ハミルトン6回目のチャンピオン決定からブラジルGPを挟んでの「チャンピオン企画」続きです。今回は「チャンピオンのシーズン勝利数」にまつわるデータをまとめてみました。

《チャンピオンの勝利数と決定レース数》
 50 J・ファリーナ            3勝   7戦目 / 全7戦
 51 J・M・ファンジオ ① 3勝   8戦目 / 全8戦
 52 A・アスカリ ①           6勝   6戦目 / 全8戦
 53 A・アスカリ ②           5勝   7戦目 / 全9戦
 54 J・M・ファンジオ ② 6勝   7戦目 / 全9戦
 55 J・M・ファンジオ ③ 4勝   6戦目 / 全7戦
 56 J・M・ファンジオ ④ 3勝   8戦目 / 全8戦
 57 J・M・ファンジオ ⑤ 4勝   6戦目 / 全8戦
 58 M・ホーソーン           1勝 11戦目 / 全11戦
 59 J・ブラバム ①           2勝   9戦目 / 全9戦
 60 J・ブラバム ②           5勝   9戦目 / 全10戦
 61 P・ヒル                      2勝   7戦目 / 全8戦
 62 G・ヒル ①                 4勝   9戦目 / 全9戦
 63 J・クラーク ①           7勝   7戦目 / 全10戦
 64 J・サーティース         2勝 10戦目 / 全10戦
 65 J・クラーク ②           6勝   7戦目 / 全10戦
 66 J・ブラバム ③           4勝   7戦目 / 全9戦
 67 D・ハルム                  2勝 11戦目 / 全11戦
 68 G・ヒル ②                 3勝 12戦目 / 全12戦
 69 J・スチュワート ①    6勝   8戦目 / 全11戦
 70 J・リント                   5勝 12戦目 / 全13戦 ※
 71 J・スチュワート ②    6勝   8戦目 / 全11戦
 72 E・フィッティパルディ① 5勝10戦目/全12戦
 73 J・スチュワート ③    5勝 13戦目 / 全15戦
 74 E・フィッティパルディ② 3勝15戦目/全15戦
 75 N・ラウダ ①              5勝 13戦目 / 全14戦
 76 J・ハント                   6勝 16戦目 / 全16戦
 77 N・ラウダ ②              3勝 15戦目 / 全17戦
 78 M・アンドレッティ    6勝 14戦目 / 全16戦
 79 J・シェクター            3勝 13戦目 / 全15戦
 80 A・ジョーンズ            5勝 13戦目 / 全14戦
 81 N・ピケ ①                  3勝 15戦目 / 全15戦
 82 K・ロズベルグ            1勝 16戦目 / 全16戦
 83 N・ピケ ②                  3勝 15戦目 / 全15戦
 84 N・ラウダ ③              5勝 16戦目 / 全16戦
 85 A・プロスト ①           5勝 14戦目 / 全16戦
 86 A・プロスト ②           4勝 16戦目 / 全16戦
 87 N・ピケ ③                  3勝 15戦目 / 全16戦
 88 A・セナ ①                  8勝 15戦目 / 全16戦
 89 A・プロスト ③           4勝 15戦目 / 全16戦
 90 A・セナ ②                  6勝 15戦目 / 全16戦
 91 A・セナ ③                  7勝 15戦目 / 全16戦
 92 N・マンセル               9勝 11戦目 / 全16戦
 93 A・プロスト ④           7勝 14戦目 / 全16戦
 94 M・シューマッハ ①   8勝 16戦目 / 全16戦
 95 M・シューマッハ ②   9勝 15戦目 / 全17戦
 96 D・ヒル                      8勝 16戦目 / 全16戦
 97 J・ヴィルヌーブ         7勝 17戦目 / 全17戦
 98 M・ハッキネン ①      8勝 16戦目 / 全16戦
 99 M・ハッキネン ②      5勝 16戦目 / 全16戦
 00 M・シューマッハ ③   9勝 16戦目 / 全17戦
 01 M・シューマッハ ④   9勝 13戦目 / 全17戦
 02 M・シューマッハ ⑤ 11勝 11戦目 / 全17戦
 03 M・シューマッハ ⑥   6勝 16戦目 / 全16戦
 04 M・シューマッハ ⑦ 13勝 14戦目 / 全18戦
 05 F・アロンソ ①           7勝 17戦目 / 全19戦
 06 F・アロンソ ②           7勝 18戦目 / 全18戦
 07 K・ライコネン            6勝 17戦目 / 全17戦
 08 L・ハミルトン ①        5勝 18戦目 / 全18戦
 09 J・バトン                    6勝 16戦目 / 全17戦
 10 S・ベッテル ①           5勝 19戦目 / 全19戦
 11 S・ベッテル ②          11勝 15戦目 / 全19戦
 12 S・ベッテル ③           5勝 20戦目 / 全20戦
 13 S・ベッテル ④         13勝 16戦目 / 全19戦
 14 L・ハミルトン ②      11勝 19戦目 / 全19戦
 15 L・ハミルトン ③      10勝 16戦目 / 全19戦
 16 N・ロズベルグ            9勝 21戦目 / 全21戦
 17 L・ハミルトン ④        9勝 18戦目 / 全20戦
 18 L・ハミルトン ⑤      11勝 19戦目 / 全21戦
 19 L・ハミルトン ⑥      10勝 19戦目 / 全21戦
 ※70年のリントは第10戦までの参戦

