F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

タグ:グラフ

時代と共にポールポジションのタイムの変化をみるこの企画もこのヤス・マリーナにて最終回となります。律儀に中止GPのデータやおまけのサーキットを加えて行ってきたため、かなりの数をこなせたと思います。アブダビGP自体はまだ歴史が浅いから、データ採りとしては少し弱いでしょうか。みていきましょう。

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《ヤス・マリーナの基本情報》
    全長   :5.554km(2009〜)
 コーナー数:21箇所(2009〜)
   開催回数  :11回

ヤス島と呼ばれる島の南側に縦長で新設されたクローズドサーキットです。マリーナという名の通り、モナコのようなヨットハーバー、フェラーリ直営の遊園地に高級ホテルと観光名所になっていますが、島自体はまだ未開発の土地も多く、周辺は正直殺風景です。他のサーキットとの大きな違いとしては、サーキットの目と鼻の先に国際空港があるため、トランスポートや来場が楽な点でしょうか。逆方向に向かうと砂漠の中をさまようことになります。
開催初年の2009年から決勝レースは夕方にスタートし、終了は完全に夜という「ナイト(トワイライト)レース」が行われてきました。ご近所のバーレーンGPと同じですね。トラックは多くの投光器やイルミネーションに囲まれて、レース終了と共に花火が打ち上がる演出は中東レースのお決まりとなっています。サーキットレイアウトはココもヘルマン・ティルケが監修。長いストレートと中高速、直角コーナーからなり、コーナーは一部バンク角が逆に設置されていたり、立地の都合上ピットアウトレーンが本線トラックをアンダーパスするのも特徴的です。

《ヤス・マリーナの予選P.P.タイム変遷》
 09 5.554km 1分40秒948 100% ハミルトン
 10 5.554km 1分39秒394   98.5% ベッテル
 11 5.554km 1分38秒481   97.6% ベッテル
 12 5.554km 1分40秒630   99.7% ハミルトン
 13 5.554km 1分39秒957   99.0% ウェバー
 14 5.554km 1分40秒480   99.5% Nロズベルグ
 15 5.554km 1分40秒237   99.3% Nロズベルグ
 16 5.554km 1分38秒755   97.8% ハミルトン
 17 5.554km 1分36秒231   95.3% ボッタス
 18 5.554km 1分34秒794   93.9% ハミルトン
 19 5.554km 1分34秒779   93.9% ハミルトン

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09年から昨年19年の11年間ですので時代も新しく、記憶にあるものがほとんどですね。中間くらいの位置に大型レギュレーション変更の2014年を挟んでいるわけですが、これが意外にもあまり違和感無く1分40秒台を推移していますね。ポールポジションを獲得した所属チームをみていくと、初年09年はブラウンGPが薄れかけた頃のマクラーレン、10年から13年の4年間は一部ハミルトンが獲得するもののベッテルとウェバーのレッドブル最強時代、現パワーユニットに切り替わった14年からはロズベルグ、ハミルトン、ボッタスのお馴染みメルセデス組と「その時代の最速マシン」が獲得しています。シーズン終盤、最終戦ということもあり、ある程度成熟したマシンがヤス・マリーナを制しているという事になるのでしょうか。
もう少しタイムを掘り下げていくと、09年にハミルトンが記録した1分40秒948から2年連続で更新され、11年のベッテルは1分38秒481で2.5秒短縮しています。ところが翌12年にブロウン・ディフューザーが禁止されるとタイムが再び1分40秒630と2.2秒近く遅くなってしまっています。コーナリング時に大きなダウンフォースを得られるといわれたブロウン・ディフューザーの有無は大きな損失だったことがうかがえます。現パワーユニットに切り替わっても先程書いたようにタイム的には大きな差は無く推移していますが、16年は11年の最速タイムに接近し、17年にタイヤとウィングの幅広化がされるとタイムは急激に短縮に向かい、17年は対09年比較で4.7秒、最速となる昨年19年は6.1秒も速くなっています。11年と12年、最速の19年のセクター毎のタイムを比較してみます。

・広いトラックを流れるように走るセクター1
 11ベッテル  12ハミルトン 19ハミルトン
  17秒408   17秒627   16秒903
・長いストレート2本のセクター2
 11ベッテル  12ハミルトン 19ハミルトン
  41秒857   42秒620   40秒561
・ヨットを横目にカクカクのセクター3
 11ベッテル  12ハミルトン 19ハミルトン
  38秒933   40秒349   37秒235
● 1周ポールポジションタイム※
 11ベッテル  12ハミルトン 19ハミルトン
  1分38秒481  1分40秒630 1分34秒779

※セクター最速タイムを記載しているため、
 各セクターの合算とポールタイムに差があります

12年と19年を比較すると、全セクターで19年が速くなっており、中でもセクター3で3秒以上速いことに驚かされますね。ダウンフォースを単に削られた時代はタイムが遅くなり、タイヤやウィングを大きくしてグリップやダウンフォースを大きく受けられるようになるとタイムが速くなるという実に「素直な結果」となっていることがわかります。IMG_7586

ヤス・マリーナも開催された11年でサーキット全長に変更がありませんので、単純なタイム比較が可能です。これでタイム向上の様子は完結できるのですが、まだ尺が足りないので今回も一応平均速度換算を行ってみました。

《ヤス・マリーナの予選P.P.平均速度変遷》
 09 5.554km 198.1km/h 100% ハミルトン
 10 5.554km 201.2km/h 101.6% ベッテル
 11 5.554km 203.0km/h 102.5% ベッテル
 12 5.554km 198.7km/h 100.3% ハミルトン
 13 5.554km 200.0km/h 101.0% ウェバー
 14 5.554km 199.0km/h 100.5% Nロズベルグ
 15 5.554km 199.5km/h 100.7% Nロズベルグ
 16 5.554km 202.5km/h 102.2% ハミルトン
 17 5.554km 207.8km/h 104.9% ボッタス
 18 5.554km 210.9km/h 106.5% ハミルトン
 19 5.554km 211.0km/h 106.5% ハミルトン

