雨続きだったスパも決勝はどうにかドライで迎えられそうです。いや、厚い雲もあるしわからないか。
スタートタイヤはソフトタイヤが13台、中団の7台がミディアムタイヤをチョイス。「らしくない」予選だったハースのヒュルケンベルグはミディアムを履き、ピットレーンスタートを選んでいます。
スタートではまず各車全体的にイン側のラインにマシンを振り、
鋭角なターン1、ラ・ソース手前でアウト側に振り直します。
ポールのルクレールが先頭でラ・ソースを通過していきます。フェラーリの問題はラディオンの先、ケメルストレートですね。
ほらほら来た来た、ペレスが。伸びるぞー!ルクレールのラップリードは1周目のレ・コーム手前までの命でした。ペレスがトップへ。
2周目のケメルストレートでの順位です。ミディアムを履き11番スタートの角田は8位まで順位を上げています。いいスタートを切りましたね。ただ5番スタートだったはずの好調ピアストリは最下位にいるぞ。
そしてストップ。一体何が?!
スタート直後のラ・ソースでハミルトン、サインツ、ピアストリのスリーワイドで内側にいたサインツとピアストリが接触していました。
ピアストリはギリギリのインラインを採るサインツの内側におり、ウォールに挟まれ身動きの取れない状況に。サインツにはサインツなりの言い分、ピアストリにはピアストリ側の言い分それぞれありますが、サインツは外側にハミルトンがいるわけで、スペースを空けようにも開けられないし、致し方が無いのかなというところでしょうか。ラ・ソースではこれまでに似た事例がいくつもあります。好調のピアストリのリタイヤは惜しまれますが、これもまたスパのレース。ピアストリも学習できたということで。
生き残る形となったサインツもタダでは済みませんでした。先日のスプリントでのペレスと同様にサイドポンツーンに穴。フェルスタッペンにアロンソと、みるみるうちに順位を落とし、7位に浮上した角田に突かれています。
5周目のレ・コームで角田がパス。これで6位に浮上。
6周目に3位ハミルトンをパスしたフェルスタッペンは9周目に早くもルクレールを射程圏内に捉えています。
こちらもレ・コーム進入で前に。これでレッドブルはワンツー体制。フェルスタッペンには交換ペナルティなんて何のペナルティにもならないんだって。そもそも、本来のポールシッターだし、普通に走って元サヤに戻るだけ。
6位を走行する角田は10周目にミディアムから再びミディアムに履き替えていきます。2回ピットは確定。
ピットアウトすると、スピード自慢のウィリアムズのアルボンの前。ただこれは抜かれても致し方が無い。角田のタイヤはまだ整っていないし、スピードは絶対的にウィリアムズが上。といつものアルファタウリならここでおしまい。しかしこの決勝の角田は一味違う。
オー・ルージュからピタリと背後につけ
レ・コームまでにパス。角田、冴えています。
13周目に4位ハミルトンがソフトからミディアムに履き替えると、翌14周目にトップのペレスと3位ルクレールが反応。
当然フェルスタッペンもそれに合わせ込み
ペレスよりも0.7秒早い静止時間でミディアムに履き替えて2位で復帰。
15周目にしてレッドブルの直接対決となります。ペレスは耐え凌ぐことができるのか。
最終シケインでテールトゥノーズに持ち込む。
同じ最速マシンでも、後ろのフェルスタッペンは破壊力抜群のDRSがあります。優劣は一目瞭然。
ストレートエンドでフェルスタッペンが前に。5人抜き完了。
18周目にスタンドが慌ただしくなる。決勝でもやっぱり来たか、雨です。16位を走行するノリスはこのタイミングでインターミディエイトを履くのかと思いきや、選んだのはドライのソフト。大丈夫か?!好調続きできたマクラーレンが18位まで後退してしまっています。
未だにタイヤ交換を行っていない7位ガスリー、8位ストロールに一度タイヤ交換を終えている角田が接近してきました。前はいずれピットストップがあるため、自動的に後退しますが、
ターン1出口でサイドバイサイドに持ち込み
即座にパス。
23周目に昨年まではチームメイト、今年から敵となったガスリーをケメルストレートで捉えて
パスして6位浮上。今回の角田は本当に調子がいい。観ていても不安要素が全く無く、頼もしくみえます。
レース中盤に雨が降り始めた際にドライのソフトをチョイスしたノリスですが、ペースが非常によく、さらにはなかなか保ちがいいという事実が発覚。角田にかわされたストロールをはじめ、角田や上位勢もソフトに履き替えるマシンが増えていきます。
一時期は18位まで後退したノリスはみるみるうちに順位を上げ、どうにか入賞圏内まで戻ってきました。25周目にラッセルをかわして9位、最終的には予選順位-1の6位入賞を果たしてピアストリ不在を最小限に留めています。
後半の35周目。2回目のピットでソフトを履き、順位をやや下げた角田はアルピーヌのオコンに詰め寄られています。
ケメルストレートではなく、その先レ・コームで
アウト(コーナーとしては左なのでイン)から並ばれて
オコンが前。角田は10位で久々の入賞圏内フィニッシュを果たしました。
今回も独りぼっちですぞ。誰か声かけてあげて下さい(笑)
《決勝結果》
1 フェルスタッペン(レッドブル・HRB)
2 ペレス (レッドブル・HRB)
3 ルクレール (フェラーリ・F)
ポールポジションを獲得しつつも6番スタートとなったフェルスタッペンは、予想通りのチーム内対決を早々と片付けて8戦連続となるシーズン10勝目を挙げました。落とした2勝はチームメイトのペレスが獲っていますから、シーズン12戦12勝、通算連勝記録は13に延ばしています。3位は第9戦オーストリアGPの2位以来となるルクレールがシーズン3回目の登壇。思ったよりペースダウンも無く、健闘したのではないでしょうか(というレベルのチームでもドライバーでもないのですが)
《ファステストラップとそのタイミング》
ハミルトン(メルセデス・M)1分47秒305
44周目/44周
《ドライバー・オブ・ザ・デイ》
フェルスタッペン(レッドブル・HRB)
《完走(扱い)台数と規定周回走破台数》
完走台数:18台(18台フィニッシュ)
規定周回:18台
ファステストラップは最終周のハミルトンが獲得。それもこれも、後続5位のアロンソに対してフリーストップを行えるマージンを築けた賜物。これもあって、ドライバーズランキング3位のアロンソとのポイント差はわずか1となりました。上回るのも時間の問題か。
《miyabikunの選ぶドライバー・オブ・ザ・デイ》
角田裕毅(アルファタウリ・HRB)
今回はレース序盤や中盤など、候補は一択でした。皆さんも多くの方がそう思ったことと思います。ひいき目無しにアルファタウリの角田くんで間違い無し!
