F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

カテゴリ: F1サーキットいろは

ごめんなさい、前回のサンパウロGP前の時に「この企画の最終回は最終戦のヤス・マリーナ」と言ってしまったのですが、ずいぶん前に作って温めていた一箇所をついつい忘れていました。当初の予定ではシーズン序盤に。さらに「春先」の今頃第21戦として組み込まれたにも関わらず、結局中止となりカタールGPに前倒しで託す形となったオーストラリアGPの舞台、アルバートパークです。追い抜きが困難であるという長年の課題を解消すべく、軽微なレイアウト変更まで行ったのに残念でした。miyabikun個人的にはレイアウト云々よりかは周りの環境や風景が好きなので、来シーズンは日本GPの開催と合わせて予定通り行えることを願っています。

大都市メルボルンのアルバートパークでのF1は1996年から開催されています。それまでのアデレイド市街地はシーズンの最終盤に設定され「シーズンの締めくくり」となっていましたが、それから一転アルバートパークになってからは主に「シーズンの幕開け」を担っていました。普段は一部公道の公園の周回路を使い、F1の時期だけ閉鎖という「ほぼ市街地」のサーキットで路面はダスティ。さらには開幕戦ということで「本来のマシンの出来や勢力図を評価し難い」なんてよく言われましたよね。以前このブログで「アルバートパークの戦績は本当に勢力図のアテにならないのか」というのを検証したことがあります(20/3/17掲載)検証の仕方はいささか乱暴だったかもしれませんが、調べた限りではまんざら外しているわけでもないんじゃないかというのが結論でした。どうしても開幕戦はドライバーやマシンも手探りなところがあり、F1チームの多くが拠点としているヨーロッパからみれば、フライアウェイの地ですから「本領発揮はまだまだこれから」といった「言い訳的感覚」が根付いていたようにも感じます。
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「走っては右に、また走っては右に」アルバートパークのレイアウトを見る度にmiyabikun毎回こんな例えをしてしまっています。いわゆるストップアンドゴーの部類です。確かにストレートの長さも中途半端ちゃ中途半端だし、コーナーも飛び込むには浅いし、ところどころキンク(よじれ)していますから、抜こうにも抜けない。下手に抜きにかかると接触するというリスクを伴ってきました。そこで先程冒頭で書いたように、ターン3とターン6、ターン15の円滑化、ターン9を廃止し、ターン13は鋭角化するという細かな変更をいくつか工事を行った上で、今シーズンの開催に臨むつもりでした。
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確かに平均速度は高くなるのは間違いなさそうですが、限られた公園敷地や他のスポーツ施設、中央には池もありますから、かなりの制約がある中での改良に過ぎず「決定打」がまだ弱いように感じます。ミヤビマンティルケなら、もう少しああしたりこうしたりしたかった、と申しております(笑)

前段だけでごちゃごちゃ長くなりましたが、開催された全24回の優勝者とその予選順位をみていくこととしましょう。

《アルバートパークの歴代優勝者の予選順位》
 96 D・ヒル ★     予選2番手→優勝
 97 クルサード     予選4番手→優勝
 98 ハッキネン ★      予選P.P.→優勝
 99 アーバイン     予選6番手→優勝
 00 M・シューマッハ ★ 予選3番手→優勝
 01 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 02 M・シューマッハ ★ 予選2番手→優勝
 03 クルサード     予選11番手→優勝 濡
 04 M・シューマッハ ★ 予選P.P.→優勝
 05 フィジケラ     予選P.P.→優勝
 06 アロンソ ★       予選3番手→優勝
 07 ライコネン ★      予選P.P.→優勝
 08 ハミルトン ★      予選P.P.→優勝
 09 バトン ★        予選P.P.→優勝
 10 バトン       予選4番手→優勝 濡
 11 ベッテル ★       予選P.P.→優勝
 12 バトン       予選2番手→優勝
 13 ライコネン     予選7番手→優勝
 14 N・ロズベルグ    予選3番手→優勝
 15 ハミルトン ★      予選P.P.→優勝
 16 N・ロズベルグ ★  予選2番手→優勝
 17 ベッテル      予選2番手→優勝
 18 ベッテル      予選3番手→優勝
 19 ボッタス      予選2番手→優勝
 20
 21

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

その年のチャンピオンにはいつも通り★マークが付けましたが、開幕戦でこのサーキットが使われたのが22回、そのうちオーストラリアGPの勝者がチャンピオンを獲得したのが2006年のアロンソを除く12回ですから、チャンピオン獲得率は54.5%に達します。この結果を見て多いと捉えるか少ないと捉えるかは各々の感覚次第ですが、まんざらこのサーキットの戦績がアテにならないとも言い切れないのではないかと思います。特に2000年代はココの勝者の多くがチャンピオンを獲得してきました。以下で優勝者の予選順位を整理してみましょう。
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 予選P.P.  →優勝:9回 37.5%
 予選2番手 →優勝:6回 25.0%
 予選3番手 →優勝:4回 16.7%
 予選4番手 →優勝:2回   8.3%
 予選6番手 →優勝:1回   8.1%
 予選7番手 →優勝:1回   4.2%
 予選11番手→優勝:1回   4.2%

いつもながら最多はポールトゥウィンが9回、2位が2番スタートで6回となっていますが、割合からみても、他に比べて突出感がありません。ポールスタートからの戦績をざっとみてみると、開催2年目となる97年は鳴り物入りでF1に参戦したJ・ヴィルヌーブがポールを獲得しつつも、決勝は1周もすることなくリタイヤ。99年のポールはチャンピオン連覇のかかるマクラーレンのハッキネンが獲得しますが、マシントラブルによりリタイヤ。2002年はフェラーリのバリチェロが獲得して0周リタイヤ。03年はM・シューマッハは変化する路面に対応するのが遅れて4位入賞に止まり、2010年のベッテルはレース前半にリタイヤと多くはマシントラブルやアクシデントによりリタイヤもしくは順位を落としています。このあたりが「開幕戦(開幕直後)は何が起こるかわからない」といわれる所以かもしれません。
フロントロウ以外はセカンドロウから6回、サードロウから1回優勝があり、後方からだと7番手からが1回、そして11番手からも1回ありました。異常値というのも失礼ですが、いつものように下位スタートからどう優勝に繋げられたのかを簡単に振り返りたいと思います。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
① 03 クルサード 予選11番手→優勝 濡

