本当はこんな過去のことばかりや想像ではなく、レースが観たい!あともう少しの辛抱ですね。今回はカナダGPの舞台、ジル・ヴィルヌーブサーキットのポールポジションラップタイムを並べます。
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《ジル・ヴィルヌーブの基本情報》
    全長   :4.500km(1978)
       4.410km(1979〜86)
       4.390km(1988〜90)
       4.430km(1991〜93,95)
       4.450km(1994)
       4.421km(1996〜01)
       4.361km(2002〜08,10〜)
 コーナー数:14箇所(2002〜)
   開催回数  :40回

F1に定着して40年を超える古参サーキットの一つです。セントローレンス川に浮かぶこのサーキットは開設当初「イル・ノートルダム」という島の名前をそのまま名付けたものですが、初開催の優勝を挙げた地元の英雄G・ヴィルヌーブを讃え、死後に改称されました。また、78年から現在までに87年と09年の2回の非開催を経て現在に至ります。このサーキットの話になると毎回書いてしまいますが、このサーキットのレースは実に面白い。とにかく荒れる、必ず何かが起きる、意外と初優勝が多い、など日本からみればだいぶ遠く時差がたっぷりな点を除けば、miyabikunの好きなサーキットの上位に入ります。サーキットの基本系は変わらないものの、歴史が長くなればそれなりの軽微変更も多い、ということで以前作図したレイアウトを使いつつ一応レイアウト変更点を確認しておきます。image
 ・1978年のみ   4.500km 青色(オリジナル)
 ・1979〜86年  4.410km        (ターン8緩和)
 ・1988〜90年  4.390km       (スタート変更)
 ・1991〜93,95 4.430km       (ターン14直角化)
 ・1994年のみ  4.450km 赤色(仮シケイン設置)
 ・1996〜01年  4.421km        (カジノ廃止)
 ・2002〜現在  4.361km 黒色(ヘヤピン短縮)

全てを作図し切れていません。すみません。軽微過ぎて、絵に描いても違いが伝わり辛いくらいなものが多くあります。特徴的な変更点としては、88年まではヘヤピンを出た先あたりにあったスタート位置が現在の位置に変更になりました。あとは94年の奇妙なシケイン設置でしょうか。エスケープゾーンが狭く、ドライバーはライン採りに細心の注意が求められ、メリハリのあるコーナーの連続は燃費やブレーキなどマシンにも試練を与えます。昨年もありましたね。誰とは言いません、一歩読み間違うと一気に「おじゃん」です。

《ジル・ヴィルヌーブの予選P.P.タイム変遷》
 78 4.500km 1分38秒015 ジャリエ
 79 4.410km 1分29秒892 ジョーンズ
 80 4.410km 1分27秒328 ピケ
 81 4.410km 1分29秒211 ピケ
 82 4.410km 1分27秒509 ピローニ
 83 4.410km 1分28秒729 アルヌー
 84 4.410km 1分25秒442 ピケ
 85 4.410km 1分24秒567 デ・アンジェリス
 86 4.410km 1分24秒118 マンセル

 88 4.390km 1分21秒681 セナ
 89 4.390km 1分20秒973 プロスト
 90 4.390km 1分20秒399 セナ
 91 4.430km 1分19秒837 パトレーゼ
 92 4.430km 1分19秒775 セナ
 93 4.430km 1分18秒987 プロスト
 94 4.450km 1分26秒178 Mシューマッハ
 95 4.430km 1分27秒661 Mシューマッハ
 96 4.421km 1分21秒059 Dヒル
 97 4.421km 1分18秒095 Mシューマッハ
 98 4.421km 1分18秒213 クルサード
 99 4.421km 1分19秒298 Mシューマッハ
 00 4.421km 1分18秒439 Mシューマッハ
 01 4.421km 1分15秒782 Mシューマッハ
 02 4.361km 1分12秒836 モントーヤ
 03 4.361km 1分15秒529 Rシューマッハ
 04 4.361km 1分12秒275 Rシューマッハ
 05 4.361km 1分15秒217 バトン
 06 4.361km 1分14秒942 アロンソ
 07 4.361km 1分15秒707 ハミルトン
 08 4.361km 1分17秒886 ハミルトン

 10 4.361km 1分15秒105 ハミルトン
 11 4.361km 1分13秒014 ベッテル
 12 4.361km 1分13秒784 ベッテル
 13 4.361km 1分25秒425 ベッテル
 14 4.361km 1分14秒874 Nロズベルグ
 15 4.361km 1分14秒393 ハミルトン
 16 4.361km 1分12秒812 ハミルトン
 17 4.361km 1分11秒459 ハミルトン
 18 4.361km 1分10秒764 ベッテル
 19 4.361km 1分10秒240 ベッテル