前回と同様にF1の歴代ドライバーズチャンピオンのシーズン勝利数、チャンピオン決定までに要したレース数の一覧になります。勝利数についてはチャンピオン決定までの勝利数ではなく、あくまで「シーズン全戦の勝利数」としています。シーズンによってはこれらチャンピオンと同数の勝利を挙げた者、さらにはチャンピオンよりも多く勝ちつつもチャンピオンを逃した者もいますので、必ずしも「チャンピオン=シーズン最多勝」とはなりません。
1970年の最多勝を獲得したリントは第10戦イタリアGPの予選アタック中に最終コーナー「パラボリカ」でクラッシュにより死亡。第12戦アメリカGP終了時点でようやくチャンピオンが確定したため、自身がチャンピオンになったことを知りません。

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これからこの70年分のチャンピオンを以下の項目で細分化していきます。

《シーズン最多勝利数ベスト15》
 1 13勝 / 全18戦 M・シューマッハ(04)
    13勝 / 全19戦 S・ベッテル        (13)
 3 11勝 / 全17戦 M・シューマッハ(02)
    11勝 / 全19戦 S・ベッテル        (11)
    11勝 / 全19戦 L・ハミルトン     (14)
    11勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (18)
 7 10勝 / 全19戦 L・ハミルトン     (15)
    10勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (16)●
    10勝 / 全21戦 L・ハミルトン     (19)※
  10   9勝 / 全16戦 N・マンセル       (92)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(95)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(00)
         9勝 / 全17戦 M・シューマッハ(01)
         9勝 / 全21戦 N・ロズベルグ    (16)
         9勝 / 全20戦 L・ハミルトン    (17)
 ●の16年チャンピオンはN・ロズベルグの9勝
 ※は第20戦ブラジルGP終了時点

まずは「チャンピオンのシーズン最多勝ランキング」です。ちょっと切れが悪いですが9勝を挙げた上位15人を抽出しています。ご存知の通り年間のレース数が年々増加傾向にあり、今シーズン2019年は年間最少の50年や54年といったシーズンの3倍にあたる全21戦になりました。
ドライバーをみていくと、近代のシューマッハ、ハミルトン、ベッテルが複数のノミネートをしてきます。やはりこの手のランキングは近年が有利です。最多は04年のシューマッハ、13年のベッテルによる13勝タイです。数だけでいうとこれよりも年間レース数の少ない年がいくつかありますね。ベッテルはシューマッハ引退後に台頭したドイツ出身ドライバーということもあり「次世代のM・シューマッハ」なんてもてはやされたともありました。ところがどっこい、近年は勝利数も減り、接触によるクラッシュや取りこぼしが続き「ハミルトンはいつシューマッハを超えられるか」という話題に完全に切り替わっています。ノリに乗ってちゃんとやればまだまだ速いのに、非常にもったいない流れになっていますね。
上位15年分にノミネートされた最多はハミルトンの6年、次いでシューマッハの5年です。ハミルトンは16年にチャンピオンこそチームメイトのN・ロズベルグに奪われてしまいましたが、年間勝利数は最多の10勝を挙げました。またこちらのデータは今シーズン第20戦ブラジルGP終了時であるため、最終戦アブダビGPで優勝するようなことがあれば年間11勝となり、自身最多の14年と18年のタイ記録になります。今シーズンは、、もういいでしょう、ハミルトン(笑)

《シーズン勝率》
先程書いたように、歴代のシーズンでは年間レース数にバラツキがあり、一概に勝利数だけで「シーズン支配率」は判断できません。そこで勝利数をレース数で割った「勝率」で判定してみます。今までもデータ系のネタではちょこちょこ登場してきましたね。グラフは先日の「年数、年齢編」で登場した5人のみイメージカラーを引き継ぎ表現しました。またその下に勝率上位と下位の5つをピックアップします。
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 1 75.0% A・アスカリ            6勝 / 全8戦  (52)
 2 72.2% M・シューマッハ  13勝 / 全18戦(04)
 3 70.0% J・クラーク            7勝 / 全10戦(63)
 4 68.4% S・ベッテル         13勝 / 全19戦(13)
 5 66.7% J・M・ファンジオ  6勝 / 全9戦  (54)
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  66 18.8% N・ピケ                  3勝 / 全16戦(87)
  67 18.2% D・ハルム              2勝 / 全11戦 (67)
  68 17.6% N・ラウダ              3勝 / 全17戦 (77)
  69   9.1% M・ホーソーン      1勝 / 全11戦  (58)
  70   6.3% K・ロズベルグ       1勝 / 全16戦 (82)