この年のオーストラリアGPは開幕戦に設定され、さらには「新予選方式の採用」があったシーズンです。タイムアタックは「一台ずつの1ラップのみ」とし、タイヤの温まりをはじめドライバーの集中力も問われた方式でした。予選はブリヂストンタイヤを履く前年チャンピオンのフェラーリがフロントロウを独占。3番手はミシュランを履くウィリアムズのモントーヤが続き、同じくミシュラン履きのマクラーレンはクルサードが11番手、ライコネンが15番手に沈みました。完全に新予選方式に適合できていません。
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決勝の直前に雨が降り、スタート時は上がったものの路面は濡れた状態となりました。下位に沈んだライコネンはフォーメーションラップでピットイン、ガソリン継ぎ足しとドライタイヤに履き替える賭けに出ます。クルサードもオープニングラップ後の2周目に同様の策を採る。
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乾き始めの路面、さらには通常のサーキットよりダスティで雨でラバーが流れてしまった状態です。2番手スタートからフライングをかましたバリチェロもバチが当たったか6周目にスピンしクラッシュ。
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ジャガーで地元GPを迎えるウェバーはサスペンション損傷で真っ直ぐに走れず。
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乾き始めたらミシュランが有利、と序盤にタイヤをしれっと替えたライコネンがトップ、2位M・シューマッハ、3位クルサードのラインナップに変わっています。予選大失敗のマクラーレンが奇策を見事に成功させました。
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前の2台はコース外にまで及ぶバチバチのバトルを繰り広げ、ライコネンは33周目のピットイン時のスピード違反のためドライブスルーペナルティが下り、
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M・シューマッハもライコネンのバトルでディフレクター(バージボード)を損傷して不必要なピットインを強いられて順位を落とします。
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代わってトップに立つモントーヤもスピンして後退。予選で大失敗をかましつつも結果的には「何事も無かった」クルサードが11番手から優勝。表彰台からフェラーリを久々に完全排除し、勢力拡大中のミシュランタイヤ勢で埋め尽くしました。IMG_3074

② 13 ライコネン 予選7番手→優勝

こちらは「過去のレースを振り返る」で19/3/15に取り扱いました。このレースも開幕戦です。
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予選は雨で荒れ、フェラーリのマッサをはじめマシンを壊す波乱が起きています。ポールポジションは三年連続のダブルチャンピオンを成し得たレッドブルのベッテルが獲得。2番手に地元のチームメイトであるウェバーが続き、この年もレッドブル旋風が吹き荒れる様相。
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決勝は雨が上がりますが、スタート直前に2番手ウェバーにKERS不調が告げられ、幸先悪し。
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地元だろうがチャンピオンチームだろうが容赦無し「翼をもぎ取られた」オージーはハミルトンやアロンソの餌食になります。
トップを走るベッテルをはじめ、スーパーソフトタイヤスタートの上位の多くはタイヤのタレを懸念し、3回ストップでレースを企てています。ところが21周目のベッテル2回目のピットが2ピットストップを選んだフォースインディアのスーティルと重なり、思わぬフタをされてしまいます。IMG_3089
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それが仇となり、1周前に2回目を終えていたフェラーリのアロンソにアンダーカットを許す形となりトップから陥落しました。
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スーティル以外に2回ストップを選んだドライバーも少数ながらいました。7番スタートのロータスのライコネンです。ベッテルと同様にスーパーソフトタイヤスタートながら、1スティントを2周引っ張り、続いて履いたミディアムタイヤでもタイヤに優しい走りで23周目に暫定トップに立ちます。43周目に逆ストラテジーで2回ストップのスーティルを捉えてIMG_3092
パス。前年2013年にF1復帰を果たしてポイントランキング3位につけたベテランは、トップからやや劣るマシンでも戦略と走りで充分勝機を見出せることを証明しました。IMG_3093

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今までは3月中旬から4月初頭のいわゆる「秋口」に開催されることが当たり前であったアルバートパーク。来シーズンが予定通りに進めば第3戦の4/10に決勝が行われます。繰り返し、改修後のアルバートパークに無事に「秋」が訪れることを祈りたいと思います。

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三連戦の2つ目、ブラジルです。また時差だ。。毎年のことながらこの時期の観戦は身が堪えます。ただチャンピオン争いにおいては重要な時期ですから、我々ファンもしかと臨まなければなりませんね。

先日のメキシコシティGPに続き、今シーズンからブラジルGPは開催都市であるサンパウロがGP名となります。舞台は変わらずも近年開催が危ぶまれ続けているホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)です。
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ホセ・カルロス・パーチェの開業は古く、F1制定のだいぶ前となる1936年です。グアラピランガ湖とビリングス湖の間に挟まれた土地であることから「湖の間=インテルラゴス」と名付けられました。F1は南米出身のドライバーが台頭し始めた1973年にブラジル初のF1開催の地となり、初開催では若きチャンピオン経験者であるE・フィッティパルディが優勝を挙げています。2年目の74年もE・フィッティパルディが連覇、3年目の75年も地元のパーチェが優勝するなど、地の利を活かした結果が続きます。しかし77年にそのパーチェがシーズン中に飛行機事故のため他界し、それまでの功績を讃えサーキット名を「ホセ・カルロス・パーチェ」に改称しています。
一時期ブラジルGPは成長著しいピケのお膝元、リオ・デ・ジャネイロ郊外のジャカレパグア(後のネルソン・ピケであり、現存せず)に舞台を移しますが、新たにチャンピオンを獲得したセナの地元サンパウロのこのサーキットに90年から復帰し、現在に至ります。
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サーキットレイアウトは当時珍しい「反時計回り(左回り)サーキット」であり、一度大きな改修を経ています。図の左側の赤ラインが初開催の73年から80年まで採用されたものであり、右側の黒ラインはお馴染みのものです。似てはいるけど昔は線を辿るととても複雑なレイアウトですよね。赤ラインの全長は7.960kmに及びました。90年の復活開催で一回り小さく、シンプルな4.325km(現在は4.309km)に短縮しています。面白いのは現在は左のターン3「クルヴァ・ド・ソル」から左のターン4「クルヴァ・ド・ラゴ」の順で駆け抜けるところ、旧レイアウトでは逆だった点です。南アフリカGPのキャラミも大改修を受けて「以前とは逆走になる区間」がありましたよね。