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大幅にタイム遅れが目立つ年についてみてみます。初年の78年は翌79年と比較するとサーキット全長に大きな差がないのに、タイムに8秒の開きがあります。miyabikun所有の書籍やビデオを漁っても「決勝」についてのものばかりで予選時を詳しく紐解ける物がありませんでした。他で調べたところ、G・ヴィルヌーブの初優勝で沸いた初戦の予選は雨によるタイム低下だということがわかりました。さすがにこの一年だけこんなに遅いのは考えられませんものね。
94年はこのサーキットに限らず「シーズン序盤の大事故」の影響により急遽速度抑制を目的としたシケインを追加したため、距離の若干の微増とタイムも大幅に遅れています。天候は晴れでした。翌95年はそれ以前の4.430kmに戻されたわけですが、タイムは以前のレベルまで戻るどころか94年よりも落ち込んでいます。こちらもドライ環境だったと思うのですが、何が原因なんでしょうか。レギュレーションにある「フロアにあるスキッドブロック装着」は94年カナダGP後のドイツGPから装着されていますので、それが効いているのか。ハイテクデバイスの禁止がここまでラップタイムに影響したのでしょうか。執筆中に真相はちょっと思い当たりませんでした。
他、近年では08年と13年もタイム向上に逆らうようなグラフになりました。08年はF1で2年目のハミルトンが2年連続となるポールを1分17秒886で獲得しています。これもドライ環境ではありましたが、データのいじわる、カラクリがあります。このデータ比較はあくまで「ポールポジションタイム比較と変遷」としているためで、実はQ1のハミルトンは1分16秒909とQ3のポールタイムを0.9秒上回っています。もっと言うと、予選の前日金曜日に行われたフリー走行2回目はさらに速い1分15秒752という、ポールタイムから2秒も速いタイムでラップしており、マシンや天候による落ち込みではありませんでした。このタイムであれば07年や10年の間にいても違和感はありませんね。また13年のベッテルは言うまでもなく完全なウェットによるタイム低下です。Q1は同じベッテルが1分22秒318で走破し、前日のフリー走行2回目ではフェラーリのアロンソがドライ路面で1分14秒818というラップタイムを残していることからも、12年や14年の間に入ってもすんなりおさまります。
この企画は「各年のポールポジションタイムから進化や速さを評価する」ことに揃えたため、フリー走行や予選1,2回目のファステストラップは除外しています。データの誤差範囲、とはまた解釈は違うけど、この近年2件は無視していいでっぱりだと思います。それらを踏まえてみてみると、前日のモンテカルロ市街地にあったようになだらかではあるものの回数とともにラップタイムの向上がみられていますね。 2年目にあたる79年から40年かけて昨年まで約20秒の短縮となっています。

《ジル・ヴィルヌーブの予選P.P.平均速度変遷》
多少なりともある一周全長の違いを「一周平均速度」に均してみてみます。
 78 4.500km 165.3km/h 100%   ジャリエ
 79 4.410km 176.6km/h 106.9% ジョーンズ
 80 4.410km 181.8km/h 110.0% ピケ
 81 4.410km 178.0km/h 107.7% ピケ
 82 4.410km 181.4km/h 109.8% ピローニ
 83 4.410km 178.9km/h 108.3% アルヌー
 84 4.410km 185.8km/h 112.4% ピケ
 85 4.410km 187.7km/h 113.6% デ・アンジェリス
 86 4.410km 188.7km/h 114.2% マンセル

 88 4.390km 193.5km/h 117.1% セナ
 89 4.390km 195.2km/h 118.1% プロスト
 90 4.390km 196.6km/h 118.9% セナ
 91 4.430km 199.8km/h 120.9% パトレーゼ
 92 4.430km 199.9km/h 121.0% セナ
 93 4.430km 201.9km/h 122.2% プロスト
 94 4.450km 185.9km/h 112.5%  Mシューマッハ
 95 4.430km 181.9km/h 110.1%  Mシューマッハ
 96 4.421km 196.3km/h 118.8% Dヒル
 97 4.421km 203.8km/h 123.3% Mシューマッハ
 98 4.421km 203.5km/h 123.1% クルサード
 99 4.421km 200.7km/h 121.4% Mシューマッハ
 00 4.421km 202.9km/h 122.8% Mシューマッハ
 01 4.421km 210.0km/h 127.1% Mシューマッハ
 02 4.361km 215.5km/h 130.4% モントーヤ
 03 4.361km 207.9km/h 125.8% Rシューマッハ
 04 4.361km 217.2km/h 131.4% Rシューマッハ
 05 4.361km 208.7km/h 126.3% バトン
 06 4.361km 209.5km/h 126.7% アロンソ
 07 4.361km 207.4km/h 125.5% ハミルトン
 08 4.361km 201.6km/h 122.0% ハミルトン

 10 4.361km 209.0km/h 126.5% ハミルトン
 11 4.361km 215.0km/h 130.1% ベッテル
 12 4.361km 212.8km/h 128.7% ベッテル
 13 4.361km 183.8km/h 111.2% ベッテル
 14 4.361km 209.7km/h 126.9% Nロズベルグ
 15 4.361km 211.2km/h 127.7% ハミルトン
 16 4.361km 215.6km/h 130.5% ハミルトン
 17 4.361km 219.7km/h 132.9% ハミルトン
 18 4.361km 221.9km/h 134.2% ベッテル
 19 4.361km 223.5km/h 135.2% ベッテル

雨により通常よりも遅かった初年を100とするには酷ですが、あくまで向上の指標ということで活用させて頂きます。
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こちらもタイムと同様に時を経て徐々に速度が増していることがわかります。なかでも02年のモントーヤによる215.5km/hと、04年のR・シューマッハによる217.2km/hが目立っています。いずれもBMWエンジンを搭載したウィリアムズですね。BMWエンジンはネーミングに「Power」を名乗るほどパワー自慢の高出力エンジンでした。セクター3に設置されたスピードトラップの速度は今回比較していませんが、ロングストレートで伸びのいい加速をしていたのを想像させます。間に立つ03年もR・シューマッハがポールポジションを獲得。決勝でも高確率で表彰台に登壇することからも、フェラーリ天下だったこの時代においてこのサーキットを比較的得意としてきたことがわかります。
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近年はそれらBMWの3.0ℓV10を凌駕し、昨年のパワーベッテルは平均速度223.5km/hに到達しました。80年代後半のパワーターボ時代よりも重量も増加されたはずなのにこんなにも向上を図るのですから、つくづく技術の躍進とモーターパワーの後ろ盾は強烈であることを知らしめられます。

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