F1 えきぞーすとのーと

よくあるニュースネタやこ難しいテクニカルな話ではなく、メインは予選や決勝のTV観戦したそのものを個人的観点から綴るF1ブログです。  また、懐かしのマシンやレースを振り返ったり、記録やデータからF1を分析。その他ミニカーやグッズ集めも好きなので、それらを絡めつつ広く深くアツくF1の面白さやすごさを発信し、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

カテゴリ: 過去のGP

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オーストラリアGPというと、未だに開幕戦のイメージの色濃くあります。オーストラリアGPが開幕戦を担っていたのはコロナ禍前となる2019年まで。2020年も予定では開幕戦として組み込まれて、半分開催、というか開幕してF1関係者をはじめファンもサーキットに足を運び始めた最中に中止が下ったという過去がありましたね。以降はバーレーンGPに開幕戦を譲る形となったわけですが、まだ(もう)3年前の話なんですよね。今回の過去のレースはバッチリ開幕戦の時代。とはいえ四半世紀前にもなる1999年開幕戦オーストラリアGPです(ちなみにオーストラリアGPと聞いて「最終戦」を連想する方はもうだいぶベテランファン)
この年も現在と同じ、メルボルンにあるアルバートパークで行われています。アルバートパークでのF1は以前この「過去のレース」で18/3/23に扱った1996年からで、今回このレースで4回目の開催となります。サーキットは池の周回路を用いたいわゆる「半市街地」で、チリが多く滑りやすいことに加え、当時はニューマシンによるトラブルも頻発するため、マシンポテンシャルを評価するのも難しいとされていました。

戦績確認については、開幕戦ということもあり、前年の結果から簡単におさらいします。
前年1998年はマシンレギュレーションが大幅変更。マシン全幅が200mm狭められ、タイヤはドライタイヤにも関わらず回転方向に3本ないし4本の溝が入る「グルーブドタイヤ」を導入してダウンフォース減少とコーナリングスピード低下が図られました。その結果、勢力図に大きな変化が生まれました。
今回からレギュラーシーズン観戦記で用いるドライバーズならびにコンストラクターズランキングを交えていくことにします。

《前年ドライバーズポイントランキング》
   1 M・ハッキネン  100pts ★
   2 M・シューマッハ   86pts(-14pts)
   3 D・クルサード    56pts(-30pts)
   4 E・アーバイン    47pts  (-9pts)
   5 J・ヴィルヌーブ    21pts(-26pts)

《前年コンストラクターズポイントランキング》
   1 マクラーレン 156pts ★
   2 フェラーリ  133pts(-23pts)
   3 ウィリアムズ   38pts(-95pts)
   4 ジョーダン    34pts  (-4pts)
   5 ベネトン     33pts  (-1pt)

ブリヂストンとメルセデスエンジン、さらにはウィリアムズから移籍したエイドリアン・ニューウェイ加入を強みにシーズン前テストや開幕戦からマクラーレンが飛躍。ハッキネンが初のチャンピオンならびにコンストラクターズチャンピオンを獲得しました。一方で前年(97年)までチャンピオンを誇ったウィリアムズはルノーエンジン撤退とニューウェイの離脱もあって急降下。ランキング2位のフェラーリから100ポイント近く離される3位という屈辱的なシーズンを送りました。
近年は頭一つ突出したレッドブルの強さが目立っていますが、いつの時代もトップと中団チームには大きな隔たりがあるものです。すごいのはこの時代も現在もニューウェイがひと絡みしているところ。

大きなレギュレーション変更があった98年に対し、この99年は小変更に止まったわけですが、そうなれば勢力図の大きな変化も期待できません(いつしかの年とダブりますな)
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予選はやはりマクラーレンのハッキネンがチームメイトのクルサードに0.5秒弱、フェラーリのM・シューマッハに対しては何と1.3秒の差を付けてポールポジションを獲得。チームが違うとはいえ、この大差を付けられてはぐうの音も出ません。ガン決まりした時のハッキネンはチームメイトも手が付けられぬ(いつの時代にもいるんですなぁ)
この年は日本人ドライバー1人が参戦しています。中嶋悟の秘蔵っ子(息子ではない)高木虎之介がティレル消滅によりアロウズへ移籍、チームメイトのデ・ラ・ロサの一つ上となる17番手を獲得しています。また無限ホンダを搭載して2年目のジョーダンはフレンツェンが5番手、前々々年チャンピオンのヒルは9番手につけています。

《予選結果》
P.P.M・ハッキネン
 (マクラーレン・メルセデス)
  1分30秒462
 2 D・クルサード
 (マクラーレン・メルセデス)
  1分30秒946(+0.484秒)
 3 M・シューマッハ
 (フェラーリ)
  1分31秒781(+1.319秒)
 ※タイヤはブリヂストンのワンメイク

