取り扱うこと最多の11戦目、なんちゃって日本GPとして今回振り返るのは、、1988年の日本GPです。えへへ、例のアレですよ。まだ振り返っていなかったんですよね。いつかのためにずっと温めてきました。このレースでF1が好きになった方も多いのではないでしょうか。これまで100戦以上振り返ってきたこのシリーズで88年のレースを取り扱うのは実は今回初となります。何せ「あるチーム」ばかりが勝ったシーズンでしたからね、ある方からみれば「神シーズン」だったことでしょうし、またある方からすれば呆れる程悔しく退屈なシーズンも無かったことと思います。
88年シーズンを簡単におさらいしますと、F1に急激な大出力をもたらしてきた「ターボエンジン」の最終年となりました。翌89年からは完全に自然吸気(NA)エンジンで揃えられることが事前に決定しており、この88年でターボを搭載する場合は前年87年の過給圧の半分となる2.5バール、さらにはガソリンはNAエンジンに比べて50ℓ少ない150ℓに制限をされるという条件付きでした。もちろんこの年から前倒しのNAエンジンで参戦することも可能でしたが、全般的にターボを搭載したマシンが上位に名を連ねました。この第15戦日本GPを迎えるにあたり、第12戦イタリアGPを除いた13戦でホンダエンジンを搭載したマクラーレンが優勝してしまうというとんでもない流れでシーズンが進んでいます。今でこそメルセデスの常勝に慣れて何だか麻痺してしまっていますが、当時はここまで偏りのあるシーズンはありませんでしたので、とても異様であり、F1をよく知らない方でも「マクラーレン、セナ、ホンダ」という固有名詞が広く知れ渡った時代でもあります。日本GPはシーズン終盤の15戦目ですので当然ながらこの時点でマクラーレンのコンストラクターズチャンピオンは決定しています。あとまだ決まっていないもの、それはドライバーズチャンピオンです。チャンピオン経験のあるエースのプロストはここまで6勝で84ポイント。未だチャンピオンが無くロータスからマクラーレンに移籍したセナは7勝の79ポイントと、この日本GPの結果如何でチャンピオンが決定するという緊迫したレースとなりました。
予選は直前のポルトガルGPとスペインGPを制して波に乗るプロストをセナが0.3秒上回り、鈴鹿で初のポールポジションを獲得。3番手には前年の鈴鹿の覇者であるフェラーリのベルガーが座りました。セナの元相方、ロータスに居残る中嶋悟は新相方ピケとサードロウに並ぶ形の6番手。そしてローラから急遽代走が決まり鈴鹿がF1初レースとなる鈴木亜久里は20番手スタートとなりました。
《予選結果》
1 A・セナ (マクラーレン・H)
2 A・プロスト(マクラーレン・H)
3 G・ベルガー(フェラーリ・F)
※タイヤはグッドイヤーのワンメイク
決勝前に小雨降り、路面はライトウェット状態となりますが、全車がドライタイヤで臨んでいます。
ポールポジションのセナは痛恨のエンジンストール。
遅れて発進するもスタートでいきなり14位まで後退してしまいました。これで鈴鹿初優勝もチャンピオン争いもお手上げ状態か。
セナともう一人、6番手スタートの中嶋も地味に失敗し、順位をかなり落としています。
プロストにとってはレースもチャンピオン争いもだいぶ楽になりました。後ろにピタリとつく前年覇者のベルガーはいつも通り気にせず淡々とあしらっておけばいい。
セナは1周目に8位まで順位を上げ、ターゲットに離される前にリカバリーしておきたいところ。2周目はフェラーリのアルボレート、ベネトンのブーツェンに続く6位。
この画面いっぱいの順位表示、懐かしいですよね。この頃はフジテレビが自由に画面表示できていた古き良き時代です。3周目にブーツェン、4周目にアルボレートと、1ラップ毎に一つずつ順位を上げています。
トップをひた走るプロストから徐々に離され始めたベルガーの背後に水色のマシンが迫っています。若き「空力の奇才」エイドリアン・ニューウェイのデザインでNAエンジンを搭載し、4番手スタートとなったマーチのカペリです。ターボエンジンを搭載するフェラーリがまさか格下のNAエンジンに攻め立てられるなんて、あまり疑っている暇は無さそう。
ストレートでスリップストリームに入り、第1コーナーをインから奪って2位浮上。
11周目にセナもベルガーを捉えて、早くもプロストまでは11秒差の3位まで復帰しています。さらに勢いおさまらぬカペリもプロストとの差が1秒を切り始めました。このあたりから周回遅れとコンタクトするタイミングとなり、これはプロストもペースアップが必要です。ただプロストが苦手とする雨が降り始め、さらにはギヤボックスに不調の兆しが出始めています。
15周目の終わり、カペリが来たぞー!先程のベルガーと同様の作戦で最強マシンに襲いかかる!