《カルロス・パーチェの歴代優勝者の予選順位》
 73 Eフィッティパルディ  予選2番手→優勝
 74 Eフィッティパルディ★ 予選P.P.→優勝 濡
 75 パーチェ       予選6番手→優勝
 76 ラウダ        予選2番手→優勝
 77 ロイテマン      予選2番手→優勝
 78 
 79 ラフィ        予選P.P.→優勝
 80 アルヌー       予選6番手→優勝

 90 プロスト       予選6番手→優勝
 91 セナ ★          予選P.P.→優勝 濡
 92 マンセル ★        予選P.P.→優勝
 93 セナ         予選3番手→優勝 濡
 94 M・シューマッハ ★  予選2番手→優勝
 95 M・シューマッハ ★  予選2番手→優勝
 96 D・ヒル ★      予選P.P.→優勝 濡
 97 J・ヴィルヌーブ ★   予選P.P.→優勝
 98 ハッキネン ★       予選P.P.→優勝
 99 ハッキネン ★       予選P.P.→優勝
 00 M・シューマッハ ★  予選3番手→優勝
 01 クルサード      予選5番手→優勝 濡
 02 M・シューマッハ ★  予選2番手→優勝
 03 フィジケラ      予選8番手→優勝 濡
 04 モントーヤ      予選2番手→優勝 濡
 05 モントーヤ      予選2番手→優勝 濡
 06 マッサ        予選P.P.→優勝
 07 ライコネン ★       予選3番手→優勝
 08 マッサ        予選P.P.→優勝 濡
 09 ウェバー       予選2番手→優勝
 10 ベッテル ★        予選2番手→優勝
 11 ウェバー       予選2番手→優勝
 12 バトン        予選2番手→優勝 濡
 13 ベッテル ★        予選P.P.→優勝
 14 N・ロズベルグ     予選P.P.→優勝
 15 N・ロズベルグ     予選P.P.→優勝
 16 ハミルトン      予選P.P.→優勝 濡
 17 ボッタス       予選P.P.→優勝
 18 ハミルトン ★       予選P.P.→優勝
 19 M・フェルスタッペン  予選P.P.→優勝
 20

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

まずはこのサーキット「通しの」戦績一覧です。第一期は78年の一年間だけジャカレパグアでのお試し開催があったため欠けており、第二期は昨年2020年は例のCOVID-19により非開催となっています。
優勝者のラインナップを見てみると第二期の91年以降、2002年あたりまで10年は見事なまでの★マークが続いています。この頃は「ブラジルGPを制するとそのシーズンを制する」なんてジンクスが謳われました。それも近年こそシーズン終盤に設定されていますが、この時代は開幕戦から第3戦とシーズン序盤に設定されていたため、観る側からすると「ブラジルGPを勝てたということはチャンピオンも、、」みたいな予感がしたのを思い出します。また今でこそ最終戦ではなくなってしまいましたが「チャンピオン決定の舞台」をなしていた時代もあります。05年と06年でチャンピオンを獲得したアロンソをはじめ、翌07年はライコネン、08年のハミルトン、09年のバトン 、さらには12年のベッテルもこの地でチャンピオンを決めています。ただし「ブラジルGPを優勝してチャンピオンを決めた」まで絞ると、上記一覧にあるように07年のライコネンのみとなります。最終戦で自力で勝ちチャンピオンってのが一番カッコいいシーズンの締めくくり方ですね。

少し本題から脱線してしまいましたが、優勝者の予選順位を整理するとこうなります。
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 予選P.P. →優勝:17回 45.9%
 予選2番手→優勝:12回 32.4%
 予選3番手→優勝:  3回   8.1%
 予選5番手→優勝:  1回   2.7%
 予選6番手→優勝:  3回   8.1%
 予選8番手→優勝:  1回   2.7%

ポールポジションと予選2番手がほとんどを占め、以下は4番手と7番手以外からちらほら8番手までで優勝が現れています。毎度ながらこの4番手と7番手がぽっかりと空いて優勝していない「理由」を知りたいですよね。7番手は後方寄りなので「たまたま」で納得できますが、4番手については、それ以降でいくつか勝者があるわけですから謎であり、何か怨念的なものでもあるのかと疑ってしまいます。本当はその点を掘り下げて解明していく方が面白そうですが、今回もやりませーん、ごめんなさーい(笑)

似て非なる第一期と第二期で違いがみられるかどうか分解して整理しました。

〈第一期 1973〜77,79,80年〉
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 予選P.P. →優勝:  2回 28.6%
 予選2番手→優勝:  3回 42.9%
 予選6番手→優勝:  2回 28.6%

〈第二期 1990〜2019年〉
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 予選P.P. →優勝:15回 50.0%
 予選2番手→優勝:  9回 30.0%
 予選3番手→優勝:  3回 10.0%
 予選5番手→優勝:  1回   3.3%
 予選6番手→優勝:  1回   3.3%
 予選8番手→優勝:  1回   3.3%

