1991年シーズンは開幕から4戦を終えてマクラーレン・ホンダの4連続ポールポジションからの4連勝と、非常に偏りのある内容となっています。ただし一時代を築いた頃に比べると、不安要素がないわけでもなく、何より「新たな勢力」がちらほらし出します。今から28年前となる91年を振り返ること5戦目、第5戦カナダGPです。
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今週末行われるカナダGPの舞台と同じモントリオールにあるジル・ヴィルヌーブサーキットには違いありませんが、実は少しだけレイアウトは異なります。ターン6、7のシケインが今より奥に位置し、画像にある終盤のストレートも一部屈曲していました(レイアウトは2017年「カナダGPの歴史と地理」で触れていますので参照下さい)

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先日特集を組んだ「開幕連続ポールポジション記録」の個人編としてはこの89年にセナが記録した6戦連続というものがあります(この後93年にウィリアムズのプロストが7回連続で更新)自身の記録を塗り替えるべく、このレースでは5戦連続獲得の期待がかかりますが、どうもこのカナダは振るいません。ウィリアムズのマンセルのみならず、フェラーリの若手アレジにまで先行を許しています。セナの連続記録に待ったをかけるのは上昇気流に乗ったマンセルかなと思いきや、予選2回目でそれを上回ったのは「ホワイト6」のパトレーゼでした。
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これまで第2戦ブラジルGPの2位1回のみとランキングトップのセナよりだいぶ見劣りはあるものの、まだまだシーズン序盤ですから、臆することなくチャンピオンを狙う権利はパトレーゼも持っています。また、日本人ドライバーの2人。ティレル・ホンダの中嶋悟は12番手、ラルースの鈴木亜久里は22番手で終えています。

《予選結果》
   1 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)
   2 N・マンセル   (ウィリアムズ・R・GY)
   3 A・セナ          (マクラーレン・H・GY)
   ※GYはグッドイヤータイヤ

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お、レースクイーンだ。今は見かけなくなった貴重な風景です。予備予選までやって振るいにかけられて残った26人分の傘が連ねて入場してきます。今スターティンググリッドに就くのは20人ですからとても多く見えますね。
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揉みくちゃに絡まりがちなスタートでは肝心なパトレーゼがいとも簡単に2番手マンセルにトップを差し出しています。それじゃあダメだよ!華がないなぁ。。マンセルはライバルとの間にその「信頼できる」従順な相方を挟んで着実に逃げ態勢を作っていきます。
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スタートだけで終わらないのがカナダGPの面白いところ(笑)パンピーでスリッピー、燃費にも厳しいし、壁も近いし、ストレートも長い。平穏に終わる年がありません。レース開始直後の4周目に鈴木亜久里が燃えています。
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「あーいいや、消火器貸して!」
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自ら消火にあたります。大切なマシンですからね、被害は最小限に食い止めましょう。見ての通りリタイヤです。今回は「燃料系」
ではもう1人の日本人はどうか。
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カナダ名物の「ミニ四駆走り」に陥る。一応ピットインして状況確認。ウォールに跳ね返されていたけど、どうやら平気らしい。結果的に10位完走でした。
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荒れるカナダはじわりじわりと猛威を振るう。ベルガーがエンジン不調で早々とリタイヤすると、
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25周目にセナがお手上げ。ピットを真横に帰還できず。まずはマクラーレンが序盤で店じまい。
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続いては順位を若手アレジと入れ替えた後も、セミオートマトランスミッションの不調でズルズル遅れるプロストがカーナンバーと同じ27周目に止まる。
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さらにはアレジもお手上げ。マシンからは白煙が上がっています。これでフェラーリも終了。ひどい、、健全なのは独走態勢のウィリアムズだけ?!
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いやいやそんな事はない。カナダはそんなに甘くない。せっかくを2番手に甘んじる「元祖2番手」は周回遅れの処理にミスって右リヤをパンクさせています。全く要らぬピットイン。
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そのチャンスを落とすはずはないと、ライバルのミスをしっかりモノにするのがチャンピオン経験者。周りが勝手に潰れて、労せず2位浮上。ここまででだいぶ動きがあったので45周目に一度順位を整理します。
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トップは後ろの出来事なんぞ全く知らないマンセル、2位がオンナとレースを口説く術を知るピケ、3位はなな何と中嶋悟の相方モデナ、4位が「偽フェラーリ」ダラーラのレート、5位でようやく「2番手」パトレーゼというオーダーです。マクラーレンとフェラーリが消えると、普段は見ない化学反応が起きますね。こういう日がないと、面白くない。

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マンセルは追い付いてきたパトレーゼを先にやっています。大丈夫、今日のマンセルからしたらラップダウンだし痛くもかゆくもありません。
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ところが1番手にせっかくチャンスを戴き3位走行の「2番手」は格下のカーナンバー4に突かれ始める(このイジリ方は訳わからなくなりますな(笑))
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何もマクラーレンばかりではない、ティレルだってホンダ。やる時はやる!
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「くそ!Youはもういい!ナイジェルに託す!」
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65周目にファステストラップを記録したマンセルはファイナルラップのヘヤピンで全く加速しなくなり、ステアリングを叩いて悔しがる。スタートから完全試合で突き進むマンセルまでもがまさかマシントラブルに見舞われとは。
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ちーん。

《決勝結果》
   1 N・ピケ           (ベネトン・Fo・PI)
   2 S・モデナ       (ティレル・H・PI)
   3 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)
   ※Foはフォードエンジン、PIはピレリタイヤ

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マンセルはチェッカーフラッグを受けられずもレースのほぼ99.3%近く走行して6位入賞扱いになりました。あれだけの盤石逃げ切り態勢でたったの1ポイントに終わるとは、、。本当にレースは「チェッカーフラッグを受けるまで」何があるかわかりません。ちなみにピケがトップに立ったのは69周のうちのたった半周弱、最後の半周弱を獲ったので紛れもない優勝です。そして四天王の一角を担った三回王者のこれが最後を締めくくる23勝目でした。
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このレースのエントリーは34台。予備予選で4台、予選で4台ふるい落として、決勝レース出走は26台。相次ぐトラブルで16台がリタイヤ、10台完走という劇的な内容でした。これくらい荒れてくれるなら、大幅時差カナダも心して挑めるのですがー。

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