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前年と変わらぬフロントロウと3番グリッドによるスタート(ちなみに翌2000年も3年連続で同じです)3位以下周回遅れというレースの再現になるのか?!
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あら黄旗。何があった?!
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13番グリッドのスチュワートを駆るハーバートから白煙。
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そして何と4番手を獲得したチームメイトのバリチェロも同じ。いずれもオイル漏れ。せっかくマクラーレンMP4-13を真似っこして、エンジンも新製フォードエンジンをこしらえたのに。スタートやり直し。エキストラフォーメーションに移るも、動かないマシンが2台。
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あ、3番グリッドのフェラーリ!M・シューマッハか。ギヤが入らない。さらに高木もエンジンストールにより2台は最後尾スタートを強いられます。M・シューマッハは前年最終戦の日本GPもやらかして最後尾に下がっていましたよね。年またぎの2戦連続で暗雲立ち込めます。
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再スタートはこんな感じ。3番グリッドがガラ空き。マクラーレンは楽になりましたなぁ。2台ともボディカラーの煙を上げたスチュワートは上位グリッドのバリチェロにTカー(予備マシン)が与えられ、ハーバートは「0mリタイヤ」となっています。
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今度は上手くいった。早速開幕戦ならではの慌ただしさとマシントラブルが出始めています。

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2台で逃げるマクラーレン。3位に自動浮上したフェラーリのアーバインを徐々に引き離しにかかります。その頃M・シューマッハといえば、、
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下位に紛れてマシンを1台ずつ抜いていく。観ている側としては、こちらの方が見応えはあるのね。とはいえ当時19歳目前の若かりしmiyabikunはハッキネンしか見ていなかったけどー(笑)

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1台リヤウィングのないマシンがタイヤスモークを上げています。「555」
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いや「ラッキーストライク」って、2台で絡んだのか?!
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いや違います。1台です。正面から見ればわかる。左右非対称のカラーリングなんです。以前クイズにも出題した新興チームBARのエースで前々年チャンピオンのヴィルヌーブが14周目で散る。これによりセーフティカーが発動されます。
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このタイミングでこれまで快調に飛ばしてきた2位クルサードは油圧に異常をきたし、四角いガレージにマシンをアタマから四角く突っ込む。
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前々年チャンピオンのスピンにより、前年チャンピオンが築いてきたギャップも水の泡。第2ヒートが始まります。
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セーフティカー明けの再スタート。さあみんな加速して!
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加速、、おい、ハッキネンよ、加速して!
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スロットルに問題が発生したハッキネンはみるみるうちに後続に呑み込まれる。セーフティカーまで好調だったマクラーレンは2台ともマシントラブルに泣くことになりました。
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ドライバーのせいじゃないけど、怒る?!
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となれば暫定トップはこの真紅のマシン。シュー、失礼アーバインということになります。千載一遇のチャンス!

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まだまだレースは荒れます。一度F1から離れ渡米、CART(現 インディカー)で2回チャンピオンを獲得してウィリアムズから復帰したザナルディが21周目にスピン。
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2回目のセーフティカーが入ります。この荒れっぷりこそ開幕戦。
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後方から追い上げを強いられたM・シューマッハは右リヤのトレッドが剥離。
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さらには29周目にベネトンのヴルツはサスペンション破損によるスピン。1台また1台とマシンが離脱していきます。

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ひと昔、いやふた昔前までのF1開幕戦はマシントラブルに巻き込まれた者負け。逆を言えば、巻き込まれずに速く走ったものが栄冠を掴みます。トップは巻き込まれなかったこの方、アーバイン。実はこのレースがF1キャリア初優勝です。
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《決勝結果》
 1 E・アーバイン
 (フェラーリ)
 2 H・H・フレンツェン
 (ジョーダン・無限ホンダ)
 3 R・シューマッハ
 (ウィリアムズ・スーパーテック(ルノー))

《ファステストラップとそのタイミング》
 M・シューマッハ(フェラーリ)
  1分32秒112 55周目/57周

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参戦7年目、フェラーリ移籍4年目、82戦目にようやく表彰台の頂点に上り詰めたアーバイン。年数とレース数が今の計算と合わないのは、昔は年間16〜17戦だったためです。これでもハッキネン(参戦99戦目)やN・ロズベルグ(参戦111戦目)らチャンピオン獲得者に比べると、早い方なんですよね。勝てるマシンでもグッと堪えてチームに貢献し、鬼の居ぬ間に勝つ。このチャンスを掴むのも重要です。
ちなみにその赤鬼はタイヤトラブルがあり最後尾8位入賞圏外となるも、しっかりと終盤にファステストラップを計上。存在感だけは示しました。

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波乱となった開幕戦は出走22台中8台のみの完走となるサバイバルレースでした。開幕戦はやっぱりこうでなくっちゃ(笑)

最後、参考までにレース後のドライバーズとコンストラクターズのランキングを載せておきます。予選で速さをみせたチャンピオンチームはノーポイントのシーズンスタートとなりました。

《レース後ドライバーズポイントランキング》
   1 E・アーバイン    10pts
   2 H・H・フレンツェン    6pts(-4pts)
   3 R・シューマッハ     4pts(-2pts)
   4 G・フィジケラ      3pts(-1pt)
   5 R・バリチェロ      2pts(-1pt)

