今週末はF1では有名、でも本戦では未開催となるムジェロでのトスカーナGPです。しかし未開催ということはいつものコレができないわけで、となれば「本来は行われるはずであったサーキット」に代わりを頼むしかありません。今回は9月初頭には馴染みがないブラジルGPの舞台であるホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス)の歴代ポールポジションタイムをみていきます。開催されないってのにどうにか隙間みて差し込むなんて、miyabikunは頑なよね(笑)だって可哀想じゃないですか、一時期はF1大国といわれたブラジルは今や現役ドライバー0人。おまけにココだっていつまで開催されるか分からなくなってきたし。ここが終われば、今シーズン予定だったアメリカ大陸系のGPは終わり、対象もだいぶ減ってきます。

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《ホセ・カルロス・パーチェの基本情報》
    全長   :7.960km(1973〜77)
       7.874km(1979,80)
       4.325km(1990〜96)
       4.292km(1997,99)
       4.309km(2000〜)
 コーナー数:15箇所(2000〜)
   開催回数  :37回

サンパウロの近く、東西を湖で挟まれた間にあるサーキットです。サーキット自体は1936年開業と非常に古く、F1が初めて開催されたのはそのだいぶ後、73年からになります。当初は「湖の間」という意味のインテルラゴスという名称で呼ばれていましたが、開催3年目の75年にここで優勝を挙げ、のちに飛行機事故で命を落とした英雄、カルロス・パーチェの名前に改称され今に至ります。メキシコGPが行われるエルマノス・ロドリゲスの存在により、さほど目立たなくなってしまいましたが、標高800mの土地にあるため、他のサーキットに比べると空気が薄いといわれる時代もありました。
レイアウトは数回の変更を経ていますが、大きく分けると2種類に分類されます。
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 ・1973〜77年 7.960km 赤色(オリジナル)
 ・1979,80年    7.874km
 ・1990〜96年 4.325km(ショートレイアウト)
 ・1997,99年    4.292km
 ・2000〜現在  4.309km 黒色

miyabikun横着して、前に描いた2つのままです。ごめんなさい。でも凡そこの2つを押さえておけば説明できます。右側の黒が現レイアウトの馴染みがあるもの。左側の赤が旧レイアウトです。似ているけど、赤がとても複雑にみえます。重ねてみると、違いがよくわかります。
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現サーキットが一回り内側にありますね。ちょうどターン2,3に位置する「エス・ド・セナ」で内側にシフトし、旧レイアウトを逆走するような形になります。そしてサーキット後半にあたる低速のインフィールド区間手前で再び旧レイアウトに戻っていきます。
旧レイアウトと現レイアウトの間に9年の空白期間があります。78年の1年を含めた10シーズンはリオ・デ・ジャネイロにあるネルソン・ピケ(旧 ジャカレパグア)サーキットにブラジルGPが移されたためです。また、こちらも今でこそ珍しくなくなりましたが、かつてはGPサーキット少数派となる「反時計回り(左回り)」のサーキットとしても有名でしたね。開催は開幕に近い夏から秋の1月〜4月、2003年からは閉幕に近い春にあたる10月や11月に行われています。今のような9月はまだ冬。南半球ですから日本と季節も逆。

《ホセ・カルロス・パーチェの予選P.P.タイム変遷》
 73 7.960km 2分30秒500 ピーターソン
 74 7.960km 2分32秒970 Eフィッティパルディ
 75 7.960km 2分29秒880 ジャリエ
 76 7.960km 2分32秒500 ハント
 77 7.960km 2分30秒110 ハント
 78 
 79 7.874km 1分23秒070 ラフィ
 80 7.874km 1分21秒400 ジャブイユ

 90 4.325km 1分17秒277 セナ
 91 4.325km 1分16秒392 セナ
 92 4.325km 1分15秒703 マンセル
 93 4.325km 1分15秒866 プロスト
 94 4.325km 1分15秒962 セナ
 95 4.325km 1分20秒081 Dヒル
 96 4.325km 1分18秒111 Dヒル
 97 4.292km 1分16秒004 Jヴィルヌーブ
 98 4.292km 1分17秒092 ハッキネン
 99 4.292km 1分16秒568 ハッキネン
 00 4.309km 1分14秒111 ハッキネン
 01 4.309km 1分13秒780 Mシューマッハ
 02 4.309km 1分13秒114 モントーヤ
 03 4.309km 1分13秒807 バリチェロ
 04 4.309km 1分10秒646 バリチェロ
 05 4.309km 1分11秒988 アロンソ
 06 4.309km 1分10秒680 マッサ
 07 4.309km 1分11秒931 マッサ
 08 4.309km 1分12秒368 マッサ
 09 4.309km 1分19秒576 バリチェロ
 10 4.309km 1分14秒470 ヒュルケンベルグ
 11 4.309km 1分11秒918 ベッテル
 12 4.309km 1分12秒458 ハミルトン
 13 4.309km 1分26秒479 ベッテル
 14 4.309km 1分10秒023 Nロズベルグ
 15 4.309km 1分11秒282 Nロズベルグ
 16 4.309km 1分10秒736 ハミルトン
 17 4.309km 1分08秒322 ボッタス
 18 4.309km 1分07秒281 ハミルトン
 19 4.309km 1分07秒508 Mフェルスタッペン

