前回のアップからだいぶ時間が空いてしまいました。ずっと寝ていたというわけではなく、データ的には早い段階で整って少しずつ書き進めてはいたのですが、なかなか時間が取れず今日に至ります。miyabikunはまだ感染もせず何とか生きてはおりますです(笑)
にほんブログ村
ところで皆さん覚えていますでしょうか。miyabikun昨シーズンのGPウィークは「優勝可能な予選順位」と題して、開催サーキット(予定を含む)22サーキットの歴代優勝者の予選順位をまとめていました。シーズン開幕や合同テストまでまだ少し時間がありますので、この場を借りて抽出したサーキット毎のデータをまとめて、サーキットや時代別に優勝者の違いがあるのかまとめと検証したいと思います。今回は「サーキット別」に括りました。
《サーキット別サンプル抽出数》
モンツァ 71回 (6回)
モンテカルロ市街地 67回(11回)
シルバーストン 56回(10回)
スパ・フランコルシャン 54回(16回)
ジル・ヴィルヌーブ 40回 (5回)
カルロス・パーチェ 38回(11回)
ハンガロリンク 36回 (5回)
レッドブルリンク 35回 (4回)
カタロニア 31回 (3回)
鈴鹿 31回 (6回)
エンツォ・フェラーリ 29回 (7回)
アルバートパーク 24回 (2回)
エルマノス・ロドリゲス 21回 (0回)
バーレーン国際 17回 (0回)
ポール・リカール 17回 (0回)
上海国際 16回 (6回)
ヤス・マリーナ 12回 (1回)
マリーナ・ベイ市街地 12回 (1回)
イスタンブールパーク 9回 (3回)
COTA 9回 (1回)
ソチ 8回 (1回)
バクー市街地 5回 (0回)
( )内はウェット路面でのレース
上の一覧は対象数、つまり開催回数の多い順で並べています。一方グラフの順番にあまり意味はありません(データ整理した順くらいとお考え下さい)が、以下のグラフ関連と順番は揃えてありますので比較はし易いはずです。グラフのオレンジ帯はその数のうち「ドライ環境で行われた決勝レース数」を示し、グラフの水色の帯および上記( )に示された数は「決勝中や決勝前に雨が降り、ウェット環境(と思われる)決勝レース数」を示します。当時「濡」と添えていたものです。決勝レースの順位には天候や路面環境が影響されると考えて区別しましたので、今後この分けも検証に使用していますので参考下さい。
昨シーズン22サーキットで行ったデータは「現在のF1カレンダーに選ばれているもの(中止も含む)であり、全サーキットと全決勝レースをカバーできていません。またペナルティなどによる決勝スターティンググリッド降格も反映されていない点もご了承下さい(かなり大事なことなのに、やり出してしばらくしてから気付いちゃったのねー)このグラフと結果については、GP開催開始時期の違いがあるため、数字の大小は仕方無いというか問題にはしません。歴史あるサーキットがサンプル数が多く、近代より始まったところは必然的に数が少なくなります。
《サーキット別ウェットレース率》
上海国際 37.5%
イスタンブールパーク 33.3%
スパ・フランコルシャン 29.6%
カルロス・パーチェ 28.9%
エンツォ・フェラーリ 24.1%
鈴鹿 19.4%
シルバーストン 17.9%
モンテカルロ市街地 16.4%
ハンガロリンク 13.9%
ジル・ヴィルヌーブ 12.5%
ソチ 12.5%
レッドブルリンク 11.4%
COTA 11.1%
カタロニア 9.7%
モンツァ 8.5%
アルバートパーク 8.3%
マリーナ・ベイ市街地 8.3%
ヤス・マリーナ 7.7%
バーレーン国際 0.0%
バクー市街地 0.0%
ポール・リカール 0.0%
エルマノス・ロドリゲス 0.0%
前段でもう一つ。先程の抽出数(およびウェット路面レース数)を単純比較すると、オールドサーキットと新興サーキットの差が大きく見えるものですが「決勝レースのウェット路面レース率」とすれば見え方が少し変わります。最も多い割合でウェット路面の決勝レースが行われたのは上海国際サーキットの中国GPとなります。その割合は37.5%に及び、いわば「3回に1回はウェット路面のレース」という結果となりました。ほか上位ではスパウェザーで有名なベルギーGPが29.6%、雨で大荒れするイメージの強いブラジルGPのホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)も28.9%となっています。鈴鹿もまあまあ上位の位置付けですね。日本の10月はまだまだ台風到来のシーズンで、過去にはセッション自体が無かった年もありました。
逆にバーレーン国際、バクー市街地、ポール・リカール、エルマノス・ロドリゲスの4サーキットはmiyabikun調べではウェット路面でのレースは無い記憶です。雨の要素は波乱や番狂わせを呼ぶ要素ではあるのですが、できればF1はドライ環境でバトルできるのが一番ですね。
前段はこのくらいにして、以下でようやく検証に入りたいと思います。同じような配列が続きますが、全部異なる数字なので目を凝らしてついてきて下さいね。
《優勝を挙げた平均予選順位》
まずは率直に全時代におけるサーキット別の優勝者の予選平均順位を挙げます。もちろんF1はこれまで度々の異なるマシンレギュレーションやサーキットのレイアウト変更を経ているわけですが、今回それを踏まえると非常に複雑な検証になるので、サーキット単位に集約させていただきました。
〈全天候〉
カタロニア 1.45位
ヤス・マリーナ 1.54位
COTA 1.56位