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割合はタイムと相反する形となるため実に単純です。ヤス・マリーナ一周の平均速度は200km/h台から近年10km/h以上向上しています。平均としてみれば意外にもハンガロリンクと近いような速度域に相当します。長いストレートで速度を稼ぎつつもやはり最終セクター3に続く中低速コーナーによってその速度は打ち消されてしまうんですね。起伏も比較的小さく一見市街地サーキットのような雰囲気にみえて、完全なクローズドであり煌びやかな演出が映える近代サーキットのヤス・マリーナ。近年はチャンピオン争いが決定後に行われることもあり、どちらかといえば肩の力を抜きながら見過ごしてしまうレースっぽいイメージが強いですが、サーキット単体でみれば、まあまあバランスの取れたレイアウトなっているのではないかなと思います。


これまで現役サーキットをはじめ、非開催でもどうにかこじつけて多くのサーキットのポールポジションタイムを比較検証してきました。今後はこれらデータを使い「予選でみるF1最速シーズン」みたいな検証に繋げられたらいいなと考えています。今年はもう残り少なく、あまり時間も無いため、年明けシーズン前の暇そうな時間にでもまとめた結果をお伝えできたらと思います。

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コンストラクターズチャンピオンに続いて、ドライバーズチャンピオンもあっさり決まっちゃいましたね。。。開幕が予定通りの3月だろうが、この異例の事態の7月からだろうが、全く関係無かった。。あと残る3戦の楽しみといえば、チャンピオン以外のランキング争いと、バーレーンで初の試みとなる「同一サーキット、別レイアウト」あたりになるでしょうか。ドライバーズもコンストラクターズもチャンピオン以外は依然として激しく繰り広げられます。今回はチャンピオン外しのランキング争いに着目して今後を占ってみましょう。

《第14戦終了時のドライバーズランキング》
  1   307pts ハミルトン ★      (1→)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
  2   197pts ボッタス               (2→)
  3   170pts フェルスタッペン(3→)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
  4   100pts ペレス                   (10↑)
  5     97pts ルクレール            (4↓)
  6     96pts リカルド                (9↑)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
  7     75pts サインツ                (6↓)
  8     74pts ノリス                    (11↑)
  9     70pts アルボン                (8↓)
 10    63pts ガスリー                (7↓)
 11     59pts ストロール            (15↑)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 12     40pts オコン
 13     33pts ベッテル               (5↓)
 14     26pts クビアト               (13↓)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(15)  10pts ヒュルケンベルグ(14↓)
 16       4pts ライコネン           (12↓)
 17       4pts ジョビナッツィ    (17→)
 18       2pts グロージャン       (18→)
 19       1pt   マグヌッセン       (16↓)
 20       0pts ラティフィ
 21       0pts ラッセル              (20↓)

まず第14戦トルコGP終了時点のドライバーズランキングを確認しておきます。どこでもみられるランキングとポイントではありますが、miyabikunの独断でランキングの各所に区切りを設けて、いくつかのグループ分けをしています。また参考までに昨年のランキングをカッコ書きで記載しました。上から下まで一緒くたにしてしまうと何だかよくわからなくなるため、ポイントが拮抗し、以降3戦でランキングの入れ替えがありそうなそれらグループ単位でグラフ化し検証していきたいと思います。

《ドライバーズランキング2,3位争い》IMG_7177
惜しくも、ではなく大差をつけられてチャンピオンを逃した2人による2位3位争いです。グラフで2人だけをクローズアップすると、チャンピオンはあさっての方向に向かっちゃって、惜しくもなかったことがよくわかりますね。この2人は以降3戦で表彰台は確実、優勝のチャンスもありますが、ポカが無くもないためグラフの上限値は250ポイントとして作成しました。
先日も少し触れましたが、ハミルトンとの大きな違いは優勝や表彰台登壇の常連ではあるものの、ノーポイントレースをままぶっ込んでくるところ。もちろんボッタスやフェルスタッペンだけの理由で入賞圏外やリタイヤしてしまうわけではありませんが、マシントラブルがだいぶ減り、10位まで入賞権が与えられる近代のF1においては0ポイントフィニッシュは非常に痛手です。第14戦トルコGP終了時点の2人のポイント差は27となります。1勝したくらいではひっくり返らないものの、どこか危なっかしい2人ですので何があるかわかりません。
アウタートラックが使用されるサクヒール(サヒール)GPは想像もつきませんが、バーレーンGPとアブダビGPは恒例ですので2人もよく理解したサーキットとなります。暫定2位のボッタスから今までの戦績を振り返っておくと、バーレーンGPで7回走行歴があり、1回のポールポジション獲得はありますが優勝は無く、表彰台はメルセデス移籍後の3回とマシン様様できています。とても得意という印象もありません。最終戦アブダビGPも7回の走行歴でポールポジション1回、優勝1回で表彰台は2回に止まります。こちらもパリッとしませんが、2位を死守できるのでしょうか。
一方フェルスタッペンのバーレーンGPは5回走行で表彰台が無く、代わりに3回のリタイヤと相性はあまりよくなさそう。アブダビGPは5回で2位1回、3位1回となっています。波乱の2020年シーズンをアブダビGP初優勝で締めくくることができればレッドブルとして御の字か。

