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やっぱりのどかー。この頃はまだF1にレッドなブルがいなかった頃。こちらはホワイトカウって感じですね。今回は現レイアウトでの開催2回目、1998年のオーストリアGPを取り上げます。

今年のオーストリアGPはまだまだ前半戦の第9戦に設定されていますが、この年は全16戦中の第10戦にあたり、後半戦に入っています。ここまでマクラーレンのハッキネンとクルサードの2人で5勝、そのうちハッキネンが4勝。一方で最大のライバルであるフェラーリはM・シューマッハ一人で4勝を挙げ、がっぷり四つの状態で進行しています。ただし流れは至近レースで3連勝中のシューマッハにあり、ハッキネンとしてはこのヨーロッパラウンド中盤を乗り切れるか否かが初チャンピオン獲得のカギとなっています。

予選は濡れた路面で始まり、ドライ方向に向かうという番狂わせの様相。走る度にコンディションがよくなるため、いかに「時間いっぱいギリギリでタイムアタックできるか」にかかっています。
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大穴登場!ポールをもぎ取ったのは参戦3年目、35戦目となるベネトンのフィジケラが初獲得。希少なイタリア人の久々の快挙でした。2番手はそのフィジケラにベネトンを明け渡してザウバーで戦う不運のベテラン、アレジ。ポール屋さんになりつつあるハッキネンは3番手に止まり、4番手のシューマッハと共にセカンドロウに並んでいます。日本人はティレルの高木虎之介が20番手、ミナルディから出走する中野信治が21番手で「予選落ち屋さん」ロセットの前はしっかり確保。

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《予選結果》
   1 G・フィジケラ(ベネトン・PR・BS)
   2 J・アレジ        (ザウバー・F・GY)
   3 M・ハッキネン(マクラーレン・M・BS)
   ※BSはブリヂストン、GYはグッドイヤー
     PRはプレイライフ(ルノーカスタム)

ココのスタートは登り坂の「高速椅子取り合戦」ですからね。
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3番手のハッキネンがターン1までに定位置を獲得、メルセデスエンジン+ブリヂストンの組み合わせは他とは蹴り出しが違う。4番手シューマッハもアレジまでは捕まえて、ハッキネンを易々と逃すわけにはいかない。
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ほら、ターン1は気を付けなきゃ!先頭集団ではなく、最後尾集団が散らかっています。
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中嶋師匠からPIAAを継承した高木がターン1で止まり切れず、前後が反転してリヤウィングを無くしています。決勝でコーナーを一つも曲がらず終了。実は中野もそのとばっちりを受けてしまっています。日本人同士のニアミス。
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1周目はこれで終わらない。続くレムズで「黒カラス」アロウズのサロとディニスがやらかした。
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そしてこの日は何故か黒銀のクルサードもこんなところにいてとばっちりを食らいました。クルサードは雨の予選に大失敗して14番手スタートでした。いつもの3,4番手とは勝手が異なります。2箇所でやらかせば当然コレの出番。
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クルサードは高木のケースと異なり、交換可能なフロントウィングのため、セーフティカー発動のタイミングを活かしてピットイン、楽々な最後尾に喜んで戻っていきます。

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せっかく逃げ逃げハッキネンの思惑は外れ、上昇気流に乗る紅のライバルが真後ろに迫ってきました。レムズで仕掛ける!
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ハッキネンはツボをつくライン採りでしのぎ、シューマッハの攻撃失敗。一度フィジケラを前にやり過ごします。
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初ポールごめんね、フィジケラを簡単にさばき、軽タンクで2ピット戦略のシューマッハはファステストラップを記録しつつ、再びターゲットをロックオン!
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今度はインからか?!ハッキネンは意地でも譲らない。ターン9でアンダーステアとなったシューマッハは、外側縁石を越え、
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うわ!
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フロントウィングをグラベルで粉砕して、傷を負ったまま1周分を乗り切らなければならないという試練が降りかかる。
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シューマッハも良かれと思って攻めた結果、ほぼビリの16位。

あさっての位置を走る先頭はさておき、シューマッハが消えて熾烈になるのは表彰台争奪戦。ヤングイタリアンVS輝き切れないベテラン。
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21周目のレムズ。
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インのフィジケラがガッつき、アウトのアレジは行く手を閉める。
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アレジはクルンと向きを変え、フィジケラはフロントサスペンションを折損して終了。フィジケラは勢いで行ってしまった。若いドライバーはどうしても前に出たいのです。こうやってベテランが諭して若手が洗練されていくものですね。

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初っ端のもらい事故により最後尾を強いられたクルサードは30周目にファステストラップを刻みながら実は2位まで浮上しています。この年のマクラーレンは本当に速い。もらい事故、もっと言えば決勝前日の予選から悔やまれますね。

こちらも最後尾を味わったシューマッハも54周目には5位まで浮上し、前はライバルチームの実弟R・シューマッハに遭遇します。
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抵抗はしないよねー。ボスも怒らないであろう(笑)
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最終盤67周目に3位走行中のチームメイト、アーバインもレムズ手前で進路を開けています。これはあくまでアーバインの「マシントラブル」とのこと。アヤシイ。。シューマッハはこのオーストリアGP前にフェラーリとの契約延長を発表していますが、これがあったからかどうか、アーバインもレース後にフェラーリとの契約延長にこぎつけています。

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《決勝結果》
   1 M・ハッキネン    (マクラーレン・M・BS)
   2 D・クルサード    (マクラーレン・M・BS)
   3 M・シューマッハ(フェラーリ・F・GY)

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先頭を走っている人を全く触れていませんでしたね(最近もこんなセリフ言った記憶が)スタートダッシュをしっかり決めて、後方での接触などつゆ知らず、ハッキネンがシューマッハの4連勝を食い止めました。いつの時代も後ろが見えないくらいぶっちぎっちゃうレース、あるものでした。数日後に控える2019年のオーストリアGP、今回こそはこうはならないレース運びだといいですね。

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