《レース後コンストラクターズポイントランキング》
   1 フェラーリ  10pts
   2 ジョーダン    6pts(-4pts)
   3 ウィリアムズ   4pts(-2pts)
   4 ベネトン     3pts(-1pt)
   5 スチュワート   2pts(-1pt)

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オフシーズンの退屈な日々、いかがお過ごしですか?!年始早々に大きな地震被害や航空機事故、さらにはビッグスキャンダル(それだけは別問題か)があり、あまり浮かれた気分になれない状況ではありますが、仕事や新学期も始まりましたしF1の新シーズン開幕が刻一刻と迫っていますので、正月気分を抜け出さなければなりませんね(とmiyabikun自身に言って聞かせてみる)
まとめ系から一旦離れ、時間稼ぎの常套句になりつつある今年一発目の「過去のレース」は1982年の開幕戦として行われたキャラミでの南アフリカGPを選んでみました。今ではなかなかピンと来ない方もいるかもしれませんが、昔々はアフリカ大陸でも行われていたんです。今回ココを選んだ理由がいくつかあります。一つは「シーズンの開幕戦」ということで、未知数たっぷりのレースであること。二つ目は今では想像もつかない「1月開催」のレースであること。日本の1月は雪も落ちる冬本番ですが、南半球に位置する南アフリカにおいては真夏なので心配無し。そして三つ目として前回昨年のラスベガスGP前に行った「1981年最終戦アメリカGP」と繋がっています。つまり、ブラバムのピケが新チャンピオンとしてどのような初戦を迎えるか注目されるレースでもあります。最近はやや1980年代前半の振り返りが続いていますが、この82年のレースは6戦目、キャラミでの南アフリカGPは3戦目の取り扱いになります。

開幕戦ですので、これまでの戦績おさらいはありません。ドライバーの去就を確認しておくと、80年のチャンピオンであるジョーンズがウィリアムズで引退し、フィンランド人ドライバーのK・ロズベルグが後任を担います。また75年、77年にフェラーリでチャンピオンとなり、一度F1から身を引いていたラウダがマクラーレンから復帰。若手のピケにチャンピオンをもたらしたブラバムはノンターボのフォードコスワースからBMWのターボを換装して開幕戦を迎えています(ただし、信頼性不足もあり再びフォードに戻す一面も)

キャラミサーキットは1967年に南アフリカのヨハネスブルグ郊外に開設されたクローズドサーキットで、この時代ではかなりの高標高の1,500mにあります。さらにサーキット自体も起伏に富み、ブラインドも多く平均速度も高いこともあり、過去には痛ましい死亡事故が続きました。
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当時のレイアウトは図の青いラインを右回り(時計回り)で走行する高速線形。しかし先述の事故の対策として1988年より赤ラインを左回り(反時計回り)する装いガラリと変わる大改修を経て現在に至ります。

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開幕戦は何かが起きる。予選に入る前にもう一つ話題が(まだ引っ張るかー)このレース直前にF1をドライブするために必要なスーパーライセンスの発給手続きに対し、不満を持った大多数のドライバーがストライキを敢行。
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GPDA会長を務めるフェラーリのピローニが尽力し、どうにか予選を開催できる状況にこぎつけるといった騒動が起きています。
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渋々マシンに向かう面々。
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以前クイズで出題したことのある当時のFISA(国際自動車スポーツ連盟)会長、後のFIA(国際自動車連盟)会長にもなり、F1界を牛耳られたバレストル様がこちらに向かってきます。ジッと見つめていちゃダメみたい(笑)怖っ、風貌がまるでマ◯ィアだな。

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で、予選はというと高標高かつ高速レイアウトとなれば過給できるターボマシン勢が有利。ということでポールポジションはターボエンジンの先駆けルノーのアルヌー。2番手はBMWターボを積んだブラバムのピケ。3番手がフェラーリターボのヴィルヌーブ。4番手はブラバムのパトレーゼ、5番手がルノーのプロスト、6番手はフェラーリのピローニが続き、見事なまでのターボ祭りとなりました(ターボが必ずしもいいというわけではなく、重量増や排熱対策、悪燃費などのウィークポイントもあります)
これで予選は終わり!(予選短っ)

《予選結果》
P.P.R・アルヌー
 (ルノー ミシュラン)
  1分06秒351
 2 N・ピケ
 (ブラバム・BMW グッドイヤー)
  1分06秒625(+0.274秒)
 3 G・ヴィルヌーブ
 (フェラーリ グッドイヤー)
  1分07秒106(+0.755秒)
 ※今回から予選タイムとトップとのタイム差を追記

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決勝のスタート。
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ポールのアルヌーの蹴り出しは鋭く、逆に初ターボのピケが鈍る。アウト側からルノーのプロストが3番手ヴィルヌーブをかわして一気に2位浮上。
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ルノーがワンツー、フェラーリがスリーフォーに整列してレースが始まります。

