバムが一枚上手か。

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傷むタイヤで27周を耐えたチャンピオンのロズベルグがピットインして予定通りの給油作業に入ります。給油ホースの角度に注目下さい。ドライバーの真後ろに真上から垂直にノズルを挿す形でどうも給油し辛そう、なんて見ていると恐れていたことが、、IMG_5567
発火!
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消火器が向けられ、ロズベルグは堪らずマシンから飛び降りる。レース中の途中給油って、当時の技術からするとかなり高度かつ危険行為です。IMG_5570
レースを諦めたかと思いきや、火は消し止められ「ピットクルーの手を借り」て9位で復帰していきます。たった1勝でもチャンピオンはチャンピオン。簡単にレースを諦めるわけにはいきません。
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軽タンク戦法を得意とするトップのピケの給油作業。こちらの給油は真上からではなく、ノズルが挿し易い横向きです。給油も配慮した設計がなされているBT52はやはり優秀。

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当時のルノーは決勝になるとグズグズしてしまっています。ピケに抜かれ、パトレーゼにも抜かれ、予選9番手のマクラーレンのラウダにまで抜かれる始末。速さだけではレースに勝てない。
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さらには一度燃えた後に復活を果たしたカーナンバー1のロズベルグにまで抜かれてしまいます。ロズベルグは一度9位まで落ちたのに、再び表彰台圏内まで戻ってきました。すごい追い上げだ。
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そのロズベルグはラウダもかわして2位浮上。軽タンク逃げ逃げ途中給油の効果てきめんですね。ただトップのピケまでは距離があるか。
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予選4番手。でも新車を用意して戦略大当たりのピケが余裕の優勝。前年もトップチェッカーを受けながらマシン違反で失格となったため、これが母国初優勝となりました。IMG_5578
2位は猛追のロズベルグ、賢いラウダがいつものしれっと3位となり表彰式を迎えますが、この年もこのままでは終わりませんでした。
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最終結果はこちら。

《決勝結果》
  1 N・ピケ   (ブラバム・B・MI)
失格 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
  3 N・ラウダ  (マクラーレン・Fo・MI)
 ※BはBMW

思い出して下さい。先程のロズベルグのピットアウトは自力ではなくピットクルーの手を借り押しがけで復帰しています。あの行為が違反の対象となり、前年に引き続き2年連続のブラジルGP失格の裁定が下りました。チャンピオンのロズベルグはちょっと恥ずかしい。通常であれば4位フィニッシュしたウィリアムズのラフィが3位昇格といきたいところでしたが、結局それは行われず、F1で異例の「2位の存在しないレース」に終わっています。
一方で82年は幻の優勝、83年にようやく母国初優勝を飾ったピケは86年も優勝したことが讃えられ、88年にジャカレパグアは「ネルソン・ピケ」という名に改称されることとなりました。存命現役のドライバーがサーキットに名付けられるのは異例です。しかし残念ながら90年からブラジルGPは改修を受けたインテルラゴス(ホセ・カルロス・パーチェ)に移されF1で使用されなくなり、2016年に開催されたリオ五輪のメイン会場に選定されたことにより、今では跡形も無く解体されています。また1973年から開催されてきたブラジルGPの名称も今シーズンから「サンパウロGP」に改称されて消滅することが決定しました。

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先日あれだけホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)でのブラジルGP予選をみてきたっていうのに、今回振り返るのは1982年第2戦ジャカレパグア(のちのネルソン・ピケ)で行われたブラジルGPです。ブラジルGPには間違いないけど、繋がってなーい(笑)今シーズンはブラジルGPも無いことだし、何でもアリ。
1982年は先日オランダGPで初めて取り扱いました。今回は2回目で「過去のレース」シリーズで現時点での最古のレース更新となります。キャラミでの開幕戦南アフリカGPは前年チャンピオンのピケがリタイヤする一方、ターボが自慢のルノーがポールトゥウィンを飾ってこの第2戦を迎えています。シーズンはまだ始まったばかり。当時はマシンに「グラウンド・エフェクト」いわゆる地面効果に依ったマシンが主流となっていました。マシンフロアに飛行機の翼をひっくり返したような形状を採り、飛行機とは逆に地面に押さえつけるような原理でダウンフォースを得るという画期的な技術ではありましたが、マシンがひとたび挙動を乱したりすると、一気にリセットされて浮き上がってしまうというリスクと紙一重の特性もありました。

