2021年ももう4月。今年も早4分の1が終わりました。2月末に迎えた新車発表、 3月上旬のバーレーン合同テスト、そして先週の開幕戦バーレーンGPとバタバタっとF1の2021年シーズンが過ぎ、ようやく落ち着きましたね。先日のバーレーンGPは皆さんにどう映ったでしょうか。結果的にはチャンピオンのハミルトンによる戦略的勝利で終えたわけですが、miyabikun個人的には「近年で最も白熱し、いい意味で荒れるのではないか」という印象でした。開幕戦直前に勢力図予想を行いましたが、それのいくつかは蓋を開けてみて新たに知ったものもあり、想像と実際は異なりました。全23戦におよぶ2021年シーズンのたかだか1戦に過ぎませんが、第2戦まで少し時間もありますので、miyabikun個人的なチーム単位の印象と今後の展望を占ってみたいと思います。
《開幕戦バーレーンGP予選のおさらい》
・レッドブル(フェルスタッペン)に勢いがある
・速さにおいてメルセデスに若干陰りがある
・ポール争いはレッドブルとメルセデスの一騎打ち
・新規加入、移籍組はやはり後れをとった
・全体的に速度低下がなされている
・ハースに関してはやはり速さで一段と劣る
開幕戦のポール争いはひとまずフェルスタッペンとメルセデスの一騎打ちの形となり、概ね予想通り、昨年と大きく変わらずの様相を呈しています。同じレッドブルでもペレスは移籍間も無く、トラックリミット取り消しやミディアムタイヤにおける一発の速さが見出せずにいました。ペレスも慣れてくれば、シーズン序盤は2チーム4人によるポールポジションの取り合いになろうかと思われます。
気になる中団はこちらも予想通りのマクラーレンを筆頭に、予想外と言うと怒られてしまうかもしれませんが、アルファタウリ(ガスリー)とソフトタイヤを履くフェラーリが健闘し、逆にメルセデスと同様にさらなる飛躍を予感させたアストンマーティンやアルピーヌが苦戦していたのが印象的です。この2チームの後ろにはアルファロメオ(予選はジョビナッツィ)が忍び寄っており、路面状況やクリアラップ云々の状況によっては、食われるケースも出てくるのではないかと予想します。
下位はアルファロメオ、ウィリアムズ、ハースの3チームとなるわけですが、記載順のようにアルファロメオが一歩リードしており、ハースに関してはウィリアムズとも戦えていない状況となっています。ハースは特に昨シーズンから大きな改良ないまま、今シーズンのフロア規定などの条件を盛り込んだだけに止まっているため、非常に不利です。さらにはドライバー2人はF1本戦初走行となれば、浮上の兆しはみられません。
《開幕戦バーレーンGP決勝のおさらい》
・メルセデスは戦略を駆使して前に出る手法
・フェラーリは予選決勝とも速さが戻りつつある
・アストンとアルピーヌは中団でやや劣勢
・ハースはリヤのスタビリティがよくない
・トラックリミットの規定罰則が未だ不明瞭
決勝のトップも予選と変わらずフェルスタッペンVSハミルトンの構図で進行し、ピット戦略でハミルトンに軍配が上がりました。フェルスタッペンにおいては予選決勝ともにマシンの成果脳を最大限に発揮し、今シーズンは序盤から唯一メルセデスと対抗できる最有力に位置します。メルセデスの中でもハミルトンとボッタスの位置関係も変わらず、メインのハミルトンとサブのボッタスという順列のままでした。GPによっては、ペレスをはじめとした中団の活きのいいライバルに食われちゃうんじゃないか?!(笑)フェルスタッペンやハミルトンがいつも通りとくれば、ボッタスはいつでもボッタス、ということか。
決勝におけるトップ集団と中団の大きな違いは「スタートタイヤの違い」が大きく影響してきます。予選一発の速さの差が大きく、中団チームはQ2を上位で突破するためにはロングライフのミディアムタイヤではなくソフトタイヤで通過せざるを得ません。今回はガスリーが上手いことミディアムタイヤでの通過を果たしましたが、仮に上位2チーム4人と共にQ3に進出するためには、Q2で速さのあるソフトを選び、決勝は予選で軽く使ってしまっているソフトでスタートせざるを得ません。ソフトの強みはグリップを生かした蹴り出しが出来る点となりますが、前列にはミディアムを履くトップ集団がおり、仮に捕まえたり追い抜けたとしても、1回目のピットタイミングが早く訪れ、戦略的にも上位に手が届かず、むしろ離れたレースを強いられます。荒れてセーフティカー先導中のピットインがうまくハマったり、赤旗中断などを期待しないと優勝はおろか表彰台登壇も許されない状況というのは何とも辛いですね。