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この起伏。そして緩やかな線形。危険度も高いですが、なかなかスパイシーで個性的なキャラミサーキットです。
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逃げるルノー。逃げルノー。逃げるのぅ(笑)

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一方で2番スタートからズルズル10位まで順位を落とすことなったピケは、坂を下った先にある右の中速ターン1のブレーキングミスからグラベルへ。
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観客に助けられ、ちょっぴりほろ苦いチャンピオンとしての初戦となりました。
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3位を走るフェラーリのヴィルヌーブもターボのトラブルでリタイヤ。ターボは過給してパワーは増大しますが、やはり自然吸気には無いトラブルにも見舞われがち。
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ルノーは15周目にプロストが前に出てトップ入れ替わり。
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しかしプロストは左リヤタイヤをバーストさせ、予定外のピットを余儀なくされます。
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青の16番アルヌーは労せずトップ返り咲き。

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ただそれも束の間。タイヤ交換を行い、一度順位を下げた赤の15番プロストが怒涛の追い上げ。ファステストラップ連発で遅れを取り戻しにかかる。
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ウィリアムズのロイテマンにかわされて4位に後退したピローニが終盤にリタイヤとなり、フェラーリは店終い。速さはあるが詰めの甘さは現代へ通ずるものがあります。

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プロスト同様に終盤にタイヤを傷めてペースダウンしたアルヌーをプロストがパス。中盤にタイヤバーストの不運がありつつも、スタートダッシュから終始速さが光ったプロストがキャリア3年目で4勝目。幸先いいシーズンスタートを切ることができました。

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《決勝結果》
 1 A・プロスト
 (ルノー ミシュラン)
 2 C・ロイテマン
 (ウィリアムズ・フォードコスワース グッドイヤー)
 3 R・アルヌー
 (ルノー ミシュラン)

《ファステストラップとそのタイミング》
 プロスト(ルノー)
 1分08秒278 49周目/77周

今回からこの「過去のレース振り返る」でも決勝観戦記と同様に「ファステストラップタイムとそのタイミング」をわかる範囲で記載することとしました。近年のレースとは異なる志向で計上されていることがわかるかと思います。

アルヌーは終盤にノンターボのロイテマンにもやられ結局3位。まあでもシーズン始まったばかりでフロントロウスタートからのワンスリーフィニッシュならば上出来といえるでしょうか。
フランス人のフランスチームによるフランスのためのチーム、ルノー。2人並んで
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嬉しいY!

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今週末は久々の一国三開催となるラスベガスでのGPです。今までラスベガスでは2回、シーザース・パレスというカジノ併設のホテルの駐車場に急遽、特設のサーキットを組んで行われたことがありました。今シーズン開催のラスベガスGPとは位置もサーキットレイアウトも異なりますが、今回は記念すべきラスベガスでのF1初開催となった1981年最終戦アメリカGP(別名ラスベガスGP)を振り返りたいと思います。

まずサーキットレイアウトはこんな感じになっています。
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過去にこのブログでは過去にF1開催されたほとんどのサーキットをmiyabikunのしもべであるミヤビマン・ティルケに描かせたことがありました。ただ唯一描けていなかったのが、このシーザース・パレスの特設サーキットでした。駐車場に3本の足を伸ばしたアルファベットの「m」に似たレイアウトをコンクリートウォールで形成し、ランオフエリアは何と人工的に砂を撒いて作り上げたと言われています。カジノと合わせてそこまでしてF1のアメリカ人気を定着させたかったのでしょう。

この年の戦績を簡単におさらいしておくと、前年80年に自身初、ウィリアムズ初のチャンピオンをもたらしたジョーンズはロングビーチ市街地での開幕戦アメリカ西GPこそ優勝を挙げますが、以降は2位表彰台が精一杯でポイントを積み重ねられずにいました。逆に好調だったのは、ジョーンズの相方ロイテマンで、第2戦ブラジルGPと第5戦ベルギーGPで勝利を挙げ、最終戦は初戴冠に挑んでいます。しかしそのロイテマンと同様に初戴冠がかかるのは、ロイテマンよりも10歳若いブラバムのブラジル人ドライバーであるピケでした。シーズン前半こそロイテマンにかなり差を付けられますが、ピケは第3戦アルゼンチンGPで自身4勝目を経験すると、続く第4戦サンマリノGPで連勝、第10戦ドイツGPも制して最多の3勝してロイテマンとのポイント差をジリジリ埋めてきています。トップのロイテマンとランキング2位のピケの差はわずか1。当時は優勝9ポイント、6位までに1ポイント与えられたため、勝利数の多いピケに求められる命題は「ロイテマンよりも前で、必ず6位以内の入賞すること」となります。
ほか、2勝を挙げつつも、ポイント的にチャンピオンの可能性が完全に無くなったリジェのラフィ。ピケと同様に3勝を挙げますが、マシンの信頼性に泣くルノーのプロスト。第9戦イギリスGPでチームと自身の母国優勝を果たしたマクラーレンのワトソン。フェラーリのエースとしてモナコGPとスペインGPで連勝したG・ヴィルヌーブらで優勝を分け合っています。

