祝!(?)F1復帰決定ということで、今回の名車は長年続いた「紅い帝王」を木っ端微塵に打破、チームに初戴冠をもたらした青いマシン。2005年のルノーR25をみていきます。
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《設計》
 ボブ・ベル
 ティム・デンシャム

《外見》
結果的にいえばチャンピオンマシンなわけで「速い、強い」マシンであるのはもちろんですが、ライバルのように「一際目立った特徴」があるわけではありません。その裏返し「一際」が無い分、安定したパフォーマンスが発揮できたのかもしれません。IMG_4966
目で見てわかる点としては、以前2006年型「R26」でも書いたサイドポーンツーンからエンジンカバーに当たるあたりに入るスリット「シャーク・ルーバー」があります。当時のフェラーリが先に始めた放熱対策の工夫ではありますが、ボディカラーである水色にこのような切れ込みがあると、本当にサメのエラのよう。フロントセクションは細く鋭利なノーズコーンとアッパーアーム付け根に猫耳のように取り付くウィングレットが特徴的です。またロワアームはV型のステー「Vキール」を採用、キールを無くしてきたライバルのマクラーレンとこの辺もまた思想が異なります。IMG_4961
フロントウィングの作り込みが独特で、ちょうど「iモード」のロゴが入る翼端部は翼端板を内側に90°折り曲げたコの字の形状をなし、モンツァやスパ・フランコルシャンなど高速指向のサーキットではそれを取り止めるなど「高い信頼性」と「どんな状況でもそつなく速い」マシン作りに励みました。ギヤボックスについても、ライバルのほとんどは7速まで多段化する中、ルノー6速ギヤの幅広いレンジのまま搭載されています。
マシンカラーはルノーの基本カラーである黄色に日本たばこ産業「マイルドセブン」の水色をまとうツートンです。日本企業が、それも今ではご法度とされている「タバコ」の会社ですから驚きですよね。日本企業がこんなデカデカと今も掲示し続けいるかはわかりませんが、続いていたらマイルドセブンではないんでしょうね。今はメビウスだったかな?!

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《シャシー》
 全長:4,800mm
 全幅:1,800mm
 全高:   950mm
 最低車体重量: - kg
 燃料タンク容量: - kg
 ブレーキキャリパー:AP
 ブレーキディスク・パッド:ヒトコ
 サスペンション:フロント プッシュロッド
          リヤ    プッシュロッド
 ホイール:OZ
 タイヤ:ミシュラン

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《エンジン》
 ルノーRS25
  V型10気筒・バンク角72度
  排気量:3,000cc
  エンジン最高回転数: - rpm(非公開)
  最大馬力: - 馬力(非公開)
  スパークプラグ:チャンピオン
  燃料・潤滑油:エルフ

フェラーリをはじめ、メルセデスやBMWもホンダといったエンジンがV10のバンク角90°を採用する中、ルノーは唯一バンク角72°を採用し続け、コンパクトかつ軽量であるコンセプトを貫いています。

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《ドライバー》
 No.5 フェルナンド・アロンソ (全戦)
 No.6 ジャンカルロ・フィジケラ(全戦)

エースとしてルノーに再び勝利をもたらしたアロンソはそのままチームに存続。相方には2001年まで前身のベネトンに所属し、ジョーダンやザウバーも渡り歩いたベテランのフィジケラが4年振りに復帰しています。

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《戦績》
 191ポイント コンストラクター1位
 (1位8回、2位6回、3位4回、4位4回ほか)
 ポールポジション7回

復帰初年の2002年は未勝利のランキング4位、 2年目3年目は若いアロンソによる1勝で2年連続のランキング3位、そしてわずか4年目にしてこの戦績。着実に成長して非常に立派です。ただこのマシンのこの戦績はシーズン最多勝ではありません。でもドライバーズ、コンストラクターズ共に紛れも無い立派なチャンピオンを獲得。どうしてこんなことになったのでしょう。
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開幕戦オーストラリアGPは開幕前テストの好調さそのままにベテランのフィジケラがポールトゥウィン、アロンソは予選13番手から3位表彰台を獲得と幸先良いスタートを切ります。第2戦サンマリノGPと第3戦バーレーンGPはアロンソがポールトゥウィン。そして過去のレースでも振り返った第4戦サンマリノGPではフェラーリのM・シューマッハとのガチンコ勝負を見事に耐え抜き、チャンピオン争いを堂々率いてシーズン序盤を終えます。ところがヨーロッパラウンドに入ると、フェラーリに代わってパワーと信頼性を向上させつつあるマクラーレンが追従し始め、アロンソばかり表彰台の真ん中は許さないというレースが続きます。
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抜群の速さはありつつつも時折自滅を繰り返すマクラーレンに対し、アロンソは第14戦トルコGPから最終戦中国GPまで6戦連続で表彰台に登壇するなど、シーズン一貫した安定感を続けた結果、3戦残しでダブルチャンピオン獲得に至りました。IMG_9903
シーズン最速を知らしめ、最多の10勝を挙げつつもチャンピオンを取り逃したマクラーレンとこのルノーとの違いの一つに「タイヤのなじみ方」が挙げられます。ルノーはミシュランタイヤの特性を理解した上で「乗り始めからグリップするマシン」にサスペンションを仕立て上げたのに対し、マクラーレンはどちらかというと「決勝追い上げ型」にしたためタイヤ作りが遅く、まず肝心な予選での好位置を取り逃し、決勝レースでなじんできた頃にはルノーに逃げられるかマシン自らが悲鳴を上げるなど、プロセスの違いがみられました。またアロンソの強みとして「確実にポイントを持ち帰る」といった安定感と達成感が終始続いた点も大きかったと思います。アロンソは全19戦で7勝、15回の表彰台、17回の入賞、2回のリタイヤ(うち1回は棄権)だったのに対し、最大のライバルとなったライコネンは同じく7勝、表彰台12回、入賞14回、リタイヤ3回(うち棄権1回)と優勝だけではなく表彰台や入賞数が効いています。アロンソのドライビングはミスが少なく、マシントラブルだけでなくライコネン自らのミスにより順位を落としたものもありました。これらが序盤から発揮され、ようやくマクラーレンが並び、追い抜き始めた頃にはライコネンの届かない領域に達することができたといえます。
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同じマシンを駆る相方フィジケラはわずか1勝、表彰台3回、入賞11回に止まります。次年2006年のようなライバルがアッと驚くデバイスが搭載されていたわけではなくとも、堅実さ、戦略、そしてミスの少なさが相まって「シューマッハ」というF1の高い壁を乗り越えられたのは、アロンソだからと言っても過言ではありません。ルノー唯一のチャンピオン経験者であるアロンソが来シーズン12年振りに戻ってきます。40代となる猛者は古巣をどう立て直すか、ルノーの本気さ、再建に今から大きな期待が寄せられています。

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