予選は開幕戦に続いてルノーのプロストがポールポジションを獲得。2番手もターボエンジンを積むフェラーリのG・ヴィルヌーブが獲り、ターボ車がフロントロウを占めています。ノンターボ(NA)車の最上位はウィリアムズで3番手のK・ロズベルグ、続いてマクラーレンのラウダが4番手となっています。キャラミよりは低速基調のジャカレパグアでもターボ勢が猛威を振るうのか?!

《予選結果》
 1 A・プロスト  (ルノー・R・MI)
 2 G・ヴィルヌーブ(フェラーリ・F・GY)
 3 K・ロズベルグ (ウィリアムズ・Fo・GY)
 ※MIはミシュラン、GYはグッドイヤー
  Foはフォード

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決勝のスタート!画像があまり良くないので、見辛いかもしれませんが、とにかく路面が酷いです。4回に分けて舗装したかのような継目が遠目のカメラでもはっきり見て取れます。一般道であれば車線毎に打ち継ぐのはよくあることですが、ここはサーキットですからね。規格が非常に良くない。スタートでモタつく黄色いプロストに代わって、フェラーリのエースとして名高いヴィルヌーブがトップに立ちます。
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ロズベルグの攻撃も何のその。
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プロストからの攻めも怖くない!さすがフェラーリのチャンピオン獲得を託された男です。

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レースが進行するにつれ、予選7番手に甘んじたチャンピオン、ピケのペースが上がっていきます。ココは俺の地元だよ、と。ノンターボのブラバムでターボのルノーをあおる。
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次なる標的はいよいよトップをひた走るヴィルヌーブです。
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NP「おい。兄ちゃんもターボだよな。見てな」
ロズベルグも復調をみせ、ピケとセットでヴィルヌーブ狩りに向かいます。
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スーッと近付いて
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インに追いやる。ヴィルヌーブは左側を脱輪して制御できず
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スピンしながら外側へ。
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NP「ふん、あいつビビってやんの。可愛いな」
ピケとヴィルヌーブのマシンは触れ合っていません。ピケの巧み勝ち。今でこそこのような「プレッシャーによるバトル」はだいぶ減ってしまいましたが、昔はこうした駆け引きや揺さ振りでライバルを追い込んでいく手段は定石でした。

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こちらは同じブラバムでも、ピケの相方パトレーゼの方です。マシンを半分グリーンに落として、何やら様子がおかしいです。
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あー回っちゃうー
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ほぼトラックを横断する形のスピン。リオ・デ・ジャネイロの暑さとこの酷い路面により、意識朦朧になってしまいました。トラック復帰しようと試みるもimage
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あらら真っ直ぐに走れず、また同じようにくるくるしちゃっています。よくこの状態で自力帰還できたなぁ。コクピット内でほぼ死んでいる。。image

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ヴィルヌーブをかわした後、順調にラップを重ねるピケは初の母国優勝がみえてきました。1975年のC・パーチェ以来の快挙で観客も大賑わい。image
あーあ、トラックにまでこんなに飛び出しちゃって。喜ばしいことだけど、後続も来るんだし危ないよ!
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《決勝結果》
 1 N・ピケ   (ブラバム・Fo・GY)
 2 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
 3 A・プロスト (ルノー・R・MI)

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表彰式はピケ嬉しい嬉しいシーズン初優勝、母国初優勝のはずなのに、こちらも様子がおかしいですね。2位のロズベルグ、3位のプロストも異変を感じる。image
おっとっと、、、
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喜ぶどころか、立っていられずグニャリと力尽きる。パトレーゼ同様にさすがのピケも限界だったんですね。出走26台中、完走は12台とかなりサバイバルなブラジルGPとなりました。
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しかし、このレースはこれで終わりではありませんでした。トップ2台はフィニッシュ後にブレーキ冷却水を足して、最低車体重量をクリアしたとのタレコミがあり審議。後日裁定が下りました。

