2018年シーズンは早くも2/3を消化しました。夏休みを挟みつつ、3連戦があったためこの7戦は早かったですね。第8戦フランスGPから先日終了した第14戦イタリアGPまでの7戦を前回の1/3の時と同じ基準でみていきます。
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《予選編》
まずいつも予選後に書いているトップと各チーム最速タイムとの差です。度々雨天時のQ3があり、必ずしもポールタイムが最速であったわけではありませんが「最速マシンからのサーキット毎の離れ具合」を見たいため「予選全セッションで記録した最速タイム」を基準とします。
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一昔前は「メルセデス基準」で見ていたものが、今では完全にフェラーリ基準にシフトしている様子が伺えます。ヨーロッパに多い高速サーキットの中、わかりやすいまでにハンガリーだけはレッドブル優位と出ました。パワーでみればフェラーリの出来は素晴らしいものがあり、ハンガリーのような低速テクニカルな要素が絡むとメルセデスはレッドブルからも遅れをとっています。興味深いのは予選でメルセデスがフェラーリを大きく引き離したオーストリアは珍しく2台ともメカニカルトラブルによって勝ちを逃し、際どく競り勝ったハミルトンの母国イギリスはベッテルが取り、逆にベッテルの母国ドイツは雨による凡ミスによって予選大失敗のハミルトンが逆転勝利ということで「予選圧勝=優勝」になっていない点です。また「二大エースの母国はライバルが取る」というのも面白いです。イギリスは「赤の押し出し」でハミルトン撃沈、ドイツは「赤の自爆」によるもの。ってどちらも赤が下手を打っている内容が響いてるじゃん!それもあって今のランキングな訳ですから、イタさもひとしおです。
中団は相変わらずの混戦模様を繰り広げています。レッドブルやルノー、マクラーレンなどルノーエンジン勢はトップと差のつくサーキットは似通っています。やはりパワーの少なさが顕著に現れているのでしょうか。トロ・ロッソも似たような特徴がみられます。フェラーリエンジン勢はハースとザウバーが同様な波形からなぜかパワーのベルギーとイタリアでも揃って引き離されているのが本家フェラーリと異なっています。ベルギーやイタリアはパワー以上にシャシーやキャリアも必要でゴマカシは利かないか?!
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開幕戦オーストラリアGPからのグラフも作成してみました。三強という呼び方になって久しいですが、三番目は直近2戦でとうとう1秒以上離れる結果になっています。時にパワーが必要なサーキットでははっきりと劣勢に立たされて、モナコGP以降で期待できそうなハンガリーGPはフェラーリに取られてしまいました。速い速いと言われていたハースはオーストリアでそのレッドブルに最接近。本当に落ち着いて賢くいけば、食うことも可能になってきました。エンジンに泣かされている今がチャンス!おバカしていないで、賢く!

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続いて予選の個人順位ランキングです。スタート降格は反映していないものになります。7戦中ポールポジション最多4回ハミルトンではありますが、評価の性質上、第11戦ドイツGPの14位が響いてしまい、最上位はベッテルの2.43位という結果になりました。二強4人が3位台までに拮抗し、毎回5位か6位のフェルスタッペンが単独で少し離れ、サインツ、リカルドあたりまでがQ3常連であることが想像できます。オコン以下アロンソまでがQ2進出保証圏内、エリクソン以下が15位台以降となるQ1止まりの面々です。
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コンストラクター単位にすると、中盤7戦の速さ順をみることができます。レッドブルは二強から離れ、ハースに食われかけています。リカルドの不調が順位を下げ、ハースがやっとマシン速さとドライバー経験値を活かした位置に落ち着いてきたことを示しています。中盤に入りルノーがちょっと順位を落とし、逆にトロ・ロッソがガスリーの活躍もあって順位を上げてきています。マクラーレンの前半7戦は12.36位だったところを15.86位まで下げています。バンドーンのビリを3発かまして、今シーズン限りのマクラーレンドライブとなることが決定しました。