第一期の対象は7つ、第二期は37と割合に偏りが大きいため単純比較はできませんが、第一期は「ポールトゥウィンよりそれ以外からの優勝が多い」のが特徴的です。レースとして「予選は予選、決勝はまた別物」として楽しむことができる点はいいですね。第一期のポールシッターの戦績をみていくと、77年のハントは2位フィニッシュした以外の4ケースは全てリタイヤに終わっています。細かなリタイヤ理由までは追いきれていませんが、インテルラゴスは開催GPの中でも高標高かつパンピーな路面あることが有名で、当時のマシン信頼性を考えても必ずしもポールシッターが有利ではなかったことがうかがえます。
一方第二期は他のサーキットと同様にポールトゥウィンが最も多く、後方になるにつれて優勝の確率が下がっていきます。特に08年の「悲劇のマッサ」以降、優勝者はフロントロウから輩出しています。例外なくココでも優勝するにはフロントロウからのスタートが絶対的有利であることがわかりました。来シーズン以降のマシンレギュレーションではオーバーテイクが容易となり、この辺の固定概念が少しでも緩和してくれると、決勝レースもより盛り上がるのですが。

最後はいつものように異例の下位スタートからの優勝例を振り返り締めくくりたいと思います。今回も1ケースのみ、18年前の03年の8番グリッドからの優勝になります。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 03 フィジケラ 予選8番手→優勝 濡

このレースも16/3/14に「過去のレースを振り返る」で扱っています。余談ですがこれを書いた頃のmiyabikunは仕事帰りの駅のエスカレーターから転落して左手足骨折のため、入院先の病院で書いたものです。ちょっと素材が古く乏しいため、今回用にリメイクしています。IMG_2723
第3戦に行われたこの決勝は雨に見舞われ、ローリングスタートとなりました。地元GPでポールポジションを獲得したフェラーリのバリチェロはダッシュにもたつき、開幕戦を制したマクラーレンのクルサードに先攻を許してしまいます。
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その後、第2戦で初優勝を挙げた4番スタートのライコネンがバリチェロ、さらには先輩クルサードをターン1でかわし、2戦連続優勝の可能性を見出しています。IMG_2727
雨は止み、徐々に路面が乾きはじめた頃、サーキットの様相が急変します。17周目にジョーダンのファーマンがトヨタのパニスを巻き込むクラッシュ。
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ウィリアムズのモントーヤ、ジャガーのピッツォニアが24周目にコースオフによるクラッシュでレースを終えると、まだ処理が終わる前の2周後にフェラーリのM・シューマッハまでもが同じ場所でコースオフ。
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ミナルディから参戦のJ・フェルスタッペンにIMG_2732
ホンダのバトンもリタイヤ。一台、また一台と戦列を離れていきます。
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何度もセーフティカーが入り、事故処理を繰り返す中、8番スタートのジョーダンのフィジケラがライコネンのミスの間にパス。マクラーレン三連勝に待ったをかけます。
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53周目の最終コーナー手前でジャガーのウェバーが派手にクラッシュし、タイヤがトラック上に散乱。黄旗が振られるも間に合わず
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ルノーのアロンソがそのタイヤに衝突して恐れていた二次被害が出てしまいました。赤旗中断となります。
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レースを再開するには危険と判断され、ジョーダンのフィジケラが初優勝を確信したものの
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表彰台の中央にはライコネンが選ばれて、初優勝から二戦連続となる優勝、マクラーレンの開幕三連勝で一旦幕を閉じます。
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ところが審議の結果、56周目に提示された赤旗に対して「2周前の順位を正とする」裁定が下り、翌サンマリノGPにライコネンからフィジケラへと優勝トロフィーが返還され、フィジケラの初優勝が決まりました。8番手からの優勝は異例中の異例、実に荒れたサバイバルレースによってもたらされたものです。
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GPウィーク直前に行ってきた「優勝を可能とする予選順位」ですが、この先に行われるカタールGP、サウジアラビアGPは共に初開催のため、この企画はできません。よって次回は最終回であり最終戦のアブダビGPとなります。

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アメリカと同様に日本からみれば「早朝開催」のメキシコです。舞台は変わらずエルマノス・ロドリゲスで行われますが、GP名は今回から「メキシコシティGP」に変わります。特異な標高と日本との時間帯は相変わらずです。歴代優勝者の予選順位をみていきましょう。

メキシコGPはF1創成期にあたる60年代に8回、世界的に認知と人気の高まった80年代に7回、そして2015年から現代まで5回の計20回開催されています。行われたり行われなかったり極端なメキシコGPも近い将来また開催されなくなるのではないかという噂もちらほら耳にしますが、現在はペレスの活躍もあり、GPウィークは大盛り上がりですね。
まずメキシコGPの歴史を簡単におさらいしておくと、初開催は1963年とかなり昔になります。サーキット自体は前年の62年に完成し、読み方にいささか自信はありませんが当時は「マグダレーナ・ミシウカ」という名のサーキットとして、F1のノンタイトル戦が行われています。そのレースで奇しくも地元の若手ドライバーであるリカルド・ロドリゲスが事故死したことがきっかけで、サーキット名を「リカルド・ロドリゲス」に改称、70年シーズンまで使用されました。メキシコGPが無くなった71年に今度はリカルドの兄ペドロもドイツのスポーツカーレースで事故死したため、その兄弟の功績を讃え「エルマノス・ロドリゲス」(ロドリゲス兄弟)とさらに改称して現在に至ります。
このサーキットの特徴といえば、他に類をみない2,285mという高い標高下にあること。マラソンで「高地トレーニング」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、F1マシンも「息を吸って力を生み出す機械」ですから、マシンの心臓、つまりエンジン(パワーユニット)にとって負荷のかかるサーキットです。また空気が薄いということは、空気抵抗も小さくなりますから、普段のサーキットのようなドラッグ、ダウンフォースを得にくくなります。DRSの効果も通常より小さくなります。
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サーキットは2回ほど改良を経て現在に至ります(水色→赤→黒の順)多くはコントロールラインから最も遠いセクター2の改良であり、ピストルのような、手羽先のような形の基本レイアウトは変わりません。こじんまりとした敷地の中、長いストレートに目が行きがちですが、それよりも中盤以降のコーナーをいかに速く走れるかがポイントです。また名物コーナーとして終盤にあったバンク付き小半径の180°右コーナー「ペダルターダ」は無くなり、こちらも特徴的なスタジアムの観客席の中を通過するセクションに変更となりました。今は「ナイジェル・マンセル」という名が付けられています。第二期メキシコGPの最終覇者であり、その年のチャンピオンですね。
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《エルマノス・ロドリゲスの歴代優勝者の予選順位》
 63 クラーク ★        予選P.P.→優勝
 64 ガーニー       予選2番手→優勝
 65 ギンサー       予選3番手→優勝
 66 サーティース     予選P.P.→優勝
 67 クラーク          予選P.P.→優勝
 68 G・ヒル ★      予選3番手→優勝
 69 ハルム        予選4番手→優勝
 70 イクス        予選3番手→優勝