《ドライバーズランキング4〜6位争い》
続いて第3グループに属する3人による4〜6位争奪戦になります。ココは第2グループより熾烈です。本来であれば「紅の名門」が2人いて当たり前の順位ですが、今シーズンは諸般の事情によりたった1人しかいません。グラフ上限値は120ポイントに設定して作成。
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飛躍が予想されたレーシングポイントのペレス は欠場もあって、シーズン序盤はスロースタートとなりました。しかし堅実かつお得意のタイヤに優しい走りで中盤から頭角を示し、トルコGPで表彰台を獲得したことでランキング4位に浮上してきました。初開催となる第9戦トスカーナGPから続く勢いそのままに終盤3戦に挑んでくる予想ができます。この位置にいるペレスが今シーズンでシートを喪失し、来シーズンが不透明というのもおかしな話ですよね。貴重な資金源を有するペレスであってもこのような状況に陥るあたりが現代のF1に首を傾げてしまうこと。
紅一点のルクレールは本当によくやっていると思います。まあチームができる限りのことを施し、ルクレール自身も駄馬にムチを打って毎戦奮闘している結果といえます。第6戦スペインGPからの3戦でポイントを獲得できていたら、もう1段階上につけていたはずです。残る今シーズンはチーム内に「大ファンの代表」が不在となりますが、チームメイトもいない名門を1人で牽引してもらえたらと思います。
一度輝きを失ったリカルドは来シーズンの移籍が決まると急にスイッチが切り替わり、知らぬ間にランキング6位に顔を覗かせてきました。キャリアから考えると、ココよりも上にいても不思議でないドライバーなわけで、終盤3戦はどこまでランキング再浮上できるか期待したいですね。

《ドライバーズランキング7〜11位争い》IMG_7175
グラフ上限値を90ポイントに設定した7〜11位争いも熾烈です。キャリア中堅のサインツを筆頭に若手の粒揃いがひしめき合っています。序盤は好調できたノリスくんは後半戦に入り足踏み気味となってしまいました。逆に遅れをとったサインツ先輩とアルファタウリのガスリーがイタリアGPの優勝争いを足掛かりに一気にこのグループに加わってきました。
一方でトップチームの一角であるはずのアルボンがココでくすぶるのは問題アリですね。比較対象となるフェルスタッペンのような安定した予選、決勝で冴えわたる一発がどうも空振りしてしまい、その一発が足かせになることがままあります。最近は比較がフェルスタッペンでなくガスリーになりつつあり、アルボンに代わって再昇格を願う声もありますが、来シーズンもアルファタウリで更新した通り、miyabikunもガスリーはアルファタウリのままでキャリアを積むことに賛成です。アルボンのアグレッシブな攻めは若手ならではで特徴的な部分でもありますので、その精度を高め、来シーズンもレッドブルで生き残れるよう3戦で奮起してほしいと思っています。
ストロールは先日のトルコGPで大金星を得られていれば、このグループの上位にいたはずですね。残念、でも大丈夫!昨年のランキング15位からは大飛躍、君はまだこの先も安泰でしょうから。

《ドライバーズランキング12〜14位争い》IMG_7174
えーっと、ベッテルちゃんをなかなか見かけませんね、、あ、いましたいました、ランキング13位でした!(笑)10年近く前の20代前半で4年連続のチャンピオンを獲得して、昨年はランキング5位、そして今13位。。右肩めちゃ下りで気は早く一昔前の「フォース・インディア」みたいな位置となっています。まさかライバルがオコンやクビアトになろうとは想像もしていなかったでしょう。シーズン全体的に不調で、特に第7戦ベルギーGPから第13戦のエミリア・ロマーニャGPまで走りもこのグラフもすっかり寝てしまっています。こうなってしまった一番の原因は「デチューンしたパワーユニット」に他なりませんし、フェラーリお得意の独特な戦略にあるのはもちろんのことですが、少なからずベッテル自身のモチベーションも大きいと思います。戦略の差はわかりませんが、予選においてルクレールはある程度マシンに即した形でできる限り最善を尽くしています。キレキレな速さを持ち合わせるベテランのベッテルがあれほどもの差をつけられてしまうのは、やる気の問題。確かにね、面白くないと思います。腐ってもチャンピオン経験者で、方や同期のハミルトンがあれほど猛威を振るいつつ、自分にだってできるはず、と。でもマシンや周りがそれを後押ししてくれない。ただベッテルに願うことは腐ることなく持ち前の明るさとベテランの意地で「自分自身で」打破するしかありません。
グラフについてはmiyabikunの独断と偏見ながら「エース格を実線、サブ格を破線」で表現しています。このグループに実線が2本、1本はベッテルのもので、もう一つはクビアトです。クビアトの去就も怪しくなってきましたね。今シーズンのチームメイトはもう一段階上のグループですからね。個人的には来シーズンも乗ってほしいと願っていますので、残り3戦は死ぬ気で存在感を示していきたいですね。

《下位3チーム6人の第14戦までの決勝順位》
レーシングポイントからスポット参戦のヒュルケンベルグを除いた下位6人はそれぞれ獲得ポイントが一桁台となっています。上記グラフにおこしても重なり過ぎて何のことか分からないので、こちらの3チーム6人は特別に「全レースの決勝結果」をグラフ化し、バイオリズムをみていこうと思います。IMG_7172
このグラフも過去に度々登場したものですね。線種やプロットの大きさを他のグラフに揃えたため、太く見辛いかもしれませんが、凡例を参考に頑張って追いかけてみて下さい。このグループは獲得ポイントを見るより「どこで入賞したか」をみた方がわかりやすい。赤の範囲が表彰台圏内、黄色の範囲が入賞圏内、そして青の範囲が完走するも入賞圏外を示し、入賞した時の順位を挙げています。入賞しているのは、アルファロメオのジョビナッツィが3回の4ポイント、ライコネンは2回4ポイント、そしてハースの2人が1回ずつとなっており、ウィリアムズの2人は未だに入賞が無くノーポイントとなっています。また入賞回数はジョビナッツィが最多となりますが、同ポイントでもランキングは9位の回数が多いライコネンが上となります。
ライコネンはもちろんハースの2人も表彰台経験者ではありますが、ライバルとの差を考えても、表彰台はおろか入賞もままならない位置をさまよっていますね。最近はいい予選やスタートダッシュをみせるジョビナッツィも、決勝となるとタイヤマネージメントやつまらぬミスがみられ、なかなか入賞圏内フィニッシュに定着しません。来シーズンはハースから参戦しないことが明らかとなった2人、いつものようにノーポイントが続いたグロージャンは完走は多いものの入賞は遠く、マグヌッセンはリタイヤが目立ちます。初入賞が待たれれるウィリアムズのラッセルの今シーズンは予選でようやく速さは見せつつも決勝のリタイヤも増え、悔しいレースの日々を抜け出せていません。
残る3戦で誰が頭一つ出てくるのでしょうか。先程も書いた通り、ライバルとの差が大きく毎回「出たとこ勝負」になっているので、なかなか読み辛いところもありますが、先日ワークスを食う走りをみせたアルファロメオはポイント獲得の期待ができると思います。また待ちに待ったラッセルの初ポイントも一気にドーンと獲得してきそうな予感です。

