今回のブラジルGPは2005年を取り上げます。2005年を振り返るのは8回目となりました。多いですね。何せ近年稀にみる「勢力図大変革」の年で面白かったですもんね。荒れに荒れて印象に強い年は必然的に振り返る頻度も上がります。このブラジルGPは全19戦中の第17戦に位置しており、これまでのシーズン序盤開催から2004年以降はシーズン終盤に移動してきたことで「チャンピオン決定の重要な舞台」を担うようになりました。
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チャンピオン争いは6回連続8回目のM・シューマッハはF1史上最低「ミシュランゲート」のあった第9戦アメリカGPの1勝に留まり、完全に脱落。代わってF1で4年目、24歳のアロンソが6勝でランキングトップ。F1で5年目、当時25歳のライコネンも同じく6勝ではあるものの、シーズン中盤までのノーポイントレースがたたりランキング2位の状態です。アロンソとライコネンのポイント差は25。このブラジルGPでアロンソが6ポイント、つまり3位表彰台を獲得すれば、ライコネンが優勝を含め残りでいかなる順位になろうとも到達しない得点域に達します。あの無敵シューマッハをようやく引きずり下ろして「最年少チャンピオン」が誕生します。仮に表彰台に乗れなくてもこの後に日本と中国の2戦を残していますので余裕です。
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またホンダエンジンを搭載するB・A・RはGP開始前の会見で、翌2006年は日本人唯一のドライバー佐藤琢磨に代わってバトンとフェラーリのバリチェロを起用することを発表。
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GP直後にBAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の株式を取得したホンダは2006年から純正ホンダワークスとして参戦が決まりました。日本としては純正ホンダになることも助けとなってどうにかならなかったのかなと悔しい気持ちになりますし、佐藤自身も無念さは語りますが「絶対に諦めないC」とどこか自信ありげな表情にも見てとれます。実は水面下で何かが動き出していたのかな?!
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前置きが長くなりましたが、前戦の結果によって出走順の決まる予選は後半になり復調をみせるマクラーレンのモントーヤが牽引しています。後に走ったルノーのフィジケラを抑えて、次はチャンピオン決定がかかるアロンソの番。
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モントーヤ超えに成功、前戦ベルギーGP優勝のライコネンの走りを待ちます。
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ターン1進入のブレーキングで左フロントをロックさせ、計測開始2秒でライコネンの予選は終わりました。ここのブレーキングは難しい。4位に沈み、軽タンクのアロンソは脅威のマクラーレンを従えて安全圏内に身を置きます。佐藤はベルギーGPで接触したM・シューマッハに頭を引っ叩かれるアクシデントのペナルティを受け、20人中19番手。でも諦めないC。

《予選結果》
   1 F・アロンソ    (ルノー・R・MI)
   2 J・P・モントーヤ(マクラーレン・M・MI)
   3 G・フィジケラ   (ルノー・R・MI)
   ※MIはミシュラン

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上位は順調にスタートを切っていきますが、中団の1台の向きがおかしいです。レッドブルのクルサード、ウィリアムズの2台ウェバーとピッツォニアの3台が絡むアクシデントが発生。処理のため早々の2周目にセーフティカーが入ります。
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JM「再開はローリングスタートね。俺様に持ってこいだ。アロンソなど簡単にぶち抜いてやるよ」
 3周目にレースが再開されます。アメリカ仕込みのモントーヤがアロンソの動きをしかと観察。マクラーレンから離れたくて逃げていくはず。
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ターン1でアウトラインに出たアロンソは「エス・ド・セナ」へ苦しい角度で進入することに。
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JM「しめた!やはり焦ったか。まだまだ青いのう」
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バックストレート「レタ・オポスタ」でインに並ぶモントーヤは簡単に仕留めてトップへ。アロンソの背後には早くも最大のライバルである4番手スタートのライコネンがつけています。
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FA「大丈夫、マクラーレンと争ってはいるけど、今は争わない。欲しいのは3位。仮に4位でもこの後に日本と中国が控えている」

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軽タンクでポールを獲りにきたアロンソは22周目に22周分のガソリンを積んで堅実な2ピットストップが確定します。暫定6位で復帰。モントーヤは28周目にピットインして暫定2位へ。
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暫定トップとなったライコネンはこうなれば十八番のファステストラップで目の前にいないモントーヤとのギャップを詰めにいく。アロンソのような余裕は一切無し。優勝するしか首の皮を繋ぎ止める方法は無い。ライコネンっていつもこういう立場ですよね。
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31周目まで引っ張り、復帰するとモントーヤの後ろ。逆転はならず。

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44周目にB・A・Rのバトンにフェラーリのバリチェロが移籍発表直後初のコンタクト。来年はよろしくと地元のバリチェロがエス・ド・セナでのパッシングにてご挨拶。

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ライコネンは残り12周で2回目ピットを終えてデジャヴのようにまたまたモントーヤの後ろ。アロンソが3位に居座る以上、ライコネンに1位を譲る必要も無し。マクラーレンは今更ながら「シーズン初」のワンツー体制で気持ちを切り替え、コンストラクターズチャンピオンを目指すのみ、というわけです。
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《決勝結果》
   1 J・P・モントーヤ(マクラーレン・M・MI)
   2 K・ライコネン  (マクラーレン・M・MI)
   3 F・アロンソ    (ルノー・R・MI)

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パルクフェルメに戻ると、有名な雄叫びシーン。
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MS「あらいっぱい叫んでスッキリしちゃったのボクちゃん」
FA「ニヒ」
あたかも恋人かのような距離感で祝福するM・シューマッハ。6年連続8回チャンピオンの阻止に成功したのは、一年の浪人の経験もしたスペイン人初となるアロンソでした。シーズン2戦残しのチャンピオン獲得です。さらには1972年にブラジル人として初のチャンピオンを獲得したE・フィッティパルディの最年少25歳を33年振りに更新する快挙を成し遂げたことになります。
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FA「いつも支えてくれたのは3、4人」
えーそんな卑屈にならなくても。そんなことぁ無いだろ(笑)スペイン国王からも電話で祝福されたし、そんなこと言うとチームスタッフを敵に回すことになるぞ。 3、4人のうち一番の味方になったのはF・ブリアトーレでしょう。アロンソにとってはこの方の存在はとてもとても大きかった。
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兎にも角にも、よくぞ「紅い壁」を突破してくれました。2005年はほとんどトップで映されることがなかったフェラーリ。これがなければ、いつまで続いたことやら。。
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