10年振りのフランスGP復活です。最後に行われたのが2008年ですから、現役で知るのはアロンソ、ライコネン、ハミルトン、ベッテルの4人。さらにポール・リカールでのレースは90年が最後で28年振りということになり、誰もF1のレースで走っていません。それ以前に半分以上のドライバーはポール・リカール開催当時は生まれていないという。。ともなれば復活というよりかはもはや新規ですね。
昨シーズンやってたレース前のお勉強、フランスはお初なので久し振りにこのシリーズから入ります。

《国の基本情報ほか》
国名称:フランス共和国
  人口  :6280万人(世界第21位)
  面積  :55万2千㎢(世界第51位)
  設立  :1958年に植民地解放
主言語:フランス語
  首都  :パリ
  通貨  :ユーロ(ユーロ以前はフラン)
  時差  :UTC+1:00(日本から-8:00)

F1開催期間と数:1950〜54,56〜08,18〜(59回目)
開催サーキット:ランス、ルーアン、ル・マン、
                             クレルモン・フェラン、
                             ディジョン・プレノワ、
                             ポール・リカール、マニ・クール
F1ドライバー数:71人
F1チャンピオン:1人(プロスト)
現役ドライバー:3人(グロージャン、オコン、ガスリー)
著名ドライバー:プロスト、アレジ、ラフィ、
                             アルヌー、パニス、ピローニほか

フランスはヨーロッパの中央西側に位置するイギリス、ドイツに並ぶヨーロッパ中心国の一つです。昔から世界の諸地域を統治し勢力を振るっていました。自動車や航空機や鉄道車両などの工学技術力、音楽や料理やファッションなどの影響力も強く文化の発信地として世界から多くの観光客を集める人気国、また農業も盛んでワインで知られるブドウをはじめ、多くの農産物を世界各地に輸出しています。まさに至れり尽くせりな国。
手裏剣のような角を持つ六角形のフランス本土は北側は北海、西側は大西洋に面し、南側は地中海に面しています。また北西側は比較的標高の低い平野が広がり、南東側はアルプス山脈の西端もかかるため高地となっています。
気候は西側が西岸海洋性気候(Cfb)で夏は涼しく冬も暖かい。そしてアルプス山脈の反対側となる南側は地中海性気候(Csb)となっており、夏の暑さは乾燥しています。ポール・リカールはこの気候区分に入ってくるため、雨の心配より強風が懸念されます。暖かく穏やかな陽気は農作物にも絶好な条件であると納得できますね。
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ちなみに赤白青でお馴染みのフランス国旗の豆知識を一つ。描くのが簡単そうに見えるこの国旗、実は奥が深いです。この三色は三分しているようで「青:白:赤=33:30:37=100」の割合と決められているため、赤が1番太いんです。フリーハンドじゃとても描けませんね。

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《ランス》
 所在地 :マルヌ県ランス
 F1開催 :1950,51,53,54,56,58〜61,63,66(11回)
一周距離:7.816km(1950,51)
                  8.347km(1953)
                  8.302km(1954,56,58〜61,63,66)
初代優勝:J・M・ファンジオ(アルファロメオ)
最多優勝:J・M・ファンジオ(3回)
最多P.P. :J・M・ファンジオ(4回)
最速P.P. :2分25秒700 J・M・ファンジオ(1951)
                 2分41秒200 A・アスカリ(1953)
                 2分07秒800 L・バンディーニ(1966)
最多F.L. :J・M・ファンジオ(4回)
最速F.L. :2分27秒800 J・M・ファンジオ(1951)
                 2分41秒100 J・M・ファンジオ(1953)
                 2分11秒300 L・バンディーニ(1966)

元祖F1フランスGPは初年度1950年に市街地、いや郊外のブドウ農園を走るサーキットとして始まりました。レイアウトはご覧の通り単純なストレートが主体の高速レイアウトで当初は南西にあるグーという市街地に入り込む形を採っていました(赤線のようなレイアウト)が、1953年より市街地を北西にかわす形(黒線)に変更されています。今も当時のトラックは存在しますが、サーキット機能のない公道に戻されています。

