バーレーンGPは2004年から続く中東を代表するGP。砂漠の中に開設されたヘルマン・ティルケ監修の近代サーキットの一つとして今シーズンもカレンダーに組み込まれたわけですが、1年だけ一部レイアウトの異なる年がありました。ちょうど10年前となる2010年の開幕戦として設定されたバーレーンGPです。たった1回キリではあるものの、いつもとは違う様相を呈していました。先日振り返ったオーストラリアGPも開幕戦、今回も開幕戦。当の2020年シーズンが開幕しないならmiyabikunが何度でもしつこく開幕戦を投入していきます。
この後ろ姿、どこかでみたことがあるような。。2010年開幕の注目の的となったのは3シーズン振りにあのM・シューマッハが復帰することでした。それも何年もかけて復活に導き共に大成したフェラーリからではなく、母国のビッグメーカーであるメルセデスの復帰参戦という大役を仰せつかりました。
そもそもF1昇格前はメルセデスの育成プログラムにいたわけですもんね。F1という四輪オープンホイール最高峰カテゴリーにフルワークスとして復帰する。ならばM・シューマッハの経験を最大限に活用したい。当然の抜擢です。ちなみにこの時41歳。今でいうライコネンくらいの年齢。相方のドイツ国籍であるN・ロズベルグと共にゲルマン魂でどれだけやれるか見ものです。その他には前年ブラウンGPでチャンピオンとなったバトンはマクラーレンに移籍して、ハミルトンとダブルチャンピオン体制を採り、ライコネンが抜けたフェラーリへはルノーからアロンソが加入するなど、トップチームの異動も多い幕開けとなりました。
バーレーン国際サーキットはこの年、鋭角なターン4の先をターン13に向けて進み、ターン5の位置まで9のコーナーを追加させるという新レイアウトを導入しました。
新興サーキットはこのように様々なレイアウトを採れやすいもメリットとしてあります。1周全長は6.299kmとなり、887m延長されたことになります。ただ長くなっただけではなく、F1マシンにおいてとても厳しい環境であることがフリー走行から明らかになりました。
スキッドブロックを擦り、木の粉が舞います。バンプが酷く、マシンがボトミングしてコントロールがし辛いとのこと。フリー走行や予選からはまだしも、決勝はココを49回もバトルしながら通過しなければなりません。当時は今と違いデータイムのレースですから体力的な負担も大きそう。
こちらもバイザー越しに見覚えのある眼差しとヘルメットのドライバーがいます。A・セナならぬ甥のB・セナです。2010年は撤退したトヨタに代わり新たにヴァージン、ヒスパニア改めHRT、そしてロータス(レーシング)という3つの新興チームが加わって合計12チームでスタートしました。チームやドライバーが増えるのは喜ばしい話ですが、行き場を失ったトゥルーリやグロック、コバライネンといった表彰台経験者をもってしてもタイム差が大き過ぎました。そうもそうも簡単にF1を攻略できるわけもなく、HRTに至ってはポールタイムから約11秒以上(109.5%)も離される始末。全く異なるカテゴリーのようなタイム差となってしまいました。
ポールポジションは前年2009年から飛躍的な向上をみせてランキング2位にのし上がったレッドブルの若きエース、ベッテルがフェラーリの猛追を振り切り、幸先良いスタートを切ります。
気になる復活シューマッハはロズベルグに負けて7番手。スポンサー不足のため真っ白なザウバーを駆る日本代表の小林可夢偉もチームメイトのデ・ラ・ロサに上回られて16番手に沈む。