これはいつものちゃんとしたレースの振り返りです(笑)
今回は最初の最終戦となった2009年のアブダビGPを振り返ります。この年も数回振り返ってきましたが、あの奇跡の「ブラウンフィーバー」により前戦ブラジルGPまでにドライバーズ、コンストラクターズ共にチャンピオンは決定しています。今シーズンと同じまったりモードです。ヘルマン・ティルケの監修で作られたこのGPは初の「トワイライトスタート」のレースという以外にも「ココならでは」の要素がいくつか含まれています。まずは何といっても目をひくコレ
IMG_6046
ピットアウトレーンと本線の立体交差。インレーンは本線からアウト側に分岐して、アウトレーンは本線のイン側から合流する珍しい形態を採ります。文にするとアウトとインがごっちゃになっちゃいますね。この設計にはちゃんと意味があって、どうやら島を分離している運河(水路)があるため、本線のアウト側の用地を確保できずアンダーパスにしたそうです。ただ金があるからとかカッコよさせそうとかではないんですね。それも単に潜るだけではなく、中でキツいSカーブをなしているので、意外と危険。しっかり下見して路面のグリップや幅員を確かめておきましょう。
IMG_6047
IMG_6107
あと画像では少し見辛いですが、遠心力を緩和できるようコーナー外側はバンク(カント)を付けて高くなるように設計するのが一般的ですが、このサーキットはコーナー外側が低い、いわゆる「逆バンク」が各所にあります。考慮しないとアンダーステアみたいにはらんでしまうことにも注意が必要です。

IMG_6048
2戦前の日本GPで負傷したトヨタのグロックに代わり、アブダビGPでも走ることになった小林可夢偉。フリー走行では三番時計を記録するなど、日本のドライバーが日本のコンストラクターで期待できる位置につけています。

IMG_6050
初アブダビでの初ポールを獲得したのはシーズン2勝を挙げた前チャンピオンのハミルトンでした。また惜しくも最年少チャンピオン獲得ならなかったレッドブルのベッテルはKERS無しでハミルトンの0.66秒落ちの2番手に並びます。一方でチャンピオンを決めたバトンはマシンがキマらず5番手に沈み、期待の小林は12番手、ウィリアムズの中嶋一貴はまあまあ14番手に終わっています。
FullSizeRender

《予選結果》
   1 L・ハミルトン     (マクラーレン・M)
   2 S・ベッテル        (レッドブル・R)
   3 M・ウェバー       (レッドブル・R)
   ※タイヤはブリヂストンのワンメイク


「いいの、いいの。もうチャンピオンを獲得したから5番手スタートでも」
IMG_6052
できれば最終戦もビシッと勝って欲しかったんですが、後半戦は尻すぼみで保守的な走りに徹したバトンです。
IMG_6053
スタートハミルトンらしい弾丸スタートが決まってベッテルの得意な至近戦を避けていきます。中団では1ピットストップを採るであろう小林がヘロヘロなフェラーリのライコネンをかわして11番手に浮上しました。
IMG_6054

スタートの順位のまま5番手でのらりくらりのバトンに対して無線でゲキが飛びます。
IMG_6059
バトンは小林より1回多い2ピットストップなので1回分のロスタイムをトラックで築かなければなりません。しっかりペース上げてくれよ、チャンプ!

17周目に1回目のタイヤ交換と給油を終えてピットアウトするバトン。小林とはかなり際どいタイミングですよ!
IMG_6062
まだ来ていないと思いきや
IMG_6063
実はもう真後ろに来ている!ココはピットアウト側も本線側とも、ドライバーはライバルのことを急に視認する必要があるスリルもあります。
IMG_6065
ニュータイヤとはいえまだ温まり切っていないチャンピオンに2戦目の若手が食らいつく。同一ラップなのでバトンも文句は言えません。
IMG_6067
共にKERS無しのストレート勝負か?!ブレーキを頑張り過ぎたチャンピオンはやはりタイヤの準備が整わっていなかった。
IMG_6069
コーナー出口は小林に軍配。これで共にあと1回ずつのピットストップに並びました。

IMG_6070
トップから快走逃げかと思われたハミルトンは序盤にオーバーランしてブレーキに問題を抱えていることが明らかになっています。イマイチ逃げきれていません。無線から嫌な予感しかしないインフォメーションが流れる。
IMG_6071
ハミルトンよりスタートガソリンを多めに、2周分引っ張ったベッテルは攻めに攻められないハミルトンをオーバーカットすることに成功。
IMG_6072
ハミルトンはピットに引き戻されることになり、記念すべきアブダビGP初ウィナーは叶いませんでした。
IMG_6074

IMG_6079
バトンを蹴散らした小林はガソリンも軽くなりファステストラップで唯一のピットストップに向けて準備万端。30周目に事を終えます。
IMG_6081
次に頑張らなければならないのはバトンの方。まだまだ無線から小林対策の指示が続きます。
IMG_6082

中盤に入り、小林はまだピットストップしていないルノーのアロンソにお尻を突かれる状況になりました。こちらも同一周回であり、かつアロンソはこれからピットインしなければならないわけで、あまり構う必要もありません。
IMG_6084
面倒臭そうなので小林は大きめにラインを外して、ちょっとロス。そのロスが結果的にはバトンにかわされる一因となってしまいました。ラップダウンではないのに、抜かれ方も上手くやらないと結果的に痛手に繋がってしまいます。これも勉強。

IMG_6088
小林のミスに助けられたバトンは終盤に2番手をシレッと走るウェバーを捕まえます。できれば優勝してシーズンを〆たかったけど、2位でいっか。
IMG_6091
そう簡単にはいかず、これがなかなかしぶとい。スリップストリームを使っても、レッドブルの真後ろに入ると安定しません。さすが空気を巧みに扱うレッドブル車です。結局バトンストーリーもここまで、来シーズンの飛躍を予感させるレッドブルのワンツーフィニッシュで初アブダビGPは終結しています。
IMG_6096

《決勝結果》
   1 S・ベッテル   (レッドブル・R)
   2 M・ウェバー  (レッドブル・R)
   3 J・バトン       (ブラウンGP・M)


IMG_6097
結局小林は6位入賞で終えて代走ながら存在感をしっかり残せるレースとなりました。相方トゥルーリも7位に入り、ダブル入賞の喜びを分かち合うトヨタの面々。
FullSizeRender
IMG_6249
ただこのレースを終えた4日後に急遽会見を開き、F1から撤退する事を発表。これが現在においての純日本コンストラクターの最終レースです。またこの他にもBMWもF1ラストレース、F1のレース中給油のラストレースと、F1史において様々な意味でターニングポイントとなっています。