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予選編最後はチームメイト対決をみます。左手青帯がファーストさん、右手オレンジ帯がセカンドさんとなります。レッドブルとトロ・ロッソ、マクラーレンの3チームは7対0と偏りがあります。ハートレイが継続か離脱かは現時点で発表はありませんが、もし離脱するとこの夏の重要な時期にチームメイトと競り負けたものがチームを離脱していることになります。リカルドはスタート逃げ切りよりは決勝追い込み型のドライバーなので、一概に劣っていると決めるのはあさはかですが、近年のF1は追い抜きが困難となってきますので、スタートをライバルより前に居座る、また隊列が落ち着くまでの接近した混乱を避ける意味でも優位な結果をもたらすことに繋がります。次世代のF1を担うであろうフェルスタッペン、オコン、ガスリー、ルクレールは順調に身近のライバルを上回る予選をみせています。


《決勝編》
決勝の方の個人平均順位ランキングです。いつもの様にリタイヤは容赦無く20位扱いの厳しい裁定を下しますので、印象より数字は大きくなります。あと、この前誰かがしでかした「失格」も20位です。この厳しい管理がなされたこのご時世に失格とは久々に聞きました。
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トップはイタいオーストリアが無ければもっとハイアベレージだったハミルトン。続いてフェラーリの2人が仲良く2位タイの5.14位でした。色のバーで感覚的に見ても、同じチームが近い値で揃っていることがわかりますよね。ピーピー頑張るフェルスタッペンに対して、来シーズンの移籍が決まっているリカルドは腑抜け状態です。モチベーションが走りやマシンに波及しているのか、トラブルがあるからモチベーションが下がるのか、どちらが先かは当人以外わかりません。ただ誰がみてもモナコの勝利を最後に右肩下がりの成績であることに間違いはありません。
ちゃんとやれハースに割って入るのはちゃんとやりたいのにチームが整わないフォース・インディアの2人。速いマシンを与えれられれば、表彰台常連になるであろうもったいない。予選がパッとしないのが玉に瑕でしょうか。ルノーは黙っていても決勝で失速か停止してくれる。
チーム内格差が大きいのはザウバーとトロ・ロッソ。ちょっとルクレールくんが足踏みしちゃってますね。今日現在、まだ来シーズンのフェラーリドライブが決まっているわけではないので、落ち着かずハングリーに攻めて欲しいですね。トロ・ロッソもイケイケのガスリーにビビり気味だけどファンからの支持は高めなハートレイが離れてしまいました。後半戦からmiyabikunも頑張ってトロ・ロッソ予想を始めました。ハートレイもガスリーみたいに眼力鋭く、予想をいい意味で裏切る攻め姿勢でいてほしいなぁ。
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チームくくりにすると、こうなります。二強はバチバチ。3位集団は、あーあ、レッドブルはあんなところまで落ちてしまって。さっき書いたように、それもこれもリカルド(とその心臓)のせい。

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個人決勝走行周回数になります。7レースのフル完走は410ラップになります。一番頑張ったで賞は荒れマグの407周、惜しい!オーストリアGPは1周遅れの5位、ハンガリーGPで1周遅れの7位、イタリアGPも1周遅れの16位ビリで-3周でした。やりゃあいいモン持ってるんだから、頑張ろうよ中堅!ハミルトンはオーストリアのメカニカルトラブル、ベッテルはドイツのがっしゃんバタバタで周回数を減らしています。これで全周回走行者はいなくなりました。そうだなぁ、フェルスタッペン以下あたりからは頑張れゾーンですね。アロンソは腐ってもチャンピオン経験者なんだ、次世代の見本になる走りをして下さい。残り7戦、頼みます。
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チーム別も似たような順列ですが、ウィリアムズが台頭してきます。遅かろうが金が無かろうが、止まらずに最後までまっとうする姿勢は見てとれます。ちゃまはともかく、シロトキンを別のマシンに乗せたらどうなるんだろうって興味湧きませんか?!ハートレイ、バンドーン、シロトキンの評価って、なかなか難しいですよね。

