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本当に立派な施設ですよね。画像上側のピットガレージ裏手の木々に囲まれたモーターホームは水が張られた上にあります。あたかもどこかのリゾート地かのよう。現在から9年前にあたる2011年の第3戦中国GPです。

2010年は僅差で最年少チャンピオンを獲得したベッテルとレッドブルは2011年シーズンも開幕から2連勝と快調な滑り出しをみせています。そんな中、この中国GPはフリー走行から暗雲が立ち込めています。
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ウェバーのKERSが上手く機能しない。方やベッテルはトップタイムをたたき出すなど、同じチームにいてウェバーの引きがなかなかいい方向に向かず頭を抱える。
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予選が始まってもその傾向は改善の兆しがなく、DRSは開けてもKERSはフル充電のまま開放できず。チャンピオンチームは屈辱の18番手に終わりQ1落ち。
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ポール争いはマクラーレンのバトンがソフトタイヤを存分に投入してポールレコードを更新、1分34秒421で先手を投じます。
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しかし後続のベッテルがさらに速い。バトンを0.715秒も上回る唯一となる1分33秒の世界に到達。文句無しのポールポジション獲得となりました。
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予選重視でポールを狙いにいったバトンに対し、マクラーレンのハミルトンは決勝でのタイヤチョイスに幅を利かせて3番手で良しとしています。ピレリタイヤのタレで頭を抱える各チームの考えあっての戦略といえますが、これが後々に痛いほど効いてきます。あと、どうでもいいことだけど、ドライバーの表情より画像の左手にいる顔に目がいってしまいました。「中国でいう川井ちゃん」あたりかな(笑)ザウバーから参戦する小林可夢偉は不調なウェバーを上回り、Q1は突破して相方ペレスに次ぐ13番手におさまっています。

《予選結果》
 1 S・ベッテル (レッドブル・R)
 2 J・バトン  (マクラーレン・M)
 3 L・ハミルトン(マクラーレン・M)
   ※タイヤはピレリのワンメイク

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各車がレコノサンスラップを終え、ダミーグリッドに就く中、3番手グリッドが空っぽです。ハミルトンは何処に?!
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いたいた、まだガレージの中に。エンジンカバーを開けて、ピットクルーが寄ってたかってペーパーを片手に何かをかき出しています。どうやらガソリンをこぼした模様。床が濡れています。確かにこれで火を入れたら一大事になることは想像できます。ただいつまでもこうしているわけにはいかない。スタート15分前にピットレーンがクローズされて、決勝未出走リタイヤになっちゃう。
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ひとまずカバーを付けないで隊列に加わっていく。ハミルトン、予選は賢くセーブしたのに、決勝直前でちょっと幸先不安。

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スタートはポールのベッテルが出遅れて、インをバトンに簡単にさらわれる。ベッテルはハミルトンをインに追いやり牽制しても、負けじと居座られて右ターンインまでに並ばれる。
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黄色いクチバシのベッテルは4番手スタートのメルセデスのロズベルグにまでラインを獲られて、1台除け者になってしまっています。3位は守りますが、マクラーレン2台に対してあの会心のポールは無用の長物でした。

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14周目にハミルトンをようやく捉えて2位に復帰したベッテルはその直後にトップのバトンと同時に1回目のピットへ向かいます。共に最上流のレッドブルのピットへ。
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え、レッドブルの?!紺のクルーに銀のマシン?!
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これは珍事ですね。前に所属したチームならまだしも、バトンはレッドブルとカスりもしていません。ベッテルに合わせこまれて焦ったのかな?!(近年ではメルセデスに移籍したばかりのハミルトンもマクラーレンのピットに誤進入していました)レッドブルのすぐ隣でよかったよね。
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しかしやっぱりロスには違いない。ベッテルが労せずバトンの前に。ピットを終えていないハミルトンはさておき、定位置には戻ったかな。

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バトンがタイヤ交換をしたということは、ハミルトンのタイヤも限界が近付いていることを示します。フェラーリ勢に飲み込まれ始めました。
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16周目にマッサとハミルトンが同時にピットイン。ハミルトンはここから貯め込んでいた「フレッシュタイヤ投入作戦」が始まります。

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2回目に履き替えたソフトを使い切る前の36周目に予選重視のバトンと決勝温存のハミルトンがコンタクトしました。同じマシンでいずれもチャンピオン経験者。ガチンコ勝負です。
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バトンのソフトは中古、ハミルトンは新品です。まだ少し息の続いているハミルトンの勝ち。ターン1をインからさばく。

38周目に最後のハードタイヤを履いたハミルトンの勢いは止まらず、44周目に2ピットストップを終えて先行するさっきのマッサをやり返さんばかり攻め立て始めました。無線で「タイヤを残して焦らず丁寧に」とお咎めが入るも
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バキバキに仕上がっているハミルトンはいける時にいく!2位に浮上。あと残すはベッテル。
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残り5周。ベッテルの背後にピタピタのハミルトン。ベッテルは2ピットストップを選び、今履くハードタイヤはハミルトンより7周使い込んでいます。
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ターン4で捉えていく。前年第18戦ブラジルGPから5連勝がかかっていたベッテルのトップがここで崩壊しました。

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マクラーレンのワンスリーフィニッシュで終わるかなと思いきや、レッドブルVSマクラーレンはこれで終わりませんでした。3位を走行するバトンにもう一人のレッドブルがハイペースで迫っています。18番手スタートの運無し男、ウェバーです。
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相変わらずKERSは作動しないけど、DRSならある!スタートが後方過ぎて何も期待していないでいましたが、40周目までに3回ストップの逆ストラテジーでまさか3位争いに絡むまで復帰してくるとは!

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《決勝結果》
 1 L・ハミルトン(マクラーレン・M)
 2 S・ベッテル (レッドブル・R)
 3 M・ウェバー   (レッドブル・R)

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ベッテルもハミルトンも数多く重ねてきた優勝は「ポールポジションから逃げを打つ」印象があります。ただこの日のハミルトンは予選から「タイヤの使い方」を重んじ、実に賢く2日間を戦い、3位から逆転優勝をもぎ取りました。タイヤの劣化具合については近年も腑に落ちない状況が続いていますが、この時代にあった「露骨なガケ」を迎えるタイヤも読みが難しく、アクティブでスパイシーなレース内容を演出してきました。miyabikun個人的には、きめ細やかなコンパウンドを設定するのではなく、この位メリハリのある使用限界がある方が面白いんじゃないかなと常々思っています。
正常作動しないKERSに始まり、スタートミスにガソリン漏らし、ピットインミスにグズグズなタイヤとイベントたっぷりな中国GPでした。

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