予選はロイテマンがジョーンズを差し置いてシーズン2回目となるポールポジションを獲得、2番手はジョーンズが獲り、ピケとの間の壁になるのか、そんな気さらさら無いのか(ジョーンズとロイテマンの間には軋轢が生じています)ロイテマンを追うピケはヴィルヌーブを挟んだ4番グリッドとなっています。

《予選結果》
P.P.C・ロイテマン
 (ウィリアムズ・フォードコスワース グッドイヤー)
 2 A・ジョーンズ
 (ウィリアムズ・フォードコスワース グッドイヤー)
 3 G・ヴィルヌーブ
 (フェラーリ ミシュラン)

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フォーメーションラップに入ります。1ポイント差のピケとの間には仲が悪くなってしまったチームメイトのジョーンズ、自分さえ速く走れれば他は全く関係無いヴィルヌーブを挟んでいます。何事も無ければ、ロイテマンがチャンピオンに一番近い位置にいます。
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スタート!
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ウィリアムズ好スタート!ん?!ノーズのカーナンバーは「1」に見えるぞ。そう、絶好なスタートを決めたのは2番グリッドの現チャンピオンであるジョーンズです。隣は3番グリッドのヴィルヌーブ、さらには5番グリッドのルノーのプロストが横に並び、チャンピオン争いをするロイテマンとピケはその後ろ。おいおい2人とも、大丈夫か??
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見よ、これがカーナンバー1を背負う者ぞ。シーズンが中弛まずこの走りが維持できれば防衛もあったのにね。

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3周目にド派手なクラッシュを演じているのは、リジェのタンベイです。前輪が取れて横に落ちてしまっているためピンと来ないかもしれませんが、この時代のマシンは先程のウィリアムズを見ても分かるように、シートポジションが前寄りです。
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え?!今どうやって降りた?!コクピットを跨がず、そのまま前に降りたように見えたんだけど。よく足が残っていたなぁ、怖っ。。
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こっちのアングルの方が見易いでしょうか。逃げる「今日までチャンピオン」ジョーンズ。

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一方で今日の結果如何で「明日からチャンピオン」となれる2人はロイテマンを先頭にピケ、ワトソンのオーダーで進行中。ロイテマンは現在7位の入賞圏外。ピケは6位1ポイントを得れば、同点逆転チャンピオンになります。まさに今見えているのがチャンピオン獲得のボーダーライン。
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75周レースの17周目にピケが動く。
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インからロイテマンをパス。最低限この並びを維持し、あとは6位以内になれれば、ピケがチャンピオン。

ピケにかわされたロイテマンはマシンの不調もありペースダウン。
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チームメイトが迫る。
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同一周回でなく、周回遅れになるロイテマン。チャンピオンに最も近い男がスタートのモタつきをきっかけに遠退き、終いには同じマシンを駆る現チャンピオンに周回おくれにされるとは。あたかも「ふん、お前さんにはツキが無かったようだな」とでも言っているかのよう。
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方やチャンピオンがグッと近付いたピケは5位走行のリジェのラフィを捕らえて5位2ポイント。ロイテマンはワトソンにもかわされて8位走行中。何も無理しなくていい。このままレースが終わってくれさえすれば。
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優勝はこのシーズンをもってF1から引退を表明しているジョーンズが、スタートダッシュで得た順位のままフィニッシュ。これでジョーンズはF1キャリア7年で12勝を挙げて、防衛することは無くステアリングを置いています(後の83年にアロウズから代走復帰し、正式引退は86年)

《決勝結果》
 1 A・ジョーンズ
 (ウィリアムズ・フォードコスワース グッドイヤー)
 2 A・プロスト
 (ルノー ミシュラン)
 3 B・ジャコメリ
 (アルファロメオ ミシュラン)

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チームで初となるチャンピオンを待つチーム代表エクレストン。ただ一向にマシンを降りない。どうした?!エクレストン自らコクピットを覗き込むと
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ピケ、汗ダクダクのグロッキー。あまりの酷暑に疲労困憊し、自らの力でコクピットに出れない状態にありました。ピケは以前振り返ったレースにもありましたが、レース後にフラフラと力尽きてしまうことが多々あり、他のドライバーに比べ持久力が足りない面がありました。あっちは持久力あるんだろうに(あっちって、何のことだよ)

AJ「そんなこたぁどうでもいい、ささ、来るんだ」
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AJ「ネルソン、今日から君がチャンピオンだ!」
現チャンピオンから新チャンピオンに託された瞬間です。ピケは自身初、チーム初のチャンピオンに輝き、以降は83年はブラバム、87年はウィリアムズでチャンピオンを獲得しています。
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メキシコでのF1の歴史は古く、初開催の1963年(ノンチャンピオンシップを含めると前年62年)から一貫してメキシコシティにあるエルマノス・ロドリゲス(開業当時はマグダレーナ・ミシウカ)で行われていますが、途中に2回の非開催期間があるため、今シーズンはまだ23回目とさほど多くありません。今回はメキシコGP第二期、開催10回目で、現役母国ドライバーであるペレスの生まれる3年前にあたる1987年第14戦に行われたメキシコGPを振り返ります。1987年レースは全16戦中4戦目、メキシコGPの振り返りは今回5回目になるのですが、ことにメキシコGPにおいては段々在庫ネタが品薄になってきました(笑)仕方無い、だって1990年代後半から2010年代前半がスカーンとありませんものね。