イスタンブールパーク 1.89位
ポール・リカール 1.94位
バーレーン国際 2.00位
上海国際 2.25位
ソチ 2.25位
カルロス・パーチェ 2.26位
エンツォ・フェラーリ 2.31位
モンテカルロ市街地 2.37位
シルバーストン 2.38位
鈴鹿 2.39位
ハンガロリンク 2.47位
エルマノス・ロドリゲス 2.52位
ジル・ヴィルヌーブ 2.70位
アルバートパーク 2.71位
マリーナ・ベイ市街地 2.83位
スパ・フランコルシャン 2.98位
レッドブルリンク 3.03位
モンツァ 3.06位
バクー市街地 4.20位
最も予選順位の低い(つまり前方スタート寄り)サーキットはスペインGPのカタロニアサーキットの1.45位でした。温暖な気候とストレートに各種コーナーが取り揃うカタロニアといえば、近年は開幕前合同テストの地としての役割を果たしているわけですが、レースとなると抜けないのが玉に瑕。この後集計していますが、ここでの優勝者はポールポジションから5番グリッドまでしか輩出していません。ほかの「低い」上位はこちらも抜けないで有名なアブダビGPのヤス・マリーナが平均1.54位、サーキットレイアウトはまあまあ好評なアメリカGPのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(通称COTA)が平均1.56位、こちらも好評なレイアウトながら近年は路面状況で荒れたトルコGPのイスタンブールパークが平均1.89位と続いています。平均して1位台ということは、開催回数の半分以上がポールポジションからの優勝が占めているということになります(このあたりの数値はこの後まとめています)
一方で平均値が高い(後方スタートからの優勝が多い)サーキットはアゼルバイジャンGPのバクー市街地の平均4.20位を筆頭に、イタリアGPのモンツァが平均3.06位、オーストリアGPのレッドブルリンクが3.03位となっています。見た目や立地はだいぶ違えど、いずれもスピード自慢のサーキットが多いように感じます。鋭角コーナーにズバッと切り込むレッドブルリンクは想像できますが、モンツァがココにくるのは意外でした。バクー市街地は2016年の初開催がポールトゥウィン、2年目はリカルドの10番手からの優勝、3年目が2番手、4年目がポールトゥウィン、2020年の非開催を挟んだ昨年5年目がペレスによる7番手からの優勝と、完全にリカルドとペレスに引っ張られた値となりました。2番目のレッドブルリンクもバクーほどではないもののポールから3番手までの優勝が多い中、1977年のエステルライヒリンク時代にジョーンズが14番手から濡れた路面での優勝を挙げており、平均値も上げています。近年は抜けないイメージが強くなりつつあるモンツァも90年代まではむしろポールトゥウィンの方が少ない傾向にありました。
今回はマシン差やレイアウト、路面状況を考慮せず、あくまでサーキット別にえいやで平均値を割り出したため、このような異常値(なんて言い方をしたら、下位スタートから頑張って優勝したドライバーに失礼か)ともいえる順位まで含めたことで精度に欠ける結果になってしまっていることも否めません。ではココで今までコツコツと集めた「荒れ要素」となりうるウェット路面のレースを除いて再度平均値を割り出してみましょう。
〈ドライのみ〉
イスタンブールパーク 1.17位(-0.72位)
カタロニア 1.39位(-0.06位)
COTA 1.50位(-0.06位)
ヤス・マリーナ 1.58位(+0.04位)
ポール・リカール 1.94位(±0位)
バーレーン国際 2.00位(±0位)
上海国際 2.00位(-0.25位)
ソチ 2.00位(-0.25位)
モンテカルロ市街地 2.09位(-0.28位)
エンツォ・フェラーリ 2.14位(-0.17位)
カルロス・パーチェ 2.19位(-0.08位)
ハンガロリンク 2.23位(-0.25位)
アルバートパーク 2.27位(-0.44位)
シルバーストン 2.30位(-0.07位)
ジル・ヴィルヌーブ 2.37位(-0.33位)
エルマノス・ロドリゲス 2.52位(±0位)
鈴鹿 2.60位(+0.21位)
レッドブルリンク 2.61位(-0.42位)
マリーナ・ベイ市街地 2.64位(-0.20位)
スパ・フランコルシャン 2.89位(-0.09位)
モンツァ 3.02位(-0.04位)
バクー市街地 4.20位(±0位)
( )内は全天候の平均値との差
平均順位の隣のカッコ書きは先程の全天候の平均値からの差を示します。マイナスはウェット路面を外したことにより平均値が下がったもの。プラスは逆に平均値が上がったものとなります。完全ドライのレースしか行われていない4サーキットは変化がありませんが、先程の全天候の平均値と比べて多少の変化がみられました。
平均値の最低はカタロニアに代わってイスタンブールパークが台頭。それも平均値は驚きの1.17位ということで、ほぼほぼポールトゥウィン(笑)一代前の開幕戦の代名詞であるオーストラリアのアルバートパークやレッドブルリンクもドライのみを抜粋したことで-0.4位近く数値が低くなりました。やはりウェットは後方スタートからの逆転に有利な環境を生む要素と言えそうです。また平均値から読み解くと現在(昨年まで)のF1においては、予選2番手、強いて3番手にいないと、優勝に辿り着けない感じでしょうか。
