前回は息抜き回としてめちゃ古の過去のレースを振り返りました。今回は再び2022年の「冬休みの宿題」に戻す予定でしたが、思いの外頭より手を使う必要があって準備に時間がかかりそうなので、またまた過去のレースを投入して場繋ぎを行います。困った時の「過去のレース」素材や振り返るべきレースは山ほどあるというわけで。ただ時代もドライバーもマシンも前回や今日とは全く違うものになりますので、許してちょう(笑)
昨シーズンはサインツ、ラッセルという2人の初優勝ドライバーを誕生させました。ドライバーの皆が憧れるF1、それも新たな優勝者の仲間入りを果たす話題はファンとしても嬉しいですよね。このレースも世代交代を迎えたばかりの中、熾烈なバトルと番狂わせの末、意外なドライバーが台頭をみせたレースの一つに数えられます。昨シーズンのレースウィークは忙しくて取り扱えなかったイギリスGP、その埋め合わせとして1995年第8戦に行われたレースを振り返ります。95年のレース振り返りは全17戦中8戦目、イギリスGPは長い歴史の割には案外少ない6戦目となります。
前年の94年にセナが事故死したことにより、長らくF1で四天王に君臨したドライバーが全員消え、新時代F1は若きM・シューマッハが先頭に立つ時代を迎えました。久々にチャンピオンチームから陥落したウィリアムズはイギリス人ドライバーのD・ヒルをエース、若手のクルサードによる継続布陣の「オールイギリス」体制でチャンピオン返り咲きを狙っています。ここまでの7戦の優勝者は早くも4勝を挙げるベネトンのシューマッハを筆頭に、ヒルが2勝、そして以前に振り返ったアレジがフェラーリを駆り、第6戦カナダGPで初優勝を挙げた1勝となっています。
セナ亡き今、チームの期待を一手に背負うヒルはいつでもピリピリしています。最速マシンのはずがどうしてもシューマッハに勝てない。この時代は毎戦ピリつくヒルにいつでもドヤ顔のシューマッハという相対する表情が印象的でしたね。
予選1回目はドライで行われ、シューマッハがまず1分28秒397で暫定トップに立ち、次はヒルのタイムアタック。
途中の時点でシューマッハに対して-0.254秒削ってくる。シューマッハはじっとヒルの走りに注目。
最後のセクターでもさらにタイムを削り、1分28秒124と大きくシューマッハを引き離しています。
いつも険しい表情のフランク・ウィリアムズも白い歯を見せてほころぶ。ウィリアムズはポールポジションのヒルに加え、クルサードがシューマッハを挟んだ3番手となりました。
《予選結果》
P.P. D・ヒル (ウィリアムズ・ルノー)
2 M・シューマッハ(ベネトン・ルノー)
3 D・クルサード (ウィリアムズ・ルノー)
※タイヤはグッドイヤーのワンメイク
(スタート位置は現在と異なり、ウッドコートとコプス間にありました)
出足好調のヒルのほか、4番スタートのアレジが素晴らしいダッシュを決め、トラック内側からシューマッハとクルサードを捕らえて2番手に急浮上、シューマッハは3位に後退しています。
シューマッハにとっては宿敵ヒルとの間にアレジと乗っけからだいぶ厄介な展開になってしまいました。
シューマッハは17周かけてようやくアレジをさばき、 2位に復帰すると、ヒルは22周目に1回目のピットに向かいます。
ココはイギリス、母国。シューマッハだけには負けられない。給油とタイヤ交換を11.0秒で終える。
予選とスタートダッシュで遅れたシューマッハ陣営の採った策は「ワンストップ」絶対的なペースでウィリアムズに分があるならば、ピット回数を減らしてペースを維持して前に出る。
焦らなくてもいい。ヒルにはあと一回ピットが控えているわけですから。シューマッハは61周レースの折り返し、31周目にピットへ。
一方で暫定的にトップに復帰するヒルはいずれもう一度ピットに入る必要があるため、ここからのラップが正念場。
シューマッハの1回目から10周後の41周目にヒルが2回目を終えます。今回は静止時間11.5秒。トラックインした時点でシューマッハとイコールコンディションとなるため、1回ピットが正か2回ピットが正かが明らかになります。
本線を走るシューマッハが前。シューマッハの1回ピット戦略成功!