下位は引き続き入賞圏外、よくて入賞の一枠狙いのあたりの争いとなります。レース巧者のライコネンですら、先日の11位止まりとピットインを引き延ばしたり上位のリタイヤ頼みになってしまいますので、ポイント獲得も一苦労です。
《チーム毎の個人的な印象》
まだ開幕戦のたった1戦が終了したまでですが、例年より読み辛い各チームの印象を昨年のコンストラクターランキング順に書いていきます。
〜メルセデス〜
速さは健在ですが、昨シーズンまでの「単独トップ」といかなそうな雰囲気ですね。今シーズンのレギュレーションであるフロア面積縮小が裏目に出たのでしょうか。ライバルとしては有難い状況です。そこをピット戦略や本当にあるのか無いのか「オトナの事情」などを駆使して上手いこと優勝にこぎつけてきます。チャンピオン候補最有力のハミルトンに対して、予選3番手、決勝3位表彰台のボッタスは依然として存在感やキラリと光る走りは無く、メルセデス内の優劣関係は変わらずなのかなという初戦でした。
〜レッドブル〜
前評判通り、速さが光っていましたね。レッドブルの秘蔵っこフェルスタッペンが今シーズンもハングリーにトップを狙っていきます。フェルスタッペンにとってはクセのあるマシンにも慣れており、またその性能を十二分に発揮させる術を兼ね備えていますので「打倒メルセデス、打倒ハミルトン」を掲げるのであれば、壊れないマシンと攻めの戦略を企ててあげる必要があります。開幕戦のペレスは予選こそ失敗に終わりますが、決勝は不運がありながらも最善は尽くして5位フィニッシュを果たしました。そのことからもレッドブルのマシンは競争力があり、次戦以降にペレスが軌道に乗れば、メルセデスを苦しめることができると思います。
〜マクラーレン〜
メルセデスパワーユニットを得たとはいえ、唯一の載せ替えチームとしてマシンの出来やバランスが不安視されたマクラーレンですが、開幕戦を観る限り、その不安はほとんど無く、ノリスとリカルドの両者とも堅実な予選と決勝レースになりました。リカルドは決勝レース序盤にガスリーと接触してマシンを傷めたため、レースペースがよくなかったという不運もありますが、中団のトップとはいえ、スタート直後の混乱は今後も往々にしてあり得る状況にあります。またトップが離れてしまうとDRSの行使やモチベーションの観点からも苦しい立場となりますので、予選からいい位置につけ、レースでも昨年みられたようなマッタリとした位置に留まらないようにしていければ、表彰台登壇は無い話ではありません。リカルドが早くマシンになれ、得意のブレーキング勝負に持ち込めれば、観ている我々もさらに盛り上がりますね。
〜アストンマーティン〜
合同テストの不安のまま、大きな改善もなくある意味「期待外れ」な開幕戦を送ってしまいました。予選において、ベッテルには不覚のペナルティが下り、スタート前からモチベーションが上がらずでしたが、マシンの出来としては予選決勝ともストロールのいる位置が現状かなと思っています。予想ではマクラーレンと並ぶか上回る位置にいると思っていたので残念です。マシンの速さ云々とは別に、しつこいですが決勝レースでのベッテルの挙動は不審です。ぶつかったオコンが完走し、レース後に謝罪したのがせめてもの幸いであり、ベッテル自体の格やレースに対する姿勢の品位を落としただけです。もう無いであろう、心機一転で取り組むであろうと願っていたのに、ペナルティポイントだけを貯めて、この先同じようなことがあれば、本当に身を引かざるを得ない結果になりそう。
〜アルピーヌ〜
アロンソ復帰で注目されたアルピーヌは、その期待通り予選でQ3進出の9番手スタートを手にしました。チャンピオン経験者とはいえブランクがあり、かつ中年のアロンソにしては上々の復帰初戦だったと思います。決勝にも期待しましたが、ブレーキトラブルによりリタイヤ。逆にQ1落ちとなり決勝は後方スタートとなったオコンは先述のベッテルの件もあって浮上が困難という結果に終わりました。アロンソこそ腕とセンスで上位スタートを得ますが、マシンの位置付けとしては予選Q1落ちはないにしても、オコンの位置や走りが純粋なアルピーヌのポテンシャルなのかなという印象でした。アロンソについては「聴き苦しい文句」以外は特に心配はありませんが、オコンは開幕戦の予選結果をバネに少なくともQ2進出の中団下位の位置にいないとオコン、いやアカンですね。