この結果における変わり種といえば、ドライのみに絞ったら平均順位が増したものが2つありました。ヤス・マリーナと鈴鹿です。ヤス・マリーナは0.04位の微増といったところですが、鈴鹿についてはまあまあ大きめな0.42位も増加しています。何なんだろ、わかりません。鈴鹿といえば幅員が狭くテクニカルなドライバーズサーキットの一つとして数えられます。天候によらない「ドライバーとマシンの相性」で決まってくるのかな。
《ポールトゥウィン》
次はポールポジションからの優勝、すなわちポールトゥウィンについて整理していきます。
〈回数〉
モンテカルロ市街地 29回
モンツァ 24回
カタロニア 23回
スパ・フランコルシャン 21回
シルバーストン 20回
ジル・ヴィルヌーブ 19回
カルロス・パーチェ 17回
ハンガロリンク 15回
鈴鹿 15回
レッドブルリンク 12回
ポール・リカール 11回
エルマノス・ロドリゲス 10回
エンツォ・フェラーリ 9回
アルバートパーク 9回
上海国際 9回
マリーナ・ベイ市街地 8回
ヤス・マリーナ 8回
バーレーン国際 7回
イスタンブールパーク 5回
COTA 5回
バクー市街地 2回
ソチ 2回
このデータは天候や路面に関係無く、全天候を対象としています。当初はフロントロウ(スターティンググリッド1列目)についても調べてみようと思ったのですが、オールドサーキットは特にフロントロウに2台以上並ぶ時代やポールポジションがアウトやインで入れ替わることもあるので諦めました。
ポールトゥウィン数については、当然ながら開催回数が多ければこちらも多くなるため、あまりこの回数のみでは議論できません。指標になるのはこの次の「ポールトゥウィン率」になります。
〈勝率〉
カタロニア 74.2%
マリーナ・ベイ市街地 66.7%
ポール・リカール 64.7%
ヤス・マリーナ 61.5%
上海国際 56.3%
イスタンブールパーク 55.6%
COTA 55.6%
鈴鹿 48.4%
エルマノス・ロドリゲス 47.6%
ジル・ヴィルヌーブ 47.5%
カルロス・パーチェ 44.7%
モンテカルロ市街地 43.3%
ハンガロリンク 42.7%
バーレーン国際 41.2%
バクー市街地 40.0%
スパ・フランコルシャン 38.9%
アルバートパーク 37.5%
シルバーストン 35.7%
レッドブルリンク 34.3%
モンツァ 33.8%
エンツォ・フェラーリ 31.0%
ソチ 25.0%
ラインナップをみると、概ね平均順位の上位がこちらも上位付近に並んできます。ポールトゥウィン最高率はカタロニアの74.2%。4回中3回がポールトゥウィンとなる割合です。カタロニアは予選が全てと言われる所以ですね。カタロニアは(シルバーストンや鈴鹿も?)度々、トラクションや旋回、ブレーキ等々「マシンの総合力を問われる」なんて言われます。それはどちらかといえば決勝レースよりも予選時点から問われるということになります。カタロニアはトラック幅員が広いわけではありませんし、各種速度域のコーナーは揃っているもののパッシングの決め手となるコーナーは限られています。またカタロニアでのスペインGPはシーズン序盤のヨーロッパラウンドの初っ端に行われることが多く、ヨーロッパに拠点を置く多くのチームはココで大幅アップデートを行います。ココで当たればシーズンを有利に運べますし、外せば立て続くヨーロッパラウンドで忙しくなる。結構重要な位置付けのサーキットですね(スペインGPのレース自体を面白いと捉えるか、つまらないと捉えるかは別)
再びラインナップをぼんやりみていると、ポールトゥウィン率上位は開催10〜20年クラスの比較的新しめのサーキットが並び、下位は改修はあれど年代モノのオールドサーキットが集まっているようにみえます。近年は建築家であるヘルマン・ティルケが監修したサーキットが多く点在します。もちろんその土地に合った条件や思想、さらには近年の安全対策の要素もありますし、全てがティルケの意見によるレイアウトというわけではないものの、近年の追い抜きの少ない、困難な状況はマシン幅員や空力付加物の有無、ドライバーの力量やペナルティ云々といったソフト側以外にもハード側、つまりサーキットのレイアウトも遠因になり得ます。この手の話になると毎度「エンターテイメントと安全性」という相反する問題がぶつかります。これらがうまく調和したレースが行えるのが究極ですね。
ポールポジションはその年のマシンでそのサーキット一周を最速で走り抜けたという称号であり特権ですから、決勝レースの優勝に最も有利な位置であるのは当然なこと。たださすがに「勝率7割以上」は高過ぎですし、決勝レースを観なくてもほぼほぼ予選で決まりじゃん、はいただけません。せめてポールポジションからの勝率は5割位で、中団からもトップを狙える権利があるという具合が理想的かなとmiyabikunは思います。
今回最後の注目点はポールトゥウィンの逆、サーキット別の下位スタートの限界値を探ってみます。
《優勝を挙げた予選最後位》
〈全天候〉
COTA 3番手
バーレーン国際 4番手
ソチ 4番手
ヤス・マリーナ 4番手
エンツォ・フェラーリ 5番手
カタロニア 5番手
ポール・リカール 5番手
上海国際 6番手
イスタンブールパーク 6番手
シルバーストン 7番手
カルロス・パーチェ 8番手
バクー市街地 10番手
ジル・ヴィルヌーブ 10番手
アルバートパーク 11番手
モンツァ 11番手
ハンガロリンク 12番手
エルマノス・ロドリゲス 13番手
モンテカルロ市街地 14番手
レッドブルリンク 14番手
マリーナ・ベイ市街地 15番手
スパ・フランコルシャン 16番手
鈴鹿 17番手
