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今回はフェラーリ回にしました。先日のネタで駄馬駄馬言っていたら、駄馬もたまにはちゃんと取り上げなきゃなと思って選んだのは2014年型F14Tです。何気にライコネン車の連発になりました。まだまだ最近の話にもみえますが、もう6年も前の話ですね。インパクト抜群の見た目以上の駄馬、みていきましょう。

《設計》
 ニコラス・トンバジズ
 ジェームス・アリソン
 パット・フライ
 ルカ・マルモリーニ
 マッティア・ビノット
 浜島裕英
 ロリー・バーン

《外見》
開発担当者をいつもよりズラズラ多めに並べました。この方々がいわゆるA級戦犯、なんて言ったら失礼か(笑)
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先日も話題にしたフロントノーズからみていきます。この滑稽なフォルムは当時のレギュレーションである「ノーズ先端から50mm後方までの高さを185mmかつフロントタイヤ車軸から750mm以上1,200mm以下」に準拠したためです。フェラーリは掃除機のヘッドの如くローノーズを採りました。フェラーリ以外にはチャンピオンを獲得したメルセデスF1 W05 Hybridも同じ形状でした。
このマシン最大の特徴は「パワーユニット構成」にあります。空力性能を突き詰めるべくリヤエンドを絞ることをコンセプトとし、パワーユニットを集約化に努めています。インタークーラーに代わった「ヒート・エクスチェンジャー」と呼ばれる冷却器やMGU-Hなどの熱系機器類をエンジンのVバンク内側にまとめて、側部の空間確保に専念。エキゾーストマニホールドもエンジンに沿う形で平面的に合流させてシリンダー上方に立ち上げられていきます。
MGU-Kもエンジン側部でなく、エンジン後方にあたるクラッチやギヤボックスと一体化されました。とにかく中央に、上方に、後方に集約し、側部の空間を作り上げ、ライバルと色んな意味で一線を画しています。
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絞りに絞ったといっても、外見上はライバルとそんなに変わらない気もするんだけど、、(笑)
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フロントサスペンションは2012年型のF2012から引き継ぐプルロッド式となっています。

カラーリングはベースの深紅とウィング類の白に加え、マシン下部からエンジンカバー後部にかけて黒をまとっています。まさしくこの黒のエリアを絞りたかったのよーって。いつものマールボロを筆頭に、黄色い貝殻のシェル、白はサンタンデール銀行。スペインの銀行でエースドライバーさんのお得意スポンサーです。

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《シャシー》
 全長:  - mm
 全幅:  - mm
 全高:  - mm
 最低車体重量:691kg(ドライバー含む)
 燃料タンク容量:100kg
 ブレーキキャリパー:ブレンボ
 ブレーキディスク・パッド:
 サスペンション:フロント プルロッド
          リヤ    プルロッド
 ホイール:OZ
 タイヤ:ピレリ

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《エンジン》
 フェラーリTipo056/3
  V型6気筒・バンク角90度
  シングルターボ+ERS
 排気量:1,600cc(推定)
 エンジン最高回転数:  15,000rpm以下(制限)
 MGU-K 最高回転数:  50,000rpm以下(制限)
 MGU-H 最高回転数:125,000rpm以下(制限)
 最大馬力: - 馬力+120kW(非公開)
 燃料・潤滑油:シェル

2014年といえば現パワーユニット元年ですね。パワーはメルセデスには及ばず、ルノーよりは上という位置付けにはなりましたが、結果的にレッドブルに大敗していますから、結果的には苦労が報われなかったという悲しい結末に。

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《ドライバー》
 No.14 フェルナンド・アロンソ(全戦)
 No.7   キミ・ライコネン(全戦)

一度フェラーリを離脱しロータスの底上げに貢献するも不満を抱えていたライコネンを再び呼び戻し、2001年デビューのどちらもチャンピオン経験者を並べた豪華ラインナップとしてきました。歴代でみるとマッサ+ライコネン、マッサ+アロンソ、アロンソ+ライコネンと8シーズンでたったの3人。それも出戻りアリで当時のトップクラス、準トップクラスのドライバーを並べるあたりが「獲れない者は去るべき。獲れる者で狙う」フェラーリらしいですね。