〜フェラーリ〜
アストンマーティンが悪い方に意外なら、フェラーリはいい方に意外と言えるでしょうか。まだ完全復活には距離がありますが、昨年までのぐちゃぐちゃ迷走ではなく、2人のドライバーがしっかり機能して好感触でした(疫病神が居なくなったから?!)ルクレールを中心と思われるチームの中、サインツの内容が気がかりではありましたが、今のところ何の心配もなく、しっかりとルクレールと対等に戦える位置にいます。こうなると頭を抱えるのはルクレールよりチーム首脳の方かもしれませんね。中団の辛いのは予選で好位置を獲るためにはQ2も手を抜いたりロングライフのタイヤを使えない点です。あとはフェラーリで心配なのは「奇抜な戦略と指示」でしょうか。サインツは思いの外走れますので、いざ前方を捉えられるチャンスが巡ってきた時の采配は注目したいところです。間違っても予選順位より後ろで決勝フィニッシュしませんように。
〜アルファタウリ〜
日本のみならず世界中のファンやジャーナリストにも注目されている角田くん擁するアルファタウリ。それに負けじと上回る先輩ガスリーのコンビネーションが絶妙でしたね。中団チームで唯一「ミディアムタイヤスタート」を得たあたりに自信がみなぎっています。好位置を得たガスリーは残念ながらマシンを負傷し、その時点でレースが終わってしまいましたが、今後も期待できる雰囲気にあります。予選こそ失敗してしまった角田くんはガスリーとは逆に決勝で力強い走りをみせてくれました。中団にかたまるチャンピオン経験者達をものともせず、変に時間をかけることなくスパッとかわして前に出ました。デビュー戦入賞があるかも、なんて期待はしましたが、実に着実に順位を上げて9位2ポイントを獲得しました。今シーズンデビュー組と復帰4人で唯一のポイントゲッターとなりました。予選がもう少し上位で終えられたらという欲も出てきますが、デビュー戦としては上出来と評価したいですね。
〜アルファロメオ〜
ドライバーラインナップも変わらず、フェラーリパワーユニットの出来如何で成績も変わるであろうアルファロメオは予選でジョビナッツィが上の12番手スタート、決勝はライコネンが入賞まであと一歩の11位フィニッシュで開幕戦を終えました。速さのジョビナッツィと巧みのライコネンという内容も昨シーズンから変わらずでした。予選Q1突破は最低条件として、より上位で予選を終えておきたいですね。マシンの信頼性はありますし、スピンやクラッシュなどがなければ完走率も高いですから、粘り強く入賞圏内フィニッシュを続けて下位グループから抜け出してほしいものです。
〜ハース〜
昨年のコンストラクターランキング順にすると、ウィリアムズよりハースが先に来ます。今はいない昨年の先輩達に感謝しなければなりませんね。ウィリアムズをみる前に今のところの実質ビリだと思います。あまり決めつけちゃいけないけど、この先の22戦でもその順位は覆ることがないかもしれません。何せ昨年型マシンから前衛的な改良はなく、あくまで今シーズンのレギュレーションに合わせたまでですもんね。単にダウンフォースを失ったままという、、まずはドライバーが可哀想。次にドライバーに関してですが、ご存知の通り2人ともF1の本戦出走は初めてであり「ようこそF1の世界へ」という段階なので無理もありませんが、たった1戦で良し悪しは正直わかりません。ただ言えるのは新人である以上にあのマシンはリヤのスタビリティが無いということ。マゼピンばかりに目がいってしまいがちですが、堅実なシューマッハもスピンを喫していましたよね。2人揃っての完走、これが当面の目標になりそうです。
〜ウィリアムズ〜
というハースのおかげもあって、自動的にテールエンダーからは脱出しそうなウィリアムズも「予選のラッセル」は健在でしたね。決勝はラティフィ共々完走を目標とし、ゆくゆくは久々のポイント獲得に向いてほしいと思っています。直近のアルファロメオと比べると入賞に遠い位置にいますが、前向きに言い換えれば「ウィリアムズで入賞(ポイント獲得)できればかなりの頑張り」という評価をしていいと思います。ラティフィも昨シーズンは惜しい順位がありましたし、ラッセルはご存知の通りの評価ですから、どこかで何回か入賞はできるんじゃないかなと期待しています。
