F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:サンマリノGP

今週末GP開催が予定されていた第6戦エミリア・ロマーニャGPですが、既に報道のあった通り、ロマーニャ地方の洪水により急遽開催中止が決定しました。うーん、残念。。ただこればかりは仕方がない事。以前ドタキャンされたオーストラリアGP中止に比べれば、早い判断だったのではないかなと思います。さて週末はどうしよう。。被害に遭われた方々へのお見舞い申し上げるとともに、レースがある体で準備していた「仮想エミリア・ロマーニャGP開催」といきましょうか。今回振り返るのは2001年第4戦に行われたサンマリノGPです。
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今から22年前にあたる2001年は現在も絶賛活躍中のアロンソのデビューイヤーにあたります。したがって、このレースを生で知るドライバーはアロンソただ一人というわけです。あっという間の22年と言うべきか、未だにしぶとく頑張るアロンソ様のすごさと言うべきか。前年2000年に久々のチャンピオンを獲得したフェラーリのM・シューマッハをはじめ、三連覇を阻止されたマクラーレンのハッキネンや好成績を重ねつつもなかなかエースの存在に埋もれがちなバリチェロとクルサードといったベテラン勢。一方でそのベテラン勢に食ってかかる若手のバトンやモントーヤ、ライコネン、アロンソらが続くという、いわば「世代交代」のタイミングが徐々に予感される時代に入っていきます。
ここまでの3戦の戦績は2年連続4回目のチャンピオン獲得を目指すM・シューマッハが開幕戦、第2戦を制してランキングトップの26ポイント。2位は前戦第3戦ブラジルGPで優勝したマクラーレンのクルサードが20ポイントとなっています。以下、3位がフェラーリのバリチェロ、4位はザウバーのハイドフェルドが続いており、チャンピオンから陥落したハッキネンは同郷の新人ライコネンと同率の6位1回の1ポイントしか稼げていません。まだシーズン序盤とはいえ、当時の入賞は6位まで、優勝はたったの10ポイントしか付与されませんので、宿敵M・シューマッハの背中は早くも遠退いてしまっています。

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予選はクルサードが絶好調!ハッキネンの暫定トップタイムを0.327秒上回ってトップへ。
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方やM・シューマッハはハッキネンを上回ることができず3番手。前年2000年第14戦イタリアGPから続いた連続ポールポジションは7戦でストップ。最終的にウィリアムズのR・シューマッハにも先行を許し4番手で予選を終えます。
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イモラサーキットの正式名称は「エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ」です。GPはサンマリノでもモンツァよりこちらがお膝元。この後反省会か。。
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何じゃこのサングラス。ポールポジションはサングラスのお陰だって?!
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ハッキネン引いとるやないか。クルサードもそろそろハッキネンに勝ちたいよね。2番手やるためにF1に乗っているわけじゃない。負けん気は重要!それにしても、クルサードはいつにも増して四角いなぁ。
ほか日本勢はジョーダン・ホンダのトゥルーリが5番手、フレンツェンが9番手。BAR・ホンダのパニスがフレンツェンの前となる8番手、貴重なチャンピオン経験者ヴィルヌーブが新人ライコネンの一つ後ろ11番手となっています。また、ミナルディからデビューとなった新人アロンソはアロウズのフェルスタッペンの後ろ18番手。フェルスタッペンといっても、マックスではありませんよ、パパのヨスの方ね。

《予選結果》
P.P. D・クルサード
  (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)
 2 M・ハッキネン
  (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)
 3 R・シューマッハ
  (ウィリアムズ・BMW ミシュラン)

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決勝のスタートではイキり立つクルサードが痛恨のホイールスピン。
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そして2番手ハッキネンのスタートよりも奇数側3番手のR・シューマッハの方がいい。
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タンブレロ進入前にR・シューマッハが一気にトップに躍り出る。R・シューマッハと同様に奇数列5番スタートのトゥルーリも好スタートを決め、ハッキネンの前に立っています。

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予選に続いて、決勝でもM・シューマッハの様子がどうもおかしい。ストレートで易々とウィリアムズのモントーヤにかわされてしまっています。
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ここはチームのホームGPであり、戦闘力の無いエースに付き合う必要は無い。エースに代わってバリチェロが前方のライバルの討伐に向かいます。
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スタートで2台にやられて4位を走るハッキネンもトゥルーリ相手に苦戦中。トゥルーリにとってはここが自身のホームGP。地元のファンの期待にも応えたい。