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決勝編の最後はチームメイトバトルです。黒帯は両リタイヤ時のドロー扱いとなります。オレンジ帯さんが全体的に頑張っていますね。メルセデスはオーストリアGP、ペレオコはオコ秒殺となったオコ地元のフランスGP、ウィリアムズは雨のドイツGP、ザウバーはイギリスGPでそれぞれリタイヤしたためのドロー1回ずつとなります。荒ぶるエースに堅実なおっちゃん。そして完全に「番犬」を表向きはこなすボッタスが対照的です。


《ドライバーズ、コンストラクターズランキング》
ポイントランキングは開幕戦オーストラリアGPからの累積をグラフ化しています。三強は実線と破線のチームカラーで表現してみました。見辛いかもしれませんがお許し下さい。
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第10戦イギリスGPまではいい感じに絡まり合っていたハミルトンとベッテルは第11戦ドイツGPから乖離し始めました。あのドイツですよ、やっぱり。せっかく地元ポールから余裕の逃げ切りかと思われたのに、降り始めの特に変哲も無いスタジアムセクションでかいた赤っ恥がこの様に影響してくるわけです。恐ろしいですね。にも関わらず、先日のイタリアGPでも楽観的(焦り?)の接触があってグラフの角度が変わり、ポイント差は30に広がりました。あと7戦で31ポイント上回らなければ、5回目の戴冠はハミルトンの手に渡ります。
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三強を除いた7位以下は歴然としていますので別グラフを作りました。チームカラーと実線破線で同様に表現しています。前半7戦はいい感じにきていたアロンソは浮き沈みの激しいヒュルケンベルグに捕まり、最近低調なノーパワーが続いています。ヒュルケンベルグも4戦連続で52ポイントのまま停滞してライバルの接近を待ってるのかな、さてはリカルド待ちかな?!そんなことしているとマグやペレオコが瞬く間にぶち抜きそうだ。ガスリーのシートは安泰です。残るレースは思い切り暴れたらよい。急にギヤの入ったグロージャンだけに負けまいと意地で凌駕しているようで面白いです。

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最後はコンストラクターズポイントランキンググラフです。二強が気持ちいい角度をなして拮抗していますね。フェラーリは満足しないでしょうが、コンストラクターズの方はまだ余裕がありそうです。ボッタスに負けること無くライコネンが表彰台かリタイヤかというはっきりした内容の仕事をしています。レッドブルも第9戦オーストリアGPのフェルスタッペンの優勝がかなりインパクトだったのか、以降は呪われ具合がグラフに表れているかのようです。4位に降格することはまず無いでしょうが、一応長年お付き合いしてきたルノーとの最終年を「泥沼状態」で終えるのは何だか悲しい気がします。そしてその上でリカルドは意を決してルノーワークスを貫くことにしたわけです。
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4位以下を拡大すると、中団の浮き沈みがよくわかります。ルノーが先行する後ろではマクラーレンに代わってフォース・インディアが浮上してきました。本来であればハースと同じような積み重ねを期待したいところ、チームがあんな結末を迎えてリセットされてしまいました。ペレスとオコンは屈することなく「レーシング・ポイント」その名の通り即座に稼ぎ、再始動しました。ウィリアムズ超えを完了して、このままであれば第12戦時と同じランキング6位に復帰することは容易だと思います。ペレスは後ろ盾があるのであまり心配する必要はなさそう。オコンにもメルセデスという後ろ盾があるはずなのに雲行きが怪しくなってきました。ウェーレインという前例も近年ありましたからまだ安心はできないですね。

F1はヨーロッパを離れていよいよアジアに。そして日本GPまであと1ヶ月!

最後に、昨夜未明に北海道で震度7の地震がありました。今年は各地で多くの災害が起こる年ですね。北海道にお住いの方、また北海道に身内やお知り合いのいる方でこのブログをご覧頂いている方もいらっしゃることと思います。心よりお見舞い申し上げます。