1987年は日本において「F1本格元年」フジテレビによるF1中継放映や日本初のフル参戦ドライバーである中嶋悟誕生の年です。またシーズンが進行すると、ホンダエンジンを搭載するウィリアムズが勝ちに勝ちまくり、2年連続となるチャンピオンコンストラクターのエンジンサプライヤーとして名を轟かせています。
シーズン13戦までの戦績は、3勝ながら第4戦モナコGPから第12戦ポルトガルGPまで9戦連続の表彰台に登壇するウィリアムズのピケが有効67ポイントでトップ(前戦第13戦スペインGPは4位も、下位ポイントのためノーカウント)。2位はピケのチームメイトであり、初戴冠のチャンスを残すマンセルが5勝を挙げて52ポイント。3位はロータス・ホンダ期待のセナが2勝51ポイントでチャンピオン争いに望みを繋いでいます。ほか、前年86年のチャンピオンでマクラーレンのプロストは3勝の46ポイント、セナのチームメイトとしてロータスから参戦する日本の中嶋は6ポイントでメキシコ入りしています。

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予選はここまで14戦で12回目となるウィリアムズ、マンセルが8回目となるポールポジションを獲得し、自らの手で初戴冠をより近付けていきます。2番手はフェラーリの若手ベルガーがピケを0.037秒という僅差で上回る。ポールのマンセルと3番手ピケの差はわずか0.080秒。そのピケと4番手となったベネトンのブーツェンとの差は0.308秒も開いており、如何にウィリアムズがライバルを圧倒していたかということがわかります。気圧の低いメキシコ、ホンダターボのパワフルさ。中嶋は予選通過26台中、真ん中より少し下まあ16番手となっています(まあは息子の口癖か)

《予選結果》
P.P.N・マンセル(ウィリアムズ・ホンダ)
 2 G・ベルガー(フェラーリ)
 3 N・ピケ  (ウィリアムズ・ホンダ)
 ※タイヤはグッドイヤーのワンメイク

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スタートはポールのマンセルがモタつき、2番手ベルガーに先行を許してしまいます。またマンセルの後ろピケはスタートが冴え渡るも、4番スタートのブーツェンに抜かれて結局3位のまま。以降プロスト、マンセル、セナのオーダー。
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1周目に4位浮上のプロストがピケに仕掛ける。
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インをついたプロストがピケを押し出し、
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プロストはストップ、0周リタイヤ。
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ピケはコースマーシャルに押してもらって最後尾の戦列復帰。これがチャンピオン経験者同士のバトルというのが何とも情けない。

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2周目のストレートエンドの中嶋
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うわっ!!
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目の前で何かにぶつかりフロントタイヤがもげる。
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ぶつかったのはアロウズのワーウィックでした。ワーウィックはリヤウィングを完全に失い、そのままピットへ。ただ驚くことに、この後マシンを直して再びトラックインしてきます。今のF1には無い力強さ。
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決して笑い事では無いのですが、どこか速そうにも見える。

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最強ウィリアムズが消えれば、この上無きチャンス!3周目にブーツェンがベルガーに襲い掛かります。
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しかしチャンスはベルガーにとっても言えること。切り替えしでトップを取り戻す。
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上位を快走していたブーツェンは16周目に電気系のトラブルによりリタイヤ。
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これで戦いが楽になったベルガーでしたが、
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21周目にエンジンが根を上げる。高地メキシコはいつもとは異なる状況下。
次々と襲う悲劇で、次なるトップは誰かというと、、
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何と忘れた頃のマンセル登場!そういやポールシッターでしたね(笑)お帰りなさい!

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2位となったセナにブラバムのデ・チェザリスが追い抜きをかける。
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あらららら、、
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セナは全く触れていません。デ・チェザリスの自爆、落ち着きのない子です(笑)

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26周目にリヤウィングを直して復帰したワーウィックですが、マシンバランスが狂ったのか、コーナーエンドで膨らみ
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タイヤバリアに思い切りクラッシュ!
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ワーウィックの救護とタイヤバリア修復のため、レースが一時中断、スタンディングスタートを行い「タイム合算による2ヒート制」で争われることとなります(現代の赤旗中断、再スタートと異なります)現代はレーススチュワードとして辛辣な裁定を下すことで有名なワーウィック、このレースもある意味目立っています。

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再スタートで前を奪ったのは、1周目に最後尾に落ちたはずのピケ。ここまでジリジリと順位を上げ、上位まで戻ってきていました。
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ピケはアウトサイドからマンセルを抜きトップへ。ただし勝敗はタイム合算で決められるため、ヒート1で大差を築いたマンセルには43秒もの貯金があります。無理はせず。

