データ整理、まとめ系から抜け出してルーティンに戻ります。来シーズンからフランスGP、ドイツGP復活が発表されました。シーズンオフでレースに飢えていませんか?!新車発表や合同テストまでの暇な時期、復活が決まったフランスGPの2002年レースを振り返りたいと思います。この年はポール・リカールでなく、マニ・クールです。何かとイベントや見どころが多いGPとなっています。今回の主役はコイツ。

ジョーダンのフィジケラが予選早々にフロントウィングが脱落するという危険なクラッシュからドクターストップがかかり、予選は記録無し。佐藤琢磨1人での参戦を強いられてしまいました。ちなみに、この決勝でもジャガーのアーバインのマシンからリヤウィングを落としてリタイヤしています。走行中にウィングが脱落するのはタイヤバースト並みに危険。
また、先日レッドブルがスポンサーついていたチームと話題に出したアロウズですが、財政難のために参戦がおぼつかない状況となっていました。チーム一同ガレージにスタンバイするも、 下手に作業もできず読書したり、工具で遊んで暇を持て余しています。挙げ句の果てにはドライバー2人は予選で意図的に107%を期待した走りをせざるを得ない形に。結果、フレンツェンがポールタイムから6.5秒落ちの109%、ベルノルディが7.9秒落ち111%で目論見通りの予選落ち。チームとしてはアリ、ドライバーとしては仕方がないけどナシな走りです。

この第11戦にしてフェラーリのM・シューマッハが早くもチャンピオンに王手をかけています。ポール争いはF1で2年目のウィリアムズ、モントーヤとの一騎打ちとなりました。
0.023秒差でモントーヤが勝ち、5戦連続のポールポジションを獲得します。シューマッハを「力づくでねじ伏せる事ができる」貴重な2年目のベテランです。

《予選結果》
   1 J・P・モントーヤ (ウィリアムズ・B・MI)
   2 M・シューマッハ  (フェラーリ・F・BS)
   3 R・バリチェロ      (フェラーリ・F・BS)
   ※BはBMW、MIはミシュラン、BSはブリヂストン

ちなみにこのフランスGPでM・シューマッハがチャンピオンになれる条件は
①シューマッハ優勝した場合
・バリチェロとモントーヤが3位以下であること
②シューマッハ2位でバリチェロがリタイヤした場合
・モントーヤが6位以下
・R・シューマッハが5位以下
・クルサードが3位以下
の組み合わせになります。今の順位ではM・シューマッハがここでチャンピオンを獲得することはできません。

フォーメーションラップが始まるっていうのに、前後輪ともに宙に浮く赤いマシンが一つ。オブジェみたいになってます。
3番手スタートのバリチェロです。お手上げ終了。さっきの条件②は早くもクリアしてしまいました。エンジントラブルとはいえ、これってもしや、、。フィジケラにアロウズ2台、バリチェロが抜けた18台でスタート。モントーヤは条件に逆らうようにトップを死守しています。ん?新人マッサはフライング?!
好スタートかと審議になりますが、フライング扱いでピットドライブスルーペナルティを食らってしまいます。そこまではよくある話ですが、これでは終わりませんでした。
ピットアウトで思い切り白線を跨いでしまいました。これでまたペナルティ。ストロールよ、師匠も出たての頃はこんな感じよ、精進したまえ!今回はこの白線がレースをかなりかき回します。

やっぱり優勝してチャンピオンになりたいシューマッハはアデレイドヘヤピンの飛び込みで並んで「猛獣狩り」にチャレンジ。でもウカウカしていると、、
もう1人のイキのいい2年生が差し込んできます。焦らなくても早かれ遅かれこのシーズンのチャンピオンになれるのに。
モントーヤからピットに入ると、M・シューマッハはいつものオーバーカット戦略で飛ばしに飛ばします。よしよし、これなら前に、、あ!
M・シューマッハも白線踏んでます。マッサは新人、あなたは4回チャンピオンでこのレース結果では5回目になるんです、同じことをしていてはいけません。ペナルティをこなしつつ、なんとかモントーヤ、ライコネンに続く3位で復帰できました。

R・シューマッハは相方モントーヤの後ろでコースイン、、あ!
兄貴につられたか、やってしまった。レースというより「白線」に翻弄されています。この時点で順位はライコネン、M・シューマッハ、モントーヤの順は変わらず、まだ条件②が満たされていません。
「いいかキミ、白線の内側でなく、外側だぞ」ライコネンにとっては初優勝のチャンスです。お得意な「様子をみてみよう」は充分やったはずだ、さあピットアウトはどうか?!
そう、ギリギリセーフ!正解!トップのまま復帰しました。あとは王者の猛追に耐えるべし。この時点でライコネン、M・シューマッハ、クルサードの順なので、まだ条件②が満たされていません。クルサードがキーマンとなりました。そのクルサードは順当にいけば3番手復帰を、、あ!
ちょっと、2年生のキミにできたことをなぜ君はできない!踏みやがった。。それじゃペナルティじゃないか。

終盤の65周目のアデレイドヘヤピンでオイルを撒きながらエンジンブローしてしまったトヨタのマクニッシュの影響で、黄旗が提示されます。ということは最速ラップや追い越しは禁止となるはずですが、、あ!
ライコネンがオイルに乗りオーバーラン、そこをすかさずシューマッハがインからグイッとねじ込んでさり気なーく押し出す。

「黄旗?知らないぜ、いぇーい!」
「ちょっと、派手なのはやめてよ、もう。。」

《決勝結果》
   1 M・シューマッハ (フェラーリ・F・BS)
   2 K・ライコネン     (マクラーレン・M・MI)
   3 D・クルサード     (マクラーレン・M・MI)

DC「いやいやいや、ちょっと待って下さい!
         キミが踏んだのはマクニッシュのオイルで
         あの時は黄旗振動だったわけで、、、」
RD「で、君の踏んだのは何だ?!」
DC「あ、はい、白線です。。ごめんなさい」

マクラーレンの抗議は覆らず、そのままの順位で表彰式、そして条件①を満たしたことによりM・シューマッハの3年連続5回目のチャンピオンが決定しました。これは以前にもネタで取り上げた通り、2002年の全17戦中11戦目でのチャンピオン獲得となり、シーズン消化率64.7%はF1歴代で最も早い記録となっています。