順位的にはもっと上位のレースがいくつもあります(ちなみに最上位は2021年最終戦アブダビGPの4位入賞)ただmiyabikunの中ではこれまでのキャリアで一番輝きをみせていたのではないかなと思っています。テレビカメラも都度その様子を映してくれていたので、いつも以上に頑張りがよく伝わりました。最近の角田はまずスタートでドカンと順位を上げてきます。レースの基本であり、近年のF1においては隊列の短いうちに一つでも順位を上げるのに最適な戦術。順位を落とす若手が多い中、角田は確実にそこでゲインできるようになりました。どうしても乗っているマシンが速くないこと、またそれを補うどころか足を引っ張ってばかりの戦略とそのタイミングがもどかしいですが、今の角田はこの環境でアピールするしかありません。雑音も多いことでしょうが、あまりイライラせず、見る人は見てくれていると信じて奮起を続けてもらえたらと思います。世間では「いずれ上級チームのレッドブルに」という期待が大きいと思いますが、miyabikun個人的には角田が長くF1に携わるのであれば、あまりオススメできません。「フェルスタッペンの護衛、お膳立て要員」に終わるだけ。ならばガスリーやアルボン先輩のように、時期が来たら卒業して、他に活路を見出した方がいいと思っています(勝手な想像ね。ファンの方々、怒らないでね)
次点はノリスでした。レース序盤のダラダラに加え、降り始めでソフトタイヤを履いた時には一発逆転を狙ったやけっぱちだと思ってしまいました。ところがどっこい、そのソフトタイヤが環境にどハマりして最後尾から入賞圏内までリカバーしちゃうというのには驚きました。今回は終始ピアストリにお株を奪われていたのも意外でした。これまでの好調さから鳴りを潜めてしまうと思いませんでしたね。
《miyabikunの選ぶ「ザ・ワースト」》
該当無し
スタート直後のサインツとピアストリは双方言い分があると思いますが、あれがスパのターン1。あの鋭角ターンでのスタートにおいて充分留意しなければならないポイントです。両成敗ということで、決勝も悪かった者は無し。
《ドライバーズポイントランキング》
1 → フェルスタッペン 314pts
2 → ペレス 189pts(-125pts)
3 → アロンソ 149pts (-40pts)
4 → ハミルトン 148pts (-1pt)
5 ↑ ルクレール 99pts (-49pts)
《コンストラクターズポイントランキング》
1 → レッドブル 503pts
2 → メルセデス 247pts(-256pts)
3 → アストンマーティン 196pts (-51pts)
4 → フェラーリ 191pts (-5pts)
5 → マクラーレン 103pts (-88pts)
ドライバーズランキング4位までは毎回変わらず、5位が毎戦入れ替わるような形で進行しています。ランキングトップ、2位は概ね決まりで、3位と4位が入れ替わりそうな予感。アロンソのシーズン序盤の貯金がメルセデスやマクラーレンドライバーの活躍により、相殺されつつあります。コンストラクターズランキングも3位アストンマーティンと4位フェラーリの差が詰まってきました。ドライバーズの3位4位よりも時間を要しそうですが、こちらも入れ替わりは時間の問題かも。
《第12戦ベルギーGPのポイント》
・ペナルティはペナルティならず、結局全勝ち
・ウェットもう懲り懲り。ちょい降りはソフトが正
・ピアストリフィーバーはターン1で散る
・角田のパッシングシーンをこれから沢山映して
1戦減となった2023シーズンも前半12戦が終わりました。レッドブルしか勝てていないという異例かつ伝説的なシーズンをヨシとするか問題とするか、立場や思い入れで様々な受け取り方ができます。スポーツ、勝負事で勝つことは悪いことではありません。むしろ褒めるべきです。問題はそこまで勝ちを許してしまったライバル達にある。miyabikunはそう思います。間違っても全戦優勝なんて「情けないシーズン」にならないことを祈りつつ、暫し休息してもらい、後半戦に新たな流れや競争が観られることを楽しみにしたいと思います。
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