2020年も残り十数日となりました。例年であればシーズンが無事に閉幕を迎え、12月にゆったりとやってきた「まとめ」ですが、今年は本当に忙しいタイミングとなってきました。もうこの時期だし、シーズンを一気にまとめてしまおうか、とも考えましたが、前半戦も区切ってしまったし、あとで見返すときのために分けてやった方がいいだろうと判断して「シーズン後半戦」の予選編をまとめてみておこうと思いました。月並みな内容ではありますが、頑張ってまとめましたのでお付き合い頂ければ幸いです。

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《ポールポジション獲得者》
 第10戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第11戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 第12戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第13戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 第14戦 ストロール   (レーシングポイント・M)
 第15戦 ハミルトン   (メルセデス・M)
 第16戦 ボッタス    (メルセデス・M)
 最終戦 フェルスタッペン(レッドブル・H)

まずは前半戦9戦でも行ったポールシッター後半戦8戦分です。前半は思い出すまでもなくメルセデスの無双状態で9戦中ハミルトンが7回、ボッタス2回とほぼ「戦闘力に見合った」ような感じで進行していました。通常であれば前半戦と後半戦の間に夏休みが入って、そこで勢力図の入れ替わりがあったり無かったりするわけですが、今シーズンはその夏休みもなく前半戦の流れを汲んだまま第13戦エミリア・ロマーニャGPまで続きました。今シーズンはこんな状態でチャンピオンも早々にみえているメルセデスが全予選を制してしまうのかなと諦めた矢先、久々トルコでまさかのレーシングポイント、それもペレスでなくストロールが初ポールを大差でかっさらってしまうのには驚きましたよね。第14戦トルコGPについては、以下もちょこちょこ話題となる大荒れGPの一つでした。荒れレースであっても、それを絶好のチャンスとしてもぎ取ったのは大きかったです。またまだ記憶に新しい最終戦アブダビGPでは2番手チームのフェルスタッペンが僅差でメルセデスを撃破し、遅ればせながらのポールポジションを獲得しました。年間のシーズン振り返りはまた別の機会でみていく予定としていますが、結局2020年はドライバー4人、3チーム、パワーユニットはメルセデスとホンダの2メーカーに止まり、フェラーリやルノー系からポールポジションはありませんでした。

《予選最速タイムと各チームの差》
今回も後半戦8戦のポールポジションを基点としたチーム最速予選タイムをグラフ化しました。
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トルコGPがどえらいことになっていますね。当時もお話ししましたが、トルコGPが行われたイスタンブールパークサーキットは久し振りの開催で初めて走るドライバーが多かった、以上に開催に先立ち行われたトラックの再舗装、さらに雨によって浮き上がった油と幾多の大波乱要素が合わさって行われました。そこで意外にも最強メルセデスが低迷し(決勝レースは優勝)そんな中レーシングポイントとレッドブルが健闘しました。ライバルからしたらポールポジション(優勝)を獲得できる今シーズン最大のチャンスでした。
グラフをぼんやり見てみると、大なり小なりあるものの各チーム似たような波形となっています。特異なのはトルコGPで圧倒的な適応力でポールポジションを獲得したレーシングポイント。あとサーキット様々な特性がある中でトップとのタイム差が上下せず、0.2〜0.5秒の範囲内におさめてきているのも面白いです。メルセデスですら苦戦したトルコにおいても、一人平然とそのタイム差を貫いています。メルセデスがせっかくペースダウンしたんだから、チャンスだったんですけどね(笑)律儀にトップのレーシングポイントとのギャップを保ちました。
これまでに様々な番狂わせを生んだ問題児のトルコGPを仮に外したグラフを作ってみました。
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イモラでのエミリア・ロマーニャGPとバーレーンGPが意外にも違和感無く繋がっているようにみえます。トルコGPに諸問題が無く、フルアタックできていた場合はどんな予選ギャップになったのか、想像すると面白いかもしれません。開催前は「ターン8」だの「ティルケの最高傑作」だの沢山言っていたものの、実際のところそれら持ち味を活かし切れない予選と決勝に終わってしまいました。来シーズンのF1カレンダーにはトルコGPは入っていませんが、もし入ったら、そしてドライ環境ならどうなるのかみてみたいですね。

1分切りのラップとなったバーレーン国際サーキットのアウタートラックと他のサーキットのタイム差と横並びにするのはおかしい!ということで、前半戦でも作図した「タイム差でなく割合」に換算してグラフを描くとこうなります。
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こうすることでギュッと圧縮されたライバルとの位置関係が間引きとなり、他サーキットと同じ指標で比較できます。同一サーキット、異レイアウトのバーレーン2連戦はそのままタイム差が比例するのかと思いきや、まあまあ近しいものの単純に比例しているわけではありませんでした。中でも面白いなと思ったのは、元気の無かったフェラーリ系3チームがバーレーンGP(GPトラック)よりもサクヒールGP(アウタートラック)でライバル(特にメルセデスやウィリアムズ)と比べて向上がみられます。バーレーン国際サーキットはストレートと鋭角コーナーからなる典型的なストップアンドゴーで、鋭角コーナーへの的確な進入角、コーナー直後での立ち上がりのスムーズな加速が要求されるサーキットです(予選編なので燃費は度外視)同じサーキットでもそれらが少ないレイアウトの方が彼らにとってはよかったのかもしれません。

