今回は2004年の第14戦ベルギーGPを振り返ります。2004年は昨シーズンのアメリカGP前にも振り返っており、その後のレースになります。シーズン全18戦のうち、このベルギーGP時点で早くもフェラーリのM・シューマッハが5年連続7回目のチャンピオン獲得に王手をかけています。ランキング2位のチームメイトであるバリチェロにも大きく差をつけ、13戦で12勝を挙げていますから、2ポイント差付ければ文句無しです。またフェラーリにとっては参戦700戦目のメモリアルGPとなります。果たしてメモリアルなレースを完勝でチャンピオン獲得なるか?!

予選はモナコGPでやっと初優勝を経験したルノーのトゥルーリが、予選1回目の9番手から2回目で大飛躍、自身2回目の逆転ポールポジションを獲得します。M・シューマッハは2番手におさまり、まあ決勝でトゥルーリはかわせるだろうという位置にはつけます。予選1回目に2番手タイムだったバリチェロはルノーのアロンソ、マクラーレンのクルサード、さらにはザウバーのフィジケラまでに先行されて予選2回目で6番手に沈みました。ココにきてメモリアルなフェラーリが乱調?!緊張?!翌2005年に好調な滑り出しをみせて初チャンピオンとなるルノーがこの時期から「打倒フェラーリ」の意気込みを予感させてくれる予選となりました。

《予選結果》
   1 J・トゥルーリ     (ルノー・R・MI)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
   3 F・アロンソ        (ルノー・R・MI)
     ※MIはミシュラン、BSはブリヂストン

スタートで3番手アロンソが偶数スタートでもたつくM・シューマッハを捉えてルノーがワンツー体制となります。チャンピオン決定の場なんて慣れっこだと思ったシューマッハは早くもクルサードにかわされ、バリチェロはライコネンにケメルストレートで並ばれるなど、肝心な時に締まりが無いな、と思った矢先に後方で真横を向くマシンが
オー・ルージュからの登りで加速が鈍いジャガーのウェバーにB・A・Rの佐藤琢磨がラディオンで引っ掛けてしまって大クラッシュ!ジョーダンのG・パンターノも巻き込みマシンから火まで出て本線を塞いでしまいました。1周目終了時でセーフティカー発動です。
セーフティカー明けでもどうしてもフェラーリの蹴り出しがよくない。ライコネンにオー・ルージュ手前でインに突っ込まれてパッシング。続いてモントーヤにまでやられて、開始8周で6位にまで陥落してしまいました。セーフティ明けでも即座に出来上がるミシュランタイヤはブリヂストンより温まりで優れているのか?!この時点でライコネンはクルサードまで捕まえており、いつの間にかの3番手です。

アロンソがスピンして戦線離脱すると、17周目に予選10番スタートからかわしにかわしたライコネンが今回の主役になります。ファステストラップも記録してキレにキレています。
残り7周でM・シューマッハはライコネンの1.5秒後方まで追い付きますが、優勝でなくてもバリチェロさえ前にいなければチャンピオンです。3位まで上り詰めたバリチェロを従えたままフィニッシュしました。

佐藤琢磨のオープニングクラッシュに続いて、レース後半となる29周目に相方バトンのミシュランタイヤがケメルストレートで派手にバースト。近年のピレリばかりではありません、ミシュランも結構ドカンやってたんですよね(笑)最終盤にはトヨタのゾンタが同じくケメルストレートでエンジンブローと、日本コンストラクター勢には散々なベルギーGPで幕を閉じました。

ちなみにせっかくポールポジションからスタートしたトゥルーリなのに、モントーヤから体当たりを食らって9位フィニッシュでした。当時は8位までが入賞なので入賞圏外です。方や9人抜きのライコネン、方や8人抜かれというトゥルーリらしいっちゃらしい結果です。

《決勝結果》
   1 K・ライコネン    (マクラーレン・M・MI)
   2 M・シューマッハ(フェラーリ・F・BS)
   3 R・バリチェロ    (フェラーリ・F・BS)

ベルギーで現役最多4勝を挙げるライコネンはこの年が初制覇、自身の優勝2戦目でした。ベルギーGPは翌2005年、1年の非開催をまたいで2007年、そしてまた1年あけた第1期引退となる2009年で4勝となります。F1復帰して以降、近年は全く勝てていません。今年のマシンなら、少しは戦えるでしょうか?!ポールトゥウィンによらないキレキレのライコネンを久々に観てみたいですね。

無事にこのレースで7回目のチャンピオンを果たしたM・シューマッハは会見でも浮かぬ顔。やはり勝ってチャンピオンになりたかったですよね。これが「王」最後のチャンピオン決定戦となりました。