《後日最終結果》
  失格 N・ピケ   (ブラバム・Fo・GY)
  失格 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・Fo・GY)
  1 A・プロスト (ルノー・R・MI)
  2 J・ワトソン (マクラーレン・Fo・MI)
  3 N・マンセル (ロータス・Fo・GY)

優勝のピケと2位ロズベルグが失格。3位以下が繰り上がりとなりました。これを不服としたFOCA(Formula One Constructors Association の略で現在でいうFOTAに相当)系に属するチームが第4戦サンマリノGPの出走を辞退し、26台中14台の参戦、完走はたった5台という非常にシラけたレースを行うまでに発展してしまいました。1982年シーズンはご存知の通りK・ロズベルグによるフィンランド人初、わずかシーズン1勝でのチャンピオン獲得となりましたが、もしこのブラジルGPの失格やサンマリノGPの不参加が無ければ、チャンピオン争いも異なる結果になっていたかもしれません。

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2015年からF1に復帰した第四期ホンダも今シーズンで6シーズン目を迎え、徐々に優勝や表彰台を獲得するまでに成長しました。ホンダのF1を語る上では1980年代中盤から90年代初頭にあたる第二期は必ず通る道です。当時最強エンジンと言われたその時代を象徴するかのようなレースの一つ、1987年シルバーストンでの第7戦イギリスGPを振り返っていきます。

1987年のレースを振り返るのは初になります。この年は現在と同じようにターボを搭載し、4バール(気象でいう4,000hPaでだいたい4気圧に相当)という過給圧制限はありつつも実にパワフルな出力のマシンがしのぎを削っていた時代です。また日本にとっては何よりも「日本人初のフルタイム参戦ドライバーの登場」「フジテレビによる全戦無料放送開始」とF1が一気に身近な存在になったシーズンでもあります。
イギリスGPを迎えるまでの6戦の戦績は2勝を挙げるウィリアムズのマンセル、今年こそ念願のチャンピオン獲得に意気込むロータスのセナも2勝、前年86年に僅差でチャンピオンを獲得したマクラーレンのプロストも2勝となっており、勝ち星は無くとも4回の2位で着実にポイントを積み重ねるウィリアムズのピケの4人がぶつかり合っています。ちなみに優勝3人のうちプロストを除く2人のエンジンはホンダです。「エンジンコンストラクターランキング」があったとしたら、ホンダは飛び抜けたトップに君臨しますね。「日本人初のフルタイム参戦ドライバー」の中嶋悟はセナの相方としてロータスに所属し、第2戦サンマリノGPで6位、第3戦ベルギーGPで5位と2回の入賞を獲得しています。セナとの比較は酷だけど、F1新人とはいえ34歳のベテランクラス。奮闘しつつも、これはちょっと離され過ぎ。
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この87年から「ブリッジ」という区間をトラック終盤に設置するレイアウト変更がありました(現在は廃止)地元レースを最多勝で入ったマンセルがこの新設コーナーに苦戦、第3戦ベルギーGPから続く5戦連続ポールポジションが潰えます。代わってチームメイトのチャンピオン経験者ピケがポールポジションを獲得。3番手はセナ、中嶋は12番手となっています。上位3人がホンダエンジンユーザー、この時代のテッパンです。

《予選結果》
 1 N・ピケ  (ウィリアムズ・H)
 2 N・マンセル(ウィリアムズ・H)
 3 A・セナ  (ロータス・H)
 ※タイヤはグッドイヤーのワンメイク

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スタートでイン側のピケ、アウト側のマンセルももたつき、ウィリアムズ2台してじゃれ合う。この時代のスタートって、パワーが有り余るせいか、ドラックレースの如くタイヤスモークを上げてテールを滑らすマシンが多かったですよね。それはそれで「荒ぶるモンスターマシン」を操るようでカッコいいですが。
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そんな中、さらにアウト側からスッと真っ直ぐ隙をうかがったプロストがウィリアムズまとめ抜きを敢行。このシレッと感がプロストらしい。
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しかしそれも束の間。やっとエンジンが馴染んできたのか半周足らずでピケが、
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ハンガーストレートでマンセルが易々とプロストを捕まえて定位置に戻っていきます。あたかもでっかいターボラグでもあったかのようなスロースタートでした。