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《第14戦終了時のコンストラクターズランキング》
  1   504pts メルセデス・M ★          (1→)
  2   240pts レッドブル・H               (3↑)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
  3   154pts レーシングポイント・M(7↑)
  4   149pts マクラーレン・R            (4→)
  5   136pts ルノー・R                      (5→)
  6   130pts フェラーリ・F               (2↓)
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
  7     89pts アルファタウリ・H        (6↓)
  8       8pts アルファロメオ・F        (8→)
  9       3pts ハース・F                      (9→)
 10      0pts ウィリアムズ・M           (10→)

コンストラクターズチャンピオンはご存知の通りメルセデスが先日7年連続、それも2位と大差を付けて終結しました。2位以下のランキングはドライバーズに比べて対象数が少なく、差は大きいため、ざっと3つのグループ分けをしてみました。その中でも第2グループの混戦をピックアップしてみます。

《コンストラクターズランキング3〜6位争い》IMG_7173
2位につけるレッドブルはチャンピオンのメルセデスと倍半分の差が付き、全く歯が立ちませんでした。ただ暫定3位のレーシングポイントとも86ポイント開いており、逆転は現実的でないと判断したため、3位から6位のフェラーリまでをひとくくりとしました。7位のアルファタウリはどうかと、一応グラフに混ぜてみましたが、序盤の低調からイタリアGPのガスリー初優勝によって勢いがつきますが、トルコGPでのノーポイントも響き、集団からは離れる形となりました。残念ながらこれらライバルからは外れちゃうのかな。
中団の勢力図は度々入れ替わっています。シーズン序盤はドライバーズランキングと同様、昨年の勢いそのままにノリスの健闘もあってマクラーレンが好発進。しかしルクレール1人の積み重ねでフェラーリが徐々に差を詰め始めました。後半戦に入るとフェラーリが失速、代わって速さだけでなく安定感も身に付けたレーシングポイントのペレスとルノーのリカルドが飛躍してきました。
こういう時に強みになるのが「2人のドライバーが如何に細かなポイントを積み重ねられるか」です。チーム2人でそつなく速いマクラーレンはあまり不安視していませんが、レーシングポイントとルノーはエースを中心にポイントを積み上げています。コンストラクターズランキングは来シーズンに与えられる分配金にも影響する重要な戦いです。どこかのチームのように「どちらか片方」ではこの至近戦を制することはできませんね。

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異例のシーズンとなった2020年シーズンも始まってみればあっという間に残り3戦となりました。たった1戦1ポイントでランキングの入れ替わりが起きてしまいます。来シーズンはマシンの大幅変更がありませんので、データ採りという意味でも決して手を抜くことは許されません。各ドライバーやチームの悔い無き戦いを最後まで見守りましょう。

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久し振りにトルコのF1が観られるぞー!miyabikun個人的に今からとてもテンションが上がっております(笑)数多くある「ティルケ作品」でも秀逸な作品と評されるイスタンブールパークサーキットと現代F1のコラボレーションで、果たしてどんなタイムが出ちゃうのか、「ターン8」を張り付くように旋回しちゃうのか、興味とその興奮ばかりが高なります。そんなレースの前に今まで7回行われた一昔前のポールポジションタイムをおさらいしておきましょう。

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《サーキットの基本情報》
 イスタンブールパークサーキット
    全長   :5.338km(2005〜)
 コーナー数:14箇所(2005〜)
   開催回数  :7回

ニュルブルクリンクやイモラと比べると、初開催はさほど古くない2005年です。それまではトルコ=F1って正直ピンと来ない国の一つでしたが、2011年までの7シーズンにわたりF1カレンダーを担っていました。7年のうち、初めの3年は8月の夏開催、残る4年は5月〜6月の初夏に行われており、11月中盤の冬に差し掛かる時期は初になります。IMG_2046
平面で見れば「葉の上で背伸びするイモムシ」のような可愛らしく、単純なレイアウトに見えます。これに「高低差」という要素を加えると、これがなかなか複雑で高難易度のサーキットに仕立て上げられます。また、最近この言葉ばかり言っている気がしないでもないですが、このサーキットもイモラと同様の左回り(反時計回り)です。
ターン1は同じ左回りのブラジルのホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)を彷彿とさせる下りブラインド複合コーナーが立ちはだかります。IMG_1261
こちらがちょっと引きで見たホセ・カルロス・パーチェIMG_2240
そしてこれがイスタンブールパーク。まあまあ似ているでしょう。違いは「セナがいるかいないか」と、ピットアウトレーンの取り付き方。ブレーキングで頑張り過ぎると、タイヤが白い煙を吐きながら悲鳴を上げます。
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その後は最近増えつつあるジグザグコーナーをリズミカルに抜けると、このサーキット最難関と呼ばれ、こちらも下りながら進入していく複合コーナー「ターン8」がドライバー達に度胸と的確なライン採りを試す。
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コーナー数が14って、近代のサーキットの中では少なめですよね。この4つの左コーナーを一つずつ数えれば、このサーキットのコーナー数は17なので多過ぎず、少な過ぎずでちょうどいい。ココの強烈な横Gに耐え抜いた者だけが「サーキット攻略」の合格印を受け取れます。
トラック終盤は右に屈曲するストレートの先にある鋭角なターン12。レースではターン1の飛び込みとココが格好のパッシングポイントになるのではないでしょうか。

