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マクラーレンのセナとロン・デニスが何やら見つめて様子を伺っています。その目線の先は
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そう、ウィリアムズのガレージ。1991年も開幕から逃げ切りを図るつもりが、シーズン中盤からマンセルとパトレーゼに優勝や表彰台をさらわれてチャンピオン獲得がまだ確定しないヨーロッパラウンド最終戦となる第14戦スペインGPです。近年は序盤に開催されているスペインGPはこの年まで終盤に設定されていました。そのセナとチャンピオン争いする当のマンセルは
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足を引きずりおじいちゃんみたいになっています。このGP直前に参加したサッカーで左足を負傷したとのこと。この方はチャンピオン争い終局が目前なのに必ず何かをしでかしてくれますよね(笑)
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この翌年1992年にはバルセロナで夏季オリンピックが開催されます。それに先駆けてカタロニアサーキットを新設開業。自転車競技会場として使用されることになっています。中間セクションに「ニッサンシケイン」があったりして、レイアウトが今と微妙に違うでしょう?1年前のスペインGP前にこのブログで過去のレイアウトについて色々書いていますので、興味のある方は是非ご参照下さい。

セナのあのしかめっ面の意味も理解できる。予選はあんな足のマンセルに惜敗し、カタロニアサーキット初のポールポジションは相方ベルガーの手に。デビュー4戦目の小生意気なM・シューマッハは5番手獲得で表彰台を狙える位置に。
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《予選結果》
   1 G・ベルガー(マクラーレン・H・GY)
   2 N・マンセル(ウィリアムズ・R・GY)
   3 A・セナ       (マクラーレン・H・GY)
      ※GYはグッドイヤータイヤ

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スタートはマンセルが失敗。レコードラインにいた3番手セナがピタリとベルガーについていきます。タイヤがまだ出来上がらないマンセルは1周目でシューマッハにインからさされて4位まで後退します。マンセル自身の足だけでなくマシンの足元も準備が整っていません。
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おお、活きがいい!シューマッハは2位のセナも捕まえてマシンを揺さぶり、セナのミラーに「俺様」をチラつかせています。このあたりの怖いも知らずなイケイケ具合が、近年のフェルスタッペンとダブったりします。

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カラダが温まってくると、マクラーレンに比べて最高速重視のセッティングに仕上げたマンセルが伸びてきます。シューマッハをアウトから処理し、切れ味の無いセナの背後を捉えました。
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ザ・サイドバイサイド!このシーンは有名ですよね。拳一つ分の間隔でセナをパス、マンセルはスタート順位に戻しました。トラック上でパッシングをかけようにも最高速の伸びないマクラーレンはマンセルをかわすに至りません。逃してはならぬと1回目ピットを合わせこんでいます。
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以前に振り返った第13戦ポルトガルGPを覚えていますか?!そうです、マンセルはピットでタイヤを付け損ねて黒旗失格を食らった直後だったのです。セナは予定通りにタイヤ交換を済ませて出場していきますが、マンセルは実に慎重に、慌てずタイヤ交換を済ませて順位を後退してしまいます。
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今シーズンもタイヤ交換でトラブルが勃発していますが、ピットストップって簡単そうにみえて、ドライバー側もスタッフ側にも双方にリスクがあることです。
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セナは先にピットを終えたベルガーをオーバーカットしています。今は特性上アンダーカットを採る戦略が多数派ですね。ピットで順位を儲けたセナでしたが、今では許されていないハードタイヤとソフトタイヤを混用したことでマシンバランスが崩れ、ベルガーに前を譲っています。このレースは完全に歯車が噛み合っていません。

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案の定マンセルに追い付かれ、さらにシューマッハも控えています。セナはとうとう限界を突破
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スピンしてマンセルとシューマッハが上手くすり抜ける。
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前が開ければマンセルは今度はベルガーとサイドバイサイドへ。
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続くシューマッハもベルガーを、
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おっと、こちらは失敗!油断も隙もない若さだ。もう少し修行が必要か。

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終盤はフェラーリに移籍し出世街道まっしぐらのアレジがセナのインを無理矢理こじ開けて健闘しています。
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アレジの若さゆえの勢いだけでなく、昔のドライバーはちゃんとインラインにスペースを確保していました。シーズンの積み重ねを考えたら、接触でもしてリタイヤするよりは利口な判断にもなります。ただ閉めりゃいいってわけではないんです、最近の若手諸君!

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《決勝結果》
   1 N・マンセル    (ウィリアムズ・R・GY)
   2 A・プロスト    (フェラーリ・F・GY)
   3 R・パトレーゼ(ウィリアムズ・R・GY)