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壊すのはお手のモノか9周目に早速ブラバムのチェザリスが火を吹く。
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快調にトップに食らい付くプロストとは裏腹にヨハンソンのタグポルシェも19周目に白旗。現在の信頼性あるマシンと違い、この日のシルバーストンは序盤からマシンに牙を剥きます。
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予選こそ離された中嶋は立て続く前方の離脱を得て、6位入賞圏内まで浮上。相方セナに少しでも近付きたい。

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レース終盤にはフェラーリのアルボレートがピットに戻るもリヤのサスペンション故障により離脱。
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さらにはセナと一進一退のバトルを続けたプロストもリタイヤし、マクラーレン、フェラーリ共に全滅。これらにより中嶋は4位に浮上、54周時点でホンダエンジン勢4台全てが1位から4位に連なる形を築きます。

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最終盤にマンセルがピケの尻尾を捉えて臨戦態勢に。
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ん、左からかな?
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いや右からだよー!
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迅速かつ絶妙なフェイントを入れ、同じマシンに乗る2人がサバイバルなイギリスGPのオーラスで見せ場を作ります。
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ココは俺の地元。今回は戴いたぜチャンピオンさんよ。
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《決勝結果》
 1 N・マンセル(ウィリアムズ・H)
 2 N・ピケ  (ウィリアムズ・H)
 3 A・セナ  (ロータス・H)

レースはわずか1.9秒差でウィリアムズがワンツーフィニッシュとなり、この2人だけが同一周回。セナは一周遅れの3位、そして中嶋はウィリアムズから二周遅れとなる4位を獲得して「ホンダエンジンによる1-2-3-4フィニッシュ」が完成しました。出走26台中、ライバルがバタバタとリタイヤ、完走たったの9台というサバイバルレースで、ホンダだけ全員無事に生き残ったという「伝説のレース」です。
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このシーズンは結局ウィリアムズが16戦中12ポール9勝を挙げ、文句無しのコンストラクターズチャンピオンを獲得。それは至って当たり前。しかし面白いのは「ドライバーズチャンピオンの行方」です。マンセルは8回のポールで6勝を挙げたものの、肝心のチャンピオンは4回のポールで3勝に止まったピケが獲ることとなったのです。それはなぜか、実はマンセルは2位が一度も無く4回のリタイヤと初鈴鹿開催となる第15戦日本GPを「不戦敗」しており、逆にピケは2位7回でリタイヤは第3戦ベルギーGPで1回で止めたためです。優勝の数より2位の数と入賞回数でチャンピオンが決まるという「両者のキャラクター」が明暗を分けた実にユニークなシーズンでした。

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東欧美女がグリッドに立っています。顔がとても小さいですね。そしてどこか寂しげな感じが東欧のクールさを醸し出しているよう。F1に長らく定着するハンガリーGPはこの年からF1カレンダーに組み込まれて現在まで欠かすことなく行われています。社会主義(共産主義)国でF1が行われる先駆けのGP、今から35年近く前にあたる1986年第11戦ハンガリーGPです。
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こちらはコントロールラインから見て最深部に位置する旧6,7,8コーナー付近です。先日の記事の冒頭に挙げた画像の33年前になります。アングルは若干異なりますが、この区間に大きな変更はなく、今でも使用されています。

1986年シーズンを振り返るのは初となります。まだフルタイム日本人ドライバーはいません。マクラーレンは二度目の引退を果たしたラウダに代わって、ウィリアムズからK・ロズベルグを引き抜き、プロストとダブルチャンピオン体制を続けていきます。空いたウィリアムズにはブラバムからピケが移籍、マンセルと組みます。
これまでの10戦はウィリアムズのマンセルがベルギー、カナダ、フランス、イギリスの4戦を制して初チャンピオン獲得に向けて奔走しています。前年85年のチャンピオン、マクラーレンのプロストは表彰台登壇を続けるも、優勝は第3戦サンマリノGPと第4戦モナコGPの2勝に止まります。ほかマンセルの相方ピケが2勝、ロータスで腕を上げるセナも2勝と4人で10勝。つまり「F1四天王」と呼ばれた4人によるチャンピオン争奪戦を繰り広げています。ハンガリーGP時点では皆にチャンピオン獲得の可能性を有している状況。混戦はいいですね!
また、この年からNAエンジンが禁止されたため、出走の全車がV型8気筒や6気筒、直列4気筒のターボエンジンを搭載しています。直線が短く、低速コーナーが続くハンガロリンクを果たして誰が一番初めに制するか注目されます。