《イスタンブールパークの予選P.P.タイム変遷》
 05 5.338km 1分26秒797 100%   ライコネン
 06 5.338km 1分26秒907 100.1% マッサ
 07 5.338km 1分27秒329 100.6% マッサ
 08 5.338km 1分27秒617 100.9% マッサ
 09 5.338km 1分28秒316 101.8% ベッテル
 10 5.338km 1分26秒295   99.4% ウェバー
 11 5.338km 1分25秒049   98.0% ベッテル

サンプル数は7回と少ないものの、サーキット全長は変わらずの5.338kmと比較しやすく、その中でも多少なりの差が表れています。
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以前にレースを振り返ったこともある開催初年05年は当時マクラーレンに所属したライコネンがサーキット初ポールとなる1分26秒797をマークし、以降しばらくはこのタイムを上回る者が現れませんでした。05年は3.0ℓV10エンジン最終年であり、翌年06年から2.4ℓV8エンジンに小型化されています。出力や排気量はダウンしたものの、回転数を高くし、さらには空力付加物(各種ウィング等)でダウンフォースを補う形にシフトしたわけですが、段階的な速度低下の措置に阻まれて、このイスタンブールパークにおいてはタイム向上に繋がりませんでした。ウィング類を「素っ裸」にされてダウンフォースを一気に削られた09年は初年05年比102%のタイムにまで落ち込んでいます。
開催6回目にあたる2010年は空力に長けたレッドブルが台頭し、前年09年と同じチームであるにもかかわらず、ウェバーが2秒も短縮する1分26秒295で走破。そして最終年12年に同じレッドブルのベッテルがウェバーからさらに1.2秒も速い1分25秒049でポールポジションを獲得。これが現時点でのイスタンブールパーク最速ポールとなっています。
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全長に変更の無いサーキットは今まで平均速度比較を止めてきたのですが、インテルラゴスのネタまで絡めて盛った割に、やはり物足りないですね。今回はせっかくの復活開催ですから、参考までに平均速度比較も載せることにしました。

《イスタンブールパークの予選P.P.平均速度変遷》
 05 5.338km 221.4km/h 100%   ライコネン
 06 5.338km 221.1km/h   99.9% マッサ
 07 5.338km 220.1km/h   99.4% マッサ
 08 5.338km 219.3km/h   99.1% マッサ
 09 5.338km 217.6km/h   98.3% ベッテル
 10 5.338km 222.7km/h 100.6% ウェバー
 11 5.338km 225.9km/h 102.1% ベッテル
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タイム差グラフは短い方が速いことを示しますが、速度グラフは長い方が速い。距離が同じなので、先程のタイム差で出た割合の単純に裏返しとなります。最速は最終年11年の225.9km/h、最遅は09年の217.6km/hでどちらもレッドブルのベッテルによるポールポジションです。2年間で4%、8.3km/hの増加ということで、F1はいつもながら著しいマシン向上がなされていることを実感しますね。9年の時を経て、重量は増えどハイブリッドパワーユニットを搭載した現代のF1マシンは果たしてどれだけの進化向上をみせてくるのでしょうか。

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予定外のイタリア3発目、懐かしのイモラにF1が戻ってきますね。今回はイタリアGPでもサンマリノGPでもなく「エミリア・ロマーニャGP」の名前で限定復活です。

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《サーキットの基本情報》
 エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)
    全長   :5.000km(1980)
       5.040km(1981〜94)
       4.895km(1995,96)
       4.930km(1997〜99)
       4.933km(2000〜06)
       4.909km(2020)
 コーナー数:17箇所(2007〜)
   開催回数  :27回

サーキットのある地名である「イモラ」で定着していますが、正式にはエンツォ・エ・ディノ・フェラーリ。フェラーリの創始者の名前そのままになります。先日初めて行われたムジェロサーキットとも近く、80年台から2000年台前半までサンマリノGPの舞台としてカレンダーに組み込まれていました。若いF1ファンなら「セナが没した地」として有名かと思いますが、当時は少数派の左周り(反時計回り)高速サーキットとされ、危険かつ歴代で大きな事故が多発したサーキットでもあります。
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 ・1980年         5.000km (オリジナル)
 ・1981〜94年 5.040km 青色(シケイン追加)
 ・1995,96年    4.895km 赤色(コーナー低速化)
 ・1997〜99年  4.930km
 ・2000〜06年 4.933km
 ・2007〜現在  4.909km 下図(最終シケイン廃止)
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上の図がイタリアGP、サンマリノGPで行われていた時代のもの、そして今回のエミリア・ロマーニャGPに際してまた新たなレイアウト変更があります。いずれも「水辺に浮かぶカルガモ」のような形が特徴的ですね(北上で表現すると、上下逆さまになってしまいますが)軽微ながら数回のレイアウト変更を経て現在に至ります。
81年にレイアウト中間部にある右コーナー「アクア・ミネラーニ」にシケインを設置した1周約5kmのレイアウトが90年台前半まで使用されました。その後94年に発生した死亡事故により、その現場となったタンブレロ、ヴィルヌーブの2つの高速コーナーに速度抑制のシケインを設置する変更を受けています。06年を最後に長年続いた「イタリアでの二開催」の歴史に幕を閉じF1カレンダーから外れたわけですが、翌07年にピットおよび最終シケイン「ヴァリアンテ・バッサ」を改修、廃止。緩やかなストレートに変貌を遂げました。久々となるF1本戦走行、果たしてどんなタイムになるか、期待と興味を募らせますね。