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下位ではあるマシンがシケインの縁石をカット。
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コントロールを失い、そのままタイヤバリヤにぐしゃり。参戦4戦目、ミナルディのアロンソは5周でリタイヤ。この右、左と振るヴァリアンテ・アルタは過去にも多くのリタイヤを呼んだなかなか難しいシケインです。昨年2022年のルクレールもやらかしましたよね。侮るなかれ。
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同じく参戦4戦目で正式なスーパーライセンスの発給が許されたザウバーのライコネンも、17周目にステアリングの不調からコンクリートウォールにノーズを潰す形でリタイヤ。頑張れ、両新人!腐らず続けていれば、将来きっといいことあるから。

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バリチェロに前を譲り、マイペースでレースを続けるM・シューマッハですが、左フロントタイヤのスローパンクに見舞われています。
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23周目にピットに呼び込まれ、ひとまず戦列復帰を果たすものの
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やっぱりダメ。終始運に見放されたティフォシ期待の星は25周を待たずマシンを降りる。

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上位グループ1回目のピットインが始まります。3位を走るトゥルーリは24周目、
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暫定4位浮上のモントーヤは27周目にトゥルーリに対するカバーに入ります。
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見かけ上はモントーヤが前でも、本線を走るトゥルーリの方が速度が高いため、実質的にトゥルーリが前か。
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ただしモントーヤは諦めない。タイヤを履き替えたばかりなのにも関わらず、タンブレロをアウターレーンから攻めて、トゥルーリを討伐。
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モントーヤは年齢的に少し上にはなりますが、アロンソやライコネンと同期のF1参戦4戦目。さすがアメリカを制してきた猛者です。

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29周目に暫定3位のハッキネンがピットへ。M・シューマッハが落としたレースでポイントを積み重ねておきたいところ。
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続いて32周目に今日はチームやティフォシの注目を一手に預かるバリチェロがピットイン。目下のライバルはハッキネン。
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ハッキネンの前で復帰してオーバーカット成立で表彰台登壇を死守。

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先程はトゥルーリとのバトルをみせてくれたモントーヤのマシンも不調をきたしています。
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残念ながら1年生モントーヤも戦線離脱。まあモントーヤの場合は1年生というよりかは「F1編入生」の方が正しいか。いずれにしても戦闘力の高い若手である証明はできています。

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チームメイトのリタイヤに落ち込んでいる暇はありません。今日のレースの主役はシューマッハはシューマッハでも弟の方、ラルフです。スタートダッシュから注目されることも無く危なげない逃げ切り。
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F1参戦5年目、70戦目での初優勝。

《決勝結果》
 1 R・シューマッハ
  (ウィリアムズ・BMW ミシュラン)
 2 D・クルサード
  (マクラーレン・メルセデス ブリヂストン)
 3 R・バリチェロ
  (フェラーリ ブリヂストン)

これはR・シューマッハの単なる初優勝だけではなく、低迷続くウィリアムズにとって1997年第15戦ルクセンブルクGPのヴィルヌーブ以来3年半振りの優勝。前年2000年からウィリアムズにエンジンを供給したBMWは1985年第7戦フランスGPでブラバムをドライブしたピケ以来16年振りの優勝。さらにこのシーズンから復帰したミシュランにとっても久々の優勝と、多方からメモリアルなものとなりました。
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RS「兄ちゃん、やったよ!やったっんだってば!」
MS「おめでとう。ただ、勝ち方としては実に地味だ」

兄が優秀過ぎて、インパクトが強過ぎて、F1に昇格した1997年は「所詮はシューマッハの弟」やら「シート獲得は兄貴のコネ」だの色々言われたことでしょう。ここにきてようやく結果を残し、立派なF1ウィナーの仲間入りを果たしました。
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珍しく堅い表情が緩むフランク。ルノーを失い、戦闘力を失ったウィリアムズはBMWのエンジンを得て、再び戦闘力をみせつつあります。マクラーレンが勢力を弱めつつある中、フェラーリを打破できる最有力の存在になるかもしれません。
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初優勝を悪く言う者は居ません。完敗だっだと、ロン・デニスの表情も穏やか。