空白期間の81〜89年は省略しました。そのタイミングでサーキットも大幅改良されていますのでちょうどいいですね。
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旧レイアウト時代は8km弱を2分30秒かけて走破していました。ドイツやベルギーなどと同様にオールドサーキットは一周距離が長いため、現代の1分台で走破する時代からみるとだいぶ長く感じます。グラフをみても大人と子供の差のようで全く比較になりません。
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そこでいつものように近代サーキットのみを抜粋して再作図しました。これでだいぶ見易くなります。ざっと見る限り、時代変化とともに少しずつ綺麗にタイム低下しているようですね。3.0ℓV10末期の2004年あたりまで順調にタイムを削り、2.4ℓV8になると一度タイムが遅れ、現パワーユニットになり急激に速くなっています。
以前に「過去のレース」で振り返ったこともある95年、ウィリアムズのヒルが記録した1分20秒081は前年のセナの記録から4秒近く遅れています。これは雨絡みではあるものの、ハーフウェットコンディションによるタイムではあるものの、このレース自体のタイムが低調でした。これは前年の「重大事故」以降のマシンレギュレーション変更により、ダウンフォースが削られたためです。
続いて2.4ℓV8時代に着目すると、中間期にあたる09年や10年が遅めとなっています。これは言うまでもなくウェット路面による影響になります。さらにいうと、09年シーズンは前年まで続いた「ウィング類の排除」に伴い、再びダウンフォースの大幅な低下を余儀無くされました。外周の高速区間はともかく、インフィールド区間でのダウンフォース低下はタイムに大きく影響します。ちなみに09年はフリー走行2回目が最も速く、当時フェラーリのアロンソが1分12秒314で走破。翌10年のフリー走行2回目はレッドブルのベッテルが1分11秒968となっていますが、それを前後のドライ予選に当て込んでも横ばいな感じですね。13年の振り切れているグラフも雨です。ブラジルは雨が絡むと決勝は非常に危険なレースとなります。
グラフでいうオレンジの帯、現在使用される一周全長4.309kmレイアウトは2000年から20年に渡って変更されていません。ということは、大きく3種類の異なるパワーユニットの比較ができるということ。タイム編の〆は3.0ℓV10、2.4ℓV8、そして現在の1.6ℓV6ハイブリッドターボのセクター別最速タイム比較をしてみたいと思います。

・ブラインドコーナーを流れるようにセクター1
 04バリチェロ  06マッサ  18ハミルトン
    17秒883      18秒014       17秒454
・クネクネと上り下りイライラのセクター2
 04バリチェロ  06マッサ  18ハミルトン
    36秒071      35秒375      34秒122
・左へ左へ、とにかく踏め踏めセクター3
 04バリチェロ  06マッサ  18ハミルトン
    16秒692       17秒139      15秒601
● 1周ポールポジションタイム※
 04バリチェロ  06マッサ  18ハミルトン
 1分10秒646  1分10秒680  1分07秒281

※セクター最速タイムを記載しているため、
 各セクター合算とポールタイムに差があります

三者比較するとハミルトンが記録した18年の歴代最速タイムが一際目立ちますね。マシンはそこそこ重たいはずなのに、全セクターで頭一つ速いです。僅差となる04年の「二代目」バリチェロと06年の「三代目」マッサの違いとしては、ストレート基調のセクター1や3の部分の遅れをクネクネなセクター2で帳消しにしている点。 2年の違いでパワーはかなり低下しましたが、回転数を20,000回転近くまで回し、空力的にも向上させました。どんなサーキットでもパワーがあるに越したことはありませんが、先程も書いたように、このサーキットはセクター2のインフィールド区間で如何にしてロスしないか、これが重要だと思います。
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《ホセ・カルロス・パーチェの予選P.P.平均速度変遷》
 73 7.960km 190.4km/h 100%    ピーターソン
 74 7.960km 187.3km/h   98.4% Eフィッティパルディ
 75 7.960km 191.2km/h 100.4% ジャリエ
 76 7.960km 187.9km/h   98.7% ハント
 77 7.960km 190.9km/h 100.3% ハント
 78 
 79 7.874km 198.1km/h 104.1% ラフィ
 80 7.874km 200.5km/h 105.3% ジャブイユ