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初のハンガリーGP予選は最も若いセナが制しました。2番手ピケは0.3秒差、3位プロストが0.5秒差、4番手マンセルは0.6秒差で接戦でした。貴重なチャンピオン経験者であるロズベルグは1.2秒差の5番手とプロストからもだいぶ離され、世代交代感は否めません。

《予選結果》
 1 A・セナ  (ロータス・R・GY)
 2 N・ピケ  (ウィリアムズ・H・GY)
 3 A・プロスト(マクラーレン・TP・GY)
 ※GYはグッドイヤー、TPはタグポルシェ

スタートでセナは確実にトップを守り、ハンガリーGP初ウィナーを目指していきます。その後方ではウィリアムズのレッド5に代わり新ホワイト6のピケが前に出て独走のセナを追いかけていく。
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白いピケが黒のセナを捉えました。ブラジル人対決です。
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NP「若造、F1ブラジル代表はオレに任せろ、なっ」
ターン1をインからさしてピケが前に。

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3番手スタートだった現チャンピオンはピットでもたついています。何かトラブルでもあったか。クルーはピットレーン上流を仕切りに気にします。ロズベルグがルーティンピットインを控えているからです。
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「行け、行け!」
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えーロズベルグはペナルティでもないのにピットスルーを指示されています。普通はトラブルを抱えた者を後回しに、生き残っている者の流れを途絶えさせない方が賢明なのに、ロズベルグもひどい扱いをされるものだ。

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一度トップを明け渡したセナはピットが功を奏し、再びピケを逆転します。そうなるとピケはセナをかわさなければなりません。
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再びターン1からセナを狩りにいく。
NP「オレはリオ出身。サンパウロは引っ込んでろ」
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しかしブレーキングをミスしてイン側を開けてしまい、セナが守り切る。
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当然ピケは黙っていません。三度セナに仕掛けていきます。インがダメなら、今度はアウトから。
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前に出たピケの向きがおかしいですね。これ、テールを滑らせてドリフトしているんです。暴れたリヤを制御しながら無理矢理前に。ピケの巧みなステアリングさばきです。F1マシンはドリフト走行よりグリップ走行に特化していますが、昔はこのように暴れるマシンを腕でカバーして走るドライバーを多く見かけました。K・ロズベルグもこんな感じの荒いドライビングをしていましたよね。
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NP「お前がオレに勝つのは5年速いってんだ」

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《決勝結果》
 1 N・ピケ  (ウィリアムズ・H・GY)
 2 A・セナ  (ロータス・R・GY)
 3 N・マンセル(ウィリアムズ・H・GY)

この年は結果的にプロストが2年連続のチャンピオンを獲得し、翌87年にピケが3回目、そして2年後の88年にセナがチャンピオンを獲得して、四天王の中ではマンセルが92年まで待つ形となりました。特にピケとセナは同郷で不仲と言われていましたが、実際はどこまで不仲だったかはわかりません。IMG_4103
E・フィッティパルディやC・パーチェが始祖となったブラジル人F1ドライバーはピケやセナなどで大成就、以降もバリチェロやマッサなど有能の若手を多く生み出すことになるものの、現在は久しく出身者不在の時期が続いています。