抜いたか?!
セナに抜かれるよりはマシだけど、プロストも意地があります。インを守り切る。
プロスト、カペリが至近戦を繰り広げている間に、セナの姿がチラホラ映り込む距離に近付いてきています。とんでもないスピードでカペリに追い付きました。
20周に入る頃、カペリのエンジンが不調をきたし、コントロールライン付近にマシンを止めてしまいます。うーん、惜しかった。金星とはいきませんでしたが、誇らしき殊勲賞モノです。
となると、自動的にセナが2位に繰り上がり、20周遅れのセナプロによるチャンピオン争奪直接対決が始まります。
プロストも尻に火がつきファステストラップで逃げを打つ。チャンピオンになりたければとにかく「勝ちゃあいい」単純明快。
レースも折り返しとなり、周回遅れが連なる28周目にセナがいよいよ戦闘モードに入ります。
メインストレートでイン側にはみ出しながら強引に前へ。セナ逆転!
スタートのミスにより一旦14位まで順位を落とし、チャンピオンを諦めたのも束の間。レースが始まれば猛追撃をみせて、まるで何事も無かったかのようなポールトゥウィンを演じました。日本人ドライバーの中嶋は惜しくも7位で入賞ならず。またデビューレースの鈴木は16位完走で終えています。
《決勝結果》
1 A・セナ (マクラーレン・H)
2 A・プロスト (マクラーレン・H)
3 T・ブーツェン(ベネトン・Fo)
取り扱うこと最多の11戦目、なんちゃって日本GPとして今回振り返るのは、、1988年の日本GPです。えへへ、例のアレですよ。まだ振り返っていなかったんですよね。いつかのためにずっと温めてきました。このレースでF1が好きになった方も多いのではないでしょうか。これまで100戦以上振り返ってきたこのシリーズで88年のレースを取り扱うのは実は今回初となります。何せ「あるチーム」ばかりが勝ったシーズンでしたからね、ある方からみれば「神シーズン」だったことでしょうし、またある方からすれば呆れる程悔しく退屈なシーズンも無かったことと思います。
88年シーズンを簡単におさらいしますと、F1に急激な大出力をもたらしてきた「ターボエンジン」の最終年となりました。翌89年からは完全に自然吸気(NA)エンジンで揃えられることが事前に決定しており、この88年でターボを搭載する場合は前年87年の過給圧の半分となる2.5バール、さらにはガソリンはNAエンジンに比べて50ℓ少ない150ℓに制限をされるという条件付きでした。もちろんこの年から前倒しのNAエンジンで参戦することも可能でしたが、全般的にターボを搭載したマシンが上位に名を連ねました。この第15戦日本GPを迎えるにあたり、第12戦イタリアGPを除いた13戦でホンダエンジンを搭載したマクラーレンが優勝してしまうというとんでもない流れでシーズンが進んでいます。今でこそメルセデスの常勝に慣れて何だか麻痺してしまっていますが、当時はここまで偏りのあるシーズンはありませんでしたので、とても異様であり、F1をよく知らない方でも「マクラーレン、セナ、ホンダ」という固有名詞が広く知れ渡った時代でもあります。日本GPはシーズン終盤の15戦目ですので当然ながらこの時点でマクラーレンのコンストラクターズチャンピオンは決定しています。あとまだ決まっていないもの、それはドライバーズチャンピオンです。チャンピオン経験のあるエースのプロストはここまで6勝で84ポイント。未だチャンピオンが無くロータスからマクラーレンに移籍したセナは7勝の79ポイントと、この日本GPの結果如何でチャンピオンが決定するという緊迫したレースとなりました。
予選は直前のポルトガルGPとスペインGPを制して波に乗るプロストをセナが0.3秒上回り、鈴鹿で初のポールポジションを獲得。3番手には前年の鈴鹿の覇者であるフェラーリのベルガーが座りました。セナの元相方、ロータスに居残る中嶋悟は新相方ピケとサードロウに並ぶ形の6番手。そしてローラから急遽代走が決まり鈴鹿がF1初レースとなる鈴木亜久里は20番手スタートとなりました。
《予選結果》
1 A・セナ (マクラーレン・H)
2 A・プロスト(マクラーレン・H)
3 G・ベルガー(フェラーリ・F)
※タイヤはグッドイヤーのワンメイク
決勝前に小雨降り、路面はライトウェット状態となりますが、全車がドライタイヤで臨んでいます。