勝率最上位は勝ちに勝ちまくったシューマッハではなく、miyabikunも目にしていない52年のアスカリによる75.0%となりました。ファリーナやファンジオなど絶対的ベテランがいる中で8戦6勝、まさにシーズンを完全掌握した自身初戴冠、そして親チームのアルファロメオの撤退のチャンスを弟分フェラーリがモノにし、フェラーリとしても初戴冠となりました。そして50年の時を経て、シューマッハが再びフェラーリに最強時代をもたらしました。00年から04年までの5年間、中でも最終年04年は全18戦で13勝を挙げて勝率72.2%を記録し、7回目の戴冠を締めくくりました。
一方で勝率下位をみてみると、82年の全16戦のうちわずか1勝でチャンピオンを獲得したパパベルグことK・ロズベルグの6.3%が最も低い結果となりました。今ではとても想像できない数値ですよね。K・ロズベルグが弱いチャンピオンということではなく、この年は実に多くの優勝者を生み、最多勝はルノーの若手プロストが挙げた2勝でした。しかしK・ロズベルグは地味ながら着実に表彰台を獲得し、優勝は第14戦のスイスGPまで待つこととなりました。F1でいち早くターボエンジンを搭載し、速いが信頼性に乏しいルノーがもたつく間にポイントを積み重ねた「底力」がK・ロズベルグにチャンピオンもたらしたわけです。K・ロズベルグと同様にシーズン1勝でチャンピオンをなし得たのが今から60年前となる58年のホーソーンです。この年の最多勝はクーパーで4勝を挙げた「無冠の帝王」モスでした。4勝のモスがいるにも関わらず、チャンピオンが第6戦フランスGPで1勝のみのホーソーンというのも不思議ですよね。こちらも82年に似ており、最多のモスは優勝以外、2位1回で他5戦でリタイヤとなりました。しかしホーソーンは2位5回、3位1回と表彰台登壇でポイントを積み重ねていたわけです。こちらも現代のポイント制ではなかなか通用する戦術ではありませんが「優勝はできなくてもリタイヤせず表彰台(入賞)を積み重ねる大切さ」を教えてくれるいい見本となりますね。
勝率の平均値は40.7%となっています。今シーズンは全21戦で行われますので、それに倣うとシーズン8.5勝は必要であるという計算になります。

《シーズン消化率》
今回の最後はチャンピオン決定時点の「シーズン消化率」になります。シーズン中のどの時点でチャンピオンを決定させたか。消化率が高ければいわゆる「消化試合がなく、シーズンをフルに使って戦った」ということになりますし、消化率が低ければ、チャンピオン決定が早く「消化試合が多い」ということを示します。平均値はグラフに波線でも入れた90.8%でした。
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我々観戦者が最終戦までハラハラドキドキできる「シーズン消化率100%」は70年中4割ちょっとの29年でした。それを多いとみるか少ないとみるかは皆さんのお考えや「F1に期待すること」によるかと思います。近年では16年のハミロズのチーム内対決、12年はベッテルVSアロンソ、08年はハミルトンとまさかのマッサ、07年は三つ巴などが記憶に新しいと思います。消化率100%は沢山あるので割愛し、早々に決めて消化試合が多かった「消化率の低い順」5選を抽出しました。

 1 64.7% M・シューマッハ 11戦目 / 全17戦(02)
 2 68.8% N・マンセル         11戦目 / 全16戦(92)
 3 70.0% J・クラーク            7戦目 / 全10戦(63)
    70.0% J・クラーク            7戦目 / 全10戦(65)
 5 72.7% J・スチュワート     8戦目 / 全11戦(69)
    72.7% J・スチュワート     8戦目 / 全11戦(71)

消化率最下位、つまりシーズン最短でチャンピオンが決まってしまったのはまだ記憶にも新しい02年のシューマッハ&フェラーリ最強時代のど真ん中です。全17戦において第11戦フランスGPで決めてしまいました。前にも書きましたが、フランスGPの決勝は夏休み前の7/21が決勝であったことを考えると、シーズン後半戦は何を楽しみにしていいか悩んでしまいますよね(笑)ちなみに最終戦日本GPは10/13でした。まだシーズンは 3ヶ月残っています。これを考えたら、秋までは続く近年のメルセデス天下が可愛らしくみえてしまいます。
ウィリアムズのマンセルによる2位の92年も同じく第11戦ハンガリーGPでの決定でした。こちらの決勝は夏休み明け初戦の8/16でした。miyabikunは当時小学生だっため、細かな記憶は定かではありませんが、02年よりはマシだった、かな?!とはいえ、マンセルの開幕5連勝を見せつけられた時点で、この年はマクラーレンではなく、間違いなくマンセルが来るだろうなというのは幼いながらも察しは付きました。

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ひとえにドライバーズチャンオンとはいっても、70年にもなれば実に様々なシーズンとチャンピオンへの道があります。まだバックデータが控えていますので、この続きはまた次回に。

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