《今後の予想と展望》
勢力図をちょこちょこ見直すのも卑怯だししつこいと思うので今回は割愛します。今シーズンはトップグループも混戦、中団も混戦、下位は下位で近い位置にあり、隊列全体で見どころは各所に散りばめられると思います。優勝争いの基本はメルセデスとレッドブルの2チーム(強いていえば実質ハミルトンとフェルスタッペンの2人)で争っていくことになりそうですね。ただ昨年もちょこっとあったような「大荒れ」となれば、中団グループからの優勝もあり得ると思います。サインツやノリスの優勝にも期待したいですし、リカルドも優勝からは久しくなっています。
表彰台登壇となれば、中団までのどのチームにも可能性を秘めています。バーレーンGPの予選をみる限り、アロンソはまだまだ元気でワンチャンスあると思いますし、角田くんも予選でいい位置を獲れれば可能性はありそう。ベッテルは、、とにかく初心に返り頑張れ(笑)
細かくみていけばまだまだ言い足りないことやオブラートに包んだところ様々ありますが、まずは開幕戦を観て思った印象を書きなぐってみました。第2戦のイモラはバーレーンよりも抜き難いことで有名なサーキットの一つではありますが、引き続き飽きないバトルや番狂わせに期待したいです。
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《開幕戦バーレーンGP予選のおさらい》
・レッドブル(フェルスタッペン)に勢いがある
・速さにおいてメルセデスに若干陰りがある
・ポール争いはレッドブルとメルセデスの一騎打ち
・新規加入、移籍組はやはり後れをとった
・全体的に速度低下がなされている
・ハースに関してはやはり速さで一段と劣る
開幕戦のポール争いはひとまずフェルスタッペンとメルセデスの一騎打ちの形となり、概ね予想通り、昨年と大きく変わらずの様相を呈しています。同じレッドブルでもペレスは移籍間も無く、トラックリミット取り消しやミディアムタイヤにおける一発の速さが見出せずにいました。ペレスも慣れてくれば、シーズン序盤は2チーム4人によるポールポジションの取り合いになろうかと思われます。
気になる中団はこちらも予想通りのマクラーレンを筆頭に、予想外と言うと怒られてしまうかもしれませんが、アルファタウリ(ガスリー)とソフトタイヤを履くフェラーリが健闘し、逆にメルセデスと同様にさらなる飛躍を予感させたアストンマーティンやアルピーヌが苦戦していたのが印象的です。この2チームの後ろにはアルファロメオ(予選はジョビナッツィ)が忍び寄っており、路面状況やクリアラップ云々の状況によっては、食われるケースも出てくるのではないかと予想します。
下位はアルファロメオ、ウィリアムズ、ハースの3チームとなるわけですが、記載順のようにアルファロメオが一歩リードしており、ハースに関してはウィリアムズとも戦えていない状況となっています。ハースは特に昨シーズンから大きな改良ないまま、今シーズンのフロア規定などの条件を盛り込んだだけに止まっているため、非常に不利です。さらにはドライバー2人はF1本戦初走行となれば、浮上の兆しはみられません。
《開幕戦バーレーンGP決勝のおさらい》
・メルセデスは戦略を駆使して前に出る手法
・フェラーリは予選決勝とも速さが戻りつつある
・アストンとアルピーヌは中団でやや劣勢
・ハースはリヤのスタビリティがよくない
・トラックリミットの規定罰則が未だ不明瞭
決勝のトップも予選と変わらずフェルスタッペンVSハミルトンの構図で進行し、ピット戦略でハミルトンに軍配が上がりました。フェルスタッペンにおいては予選決勝ともにマシンの成果脳を最大限に発揮し、今シーズンは序盤から唯一メルセデスと対抗できる最有力に位置します。メルセデスの中でもハミルトンとボッタスの位置関係も変わらず、メインのハミルトンとサブのボッタスという順列のままでした。GPによっては、ペレスをはじめとした中団の活きのいいライバルに食われちゃうんじゃないか?!(笑)フェルスタッペンやハミルトンがいつも通りとくれば、ボッタスはいつでもボッタス、ということか。