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RS「とうとうやったよ、兄ちゃん」

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サンマリノGPは昔からシーズン序盤に設定され「ヨーロッパラウンド初戦」を担うことが多くありました。F1の多くのチームはヨーロッパに拠点を置きますので、ヨーロッパの初戦ということは「シーズン開幕以降のマシン改良を投入する舞台」にもなり得ます。今シーズンも今週末に行われるエミリア・ロマーニャGPよりいよいよヨーロッパラウンド突入。もしかしたらマシンを改良してくるチームが出てくるかもしれません。今回は遡ること32年前、1990年第3戦にエンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)で行われたサンマリノGPを振り返りたいと思います。

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サンマリノGPはサンマリノと呼ばれつつも実態はイタリア共和国内に属します。フェラーリこの地元から641/2を投入(ノーズの形状やウィング類の色使いにどこか見覚えがありませんか?!)
ウィリアムズもルノーエンジンに改良を施したFW13Bを投入。それよりも周囲の目を一番奪ったのはこのチームです。
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高いノーズコーンからハの字に生えるアンヘドラル(下反角)フロントウィング。日本の中嶋悟が駆るティレル019です。このマシンは今でも非常に人気のあるマシンとして語り継がれていますね。このレースでデビューしました。

このレースでは34台のマシンがエントリーしています。近年は10チーム20台が長らく続いていますので、それだけでも世界的な景気のよさやモータースポーツへの関心、取り組み方が大きく異なっています。決勝に出走できるのは26台までとなっていますので、予選の前段階に「予備予選」を設け、まず「予選に参加できる台数」にまで絞らなければなりません。その中にはこんなマシンもありました。
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スバル?!日本のあのスバル?!そう、インプレッサやフォレスターでお馴染みのスバル(当時は富士重工業)です。イタリアのコローニの株式を半分取得したスバルは水平対向12気筒を搭載してF1に参戦していたことがあります。しかし残念ながら一度も予備予選を突破できず、F1から撤退しています。ガショーもまたかよと言わんばかり首をうなだれる。

予選はセナ、ベルガーのマクラーレン2台が頭一つ出たタイムでフロントロウを獲得。セカンドロウにはブーツェン、パトレーゼのウィリアムズ2台、サードロウにマンセルと前年チャンピオンのプロストのフェラーリが綺麗に並ぶ形となりました。スバル以外の日本勢はローラから参戦の鈴木亜久里が15番手、新車投入のティレル中嶋は2年目のチームメイトであるアレジの7番手から大きく離された19番手となっています。

《予選結果》
 1 A・セナ   (マクラーレン・H・GY)
 2 G・ベルガー (マクラーレン・H・GY)
 3 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)
 ※Hはホンダ、GYはグッドイヤー

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決勝スタートでは2番手のベルガーがセナに競り勝ちトップを奪いますが、それも束の間。セナと4番スタートのブーツェンにやられて3位に後退しています。
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現在と異なり、改修される前の左高速コーナーのタンブレロ出口でマンセルがアウト側にはらみ土煙が上がる。スタート直後で前後の車間が近い中団にとって、高速旋回中の前方の土煙はドキッとします。
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18番手でスタートしたレイトンハウスのカペリが何か後方から追突され、0周リタイヤ。イン側のグリーンに大破したもう一台。
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追突した側の中嶋も当然リタイヤ。新車を入れたばかりなのに。。

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先頭はポールスタートの面目を保ったセナ。そして5位にはアレジが何とフェラーリを従えて走行しています。
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1周目で上手くフェラーリの前に立ったアレジもレースが落ち着けばマンセルの餌食に。今はいい、ボクもいつかはあの紅い跳ね馬に乗れる日が来るはず。その夢は近い将来訪れることとなりましたね。

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トップのセナは3周目のブレーキングで白煙を上げて止まり切れず、グラベルの中でマシンを止めています。
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「こりゃダメだべー。タイヤがベコベコだわ」
マーシャルと共に不可解なマシンを覗き込むセナ。右リヤタイヤのスローバンクによるものでした。
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これでトップに立ったのはウィリアムズのブーツェンです。振り向かずしてもブーツェン、お早い登場。

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先程はマンセルに抵抗すらしなかったアレジに対し、今度はベネトンのピケがアウト側から仕掛けに向かっています。全盛期は過ぎたとはいえ、ピケもれっきとした三回チャンピオンです。
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フェラーリはともかく、ベネトンには負けたくない!
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ピケを弾き飛ばす!そして何食わぬ顔でレースに戻る。末恐ろしい若手ですね。今でいうマゼピンがアロンソを突き飛ばす感じか。あ、マゼピンもう居ないんだったか(笑)
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ただ序盤のハイペースがたたったか、アレジとピケの2回目はあっさりとピケが前に。ここらへんが若手とベテランの差。