 86 ベルガー       予選4番手→優勝
 87 マンセル       予選P.P.→優勝
 88 プロスト       予選2番手→優勝
 89 セナ         予選P.P.→優勝
 90 プロスト       予選13番手→優勝
 91 パトレーゼ      予選P.P.→優勝
 92 マンセル ★       予選P.P.→優勝

 15 N・ロズベルグ    予選P.P.→優勝
 16 ハミルトン        予選P.P.→優勝
 17 M・フェルスタッペン 予選P.P.→優勝
 18 M・フェルスタッペン 予選2番手→優勝
 19 ハミルトン ★      予選4番手→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません

3つの時期がはっきり分かれた戦績一覧です。当然ながら空白期間も長いため、それらの期をまたいでドライブした者はいませんし、マシンレギュレーションも全く異なります。ひとまず全20回全ての順位をまとめてみます。
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 予選P.P.   →優勝:10回 50.0%
 予選2番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選3番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選4番手  →優勝:  3回 15.0%
 予選13番手→優勝:  1回    5.0%

優勝は5つの予選順位から生まれ、ポールトゥウィンを筆頭に順位が下がるとその優勝回数も減っています。ポール、2番手、3番手、4番手までは妥当に続くのは他とも変わりなくいつも通りですが、飛んで予選13番手からの優勝も一度だけありました。90年のフェラーリ時代のプロストによるものです。せっかく3つのグループに分かれているし、マシンもドライバーも異なりますから、細分化したらもう少し時代ごとの特徴がみられるかもしれません。

〈第一期 1963〜70年〉
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 予選P.P.   →優勝:3回 37.5%
 予選2番手  →優勝:1回 12.5%
 予選3番手  →優勝:3回 37.5%
 予選4番手  →優勝:1回 12.5%

こちらが第一期メキシコGPの8年間の優勝者の予選順位になります。時代はちょうどJ・ブラバムやクラーク、G・ヒルといった強豪がひしめき合い、マシンは葉巻型のシンプルなフォルムから少しずつ「ダウンフォース」という思想が生まれ、ウィングが前後に取り付けられた頃です。その中でも65年に3番手から優勝を挙げたギンサーは「F1でのホンダ初優勝」でもあります。
母数が少ないのでグラフにしても面白みがありませんが、ポールポジションと3番手が3回の同数で、2番手と4番手が1回ずつとなっています。この時代のメキシコGPは横一列二台の配置による決勝スタートが採用されてはいたものの、現在のような「縦に綺麗に二列」の配置ではなく、千鳥配置を採っていました。

〈第二期 1986〜92年〉
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 予選P.P.   →優勝:4回 57.1%
 予選2番手  →優勝:1回 14.3%
 予選4番手  →優勝:1回 14.3%
 予選13番手→優勝:1回 14.3%

ターボによるパワフルF1から、大排気量のNAかつハイテクF1に移行する時代の7年間の戦績です。円グラフの色分けは統一にしていますので、予選3番手をなすグレーに変わって、異端児である濃い青の予選13番手が加わっています。
プロストの13番手はレアケースということで除外しても、ポールポジションからの優勝に優位性が表れています。

〈第三期 2015〜19年〉
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 予選P.P.   →優勝:3回 60.0%
 予選2番手  →優勝:1回 20.0%
 予選4番手  →優勝:1回 20.0%

最後は最近のメルセデス天下、いや現代のパワーユニットで行われる5回の戦績になります。チャンピオンこそ5回全てでメルセデスが獲りましたが、17年と18年の2回はレッドブルのフェルスタッペンが獲っているんですよね。あと1回フェルスタッペンが獲れれば、地元のペレスを差し置いて「メキシコマイスター」になりますし、勝率もメルセデスと五分五分に並びます。
割合はやっぱりポールトゥウィンが最多。さらにはこの時代もなぜだか3番手からの優勝がありません。この5年間の「3番手スタート」がどうだったかを見返すと、15年のベッテルはリタイヤ、16年のフェルスタッペンはタイムペナルティを食らって4位フィニッシュ、17年のハミルトンは9位フィニッシュ、18年もハミルトンで4位フィニッシュ、最終19年のベッテルが何とか一つ順位を上げた2位表彰台と、若干呪われている感がありますね。


時代ごとに分けても明確な理由や根拠はありませんでしたが、エルマノス・ロドリゲスにおいても「ポールスタートが絶対有利」であることと「3番手は呪われがち」ということだけはわかりました(笑)
最後はいつものように下位スタートからの優勝例を簡単に振り返っておきましょう。振り返るのは一択しかありません。90年のレースです。