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《戦績》
 216ポイント コンストラクター4位
 (1位0回、2位1回、3位1回、4位5回ほか)
 ポールポジション0回

当時のドライバーラインナップを考えれば、その戦績はピカイチです。2010年代前半は完全にレッドブルにやられて2番手に甘んじていた時期が続き、新たなパワーユニット元年となればフェラーリファン、F1ファンは「勢力図改変」を期待したことと思います。ただ蓋を開けてみたら、、ビックリするくらい、遅い!
開幕戦オーストラリアGP予選はアロンソがQ3に残り5番手を獲得しますが、ライコネンはQ2落ちの12番手に沈みました。決勝はアロンソ4位、ライコネン7位とベッテルやハミルトンといった他の優勝候補が脱落した中で散々たる結果に終わります。続く第2戦マレーシアGPはアロンソは同じく4位と表彰台まであと一つのところにつけますが、ライコネンは完走こそするもののラップダウンの12位入賞圏外と、まるで戦えていません。どこぞの中堅チームならまだしも、チャンピオンを経験したトップチームの結果ですから、ベッテルの絶不調、メルセデスの絶好調に引けを取らない衝撃的な事実でした。
以降、メルセデス、レッドブルの2チームのみならずウィリアムズやマクラーレンの後塵を拝することも多く、毎戦4位〜9位あたりをさまよう内容が続き、予選最高位はアロンソの第2戦マレーシアGP、第8戦オーストリアGP、第12戦ベルギーGPの4番手3回。決勝最高位もアロンソによる第11戦ハンガリーGPの2位1回となっており、ライコネンは結局一度も登壇できないというロータス時代よりも冴えない結果でした。ちなみにドライバーズランキングはアロンソがウィリアムズの一角(マッサ)を食う6位、ライコネンの12位は同じく登壇の無かった2001年ザウバーでの1年目を含めてもワーストです(2019年アルファロメオも無登壇でランキングタイ記録)フェラーリとして未勝利に終わったのは1993年のベルガー、アレジコンビ以来となる21年振りの大惨事となりました。5003
不作の原因として「空力を追求するあまりのコンパクトなパワーユニット」が挙げられます。エンジンのVバンクのエリアも活用し、エンジンカバー下部を絞った窮屈な設計は重量物を集中させ、重心も高くなりました。また、フロントエンドの処理、ブレーキ操作にも支障をきたすなど、マシン制御の繊細さを求めるライコネンはおろか、マシン性能を存分に引き上げる術を持つアロンソですら、表彰台登壇が精一杯という状況を作り上げてしまいました。勝利に飢えるアロンソは新しい活路としてこの年限りで長期契約を破棄してフェラーリを離れ、新生マクラーレンに移籍を決めます。そしてドライバーだけでなく首脳陣に対しても容赦無いフェラーリはチーム改革に踏み切り、開幕早々の4月に代表のステファノ・ドメリカリを解任、続いて8月にエンジン開発担当のルカ・マルモリーニを解任、9月に会長のルカ・モンテゼモロが辞任、さらにはシーズン終了とともにドメリカリの後任のマルコ・マティアッチも辞任という形で首脳陣もバタバタと斬られていきました。
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フェラーリに憧れるドライバーやファンは沢山います。F1にはなくてはならないワークス、コンストラクターには間違いありません。しかし潤沢な資金と揺るがぬブランドを引っ提げても「何かひとつ足りない。空回り。傲慢」なのもフェラーリ。フェラーリのネタになると毎回そう思い、書いてきましたが、フェラーリは「栄冠を掴んだ者の最終到達点」であり、フェラーリに属して栄冠を掴むのはかなり至難の業であるように感じます。古くはG・ヴィルヌーブ、ベルガーやアレジ、マッサもそうでした。アロンソやベッテルは「他で結果を出したドライバー」なのであまり心配に感じませんでしたが、ルクレールについては一抹の不安を覚えてしまいます。フェラーリが最後にチャンピオンを獲得してから、だいぶ日が経ってしまいました。

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