決勝におけるトップ集団と中団の大きな違いは「スタートタイヤの違い」が大きく影響してきます。予選一発の速さの差が大きく、中団チームはQ2を上位で突破するためにはロングライフのミディアムタイヤではなくソフトタイヤで通過せざるを得ません。今回はガスリーが上手いことミディアムタイヤでの通過を果たしましたが、仮に上位2チーム4人と共にQ3に進出するためには、Q2で速さのあるソフトを選び、決勝は予選で軽く使ってしまっているソフトでスタートせざるを得ません。ソフトの強みはグリップを生かした蹴り出しが出来る点となりますが、前列にはミディアムを履くトップ集団がおり、仮に捕まえたり追い抜けたとしても、1回目のピットタイミングが早く訪れ、戦略的にも上位に手が届かず、むしろ離れたレースを強いられます。荒れてセーフティカー先導中のピットインがうまくハマったり、赤旗中断などを期待しないと優勝はおろか表彰台登壇も許されない状況というのは何とも辛いですね。
下位は引き続き入賞圏外、よくて入賞の一枠狙いのあたりの争いとなります。レース巧者のライコネンですら、先日の11位止まりとピットインを引き延ばしたり上位のリタイヤ頼みになってしまいますので、ポイント獲得も一苦労です。
《チーム毎の個人的な印象》
まだ開幕戦のたった1戦が終了したまでですが、例年より読み辛い各チームの印象を昨年のコンストラクターランキング順に書いていきます。
〜メルセデス〜
速さは健在ですが、昨シーズンまでの「単独トップ」といかなそうな雰囲気ですね。今シーズンのレギュレーションであるフロア面積縮小が裏目に出たのでしょうか。ライバルとしては有難い状況です。そこをピット戦略や本当にあるのか無いのか「オトナの事情」などを駆使して上手いこと優勝にこぎつけてきます。チャンピオン候補最有力のハミルトンに対して、予選3番手、決勝3位表彰台のボッタスは依然として存在感やキラリと光る走りは無く、メルセデス内の優劣関係は変わらずなのかなという初戦でした。
〜レッドブル〜
前評判通り、速さが光っていましたね。レッドブルの秘蔵っこフェルスタッペンが今シーズンもハングリーにトップを狙っていきます。フェルスタッペンにとってはクセのあるマシンにも慣れており、またその性能を十二分に発揮させる術を兼ね備えていますので「打倒メルセデス、打倒ハミルトン」を掲げるのであれば、壊れないマシンと攻めの戦略を企ててあげる必要があります。開幕戦のペレスは予選こそ失敗に終わりますが、決勝は不運がありながらも最善は尽くして5位フィニッシュを果たしました。そのことからもレッドブルのマシンは競争力があり、次戦以降にペレスが軌道に乗れば、メルセデスを苦しめることができると思います。
〜マクラーレン〜
メルセデスパワーユニットを得たとはいえ、唯一の載せ替えチームとしてマシンの出来やバランスが不安視されたマクラーレンですが、開幕戦を観る限り、その不安はほとんど無く、ノリスとリカルドの両者とも堅実な予選と決勝レースになりました。リカルドは決勝レース序盤にガスリーと接触してマシンを傷めたため、レースペースがよくなかったという不運もありますが、中団のトップとはいえ、スタート直後の混乱は今後も往々にしてあり得る状況にあります。またトップが離れてしまうとDRSの行使やモチベーションの観点からも苦しい立場となりますので、予選からいい位置につけ、レースでも昨年みられたようなマッタリとした位置に留まらないようにしていければ、表彰台登壇は無い話ではありません。リカルドが早くマシンになれ、得意のブレーキング勝負に持ち込めれば、観ている我々もさらに盛り上がりますね。
〜アストンマーティン〜
合同テストの不安のまま、大きな改善もなくある意味「期待外れ」な開幕戦を送ってしまいました。予選において、ベッテルには不覚のペナルティが下り、スタート前からモチベーションが上がらずでしたが、マシンの出来としては予選決勝ともストロールのいる位置が現状かなと思っています。予想ではマクラーレンと並ぶか上回る位置にいると思っていたので残念です。マシンの速さ云々とは別に、しつこいですが決勝レースでのベッテルの挙動は不審です。ぶつかったオコンが完走し、レース後に謝罪したのがせめてもの幸いであり、ベッテル自体の格やレースに対する姿勢の品位を落としただけです。もう無いであろう、心機一転で取り組むであろうと願っていたのに、ペナルティポイントだけを貯めて、この先同じようなことがあれば、本当に身を引かざるを得ない結果になりそう。