〈下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 90 プロスト 予選13番手→優勝

このレースも2年前にあたる19/10/25に「過去のレースを振り返る」で扱っていますので、細かくはそちらをご覧下さい。
シーズン前半の第6戦に設定されたメキシコGPは雨季に入り、ただでさえバンピーな路面がいつも以上に難しい状況で迎えました。予選はマクラーレン・ホンダのベルガーがポールポジションを獲得。2番手はウィリアムズのパトレーゼ、3番手はマクラーレンのセナが続き、フェラーリ勢はマンセルが4番手、プロストは13番手に沈んでいます。IMG_2617
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決勝のスタートは2番手のパトレーゼの蹴り出しがよく、ポールのベルガーをパス。マクラーレン2台が追う形に変わります。
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2周目にベルガーに代わって2位に浮上したセナがパトレーゼをかわし、後続を少しずつ引き離しにかかりました。ところがタイヤチョイスに失敗したパトレーゼは後方から束になって猛追するフェラーリにやられ、少しずつフェラーリの順位が浮上し始めます。
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最大で18秒のリードを築いたセナもタイヤフィーリングに不安感を持ち、タイヤ交換を要求しますが、チームからはステイアウトを指示。
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いよいよセナにフェラーリ2台が襲いかかります。IMG_2623
フェラーリ2台にかわされたセナはレース残り6周でタイヤバーストし、ピットに戻るもセナはレースに戻らず。
IMG_2624
予選で失敗しつつも、決勝では正しいタイヤチョイスをし、決勝は無理なく順位を上げたプロストが頭脳勝ちしています。

今シーズンも終盤に入り、ドライバーズ、コンストラクターズの両チャンピオン争いが激化してきました。地元の英雄ペレスも今シーズンからは「勝てるマシン」で凱旋を迎えます。仮にペレスが予選、決勝とも好調でも、優勝は譲る形になるのかな。ペレスも地元で勝ちたいだろうな。

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昨シーズンは全滅だった南北アメリカ大陸系GPが今年は開催可能の見通しですね。これで結果的に中止になったのは東アジア勢(日本、中国、シンガポール)と唯一のオセアニア(オーストラリア)ということになりました。ヨーロッパからみたら遠いけど、来シーズンは必ずや開催できると信じたいですね。今週末はリバティ・メディアからすればお膝元、来シーズンからは二開催となるアメリカGPです。日本からすると地獄の、いや早起きで「健康的な」GP観戦の季節到来となります。
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昨シーズンは異例ながらイタリアによるシーズン一国二開催ならぬ「一国三開催」が生まれましたが、三開催はアメリカが発祥です。近年は一開催や行われないシーズンを繰り返しながら、テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(通称 COTA)直訳は「アメリカのサーキット」その名の通りアメリカGPとしてだいぶ定着しました。
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ヘルマン・ティルケ監修により2012年に完成。その年からF1アメリカGP復活開催しました。世界に点在する著名サーキットの名物セクションをパ◯り、いやオマージュして組み合わせられたこともあってか、ティルケサーキットの中では比較的高評価を得ていますよね。ただ、最近は早くもトラック各所にハンプ(隆起)がみられていることが問題となりました。miyabikun恥ずかしながら最近知ったのですが、F1マシンがフルアタックすると、ダウンフォースや横Gにより、舗装にわだちができたり、よれたりするんですね。我々も普段幹線国道を走ると、ダンプカーが付けたであろうわだちをみかけますが、軽量なF1マシンでもその現象が起きるのを知りませんでした。軽量かつ高速のF1マシンも、荷重的には2tトラックと似たようなもんで。
反時計回り(左回り)で構成され、広めの幅員とターマック化されたランオフエリアは近代サーキットならでは。追い抜きし易い、したい気持ちにさせてくれる鋭角コーナーもいくつかあります。COTAでの歴代優勝者の予選順位をみてみましょう。

《COTAの歴代優勝者の予選順位》
 12 ハミルトン   予選2番手→優勝
 13 ベッテル ★  予選P.P.→優勝
 14 ハミルトン ★ 予選2番手→優勝
 15 ハミルトン ★ 予選2番手→優勝 濡
 16 ハミルトン   予選P.P.→優勝
 17 ハミルトン ★ 予選P.P.→優勝
 18 ライコネン   予選3番手→優勝
 19 ボッタス    予選P.P.→優勝

 ★はその年のチャンピオン
 「濡」は雨もしくはウェットコンディション
 ※予選順位はペナルティ降格を含みません
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 予選P.P.   →優勝:4回 50.0%
 予選2番手  →優勝:3回 37.5%
 予選3番手  →優勝:1回 12.5%

アメリカGPは歴史が古く、COTAも定着しつつあるとはいえ、まだ開催8回ですからシンプルかつ寂しい感じになっています。最多は言うまでもなくポールトゥウィンで、その数は開催の半数にあたる4回50%。2番目は2番手で3回、そして3番目が予選3番手からが1回となります。まだ最近の話ですから、記憶にある方も多いと思いますが、2018年のフェラーリ第二期のライコネン「今のところのラストウィン」は3番手ではなかったような、、そうなんです、スターティンググリッドはフロントロウの2番手発進なんです。何でこんなことになったかというと、当時のチームメイトであるベッテルが金曜フリー走行の黄旗無視のペナルティにより、予選2番手から3位分降格して5番グリッドになったんです。だから実質ライコネンは2番手からの優勝となり、つまりは「COTAは今までフロントロウスタート以外から優勝者がない」という結論に至ります。バカスカ抜けそうな印象のサーキットでも、優勝となるとある程度「定説」というか、トップは比較的変化の少ない結果が多いということ。と、COTA編はこれで終わりっちゃ終わりなんですが、さすがに寂し過ぎます。最近過ぎて振り返るまでもないかもしれませんが、今回も下位スタートからの優勝をみておきましょう。下位という程でもないけど、一応「最下位からの優勝」にあたる2018年のアメリカGPです。

〈(一応)下位スタートから優勝を挙げたレース〉
 18 ライコネン 予選3番手→優勝

このレースで5回目のチャンピオン獲得に手が届くハミルトンですが、今ではちょっと考えられないフェラーリの好走(一説にはグレーな部分もありましたが)は予選の段階から始まっていました。IMG_2418
決勝タイヤを決めるQ2はライコネンがウルトラソフトタイヤを装着しトップタイム。IMG_2420
Q3はベッテルがウルトラソフトを履いてハミルトンに食らい付きますが、0.061秒差で惜敗。先程も書いた通りベッテルは金曜フリー走行で黄旗を無視したペナルティ降格が決まっていたため、スタートは5番手に降格。ハミルトンに0.070秒敗れたライコネンがベッテルに代わって2番手発進となります。IMG_2421