ポールポジションのセナは痛恨のエンジンストール。
遅れて発進するもスタートでいきなり14位まで後退してしまいました。これで鈴鹿初優勝もチャンピオン争いもお手上げ状態か。
セナともう一人、6番手スタートの中嶋も地味に失敗し、順位をかなり落としています。
プロストにとってはレースもチャンピオン争いもだいぶ楽になりました。後ろにピタリとつく前年覇者のベルガーはいつも通り気にせず淡々とあしらっておけばいい。
セナは1周目に8位まで順位を上げ、ターゲットに離される前にリカバリーしておきたいところ。2周目はフェラーリのアルボレート、ベネトンのブーツェンに続く6位。
この画面いっぱいの順位表示、懐かしいですよね。この頃はフジテレビが自由に画面表示できていた古き良き時代です。3周目にブーツェン、4周目にアルボレートと、1ラップ毎に一つずつ順位を上げています。
トップをひた走るプロストから徐々に離され始めたベルガーの背後に水色のマシンが迫っています。若き「空力の奇才」エイドリアン・ニューウェイのデザインでNAエンジンを搭載し、4番手スタートとなったマーチのカペリです。ターボエンジンを搭載するフェラーリがまさか格下のNAエンジンに攻め立てられるなんて、あまり疑っている暇は無さそう。
ストレートでスリップストリームに入り、第1コーナーをインから奪って2位浮上。
11周目にセナもベルガーを捉えて、早くもプロストまでは11秒差の3位まで復帰しています。さらに勢いおさまらぬカペリもプロストとの差が1秒を切り始めました。このあたりから周回遅れとコンタクトするタイミングとなり、これはプロストもペースアップが必要です。ただプロストが苦手とする雨が降り始め、さらにはギヤボックスに不調の兆しが出始めています。
15周目の終わり、カペリが来たぞー!先程のベルガーと同様の作戦で最強マシンに襲いかかる!
抜いたか?!
セナに抜かれるよりはマシだけど、プロストも意地があります。インを守り切る。
プロスト、カペリが至近戦を繰り広げている間に、セナの姿がチラホラ映り込む距離に近付いてきています。とんでもないスピードでカペリに追い付きました。
20周に入る頃、カペリのエンジンが不調をきたし、コントロールライン付近にマシンを止めてしまいます。うーん、惜しかった。金星とはいきませんでしたが、誇らしき殊勲賞モノです。
となると、自動的にセナが2位に繰り上がり、20周遅れのセナプロによるチャンピオン争奪直接対決が始まります。
プロストも尻に火がつきファステストラップで逃げを打つ。チャンピオンになりたければとにかく「勝ちゃあいい」単純明快。
レースも折り返しとなり、周回遅れが連なる28周目にセナがいよいよ戦闘モードに入ります。
メインストレートでイン側にはみ出しながら強引に前へ。セナ逆転!
スタートのミスにより一旦14位まで順位を落とし、チャンピオンを諦めたのも束の間。レースが始まれば猛追撃をみせて、まるで何事も無かったかのようなポールトゥウィンを演じました。日本人ドライバーの中嶋は惜しくも7位で入賞ならず。またデビューレースの鈴木は16位完走で終えています。
《決勝結果》
1 A・セナ (マクラーレン・H)
2 A・プロスト (マクラーレン・H)
3 T・ブーツェン(ベネトン・Fo)
※Foはフォード
最終ラップの最終コーナーを過ぎると小さく右手でガッツポーズ。セナはブラジルの反対側、ホンダエンジンの地元鈴鹿で初のチャンピオンを獲得。
ロン・デニスやデザイナーのゴードン・マーレーも笑みが溢れます。
ウイニングランでバイザーを上げるセナ。嬉しさで涙ぐむ様子と同時に、最強マシンで繰り広げたプロストとの激戦の終局に安堵の表情も読み取れます。ここから日本のみならず世界のF1ファンを虜にした「マクラーレン・ホンダ伝説」が始まりました。
にほんブログ村
最終ラップの最終コーナーを過ぎると小さく右手でガッツポーズ。セナはブラジルの反対側、ホンダエンジンの地元鈴鹿で初のチャンピオンを獲得。
ロン・デニスやデザイナーのゴードン・マーレーも笑みが溢れます。
ウイニングランでバイザーを上げるセナ。嬉しさで涙ぐむ様子と同時に、最強マシンで繰り広げたプロストとの激戦の終局に安堵の表情も読み取れます。ここから日本のみならず世界のF1ファンを虜にした「マクラーレン・ホンダ伝説」が始まりました。
にほんブログ村
コメント