《予選P.P.タイム変遷》
 80 5.000km 1分33秒988 アルヌー
 81 5.040km 1分34秒523 Gヴィルヌーブ
 82 5.040km 1分29秒765 アルヌー
 83 5.040km 1分31秒238 アルヌー
 84 5.040km 1分28秒517 ピケ
 85 5.040km 1分27秒327 セナ
 86 5.040km 1分25秒050 セナ
 87 5.040km 1分25秒826 セナ
 88 5.040km 1分27秒148 セナ
 89 5.040km 1分26秒010 セナ
 90 5.040km 1分23秒220 セナ
 91 5.040km 1分21秒877 セナ
 92 5.040km 1分21秒842 マンセル
 93 5.040km 1分22秒070 プロスト
 94 5.040km 1分21秒548 セナ
 95 4.895km 1分27秒274 Mシューマッハ
 96 4.895km 1分26秒890 Mシューマッハ
 97 4.930km 1分23秒303 Jヴィルヌーブ
 98 4.930km 1分25秒973 クルサード
 99 4.930km 1分26秒362 ハッキネン
 00 4.933km 1分24秒714 ハッキネン
 01 4.933km 1分23秒054 クルサード
 02 4.933km 1分21秒091 Mシューマッハ
 03 4.933km 1分22秒327 Mシューマッハ
 04 4.933km 1分19秒753 バトン
 05 4.933km 1分19秒886 ライコネン-1 ※
 06 4.933km 1分22秒795 Mシューマッハ

※2005年はポールポジションタイムではありません

純粋なタイムの変遷です。80年はサンマリノGPではなく「イタリアGP」として9月の秋開催となりますが、グラフでちょこっとした表現差を付けただけで一様に並べました。唯一モンツァサーキットを使わなかったレア年ですね。また今までも数回あったように、05年第4戦サンマリノGPは2回の予選の合算であったため、1回目に速いタイムを記録したマクラーレンのライコネンによるトップタイムを採用しています。
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数字だけの羅列を見ていても気付き辛いですが、グラフにするとまあまあ素直に高低がついたのかなというのが第一印象です。時代はちょうどグラウンド・エフェクトカーが流行りだした80年台初頭、トラックにはシケインが追加されたにも関わらずタイムを縮め、最終年の82年にルノーを駆るアルヌーによる1分29秒765をマークします。当時のルノーはターボエンジン搭載車の先駆けとして、予選でライバルが一目置く存在にありました。グラウンド・エフェクトカーが禁止される83年はフェラーリに移籍したアルヌーでもタイムは一度落ち込み、ここから各車「パワーターボ」が猛威を振るい始めました。83年からターボが禁止される88年までは全てターボエンジン搭載車によるポールポジションであり、最終年の88年は過給圧2.5バールに制限を受けたことにより、タイムがセオリー通り落ち込みました。
NAエンジンの時代に入るとタイムは年々短縮され、94年にウィリアムズをドライブするセナによって1分21秒548が記録されました。しかしその翌日の決勝レースでの「例の大事故」により、このサーキットのみならず全世界のあらゆるサーキットが一時的な改良、そしてマシンレギュレーション変更を余儀なくされました。その結果、翌95年は2箇所のシケイン追加のために5.7秒もタイムが延びてしまいました。
その後もNAエンジンのまま「マシンの進化とレギュレーションによるダウンフォース低下」がせめぎ合いつつもタイムを少しずつ削り、3.0ℓV10エンジン末期の2004年に当時BAR・ホンダのエースであるバトンがマークした1分19秒753が現状の最速ポールポジションタイムとなっています。レギュレーション変更を当てていくと、実にわかりやすくタイムに反映されていますよね。IMG_6678

《予選P.P.平均速度変遷》
 80 5.000km 191.5km/h 100%    アルヌー
 81 5.040km 192.0km/h 100.2% Gヴィルヌーブ
 82 5.040km 202.1km/h 105.5% アルヌー
 83 5.040km 198.9km/h 103.8% アルヌー
 84 5.040km 205.0km/h 107.0% ピケ
 85 5.040km 207.8km/h 108.5% セナ
 86 5.040km 213.3km/h 111.4% セナ
 87 5.040km 211.4km/h 110.4% セナ
 88 5.040km 208.2km/h 108.7% セナ
 89 5.040km 211.0km/h 110.1% セナ
 90 5.040km 218.0km/h 113.8% セナ
 91 5.040km 221.6km/h 115.7% セナ
 92 5.040km 221.7km/h 115.8% マンセル
 93 5.040km 221.1km/h 115.4% プロスト
 94 5.040km 222.5km/h 116.2% セナ
 95 4.895km 201.9km/h 105.4% Mシューマッハ
 96 4.895km 202.8km/h 105.9% Mシューマッハ
 97 4.930km 213.1km/h 111.2% Jヴィルヌーブ
 98 4.930km 206.4km/h 107.8% クルサード
 99 4.930km 205.5km/h 107.3% ハッキネン
 00 4.933km 209.6km/h 109.5% ハッキネン
 01 4.933km 213.8km/h 111.6% クルサード
 02 4.933km 219.0km/h 114.4% Mシューマッハ
 03 4.933km 215.7km/h 112.6% Mシューマッハ
 04 4.933km 222.7km/h 116.3% バトン
 05 4.933km 222.3km/h 116.1% ライコネン-1
 06 4.933km 214.5km/h 112.0% Mシューマッハ

