このGPを振り返るのは初です。1国1開催を「名称を変えること」でくぐり抜けてきた2005年のサンマリノGPです。ご存知の通りイタリアのイモラ市にあるエンツォ・エ・ディノ・フェラーリという名だけあって、この人は確実にお見えになります。
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今の方よりもフェラーリって感じがしてしまいます。ちなみにフェラーリ会長辞任後にアリタリア・イタリア航空の会長を務め、昨年に再倒産して辞任しています。何度倒産してもこの会社はイタリアの元国営フラッグシップ、無くなったりはしません(笑)

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話を戻して予選ですが、ここまでの3戦はアロンソの2勝、フィジケラ1勝でルノー勢の流れとなっており、前人未到の7冠を達成したM・シューマッハは会長の見守る中での不調ときてコース終盤のリヴァツァでコースアウトを喫しています。予選トータル評価は14番手で終え、ボディカラー同様にチャンピオン争いに赤信号がチラつきます。こちらは青信号か、第2戦から3戦連続のアロンソがポールかなと思いきや、予選2回目で飛躍的な向上をみせたマクラーレンのライコネンがシーズンの初ポールを獲得しました。日本人唯一の参戦となるB・A・Rの佐藤琢磨は6番手となっています。前年2004年に引き続き調子がいいです。
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《予選結果》
   1 K・ライコネン(マクラーレン・M・MI)
   2 F・アロンソ   (ルノー・R・MI)
   3 J・バトン      (BAR・H・MI)
     ※MIはミシュランタイヤ


決勝スタートも予選順位のままスムーズに進行していきます。5周目に入るとどこかで見た光景が、、
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フィジケラが改修タンブレロで直進し、バリヤに激突。当時はフランスのビールメーカーであるクローネンブルグの広告でしたが、この年は少数派のブリヂストンでした。フィジケラは無事です。グラベルでしっかり速度低下し、安全は図られています。
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それから僅か8周目にポールから逃げていたライコネンがドライブシャフトを傷めてスローダウン。せっかく戦闘力を増したのに、いとも簡単にアロンソに道を譲っています。この年のマクラーレンは本当に速いけど、速いだけで本当に脆過ぎる。。

上位が離脱すれば前が開ける。M・シューマッハはジリジリとバトンに詰め寄り、1回目のピットストップを終えて3位まで浮上してきました。
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アロンソは42周目に2回目ピットへ。M・シューマッハは軽タンクを生かしてバトンを煽り立て、46周目のヴァリアンテ・アルタでインを突き刺し暫定トップに上がります。
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48周目にはファステストラップを記録しています。ここで周回遅れが見え始めると、アロンソから遅らすこと6周でようやく2回目ピットに向かいます。
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ピットを終えても2位で復帰したM・シューマッハの勢いは衰えることがありません。ラスト4周でエンジン労りのコントロールモードの青信号アロンソを捕まえました。
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いつ行こう、どこで抜こう?!
いや、でも隙がない。
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ギャップが近付き、飛び込めそうなスペースがチラつきますが、アロンソは程よいブロックラインで我ペースを乱しません。3位バトンを大きく突き離した首位攻防戦です。
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ほら、行ける?ダメ、隙がない!残り2周。
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7回王者が優勝たった3回の24歳の若造に翻弄されています。チャンスが数回あったものの、頑なな若者が試練を耐え切りました。
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《決勝暫定順位》
   1 F・アロンソ       (ルノー・R・MI)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
   3 J・バトン          (BAR・H・MI)

このレースも素直に幕は閉じませんでした。表彰式後、車両検査に引っかかったバトンのマシンは重量調整のバラストを搭載しておらず、最低重量違反で5位入賞の佐藤琢磨も合わせて失格。さらに第5戦スペインGPと第6戦モナコGPの出場停止を食らうことに。
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《決勝最終結果》
   1 F・アロンソ       (ルノー・R・MI)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
   3 A・ヴルツ         (マクラーレン・M・MI)

アロンソファンにとっても、シューマッハファンとっても印象的なシーズンの印象的なレースです。結果は既知の通りですが、ドイツの絶対王者を数周において引き連れ、守り切った若者は、このレースで引導を渡されたと言って過言ではないと思います。王者はやれる事はやったものの、予選の失敗が悔やまれます。またそのやり方が王者とよく似た「速さだけではない、賢さ、巧みさ」の冴える内容だっただけに、手を打ち辛い面もあった気がします。それもそのはず、アロンソのボスは以前の王者のボス。若かりし自分にやられている感じでしょうか。
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フェルスタッペンも長きに渡りライコネンを振り切るシーンが見られる今日。ずっとトップで居続けられる世界ではありません。世代交代はこうして訪れるのです。こういう日が来ないと面白くない。