初めはドライもウェットも引っくるめた全天候での結果です。これは平均値ではなく下位優勝者の予選順位そのものですので、小数点以下の無い整数です。またグラフの方は今までの決勝レース出場数最多の26番手から表現しています。
「予選最後位」の最前位はアメリカGPの舞台のCOTAの予選3番手(ペナルティによる昇格のため、実質2番手)からでした。2018年のライコネンのラストウィンです。優勝がポールと2番手と3番手に限られているってのもすごいというか、予選順位でアタリがついてしまうというのもつまらない話ですね(笑)近代サーキットの中でもCOTAはまだ抜ける要素があるように感じますが、実際は勝てていません。4番手最後位はバーレーン国際、ソチ、ヤスマリの3サーキット。これらは全てティルケデザイン。近代F1=ティルケ多い=抜き難い、の構図が何となくみえてきそうです。
今回抽出の最後位の後方はシンガポールGPのマリーナ・ベイ市街地が15番手、スパ・フランコルシャンが16番手、そして我らが鈴鹿の17番手と続いています。それぞれ各GP前にクローズアップしたので、ご記憶にある方も多くいらっしゃると思いますが、マリーナ・ベイ市街地は開催初年の2008年に古巣ルノーに戻ったアロンソが「チームの指示により」遂行されたある出来事の助けもあって、追い抜きが比較的困難とされたレースで大金星を得たもの。スパはもう少し遡ること1995年にベネトンで連覇をかけたM・シューマッハが雨に翻弄されたレースを獲ってなし得ました。鈴鹿は今でも語り草となっている2005年のライコネンがリバースグリッド状態で下位スタートを強いられたのをものともせず、晴れた決勝で猛チャージをかけ、ファイナルラップに差し掛かかった直後に逆転したレースでした。振り返ると三者とも通常ではあまりあり得ないレース展開であり、特にマリーナ・ベイ市街地と鈴鹿の2つは「一部意図的な操作」も絡んだ荒れ模様でしたね。マリーナ・ベイ市街地の方はアロンソ自体に非は無いものののちに「クラッシュゲート」と呼ばれ、大問題になった事案。また鈴鹿の方は決勝前日の予選1アタックラップが雨による公平な環境で行えなかったことに加え、決勝でライコネン同様にハイペースで順位を上げたアロンソのショートカットとペナルティ回避対応にモタついたことで狂いを生みました。いずれにしても、これら出来事が劇的な下位スタートの優勝を演出しました。面白いことにこの2レースのどちらもアロンソがひと噛みしているという(笑)
決勝レースのウェット環境によって平均予選順位の多くは平均値を上げる形となりました。それではこの予選最後位もウェット環境を外すことにより厳選されるものなのかを確かめてみました。
〈ドライのみ〉
イスタンブールパーク 2番手(-4)
ソチ 3番手(-1)
COTA 3番手(±0)
バーレーン国際 4番手(±0)
ヤス・マリーナ 4番手(±0)
エンツォ・フェラーリ 5番手(±0)
カタロニア 5番手(±0)
ポール・リカール 5番手(±0)
シルバーストン 6番手(-1)
上海国際 6番手(±0)
カルロス・パーチェ 6番手(-2)
レッドブルリンク 7番手(-7)
アルバートパーク 7番手(-4)
ジル・ヴィルヌーブ 8番手(-2)
モンテカルロ市街地 9番手(-5)
バクー市街地 10番手(±0)
モンツァ 11番手(±0)
ハンガロリンク 12番手(±0)
スパ・フランコルシャン 12番手(-4)
エルマノス・ロドリゲス 13番手(±0)
マリーナ・ベイ市街地 15番手(±0)
鈴鹿 17番手(±0)
( )内は全天候の順位との差
22サーキットの中で9サーキットは順位を上げる結果となりましたが、残る13サーキットは変化無し(つまり最後位優勝はドライ環境によるもの)となりました。想像していたよりかは影響力が小さいように感じます。
平均順位の時と同様に、ドライに絞ればイスタンブールパークの出番になります。ドライでの優勝はポールと2番手からしか生まれていない!フロントロウあるのみ!わかりやすい!(笑)ドライ環境ならば、そちはどうなんじゃ?!ソチはCOTAに並ぶ3番手までじゃ、となりました。やっぱり近代サーキットが上位に並ぶことには変わりありません。最も順位を上げた(下位優勝を狭めた)のはレッドブルリンクの-7位で7番手まで。モナコGPのモンテカルロ市街地も-5位となる9番手に狭められています。先程のマリーナ・ベイ市街地と鈴鹿はドライ環境の結果であるため変化はありませんでした。ちなみに下位の2つ、もしマリーナ・ベイ市街地の15番手をこのレースを省いたとすると、優勝平均予選順位は1.40位(ドライのみ)にまで下がります。また今回抽出最後位からの優勝を挙げた2005年日本GPのライコネンを仮に省くと、平均2.00位(同じくドライのみ)まで下がりました。やはり先述の通り、両者とも一般的には予選上位が有利、決勝レースでの挽回は難しめの位置付けであり、サーキット特性から考えても、今後はこのような順位からの優勝はほぼ無いと思っていいのではないでしょうか。
なお、今回は対象から漏れてしまいましたが、F1で最も後方順位からの優勝は以前「下位スタートから勝利した強者たち」でも書いた時から変わらず、1983年のロングビーチ市街地で行われたアメリカ西GPの予選22番手から優勝を挙げたワトソンのままです。
《サーキット別の優勝可能な予選順位まとめ》
・近代サーキットは予選上位が有利で追い抜きが難
検証に入る前の前段として、まずは今回対象になるサーキットとその数をおさらいしておきます。
《サーキット別サンプル抽出数》
モンツァ 71回 (6回)