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平均速度を割り出した結果はこうなります。ど真っ直ぐなストレートこそ無いものの、かつては高速コーナーと鋭角コーナーで構成されたストップアンドゴーのレイアウトのイモラですが、平均速度にしてしまうと、トサやリバッツァなどの中低速コーナーがサーキット両端にあるためさほど速くなく、ハンガロリンクやマニ・クール、ジル・ヴィルヌーブや先日のニュルブルクリンク(GPコース)と同程度となります。最速はタイムと同様に04年の222.7km/h、94年の222.5km/h、そして05年の222.3km/hと続いています。こうしてみると、04年や05年など近年はともかく、セナが人生最後に叩き出した94年は「行き着くところまで行き着いたマシンでの渾身の一本」であったことが想像できます。予選最速にこだわり、もちろんレースも勝つ気で取り組んだ予選。残念ながらその速さは「マシンの向上の裏返しの危険」を身を持って表し、以降のF1界に大きな影響力を生んでしまいました。セナがこのイモラで散ることがなければ、マシンはどこまで進化したのでしょう。今とはまた違う世界を生み出していたことに間違いは無さそうです。
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日が短く肌寒い時期になると日本GPの到来を感じます。しかし残念ながら今年はお預け。ドイツのニュルブルクリンクで行われる「アイフェルGP」が急遽代理開催されます。今シーズンのGPウィーク直前にみてきた開催サーキットの歴代ポールポジションタイム推移ですが、ニュルブルクリンクについては先日のバクー市街地を取り扱った際に勢い余って一緒にやってしまっていました。だってまさかニュルブルクリンクでF1が行われると思わなかったんだもん。。
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IMG_3623(これはその際に作成、掲載したグラフの転記)
となればやっぱりこのタイミングでやるのが一番!日本GPが無いなら頭の中で妄想すればいい(笑)我らが鈴鹿サーキットの歴代ポールポジションをみていきましょうよ。

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《鈴鹿の基本情報》
    全長   :5.859km(1987〜90)
       5.864km(1991〜01)
       5.821km(2002)
       5.807km(2003〜)
 コーナー数:18箇所(2003〜)
   開催回数  :31回

日本GP、鈴鹿サーキットとなればmiyabikunよりも詳しい方は山程いらっしゃると思います。他のサーキットと同様に今回もチラッと概要を一応記しておくと、本田技研工業によって日本初となる本格的な舗装サーキットとして1962年に開設されたサーキットになります。世界のトップグレードのサーキットでも珍しい「8の字」を描くレイアウトで1987年から2年の空白期間を経つつ、現在まで日本GPの舞台を担っています。起伏に富んだ地形に高速、複合コーナー、そしてシケインを有す難易度の高さもあって、F1カレンダーの中でも「ドライバーズサーキット」の一つとしてファンのみならずドライバーや関係者からも人気のサーキットでもあります。ただ日本はヨーロッパからの遠隔地ということもあり、毎年9月末から10月頃の開催とシーズン終盤に設定されるため、時には台風の直撃、また時にはチャンピオン決定の舞台として、今までのF1に多くの試練と感動を与えてくれました。また空白期間となっている07,08年の2年はトヨタ系の富士スピードウェイでの日本GP開催により鈴鹿での連続開催が一旦途絶えています。
今のところ鈴鹿での日本GPは来年2021年までの契約となっていますので、何事も無ければ来シーズンは鈴鹿でF1は行われるはずです。しかしその先が怪しい雲行きになってきましたね。「あちらもこちらも揃って21年限り」とならなければいいのですが。「大阪万博」まではまだかなり時間があるし、もしそうなったらそちらを前倒しにしちゃいますか?!(笑)
サーキットレイアウトの変更は数回あるものの、基本の形は大きく変わりません。前に作図したもので確認しておきます。
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 ・1987〜90年 5.859km 水色(オリジナル)
 ・1991〜01年 5.864km 赤色(シケイン改良)
 ・2003〜現在 5.807km 黒色(130R改良)

91年に当時「カシオ・トライアングル」と呼ばれた速度抑制のシケイン形状が変わり、若干距離が伸びました。また近年03年に超高速左コーナー「130R」が改良され、今や130Rではない複合コーナーとなって現在に至ります。近年とはいいつつも、もう18年間同じレイアウトが保たれているということ。大きな変更が無いという時点で、オリジナルレイアウトは現代にも通用する完成度の高さであったといえますが、欲を言えば幅員の狭さやパッシングポイントが現代にはやや物足りないものになっています。

《鈴鹿の予選P.P.タイム変遷》
 87 5.859km 1分40秒042 ベルガー
 88 5.859km 1分41秒853 セナ
 89 5.859km 1分38秒041 セナ
 90 5.859km 1分36秒996 セナ
 91 5.864km 1分34秒700 ベルガー
 92 5.864km 1分37秒360 マンセル
 93 5.864km 1分37秒154 プロスト
 94 5.864km 1分37秒209 Mシューマッハ
 95 5.864km 1分38秒023 Mシューマッハ
 96 5.864km 1分38秒909 Jヴィルヌーブ
 97 5.864km 1分36秒071 Jヴィルヌーブ
 98 5.864km 1分36秒293 Mシューマッハ
 99 5.864km 1分37秒470 Mシューマッハ
 00 5.864km 1分35秒825 Mシューマッハ
 01 5.864km 1分32秒484 Mシューマッハ
 02 5.821km 1分31秒317 Mシューマッハ
 03 5.807km 1分31秒713 Rシューマッハ
 04 5.807km 1分33秒542 Mシューマッハ
 05 5.807km 1分46秒106 Rシューマッハ
 06 5.807km 1分29秒599 マッサ
 07
 08 
 09 5.807km 1分32秒160 ベッテル
 10 5.807km 1分30秒785 ベッテル
 11 5.807km 1分30秒466 ベッテル
 12 5.807km 1分30秒839 ベッテル
 13 5.807km 1分30秒915 ウェバー
 14 5.807km 1分32秒506 Nロズベルグ
 15 5.807km 1分32秒584 Nロズベルグ
 16 5.807km 1分30秒647 Nロズベルグ
 17 5.807km 1分27秒319 ハミルトン
 18 5.807km 1分27秒760 ハミルトン
 19 5.807km 1分27秒064 ベッテル