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今回の過去のレースは1985年にポール・リカールで行われた第7戦フランスGPです。85年は先日の第15戦南アフリカGPに続く2回目となります。今でこそ名物の「ミストラルストレート」中腹で左に折れるシケインが設けられていますが、この年まではまだそれが無く、2.5kmに及ぶF1屈指の超ロングストレートが存在しました。
このシーズンこれまでの6戦は前年僅差でチャンピオンを獲得したマクラーレンのラウダがリタイヤ続きの絶不調。代わってリードしたのはチームメイトのプロストで開幕戦ブラジルGPと第4戦モナコGPを制して唯一の2勝を挙げています。前年84年は際どく競り負けてしまいましたよね。リベンジに注力しています。また、若手の期待、ロータスのセナは第2戦ポルトガルGPで初優勝を果たし、そのチームメイトのであるデ・アンジェリスは第3戦サンマリノGPで1勝、フェラーリのエースのアルボレートが第5戦カナダGPで1勝となかなかの混戦模様。

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近年のフランスGPを滅法得意としていたルノーの予選は低迷し、ホンダエンジンを搭載したウィリアムズで8番手となったマンセルはクラッシュによる体調不良を訴えて決勝を欠場することになりました。それならばもう一人が頑張るしかない。
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ポールポジションはカーナンバー6のロズベルグ。一応チャンピオン経験者です。フロントロウには伸び盛りのセナ。ベテランに混ざって一人前の面持ち。レースには関係ありませんが、黄色いドリンクが懐かしい。レース後のインタビューとかでピッチャーに入ったこんなドリンクをみんな飲んでいましたよね。ドリンクの入っている容器はペットボトルでしょうか。こんな時代からあったんでしたっけ?!
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《予選結果》
 1 K・ロズベルグ (ウィリアムズ・H・GY)
 2 A・セナ    (ロータス・R・GY)
 3 M・アルボレート(フェラーリ・F・GY)
 ※GYはグッドイヤー

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決勝レーススタート!シーニュ先からミストラルストレートエンドをみると、今ある「縞々」はありません。絶対こっちの方がいいと思うんだけどー。
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南仏のポール・リカールは今までは地元のルノーをはじめ、ターボエンジン勢が有利とされてきました。気温も路面温度も高めで、追い討ちをかけるべく存在する長大なストレートによりマシンへの過酷さが増します。まずは地元リジェのラフィは2周足らずでターボが火を吹く。
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5周目のアルボレートはミストラルストレートエンドでジ・エンド。こちらもターボ起因。

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気持ちよく逃げるロズベルグの後ろ、2位争いをしているのは黒いセナと白いピケ。ブラジリアン対決です。セナはギヤに不調が出てペースダウンし始めました。ブラバムお得意の「軽タンク猛追作戦」でセナをかわしていきます。ピケの持ち味は決勝での巻き返し。
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その勢いでじりじりとトップのロズベルグを狙います。グッドイヤーを履くロズベルグよりも、ピレリを履くブラバムは暑さに強い。
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シーニュでテールトゥノーズにつけ、インから綺麗なライン採りでさばいて、ピケが前に。

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ロズベルグはセナが緊急ピットインを行う間に順位を上げたマクラーレンにあおられ始めました。マクラーレンもウィリアムズと同じグッドイヤーを履いています。危うし!
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レースちょうど半分の26周目。遅れを取り戻したいセナですが、シーニュの進入でバランスを崩す。
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こちらもエンジン?!リヤエンドが光って見える。
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遠心力のなすがまま、
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キャッチフェンスに捕まって、若き勢いは土煙に散る。

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終盤にピケのピレリも限界か、リヤを滑らせドリフトしています。でも何とか持ち堪え、シーズン初勝利へ。

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《決勝結果》
 1 N・ピケ   (ブラバム・B・PI)
 2 K・ロズベルグ(ウィリアムズ・H・GY)
 3 A・プロスト (マクラーレン・TP・GY)
 ※BはBMW、TPはタグポルシェ、PIはピレリ

予選はそこそこに、決勝でとにかく勝てばいい。逃げ切りレースでない昔の猛者はこのようにしてシーズンを制してきました。ピケらしいレース運びでした。
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近年も「誰か」していて物議になったこの頭を指差す仕草。今回のピケは違います。ピレリのおかげ。

翌年86年のフランスGPは同じくポール・リカールで行われますが、GP前の合同テストでブラバムに移籍したデ・アンジェリスがクラッシュ時に火に巻かれて死亡したことにより、急遽3.813kmのショートレイアウトに変更されています。


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