しかし今回のヒルはいつものヒルとは一味違う。今までのように易々とやられるわけにはいかない。
何せココは自身の母国であり、チームの母国でもある。前年94年の雪辱を晴らしたい。
ヒルはフレッシュタイヤの利を活かして食らいつく。しかし起きてはならない出来事が起こるべくして起きてしまいます。
インを軽く空けるシューマッハ、そのインを強引にさすヒル
ヒルは左フロントタイヤからスモークを上げて
シューマッハと接触
両者マシンを傷めてリタイヤ。
「おい、何やってくれてんだよ。まったく!」
(ちーん、、)
マシンを強制的にリタイヤへ追い込まれたシューマッハは怒り心頭。
ヒルはコメント遠慮とマイクを遮る。
あまり思い出したくないという方も多くいると思いますが、同じイギリス、頂上対決での接触といえば、、、一昨年のハミルトンとフェルスタッペンの件が蘇ります。今回のこの接触は様々な見方ができます。現代の考え方をするならば、車体はシューマッハが明らかに前であり、後方のヒルは進入速度と進入角に無理があります。しかしシューマッハのライン採りも結構際どく、ヒルの走行ラインを早めに閉めるのではなく、あたかも引き込んでいる(待ち伏せ)ように見えなくもない。この件について当時のスチュワードはヒルとシューマッハ両者に責任があると結論付けています。余談ですが、シューマッハって、捨て身というかこういうちょっとグレーな走りも上手い(上手く盛り込む)ドライバーでもありましたね。憎たらしい(笑)
優勝候補、トップチームのエース対決が後味悪く終われば、次なる主役が生まれます。
シューマッハの相方で5番スタートだったハーバートと
ヒルの相方クルサードです。どちらもいわゆる「セカンド、、」ってやつ。ただセカンドとはいえトップチーム、どちらもイギリスが母国であり、どちらもF1初優勝がかかっています。これは千載一遇のチャンス!
先程両エースが倒れたコーナーでまたしても似た構図に。おいおい、今回は気を付けておくれよ。ハーバートはしっかりアウト側をキープしています。付かず離れずの攻防戦が続くものの、勝負は呆気ない形で幕切れとなります。
クルサードが2回目のピットの際に、電気系のトラブルもあってピットレーンの速度超過をしておりペナルティが下ってしまいました。
今日のベネトンのチームクルーが待っているのはいつものシューマッハではありません。
ハーバートです。参戦74戦目となかなかの遅咲き苦労人は敵陣の母国、自身の母国で初優勝を遂げました。
《決勝結果》
1 J・ハーバート(ベネトン・ルノー)
2 J・アレジ (フェラーリ)
3 D・クルサード(ウィリアムズ・ルノー)
表彰台の面々がなかなかの渋めですね。知名度も人気も実力も抜群の3人は結果的に「チャンピオン」には恵まれませんでした。
昨シーズンのイギリスGPはサインツが初優勝を遂げました(この流れでその話題されたら、サインツも、、)今シーズンも是非、初優勝者の生まれるGPがあるといいですね。最有力候補はやはり待たれるイギリス人のノリスかな?!いや案外別のドライバーだったりして。
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昨シーズンはサインツ、ラッセルという2人の初優勝ドライバーを誕生させました。ドライバーの皆が憧れるF1、それも新たな優勝者の仲間入りを果たす話題はファンとしても嬉しいですよね。このレースも世代交代を迎えたばかりの中、熾烈なバトルと番狂わせの末、意外なドライバーが台頭をみせたレースの一つに数えられます。昨シーズンのレースウィークは忙しくて取り扱えなかったイギリスGP、その埋め合わせとして1995年第8戦に行われたレースを振り返ります。95年のレース振り返りは全17戦中8戦目、イギリスGPは長い歴史の割には案外少ない6戦目となります。
前年の94年にセナが事故死したことにより、長らくF1で四天王に君臨したドライバーが全員消え、新時代F1は若きM・シューマッハが先頭に立つ時代を迎えました。久々にチャンピオンチームから陥落したウィリアムズはイギリス人ドライバーのD・ヒルをエース、若手のクルサードによる継続布陣の「オールイギリス」体制でチャンピオン返り咲きを狙っています。ここまでの7戦の優勝者は早くも4勝を挙げるベネトンのシューマッハを筆頭に、ヒルが2勝、そして以前に振り返ったアレジがフェラーリを駆り、第6戦カナダGPで初優勝を挙げた1勝となっています。
セナ亡き今、チームの期待を一手に背負うヒルはいつでもピリピリしています。最速マシンのはずがどうしてもシューマッハに勝てない。この時代は毎戦ピリつくヒルにいつでもドヤ顔のシューマッハという相対する表情が印象的でしたね。
予選1回目はドライで行われ、シューマッハがまず1分28秒397で暫定トップに立ち、次はヒルのタイムアタック。
途中の時点でシューマッハに対して-0.254秒削ってくる。シューマッハはじっとヒルの走りに注目。
最後のセクターでもさらにタイムを削り、1分28秒124と大きくシューマッハを引き離しています。