モンテカルロ市街地 67回(11回)
シルバーストン 56回(10回)
スパ・フランコルシャン 54回(16回)
ジル・ヴィルヌーブ 40回 (5回)
カルロス・パーチェ 38回(11回)
ハンガロリンク 36回 (5回)
レッドブルリンク 35回 (4回)
カタロニア 31回 (3回)
鈴鹿 31回 (6回)
エンツォ・フェラーリ 29回 (7回)
アルバートパーク 24回 (2回)
エルマノス・ロドリゲス 21回 (0回)
バーレーン国際 17回 (0回)
ポール・リカール 17回 (0回)
上海国際 16回 (6回)
ヤス・マリーナ 12回 (1回)
マリーナ・ベイ市街地 12回 (1回)
イスタンブールパーク 9回 (3回)
COTA 9回 (1回)
ソチ 8回 (1回)
バクー市街地 5回 (0回)
( )内はウェット路面でのレース
上の一覧は対象数、つまり開催回数の多い順で並べています。一方グラフの順番にあまり意味はありません(データ整理した順くらいとお考え下さい)が、以下のグラフ関連と順番は揃えてありますので比較はし易いはずです。グラフのオレンジ帯はその数のうち「ドライ環境で行われた決勝レース数」を示し、グラフの水色の帯および上記( )に示された数は「決勝中や決勝前に雨が降り、ウェット環境(と思われる)決勝レース数」を示します。当時「濡」と添えていたものです。決勝レースの順位には天候や路面環境が影響されると考えて区別しましたので、今後この分けも検証に使用していますので参考下さい。
昨シーズン22サーキットで行ったデータは「現在のF1カレンダーに選ばれているもの(中止も含む)であり、全サーキットと全決勝レースをカバーできていません。またペナルティなどによる決勝スターティンググリッド降格も反映されていない点もご了承下さい(かなり大事なことなのに、やり出してしばらくしてから気付いちゃったのねー)このグラフと結果については、GP開催開始時期の違いがあるため、数字の大小は仕方無いというか問題にはしません。歴史あるサーキットがサンプル数が多く、近代より始まったところは必然的に数が少なくなります。
《サーキット別ウェットレース率》
上海国際 37.5%
イスタンブールパーク 33.3%
スパ・フランコルシャン 29.6%
カルロス・パーチェ 28.9%
エンツォ・フェラーリ 24.1%
鈴鹿 19.4%
シルバーストン 17.9%
モンテカルロ市街地 16.4%
ハンガロリンク 13.9%
ジル・ヴィルヌーブ 12.5%
ソチ 12.5%
レッドブルリンク 11.4%
COTA 11.1%
カタロニア 9.7%
モンツァ 8.5%
アルバートパーク 8.3%
マリーナ・ベイ市街地 8.3%
ヤス・マリーナ 7.7%
バーレーン国際 0.0%
バクー市街地 0.0%
ポール・リカール 0.0%
エルマノス・ロドリゲス 0.0%
前段でもう一つ。先程の抽出数(およびウェット路面レース数)を単純比較すると、オールドサーキットと新興サーキットの差が大きく見えるものですが「決勝レースのウェット路面レース率」とすれば見え方が少し変わります。最も多い割合でウェット路面の決勝レースが行われたのは上海国際サーキットの中国GPとなります。その割合は37.5%に及び、いわば「3回に1回はウェット路面のレース」という結果となりました。ほか上位ではスパウェザーで有名なベルギーGPが29.6%、雨で大荒れするイメージの強いブラジルGPのホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)も28.9%となっています。鈴鹿もまあまあ上位の位置付けですね。日本の10月はまだまだ台風到来のシーズンで、過去にはセッション自体が無かった年もありました。
逆にバーレーン国際、バクー市街地、ポール・リカール、エルマノス・ロドリゲスの4サーキットはmiyabikun調べではウェット路面でのレースは無い記憶です。雨の要素は波乱や番狂わせを呼ぶ要素ではあるのですが、できればF1はドライ環境でバトルできるのが一番ですね。
前段はこのくらいにして、以下でようやく検証に入りたいと思います。同じような配列が続きますが、全部異なる数字なので目を凝らしてついてきて下さいね。
《優勝を挙げた平均予選順位》
まずは率直に全時代におけるサーキット別の優勝者の予選平均順位を挙げます。もちろんF1はこれまで度々の異なるマシンレギュレーションやサーキットのレイアウト変更を経ているわけですが、今回それを踏まえると非常に複雑な検証になるので、サーキット単位に集約させていただきました。
〈全天候〉
カタロニア 1.45位
ヤス・マリーナ 1.54位
COTA 1.56位
イスタンブールパーク 1.89位
ポール・リカール 1.94位
バーレーン国際 2.00位
上海国際 2.25位
ソチ 2.25位
カルロス・パーチェ 2.26位
エンツォ・フェラーリ 2.31位
モンテカルロ市街地 2.37位
シルバーストン 2.38位
鈴鹿 2.39位
ハンガロリンク 2.47位
エルマノス・ロドリゲス 2.52位
ジル・ヴィルヌーブ 2.70位
アルバートパーク 2.71位
マリーナ・ベイ市街地 2.83位
スパ・フランコルシャン 2.98位
レッドブルリンク 3.03位
モンツァ 3.06位
バクー市街地 4.20位
