この企画を半年放置してしまっていたので、英文法も終わったことだし復活させます。第2期マクラーレン・ホンダは結局昨シーズンにわずか3年で別れを告げました。第1期は1988年から1992年の5シーズンを戦い、4年連続のチャンピオンを輩出している名門タッグでした。今まで初代88年のMP4/4と末代92年となる4/7Aについて取り上げましたが、今回はその中間となる3年目、1990年のMP4/5Bを見ていこうと思います。この年から本格的にF1を観始め、このマシンからF1が好きになったこともあり、個人的に思い入れが強いマシンです。
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《設計》
スティーブ・ニコルズ
ニール・オートレイ
ボブ・ベル

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《外見》
相変わらず画像の大きさの微調整が利かなくなり、見辛いですね。申し訳ありません。
名前としては89年のMP4/5のマイナーチェンジを思わせるネーミングですが、実際には似ているようで外観に違いがあるので見分けは可能です。MP4/4の角張った扁平マシンからMP4/5で丸みがつき、航空機に採用される「ラム圧」をF1にも取り入れるべくコクピット後方に背の高いエアインテークとなりました。こちらがMP4/5
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これがMP4/5Bになると、そのエアインテークはより縦長になっています。
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またサイドポンツーン開口も大開口から縦に細く狭められました。それもあって細身でシャープな印象を持ちます。
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サイドポンツーン側面に設けられた排熱に使われるアウトレットのくびれが無くなり、サーキットによって開口の大きさも調整できるようになっています。各サーキットで様々なディテールを見ることができます。
コクピット前方のバイザーも低くなり、第9戦ドイツGP以降は黒に変更されています。歴代マシンと見比べると、コクピットが非常に窮屈そう。
フロントウィングも両サイドが高い位置まで跳ね上がり、サスペンション周りやブレーキ周辺の整流に工夫を凝らしています。逆に翼端板は大型三角形から背の低いものに変更されるなど、マールボロカラーだから一見似ているし、名前もBだから単にセカンドモデルと思いきや、このようなかなりの変更があったりします。

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《エンジン》
ホンダRA100E
V型10気筒・バンク角72度
排気量:3,498cc(推定)
最高回転数:13,000
rpm以上(推定)
最大馬力:700馬力(推定)
燃料・潤滑油:シェル

エンジンは前作MP4/5のRA109Eと同様の排気量でありながらスロットルバルブをスライド式からバタフライ式に変更が空燃費の向上に繋がりました。またボアを2mm拡大し、ストロークは2mm短くしたショートストローク化を行うことでエンジンピストンの摩擦によるロスを軽減しています。バラストの位置にもホンダで徹底的に追求されました。今では信じられないですが、当時は2台のマシンに対して1レースに10基、年間で200基近くのエンジンを準備していました。予選と決勝で使い分けられた時代ならではです。そう考えると、現代は息苦しいもののかなり経済的ではありますね。

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《シャシー》
全長: - mm
全幅: - mm
全高: - mm
最低車体重量:500kg
燃料タンク容量: - ℓ
クラッチ: -
ブレーキキャリパー:ブレンボ
ブレーキディスク・パッド:ブレンボ
ホイール: -
サスペンション:フロント プルロッド
                                 リヤ    プッシュロッド
タイヤ:グッドイヤー

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このマシンのもう一つ特徴的と言えるのが、半円状のトンネル型のディフューザー、通称「バットマン・ディフューザー」です。元来の平板型と比較すると後方へ気流を効率的に排出できるメリットもありますが、パンピーな路面で挙動を乱すとそれが不利側に利いてしまうという弱点もありました。ドライバーのセナ、ベルガーともドライビングミスが続き、第10戦ハンガリーGPでは従来型に戻したため、短命に終わりました。

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《ドライバー》
No.27 アイルトン・セナ(全戦)
No.28 ゲルハルト・ベルガー(全戦)

《戦績》
121ポイント コンストラクター1位
(1位6回、2位 4回、3位8回、4位3回ほか)
ポールポジション12回

前年89年をもってマクラーレンでの「セナ・プロ」はプロストがフェラーリに移籍したため終止符が打たれます。話題になりがちなこの2人ですが、チームメイトだったのはたった2年でした。そう考えると、近年のメルセデスによるハミ・ロズ時代よりだいぶ短めです。F1史を見ていくと、エース級を2人揃えてあまりうまくいくケースはそうそうありません(仲良くやっている現在の某チーム2人はなかなか特異)
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プロストとスイッチする形でフェラーリから移籍してきたベルガーを迎えて、晴れて単独エース扱いのシートを得たセナはチームを上手く牽引(掌握)して89年に逃したチャンピオン奪還に赴きます。全6勝はセナのものであり、ポールポジションもセナが10回に対してベルガーは最高位が2位、ポールポジション2回と完全にドライバーの優劣を確立させています。ベルガーはセナが優勝したレースは2位にはなれず3位となり、ワンツーフィニッシュは一度もありませんでした。
セナは開幕戦アメリカGPを制すと、そこからは優勝を含めた表彰台かリタイヤかといった白黒が顕著に出たシーズンであり、第14戦スペインGPから最終戦オーストラリアGPの3連戦全てリタイヤし、前にも振り返った第15戦日本GPに至っては1コーナーにプロストとチームの垣根を越えた確執のクラッシュによって「とても歯切れの悪い」チャンピオン奪還となりました。
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マシン自体は改良を施し、体制も自身有利の体制と結果を重ねていきますが、そのマシンは決して扱いやすいものでもなく、また最速マシンかと聞かれたら先程のバルブ形式の変化はセナ特有の繊細なリアクションに対応し切れなかった面が露呈されてしまったのも事実です。初年88年をピークに圧勝から少しずつマシンの優位性は中和され、フェラーリをはじめ翌年以降は徐々に技術力でウィリアムズも背後に近付くなど、いい意味ではバトルし甲斐のある、悪く言えば陰りが見え隠れする時代に差し掛かっていきました。

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