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決勝のスタートはアウト側のハミルトンがイン側のライコネンに思い切り幅寄せ。上りながらタイトに左に折れるターン1で不利なラインを強いられますが、この日のライコネンは屈しませんでした。IMG_2423
直進するライコネンがターン1をトップで通過し、ハミルトンの先制攻撃をかわします。レッドブルのリカルドのストップによりバーチャルセーフティカーが発動。2位のハミルトンはそのタイミングでソフトタイヤに交換するも、
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ライコネンはステイアウト。フレッシュタイヤのハミルトンは猛追を続け、ピットロス分を早々に解消してライコネンの背後を攻め立てます。IMG_2426
それにも使い切ったウルトラソフトで耐える。11周でタイヤ交換したハミルトンに対して、ライコネンは21周目まで引っ張り、ソフトタイヤに履き替えています。IMG_2427
2位になればチャンピオンが決まる。ハミルトンはラップレコードを塗り替える走りでプッシュしますが、
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トップのライコネンとの間にレッドブルのフェルスタッペンが居座っています。これでは得意なアメリカでチャンピオン獲得はできません。IMG_2429
チャンピオンの行方など関係無い(ただし、チャンピオン争いをしているのは相方のベッテル)ライコネンはスタートダッシュと1スティントでのタイヤを労る走りが功を奏し、5年振りの優勝を獲得。これが現時点でのライコネンのラストウィンレースとなっています。ポールトゥウィンでない勝ち方ってのもライコネンらしいですね。

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先日の鈴鹿編と同様に今シーズン限りで勇退するライコネン持ち上げ回になりました。優勝は難しいだろうけど、残り少ないレースでワンチャン上位入賞を決めて、気持ちよく送り出してあげたいですね。

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(トップ画像と本文は何ら関係はありません)
いつも過去ばかり懐かしがる「過去好きmiyabikun」が珍しく久々に「未来の話」について書きます。先程早くも来シーズン2022年の(暫定版)F1カレンダーが発表されましたね。前回遅れ馳せながらようやく今シーズンのカレンダーをまとめたばかりなのに、立て続けにカレンダーの話。ぱっと見似ているかもしれませんが、今シーズンと比べていくつか変更点もありますので、確認とともにお間違えなきようお願いします。

《2022年の暫定版F1カレンダー》日付は現地時間
 開幕戦バーレーンGP        (3月20日)
  バーレーン国際
 第2戦  サウジアラビアGP   (3月27日)
  ジェッダ市街地

 第3戦  オーストラリアGP   (4月10日)
  アルバートパーク

 第4戦  エミリア・ロマーニャGP(4月24日)
  エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ(イモラ)

 第5戦  マイアミGP      (5月8日)
  マイアミ市街地

 第6戦  スペインGP      (5月22日)
  カタロニア
 第7戦  モナコGP       (5月29日)
  モンテカルロ市街地

 第8戦  アゼルバイジャンGP  (6月12日)
  バクー市街地
 第9戦  カナダGP       (6月19日)
  ジル・ヴィルヌーブ

 第10戦イギリスGP      (7月3日)
  シルバーストン
 第11戦オーストリアGP    (7月10日)
  レッドブルリンク

 第12戦フランスGP      (7月24日)
  ポール・リカール
 第13戦ハンガリーGP     (7月31日)
  ハンガロリンク
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 第14戦ベルギーGP      (8月28日)
  スパ・フランコルシャン
 第15戦オランダGP      (9月4日)
  ザントフォールト
 第16戦イタリアGP      (9月11日)
  モンツァ

 第17戦ロシアGP       (9月25日)
  ソチ・オリンピックパーク
 第18戦シンガポールGP    (10月2日)
  マリーナ・ベイ市街地
 第19戦日本GP        (10月9日)
  鈴鹿

 第20戦アメリカGP      (10月23日)
  サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)
 第21戦メキシコシティGP   (10月30日)
  エルマノス・ロドリゲス

 第22戦サンパウロGP     (11月13日)
  ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)
 最終戦アブダビGP      (11月20日)
  ヤス・マリーナ

また全23戦と盛りだくさんですね。昔は参戦ドライバーよりも開催地の方が少ないことが当たり前でしたが、いつの間にか開催地の方が増えてしまいました。世界の強者揃いのF1ですから、一人1勝すると余る計算になるわけですが、現実はそうもいきません。勝てるドライバーがバカスカ勝ち、いつまでも勝てないドライバーはいる。来シーズンはマシンレギュレーションが大幅に変更される予定とはいえ、基本図式は変わらないでしょうね。どのチームが新レギュレーションにどハマりしたマシンを作り上げて、どのドライバーが適応できるかにかかっています。
話を戻して、来シーズン2022年のF1カレンダーは骨子こそ例年とさほど変わりませんが、細部でちょこっと変化のあるものとなっています。

〈2021年からの主な変更点〉
・アメリカのマイアミGPを新設
・サウジアラビアGPをシーズン序盤に移動
・エミリア・ロマーニャGPの三年連続開催
・イギリス、オーストリア、フランスの入れ替え
・ロシアGPとシンガポールGPの入れ替え

目立つところはこの五点でしょうか。今春に発表された第2アメリカGPこと「マイアミGP」がシーズン序盤の第5戦に組み込まれました。これについてはこのあと少し掘り下げていきます。
また今シーズンまだ開催されてもいないジェッダ市街地でのサウジアラビアGPが4ヶ月弱の間隔となる第2戦で早くも2度目の開催を迎えます。開幕戦のバーレーンGPに続いて2戦連続の中東ということで、F1は「中東に始まり、中東で終わる」構図が確立されつつあります。
軽微なサーキットレイアウト変更を経て、昨シーズンからのコロナ禍からふっと湧いて出た第2イタリアGPこと「エミリア・ロマーニャGP」も3年連続の開催となりました。チームやドライバーがイマイチパッとしないイタリアをどうにかF1開催により再び盛り上げていこうという魂胆でしょうか。

