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ファンにサインをして回るM・シューマッハ。振り返るは1998年の第15戦に設定されたルクセンブルクGPです。このシーズンの天下分け目として特筆されるレースの一つと言われていますよね。ルクセンブルクという名前でもココはドイツのニュルブルクリンク。地元でリラックスした表情をしています。チャンピオン争いも佳境に入り、シーズン序盤は圧倒的な速さを見せてきたマクラーレンは初夏にポイントを稼げず徐々にアドバンテージを減らしてこのレースまでにハッキネンとシューマッハは共に6勝80ポイントで並んでいます。3回目となるチャンピオンチャレンジもリラックスした様子のシューマッハに対して、こちらは初チャレンジ。
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似合わないサングラスをかけてピリついています。

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予選はシューマッハがポールポジション、アーバインが2番手とフェラーリがフロントロウをガッチリと抑え込むことに成功。方やマクラーレンはハッキネン3番手、クルサードはベネトンの若手フィジケラにまで先行される5番手となり、ハッキネンとしてもコンストラクターズを考えてもマクラーレンに薄っすら黄色信号が灯ります。
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《予選結果》
   1 M・シューマッハ(フェラーリ・F・GY)
   2 E・アーバイン    (フェラーリ・F・GY)
   3 M・ハッキネン   (マクラーレン・ M・BS)
   ※GYはグッドイヤー、BSはブリヂストン


シューマッハが優勝してもハッキネンはアーバインをかわして2位であれば最終戦の日本GPに持ち込むことが可能です。ただ絶対してはいけないこと、それは「リタイヤ」。絶対的な速さを手に入れたマクラーレンとしては、この年は91年のセナ以来久々のチャンピオン獲得のチャンスでもあります。
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スタートはポールのシューマッハが出遅れ、代わってアーバインが前に出ます。マクラーレンはクルサードがフィジケラをかわして4位に上がりますが、ハッキネン共々フェラーリの位置採りに塞がれたまま。当時のフェラーリはここら辺が確立するチームでした。
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アーバインは縁石を踏み違えたかペースが乱れた瞬間にシューマッハが綺麗に前に。この当時はチームオーダーが禁止されていますから、あくまで「アーバインのミス」によって順位が入れ替わります。

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前が開けたシューマッハは逃げを打つ最中、ハッキネンはアーバインに蓋をされてハイペースの障害に遭っています。アーバイン、この年までは本当にいい仕事をしていますね。
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シューマッハとのギャップが8秒となってやっとハッキネンはアーバインをパス。ファステストラップでギャップを縮めにかかりました。
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シューマッハが1回目のピットを制止時間8.6秒とそつなくこなしている間、ピットを引っ張るハッキネンはまだファステストラップを築きながら目の前にいない敵を追いかけます。
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ロン・デニス自らサインボードを持ち、いよいよハッキネン入場。ハッキネンの制止時間は8.7秒でシューマッハが今コントロールライン通過。
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ハッキネンはピットアウトで強引にシューマッハの眼前を奪い、オーバーカットが成功しています。この頃はどちらかというとシューマッハ&フェラーリが得意としていた戦略でしたので、いつもの仕返しができました。
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シューマッハも決して諦めたわけではありません。ハッキネンとのギャップは2.4秒なので、また次のピットストップで逆転の可能性を残しています。シューマッハは2回目を7.4秒で終えてハッキネンの動きを待ちます。
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翌周のハッキネンは2回目を6.9秒とかなり短縮して終えました。是が非でもシューマッハの前に戻りたい、その気持ちだけでトップフィニッシュを目指すのみ。
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最終ラップで3.2秒差と僅差なままハッキネンがピット戦略を成功させて7勝目を獲得。シューマッハとのポイント差を4ポイント引き離す形となりました。

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《決勝結果》
   1 M・ハッキネン    (マクラーレン・ M・BS)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・GY)
   3 D・クルサード    (マクラーレン・ M・BS)

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チャンピオン決定は追われる側が多いシューマッハはこの年の最終戦日本GPを追う側で挑むことになります。ただシューマッハの言う通り1回のレースで何があるかわからないのがスポーツ、F1です。シューマッハにとってやっとフェラーリでチャンピオンを獲得するチャンス、次の鈴鹿まで決して目が離せません。
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