ウィリアムズは歴代で紺や白をまとうことが多くありました。昨シーズンもそうでしたね。ただ今回のウィリアムズは違う、なんと赤!それもカーナンバー1を引っ提げた「異端車」1998年のウィリアムズFW20に注目してみます。
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《設計》
パトリック・ヘッド
ギャビン・フィッシャー
ジェフ・ウィリス

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《外見》
キヤノンやロスマンズなど、この頃のウィリアムズで見られた紺や白、黄色といった慣れ親しんだ配色を脱し、赤ベースに変貌を遂げました。これは同じタバコはタバコでもPRする銘柄をウィンフィールドに切り替えたためです。見た目からして思い切ってきました。マシンコンセプトはダブルチャンピオンを獲得した前年1997年のFW19の発展型なのですが、一見するとどこのチームだかもわからなくなるほどの変貌っぷり。
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この1998年から「全幅を2,000mmから1,800mmに狭める」レギュレーションに変更。いわゆるナローサイズ化したため、大規模な変更を伴いました。ウィリアムズの最強マシンを作り上げてきたエイドリアン・ニューウェイは1996年以降マクラーレンに移籍し、1997年のFW19はその恩恵もあってチャンピオンを防衛できました。しかしこの時のレギュレーション変更には当初から対応できません。それならばニューウェイの下にいたフィッシャーとウィリスに知恵を絞ってもらうしかなくなりました。エンジンは変わらず、マシンの幅が狭くなるということは、失われたマシン容積、ダウンフォースを補ってあげないと、マシンとしては退化を意味します。ライバルチームは当初から「前後方向」にゆとりを持たせた設計に変更する中、FW20のベースは先程書いたようにニューウェイの余韻が残るFW19でしたのでその対応を充分に行わない道を選びました。それが後々このマシンの戦績を多く左右しています。

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《シャシー》
全長:4,392mm
全幅:1,800mm
全高: - mm
最低車体重量:605kg
燃料タンク容量:− ℓ
ホイール:OZ
サスペンション:フロント プッシュロッド
                                 リヤ    プッシュロッド
タイヤ:グッドイヤー

《エンジン》
メカクロームGC37-01 V10(ルノーRS9Bカスタム)
V型10気筒・バンク角71度
排気量:3,000cc(推定)
最高回転数: - rpm(非公表)
最大馬力: - 馬力(非公表)
スパークプラグ:チャンピオン
燃料・潤滑油:ペトロブラス・カストロール

前年まで長きに渡りコンビを組んだルノーが1997年シーズンをもってF1へのエンジン供給を終了。新たにBMWと契約する予定だったところ、それが失敗。前年搭載したチャンピオンエンジンであるルノーRS9Bに小改良を加えた「メカクローム」なるエンジン使用を強いられました。チャンピオンエンジンとはいえ、F1のトップ争いには「一年遅れ」は正直この上ない痛手です。こちらもまた結果的に戦績に影響を与えた一因でした。ちなみに肝心なBMWエンジンは3年後となる2000年シーズンまで待ちわびることとなります。

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《ドライバー》
No.1 ジャック・ヴィルヌーブ(全戦)
No.2 ハインツ・ハラルド・フレンツェン(全戦)
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《戦績》
38ポイント コンストラクター3位
(3位3回、4位3回、5位7回、6位3回ほか)
ポールポジション0回

ドライバーは劇的な内容で参戦2年目のチャンピオンに輝くJ・ヴィルヌーブとその相方フレンツェンで引き続き臨んでいます。マシンの色は大きく変わりましたが、要はドライバーもエンジンも変わっていない「チャンピオンチーム」というわけです。
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開幕戦オーストラリアGPはテストから好調だったマクラーレンがライバルをあざ笑うかのようなぶっ飛んだ速さを見せつけたことにより完敗。フレンツェンは周回遅れの3位、ヴィルヌーブ5位と辛い滑り出しとなります。まあまあ、開幕戦だし何やらマクラーレンは怪しいデバイスがあったようですから様子見か。続く第2戦ブラジルGPは怪しげ「ブレーキステアリングシステム」を外したマクラーレンにまたもやフレンツェンは周回遅れの5位、ヴィルヌーブに至っては7位の入賞圏外に追いやられる屈辱を味わいます。これは決してたまたまではない、チャンピオンチームがやっちまった「マジなやつ」だということが露呈されました。
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失速の原因はまずエンジンの発展途上にあります。長らくF1界を席巻してきたルノーエンジンも一年前のモデルでは力をつけてきたメルセデスはおろかフェラーリも追いつき追い越していきます。またニューウェイを欠き、再設計を必要とされた時に「必要とすること」が施せなかったことも大きくのしかかります。ニューウェイが設計したロングホイールベースのマクラーレンに遅れること7戦、カナダGPでようやくホイールベースを延長対応するなど、いずれも後手後手に回りました。シーズン後半の第11戦ドイツGP、第12戦ハンガリーGPでヴィルヌーブによる連続3位表彰台では時既に遅し。結局チャンピオンチームは一度もポールポジションや優勝することもなく、ヴィルヌーブの腕一本ではとても埋め合わせに至りませんでした。
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近年ウィリアムズは低迷の一途を辿っています。途中、復調の兆しはみせるものの、名門の低迷はここから始まりました。チャンピオンを取り逃がしてから今年で22年目に入ろうとしています。今シーズンはベテランのクビカが奇跡の現役復帰します。まずは最下位という不名誉な位置から脱することが目的になるでしょうか。

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