最も予選順位の低い(つまり前方スタート寄り)サーキットはスペインGPのカタロニアサーキットの1.45位でした。温暖な気候とストレートに各種コーナーが取り揃うカタロニアといえば、近年は開幕前合同テストの地としての役割を果たしているわけですが、レースとなると抜けないのが玉に瑕。この後集計していますが、ここでの優勝者はポールポジションから5番グリッドまでしか輩出していません。ほかの「低い」上位はこちらも抜けないで有名なアブダビGPのヤス・マリーナが平均1.54位、サーキットレイアウトはまあまあ好評なアメリカGPのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(通称COTA)が平均1.56位、こちらも好評なレイアウトながら近年は路面状況で荒れたトルコGPのイスタンブールパークが平均1.89位と続いています。平均して1位台ということは、開催回数の半分以上がポールポジションからの優勝が占めているということになります(このあたりの数値はこの後まとめています)
一方で平均値が高い(後方スタートからの優勝が多い)サーキットはアゼルバイジャンGPのバクー市街地の平均4.20位を筆頭に、イタリアGPのモンツァが平均3.06位、オーストリアGPのレッドブルリンクが3.03位となっています。見た目や立地はだいぶ違えど、いずれもスピード自慢のサーキットが多いように感じます。鋭角コーナーにズバッと切り込むレッドブルリンクは想像できますが、モンツァがココにくるのは意外でした。バクー市街地は2016年の初開催がポールトゥウィン、2年目はリカルドの10番手からの優勝、3年目が2番手、4年目がポールトゥウィン、2020年の非開催を挟んだ昨年5年目がペレスによる7番手からの優勝と、完全にリカルドとペレスに引っ張られた値となりました。2番目のレッドブルリンクもバクーほどではないもののポールから3番手までの優勝が多い中、1977年のエステルライヒリンク時代にジョーンズが14番手から濡れた路面での優勝を挙げており、平均値も上げています。近年は抜けないイメージが強くなりつつあるモンツァも90年代まではむしろポールトゥウィンの方が少ない傾向にありました。
今回はマシン差やレイアウト、路面状況を考慮せず、あくまでサーキット別にえいやで平均値を割り出したため、このような異常値(なんて言い方をしたら、下位スタートから頑張って優勝したドライバーに失礼か)ともいえる順位まで含めたことで精度に欠ける結果になってしまっていることも否めません。ではココで今までコツコツと集めた「荒れ要素」となりうるウェット路面のレースを除いて再度平均値を割り出してみましょう。
〈ドライのみ〉
イスタンブールパーク 1.17位(-0.72位)
カタロニア 1.39位(-0.06位)
COTA 1.50位(-0.06位)
ヤス・マリーナ 1.58位(+0.04位)
ポール・リカール 1.94位(±0位)
バーレーン国際 2.00位(±0位)
上海国際 2.00位(-0.25位)
ソチ 2.00位(-0.25位)
モンテカルロ市街地 2.09位(-0.28位)
エンツォ・フェラーリ 2.14位(-0.17位)
カルロス・パーチェ 2.19位(-0.08位)
ハンガロリンク 2.23位(-0.25位)
アルバートパーク 2.27位(-0.44位)
シルバーストン 2.30位(-0.07位)
ジル・ヴィルヌーブ 2.37位(-0.33位)
エルマノス・ロドリゲス 2.52位(±0位)
鈴鹿 2.60位(+0.21位)
レッドブルリンク 2.61位(-0.42位)
マリーナ・ベイ市街地 2.64位(-0.20位)
スパ・フランコルシャン 2.89位(-0.09位)
モンツァ 3.02位(-0.04位)
バクー市街地 4.20位(±0位)
( )内は全天候の平均値との差
平均順位の隣のカッコ書きは先程の全天候の平均値からの差を示します。マイナスはウェット路面を外したことにより平均値が下がったもの。プラスは逆に平均値が上がったものとなります。完全ドライのレースしか行われていない4サーキットは変化がありませんが、先程の全天候の平均値と比べて多少の変化がみられました。
平均値の最低はカタロニアに代わってイスタンブールパークが台頭。それも平均値は驚きの1.17位ということで、ほぼほぼポールトゥウィン(笑)一代前の開幕戦の代名詞であるオーストラリアのアルバートパークやレッドブルリンクもドライのみを抜粋したことで-0.4位近く数値が低くなりました。やはりウェットは後方スタートからの逆転に有利な環境を生む要素と言えそうです。また平均値から読み解くと現在(昨年まで)のF1においては、予選2番手、強いて3番手にいないと、優勝に辿り着けない感じでしょうか。
この結果における変わり種といえば、ドライのみに絞ったら平均順位が増したものが2つありました。ヤス・マリーナと鈴鹿です。ヤス・マリーナは0.04位の微増といったところですが、鈴鹿についてはまあまあ大きめな0.42位も増加しています。何なんだろ、わかりません。鈴鹿といえば幅員が狭くテクニカルなドライバーズサーキットの一つとして数えられます。天候によらない「ドライバーとマシンの相性」で決まってくるのかな。
《ポールトゥウィン》
次はポールポジションからの優勝、すなわちポールトゥウィンについて整理していきます。
〈回数〉
モンテカルロ市街地 29回
モンツァ 24回
カタロニア 23回
スパ・フランコルシャン 21回
シルバーストン 20回
ジル・ヴィルヌーブ 19回
カルロス・パーチェ 17回
ハンガロリンク 15回
鈴鹿 15回
レッドブルリンク 12回
ポール・リカール 11回
エルマノス・ロドリゲス 10回
エンツォ・フェラーリ 9回