逆にカレンダーをみて「あれがどこにも無いじゃん」と思った方も多いと思います。いやいや今更のベトナムGPじゃありません(笑)端から中国GPが無いんです。miyabikun個人的には上海国際サーキットのレイアウトが好きなので、無くなってしまうのは残念なのですが、これって「アレの発端となったことの社会的制裁」とか?!、、とそれは冗談ですが、中国は来年2月に北京で冬季オリンピック、パラリンピックを控えており、そちらに注力したいとか何とかだそうですね。北京のオリンピックはついこの前やったばかりと記憶していますが、こんな短スパンで、それも(たまたま) 2年連続となるアジア開催が無事にできるかどうかが心配になってしまいます。
また、今シーズン急遽「未定」の枠に前倒しで加わったカタールGPはあくまで予定は2023年から正式に加わるものとして、2022年版からは一度外れ、2年連続の急な開催も「ヌルヌル路面」で手を焼いたトルコGPも外れています。おそらくカタールとトルコは「いざという時の代替用」として候補にはあるのでしょう。
さらに軽微なところでは、アルバートパークで行われる第3戦オーストラリアGPはサーキットの軽微変更後の初開催となります。変更されたレイアウトについて、今回は掲載しませんが(開催前またミヤビマン・ティルケに描き直しさせます)ターン3の円滑化、ターン6の円滑化、ターン9の廃止、ターン13の鋭角化、そしてターン15の円滑化とオーバーテイクの少ないアルバートパークを高速化する変更が施されます。確かに限られた公園敷地内ですから、大幅な改良が行えない環境下ではありますが、レイアウトをみる限りはさほど変わらないというか、単に円滑化、高速化では近年のF1マシンに大した影響はないのではないかと、F1はど素人でもまがりなりに「実際の道路設計の経験はある」miyabikunは思っています。アルバートパークは確かに抜き辛く埃っぽいけど、景色は綺麗、それでいいかな(笑)

さて最後に、初開催となるマイアミGPについて、知りうる範囲でまとめてみました。まずはいつもの通り、引きの地図を使ってマイアミの位置から見ていきましょう。
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サーキット予定地に赤いピンを立てています。マイアミは「アメリカ合衆国を片手で握り易そう」な南東部の半島にあるフロリダ州のさらに南端部にあります。メキシコ湾に面し、温暖な気候でオレンジをはじめとした柑橘系の農作物が採れることで有名ですね。あと、マイアミと聞いて刑事ドラマ「マイアミ・バイス」を連想してしまうのはまあまあおっちゃんです(笑)ちなみに、マイアミは大きな都市の一つではありますが、フロリダ州の州都ではなく、州最大の都市は下の地図の半島の付け根に位置するジャクソンビルです。
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《初開催サーキット》
マイアミGP
 マイアミ市街地サーキット
     所在地    :フロリダ州マイアミ
       開業     :2022年(現在建設中)
   標準時差  :UTC-5:00(日本から-13:00)
     F1開催   :2022年〜(初開催)
   一周距離  :5.410km
 コーナー数:19箇所

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サンライフスタジアムを周回する形で現在造成の真っ最中です。スタジアムの周りは駐車場となっており、ご覧の通り今現在の衛星写真にもサーキットレイアウトは確認できません。ただマイアミGP開催が明らかになった際にサーキットレイアウトも公開されていましたね。どんな位置に建設されるのか、先程の周辺画像にサーキットレイアウトをトレースしてみました。
IMG_2398
こんな感じ。スタジアムは当然うまくかわしつつも、まだ影も形もありませんね。駐車場を潰してサーキットを作ったと聞くと1980年代前半に2回だけ開催されたラスベガスGPを連想します。あれはホテルの駐車場に「仮設」されたもので賛否両論があったようですが、こちらはどちらかというとロシアGPのソチに似た「既設建造物の周りに常設サーキットを設ける」形になるのでしょう。上の図では見辛いので、サーキットだけを白地図に抜き出してみます。
IMG_2397
コントロールラインは北側のロングストレートにあるのではなく、左向きに口を開けた上顎中央付近に設けられます。顎の内側であたかも「上の歯」のような破線がピットロードで、スタジアム側に本線と平行で取り付きます。進行方向はターン1こそ右の鋭角で入るものの、左回り(反時計回り)となっています。現時点でセクター切りされるのかまでは定かになっていませんが、序盤は中速S字で構成され、中間セクションは「ほぼストレート扱い」の緩〜やかなウェーブ、サーキット東側のハイウェイのジャンクション周辺は鋭角コーナーやシケインで勢いを一旦殺し、終盤セクターはハイウェイと並行して一般車と競走とばかりに長いストレートを有しています。
パッシングポイントは長いストレート2本(うち1本はほぼストレート扱い)でスピードに乗り切ってからのパッシングか、両出口のストレートエンドの鋭角コーナー手前でイン側に飛び込むようなバトルがみられるでしょうか。現状では平坦そうな駐車場跡地にどのようなアンジュレーション(起伏)が設けられるのか現状定かではありませんが、環境的には先程書いたソチっぽい平坦なイメージがあります。開催までのあと半年ですし、急ピッチで整備が進むことでしょう。

史上最多となる全23戦が改めて設定された中に今回明らかになった来シーズンの開催予定地の中にはオーストラリアやカナダ、日本やシンガポールなどはしっかり盛り込まれていて安心しました。中国は残念ながら現時点で候補から外れ、この先もコロナ禍の状況により変更やノミネートされた開催地の変更や代替えの可能性も大いにあり得る状態にあります。日本をはじめ2年涙を呑んだ開催地は特に、復活開催を果たし予定通りのスケジュール遂行を願っています(でもあくまで暫定だし、またきっと何かある)

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