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3位のセナはスピンからエンジンストップ。先程のピケのようにはいかず。
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代わって3位に浮上したのは元ピケの相方、将来はマンセルの相方にもなるブラバムのパトレーゼでした。

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見かけのトップはピケ。
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でも実際の優勝者はマンセル。ややこしや。。
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いずれにしても、ウィリアムズ。強し。

《決勝結果》
 1 N・マンセル (ウィリアムズ・ホンダ)
 2 N・ピケ   (ウィリアムズ・ホンダ)
 3 R・パトレーゼ(ブラバム・BMW)

マンセルは14戦で6勝、9ポイント得て61ポイント。ピケは3勝ながら6ポイントを得て73ポイントとしてあと2戦。残るは鈴鹿初開催となる第15戦日本GPと最終戦オーストラリアGP。ウィリアムズによるチーム内チャンピオン争奪戦は佳境を迎えます。

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2023年のF1は中盤に勢力図がやや変化をみせ、マクラーレンからデビューしたピアストリが台頭。後半戦に入ると、日本GP3位、カタールGPは2位表彰台を獲得に至っています。もちろん乗っているマシンやチームに競争力あっての結果ではありますが、将来の活躍を期待させる大型新人です。近年のF1は以前にあったような伝手や「スポンサーやメーカーからのお墨付き」だけではシート獲得に至らず「下位カテゴリーからの獲得ポイント」も必要になってきました。そこでポイントを獲得しても、シートに空きが無かったり、お抱えのチームが無いと、行き先を阻まれるというもどかしさもあるわけで。。今回はインディアナポリスで行われた2007年第7戦アメリカGPをクローズアップしたいと思います。このレースもこの年デビューの若手の大活躍が印象的です。

2007年のここまでの概要と戦績を確認しておくと、前年2006年まで絶大な戦績を誇ったM・シューマッハの引退(第一期)に伴い、上位シートのシャッフルが行われました。その結果、名門マクラーレンのシートにユーロF3、GP2(現 F2)を一年で駆け上がったハミルトンが予定通り座り、開幕戦オーストラリアGPで早々に3位表彰台に登壇。アロンソ、ライコネン、マッサらトップ、準トップクラスのドライバーと対等に渡り歩き一躍話題となりました。
ルノーで2年連続チャンピオンを獲得したアロンソはこの年からハミルトンの加入したマクラーレンに移籍し、第2戦マレーシアGP、第5戦モナコGPを制しています。M・シューマッハの跡を継いだフェラーリのマッサはアロンソの勝利の後、第3戦バーレーンGPと第4戦スペインGPを獲り、フェラーリの復活を狙います。またマクラーレンを追われてM・シューマッハの空きシートに就いたライコネンは移籍初戦の開幕戦オーストラリアGPで早々に勝利、また鮮烈デビューを果たした超大型新人ハミルトンは前戦第6戦カナダGPで初勝利を挙げたため、ここまでの6戦はこのマクラーレンとフェラーリで占めています。
日本人ドライバーもいます。ホンダエンジンの力を借りた佐藤琢磨はホンダエンジンの力を借りたスーパーアグリで2年目。初年の05年は苦しい1年目を過ごしつつも、この2年目はスペインGPで8位、カナダGPではアロンソの1つ上6位入賞を獲得しています(なお、このシーズン終盤にはスパイカーから山本左近、最終戦にはウィリアムズから中嶋一貴もまあデビューし、日本人3人体制となりました)

以前このブログで振り返ったことのある前戦カナダGPでBMWザウバーから参戦するクビカは瀕死の事故を負いました。それに伴い、リザーブであったこの方が代走デビューを果たしました。
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ドイツ期待の若手、ベッテルチャン19ちゃいでちゅ。チーム自体はスイス国籍のザウバーですが、エンジンはBMWでいわばドイツのワークス。相方で先輩のハイドフェルドと共にドイツのコンビネーションでアメリカGPに挑んでいます。
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そのベッテルはデビュー戦の予選でQ1は22台中4番通過、Q2は16台中8番通過でQ3はハイドフェルドにしっかり食らいつく7番手を獲得。BMWザウバーは今シーズンのピアストリが駆るマクラーレンと同様に準トップクラスの速さを持つマシンではあるものの、19歳の初戦での好位置はポールシッターとは異なる形で注目を浴びています。
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川井ちゃん「デビュー戦で7番手のドイツ人は?」
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ベッテルちゃん「知らない。F1の歴史学んでいない」
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川井ちゃん「スパのシューマッハ御大を知らない?」
ベッテルちゃん「思い出した!決勝はリタイヤだ!」
ちゃんと知っとるやないかーい!(笑)ベッテルもアロンソ同様、何気にデータ系の記憶力がいいんですよね。初々しいベッテルは川井いなぁ、いや可愛いなぁ。
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ポールポジションは2戦連続2回目となるハミルトンでした。ハミルトンもルーキーっちゃルーキー、見えないけど。ほか、2番手は0.169秒差でアロンソ、3番手はマッサ、4番手ライコネンと上位はガチガチにかたまっています。スーパーアグリの佐藤は相方デビットソンの2つ下となる18番手。大事なのは予選より決勝の順位だC。

《予選結果》
P.P.L・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
 2 F・アロンソ (マクラーレン・メルセデス)
 3 F・マッサ  (フェラーリ)
 ※タイヤはブリヂストンのワンメイク

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レプリカのヘルメットを被るファンは結構見かけるけど、こういうのもあるんだ。考えましたね。頭の形が綺麗でないと出来ません(笑)問題です、これは誰のリアルヘルメットでしょうか?!