アルバートパーク 9回
上海国際 9回
マリーナ・ベイ市街地 8回
ヤス・マリーナ 8回
バーレーン国際 7回
イスタンブールパーク 5回
COTA 5回
バクー市街地 2回
ソチ 2回
このデータは天候や路面に関係無く、全天候を対象としています。当初はフロントロウ(スターティンググリッド1列目)についても調べてみようと思ったのですが、オールドサーキットは特にフロントロウに2台以上並ぶ時代やポールポジションがアウトやインで入れ替わることもあるので諦めました。
ポールトゥウィン数については、当然ながら開催回数が多ければこちらも多くなるため、あまりこの回数のみでは議論できません。指標になるのはこの次の「ポールトゥウィン率」になります。
〈勝率〉
カタロニア 74.2%
マリーナ・ベイ市街地 66.7%
ポール・リカール 64.7%
ヤス・マリーナ 61.5%
上海国際 56.3%
イスタンブールパーク 55.6%
COTA 55.6%
鈴鹿 48.4%
エルマノス・ロドリゲス 47.6%
ジル・ヴィルヌーブ 47.5%
カルロス・パーチェ 44.7%
モンテカルロ市街地 43.3%
ハンガロリンク 42.7%
バーレーン国際 41.2%
バクー市街地 40.0%
スパ・フランコルシャン 38.9%
アルバートパーク 37.5%
シルバーストン 35.7%
レッドブルリンク 34.3%
モンツァ 33.8%
エンツォ・フェラーリ 31.0%
ソチ 25.0%
ラインナップをみると、概ね平均順位の上位がこちらも上位付近に並んできます。ポールトゥウィン最高率はカタロニアの74.2%。4回中3回がポールトゥウィンとなる割合です。カタロニアは予選が全てと言われる所以ですね。カタロニアは(シルバーストンや鈴鹿も?)度々、トラクションや旋回、ブレーキ等々「マシンの総合力を問われる」なんて言われます。それはどちらかといえば決勝レースよりも予選時点から問われるということになります。カタロニアはトラック幅員が広いわけではありませんし、各種速度域のコーナーは揃っているもののパッシングの決め手となるコーナーは限られています。またカタロニアでのスペインGPはシーズン序盤のヨーロッパラウンドの初っ端に行われることが多く、ヨーロッパに拠点を置く多くのチームはココで大幅アップデートを行います。ココで当たればシーズンを有利に運べますし、外せば立て続くヨーロッパラウンドで忙しくなる。結構重要な位置付けのサーキットですね(スペインGPのレース自体を面白いと捉えるか、つまらないと捉えるかは別)
再びラインナップをぼんやりみていると、ポールトゥウィン率上位は開催10〜20年クラスの比較的新しめのサーキットが並び、下位は改修はあれど年代モノのオールドサーキットが集まっているようにみえます。近年は建築家であるヘルマン・ティルケが監修したサーキットが多く点在します。もちろんその土地に合った条件や思想、さらには近年の安全対策の要素もありますし、全てがティルケの意見によるレイアウトというわけではないものの、近年の追い抜きの少ない、困難な状況はマシン幅員や空力付加物の有無、ドライバーの力量やペナルティ云々といったソフト側以外にもハード側、つまりサーキットのレイアウトも遠因になり得ます。この手の話になると毎度「エンターテイメントと安全性」という相反する問題がぶつかります。これらがうまく調和したレースが行えるのが究極ですね。
ポールポジションはその年のマシンでそのサーキット一周を最速で走り抜けたという称号であり特権ですから、決勝レースの優勝に最も有利な位置であるのは当然なこと。たださすがに「勝率7割以上」は高過ぎですし、決勝レースを観なくてもほぼほぼ予選で決まりじゃん、はいただけません。せめてポールポジションからの勝率は5割位で、中団からもトップを狙える権利があるという具合が理想的かなとmiyabikunは思います。
今回最後の注目点はポールトゥウィンの逆、サーキット別の下位スタートの限界値を探ってみます。
《優勝を挙げた予選最後位》
〈全天候〉
COTA 3番手
バーレーン国際 4番手
ソチ 4番手
ヤス・マリーナ 4番手
エンツォ・フェラーリ 5番手
カタロニア 5番手
ポール・リカール 5番手
上海国際 6番手
イスタンブールパーク 6番手
シルバーストン 7番手
カルロス・パーチェ 8番手
バクー市街地 10番手
ジル・ヴィルヌーブ 10番手
アルバートパーク 11番手
モンツァ 11番手
ハンガロリンク 12番手
エルマノス・ロドリゲス 13番手
モンテカルロ市街地 14番手
レッドブルリンク 14番手
マリーナ・ベイ市街地 15番手
スパ・フランコルシャン 16番手
鈴鹿 17番手
初めはドライもウェットも引っくるめた全天候での結果です。これは平均値ではなく下位優勝者の予選順位そのものですので、小数点以下の無い整数です。またグラフの方は今までの決勝レース出場数最多の26番手から表現しています。
「予選最後位」の最前位はアメリカGPの舞台のCOTAの予選3番手(ペナルティによる昇格のため、実質2番手)からでした。2018年のライコネンのラストウィンです。優勝がポールと2番手と3番手に限られているってのもすごいというか、予選順位でアタリがついてしまうというのもつまらない話ですね(笑)近代サーキットの中でもCOTAはまだ抜ける要素があるように感じますが、実際は勝てていません。4番手最後位はバーレーン国際、ソチ、ヤスマリの3サーキット。これらは全てティルケデザイン。近代F1=ティルケ多い=抜き難い、の構図が何となくみえてきそうです。