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まずはいつものポールポジションタイムをみていきましょう。当初は5.8kmで1分40秒を要していたラップタイムも30年で13秒削る1分30秒かからないところまでF1は進化しました。ポールポジションを獲得した面々をみてもチャンピオン級のビッグネームが多く、同じドライバーが複数回登場するなど「得意不得意」が表れています。
飛び出たタイムをみると、開催2年目、時はちょうど「マクラーレン、ホンダ、セナ」にわく88年はターボの過給圧が2.5バールに制限されて1.8秒の遅れがみられています。無敵を誇るマクラーレンMP4/4ではありますが、過給圧低下は起伏のある鈴鹿においては不利側に働きました。またグラフ中央付近にそびえる05年の1分46秒106は記憶にある方も多いと思います。鈴鹿泣かせの一つである「雨」でしたね。当時の予選方式は今とは異なり「前戦の成績の悪い順に1本だけ走る」というもので、予選が進めば進むほど雨足が強くなったため、シーズン上位のドライバーがこぞって後方スタートという、まるで「リバースグリッド」のような状態でした。それが決勝レースをいつも以上に盛り上げ、面白く演出したというのも皮肉な話です。この年のドライ環境では当時マクラーレンの代走デ・ラ・ロサがフリー走行1回目で1分30秒532で走破。また決勝の最終周で劇的勝利を手にしたライコネンはその最終周で前年のポールポジションを上回る1分31秒540というファステストラップを記録しています。そのタイムは昨年19年のハミルトンが塗り替えるまで14年に渡って最速を保持していました。これだけのマシンの性能をここまで低下させてしまう雨はF1にとって天敵であり、ライバルとイコールコンディションを生みます。
鈴鹿の最速ポールポジションタイムとして長らく定着していたのは91年にマクラーレンを駆るベルガーが記録した1分34秒700が有名でした。ホンダ3.5ℓV12のNAエンジンで打ち立てたその記録を初めて抜いたのが、10年後となる01年のM・シューマッハのフェラーリ3.0ℓV10エンジンで1分32秒484でした。さらにNAエンジンでの最速はその5年後の2.4ℓV8のマッサによる1分29秒599となります。排気量が小さくコンパクトなエンジンを高回転に回せた方が速いラップを刻めたということですね。もちろんエンジンだけの問題ではなく、ボディワークも洗練され、迅速なコーナリングができるようになったのも強力な後ろ盾になりました。ちなみに同じ06年のQ2でのM・シューマッハはマッサをも上回る1分28秒954で走破しています。
近年3年は鈴鹿においても例外無くタイム向上が著しく、台風により「日曜予選」となった19年の眉唾モノのベッテルによって記録された1分27秒064が現在の鈴鹿最速タイムとなります。今シーズンがもし健全に、ドライ環境で行われていれば1分26秒台も夢ではありませんでしたね。もちろん「黒いチーム」で。
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《鈴鹿の予選P.P.平均速度変遷》
 87 5.859km 210.8km/h 100%    ベルガー
 88 5.859km 207.1km/h   98.2% セナ
 89 5.859km 215.1km/h 102.0% セナ
 90 5.859km 217.5km/h 103.1% セナ
 91 5.864km 222.9km/h 105.7% ベルガー
 92 5.864km 216.8km/h 102.8% マンセル
 93 5.864km 217.3km/h 103.1% プロスト
 94 5.864km 217.2km/h 103.0% Mシューマッハ
 95 5.864km 215.4km/h 102.1% Mシューマッハ
 96 5.864km 213.4km/h 101.2% Jヴィルヌーブ
 97 5.864km 219.7km/h 104.2% Jヴィルヌーブ
 98 5.864km 219.2km/h 104.0% Mシューマッハ
 99 5.864km 216.6km/h 102.7% Mシューマッハ
 00 5.864km 220.3km/h 104.5% Mシューマッハ
 01 5.864km 228.3km/h 108.3% Mシューマッハ
 02 5.821km 229.5km/h 108.8% Mシューマッハ
 03 5.807km 227.9km/h 108.1% Rシューマッハ
 04 5.807km 223.5km/h 106.0% Mシューマッハ
 05 5.807km 197.0km/h   93.4% Rシューマッハ
 06 5.807km 233.3km/h 110.7% マッサ
 07
 08 
 09 5.807km 226.8km/h 107.6% ベッテル
 10 5.807km 230.3km/h 109.2% ベッテル
 11 5.807km 231.1km/h 109.6% ベッテル
 12 5.807km 230.1km/h 109.2% ベッテル
 13 5.807km 229.9km/h 109.1% ウェバー
 14 5.807km 226.0km/h 107.2% Nロズベルグ
 15 5.807km 225.8km/h 107.1% Nロズベルグ
 16 5.807km 230.6km/h 109.4% Nロズベルグ
 17 5.807km 239.4km/h 113.6% ハミルトン
 18 5.807km 238.2km/h 113.0% ハミルトン
 19 5.807km 240.1km/h 113.9% ベッテル

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平均速度変換するとこうなります。当初の鈴鹿の速度域は210km/hを超えるあたりと、当時でいうニュルブルクリンク(GPコース)やポールリカール(ショートコース)、現在のハンガロリンクに相当する中速域にありました。それが年々速度を上げ、02年のV10NA時代で230km/h弱、20,000回転近くまで回せる06年V8NA時代では230km/hを超えるところまで上昇し、一般的に高速の位置付けである当時のシルバーストンに匹敵するまでになりました。昨年が最速となるハイブリッドターボ時代の240km/hは現在のシルバーストンやスパ・フランコルシャンには及ばないものの、起伏があり、幅員やレコードラインが狭い中でこれだけの速度域となることを考えると、鈴鹿でのラップは容易なものでなく、世界屈指の難サーキットであることが想像できますね。

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皆さん、今週末は間違って鈴鹿に行かないようにして下さいね!Go ToもF1も残念ですが対象外ですよー(笑)

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