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労せずしてトップに立ったブーツェンも17周目にギヤボックス不調からのエンジントラブルにより戦線離脱。トップは代わってスタートダッシュを決めたベルガーの手に渡ります。
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2位に浮上したブーツェンの相方パトレーゼに対し、1周目で取り乱したマンセルがかわしていきます。
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ティフォシのボルテージは最高潮に。
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ところがマンセルは周回遅れのダラーラ、デ・チェザリスをかわす際にインを閉められコースオフ。
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さらにのうのうとトップを走るベルガーを捕まえるところまでたどり着いたと思えば、
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なぜかスペースのあまり残されていないイン側から攻めて
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スピーン。
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からのくるりんぱっと。
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終いは38周目にエンジンブローによりリタイヤ。
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ガレージで怒るマンセル。せっかくチームの地元で優勝のチャンスがあったのに、一人で何度も大騒ぎして結果はゼロ。この辺がマンセルが憎めず、また愛されてきた一面でもあります。

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このままベルガーの逃げ切りでレースが終わると思いきや、61周レースの51周目にパトレーゼがタイヤバランスに苦しむベルガーをヴァリアンテ・アルタでパス。3番スタートから黙々と走り切ったパトレーゼが自身3勝目、シーズン初優勝を手にしました。

《決勝結果》
 1 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)
 2 G・ベルガー (マクラーレン・H・GY)
 3 A・ナニーニ (ベネトン・FC・GY)
 ※FCはフォードコスワース

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レース中は真剣な眼差しのフランク・ウィリアムズも優勝したレース後は肩の力をふっと抜いてほころぶ顔が懐かしいですね。
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パトレーゼのF1デビューは1977年。F1初優勝は82年のブラバム時代に経験し、2勝目は翌83年。それから7年の歳月を経た90年に3勝目と非常にスローかつ長い息のドライバーでした。苦労人、鉄人などと呼ばれ、93年までF1をドライブし、決勝レース参戦数256戦の記録は長い期間保持しました。後にその決勝参戦数はバリチェロやライコネンに上回れることになりますが、今シーズンこのままでいけば、アルピーヌのアロンソが更新することとなります。

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今シーズン初となるレース前の「過去のレース」です。近年はエンジンの排気量を小さくし、ターボと電気エネルギーを使ったハイブリッドのF1が定着しています。今まではここまで小さく、また複雑なパワーユニットを使ってきませんでしたが、この状態に至るまで様々なレギュレーション変更と技術のせめぎ合いがありました。今回はパワーとしてはイケイケどんどんの時代、1985年第3戦サンマリノGPをみていきます。1985年のレースは3戦目、サンマリノGPのレースは4回目です。サンマリノGPとはいえ、イタリア国内でフェラーリのファクトリーから近いため、サーキットには赤い旗が各所でたなびいています。
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ルノーワークスが初めてターボチャージャーを導入してから、F1界では瞬く間に流行り、各チームが追従していきました。エンジンの排気量を大きくせず、大出力を生み出せることが特徴のターボは一見いいことづくめのパーツのようですが、もちろんデメリットもあります。このレースはそんなデメリットが露呈したわかりやすい例だと思います。この時代は現代と同じく、レース中の再給油は禁止です。さらに前年84年に規定された「ターボエンジン搭載車の燃料は最大で220ℓまで」とされていました。ターボエンジンはNAエンジンよりも高出力を得られますが、その分燃料の使用量も多くなります。再給油無しで悪燃費、最大搭載量にも制限があるため、むやみにフル稼働させるとレースを完走できないということに繋がってしまいます。
このシーズンは第3戦までにマクラーレンを駆るプロストが開幕戦ブラジルGPを制し、第2戦はロータスの若手セナが優勝を挙げて1勝ずつとなっています。しかし、両者ともリタイヤが一つずつあり、2戦連続で2位を獲得するフェラーリのアルボレートにとってもいい流れで地元レースを迎えています。

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ポールポジションは第2戦ポルトガルGPでポールトゥウィンを果たして波に乗るセナが獲得。2番手はウィリアムズ・ホンダのロズベルグ、3番手にはセナの相方であるデ・アンジェリスがつけました。フェラーリの期待を背負うアルボレートは4番手、前年は0.5ポイントに泣いたプロストは6番手となっています。