〜アルピーヌ〜
アロンソ復帰で注目されたアルピーヌは、その期待通り予選でQ3進出の9番手スタートを手にしました。チャンピオン経験者とはいえブランクがあり、かつ中年のアロンソにしては上々の復帰初戦だったと思います。決勝にも期待しましたが、ブレーキトラブルによりリタイヤ。逆にQ1落ちとなり決勝は後方スタートとなったオコンは先述のベッテルの件もあって浮上が困難という結果に終わりました。アロンソこそ腕とセンスで上位スタートを得ますが、マシンの位置付けとしては予選Q1落ちはないにしても、オコンの位置や走りが純粋なアルピーヌのポテンシャルなのかなという印象でした。アロンソについては「聴き苦しい文句」以外は特に心配はありませんが、オコンは開幕戦の予選結果をバネに少なくともQ2進出の中団下位の位置にいないとオコン、いやアカンですね。
〜フェラーリ〜
アストンマーティンが悪い方に意外なら、フェラーリはいい方に意外と言えるでしょうか。まだ完全復活には距離がありますが、昨年までのぐちゃぐちゃ迷走ではなく、2人のドライバーがしっかり機能して好感触でした(疫病神が居なくなったから?!)ルクレールを中心と思われるチームの中、サインツの内容が気がかりではありましたが、今のところ何の心配もなく、しっかりとルクレールと対等に戦える位置にいます。こうなると頭を抱えるのはルクレールよりチーム首脳の方かもしれませんね。中団の辛いのは予選で好位置を獲るためにはQ2も手を抜いたりロングライフのタイヤを使えない点です。あとはフェラーリで心配なのは「奇抜な戦略と指示」でしょうか。サインツは思いの外走れますので、いざ前方を捉えられるチャンスが巡ってきた時の采配は注目したいところです。間違っても予選順位より後ろで決勝フィニッシュしませんように。
〜アルファタウリ〜
日本のみならず世界中のファンやジャーナリストにも注目されている角田くん擁するアルファタウリ。それに負けじと上回る先輩ガスリーのコンビネーションが絶妙でしたね。中団チームで唯一「ミディアムタイヤスタート」を得たあたりに自信がみなぎっています。好位置を得たガスリーは残念ながらマシンを負傷し、その時点でレースが終わってしまいましたが、今後も期待できる雰囲気にあります。予選こそ失敗してしまった角田くんはガスリーとは逆に決勝で力強い走りをみせてくれました。中団にかたまるチャンピオン経験者達をものともせず、変に時間をかけることなくスパッとかわして前に出ました。デビュー戦入賞があるかも、なんて期待はしましたが、実に着実に順位を上げて9位2ポイントを獲得しました。今シーズンデビュー組と復帰4人で唯一のポイントゲッターとなりました。予選がもう少し上位で終えられたらという欲も出てきますが、デビュー戦としては上出来と評価したいですね。
〜アルファロメオ〜
ドライバーラインナップも変わらず、フェラーリパワーユニットの出来如何で成績も変わるであろうアルファロメオは予選でジョビナッツィが上の12番手スタート、決勝はライコネンが入賞まであと一歩の11位フィニッシュで開幕戦を終えました。速さのジョビナッツィと巧みのライコネンという内容も昨シーズンから変わらずでした。予選Q1突破は最低条件として、より上位で予選を終えておきたいですね。マシンの信頼性はありますし、スピンやクラッシュなどがなければ完走率も高いですから、粘り強く入賞圏内フィニッシュを続けて下位グループから抜け出してほしいものです。
〜ハース〜
昨年のコンストラクターランキング順にすると、ウィリアムズよりハースが先に来ます。今はいない昨年の先輩達に感謝しなければなりませんね。ウィリアムズをみる前に今のところの実質ビリだと思います。あまり決めつけちゃいけないけど、この先の22戦でもその順位は覆ることがないかもしれません。何せ昨年型マシンから前衛的な改良はなく、あくまで今シーズンのレギュレーションに合わせたまでですもんね。単にダウンフォースを失ったままという、、まずはドライバーが可哀想。次にドライバーに関してですが、ご存知の通り2人ともF1の本戦出走は初めてであり「ようこそF1の世界へ」という段階なので無理もありませんが、たった1戦で良し悪しは正直わかりません。ただ言えるのは新人である以上にあのマシンはリヤのスタビリティが無いということ。マゼピンばかりに目がいってしまいがちですが、堅実なシューマッハもスピンを喫していましたよね。2人揃っての完走、これが当面の目標になりそうです。