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《ルーアン・レセザール》
  所在地 :セーヌ・マリティーム県ルーアン
  F1開催 :1953,57,72,64,68(5回)
一周距離:5.100km(1952)
                  6.542km(1957,72,64,68)
初代優勝:A・アスカリ(フェラーリ)
最多優勝:D・ガーニー(2回)
最多P.P. :J・クラーク(2回)
最速P.P. :2分14秒800 A・アスカリ(1952)
                 1分56秒100 J・リント(1968)
最多F.L. :全5回バラバラ(1回ずつ)
最速F.L. :2分17秒300 A・アスカリ(1952)
                 2分11秒400 J・ブラバム(1964)

セーヌ川のほとりでランスと交互に開催されたこちらも市街地サーキットです。1952年だけはエトワール通りを使ったストレートを擁する時代(赤)がありますが、57年からはルーアンに近い通りを使用した遠回りに変更(黒)されています。

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《クレルモン・フェラン(シャレード)》
  所在地 :ビューイ・ド・ドーム県クレルモン・フェラン
  F1開催 :1965,69,70,72(4回)
一周距離:8.055km(1965,69,70,72)
初代優勝:J・クラーク(ロータス)
最多優勝:J・スチュワート(2回)
最多P.P. :全4回バラバラ(1回ずつ)
最速P.P. :2分53秒400 C・エイモン(1972)
最多F.L. :全4回バラバラ(1回ずつ)
最速F.L. :2分53秒900 C・エイモン(1972)

クネクネですよね。山の中にある別名シャレードサーキットと呼ばれる山岳サーキットで晩年のランスやルーアンの間に行われ、以降ポール・リカールやディジョンが定着するまで4回行われました。サーキットというよりかは、峠道みたいで近代のF1からは想像つかない立地と構成になっています。現在はドイツのニュルブルクリンクやベルギーのスパ・フランコルシャンと同様に一部をショートカットし、南側のショートレイアウトを使用しています。

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《ル・マン ブガッティ(サルト)》
  所在地 :サルト県ル・マン
  F1開催 :1967(1回)
一周距離:4.422km
初代優勝:J・ブラバム(ブラバム)
最多優勝:J・ブラバム(1回)
最多P.P. :G・ヒル(1回)
最速P.P. :1分36秒200 G・ヒル(1967)
最多F.L. :G・ヒル(1回)
最速F.L. :1分36秒700 G・ヒル(1967)

つい先日行われ、アロンソや中嶋一貴が優勝を飾ったル・マン24時間レースの舞台。公道を使用したサルトサーキットの一部を使ったショートコース「ブガッティ」というレイアウトでF1も1965年の1年だけ使用されました。太い破線が先日のアロンソや中嶋一貴が走った優勝の軌跡です(F1で走行していませんので、サルトサーキット全貌は今回割愛します)バイクレースの最高峰MotoGPはここで毎年フランスGPが行われています。

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《ディジョン・プレノワ》
  所在地 :コート・ドール県ディジョン
  F1開催 :1974,77,79,81,84(フランスGPは5回)
一周距離:3.289km(1974)
                  3.800km(1977,79,81)
                  3.887km(1984)
初代優勝:R・ピーターソン(ロータス)
最多優勝:全5回バラバラ(1回ずつ)
最多P.P. :全5回バラバラ(1回ずつ)
最速P.P. :0分58秒790 N・ラウダ(1974)
                 1分05秒590 R・アルヌー(1981)
                 1分02秒200 P・タンベイ(1984)
最多F.L. :A・プロスト(フランスGPは2回)
最速F.L. :1分00秒000 J・シェクター(1974)
                 1分09秒140 A・プロスト(1981)
                 1分05秒257 A・プロスト(1984)

比較的高地に設定された高速レイアウトのサーキットです。高速かつ距離も短めであるために1分を切るラップタイムも記録されています。当初1974年は小半径のコーナーがないレイアウト(赤)でしたが、77年開催時には中間セクションにParaboliqueが追加されて、若干距離が伸びました(黒)フランスGPとしては5回の開催となりますが、82年だけはお隣スイスのGPとして開催されています。フランスGPに滅法強い地元プロストの初優勝の地です。余談ですが「ディジョン」と聞くとどうしてもフランスより韓国を真っ先に連想してしまうのはmiyabikunだけ?!