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スタートは外側ポールのハミルトンの背後にピタリとつけますが、
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ハミルトンが前を守ります。インディアナポリスのオーバルは特に幅員がめちゃくちゃ広いですね。F1マシンが小さく見えます。2年連続チャンピオンながら、1年目のチームメイトの後塵を拝する。面白いわけはありません。ここから長い長い「チャンピオンVS大型新人のチームメイトバトル」の始まり始まりー。

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トップのハミルトンは73周レースの21周目に1回目のピットインを迎え、静止時間は8.8秒。
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翌周のアロンソは7.6秒で終えてピットアウト。
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アウトレーンの時点で本線のハミルトンと並んでいるということは、アロンソは前に出られません。オーバーカットはならず。
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ピット自体はアロンソが1秒短くても、ピットに入る前にハミルトンに引き離されていたのがイタい。第二幕へ。

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レース後半戦に入ると、わずかながら毎周回アロンソが間合いを詰め、ハミルトンを射程圏内に捉えるようになります。
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オーバルのバンクを終え、ストレート勝負に持ち込むか?!
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チャンピオンが後ろにピッタリ。怖いぞ1年生、これまでか。
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インに振っても
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逃がさないよ。覚悟はいいか?!
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ハミルトンはサイドバイサイドを耐え抜き、ターン1を死守。
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1周後のアロンソは正攻法ではダメとみたか、
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ストレートに入った瞬間、今度は思い切りイン側に振り、ハミルトンのミラーに映り込まない死角から攻めることにします。
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ハミルトン動じず。いくら若いからといって、ハミルトンは子供騙しが効く若手ではありません。

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ならばアロンソは2回目のピットを先に済ませ、アンダーカットを狙うしかない。50周目のピットを6.5秒で完了。
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あとはハイペースでハミルトンとのギャップを縮めるのみ。トップのハミルトンと暫定4位に落ちたアロンソとの差は23.359秒。もう少し縮めたい。
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ハミルトンはアロンソの翌周51周目に2回目のピットへ。シメた、静止時間が7.1秒でやや遅れたぞ!
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どうだ?!今回のアロンソは本線でハミルトンのだいぶ後ろを走行中。
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届かない。。3回にわたるチャンピオンの策略はことごとく失敗。。ハミルトンは2戦連続となるポールトゥウィンに向かってひた走る。

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F1での初スタートでは7番手から4つ順位を落としたベッテルですが、終盤には将来チームメイトとなるレッドブルのウェバーに続く9位を走行。この時代の入賞は8位まで。果たしてデビュー戦入賞はあるのか?!
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残り4周。1回ピットのロングスティントを図ったウィリアムズ・トヨタのロズベルグは6位走行中にエンジンから発火。暑さに耐えながらマシンを降りています。完走扱いにはなったものの、順位は繰り上がり、ベッテルは8位フィニッシュ。代走のデビュー戦で初入賞を果たし、当時バトンが記録していた20歳67日の「最年少入賞記録」を19歳349日に更新しています(現時点での最年少入賞はM・フェルスタッペンの17歳180日)

《決勝結果》
 1 L・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
 2 F・アロンソ (マクラーレン・メルセデス)
 3 F・マッサ  (フェラーリ)

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肩を組み、互いの健闘を讃え合うハミルトンとアロンソ。この頃まではギリギリ仲がよかった(今はまただいぶ丸くなったかな)ただ同じチームでせめぎ合う。方やチャンピオン、方やチーム代表お墨付きの秘蔵っ子。チーム代表は「強過ぎるが故の苦悩」という、いわば贅沢な悩みを抱えてチャンピオン争いを戦い抜かなければならなくなるのです。観ているこちらまでハラハラドキドキの緊迫感も楽しいものです(またこの後のオチを知っていると、この争いの無駄さ愚かさにも気付かされます)
このレースはミシュランによるタイヤバースト問題を抱えた「インディアナポリスでの最後のF1開催」であり、それと同時にしばらくF1カレンダーからアメリカGPが外れました。再び(というか、何度も出ては消えを繰り返す)アメリカでF1が行われるようになるのは、4年の空白期間を経た2012年まで待つこととなります。

miyabikun仕事で今、石川の金沢に来ています。出張を終えたら、今度はそのまま渡米、時差地獄参戦に立ち向かいます(それもまたもやスプリント付き)そのままリアルタイム観戦してみな、土曜朝から早々に飛ぶぞ?!

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