《予選結果》
 1 A・セナ      (ロータス・R・GY)
 2 K・ロズベルグ   (ウィリアムズ・H・GY)
 3 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
 ※GYはグッドイヤー

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2番手ロズベルグはスタートで失敗。ロータスのイケメンコンビがワンツー体制を築いていきます。
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ただ10周目に2位走行のアンジェリスはターボ不調によりペースを保ち続けることができず、アルボレート、プロストに先行を許す形となります。

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23周目に入ると、地元期待のこれまた2位走行のアルボレートが電気系トラブルにより緊急ピットインし、そのままリタイヤ。ティフォシが一瞬凍りつく。
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アルボレートが脱落しても、チームメイトのヨハンソンが予選15番手からアンジェリス、プロストを捕まえて2位に浮上。ティフォシ目が再び輝き始めます。
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セナとヨハンソンの一騎打ち。逃げ逃げポールトゥウィンを思わせたセナですが、思わぬ刺客に追われる形となっています。
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セナが残り4周でガス欠を懸念してペースダウン。ヨハンソンがいよいよトップへ!このレースはこれでは済みませんでした。下位スタートからハイペースで追ったヨハンソンもガス欠が予想されてペースを落とさざるを得ない。
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最後の最後で予めペースダウン走行をしていたプロストが逆転。F1とは要は決勝で「勝ちゃあいい」
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3位のアロウズのブーツェンはフィニッシュ直前でガス欠。手押しでチェッカーを受けました。
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そんなプロストもウィニングランでとうとうガス欠。パルクフェルメまでマシンを戻すことができていません。ガス欠&低燃費走行が思わぬドラマをいくつも生み出しています。

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《決勝結果》
 1 A・プロスト    (マクラーレン・TP・GY)
 2 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
 3 T・ブーツェン   (アロウズ・B・GY)

 ※TPはタグポルシェ、BはBMW

賢いプロストが最後の最後で真っ先にチェッカーフラッグをうけて表彰式となりましたが、最後にオチがありました。何とプロストのマシンはレース後の車検で最低重量を2kg下回っていたことが判明。軽ければ当然燃費にも関係していますし、レギュレーション違反ということで失格。2位表彰台のアンジェリスが繰り上げ優勝、さらに4位で終えたルノーのタンベイが3位繰り上げで幕が下りました。将来の期待も高かったアンジェリスはこのシーズン限りでロータスと決別、名門ブラバムに移籍を果たしますが、このレースから一年後の86年5月のポールリカール合同テストでのクラッシュが起因してこの世を去ったため、これが最終優勝ということになります。

《最終結果》
失格 A・プロスト    (マクラーレン・TP・GY)
   1 E・デ・アンジェリス(ロータス・R・GY)
   2 T・ブーツェン   (アロウズ・B・GY)
   3 P・タンベイ    (ルノー・R・GY)

低燃費走行は再給油禁止である今日にも相通ずるものがあります。確かに出力の面ではこの当時の方が高く、ドライビングもマニュアルでありあたかも「F1という生き物と対話しながら操る」といった印象が色濃く出ていました。驚くのはこの当時と同じレーストータルで300km超を約半分の110kgの燃料使用量でこなし、さらにはラップタイムはだいぶ速いこと。それもこれも技術の進化であり、緻密な戦略の賜物といえます。

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前戦バーレーン国際サーキットに引き続き、今回はエミリア・ロマーニャGPの行われるエンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)の歴代優勝者の予選順位をみていくことにします。バーレーンと比べて、こちらは長い歴史がありますから、対象数がどんと増えます。ご準備のほどお願いします。

《エンツォ・フェラーリの歴代優勝者の予選順位》
 80 ピケ(父)     予選5番手→優勝
 81 ピケ(父)     予選5番手→優勝 濡
 82 ピローニ      予選4番手→優勝
 83 タンベイ      予選3番手→優勝
 84 プロスト      予選2番手→優勝
 85 デ・アンジェリス  予選3番手→優勝
 86 プロスト      予選4番手→優勝 濡
 87 マンセル      予選2番手→優勝
 88 セナ ★       予選P.P.→優勝
 89 セナ        予選P.P.→優勝
 90 パトレーゼ     予選3番手→優勝
 91 セナ ★       予選P.P.→優勝 濡
 92 マンセル ★     予選P.P.→優勝
 93 プロスト ★     予選P.P.→優勝 濡
 94 M・シューマッハ ★ 予選2番手→優勝
 95 D・ヒル       予選4番手→優勝 濡
 96 D・ヒル ★     予選2番手→優勝
 97 フレンツェン    予選2番手→優勝 濡
 98 クルサード     予選P.P.→優勝
 99 M・シューマッハ   予選3番手→優勝
 00 M・シューマッハ ★ 予選2番手→優勝
 01 R・シューマッハ   予選3番手→優勝
 02 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 03 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 04 M・シューマッハ ★ 予選2番手→優勝
 05 アロンソ ★     予選2番手→優勝
 06 M・シューマッハ   予選P.P.→優勝