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《マニ・クール》
  所在地 :ニエーブル県ヌヴェール
  F1開催 :1991〜08(18回)
一周距離:4.271km(1991)
                  4.250km(1992〜00)
                  4.251km(2001,02)
                  4.411km(2003〜08)
初代優勝:N・マンセル(ウィリアムズ)
最多優勝:M・シューマッハ(8回)
最多P.P. :M・シューマッハ(4回)
最速P.P. :1分14秒559 R・パトレーゼ(1991)
                 1分13秒864 N・マンセル(1992)
                 1分11秒965 J・P・モントーヤ(2002)
                 1分13秒698 F・アロンソ(2004)
最多F.L. :D・クルサード(5回)
最速F.L. :1分19秒168 N・マンセル(1991)
                 1分17秒070 N・マンセル(1992)
                 1分15秒045 D・クルサード(2002)
                 1分15秒377 M・シューマッハ(2004)

最近まで使用されていたフランスGPの舞台です。個人的にはフランスGPはポール・リカールよりこちらの方が観戦歴が長いのでイメージしやすいです。全18回開催中、M・シューマッハが8回優勝しているため、同世代のドライバーはなかなかココを優勝するに至りませんでした。その中でも先日振り返った2002年シーズンは全17戦の中盤となる第11戦のこの地で早くもチャンピオン決定、また04年はライバルより多い4回ピットストップを敢行して優勝を挙げるレースをみせています。
このサーキットも先日行われたカナダのジル・ヴィルヌーブサーキットと同様に、本線がピットレーンからシフトするような形態を採っていました。ピットから分流する本線の線形が似ています。レイアウト変遷は当初が赤線としてアデレイドヘヤピンの先のシケイン、最終セクションはシケインからの右鋭角コーナーを経てコントロールラインに達していました。その後、アデレイドヘヤピン先のシケインの廃止、シャトー・ドーの鋭角化、そして最終セクションの延長の変更を伴いました(青線から黒線に)描いて並べるたびに思いますが、マニ・クールってこんなにちっちゃいんでしょうか。縮尺を合わせたつもりですが、疑わしい。
以前に書いたこともありますが、フランスGPが消滅した理由としてはこのマニ・クールが郊外にありアクセスが良くない、またフランス国内のF1人気低迷、そして高額な開催費が挙げられます。そんな話を聞くと、存続が危ういどこぞの国のGPを連想してしまいます。

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《ポール・リカール》
  所在地 :ヴーシュ・デュ・ローヌ県ル・キャステレ
  F1開催 :1971,73,75,76,78,80,82,83,85〜90,18〜
                (15回目)
一周距離:5.810km
                (1971,73,75,76,78,80,82,83,85)
                  3.813km(86〜90)
                  5.861km(2018〜)
初代優勝:J・スチュワート(ティレル)
最多優勝:A・プロスト(4回)
最多P.P. :A・プロスト(3回)
最速P.P. :1分32秒462 K・ロズベルグ(1985)
                 1分04秒402 N・マンセル(1990)
最多F.L. :プロスト、マンセル(2回)
最速F.L. :1分39秒914 K・ロズベルグ(1985)
                 1分08秒012 N・マンセル(1990)

順番が前後して、こちらが今シーズンから採用されるフランスGPの舞台になります。地名やドライバーの名前がサーキット名になるものが多い中、このポール・リカールは酒造メーカーの創設者の名前となっています。
元々は長い長い「ミストラルストレート」が特徴的なライフル型のレイアウトでしたが、1986年のシーズン中テストでE・デ・アンジェリスが事故死し、銃身部分を切り落としたようなショートレイアウトに変更、90年まで使用されました(コースレイアウトは以前の資料を元に作成しています。誤りがあれば修正します)以降はリジェの地元となる前述のマニ・クールにF1フランスGPの座を奪われますが、02年にヘルマン・ティルケの手が入り、安全対策と様々なコースレイアウトが可能なサーキットに生まれ変わっています。どうやら91通り、ではなくホームページによれば167通りのレイアウトが組めるそうです。お願いだから、レイアウトを毎年コロコロ変えるのだけは止めてね、miyabikunが死んじゃうん(笑)

久し振りにコースレイアウトを描いたら、目が疲れました。歴史のある国は開催サーキットも多いしレイアウト変更もあるので大変です。

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