 90 4.325km 201.5km/h 105.8% セナ
 91 4.325km 203.8km/h 107.0% セナ
 92 4.325km 205.7km/h 108.0% マンセル
 93 4.325km 205.2km/h 107.8% プロスト
 94 4.325km 205.0km/h 107.6% セナ
 95 4.325km 194.4km/h 102.1% Dヒル
 96 4.325km 199.3km/h 104.7% Dヒル
 97 4.292km 203.3km/h 106.8% Jヴィルヌーブ
 98 4.292km 200.4km/h 105.3% ハッキネン
 99 4.292km 201.8km/h 106.0% ハッキネン
 00 4.309km 209.3km/h 109.9% ハッキネン
 01 4.309km 210.3km/h 110.4% Mシューマッハ
 02 4.309km 212.2km/h 111.4% モントーヤ
 03 4.309km 210.2km/h 110.4% バリチェロ
 04 4.309km 219.6km/h 115.3% バリチェロ
 05 4.309km 215.5km/h 113.2% アロンソ
 06 4.309km 219.5km/h 115.3% マッサ
 07 4.309km 215.7km/h 113.3% マッサ
 08 4.309km 214.4km/h 112.6% マッサ
 09 4.309km 194.9km/h 102.4% バリチェロ
 10 4.309km 208.3km/h 109.4% ヒュルケンベルグ
 11 4.309km 215.7km/h 113.3% ベッテル
 12 4.309km 214.1km/h 112.4% ハミルトン
 13 4.309km 179.4km/h   94.2% ベッテル
 14 4.309km 221.5km/h 116.3% Nロズベルグ
 15 4.309km 217.6km/h 114.3% Nロズベルグ
 16 4.309km 219.3km/h 115.2% ハミルトン
 17 4.309km 227.0km/h 119.2% ボッタス
 18 4.309km 230.6km/h 121.1% ハミルトン
 19 4.309km 229.8km/h 120.7% Mフェルスタッペン

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平均速度での比較です。旧レイアウト込みのグラフになりますが、先程のタイムグラフのような「突き抜け」に対し、速度変換をするとさほど違和感なく右肩上がりの速度向上に落ち着きます。ただ70年代のマシンとなると、初代となる紫帯の7.960km時代最速が191.2km/h、次の水色帯7.874km時代の最速は200.5km/hと200km/hがやっとな感じでした。レイアウトを見てわかるように、当時を知らない者からするとちょっとクネクネし過ぎているんですよね。同じような景色を度々見て、パッとオンボード画像を見せられても、どこにいるんだか分かり辛そう。助手席に乗せられたら確実に車酔いしちゃうだろうな。
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こちらも90年以降を抽出しています。マシンレギュレーションに翻弄される開幕戦となった95年、そして雨に翻弄された09年が200km/h以下となり、旧レイアウト相当の落ち込みとなりましたが、他は年々順調に速度を上げ、18年は230km/hを超えるまでになりました。今までみてきたサーキットでも同様なことを書いていますが、近年はマシン時代の最高速度自体は一時期に比べれば上昇を止めています。しかしタイムは特にこの2、3年で急激に向上しています。ということは「ストレートで速いだけではなく、コーナー通過も速い」ことでタイムが向上していることが明らかです。コーナーがコーナーでないような扱いになっているということになります。ここのインフィールド区間はまだブレーキングを必要とする中低速、中速クラスの半径が続くものの、それらを速く通過できるようになったからこそ、このようなゲインがみられます。タイムや速度とは関係ない余談ですが、ポールシッターの面々をみていると、何かに気付きませんか?!フィッティパルディにはじまり、セナ、バリチェロ、マッサと地元ブラジル人ドライバーが多く、それも複数回ポールポジションを獲得していますね。やっぱり母国は他には無い力が生まれてくるのでしょうか。とは言いつつ、有名なブラジル人チャンピオンの名が珍しく見当たらないけど(笑)

一昔前のこのサーキットはどちらかといえば中低速のサーキットという印象が強くありました。ところがマシンが進化するにつれ、速度も徐々に上がり、タイム向上だけでなくドライバーへの体力的負荷も確実に大きくなっていきます。今シーズンは残念ながら開催しませんから、その進化具合を目の当たりにはできません。次回開催されることになったら、またどれだけタイムが向上してくるのか、またどこが限界点なのか興味深いところですね。また冒頭にも書いた通り、ブラジルGPの移転開催の噂もチラホラ耳にします。危険だとか治安が悪いとか、悪名も聞かれるサーキットではありますが、長いこと行われてきたサーキットが使われなくなるのもどこか寂しさを感じます。

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