《予選平均順位》
ドライバーの後半8戦の平均予選順位となります。後半戦はストロールの代走をしたヒュルケンベルグ、グロージャンの代走をしたフィッティパルディ 、ハミルトンの代走ラッセルのさらに代走となったエイトケンも載せたため、総勢23人になりました。それらスポットドライバーは斜線2色で区別してあります。
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三強はハミルトンを先頭に横一列、2番手台に並んでいます。あれだけ数多くフロントロウに鎮座し、2人よりも頭一つ出たハミルトンもトルコGPの6番手によって平均値を下げてしまいました。同様にボッタスはそのトルコで9番手に沈み、3番手を守り抜いたフェルスタッペンに結果として食われる形となっています。
レッドブルのもう一角でアルボンはフェルスタッペンからかなり離されましたね。後半戦8戦の平均順位は上から四番目ではありますが、平気順位としてはフェルスタッペンから4位離されています。アルボンとフェルスタッペンとの間には大抵マクラーレン2人やルノーのリカルド、レーシングポイントのペレスに止まらず、アルファタウリのガスリーやフェラーリのルクレールなどがライバルになりがちでした。レッドブルは優勝はできても、コンストラクターランキングのトップに近付けない理由の一つでもあります。そしてこのレッドブル勢の上をいくチームメイト格差になっているのがフェラーリです。ルクレールが8.13位に対して、ベッテルは13位ちょうど。差にして4.87位にもなります。同じマシンに乗り、方や才能アリとはいえF1参戦数年数勝のドライバー、方や歴代3位4回のチャンピオンを経験するドライバーがこの差ですから、単にマシンがよくない、合っていないでは説明つきません。ベッテルは来シーズンどうにか運よく中堅チームの移籍先があるのが救いですが、並のチャンピオンでこれをしでかしたら「終焉」の一言で片付けられる内容です。母国メルセデスのエンジンを積んだ新生アストンマーチンでの再起を願うばかりです。
中団で平均10.29位に位置するストロールあたりまでがQ3進出を戦ったクラス。15.25位のジョビナッツィあたりがQ1突破クラスになります。Q1突破も板についてきたウィリアムズのラッセルは13.75位にいるものの、第16戦サクヒールGPの「大抜擢」による2番手を含んでいるため、ウィリアムズ単体となると順位は15.43位まで落ち込んでしまいます。それでもジョビナッツィとライコネンのアルファロメオに割って入る形になり、Q1突破クラスと言っていい走りでした。

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続いてコンストラクター単位でみていきます。サクヒールGPなメルセデスから出走したラッセルの成績は「メルセデス」の方に入っています。ドライバー2人が2番手台、スポットのラッセルも2番手でしたので、平均は2.44位となります。ラッセルがメルセデスの予選成績を下げるような結果にはなりませんでした。2番手チームのレッドブルはフェルスタッペン個人が2.50番手だったのに対し、アルボンが6.50番手だったため、間をとる4.50番手と評価されてしまいました。
熾烈な中団争いは後半戦に速さをみせたルノーのリカルドの活躍もあって、前半で先行されたレーシングポイントとマクラーレンを上回る8.06番手に浮上し、逆に後半戦が2人揃っておとなしめであったマクラーレンが9.19番手まで落としています。チャンピオン争いにはだいぶ遠いこれら3チームですが、ライバルとしのぎを削る白熱さはトップより楽しめました。近年のF1、特に今シーズン組み込まれた各サーキットは追い抜きに手を焼くサーキットが多かったため、この予選順位がポイントランキングにも波及してきます。本来はチャンピオン争いでこのような至近戦が繰り広げられると、なおいいですね。
フェラーリはルクレールの健闘も虚しく、アルファタウリに僅差で負けた10.56番手。そしてシーズン後半戦のビリチームはハースとウィリアムズが仲良く17.44番手で並びました。ハースもウィリアムズもスポット参戦者が混じっていたわけですが、ラッセルの代走を担ったエイトケンは18番手でしたので、ビリではありませんでした。頑張りましたね!

《予選チーム内対決》
予選編の最後は予選順位でチーム内の白黒を判定する「チーム内バトル」です。いつものことながら、予選はリタイヤが無く順位がカッキリ決まるため引き分けはありません。ただ後半は第10戦から最終第17戦を対象としており8戦分で戦わせますので、勝敗の引き分けはあります。IMG_7738メルセデスはハミルトン&ラッセルが4勝、ボッタスは単体で4勝のためイーブンです。レッドブルはフェルスタッペン8勝でアルボンは完敗。シーズン通しは以降改めてやる予定ですが、先に言ってしまうとシーズン全17戦でフェルスタッペンに一度も勝てませんでした。まあまあ、F1は予選成績が全てではありませんし、決勝レースで追い抜ければぶっちゃけた話何位でもいいんです。レースはアグレッシブな走りをみせてくれるし、元気があってよかったのですが、チームからは烙印を押された形になりましたね。ほか、偏りの大きい7勝1敗だったのがルノーのリカルドVSオコン。ウィリアムズのラッセル&エイトケンVSラティフィですね。フォローしておくと、ラッセルの1敗はエイトケンによるもので、シーズンを通してみればラッセルはラティフィ「には」負けていません。6勝2敗組のフェラーリは先述の通りとして、アルファタウリの方も少なからず去就に影響のある勝敗となりました。尻に火がつき始めた終盤でクビアトも健闘しましたが、時既に遅し。個人的に期待していたドライバーの一人だけに、シート喪失は残念です。まだ若いし復帰の経験もある苦労人ではありますが、次はさすがに厳しいだろうな。

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2020年も残り少なく、年内に終えられるかどうか怪しくなってきましたが、何とか年内のことは年内に、という心構えで次も頑張ります。

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