 20 ハミルトン ★    予選2番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション

今回からその年のチャンピオンを示す★マークに加え、先日のバーレーン国際サーキットでは気にする必要がなかった「決勝時の路面コンディション」を記すようにしました。レインレース、またはウェットコンディションは時として様々な波乱を呼び、順位のいたずらを引き起こす要因の一つです。全ての年を記憶、ビデオ確認はできていませんが、書籍を参考に「濡」というマークで示しています。image
イモラ(エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ)サーキットはイタリア中部のブドウ畑の中に開設され、起伏に富んだいわゆるオールドサーキットに数えられます。レースの起源はバイクでの使用が先で、四輪レースにとってはやや幅員が狭いというのも特徴の一つとなっています。元々は滑らかな線形で速度も高く、ブラインドコーナーが難易度をさらに上げています。レイアウトは度々変更を重ねており、その中でも1994年に発生した2件の死亡事故によってシケインが追加されたのが印象的ですね。IMG_6683
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このサーキットを使ったGPといえば、サンマリノGPのイメージが強くあります。歴代のイタリアGPはイタリア北部のモンツァサーキットで行われていたため、名称を近隣国のサンマリノと呼んで一国二開催を避ける形を採ってきました。例外としては初年の1980年にイタリアGPをたった一度名乗ったのと、まだ記憶に新しい昨年の「エミリア・ロマーニャGP」があります。今シーズンもイタリアGPはモンツァで行い、こちらがエミリア・ロマーニャGPを名乗ってイタリア二開催となります。

 予選P.P. →優勝:9回 32.1%
 予選2番手→優勝:9回 32.1%
 予選3番手→優勝:5回 17.9%
 予選4番手→優勝:3回 10.7%
 予選5番手→優勝:2回   7.1%

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歴代優勝者の予選順位をみていくと、全28回の開催でポールスタート、2番手スタート共に最多の9回の優勝を挙げ、フロントロウがかなり有利であることがわかります。やはり「狭く抜きどころが限られている」点を印象付けるものとなっています。ただ近年30年ほどは3番手スタートからの優勝がほとんどを占めているものの、80年代前半にポールトゥウィンは無く、三列目の5番手からも2回優勝が出ていました。その謎を解くためにレースを確認してみると、初年80年はブラバムのピケが好スタートをみせ、3周目までに4台をかわしての優勝。81年は濡れた路面に各車が翻弄されたレースとなっており、82年はアルヌーのルノーエンジンが果ててしまうトラブルに見舞われました。以前このサーキットはターボを積むマシンが有利のパワーサーキットとされていましたが、80年代は現代に比べ、マシンの信頼性が確立されておらず「速いけど壊れる」なんてレースはざらにありました。このサーキットにおいて80年、82年、83年にポールポジションを獲得したアルヌーは結局一度も優勝にたどり着くことができていません。一方で88年のセナを皮切りに90年代以降はポールポジションからのスタートが比較的多くなり、一度前に出られると容易にパスするのが困難な状況が続いています。これでよく思い出されるのが、以前に「過去のレース」でも取り扱った05年のアロンソ、06年のM・シューマッハのテールトゥノーズのバトルですね。名手にしても無理なパッシングが「リスク」を伴うというのがセオリーとなっています。どこのサーキットにも言えることですが、ココは特に「予選重視」「決勝レースの位置採り重視」の色が強くなっています。