今回抽出の最後位の後方はシンガポールGPのマリーナ・ベイ市街地が15番手、スパ・フランコルシャンが16番手、そして我らが鈴鹿の17番手と続いています。それぞれ各GP前にクローズアップしたので、ご記憶にある方も多くいらっしゃると思いますが、マリーナ・ベイ市街地は開催初年の2008年に古巣ルノーに戻ったアロンソが「チームの指示により」遂行されたある出来事の助けもあって、追い抜きが比較的困難とされたレースで大金星を得たもの。スパはもう少し遡ること1995年にベネトンで連覇をかけたM・シューマッハが雨に翻弄されたレースを獲ってなし得ました。鈴鹿は今でも語り草となっている2005年のライコネンがリバースグリッド状態で下位スタートを強いられたのをものともせず、晴れた決勝で猛チャージをかけ、ファイナルラップに差し掛かかった直後に逆転したレースでした。振り返ると三者とも通常ではあまりあり得ないレース展開であり、特にマリーナ・ベイ市街地と鈴鹿の2つは「一部意図的な操作」も絡んだ荒れ模様でしたね。マリーナ・ベイ市街地の方はアロンソ自体に非は無いものののちに「クラッシュゲート」と呼ばれ、大問題になった事案。また鈴鹿の方は決勝前日の予選1アタックラップが雨による公平な環境で行えなかったことに加え、決勝でライコネン同様にハイペースで順位を上げたアロンソのショートカットとペナルティ回避対応にモタついたことで狂いを生みました。いずれにしても、これら出来事が劇的な下位スタートの優勝を演出しました。面白いことにこの2レースのどちらもアロンソがひと噛みしているという(笑)
決勝レースのウェット環境によって平均予選順位の多くは平均値を上げる形となりました。それではこの予選最後位もウェット環境を外すことにより厳選されるものなのかを確かめてみました。
〈ドライのみ〉
イスタンブールパーク 2番手(-4)
ソチ 3番手(-1)
COTA 3番手(±0)
バーレーン国際 4番手(±0)
ヤス・マリーナ 4番手(±0)
エンツォ・フェラーリ 5番手(±0)
カタロニア 5番手(±0)
ポール・リカール 5番手(±0)
シルバーストン 6番手(-1)
上海国際 6番手(±0)
カルロス・パーチェ 6番手(-2)
レッドブルリンク 7番手(-7)
アルバートパーク 7番手(-4)
ジル・ヴィルヌーブ 8番手(-2)
モンテカルロ市街地 9番手(-5)
バクー市街地 10番手(±0)
モンツァ 11番手(±0)
ハンガロリンク 12番手(±0)
スパ・フランコルシャン 12番手(-4)
エルマノス・ロドリゲス 13番手(±0)
マリーナ・ベイ市街地 15番手(±0)
鈴鹿 17番手(±0)
( )内は全天候の順位との差
22サーキットの中で9サーキットは順位を上げる結果となりましたが、残る13サーキットは変化無し(つまり最後位優勝はドライ環境によるもの)となりました。想像していたよりかは影響力が小さいように感じます。
平均順位の時と同様に、ドライに絞ればイスタンブールパークの出番になります。ドライでの優勝はポールと2番手からしか生まれていない!フロントロウあるのみ!わかりやすい!(笑)ドライ環境ならば、そちはどうなんじゃ?!ソチはCOTAに並ぶ3番手までじゃ、となりました。やっぱり近代サーキットが上位に並ぶことには変わりありません。最も順位を上げた(下位優勝を狭めた)のはレッドブルリンクの-7位で7番手まで。モナコGPのモンテカルロ市街地も-5位となる9番手に狭められています。先程のマリーナ・ベイ市街地と鈴鹿はドライ環境の結果であるため変化はありませんでした。ちなみに下位の2つ、もしマリーナ・ベイ市街地の15番手をこのレースを省いたとすると、優勝平均予選順位は1.40位(ドライのみ)にまで下がります。また今回抽出最後位からの優勝を挙げた2005年日本GPのライコネンを仮に省くと、平均2.00位(同じくドライのみ)まで下がりました。やはり先述の通り、両者とも一般的には予選上位が有利、決勝レースでの挽回は難しめの位置付けであり、サーキット特性から考えても、今後はこのような順位からの優勝はほぼ無いと思っていいのではないでしょうか。
なお、今回は対象から漏れてしまいましたが、F1で最も後方順位からの優勝は以前「下位スタートから勝利した強者たち」でも書いた時から変わらず、1983年のロングビーチ市街地で行われたアメリカ西GPの予選22番手から優勝を挙げたワトソンのままです。
《サーキット別の優勝可能な予選順位まとめ》
・近代サーキットは予選上位が有利で追い抜きが難
・優勝の可能性が高いのは予選2番手あたりまで
・幅員が狭く追い抜きの決め手が無い場合、
予選下位は辛い
・幅員が狭く追い抜きの決め手が無い場合、
予選下位は辛い
・ウェットの決勝はドライに比べ下位に有利に働く
・下位からの優勝はアクシデント絡み頼み
簡単ではありますが、今回の検証で得られたことを一言でまとめてみました。集計前からある程度想像できた結果ではありますが、感情論や思い込みだけでなく、数字で並べるとより確証は得られました。次回はまた違う目線からデータ検証しますので、シーズン開幕前の時間潰しとしてお付き合いのほどお願いします。
・下位からの優勝はアクシデント絡み頼み
簡単ではありますが、今回の検証で得られたことを一言でまとめてみました。集計前からある程度想像できた結果ではありますが、感情論や思い込みだけでなく、数字で並べるとより確証は得られました。次回はまた違う目線からデータ検証しますので、シーズン開幕前の時間潰しとしてお付き合いのほどお願いします。
にほんブログ村