〜ウィリアムズ〜
というハースのおかげもあって、自動的にテールエンダーからは脱出しそうなウィリアムズも「予選のラッセル」は健在でしたね。決勝はラティフィ共々完走を目標とし、ゆくゆくは久々のポイント獲得に向いてほしいと思っています。直近のアルファロメオと比べると入賞に遠い位置にいますが、前向きに言い換えれば「ウィリアムズで入賞(ポイント獲得)できればかなりの頑張り」という評価をしていいと思います。ラティフィも昨シーズンは惜しい順位がありましたし、ラッセルはご存知の通りの評価ですから、どこかで何回か入賞はできるんじゃないかなと期待しています。
《今後の予想と展望》
勢力図をちょこちょこ見直すのも卑怯だししつこいと思うので今回は割愛します。今シーズンはトップグループも混戦、中団も混戦、下位は下位で近い位置にあり、隊列全体で見どころは各所に散りばめられると思います。優勝争いの基本はメルセデスとレッドブルの2チーム(強いていえば実質ハミルトンとフェルスタッペンの2人)で争っていくことになりそうですね。ただ昨年もちょこっとあったような「大荒れ」となれば、中団グループからの優勝もあり得ると思います。サインツやノリスの優勝にも期待したいですし、リカルドも優勝からは久しくなっています。
表彰台登壇となれば、中団までのどのチームにも可能性を秘めています。バーレーンGPの予選をみる限り、アロンソはまだまだ元気でワンチャンスあると思いますし、角田くんも予選でいい位置を獲れれば可能性はありそう。ベッテルは、、とにかく初心に返り頑張れ(笑)
細かくみていけばまだまだ言い足りないことやオブラートに包んだところ様々ありますが、まずは開幕戦を観て思った印象を書きなぐってみました。第2戦のイモラはバーレーンよりも抜き難いことで有名なサーキットの一つではありますが、引き続き飽きないバトルや番狂わせに期待したいです。
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コメント
コメント一覧 (6)
出来ていると思うので、接戦のレースが展開されると
思います。そういうレースが見れるのは嬉しいですね
開幕戦を見る限りかなり勢力図に変化がありそうです
上位はメルセデスとの差が確実に埋まってきている。
特にレッドブルとの差は殆どないと思います。
フェラーリの調子も良さそうですし、マクラーレンもかなり安定していました。アルファタウリも上位争いに加われそうなポテンシャルを持っていると思います
メルセデスの独壇場というのは今シーズンはなさそうですね。
アストンマーティンとアルピーヌは上位争いよりは
中団〜下位争いになりそう。特にアストンマーティン
は今のままだと去年のような上位争いは無理そう。
個人的に注目しているのは下位集団のアルファロメオ
やウィリアムズがアストンやアルピーヌにどれだけ
食いついて行くかです。アルファロメオもフェラーリ同様、調子が良さそうですしウィリアムズはラッセルのみでしたがQ2進出出来ていましたし、決勝自体は
安定して走れていたと思います。この2チームがどれだけ中団争いに入っていけるか。楽しみです。
ハースは我慢のシーズンですね。来年に向けてどれだけ準備が出来るか。このままチーム消失は誰も望んではないですし、まあ......頑張れ。
それらが良い感じに接近して戦ってくれそうな気がしています。
予選Q2のタイヤ選択が中団チーム(特に上)で悩ましいところでしょうね。
スタート前に居ないと決勝厳しいコース!と抜けると思うコース!で上手に選択することがポイントゲットに繋がるのでしょう(きっと)。
移籍・出戻り・新人(1名)の適応能力の高さがそれぞれのポジション決めに影響を大きく及ぼしそうですよね。出戻りアロンソが1番早く対応出来ていそうな気がしています。
レッドブルとアルファタウリが戦えそうな雰囲気をプンプン醸し出してくれた開幕戦だったので、次戦が待ち遠しいです!
