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ティレルを駆る中嶋悟がバンクを有する最終コーナー「ペラルターダ」をターンしていきます。この区間は現在改良されており、スタジアムセクションに隠れつつもいまだに面影を残しています。前年1989年の5月末開催からこの年は6月末にズレて雨もチラつく1990年第6戦メキシコGPです。
GPエントリーは現代では想像もつかない35人に及びました。決勝は26台しか出走できないため、予選の前に「予選に出るための予選」である「予備予選」を設けて段階的にふるいにかけ、落とされます。
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先日の「ホンダネタ」の際にチラッと話題に出したスバル製エンジンF1マシン、コローニのB・ガショーは健闘虚しく予備予選で敗退。3.5ℓの排気量をスバルお得意の水平対向12気筒で仕立て上げるも、結局開幕戦から第8戦イギリスGPまで一度も予備予選を通過することなくエンジンサプライヤーから撤退しています。

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予選はセナでもプロストでもなく、マクラーレンのベルガーが好調でした。セナは3番手に落ち着きますが、フェラーリは高地メキシコの出力不足で絶不調でした。マンセルが4番手
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プロストに至っては13番手に沈みました。2人してこの表情。他、日本勢はティレルの中嶋悟が9番手、ローラの鈴木亜久里はヒヤヒヤものの予選通過を経て19番手となりました。

《予選結果》
   1 G・ベルガー (マクラーレン・H・GY)
   2 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)
   3 A・セナ   (マクラーレン・H・GY)
   ※GYはグッドイヤー

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スタートは2番手パトレーゼの蹴り出しがよくグングン加速し、長いストレートを活かしてベルガーを簡単に料理していきます。
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ただ早くも2周目にマクラーレン包囲網がパトレーゼのテールをしっかり捉えて、まずはセナからパトレーゼをかわして前に。一方4番手のマンセルは7位まで降格しています。フェラーリは完全に蚊帳の外。

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スタートで接触して順位を下げた中嶋は11周目に鈴木と接触。貴重な日本人ドライバー2人が同時にリタイヤするというほろ苦い内容のレース序盤となりました。
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レース中盤になると、じわりじわりとフェラーリ2台が復調をみせ、タイヤチョイスに失敗したパトレーゼに襲いかかります。
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69周レースの23周時点はセナ、ベネトンのピケ、ウィリアムズのブーツェン、マンセル、パトレーゼ、プロスト、7位にベネトンのナニーニというラインナップ。

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ポールスタートのパトレーゼは著しくペースが悪く、マクラーレンに抜かれ、マンセルに抜かれてようやくタイヤ交換の決断が下りました。パトレーゼ同様にスタートからペースがよくないベルガーもタイヤ交換のためさらに順位こそ落としていますが、外側と内側で異なるコンパウンドで調整したことで安定したペースに戻りました。さすがに現代のレギュレーションでは採れないチョイスではありますが、いつの時代もタイヤ選びってとても重要です。

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2周目からトップを走り、タイヤ交換を引き延ばすセナですが、こちらもタイヤについて不具合を訴えるも、R・デニスの指示は「走り続けろ」でした。背後には予選よりもハイペースで走るマンセルとプロストが迫っています。
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追われるセナ、追うフェラーリ2台。
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まずプロストからセナ狩り開始。ストレート出口までに確実に仕留める。13番手スタートから一躍トップです。
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プロストと同じ場所でマンセルも当然狙う。
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「あはは、ザマないぜ」
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フェラーリに抜かれると63周目にセナのタイヤはとうとう限界を迎えます。右リヤタイヤがバースト。どうにかピットまでは戻り、タイヤを交換したにも関わらずセナはマシンを降りてしまいました。序盤から逃げ切りと思われた優勝候補はみるも無残なリタイヤを自ら選択します。
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GB「ならば私がマクラーレンの面目を保つ!」
タイヤバランスがマッチして息を吹き返したベルガーはマンセルだけでもとタイヤを犠牲にインから敵討ち。
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NM「今日はオタクらの出番はないよ」
マンセルは冷静にベルガーをアウトからたしなめる。今日はフェラーリの日。予選順位はポイント争いに関係ない、とにかく決勝で勝ちゃあいいんだ。
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《決勝結果》
   1 A・プロスト(フェラーリ・F・GY)
   2 N・マンセル(フェラーリ・F・GY)
   3 G・ベルガー(マクラーレン・H・GY)

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予選13番手も何のその。スタートでも無理をせず淡々とペースを上げ、前のタイヤがヨレヨレになる頃をチャンスとみて追い込む。プロストらしい勝ち方でした。第2戦ブラジルGPに続く2勝を挙げ、その後のフランスとイギリスと3連勝でチャンピオン防衛に向かっていきます。結果的にはセナとの第15戦日本GP「第1コーナーの接触」のあっけない幕切れでチャンピオンが決定してしまうわけですが、大事なことなのでもう一度言います。チャンピオンを狙うのなら「決勝で勝ちゃあいい」これがF1を4回制したプロストを体現するキーワード。

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