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レース前に振り返る「過去のレース」今回1982年第4戦に行われたサンマリノGPです。先日の1988年日本GPはマクラーレンのセナとプロストによるチーム内確執を取り扱いました。近年ではレッドブルのベッテルとウェバー、またメルセデスのハミルトンとロズベルグなどがあったように、チーム内確執は歴代のF1で度々みられたものです。今回のサンマリノGPでもあるチームがある出来事をきっかけに確執が起きたとされるレースとなっています。他人のケンカは蜜の味、ってか?!(笑)
1982年シーズンはつい先日、第2戦ブラジルGPをやりましたね。このサンマリノGPとの間にはロングビーチ市街地でのアメリカ西GPを挟んでいるわけですが、実は一部話が繋がっています。ブラジルGPのレース結果を思い出してみて下さい。フラフラで表彰台の中央に立ったブラバムのピケ、それからウィリアムズで2位となったK・ロズベルグは「レース終了後に水を足して失格」になりましたよね。その裁定を不服とした当時FOCAに属するティレルを除いた10チームがこのGPを出場辞退するという事件が起きました。結果的に参戦は半数以下の7チーム14台というシラけたレースとなっています。

予選はターボパワーを強みにアルヌー、プロストのルノーフランスコンビがフロントロウを占めて、G・ヴィルヌーブ、ピローニのフェラーリコンビはセカンドロウでひとまず我慢。

《予選結果》
 1 R・アルヌー  (ルノー・R・MI)
 2 A・プロスト  (ルノー・R・MI)
 3 G・ヴィルヌーブ(フェラーリ・F・GY)
 ※MIはミシュラン、GYはグッドイヤー

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決勝のレーススタート!スタート直後なのに、隊列がホントに短いし、数えるほどのマシンしか見えない。サミし。。
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敵陣でカッコよくフロントロウを奪ったルノーですが、早々にエンジンがお決まりのように果てていく。まずはプロストがヴィルヌーブの餌食に。
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そしてフェラーリの「紅い波」がアルヌーも捉えました。ココはフェラーリの地元、イモラ。シラけたスタンドのボルテージが一気に高まります。ヴィルヌーブに続いてピローニも勢いに乗っかり、フェラーリがワンツー体制を確立。
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ルノーのコレは当時の「あるある」

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マクラーレンやブラバム、ウィリアムズといった強豪もおらず、出走台数が少ないとはいえ、フェラーリが単独の首位争いをしているとなればファンは嬉しい反面「どちらが勝つの?!」という心配も募ります。ちなみにカーナンバーはヴィルヌーブが27、ピローニが28。ということは契約上は「ヴィルヌーブの方がチームとしてエース扱い」ということがわかります。
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ピローニは契約通りナンバー27に前を譲ります。
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しかしレースが進むも両者はピタリと連なり、ピローニが隙を狙っているようにもみえます。しつこいですがココはフェラーリの地元、ナニかが起きるのではないかと皆がハラハラ見守ります。
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ピローニが動いた!ヴィルヌーブをかわして前に。何かのデモンストレーションのようにも見えますが、今回のピローニが再び譲る気配は全くありません。こりゃ一大事だぞ!!IMG_6673
そのままの順位でフィニッシュ。フェラーリのワンツーには違いないけど、ピローニはチームの契約を違反する優勝となりました。またレースは出走14台中、完走はたったの5台という、2005年のインディアナポリスでのアメリカGPの上をいくシラけ具合と複雑な気持ちが混じる形でレースが終わっています。

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《決勝結果》
 1 D・ピローニ  (フェラーリ・F・GY)
 2 G・ヴィルヌーブ(フェラーリ・F・GY)
 3 M・アルボレート(ティレル・Fo)
 ※Foはフォード

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ウィニングランで早々とヘルメットを脱ぎ、颯爽と風を切りながら勝利に浸るピローニ。スポーツとしてみれば、速い者が勝つ。レースに、それもチームの母国で勝ちたいというピローニの行動に一切間違いはありません。しかし契約に反する結末はチーム内を揺るがし、ヴィルヌーブとの信頼関係を壊すきっかけになってしまいました。ヴィルヌーブは続く第5戦ゾルダーでのベルギーGPの予選でクラッシュし絶命。ピローニもまた第12戦ドイツGPの大クラッシュによりドライバー生命を絶たれるなど、この2人が和解することなく同じ82年で姿を消すという悲しい結末を迎えています。IMG_6676

近年においても明確にエース、セカンドと役割を明確にするチームがいくつかあります。しかしいずれも律儀にチームの指示に従い、エースを中心にレースを運ぶというシーンがみられます。このような過去の出来事から考えると、実に実直で行儀のいいドライバーが増えたと思います。それもこれも「時代のせい」でしょうか。

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