こんばんは。今シーズンはだいぶラインナップの
差が小さくなりましたよね。まだまだ不明確な部分
が沢山ありつつも、トップ集団、中団、下位
(ただしハースは除く)がそれぞれ接近しています。
レッドブルやマクラーレンは概ね想定範囲内でも、
まずフェラーリの位置には驚き感心しました。
ノンチャンピオンの2人でもしっかりと再建に向け
奮起しています。それに離されんばかり、
アルファタウリにも食らいついていってほしいもの。
今のところ期待を裏切ったのはアストンマーティン
ですね。地味。。エースは踏んだり蹴ったりですから
ちゃま一人に託さなければならない状況で
スタートを切りました。エース、頑張らにゃ!!
アルピーヌもアロンソあって予選はあの位置にいます
が、オコンのいる位置の方が現実的かなと
思ってしまいます。中団は層が厚いだけに、
一つのほころび、一回の選択ミスで順位がガラリと
変わります。2戦目以降はどうなることやら。
後ろからアルファロメオやウィリアムズも
座を狙っていますよ、と。
ハースはドライバーを責める前にとにかくマシン
ですね。パパもっと注ぎ込んじゃえばよかったのに
(笑)
こんばんは。まだまだどう変わるかわからない
勢力図ではありますが、ひとまず開幕戦1戦だけで
骨子はみえてきましたね。各グループ実に混戦!
毎年ながら、中の上に位置するチームやドライバーの
予選Q2のタイヤチョイスには悩みますね。
Q3突破しポジション重視、あわよくばスタートで
上位に噛み付くか、決勝レースペース重視で
ソフトタイヤ勢をオーバーカットするか。
サーキット特性やライバルとのギャップを読みながら
レースを組み立てて、予選のタイヤを選ぶ。
(ただあくまで「スタートが荒れなければ」)の
想定で考えなければなりません。
チームのストラテジストって、本当に頭がいい。
お世辞抜きで、レッドブルもアルファタウリも
かなり競争力があるし面白いレースが期待できます。
今シーズンも終盤まで盛り上がるといいですよね。
バックナンバーも楽しく読ませて頂いてます。
凄いボリュームなので大変ですが(笑)
私は、フジが全戦放映を始めた頃から観てますけど、知らない事が沢山有ったり、懐かしかったりで
とても為になってます。
角田選手には、フェラーリと張り合ってくれる事を期待したい。
サインツもルクレールも手強いでしょうけど、なんとか…
これからも、マニアック?且つ面白い記事を期待しております。
こんばんは(おはようございます)
バックナンバーもご覧頂き嬉しく思います。
記事には偏りはあるものの、データをはじめ
F1を広く深く取り扱えているのではないかと
思っています。メカニカルな面にもう少し造詣が
あればさらにお役に立てるわけですが、
その点はお恥ずかしい。。
6年近くにもなると、なかなかmiyabikun自身も
把握し切れない位の量になりました。
皆さんのお手隙の時間潰しにでもお役に立てれば
幸いです。
1987年からフル参戦となれば、彗星さんは
miyabikunより全然ベテランでお詳しいはず。
誤りや不測があれば修正しますので、
是非ご指摘下さい。
角田くんはデビュー間もなくして、フェラーリと
対等にやり合える位置に充分いると思っています。
行く末は、目指せチャンピオン!ですね。
これからも皆さんがあまり取り扱わないであろう
目線でF1を分析、整理していければと思います。
これからも是非遊びにいらして下さい。