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怪我からいよいよ戻ってきた。この年のこの男の役割は「ナンバー2としてチームとチームメイトを支えること」珍しく裏方に徹します。初開催で復帰初レース。チャンピオン争いも佳境を迎えた1999年第15戦マレーシアGPです。
チャンピオン争いは二連覇を図るマクラーレンのハッキネンが3勝の62ポイント、2位はM・シューマッハに代わってフェラーリのエースを仰せつかったアーバインが同じく3勝の60ポイントで続きます。この2ポイント差、残り2戦のタイミングでハッキネンにとって訃報といえる「厄介なナンバー2」がリハビリを兼ねての復帰です。今シーズンのイギリスGP前に振り返った第8戦イギリスGPで不可解なトラブルで戦線離脱して3ヶ月。シューマッハの立ち位置と走りがキーポイントになります。

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ドライバー全員にとって初開催のセパンサーキットの初ポールシッターとなったのはシューマッハでした。2番手アーバインからは0.9秒、4番手ハッキネンからは1.2秒も引き離して、怪我の影響も何のその。
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ガレージでタイムを待つアーバイン、順位は負けてもご満悦な表情。心強い。一方でハッキネンをサポートすべきチームメイトのクルサードは3番手となり、シューマッハ同様にどう立ち振る舞うか注目されます。日本で唯一の参戦となるアロウズ高木虎之介は最後尾の22番手スタート。母国GPを前に苦しい位置。

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《予選結果》
   1 M・シューマッハ(フェラーリ・F)
   2 E・アーバイン    (フェラーリ・F)
   3 D・クルサード   (マクラーレン・M)
   ※タイヤはブリヂストンのワンメイク

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決勝レースのスタート!新設サーキットは幅員に余裕があり、各車ワイドに広がっていきます。マクラーレン2台に付け入る隙はありません。
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4周目にシューマッハはアーバインにトップを譲り「壁シフト」開始です。いつもとは違う立場、レース前の宣言通り、アーバインとチームのための走りに徹していきます。
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まだハッキネンからもトップのアーバインまで目と鼻の先ではありますが、壁の存在がもどかしい。
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3位でこちらもサポートを命ぜられるクルサードがシューマッハの壁を貫き、2位に浮上しています。これでハッキネンの直前に壁が近付いてきました。早いうちにこの壁を打ち砕かないと、アーバインはみるみるうちに離れていく。
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15周目にクルサードがスローダウンしリタイヤ。クルサードは前年98年と同様に、肝心な時に全く役に立たない。ハッキネンはやはり自力で防衛するしかない。
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トップのアーバインは25周目に1回目のピットを済ませて、ハッキネンと好調ハーバートの後ろとなる余裕の4番手復帰。レースはスチュワートのハーバートを絡めた4台で進行していきます。

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47周目に2回目のピットのタイミングでハーバートに前を許してしまいます。アーバインはシューマッハのサポートがあるから順位はどうにでもなる。ハッキネンは4位ではダメ、自力で3位は死守して最終戦の日本GPに備えたい。何とか53周目に攻略して3位を確実なものとします。これが今回やれる精一杯です。
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一方で2回目のピットを済ませて順位が入れ替わっていたシューマッハはアーバインを再び譲り、トップに返り咲き。アーバインにとっては絵に描いたような理想的なレース運びとなりました。
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アーバインは笑いが止まらない。
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《決勝結果》
   1 E・アーバイン     (フェラーリ・F)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F)
   3 M・ハッキネン   (マクラーレン・M)

この結果、ポイント上でアーバインはハッキネンを4ポイント逆転し、日本GPを迎えるはずでしたが、レース後にパドックがザワつきます。何とフェラーリ2台のディフレクター(バージボード)が規定に違反しているとし、失格。ハッキネンが繰り上げ優勝でチャンピオンとなる発表がされました。
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フェラーリは当然質問責めを受け、ロス・ブラウン自らディフレクターに金尺を当てて説明
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FIAに控訴します。
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結果的にマレーシアGPの順位は正当なものとされ、失格とハッキネンの繰り上げチャンピオンは撤回。4ポイント差のまま最終戦の日本GPに入ることとなりました。最近はこのような抗議や緊迫したチャンピオン争いもみられなくなったF1。ドライバーもスタッフもファンも緊張が走るヒヤヒヤなレースと裁定が懐かしいですね。

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