いつも険しい表情のフランク・ウィリアムズも白い歯を見せてほころぶ。ウィリアムズはポールポジションのヒルに加え、クルサードがシューマッハを挟んだ3番手となりました。
《予選結果》
P.P. D・ヒル (ウィリアムズ・ルノー)
2 M・シューマッハ(ベネトン・ルノー)
3 D・クルサード (ウィリアムズ・ルノー)
※タイヤはグッドイヤーのワンメイク
(スタート位置は現在と異なり、ウッドコートとコプス間にありました)
出足好調のヒルのほか、4番スタートのアレジが素晴らしいダッシュを決め、トラック内側からシューマッハとクルサードを捕らえて2番手に急浮上、シューマッハは3位に後退しています。
シューマッハにとっては宿敵ヒルとの間にアレジと乗っけからだいぶ厄介な展開になってしまいました。
シューマッハは17周かけてようやくアレジをさばき、 2位に復帰すると、ヒルは22周目に1回目のピットに向かいます。
ココはイギリス、母国。シューマッハだけには負けられない。給油とタイヤ交換を11.0秒で終える。
予選とスタートダッシュで遅れたシューマッハ陣営の採った策は「ワンストップ」絶対的なペースでウィリアムズに分があるならば、ピット回数を減らしてペースを維持して前に出る。
焦らなくてもいい。ヒルにはあと一回ピットが控えているわけですから。シューマッハは61周レースの折り返し、31周目にピットへ。
一方で暫定的にトップに復帰するヒルはいずれもう一度ピットに入る必要があるため、ここからのラップが正念場。
シューマッハの1回目から10周後の41周目にヒルが2回目を終えます。今回は静止時間11.5秒。トラックインした時点でシューマッハとイコールコンディションとなるため、1回ピットが正か2回ピットが正かが明らかになります。
本線を走るシューマッハが前。シューマッハの1回ピット戦略成功!
しかし今回のヒルはいつものヒルとは一味違う。今までのように易々とやられるわけにはいかない。
何せココは自身の母国であり、チームの母国でもある。前年94年の雪辱を晴らしたい。
ヒルはフレッシュタイヤの利を活かして食らいつく。しかし起きてはならない出来事が起こるべくして起きてしまいます。
インを軽く空けるシューマッハ、そのインを強引にさすヒル
ヒルは左フロントタイヤからスモークを上げて
シューマッハと接触
両者マシンを傷めてリタイヤ。
「おい、何やってくれてんだよ。まったく!」
(ちーん、、)
マシンを強制的にリタイヤへ追い込まれたシューマッハは怒り心頭。
ヒルはコメント遠慮とマイクを遮る。
あまり思い出したくないという方も多くいると思いますが、同じイギリス、頂上対決での接触といえば、、、一昨年のハミルトンとフェルスタッペンの件が蘇ります。今回のこの接触は様々な見方ができます。現代の考え方をするならば、車体はシューマッハが明らかに前であり、後方のヒルは進入速度と進入角に無理があります。しかしシューマッハのライン採りも結構際どく、ヒルの走行ラインを早めに閉めるのではなく、あたかも引き込んでいる(待ち伏せ)ように見えなくもない。この件について当時のスチュワードはヒルとシューマッハ両者に責任があると結論付けています。余談ですが、シューマッハって、捨て身というかこういうちょっとグレーな走りも上手い(上手く盛り込む)ドライバーでもありましたね。憎たらしい(笑)
優勝候補、トップチームのエース対決が後味悪く終われば、次なる主役が生まれます。
シューマッハの相方で5番スタートだったハーバートと
ヒルの相方クルサードです。どちらもいわゆる「セカンド、、」ってやつ。ただセカンドとはいえトップチーム、どちらもイギリスが母国であり、どちらもF1初優勝がかかっています。これは千載一遇のチャンス!
先程両エースが倒れたコーナーでまたしても似た構図に。おいおい、今回は気を付けておくれよ。ハーバートはしっかりアウト側をキープしています。付かず離れずの攻防戦が続くものの、勝負は呆気ない形で幕切れとなります。
クルサードが2回目のピットの際に、電気系のトラブルもあってピットレーンの速度超過をしておりペナルティが下ってしまいました。
今日のベネトンのチームクルーが待っているのはいつものシューマッハではありません。
ハーバートです。参戦74戦目となかなかの遅咲き苦労人は敵陣の母国、自身の母国で初優勝を遂げました。
《決勝結果》
1 J・ハーバート(ベネトン・ルノー)
2 J・アレジ (フェラーリ)
3 D・クルサード(ウィリアムズ・ルノー)
表彰台の面々がなかなかの渋めですね。知名度も人気も実力も抜群の3人は結果的に「チャンピオン」には恵まれませんでした。
昨シーズンのイギリスGPはサインツが初優勝を遂げました(この流れでその話題されたら、サインツも、、)今シーズンも是非、初優勝者の生まれるGPがあるといいですね。最有力候補はやはり待たれるイギリス人のノリスかな?!いや案外別のドライバーだったりして。
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